PCの性能アップのためにメモリーの速度は速い方が良いのか?

PCパーツのひとつ「メモリー」を選ぶ時に悩むのが、メモリーの速度(メモリのクロック周波数)だと思います。メモリーの速度が速い製品ほど価格も高いし、速いメモリにしたほうがパソコンの全体的な性能も上がるかもしれない。

そう思っている時代が、ぼくにもありました。メモリーの速度とPC性能の関係についてまとめてみます。

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メモリーの速度(クロック周波数)とは

メモリーの速度は単純に言えば「メモリの製品名にかかれている規格」から判断できます。画像の通り、浮き上がっている部分がそのメモリの規格です。簡単にいえばね。

例えば上の黒いメモリは「DDR4 PC4-24000」と書いてあり、モジュール規格には更に分かりやすく「PC4-24000(DDR4-3000)」と書いてありますね。このDDR4の後ろ4桁がメモリのクロック周波数。

つまり、メモリの速度だと思って構わない。下の青いメモリはモジュール規格に「PC3-12800(DDR3-1600)」と書いてあるので、メモリのクロック周波数は半分くらいしか無いんだな…と分かる。

  • DDR3-1333:1333Mhzで動作するDDR3規格のメモリ
  • DDR4-2800:2800Mhzで動作するDDR4規格のメモリ

こんな具合で読めば大丈夫。

「DDR3」と「DDR4」の違い

メモリの規格は基本的に「DDR」と呼ばれるもので、2017年時点で主流なのは「DDR4」で、その前に主流だった「DDR3」は中古市場がメインになっています。新品や、これからPCを組むという人は「DDR4」で問題ない。

  • DDR4はクロック周波数に理論上、上限が無い
  • DDR4は消費電力が1.5Vから1.2Vへ省電力化
  • DDR3とDDR4の間に「互換性」は一切ない

で、DDR3とDDR4の違いはこの通りなんですが、要注意ポイントは「互換性」が一切無いということです。今はDDR3のメモリの方が安価だけれど、形が微妙に違うので注意です。

メモリのピン数(金色の部分)が違うし、切り込みの位置も違うのが分かる。そして今の主流はDDR4ですから、他のパーツもDDR4規格に合わせて作られています。

  • 「あれ!? このメモリ刺さらないと思ったらマザボがDDR4対応だったわ。」

なんて寝ぼけたことになりかねない。

本題「メモリー速度は速いほど良いのか?」

基礎知識はこれくらいにして、本題へ。

  • 「じゃあ、安価なDDR4-2133と、2枚セットで約2万円近いDDR4-3333だったら、やはり後者の方が性能は高いのだろうか?」

2133Mhzで動くメモリと、3333Mhzで動くメモリ。確かに、メモリ自体の性能は明らかに3333Mhzで動くほうが高いといえるが、メモリの速度が速いからってPCの性能が上がるのか…。ここが重要ですよね。

メモリー速度別のフレームレートを確認しよう

調べ方は簡単で、メモリーのクロック周波数が違う複数のメモリを使って、3Dゲーミングなどの動作フレームレートを確認すれば良いのです。

規格速度容量CL電圧
DDR42133 Mhz8GB x213-15-15-281.2V
2666 Mhz15-15-15-35
3200 Mhz16-16-16-361.35V

検証に使ったメモリは表の3種類。クロック周波数が高いほど、動作が不安定になりやすいので「CL」というパラメータを調整し、電圧を盛ったりして安定させています。

まぁ、今回の話にCLだとか電圧だとかはあまり関係ないので特に解説はしません。

パーツPC構成
CPUCore i7 6700K @4.4 Ghz
GPUNVIDIA GeForce GTX 980 Ti 6GB
マザーボードASUS Z170-A
SSDSamsung 850 EVO M.2 500GB
OSWindows 10 Pro 64bit

メモリ自体の影響を確かめるべく、基本的には必要十分なスペックになっています。「GTX 980 Ti」に対してCPUは「Core i7 6700K」だからボトルネックが発生する心配は無い。しかも4.4 GhzにOCされているから尚更のことだ。

ストレージも動作に大きく関わる要因だから、高速なM.2規格のSSDを使用している。では、順番に見ていこう。

3DMark Fire Strike Score

速度3DMark Fire Strike
2133 MhzScore149930.00%
Graphics173410.00%
Physics141730.00%
Combined77750.00%
2666 MhzScore150230.20%
Graphics174490.62%
Physics142330.42%
Combined7667-1.39%
3200 MhzScore150890.64%
Graphics174760.78%
Physics142750.72%
Combined77850.13%

まずはグラフィック性能を検証する時に非常に有名な「3DMark Fire Strike」というベンチマークソフトを用いての検証を。

見ての通り、メモリのクロック周波数が上昇したからと言って目立ったパフォーマンスアップが見られません。2133と3200では約50%もスピードが違うんだから、5~6%くらい変化しても良いのでは。

と思いましたが、実際には0.75%程度しかスコアは向上していない。意外とこの程度しか効果が得られないのか…。

Crysis 3

速度Crysis 3
2133 MhzAverage61.70.00%
Minimum54.00.00%
2666 MhzAverage62.10.65%
Minimum56.03.70%
3200 MhzAverage64.03.73%
Minimum55.01.85%

次は重量級3Dゲームとして知られる「Crysis 3」での検証。なお、設定はWQHD画質(2560×1440)にVery Highを使用している。

意外なことにメモリが高速化したことで、フレームレートが約2~4%程度向上している。僅かながらもメモリの高速化が性能に影響を与えることを確認できた。

Battlefield 4

速度Battlefield 4
2133 MhzAverage82.00.00%
Minimum69.00.00%
2666 MhzAverage83.01.22%
Minimum71.02.90%
3200 MhzAverage84.02.44%
Minimum70.01.45%

Battlefield 4(WQHD画質、Ultra)でも、同様の効果が確認できた。メモリの高速化は、本当に数%という僅かな差だが効果は見られます。

Ryse: Son of Rome

速度Ryse: Son of Rome
2133 MhzAverage78.30.00%
Minimum70.00.00%
2666 MhzAverage78.30.00%
Minimum69.0-1.43%
3200 MhzAverage81.13.58%
Minimum76.08.57%

Ryseでの検証は少し特徴的。2666Mhzでは変化なしだが、3200Mhzにすると最低fpsが8.5%も安定している。メモリクロックの効果としてはかなり大きい。

Grid Autosport

速度Grid Autosport
2133 MhzAverage119.00.00%
Minimum100.40.00%
2666 MhzAverage120.51.26%
Minimum100.1-0.30%
3200 MhzAverage122.42.86%
Minimum100.60.20%

しかし、基本的にはメモリの高速化はあまり大きな影響は与えない。100超えのfpsに対して約3%の伸びでは誤差に等しい性能アップと言える。

Grand Theft Auto V

速度Grand Theft Auto V
2133 MhzAverage61.30.00%
Minimum40.70.00%
2666 MhzAverage62.62.12%
Minimum39.9-1.97%
3200 MhzAverage61.60.49%
Minimum43.36.39%

GTA5ではメモリの高速化が効いている。3200Mhzでは最低fpsが6%も伸びた。なかなか悪くない効果だ。

The Witcher 3

速度The Witcher 3
2133 MhzAverage53.50.00%
Minimum47.00.00%
2666 MhzAverage55.33.36%
Minimum49.04.26%
3200 MhzAverage55.94.49%
Minimum49.04.26%

Witcher 3でも同様に3200Mhzの効果が大きく出た。が、2666Mhzと比較するとまったく変化していないので、Witcher 3では2666Mhz以上のメモリクロックはあまり意味はないな。

Rise of the Tomb Raider

速度Rise of the Tomb Raider
2133 MhzAverage63.50.00%
Minimum50.00.00%
2666 MhzAverage63.70.31%
Minimum49.0-2.00%
3200 MhzAverage62.7-1.26%
Minimum49.0-2.00%

最後はトゥームレイダーで。残念ながらメモリの高速化はむしろ悪影響になってしまった。このタイトルではむしろメモリはおとなしい方が良いようだ。

7タイトルの平均fps

速度平均
2133 MhzAverage65.70.00%
Minimum54.40.00%
2666 MhzAverage66.51.22%
Minimum54.90.92%
3200 MhzAverage67.22.28%
Minimum56.13.13%

全体的な傾向を見てみると、一応メモリの高速化は決して無意味ではないようだ。2133Mhzから2666Mhzへクロックアップすることで1%程度の性能アップ。更に3200Mhzまで高速化すれば、2~3%程度の性能アップが期待できる。

まとめ「メモリの速度は無意味ではないが」

ぼくが使っている「DDR4-2666」OCメモリ。頑張れば3000Mhzでも動くが…安定性重視です。

ここまで見てきたように、平均fpsで全体的なパフォーマンスを見る限り、メモリのクロック周波数が高ければPCの性能は上昇しているのは間違いないでしょう。

しかし、問題は掛かっているコストと取っているリスクに対して、その伸び幅は割りに合ったモノといえるのか…ということ。

高速メモリのリスクとコスト

メモリの動作クロック(速度)を上げれば上げるほど、メモリが消費する電力は大きくなりマザーボードなど他のハードウェアに与える負荷も増します。

規格速度容量CL電圧
DDR42133 Mhz8GB *213-15-15-281.2V
2666 Mhz15-15-15-35
3200 Mhz16-16-16-361.35V

2133Mhzと、3200Mhzを比べると消費する電力は1.20Vから1.35Vになっており、率で言えば12%も上昇している。そして「CL」も全体的に16%ほど鈍化しています。

※CLは小さいほど速いが、負荷も増える。クロック周波数とCLが両方共速いと、PCの動作は不安定になりやすいため、クロックを上げたらCLを下げてバランスを取るのです。

何より、消費電力や動作の不安定さ以前の問題がある。「価格」です。同じDDR4メモリでも、メモリーの速度が2133Mhzと3200Mhzでは価格も大きく上がります。

画像の例だと価格は3200Mzのメモリが37%も高価です。しかし、実際に得られる効果は決して37%には達しない。せいぜい1~2%が良いところであり、対費用効果は極めて悪い。

結論

速度平均fps最低fps価格
2133 Mhz65.754.412960
3200 Mhz67.2(+2.28%)56.1(+3.13%)17780(+37.2%)

割に合わない。以下の「例外」を除き、基本的にDDR4メモリは「DDR4-2133」で十分だと思います。メモリクロック周波数の速さに予算を割くなら、メモリ容量に投資したほうが絶対に良い。

ということで「じゃあ、メモリー容量はどれくらい良いの?」ということについては、以下の記事にまとめたので一読をオススメします。

メモリの高速化が有効なケースもある

CPU「AMD Ryzen」を使う場合

こちらの記事にまとめていますが、CPUに「AMD Ryzen」を使う場合はメモリーの高速化が割りと有効です。

2133Mhzから3200Mhzへアップクロックすることで、Witcher 3のフレームレートが16%も向上した例がある。それだけでなく、Geekbenchのスコアも10%程度向上している。

 2666Mhzメモリを使っている理由

ぼくがさっき画像に上げた「DDR4-2666」メモリですが、使っている理由はまさにCPUが「Ryzen」だからです。

特定のゲームタイトルでは顕著な効果が

  • PROJECT CARS
  • METRO LAST LIGHT REDUX
  • FFXIV Stormblood
  • など…

他にもあるだろうが、とりあえず現時点で確認できているのは上記3タイトルです。2133Mhzから3000Mhzへ上げるだけで、10~15%程度の性能アップが確認されている。

なお、効果はグラフィックボードの性能が余裕であればあるほど顕著に出やすく、逆にグラボの処理がいっぱいいっぱいにになると効果がかなり薄まってしまう。(例:4K画質)

  • フルHD画質で遊ぶ前提
  • 遊びたいゲームタイトルで、メモリ高速化の効果が確認されている(FF14など)
  • 使う予定のグラボはミドルエンド~ハイエンドクラス(GTX 1060 6GBやGTX 1080など)

こういった条件が合わさっている場合は、奮発してメモリクロック周波数の高いOCメモリーを使っても問題ないですね。

オススメなDDR4メモリ

ごくごく普通の「DDR4-2133」メモリ。8GBの2枚セットの中ではかなり安価な方でコスパが良いからオススメ。基本的にDDR4メモリはこれで良いと思ってる。色がブラックなのも好み。

自作Ryzenマシンに使った「DDR4-2666」メモリです。マザボからXMPを有効にすると簡単に2666Mhzで動作してくれるスグレモノ。なお、自作PCについては以下の記事に詳しく書いています。

メモリ高速化の効果が大きいと見込める時は、思い切って「DDR4-3000」の高速OCメモリを使えばいいかと。基本的にこれもマザボからXMP有効化で3000Mhz動作します。

以上、「PCの性能アップのためにメモリーの速度は速いほど良いのか?」…について書きました。

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4 件のコメント

  • 何故メインメモリの性能を比較するのにグラフィック処理能力で検証したのですか?
    グラフィック処理能力に大きく影響するのはグラフックメモリの周波数でしょう(笑)
    3Dゲームのフレームレートを上げたいのであれば安いメインメモリを買って浮いた金を足してグラフィックカードをアップグレードすることをお勧めします(笑)
    大風呂敷広げて自分の愚かさを露呈してしまった訳ですがこれは端から釣り目的ですかね?

    • FF14など特定のゲームタイトルや、AMD Ryzenのようにメモリのクロック周波数にパフォーマンスが顕著な影響を受けるケースを除き、基本的には「3Dゲームのフレームレートを上げたいのであれば安いメインメモリを買って浮いた金を足してグラフィックカードをアップグレードすることをお勧めします」という方針で間違ってないと思います。

  • 絶対にコメントを取り消し&スルーもしくは猛反発されると思っていたのですが
    yacamochi氏の冷静で穏やかな対応に感服しました。
    大抵のブロガーは無視を決め込むと思うのですがそこをあえて相手を怒らせずに返答するという器の大きさはアフィリエイターにとっても武器になりますな。
    また読者が食いつく面白い記事を期待していますよ。

  • GTX1080 SLIにDDR4-3200~4000ならまだ分かりますが、
    メモリをケチる意味があるのは下位のビデオカードだけですね。
    ミドル~ハイエンドはケチったところで1ランク上のビデオカードはまず買えません。
    普通の人が使っているのは60Hz(60fps)の安液晶が大半でそれ以上fps出してもVsync(60fps)で頭打ちになるのでゲームによっては何使おうが大差無い場合もあります。
    ベンチ比較ではVsyncオフなので100fpsや200fps出ますが、それだけです。
    実際にゲームをプレイする際はVsync上限張り付きになるので意味はありません。
    よく100fpsと150fpsを比較して後者の方がゲームに向いている等の記事を見かけますが、あの程度の屑記事ならアホしか騙せないでしょう。

    それと、3%程度の差なら電源プランを切り替えた方が早いですよ。

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