「Snapdragon 845」の性能がスゴイ…総合性能は世界最高。

スマートフォン向けのCPU(正しくはSoC)を開発しているクアルコムの人気シリーズ「Snapdragon」に、835の後継モデルにあたる新しい最上位モデルが登場した。835は長らく最強クラスの性能を持つSoCだったが、その後継である「845」はどこまで進化してしまったのか…。

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2018/10 追記

「Apple A12 Bionic」に最強の座を奪還されました。

Snapdragon 845

Snapdragon 845は、クアルコムのハイエンドSoCシリーズ「Snapdragon 800」の最新版。「A11 Bionic」や「Kirin 970」など、競合ハイエンドSoCと真っ向勝負するために開発されたSoCです。

「845」のカタログスペック(仕様)を分かりやすくイメージ化してみた。CPUと違ってSoCは、チップ内に様々な役割を持った処理ユニットがたくさん入っているので「中身」という言い方をすると分かりやすいと思います。

Snapdragon 845は高性能な「ARM Cortex A75」(別名:Kryo 385)というコアを4つ搭載する。この高性能コアは最大2.8 Ghzで動作できる。残りの4コアは省電力性に優れた、補助的な役割を果たす「ARM Cortex A55」(別名:Kryo 385)で構成される。

A75は最大2.8 Ghzで動作するのに対して、A55は最大1.8 Ghzでしか動作できない。重たい作業やメインタスクは「A75」に担当させ、軽い作業やバックグラウンドアプリは「A55」に担当させることで、少ない消費電力で高性能を実現するのがSnapdragonのやり方。

グラフィック(ゲーム)担当は「Adreno 630 GPU」。従来の「Adreno 540 GPU」と比較して、30%もの性能アップに成功していると開発したクアルコムは言っている。

そして、普段のSnapdragonから大きく変わったのが今までとは違う新しいタイプのチップが搭載されている点。画像の右下の「Hexagon 685 DSP」がそうです。AI機能に特化したCPUで、音声認識の精度向上やカメラの処理効率アップが狙いらしい。

Hexagon DSP自体はこれで第3世代だが、明確に「AI」に特化したことを謳うのは「Hexagon 685 DSP」が初めて。従来のHexagonに「AI」というキーワードは一切無かった。
スペックSnapdragon 845Snapdragon 835
プロセス10nm LPP FinFET10nm FPE FinFET
製造SamsungSamsung
搭載CPUARM Cortex A75 x4Kryo 280 x4
ARM Cortex A55 x4Kryo 280 x4
クロック周波数2.80 Ghz2.45 Ghz
1.80 Ghz1.90 Ghz
対応メモリLPDDR4x
最大1866Mhz / 8GBまで / デュアルチャネル対応
L3キャッシュ2 MBなし
搭載GPUAdreno 630 GPUAdreno 540 GPU
搭載DSPHexagon 685 DSPHexagon 682 DSP
カメラチップSpectra 280Spectra 180
内蔵モデムX20 ModemX16 Modem
セキュリティーQualcomm Secure Processing Unit (SPU)
Qualcomm Processor SecurityQualcomm Processor Security
Qualcomm Mobile SecurityQualcomm Mobile Security Products
Qualcomm Content Protection
対応APIOpenGL ES 3.2
OpenCL 2.0 full
Vulkan
DirectX12

詳細スペックはこんな感じ。カメラ、モデム、セキュリティーなど処理性能以外の部分でも強化が行われています。

Snapdragon 845の性能

スマホの価値はSoCの処理性能だけで決まるわけではないが、この記事では基本的にSnapdragon 845それ自体の処理性能だけに注目する。

性能はモバイル向けのベンチマークソフトで分かりやすく計測可能。スマホのベンチマークと言えば「AnTuTu」が特に有名だと思いますが、それ以外にもクロスプラットフォーム対応のベンチマークなど。

様々なベンチマークに基いて多角的に「Snapdragon 845がライバルのApple A11 Bionicや、先代のSnapdragon 835と比較してどれほど優秀なのか?」を確認していく。

AnTuTu Benchmark v6

スマホ向けのベンチマークソフトとしては、恐らく一番知名度が高いかもしれない「AnTuTu」。SoCに色々な種類のテストを行わせ、分野ごとに集まったスコアを集計することで「総合スコア」を算出するのが特徴。

AnTuTu Benchmark v6

  • Snapdragon 845
    225224
  • Apple A11 Bionic
    211214
  • Apple A10 Fusion
    153966
  • Snapdragon 835
    176025

結果はAnTuTU最強を塗り替えたA11 Bionicすら超えるスコアを叩き出して、今のところ(2018/5時点)は世界最高クラスのスコアを持つSoCということに。

Snapdragonの最上位モデルは常に世界最高の総合スコアを叩き出してきたが、今回の「845」も期待を裏切らない結果となった。

Geekbench 4.1

Geekbenchはクロスプラットフォーム対応のベンチマークソフト。SoCの「CPU性能」だけを調べることが出来るので、Snapdragon 845がCPUとしてちゃんと進化しているのかどうかが分かりやすい。

Geekbench 4.1 – 64 Bit / Single Score

  • Snapdragon 845
    2453
  • Apple A11 Bionic
    4212
  • Apple A10 Fusion
    3527
  • Snapdragon 835
    1906

1コアあたりの性能である「シングルスレッド性能」は、835と比較して30%も高くなっている。一方のApple A10とA11は、1コアあたりの性能が非常に高い。

Geekbench 4.1 – 64 Bit / Multi Score

  • Snapdragon 845
    8491
  • Apple A11 Bionic
    10469
  • Apple A10 Fusion
    5922
  • Snapdragon 835
    6479

全てのコアを使った「マルチスレッド性能」では、ライバルのA11 Bionicにあと一歩というところまで迫っている。1コアあたりの性能で負けていても、Snapdragonは8コア搭載なのでマルチスレッド性能は高くなりやすい。

3DMark Ice Storm Unlimited

グラフィック性能を調べるベンチマークは「3DMark」が有名。スマホの場合は、その中の「Ice Storm Unlimited」という軽量なプリセットを使ってSoCのGPU性能をスコア化できる。

3DMark – Ice Storm Unlimited @Graphics Score

  • Adreno 630 GPU
    79670
  • A11 Bionic GPU
    112489
  • A10 Fusion GPU
    63386
  • Adreno 540 GPU
    55605

クアルコムによれば「Adreno 630は540と比較して30%の性能アップ」と言っていたが、この結果を見る限りウソでは無かったようだ。先代と比較して43%もグラフィック性能が向上している。

しかし、ライバルのA11 Bionic GPUには更に41%も抜かされてしまっています。ゲーミング性能で最強の座に就くのは、まだ先になりそうですね…。

Mozilla Kraken 1.1

ウェブブラウザ上で動作するベンチマーク。Javascript系の処理を行わせ、処理が終わるまでに掛かった時間でSoCの性能を評価できる。

Mozilla Kraken 1.1

  • Snapdragon 845
    2401.0
  • Apple A11 Bionic
    725.3
  • Apple A10 Fusion
    1108.1
  • Snapdragon 835
    2713.9

Snapdragon 845は2401ミリ秒で、835から約300ミリ秒(約11%)速くなった。

なお、A11 Bionicが725ミリ秒で圧倒的に速い結果が出ていますが、A11の性能よりiOS標準ブラウザ「Safari」の最適化が極めて優秀な可能性は否定できない。

デスクトップPCのCPUを使っても1000ミリ秒を割り込むのは「i7 8700K」など、一部のハイエンドCPUに限られている。なのにスマホ向けCPUであるA11が700ミリ秒を出せるのは…直感的にちょっと理解しにくいですよね。

Octane V2

Octane V2も、Mozilla Krakenと同じくブラウザ上で動作するJavascript系のベンチマーク。Krakenと違って、ミリ秒ではなく「スコア」で性能を示してくれる。

Octane V2

  • Snapdragon 845
    16774
  • Apple A11 Bionic
    34686
  • Apple A10 Fusion
    25464
  • Snapdragon 835
    11845

内容自体はそこまで変わらないので、概ねKrakenと同じような傾向になった。A11 Bionicが異様に速いのは置いておいて、重要なのは先代と比較して845は約42%も高速化したということです。

シングルスレッド性能の向上により、ウェブ閲覧のような単純な処理をこなす速度が確実に進化しています。

まとめ:一部を除き、スナドラ845は現行「最強クラス」

ここまでのベンチマークをまとめると、

  • SoCとしての総合性能は過去最強クラス
  • シングルスレッド性能がちゃんと伸びている
  • ゲーム性能は約40%の伸び
  • ただしゲーミング最強は「A11 Bionic」

以上の4点が分かった。

Snapdragon 845はSoCとしての総合性能では、それまで最強に位置していたAppleの「A11 Bionic」を超えて、過去最高スコアを更新。あの先代「835」から約28%もスコアを伸ばすという快挙です。

一方で、GPU(グラフィック)の性能は依然として「A11 Bionic」が立ちはだかる現状。845は先代の835から約40%グラフィック性能を進化させたけれど、A11は更に40%上を行く。

なお、スナドラ搭載ノートPCは上手く行ってません

Snapdragon 835はノートパソコン並の性能を持っている割に、消費電力が少ないという理由からたびたび「スナドラ搭載ノートPC」というモノが計画されてきた。

そして実際にHP(ヒューレット・パッカード)がSnapdragon 835搭載のHP Envyを発売したが…、せいぜいCeleronくらいの性能しか出ないということが明らかになっています。

ベンチマーク上では、インテルの「Core m5 6Y54」などCore i5クラスのCPUと互角のマルチスレッド性能を持っているにも関わらず、実際にWindowsマシンに載せてみるも無残な結果になってしまった。

もともとWindows前提に開発されているわけではないので、Windows側でエミュレートしてSnapdragonを動かすわけですが。このエミュレートという過程がまだまだ未成熟なのが現状です。

Snapdragon 845搭載のスマートフォン

カメラやデザインまでハイエンドの機種だと10万円前後がザラの世界。カメラなどにこだわらなければ、スナドラ845搭載スマホは7万円台が現状の最安値っぽい。

ASUS ZenFone 5Z SIM Free

OS:Android 8.0CPU:Snapdragon 845AnTuTu:220000点前後RAM:6GBROM:128GBバッテリー:3300 mAh画面サイズ:6.2インチ画面解像度:2246 x 1080パネル:IPS液晶背面カメラ:1200万画素 + 800万画素前面カメラ:800万画素価格目安:74500円~

特に、SIMフリー版を国内正規代理店がマジメに売っている「ZenFone 5Z」はかなり売れそう。デュアルSIM対応で、最大6GBのメモリ、MicroSDは最大400GB対応、多めの3300mAhバッテリーなどなどコスパ良く仕上がっている印象がすごい。

画面占有率90%超えのディスプレイもキレイだし(iPhone Xのパクリだが)、カメラは画素数こそ少ないが一応デュアルカメラなので、2つのカメラで撮った画像をHexagon 685のAI機能で合成して…それっぽい写真を作り出す仕様になっているはず。

というわけで、以上「Snapdragon 845の性能がスゴイ…総合性能は世界最高。 」でした。

その他、スマホやSoCの話

24000円という価格を考えると「異質な存在」。カメラ性能など、やはりハイエンドスマホに敵わない点はあるけれど、それらを考慮しても24000円という価格を考えると非常に魅力的。現時点でコスパ最強のスマホ

ARM製のCPUを無理やりWindowsで動かすのは、まだまだ無理があった…という話。Celeron以下なのに約10万円のノートパソコンなんて、需要ないだろう(知らずに買ってしまう人を除き)。

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10 件のコメント

  • ほとんどの個別スコアでA11にぼろ負けしてるのに何故総合スコアはA11を抜いてるの?
    金の力が働いているとしか思えないんだが笑

  • ZenFone 5Zのデュアルカメラは合成方式ではなく、画角が標準/広角で別々のモノを載っけてるだけですよ。

  • シングルスレッド性能とマルチスレッド性能、どっちの方が大事なんでしょうか?
    ネットサーフィン、youtube、写真撮影、ベンチみてニヤニヤ、ゲームが主な用途ですね
    (まあこんなハイエンドは要らないんだけどw)

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