KIOXIA(キオクシア)はかつて東芝メモリだった企業です。そんな東芝メモリが製造するSSDを、バッファローが国内限定に格安で販売しています。
その名も「KIOXIA EXCERIA G2」、最大2100 MB/sでDRAMキャッシュ搭載のNVMe SSDがなんと1万円未満(1 TBモデル)。安すぎて心配ですが果たして実際の実力は?
(公開:2022/9/30 | 更新:2022/9/30)
KIOXIA EXCERIA G2 NVMeのスペックと仕様
KIOXIA EXCERIA G2 スペックをざっくりと解説 | |||
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容量 | 500 GB | 1000 GB | 2000 GB |
インターフェイス | PCIe 3.0 x4(NVMe 1.3c) | ||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | ||
コントローラ | KIOXIA 2209CE | ||
NAND | KIOXIA 3D TLC NAND | ||
DRAM | DDR4 SDRAM | ||
SLCキャッシュ | 非公開 | ||
読込速度 シーケンシャル | 2100 MB/s | ||
書込速度(SLC) シーケンシャル | 1700 MB/s | ||
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | ||
読込速度 4KBランダムアクセス | 400K IOPS | 360K IOPS | |
書込速度 4KBランダムアクセス | 400K IOPS | ||
消費電力(最大) | 3.5 W | 5.3 W | |
消費電力(アイドル) | 50 mW | ||
TBW 書き込み耐性 | 200 TB | 400 TB | 800 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 150万時間 | ||
保証 | 5年 | ||
MSRP | 非公開(日本独自モデル) | ||
参考価格 | 5980 円 | 9690 円 | 20980 円 |
GB単価 | 12.0 円 | 9.7 円 | 10.5 円 |
「KIOXIA EXCERIA G2」は、旧東芝メモリ(現キオクシア)が製造するコストパフォーマンスに優れたNVMe SSDです。
コスパに優れたNVMe SSDなら「WD Blue SN570」をはじめに、競合するライバルがいくらでもあります。ではEXCERIA G2がライバルに対して勝っている点はなにか・・・?
- ライバルよりさらに価格が安い
- 国産NANDメモリを搭載(おそらく四日市工場)
※国産が強いかはともかく日本ユーザーだと「嬉しい」気がする - 低価格ながらDRAMキャッシュを搭載
以上の3点を挙げられます。
特に「国産」は日本ユーザーにとってインパクトの大きいキーワードです。具体的にどこで製造しているかは明示されていませんが、おそらく同社のBiCS FLASHを製造している四日市工場だと推測されます。
円安で海外製のNVMe SSDがじわじわと値上がりするなか、KIOXIA EXCERIA G2は1 TBモデルが1万円を切る安さを実現しており、「国産」の信ぴょう性が増します※。
※国内製造だとしても、原材料などは輸入品も少なくないのが現代のモノづくり。100%国内製造とはとても考えられないため、価格の安さとの関係性は(実際には)不明です。
国産かつ驚異的な安さに加えて、SSDの性能を底上げするDRAMキャッシュも搭載。キャッシュの範囲内であれば価格的に上位のSN570を上回るシーンも期待できそうです。
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
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KIOXIA EXCERIA G2 | 200 TBW | 400 TBW | 800 TBW |
WD Blue SN570 (WD Blue SN570 NVMe:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | – |
Crucial MX500 (FireCuda 530:レビュー) | 180 TBW | 360 TBW | 700 TBW |
FireCuda 530 (FireCuda 530:レビュー) | 640 TBW | 1275 TBW | 2550 TBW |
CFD PG4VNZ | 350 TBW | 700 TBW | 1400 TBW |
Plextor M10PGN | 320 TBW | 640 TBW | 1280 TBW |
Crucial P5 Plus | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 980 PRO (980 PRO:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
WD Black SN850 (SN850:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
なお、耐久性能評価(TBW)は最近のNVMe SSDと比較すると低いほうです。SATA SSDよりマシですが、SN570やSamsung 980の約70%の耐久性にとどまります。
とはいえ、1 TBモデルで400 TBWなら実用上はまったく問題ないです。ゲーミングPCでシステムストレージとして使った場合、かなり過剰に見積もっても1日あたり平均50 GB程度の書き込みです。
400 TBWを50 GB(0.050 TB)で割ると8000日で、耐久値を使い切るのに約22年もかかる計算に。おそらくNANDメモリの寿命が尽きるより先に、SSDコントローラが経年劣化で故障する確率のほうが高いです。
ライバル製品と価格設定の比較
NAND製造メーカーの純正モデルで、価格の近いNVMe SSDとSATA SSDの価格を比較してみた。
2022年9月時点、EXCERIA G2は1 TB版が約9700円、2 TB版が約21000円でトップクラスに安いです。定番のNVMe SSD「SN570」より約3割も安い価格設定です。
KIOXIA EXCERIA G2 NVMeを開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
今回レビューで使うサンプルはAmazonより、約9900円にて1 TBモデルを自腹で購入しました。
オレンジ色の帯に白いフォントで「KIOXIA」のロゴが描かれた、シンプルなパッケージデザインです。パッケージの反対側に製造元がキオクシア、販売元がバッファローと記載があります。
説明書(保証書)が同封されています。プラスチック製のケースにSSD本体がすっぽりと収まっています。
基板コンポーネント
KIOXIA(旧東芝メモリ)らしい青緑色の基板上に、SSDを構成する3つのコンポーネントが配置され、コンポーネントを覆い隠すようにシールが貼ってあります。
メーカーの保証規定によると、ラベルの損害や改ざんをすると製品保証を適用できないとのこと。M.2ヒートシンクを装着する際は、シールを剥がさずにそのままヒートシンクを付けた方が安全です。
基板の裏側にコンポーネントはありません。製品ナンバーやシリアルナンバーが印刷されたラベルだけが貼られているのみ。
コンポーネントが片側にしか実装されていない、シンプルな片面実装のNVMe SSDです。ノートパソコンやゲーム機(PS5など)、取り付けスペースが狭いハードに増設しやすいです。
シールを剥がして基板のコンポーネントを目視で確認します(※真似をしないでください、5年の製品保証が切れます)。
- コントローラ:KIOXIA TC58NC1202GST-02-BB
TGXH39.00BB 2209CE TAIWAN - DRAM:Micron DDR4-2666 CL19(8 Gb)
- NAND:KIOXIA BiCS FLASH(3D TLC NAND)
TH58LKT1T25BA8C JY7697-TWN 22179AE
SSDコントローラは「KIOXIA」ロゴの入ったオリジナルモデルではなく・・・、Phison E12Cコントローラ(KIOXIA印)を搭載します。
TSMC 28 nmプロセスで製造され、最大で4チャネルのNANDメモリ(3D TLC / QLC)を束ねられます。スペック上の最大スループットは1700 MB/sですが、EXCERIA G2では400 MB/sも上回る最大2100 MB/sのスループットを提供します。
基本的にPhison E12の廉価版(コンパクト版)です。EXCERIA G2の公称スペックを満たすだけなら十分な性能を持った、特に目立った問題のないコントローラ選定です。
DRAMキャッシュはMicron製「DDR4-2666(CL19)」メモリを搭載。
Micronの型番検索に「D9WFH」と入力して検索すると、正式な型番が「MT40A512M16LY-075」と判明します。これ1枚で容量8 Gb(= 1024 MB)です。
NANDメモリはKIOXIA製「BiCS FLASH」を搭載(刻印はTH58LKT1T25BA8C)。
製品ページにてBiCS FLASHとしか記載がないため具体的な仕様は不明ですが、「国産」とアピールするからには四日市工場で製造されている可能性が高いわけです。
四日市工場で製造されている代表的なNANDメモリは、96層まで積層した第4世代BiCS(BiCS 4)が挙げられます。容量512 Gbの4枚重ねで、チップ1つあたり容量2048 Gb(= 256 GB)を実現します。
2048 Gbが4つで合計8192 Gb(= 1024 GB)の容量です。搭載されているPhison E12Cコントローラの性能的にも、BiCS 4(96層 3D TLC NAND)の可能性がもっとも高いです。
※記憶容量が上がれば上がるほど、少ないNANDチップで大容量を実現できる一方、並列化できる数も減ってしまうため結果的に書き込み性能が悪化する傾向があります。詳しくはWD Blue SN570のレビューにて。
KIOXIA EXCERIA G2 NVMeの性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
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CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | NZXT X63280 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | KIOXIA EXCERIA G2 NVMe 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 471.41 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@144 Hz使用モデル「DELL G3223Q」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/s超のSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 3.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.3
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「KIOXIA EXCERIA G2」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
フォーマット時の初期容量は「931 GB」でした。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
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テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度が約2170 MB/sで、書き込み速度は約1730 MB/s、シーケンシャル性能は読み書きともに公称スペック以上です。
ただし、テストサイズを64 GiBまで引き上げると書き込み性能が100 MB/sほど下がり、読み込みレイテンシも悪化が見られます。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。
KIOXIA EXCERIA G2は67.61 μsで、競合するWD Blue SN570やSN750 SEを上回る性能を示します。
書き込みレイテンシもかなり良好で、SN570やSN750 SEを明確に上回ります。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は3200 MB/s前後でピークに達したあと、安定した性能を維持します。キャッシュに収まる範囲なら、SN750 SEやSN570と大差ない性能です。
書き込み速度はピーク時に1600 MB/s前後にとどまります。スペック通りの性能で特に見るべき点はありません。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。
3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、約137 GB書き込んだあたりで書き込み速度が若干下がりますが、それでも1500 MB/s前後の性能を維持しています。
一見するとあまりに出来すぎな性能ですが、PhisonコントローラはHD Tune Proに対して特殊な挙動を見せる傾向を否定できず※、ハッキリ言って参考にできない結果です。
※いわゆるベンチ詐欺コントローラです。代表例はPhison E16(世界初の5000 MB/sコントローラ)など・・・、筆者も煮え湯を飲まされました。
KIOXIA EXCERIA G2 NVMeを実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
KIOXIA EXCERIA G2のロード時間は「7.78 秒」で、SN570より0.4秒(約5%)も速く、Samsung 980に並ぶ性能です。
SN570やSamsung 980にDRAMキャッシュレスが無いです。EXCERIA G2には1 GBのDRAMキャッシュがある分、キャッシュに収まっている範囲でロード時間を素早く処理できるのが勝因かもしれません。
ファイルコピーの完了時間
Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量62 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
書き込み(980 PRO → KIOXIA EXCERIA G2)速度はシーケンシャル性能に沿った結果です。
ゲームフォルダ、写真フォルダ、ZipファイルすべてのテストでEXCERIA G2がWD Blue SN570よりも速く書き込みを終えています。
Samsung 980やWD Black SN750 SEには劣っているシーンがあるものの、価格が2000~5000円も高い相手に負けるのは致し方無し。1万円を切る価格で迫るほどの性能を見せているEXCERIA G2の方が怖いです。
次は読み込み(KIOXIA EXCERIA G2 → 980 PRO)のコピペ時間です。
写真フォルダとZipファイルの読み出しは基本的にシーケンシャル性能に従った結果です。SN570に約27%ほど引き離されています。ランダム性能も問われるゲームフォルダの読み出しは両者ほぼ互角です。
なお、たいていの場合で読み出し先(相手側)SSDの書き込み性能がボトルネックとなるため、読み出し性能の性能差は実用上それほど感じられないシーンが多いと思われます。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
4Kプレビューのドロップフレーム率は約39.7%です。WD Blue SN570とほぼ互角です。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)。
KIOXIA EXCERIA G2のストレージスコアは「1854点(空き容量20%時)」です。空き容量100%なら1892点で、空き容量による性能低下がほとんど見られません。
空き容量20%のスコアはライバルのWD Blue SN570やSamsung 980とほとんど変わらない・・・、期待をはるかに上回る性能です。
口コミでは「安くてほどほどの性能で十分。」などと評価されていますが、ハッキリ言ってSN570と同等のスコアはほどほどの性能とはいえず、十分すぎるほどの高性能です。
PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。AdobeスコアはSN570とほぼ互角、ゲームロードスコアはSN570やSamsung 980を上回ります。
ファイルコピースコアはシーケンシャル性能の差が若干響いてSN570に追い越されますが、約6%の性能差にとどまります。価格差を考慮するとKIOXIA EXCERIA G2の異質さが際立っています。
Officeスコアは明確にSN570を上回り、Samsung 980や980 PROに迫る性能です。
実用性能で比較すると、KIOXIA EXCERIA G2はライバルと目立った性能差を確認できません。EXCERIA G2より価格が高いSATA SSDと比較すると、性能差はなんと2倍以上でした。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
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Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
KIOXIA EXCERIA G2と競合する代表的なNVMe SSDと比較しました。
テストを開始して数秒で、書き込み性能が740 MB/s前後まで下がります。その後は特にキャッシュ切れらしい症状が出ないまま、15分ずっと平均746 MB/sの書き込み性能を維持します※。
※空き容量が20%になるまで放置しても、平均746 MB/sのままでした。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。
15分間の書き込み量で見ると、SanDisk Ultra M.2 NVMeがトップです。KIOXIA EXCERIA G2は、なんとSN570やSN750 SEを上回る書き込み量を見せます。
なぜSN570より価格が安いEXCERIA G2が、書き込みテストで上位に勝ててしまったのか。理由はNANDメモリの性能です。
- KIOXIA EXCERIA G2:96層3D TLC NAND(512 Gb)
- WD Blue SN570:112層3D TLC NAND(1024 Gb)
- SanDisk Ultra M.2 NVMe:64層3D TLC NAND(256 Gb)
EXCERIA G2はおそらく第4世代BiCS FLASH(96層 3D TLC NAND)を使っています。一方、WD Blue SN570では第5世代BiCS FLASH(112層)を搭載。
スペック上の性能なら第5世代が格上ですが、記憶容量は第4世代が512 Gbで、第5世代は2倍の1024 Gbです。
つまり、同じ容量を作るのに必要なNANDメモリの数が第5世代なら半分(50%)で済みます。逆に言うと、搭載できるNANDメモリの数が減ってしまうため、書き込み性能を稼ぎづらいです。
SSD | BiCS5(1024 Gb) | BiCS4(512 Gb) |
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書き込み性能 | 600 MB/s | 740 MB/s |
容量1 TBに | 8個 | 16個 |
1個あたり | 75 MB/s | 46.3 MB/s(※) |
NANDメモリ1個あたりの性能が下がっても、束ねる数が2倍なら書き込み性能で後継モデルに打ち勝つ例はよくあります。
WD Blue SN500 → SN550 → SN570は常に後継モデルの方が書き込み性能で劣っているし、KIOXIA EXCERIA G2がSN570に勝てる理由も決して不可解な事例ではないです。
※WD Blue SN550より約15%低い書き込み性能です。おそらくBiCS 4の基準を満たせなかった96層 3D TLC NANDを使っている可能性あり。製品ページに堂々と「BiCS 4」と書いていない理由との整合性もある程度とれます。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは1つです。
- ドライブ:SSDコントローラの温度
一般的に、SSDの温度センサーは1つだけです。NANDメモリとSSDコントローラそれぞれに1つずつセンサーを搭載するメーカーは、筆者の知る限りサムスンとSK Hynixの2社に限られます。
ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。
テスト開始から数秒だけ1700 MB/s超えの性能で、すぐにキャッシュ切れを起こして平均746 MB/s前後に落ち着きます。その後はずっと安定した性能で、サーマルスロットリングらしき症状も見られません。
センサーが提供する温度表示は最大でも70℃と、エアフローを与えていない環境にしては低いです。
次はサーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。
- SSDコントローラ:72~73℃
- NANDメモリ:51 ~ 55℃
HWiNFOに表示される数値とおおむね一致しています。NANDメモリとの乖離が大きいため、おそらくHWiNFOに表示される温度はSSDコントローラだと思われます。
過去に何個もSSDをレビューしてきて、センサー1個タイプでSSDコントローラの温度を表示するNVMe SSDは初めてです。普通なら、温度が低く出るNANDメモリの方を表示するのが一般的な対応です※。
※一般的な対応で、温度が低く出る方を優先的に表示する理由はもっぱら口コミ対策です。表示温度が高いと「温度が高くて怖い」と書き込む勘違いが続出するため、メーカーにとってほとんど利益がありません。
別売りのM.2ヒートシンクは必要ないです。エアフローを与えない環境で70℃前後にとどまり、サーマルスロットリングもまったく発生しません。
マザーボードにヒートシンクが付いているなら装着するくらいでOKです。ただし、マザーボード付属のヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。
まとめ:SN570を打ち負かす「真のコスパNVMe SSD」
「KIOXIA EXCERIA G2」のデメリットと弱点
- シーケンシャル性能は低い
- 空き容量による性能変化あり
- ライバル製品より耐久性が低め
- SLCキャッシュが限定的(わずか数秒)
- 「国産」を示す確固たる証拠はない
「KIOXIA EXCERIA G2」のメリットと強み
- SATAより安くて最大4倍の性能(2100 MB/s)
- SN570と互角の実用性能
- そこそこのランダムアクセス速度
- そこそこのゲームロード時間
- 割りと足りる耐久性(200 ~ 800 TBW)
- サーマルスロットリングなし
- 大容量モデルあり(最大2 TB)
- 極めて高いコストパフォーマンス
- 5年保証
「KIOXIA EXCERIA G2」は破壊的なコストパフォーマンスを実現した、エントリーNVMe SSDの新たなる王者です。
レビューする前は期待値がかなり低く、WD Blue SN570に勝てないだろうと勝手に思いこんでいたのですが、ベンチマークを進めるごとに「あれ・・・オカシイな・・・性能が良すぎるぞ?」と目が覚めました。
今回レビューした1 TB版の価格は1万円を切っています。WD Blue SN570やSamsung 980より2000~3000円も安い価格です。
にもかかわらず実用性能でほぼ互角の水準に迫り、ゲームロード時間もほぼ互角で、書き込み性能にいたっては比較した中でトップクラス(終売済みのSanDisk Ultra M.2を除く)です。
Crystal Disk Benchmarkで最大瞬間風速(ピーク時のシーケンシャル性能)を見るだけなら、KIOXIA EXCERIA G2の価値を見落とします。
キャッシュを剥がした後の性能や、空き容量を減らした状態の性能でも、きちんとWD Blue SN570と互角の性能を維持しているのが大きなメリットです。
それでいて価格は2000~3000円も安い。文句なしのコストパフォーマンスです。
ちもろぐの個人的な評価は、限りなくSランクに近い「A+ランク」で決まり。
予算を抑えてゲーミングPCを組みたい方、ゲーム用のSSD増設を考えている方、SSD選びに悩みどれを選べば分からない方。とりあえずKIOXIA EXCERIA G2で良いでしょう。
キオクシア(旧東芝メモリ)が、国内限定でお値段以上の性能を提供しています。
以上「KIOXIA EXCERIA G2 NVMeレビュー:あのSN570を打ち負かす真のコスパ最強NVMe SSD」でした。
KIOXIA EXCERIA G2を入手する
NVMe SSDのおすすめレビュー記事
書き込み性能がもっと必要な方は、上位モデルの「EXCERIA PLUS G2」がおすすめ。
おすすめなSSDを解説
価格、性能もさることながら温度センサーの配置が良心的(正直?)で好感が持てますねぇ
事実上大した意味はないとはいえ国産を正面に押してる以上は色々と自信アリ、ってことなんでしょうしそこから来る余裕を感じる…
一瞬QLCを疑うカタログスペックですが、かなり安価ながらキャッシュ搭載の為かそこそこの性能出ていてコスパ良好ですね
SN570は定番たるに相応しい性能ですが、今時珍しく一部メーカーのマザーと相性があるそうなので選択肢が増えるのは喜ばしいと思います
もしいまからSSDを買うとしたらキオクシア製が一番欲しいんですが、Amazon以外では売ってないんですかね?リアル店舗には出回ってないんですかね?
KIOXIAのSSDは、定番のPCパーツショップならだいたい取り扱いがあるはず。EXCERIA G2だとパソコン工房、TSUKUMO、ARK、楽天市場などで販売中です。
2本買っていますが、1本はarkから買ったのでAmazon以外でも流通してますよ。
それにしても安価なのに性能の必要十分感。
R7-4750GEのM75-q2のCドライブが飛んだのでG2に変えましたが快適です。
さすがに、R9ー5900X+SN850のヌルヌルには敵いませんが。
TAIWANばかりですね。NANDメモリにもTWNって印字されていますね。
本当に国産なら応援したいのですが…
「TAIWAN」刻印の理由は、日本国外にも出荷しているから・・・という理由が思い浮かびます。日本に出荷する分だけ、わざわざ刻印をJAPANなどに差し替えるコストが意外と大きいのかも?(真相は闇の中ですが)
NANDメモリのTAIWAN表記は、後工程(シリコンウェハーからダイを切り離してパッケージングする工程)をどこでやったかです。
キオクシアは、後工程の工場を国内にも持っていますが、これを台湾の工場やってパッケージングしたという意味で捉えればよいかと思います。
ちなみに、NANDメモリは、ウェハー単位で販売することもあります。ウェハー単位で購入した場合は、購入したメーカーが、自社で後工程を行う必要があります。NANDに限らず、DRAMなどでもそうですが、自社で後工程の工場をもっているメーカーの場合、ウェハー単位で購入し、自社でパッケージングして自社の型番をマーキングということももちろんあります。
KIOXIAはファームウェアのアップデート等に使用するメンテツールがwindows11に対応していないとか聞いてます。対応してるのが分かったら欲しい製品ですね。
ファームウェア更新ツールは、最新版(5.6.0008)ならWindows 11に対応しています。
5.6.0008ってSATA用と書いてあるのですが、大丈夫なんですね・・・
KIOXIAさんの書き方が悪いですよね・・・これ。単にバージョンが違うだけで、NVMe / SATA問わず使えるようです。
返信ありがとうございます。
windows11だとファームウェアの更新ができないと聞いていましたが安心して購入できそうです!
WD、KIOXIAのNANDメモリ部分は国産ですよ。
同じ工場で作っているので、細かい差異はありますがベースは同じはずです。
SATAも含めて「Samsung・Crucial・WD・Sandisk」以外の選択肢が増えるのが良いです。
人に勧めるとき、Crucial・WDは知らない人も多いし、Samsungだと「えっ?」ってなる人いますし、
そういう人ほど国産のSandiskかKIOXIAのどちらかがいいよ~という説明であれば文句言いませんし。
特に出張型のPCクリニックの人には良い商材・傾向であると思います。
Sandisk知ってるなら普通はCrucialも知ってると思いますけどね(もしくはSandisk,Crucial,WDは知らないけどサムスンだけは知ってるならまだ分かる)
しかもSandiskは今やブランド名でしか残ってないですし、最終的にWDの名前は知れ渡ると思いますよ
キャッシュあり版のEXCERIA PLUS G2 もいいですよ!(PCIe 3.0 x4 でよければ)
自分はそちらを使ってます。
サブ用に12400Fと一緒に購入、メイン機のOptanと9800X組より
元気な気もしてしまうぐらいですw
買うときは1Tで1万ちょいで買え、かつKIOXIAだから、という
比較的消極的な選択で買いましたが、実際の使用感としては
Optanとの差はほぼ無く、ゲーマーにはお勧めですね
今の値段ならもう1枚買っておくかなー
EXCERIA PROがランダム読書公称値が高いので是非レビュー見たいですね 値段もそこそこ安いし
シーケンシャルリード(最大)7,300 MB/s
シーケンシャルライト(最大)6,400 MB/s
ランダムリード(最大)1TB: 1,000,000 IOPS 2TB: 800,000 IOPS
ランダムライト(最大)1TB: 1,100,000 IOPS 2TB: 1,300,000 IOPS
あとSSD、特にM.2のお勧めまとめ2022年版の記事が是非見たいです
>コンポーネントが片側にしか実装されていない、シンプルな片面実装のNVMe SSDです。ノートパソコンやゲーム機(PS5など)、取り付けスペースが狭いハードに増設しやすいです。
PS5には使えないので一応Gen3のSSDではこのテンプレのゲーム機の所は消しておいた方が良いと思います、全体がテンプレで統一されてるとこちらは見やすいので有難いですが。
私も読んでいてここが少し気になりました。
初心者がPS5で使えると思ってしまうので修正いただいた方が良いと思います。
ASRockのMB使っているんですが相性問題あるみたいですね。
値段安いので、良さそうかなと思ったんですが、
購入する際にはちょっと注意が必要みたいです。
BIOSアップデートで改善するようですが、
PC初心者は躓きそうですね・・・
amazon のブラックフライデーセールに合わせて、キオクシアとSN570のレビュー記事を改めて比較しながら読ませて頂きました。とても参考になりました。感想として、実質的な性能はキオクシア、耐久性(TBW)のみSN570と見ました。キオクシアは発熱も少ないようですからヒートシンクも神経質にならずに選べそうです。
ひとつ、キオクシアの最後のまとめのところで「空き容量による性能変化あり」としてデメリットとして挙げられていますが、内容から逆に変化なし、とメリットのように思えたのですが、私の読解力が不足しているせいでしょうかね?
ということで1TBの製品を買おうと、さっきamazonを覗いたら、オキクシア(7,990円)が売り切れになっていました。ショック!
仕方がないので耐久性のあるSN570(10,060円)を手配しました。
最後に毎回高度な記事を提供してくださり感謝!ありがとうございます。
保有するPCが故障リスクの上がる4年を超過。
既存のMicron1100と入れ替えるSSDを探していました。
Amazonのセールで購入。無事にシステム移行を済ませています。
ありがとうございました
今amazon見てみたら9980円で1900円のクーポンが付いて実質8000円で買えるみたいですね。
すごい時代になったものだ…
この部分ですが、
> 約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、
> ただひたすら書き込み続ける(略)
> テストを開始して数秒で、書き込み性能が740 MB/s前後まで下がります。
250GBのファイル1個を書き込んだ場合は1600MB/sだったそうです。
> 実際に250GBの大きなファイルをコピーしてみると、ダイアログ上でも
> 1,600MB/sくらいの速度は出ているので及第点な印象でした。
https://macha795.com/kioxia-exceria-g2-ssd/#toc11
1MBのような小さいファイルの連続書き込みだと、
シーケンシャル書き込みというよりも、
ランダム書き込みに近くなるのかもしれません。
ありがとうございます。ここまで本格的なベンチをされているサイトはないのではないでしょうか?
SSD初心者でしたが、「NANDメーカー」「コントローラメーカー」「世代」などが関わっているのだとわかりました。
安いからと飛びつかずに、国産メーカーを吟味したいと思います。
ご存知だとは思うんですけど、DRAMはちょこちょこ変わってるみたいですね。
ちもろぐさんのはmicronですが、自分のはおそらくsamsung、他にネット上ではhynix製も見受けられました。
多分性能に影響はないとは思うんですけどね…
ASRockマザーとの相性問題とPCIでつけるならほかにしたほうがいいし、場所とるし面倒だし。サポートがBuffaloなのは責任逃れで問題。東芝は信頼性が高いし、性能も文句ないから買いたかったのに、残念・・・。
記事を参考に初めてKIOXIAのSSDを購入したのですが、気づいたのが健康状態の%の減りが異常に早いです。
今までSSDでどれぐらい書き込んだかを気にしたことないのですが、KIOXIAは減り方が早いのでびっくりです。アマゾンなどでも同じような事を言っている人がいるので自分だけの現象ではないと思います。
確実に、TBWの数値を大きく下回る書き込み量で0%になります。
たくさんSSDをレビューされていると思いますが、これはKIOXIAに限ったことなのでしょうか? 使用上問題ないことは認識していますが、正直がっかりです。
EXCERIAはそういうもののようです
http://egg.5ch.net/test/read.cgi/jisaku/1670238389/18-20
私もその点が気になっています。
他のメーカーよりも「正直」に健康状態を算出しているだけなのかなと思っていたのですが、それにしてもTBWや使用時間に比して健康状態の減少速度が明らかに過剰なんですよねKIOXIA。
まあ健康状態なんて参考数値でしかないと言われたらそれまでですが、Samsungの990PROでも健康状態が短期間で異常に悪化するバグがありましたし。
ちなみに990 PROはファームウェアアップデートで治ったようです…。
全く正確ではないですが、SSDの健康状態%と書き込み量の割り算をすると、仕様上のTBWのだいたい65%で健康状態が0になるようです。
仕様でTBW300だとすると、195TB書き込みで健康状態が0になるということです。
なぜこんなことになるのでしょうか? 保証期間を短くしたいのでしょうかね。
KIOXIAのSSDが壊れやすいとは全く思いませんが、これでは使っていて心配になります。実際、不良を疑う人もいるのではないでしょうか。