ASRock「H670M-ITX/ax」を自腹で買いました。数あるLGA 1700対応Mini-ITXマザーボードの中で、価格とスペックのバランスにすぐれたMini-ITXマザーボードです。
特に、第12~13世代のCore i5~i7あたりを定格運用したいカジュアル自作erにとって、一番しっくり来るMini-ITXマザボがH670M-ITX/axでしょう。
(公開:2023/2/8 | 更新:2023/2/8)
ASRock H670M-ITX/ax:仕様とスペック
スペック | ASRock H670M-ITX/ax |
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ソケット | LGA 1700 第12~13世代Intel Coreに対応 |
チップセット | Intel H670 |
フォームファクタ | Mini-ITX(170 x 170 mm) |
CPU用コネクタ | 8 pin |
VRMフェーズ | 8フェーズ(Dr.MOS) |
拡張性 | |
メモリスロット |
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PCIeスロット |
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M.2スロット |
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SATAポート |
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USBポート |
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USBヘッダー |
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機能性 | |
LANチップ |
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無線LAN | Intel AX211 Wi-Fi 6E最大2.4 Gbps / 2×2 / BT 5.3 |
サウンドチップ | Realtek ALC 897 7.1チャンネルHDオーディオ |
映像出力 |
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音声出力 | 3.5mmプラグ:3個 S/PDIF:なし |
レガシー端子 | – |
その他 | BIOS Flashbackボタン |
保証 | 2年(ピン折れ保証3ヶ月) |
製品ページ | 公式サイト(asrock.com) |
参考価格 |
ASRock H670M-ITX/axをレビュー
パッケージと付属品
なんとなくサーバー向けや業務用を思わせる、マリンブルーの背景にスラッシュラインが入ったパッケージです。
下からめくり上げるだけでかんたんに開封できる見開き式の梱包です。フタを開けてすぐに付属品やマザーボード本体がお見えです。
- SATAケーブル(2本)
- WiFi 6Eアンテナ
- M.2スロット固定ネジ(2本)
- I/Oカバー(ツメなし)
- 説明書
- ドライバCD
廉価グレードらしく、付属品の内容はとても簡素です。必要最低限のモノだけを同封し、ゲーミング向けマザボにありがちノベルティグッズは一切ありません。
マザーボードの拡張性とリアパネル
横幅と縦幅どちらも170 mmのMini-ITXフォームファクタです。飾り気のないマットブラック塗装の基板上に、シルバーカラーの金属製パーツが配置されています。
GIGABYTE AORUSやASUS ROG STRIXなどと比較すると地味なデザインですが、その分も価格も安くなっているので問題ないです。
電源を入れると、IOカバーのごく一部がおだやかに光ります。
メモリスロット |
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メモリスロットは2本(最大64 GBまでサポート)、片ラッチ仕様です。
メモリオーバークロックはDDR4-5000まで対応していますが、実際にDDR4-5000で動くかどうかは使うCPUのメモコン特性とメモリ次第なので、あまり期待しないように。
なお、デュアルスロット仕様は(比較的)メモリOCと相性がいい設計です。
M.2スロット |
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M.2スロットは全部で2本です。
一番上がCPUに直結したM.2スロットで、PCIe 4.0 x4(最大7200 MB/s)に対応。
一番下のスロットはチップセット経由で、PCIe 4.0 x4(最大7200 MB/s)またはM.2 SATA SSDをサポートします。
すべてのM.2スロットに、サーマルパッドを装着した分厚いM.2ヒートシンクが付属します。
ASRockならではの鍛造アルミニウム製です。十分に広い放熱面積を確保しており、1000~2000円くらいする市販のヒートシンクに匹敵する冷却性能に期待できます。
SATAポート |
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SATAポートは全部で4個で、約2~3万円の価格帯では標準的なSATAポート数です。M.2スロットとのややこしい排他仕様もありません。
PCIeスロット |
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PCIeスロットは1つだけです。
CPUに直結したPCie 5.0 x16帯域で、(実用性はともかく)次世代のグラフィックボードやNVMe SSDに対応できます。
スロットにスチール製の荷重対策(ASRockスチール製スロット)が施されており、重量化がすすむ昨今のハイエンドグラフィックボードも安心して挿し込めます。
USBヘッダーとTBヘッダー※クリックで画像拡大します | |
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メモリスロットの右側にUSB 3.2 Gen1 Type-Cヘッダーが1つ、USB 3.2 Gen1ヘッダーが1つ(2ポート分)、USB 2.0ヘッダーが1つ(2ポート分)実装されています。
Thunderboltヘッダーは非対応です。LGA 1700のMini-ITXでThunderbolt 4(40 Gbps)ヘッダーを備えるマザーボードはごくわずかで、H670M-ITX/axと同価格帯だと皆無です。
内部ヘッダー※クリックで画像拡大します | |
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マザーボードのメモリスロット周辺とCPU電源コネクタの周辺に内部ヘッダーが実装されています。アドレサブルRGB用のヘッダ、4ピンファンコネクタ、CMOSクリアヘッダなど、基本的なヘッダーは揃ってます。
ファンコネクタは全部で3つです。正直すぐに不足するので、ケースファン用のPWM分岐ケーブルなどがあると便利でしょう。
リアパネルI/O |
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USBポートは全部で7個あります。内2ポートがUSB 3.2 Gen2(最大10 Gbps)に、1ポートがUSB 3.2 Gen2x2(最大20 Gbps)に対応します。
オーディオIFで重宝するUSB 2.0ポートは4つあります。
「BIOS Flashback」ボタンは、USBメモリ経由でBIOSアップデートができる便利な機能です。CPUが手元になくても、マザーボードとUSBメモリだけでBIOSアップデートができます。
第13世代Intel Coreに対応したBIOSが入っているかどうか、心配する必要が無いです。
CPUソケット※クリックで画像拡大します | |
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CPUに電力を供給するコネクタは「8」ピンです。CPUソケットはFoxconn製でした。
CPUソケットの圧力はやや適正の範囲内です。目視でほんのわずかに「歪み(隙間)」が見えますが、ワッシャーMODやソケット金具を使う必要はありません。
反りづらい金属製バックプレートのCPUクーラーや、接触面が凸面のCPUクーラーを使えば問題ないです。
参考までに、過去レビューしたマザーボードと比較します。
- 「Realtek ALC897」:Realtek社の標準的なオーディオコーデック
- ニチコン製オーディオゴールドコンデンサ
音質に大きく影響するオーディオコーデックはRealtek ALC897を搭載。少ない実装面積で品質を維持するため、容量多めのニチコン製オーディオコンデンサを使っているようです。
ただし、NE5532等のオペアンプが見当たらないです。高出力時(= 抵抗値の高いヘッドホンに対する)の音質は期待できません。
2.5G用のLANチップは低遅延で安定した動作に定評がある「Realtek RTL8125BG」を、1.0G用のLANチップはド定番な「Intel I219V」を採用。
チップセットは「Intel H670」です。
VRMフェーズの部品と回路設計
VRMヒートシンク※クリックで画像拡大します | |
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鍛造アルミニウム製のVRMヒートシンクを搭載。少しでも放熱面積を稼ぐため、側面に波打つような細かいフィンカット加工を刻み込んでいます。
接着面を見ると、VRMフェーズの部品(MOSFET)から熱を効率よく回収するためにサーマルパッドが貼り付けてあります。
VRMフェーズの構成※クリックで画像拡大します | |
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ASRock H670M-ITX/axのVRMフェーズは全部で9本です。赤色で囲った7本がCPU向け(Vcore)、青色の1本が内蔵GPU向け(GT)、緑色の1本は補助的な電力供給を行うフェーズ(AUX)です。
1世代前のH570M-ITX/acとほぼ同じVRMフェーズにとどまってます。
VRMフェーズを構成するコンポーネント(部品)を目視で確認します。
- PWMコントローラ:Richtek RT3628AE(7+1モード)
- CPU用MOSFET:Vishay SiC654(7個)
- SoC用MOSFET:Vishay SiC654(1個)
VRMフェーズを制御するPWMコントローラは「Richtek RT3628AE」を搭載。データシートによると、最大8+1フェーズに対応できるIntel IMVP9.1準拠のコントローラです。
MOSFETはVishay製「SiC654」をCPU用に7個、SoC(iGPU)用に1個使ってます。
最大50Aを供給できるスタンダードな性能のDr.MOSです。50A x 7 = 350Aの出力だと、消費電力が200 Wを超える最新Core i7~Core i9を連続稼働させるには不安が残る仕様です。
固体コンデンサはASRock名物の「Nichicon 12K Black Caps(耐久12000時間 / 定格105℃)」をふんだんに使っています。
12Kコンデンサ自体は賛否両論ありますが、すべてのマザーボードメーカーが同じような製品開発をしていたら「退屈」ですから、独自の設計思想を持つメーカーがあっても個人的には良いと考えています。
AUX用のフェーズはPWMコントローラがANPEC APW8828(最大1フェーズ対応)、MOSFETがOnSemi「FDPC5030SG」を2個でした。
BIOS(UEFI)画面の使い方を解説
ASRock H670M-ITX/axのBIOS(UEFI)の使い方を解説します。電源ボタンを押して、マザーボードのロゴ画面が表示されたらDelete連打でUEFI BIOS画面が開きます。
出荷時の設定だと、簡易的なレイアウト(EZ Mode)でUEFIが開きます。F6キーでフォルダ型レイアウト(Advanced Mode)に切り替えられます。
ASUSと同じく、フォルダ階層型の直感的に操作しやすいUEFI画面です。左下の「English」をクリックすると言語を選択できます。
一部の固有名詞やメーカー独自の造語を除き、ほぼ日本語化されます。
H670チップセットは手動オーバークロックに対応しないですが、消費電力(Power Limit)の設定はできます。OCツールタブ > CPU設定に進みます。
メニューの下の方にある「長時間電力制限」「長時間維持」「短時間電力制限」の項目から、CPUの電力制限をコントロール可能です。
基本的に、長時間電力制限に希望のパワーリミットを設定して、短時間電力制限も同じ数値を入力するだけでOKです。
- 長時間電力制限(PL1):181 W
- 長時間維持(Tau):自動(=56秒)
- 短時間電力制限(PL2):181 W
たとえば上記の数値を設定すると、CPUはどれだけ負荷がかかっても最大181 Wの消費電力に収まります。
メモリのオーバークロックは「DRAM設定」から
「XMP設定の読み込み」を選ぶだけでOKです。
メモリの実効性能にこだわる場合は、DRAM Gear Modeを「Gear 1」に変更します。DDR4-3200までならGear 1で安定動作ができるはずです。
下の方にズラッとメモリのタイミング設定が並んでいます。XMPプロファイルで物足りなさを感じる場合は、手動でタイミングを詰めてさらなる性能アップを目指せます(※自己責任の行為です)。
アドバンスド > CPU設定から、CPUコアの無効化を設定できます。たとえば、Eコアをすべて無効化してPコアだけでCPUを動かしたりできます。
Pコアも無効化できますが、試しにPコアを「0」にするとBIOSが起動しないです。CMOSクリアで解消できるとはいえ面倒なので、Pコアは最低でも「1」にしてください。
起動タブで、ブートの設定ができます。とにかくパソコンの起動を高速化したいなら
- ファーストブート:Ultra Fast
- UEFIセットアップ要求時間:1秒
- 全画面ロゴ:Disabled
で爆速化できます。あまりにも速すぎてBIOSを開けません。Ultra Fast設定後にBIOSを設定したい場合は、ASRockユーティリティの「Restart UEFI」を使うか、CMOSリセットしてください。
いろいろ設定を終えたら「設定変更を保存して再起動」でBIOSを終了します。
設定後、BIOSが立ち上がらないなら「CMOSクリア」ヘッダに電源ケーブルを挿し込んで、10秒ほど長押ししてBIOSを初期化してください。
ベンチマーク環境について
テスト環境 | |
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CPU | Core i5 13600K14コア20スレッド |
CPUクーラー | NZXT X63280 mm簡易水冷ユニット |
マザーボード | ASRock H670M-ITX/ax 検証時のBIOSは「10.02」 |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill FTridentZ C16」 |
グラフィックボード | RTX 3080使用グラボ「MSI VENTUS 3X OC」 |
SSD | NVMe 1 TB使用SSD「Samsung 970 EVO Plus」 |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 |
OS | Windows 11 Pro検証時のバージョンは「22000」 |
ドライバ | NVIDIA 512.95 |
ディスプレイ | 3840 x 2160@144 Hz使用モデル「INNOCN 32M2V」 |
以上のテストスペックにて、ASRock H670M-ITX/axの性能を検証します。CPUは「Core i5 13600K(14コア)」を使います。
パワーリミットはインテル公式設定(i5 13600Kの場合:最大181 W / 定格125 W)に合わせています。何も設定せずマザーボードにおまかせすると、なんと最大253 Wが指定されます。
M.2スロットとUSBポートの性能
ASRock H670M-ITX/axのM.2スロットとUSBポートの実効速度をテストします。
I/Oインターフェイスの実効速度※画像はクリックで拡大します | |
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M.2スロット(Gen4)検証SSDは「Seagate FireCuda 530 2TB」 | |
USB 3.2 Gen2(NVMe SSD)検証SSDは「Optane Memory 16GB」 | |
USB 3.2 Gen2x2(NVMe SSD)検証SSDは「Optane Memory 32GB」 |
M.2スロット(PCIe 4.0 x4)の性能が非常に高いです。「FireCuda 530(2 TB)」でテストすると、読み込みが約7000 MB/s前後、書き込みが約6800 MB/s前後でほぼスペック通りの猛スピード。
ランダムリードは89 MB/sで高速、ランダムライトに至っては驚異の400 MB/sオーバーを記録します。過去レビューしてきたIntel 600マザーボードで「Z690 Extreme WiFi 6E」に並ぶトップクラスの性能です。
バックパネルのUSB 3.2 Gen2ポートは、「Optane Memory 16GB(NVMe)」で読み込みが約947 MB/s、書き込みが約181 MB/sで規格の上限に近い性能です。
USB 3.2 Gen2ポートでは読み込みが1000 MB/sを軽く超えますが、SSD側の性能がボトルネックでUSB 3.2 Gen2x2(最大20 Gbps)のスペックを活かしきれません。
なお、AMD Ryzenマザーボードで多発するJMicron製コントローラとの相性問題は確認できませんでした。性能と安定性ともに優秀です。
有線LANポートの性能
2枚のSSDでRAID 0を組んだ高速NASを使って、ASRock H670M-ITX/axのオンボードLANの性能を実測ベンチマークします。
高速NASは最大700 MB/sくらいのスループットを出せるので、オンボードLANで主流の1.0 ~ 2.5 GbE LANなら余裕で対応できます。NASとLANの間にはさむスイッチングハブは、Mikrotik製の10G対応モデルで、SFP+からRJ45端子に変換してテスト対象のLANに接続します。
最大2.5 GbE対応の「Realtek 8125BG」の性能は、ダウンロード(下り)が平均252 MB/s、アップロード(上り)が平均167 MB/sです。
他のマザーボード(2.5G LAN)と比較したグラフです。ダウンロード速度は大差ないものの、アップロード速度が他と比較して遅めです。
OOKLA Speedtest(サーバー:IPA CyberLab 400G)でテストすると、ダウンロードが約2370 Mbps、アップロードも約2370 Mbpsでほぼ理論値の帯域幅です。
なお、Intel I219V(1.0 GbE)の性能はダウンロード(下り)が平均105 MB/s、アップロード(上り)が平均79 MB/sです。
WiFi 6の通信速度
H670M-ITX/axのWi-Fiチップは「Intel AX211」です。
Wi-Fi 6対応ルーターに接続して、OOKLA Speedtest(サーバー:IPA CyberLab 400G)を試すとダウンロードが約850 Mbps、アップロードが約470 Mbpsも出ています。
Wi-Fiルーター側のスペックが最大1200 Mbpsにとどまるため、理論値の7~8割に相当する性能です。
オンボードオーディオの性能
オーディオチップの検証結果 | ||
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テスト対象 | Realtek ALC 897 | |
サンプリングモード | 24-bit / 192 kHz | |
テスト方法 | ループバック接続使用ケーブル:MOGAMI製 3.5mm(30cm) | |
RMAA Version | 6.4.5 | |
テスト結果 | ||
周波数特性 | +0.00, -0.02 | Excellent |
ノイズレベル | -93.5 | Very good |
ダイナミックレンジ | 93.6 | Very good |
全高調波歪率(THD) | 0.258% | Excellent |
THDノイズ | -85.3 | Good |
相互変調歪率(IMD)ノイズ | 0.659% | Excellent |
ステレオクロストーク | -80.6 | Very good |
IMD(10 kHz) | 0.638% | Excellent |
評価まとめ | Very good |
ASRock H670M-ITX/axに実装されているオンボードオーディオ「Realtek ALC 897」の性能を、RMAA(Version 6.4.5)を使ってテストしました。
ノイズレベル(dB)の比較
ダイナミックレンジ(dB)の比較
THDノイズ(dB)の比較
実装面積が限られるMini-ITXの内蔵オーディオは基本的に不利ですが、H670M-ITX/axのRealtek ALC 897は思ったより出来が良いです。
Sennheiser HD650を3.5 mmアナログ端子に直挿しして聴いてみると、十分な音量をクリッピングせずに取り出せます。気になるほどのビビリや音割れもほとんど聞き取れません。
高インピーダンスなHD650を相手に、NE5532などのオペアンプを使わずにそこそこの音量を取り出せる仕組みが不思議です。ただし、音の解像度(音像のくっきり感)はイマイチでした。
CPUとGPUベンチマークの結果
ベンチマーク | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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Cinebench R15シングルスレッド | 290 cb とても速い | |
Cinebench R15マルチスレッド | 3586 cb やや速い | |
Cinebench R23シングルスレッド | 2013 cb とても速い | |
Cinebench R23マルチスレッド | 23060 cb やや速い |
定格クロック(インテル公式設定)で、Core i5 13600Kの動作をチェック。シングルスレッドとマルチスレッド性能、どちらも最大181 Wの範囲で出せる限りの性能です。
初期設定だとパワーリミットが253 W(56秒)に設定されており、マルチスレッド性能があと3~4%改善するものの、CPU温度も大きく跳ね上がってしまい実用性がイマイチでした。
ベンチマーク | 結果 | 画像※クリックで画像拡大します |
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3DMark FireStrike / フルHD向け | 44509 総合 : 37172 | |
3DMark TimeSpy / WQHD向け | 15154 総合 : 15395 | |
FINAL FANTASY 14最高品質 : 1920×1080 | 32171 評価 : 非常に快適 |
ゲーミング性能(RTX 3080)もチェックします。特に目立った問題なく、RTX 3080の性能を引き出せています。
オーバークロックメモリの動作検証
DDR4-3200(CL16)のオーバークロックメモリを使って、メモリのXMPオーバークロックの互換性をチェックします。
検証方法はただ単に、メモリ側に収録されているXMPプロファイルを問題なく安定動作できるかどうかです。
BIOSからXMPプロファイルを適用して「Karhu RAM Test(メモリ安定性テスト)」でメモリの安定性(エラーチェック)を検証します。
容量32 GB(デュアルランク)のOCメモリにも関わらず、エラーチェックは余裕で1000%を超えて2110%まで到達、とても安定性が高いです。
DDR4-3200(CL16)程度のゆるいOCメモリは問題なく使えそうです。なお、メモリOC界隈から見て「ゆるい」だけで、極めて一般的に使われているDDR4-3200(CL22)より速く、実用上は十分です。
VRMフェーズの温度テスト
ASRock H670M-ITX/axのVRMフェーズの性能をテストします。
- #1:VRMフェーズ回路(上部)
- #2:VRMフェーズ回路(左側)
- #3:気温
4チャンネル温度ロガーと、オメガエンジニアリング製のK熱電対センサー(接着タイプ)を組み合わせて、マザーボードのVRMフェーズ温度を実測します。
VRM温度テストに使うベンチマークソフトは「Cinebench R23(30分モード)」です。30分にわたって安定してCPU使用率が100%に張り付き、ストレステストに使いやすいので温度テストに採用してます。
Core i5 13600Kをインテル公式設定で動かして、ASRock H670M-ITX/axのVRMにがっつり負荷をかけた結果がこちらのグラフです。
VRMフェーズ温度 | 最大 | 平均 |
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トップVRM(#1) | 78.3 ℃ | 70.9 ℃ |
サイドVRM(#2) | 56.9 ℃ | 54.2 ℃ |
気温(#0) | 23.7 ℃ | 23.6 ℃ |
設定 | コア電圧 : Auto / クロック : Auto |
Core i5 13600Kが181 Wで動いている間はVRM温度が急激に上昇します。その後、TDPの125 Wに収まると温度の上昇も落ち着き、VRM上部が70℃台で飽和します。
ヒートシンクがついている側は55℃前後で飽和しており、余裕のある動作です。
VRMサーマルスロットリングは確認できません。
181 W制限時が22600~22700点でCore i7 12700Kに匹敵し、125 Wに制限された状態だと20500点前後でRyzen 9 5900Xに匹敵します。
VRMフェーズのサーモグラフィー画像です。ヒートシンクが付いていないVRM上部が90℃まで上昇、ヒートシンク装着エリアは60℃前後でした。
VRMヒートシンクの効果は確定的に明らかですので、ASRockさんはぜひVRM上部にもヒートシンクをつけて欲しいです。
M.2ヒートシンクの冷却性能
ヒートシンク | SSD温度 | 読み込み性能 |
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無し | 最大75 ℃ | 2994 MB/s |
付属ヒートシンク | 最大66 ℃ | 6960 MB/s |
性能差 | -9 ℃ | +3966 MB/s |
PCIe Gen4対応で最高峰に位置する「Seagate FireCuda 530 2TB」に対して、5分間のシーケンシャルリード負荷テストを行い、マザーボード付属M.2ヒートシンクの冷却性能を検証します。
結果、ヒートシンクの有無で最大9℃の温度差があり、テスト中の読み込み性能は約2.3倍の性能差が生じます。ヒートシンクにケースファンで風を与えるなど、エアフローを与える環境なら十分に冷えるヒートシンクです。
ヒートシンクの表面温度は、サーモグラフィーカメラで55~57℃前後でした。ヒートシンク全体に熱がまんべんなく広がり、効率よく熱を放出しています。
ASRock H670M-ITX/ax:レビューまとめ
「ASRock H670M-ITX/ax」の微妙なとこ
- Thunderbolt 4ヘッダーなし
- CPUオーバークロック非対応
- 高負荷時のVRM温度はやや高い
- 200 W超えのCPUを使うには不安
- 平凡なオンボードオーディオ
- LEDライティングはほぼ無い
「ASRock H670M-ITX/ax」の良いところ
- 181 W程度なら行けるVRMフェーズ
- M.2スロット2本あり
(+ CPU直結M.2スロットの性能が高い) - 冷えるM.2ヒートシンク
- 必要十分なメモリOC耐性
- デュアルLANポート
- Realtek 2.5G LAN
- Wi-Fi 6E(BT 5.3)
- USB 3.2 Gen2x2(20 Gbps)
- 扱いやすいUEFI画面
- BIOSフラッシュバック対応
- 充実の保証内容(2年+ピン折れ3ヶ月)
- コストパフォーマンスが良い
結論、コスパのいいMini-ITXマザーボードです。
2.5G + 1.0GデュアルLAN、豊富なUSBポート、Intel AX211によるWi-Fi 6E(2.4 Gbps)対応で同じ価格帯のMini-ITXマザボでもっとも接続性に優れます。
LANチップの選定も無難を極めており助かります。2.5G LANがRealtek製8125BG、1.0G LANがIntel製I219Vです。どちらも目立ったトラブルが報告されていない安定のLANチップです。
拡張性もライバルと比較しておおむね同等の水準です。2本のM.2スロット、1本のPCIeスロット、リアとヘッダー合わせて10を超えるUSBポートをそなえます。
BIOSフラッシュバック機能も対応し、USBメモリだけでBIOSアップデートができます。通販で安心して第13世代Intel Coreとセットで買って大丈夫です。
一方、低価格で機能性に振った結果、VRM性能はやや控えめ。最大181 WのCore i5 13600K程度なら問題なく運用できるものの、200 Wを軽く超えるi7 13700Kやi9 13900Kを運用するには不安あり。
第13世代はCore i5 13600K(最大181 W)を、第12世代はCore i7 12700K(最大190 W)あたりが、安心して組み合わせられる実質的な上限になりそうです。
保証内容も充実です。ASRockの国内代理店(CFD または アスク)は、2年保証と3ヶ月のピン折れ保証を提供します。
以上「ASRock H670M-ITX/axをレビュー:低価格なLGA 1700対応Mini-ITXマザボで推したい」でした。
競合する他の選択肢について
もっとVRM性能が欲しい方には「B660I AORUS PRO DDR4 (rev. 1.x)」が候補です。トラブルの多いIntel製2.5G LANで、M.2スロットも1個しか無いけれど、90A MOSFETを8個(合計720A)も搭載します。
ATX規格のZ690マザーボード並のVRMを備えており、200 Wを超えるCore i7 13700Kも運用できます。そのかわり、H670M-ITX/axほどの接続性や拡張性がないです。
720AもVRMはいらないから、もう少し拡張性も欲しい場合は「ROG STRIX B660-I GAMING WIFI」が良さそうです。M.2スロットが2本あり、60A MOSFETを8個(合計480A)搭載します。
そのかわり、LANポートは1個だけで、トラブル報告が相次ぐIntel製2.5G LANです。加えてメモリスロットがDDR5仕様で導入コストが高いのも欠点です。
5000円ほど安く買える「B660M-ITX/ac」はかなり微妙です。LANポートがただの1.0G LANですし、Wi-Fi 6もなく、M.2スロットは1本だけ。VRMフェーズも弱体化しています。
H670M-ITX/axと同じクオリティを期待して買うと、ほぼ確実に失敗します。
Intelマザーボードのレビュー記事まとめ
実物画像めっちゃ白飛びしてるじゃん。これはこれでかわいいじゃん。
丁度これで1台組んだところだったからタイムリーだ…
今はi3乗っけてるけどi5-13600kあたりと後々交換予定だったからめちゃ参考になりました
ROG STRIX B660-I GAMING WIFI(+i5-12600K) をメインPCで使っていましたが、LANの不具合もそうですがUSB周りの不具合も出るようになり結局別の物(MPG B760I EDGE WIFI DDR4+i7-13700K)に換えて今は不具合無く安定して使用中です。
13600Kより13900Tを載せてみても面白いかも?
13900T>12900K>13600K だし低発熱(106W)ですし
ただ価格がネックでしょうけど
>パワーリミットはインテル公式設定(i5 13600Kの場合:最大181 W / 定格125 W)に合わせています。何も設定せずマザーボードにおまかせすると、なんと最大253 Wが指定されます。
どうせならCPU上部のヒートシンク無しのフェーズに温度センサーつけて、
PBP/MTP/Tauを上限いっぱいまで引き上げて、
13400でVRMスロットリングが起こるかどうか
12400でセンサー90℃以下に収まるかどうかを確認して、
「12世代はi5K無しまで、13世代はi3まで」と評価すべきでしょう。
CPUもGPUもハイエンドに寄るほどコスパが悪化しますので、
マザーケチってCPUに制限かけるのはトータルで金の無駄です。
電源周りの仕様で近似するZ690M Phantom Gaming 4が、
Z690チップセットであるにもかかわらず・・・という評判です。
つべでは「ローエンドマザーVRM番長選手権」みたいなネタが大ウケし、
誰かがVRM偏重に誘導している感じもしますが、2023年のマザー選びの
最重要項目の一つであることは事実です。(近年はMSIがその点強いっすね)
Dr.mosだろうがSPSだろうが、50A×7フェーズと半身のヒートシンクで
最新のi5Kを手懐けることが困難なことは、主様なら百も承知なはずです。
買い換え検討していて、参考になりました。
vrmの350Aに対して、CPUの200Wで余裕があるかどうかは、どういう基準になるのでしょうか?電源と同じ考え方で、50%以上のマージンがあるかどうかでしょうか?
低価格(2万6千円)とは一体……
とはいえATXマザーでWi-Fi載せるとBやHでも一昔前のZくらいの値段普通にするからなあ
ITXマザーボードは詰め込む分どうしても高くなってしまいますね
H670M-ITX/acじゃなくてH670M-ITX/axかと。
CPUグラボメモリは安くなったけど、反対にCPUクーラーPCケースマザボ電源は高騰してる気がしますネェ
H470M-ITX/ac 使っています。
当時は15000円くらいでした。
Mini-ITXではこのシリーズがコスパ高くていいですね。