フレームレート(略:fps)は、よくグラフィックボードの性能を示す指標として使われることがある。3DMarkやFF14のような、グラボの性能をスコア化できるベンチマークがあるが、実際にそのスコアがどのくらいすごいものなのか。
それを理解するために「フレームレート」という指標は非常に重要になってくる。この記事では、PC初心者向けにフレームレートを解説してみる。
「フレームレート」の意味
映画、テレビ番組、そして3Dゲームまで。世界中のあらゆる「映像」は、1枚の静止画を何十枚も連続させて表示させることで、擬似的に「映像」として見せている。どんな映像も、原理はパラパラ漫画にすぎない。
実際に筆者である「やかもち」を映像にしてみる。7枚の静止画を連続して表示させれば…。
見事に「こっちに向かって走っている様子」が映像化される。7枚の静止画を、1枚あたり0.2秒で切り替えている。上映時間は「1.4秒」だが、その1.4秒の映像を作るために7枚も静止画を費やしている。
1秒間あたり5枚の静止画を使ったので、フレームレートは「5」ですね。要するにフレームレートとは、1秒間あたり何枚の静止画を使ったのかを示す指標なんですよ。
ファーストパーソン・シューティングという用語は略すと「FPS」になってしまう。混同を避けるためにフレームレートは「fps」と略されるのが一般的なようだ。
フレームレートは多いほど「なめらかな映像」に
1秒間の映像を表現するために、より多くの静止画を使えば使うほど、完成する映像は「なめらかに」なっていく。映像の滑らかさが与える影響について、「銃を撃つ」という場面を例に考えてみる。
2秒ほどの動画ですが、使われた静止画が60枚。つまり30fpsの映像。
次はfps10の映像を見てみる。1秒あたり10枚しか描写しないと、ずいぶんとカツクキのひどい状態になってしまう。
30fpsと10fpsを同時再生すると、その違いがよく分かる。
この比較映像も分かりやすいですね。1秒間あたりに描写する静止画の枚数、「フレームレート」は高ければ高いほどなめらかな映像になって良い感じ、ということが分かった。
1927年以降、映画ではフレームレートは「24」しか使われてこなった。この24fpsを標準化したのは、米国映画テレビ技術者協会(SMPTE)という団体です。
フィルム(映画)の標準fpsを24に決め、テレビの標準fpsは30と決められた。PAL(西ドイツなど、ヨーロッパやASEAN、アフリカを含む)の場合は25fpsと標準化されています。
しかし、2012年にピーター・ジャクソン監督が「ホビット」を今までの2倍の48fpsで撮影し、より繊細な映像表現を行ったものの、当然非難も多かった。
観客側は24fpsの投影に慣れているために一種の「不気味の谷」のような心理状態に陥ったし、映画館側としても48fpsのフィルム投影は難しい…というのが主な非難の理由。
ただ、映画館のデジタル化は進んでいるし、見る側も映像の高画質化に価値を感じており、なめらかな映像を評価し始めている。そして、ジェームズ・キャメロン監督は「アバター2」を60fpsで撮影しているところです。
一方、フレームレートが多いほど「処理量」が増える
なめらかな映像は、間違いなくパラパラ漫画のようなカクついた映像よりも見やすいし、美しいと感じやすい。低すぎるフレームレートは「3D酔い」の原因にもなる。
ただ、フレームレートが多いということは1秒間あたりに描写される静止画の枚数が多いということです。当然処理しなければならない情報量は多くなるし、PCへの負担も大きい。
アニメを例にすればものすごく分かりやすい。1秒のアニメを24fpsで作ろうとした時、アニメーターさんは24枚もの※絵を用意しなければならない。24分のアニメを作るのに34560枚もの絵が必要になってしまう。
※フルアニメーションという制作方法の場合。通常はリミテッドアニメーションが使われるため、1秒を作るのに必要な絵は8枚である。
グラフィックボードの仕事も非常に似ていて、描写が複雑で解像度の高いゲームほど、静止画の質が高い。そんな質の高い「絵」を、1秒間に20枚~40枚と大量に描写するのはとても骨が折れる作業なのです。
だからこそ、重たいゲームで60fpsといったフレームレートを叩き出せるグラフィックボードは「性能が高い」と言えるわけですね。骨が折れる作業をなんなくこなしてしまうから。
フレームレートは「平均60」以上、必要なのか?
アニメや映画などの映像業界はまだまだ60fpsは標準化されていませんが、3Dゲームの世界では60fps以上が当たり前になりつつある。なぜ、60fps以上がゲームの世界で標準化されつつあるのか。
- 滑らかに動く映像が「ストレスレス」だから
- フレームレートが低いと不快感を感じやすく、「3D酔い」になりやすい
人間はやはり滑らかに動く映像のほうが、負担が少ない傾向にある。カクカクとした映像は、脳で補完して処理する部分が多いために「疲れやすく」「3D酔いになりやすい」。だからフレームレートは高いほうが良い、と本能的に感じるわけです。
特にこの動画が分かりやすい。60fpsに対して、明らかに30fpsはカクカクとしている。視界を通り過ぎていく「電柱」などに、フレームレートの差がよく出ています。
結論、60fpsは間違いなくあったほうが快適ということ。絶対に必要かどうかは、人それぞれ意見は変わってくる(予算の問題もあるし)だろうが、60fps以上はやはり快適なんですよ。
- グラフィックボードの高性能化と低価格化
- 競技性の高いゲームでは、現実に近い映像であるほど有利
eSport業界が大きく発展し、賞金も数百万から数億円まで巨額化。競技性の高いゲームの場合、一瞬の差が勝敗を分けることもあるため、ゲーマーは更に快適な環境を求めるようになった。
そこに拍車をかけるように、グラフィックボードも急速に進歩を遂げた。世代が入れ替わるたび、ハイエンドがミドルに落ち、ミドルがローエンドへと落ちていく。
2年前は60fpsで動かせなかったゲームが、簡単に60fpsで動かせるようになり、100fps以上を出すのも難しくなくなった。より「60fpsが当たり前」と言いやすい環境になってきた。
「フレームレート」のまとめ
フレームレートとは「映像を1秒間に何枚の静止画を使って表現しているか」を示す指標。フレームレートが30なら、1秒間に30枚の静止画で映像を表現していることになる。
- フレームレート10:0.1秒に1枚ずつ
- フレームレート30:0.033秒に1枚ずつ
- フレームレート60:0.016秒に1枚ずつ
1秒間に使っている静止画が多いほど、映像はよりなめらかになり、人間にとって快適な動きになっていく。基本的に30fpsを下回ればカクついた映像だな、と感じやすい。10fpsなど、あまりにひどいと見てられない映像だと感じます。
映画やアニメなどの映像作品ならともかく、実際に自分で入り込んで疑似体験することになる「3Dゲーム」や「VR」において、フレームレートは高ければ高いほど快適です。
2017年現在、もっとも人気のあるフレームレートは「60以上」です。最近は144Hzや165Hzといった、高いリフレッシュレートを備えるディスプレイ(モニター)も発売されるようになってきた。
60fpsどころか、それを遥かに超える120fpsや144fpsで遊ぶ人も増えてきたんですね。
フレームレートが高いと得られるメリット
- 酔いにくく、快適なゲーミング体験が可能に
- 圧倒的な没入感や臨場感を味わえる
人間、「快適さ」には敵わない。遅いフレームレートは間違いなくストレス要因だし、脳に余計な負担を強いることになってしまう。
フレームレートが高いと得られるデメリット
- 重量級のゲームの場合、相当な性能をもつグラフィックボードが必要になりコストが高い
- 60fps以上を求める場合、60Hz以上のリフレッシュレートに対応したモニターが必要に
しかし、快適さにはコストが伴う。高いフレームレートを実現するには、高性能のグラボが必要になる。そして60fpsを超えてくると「リフレッシュレート」という別のスペックも要求される。
パソコンから信号を受け取って、人間の目に見えるように映像を出力してくれるのが「画面」や「ディスプレイ」「モニター」と呼ばれる製品です。
どのディスプレイにも例外なく「リフレッシュレート」という性能があって、安価なディスプレイは基本的に「60Hz」しか無い。リフレッシュレートは「1秒間に何度、映像を切り替えられるか」を示す指標。
60Hzのディスプレイなら、1秒間に60回しか映像を切り替えられない。つまり、たとえ100fpsが出ていても、60回しか切り替えられないため、映像に出るのは「60fps」が上限に。
120fpsが欲しいなら「120Hz以上」に対応したディスプレイが必要になってしまう。そして高いリフレッシュレートを備えたディスプレイは、普通のディスプレイよりも高価な傾向にある。
以上、グラフィックボードの性能を示す「フレームレート」を解説してみる…でした。
30FPSでも遊べる派なんですけど、少数派でしょうかね。
筆者も低スペックPCを使っていた頃は、30fps出ていれば全然OK派でした。ただ、その後グラボをアップグレードしたりして、出せるfpsが増えてくると変わりましたね。
一旦60fpsを体感すると30fpsは遅く感じるし、144fpsを知ってしまえば60fpsでも違和感を感じます。
< 少数派でしょうかね。
Steamをプレイしている人の内、14%のユーザーがGTX 1060を使っているので、60fpsを重視するユーザーの方が多そう。一方で、GTX 750 TiとGTX 1050が合計10.5%もいるので、60fpsは出なくても構わないという人も、そこそこ多そうです。