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WD Blue 3D SSDをレビュー:東芝とSanDiskが生み出す一級品

860 EVOやMX500に並んで定番SSDとしてのポジションを持つ「WD Blue 3D SSD」を検証レビュー。東芝とWestern Digital(SanDisk)連合が生み出したコンシューマ向けSATA SSDで、公称値こそSATA SSDとして最速に位置するが果たして実際は…?

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WD Blue 3D SSDの仕様とスペック

Western Digital / NAND : SanDisk製64層TLC / 容量 : 500 GB / 耐久性 : 200 TBW / 保証 : 3年

「WD Blue 3D SSD」は、WDという名前がつけられていますが、実質的には東芝メモリとWD傘下にあるSanDiskが開発製造しているコンシューマ向けのSATA SSDです。

事情を知らなければ「あのHDDメーカーのWestern Digitalが今はSSDも作ってるのか。」と印象を受けるかもしれないけれど、実際には東芝とSanDiskのSSDと言えます。

スペックWD Blue 3D SSD
容量250 GB500 GB1 TB2 TB
フォームファクタ2.5 inch
インターフェイスSATA 3.0
コントローラMarvell 88SS1074
NANDフラッシュSanDisk製64層 3D TLC NAND
DRAMキャッシュMicron製DDR3
256 MB512 MB1024 MB2048 MB
読み込みシーケンシャル550 MB/s560 MB/s
書き込みシーケンシャル525 MB/s530 MB/s
読み込み4KB ランダムアクセス95000 IOPS
書き込み4 KBランダムアクセス81000 IOPS84000 IOPS
消費電力稼働時??? W
消費電力アイドル時56 mW
保証5年
TBW書き込み耐性100 TBW200 TBW400 TBW500 TBW
MSRP希望小売価格$ 94.99$ 164.99$ 309.99$ 619.99
参考価格Amazon価格6078 円7380 円16171 円34387 円
GB単価24.3 円14.8 円15.8 円16.8 円

スペック表をまとめると、Western Digitalが作っているのはガワだけで中身に関してはほとんどノータッチということが分かります。

NANDフラッシュは東芝メモリとSanDiskが共同で開発した「BiCS」と呼ばれる3次元構造のNANDフラッシュを採用。積層数は「64層」で、MicronやSamsungと戦える内容です。

コントローラは先代のWD Blue SSDに採用されていたMarvell製の「88SS1074」を続投。ファームウェアそのもの自体はSanDiskが改善をしているらしいです。

SSDの性能を飛躍的に高速化する(=下駄を履かせる)DRAMキャッシュは、Micron製のDDR3メモリを搭載。容量に対して約0.1%に相当するメモリを搭載し、SATA SSDで最速を目指す。

やかもち
中身については後ほど、実際にチェックを行います。

耐久性能はやや時代遅れだが「十分」な水準

WD Blue 3D SSDの耐久性能(TBW)

2017年に登場したSSDなので耐久性能(TBW)はやや時代遅れな水準です。

現状、3D TLC NANDを採用するSSDとして最強の耐久性能を実現しているのが「Samsung 860 EVO」で、それに続くのが「Intel 545s」になっています。

WD Blue 3D(SanDisk Ultra 3D)は、2TBモデルを除きCrucial MX500よりは約11%耐久性能が多い。500GB版で200 TBもの耐久値があるので、普通に使っていれば保証年内に壊すのは極めて困難ですね。

他と比較すると普通の耐久性能といえど、容量1 GBあたり0.4 TB(400 GB)の耐久値はほとんどのユーザーにとって十分すぎる水準に達しています。

余談:SanDisk Ultra 3Dも全く同じ製品です

SanDisk Ultra 3DとWD Blue 3D SSDは同じ製品

製造しているメーカーがSanDiskと東芝連合なら、SanDiskブランドとして販売されている「SanDisk Ultra 3D」も同じ製品ではないのか。

と鋭い人なら疑問を持つと思いますが、その疑問は正しいです。WDブランドとして売ってる「WD Blue 3D SSD」も、SanDiskブランドの「Ultra 3D」も同じ製品です。

どちらも東芝メモリとSanDiskが製造した3D TLC NANDを採用し、Marvell製のコントローラ、Micron製のDRAM、SanDiskのファームウェアを搭載する。

違うのは「ガワ(パッケージング)」だけで、それ以外は全く同一の製品と言っていい。だからSanDiskが安いならそちらを買えばいいし、WDが安いならWDを買えばOK。

今回、WD Blue 3Dの方を買った理由も「SanDiskより安かった」です。同じ製品でデザインだけが違うなら、あとは価格だけで選べば問題ありません

WD Blue 3D SSDを開封レビュー

WDらしい青いパッケージング

WD Blue 3D SSDを開封レビュー

Western Digitalはシンプルなカラーリングを用いたデザインが特徴的です。WD Blue 3D SSDでも、HDDのWD Blueと同様に「シンプルなブルー基調」のデザインが貫かれています。

WD Blue 3D SSDを開封レビュー

裏面には英語とフランス語でいろいろと書いてあり、日本語や中国語などアジア圏の言語は一切使われていないのが意外でした。

WD Blue 3D SSDを開封レビュー

スライドして中身を取り出すと、SSD本体はしっかりと梱包材に挟まれています。

WD Blue 3D SSDを開封レビュー

付属品は保証書兼マニュアルだけで、他には何もなかった。

WD Blue 3Dのパッケージング

アルミ製のシャーシ(筐体)に、ただシールを貼り付けただけの単純なパッケージングです。高級感はほとんどなく安っぽいものの、WD Blueは廉価なブランドなので相応しいとも言える。

WD Blue 3Dのパッケージング

裏面には製品シリアルコードや容量など、スペックが記載されたシールが貼り付けてあります。

分解して内部コンポーネントを確認

WD Blue 3D SSDはものすごく開けにくく苦戦しましたが、それもそのはず。

WD Blue 3Dの中身(部品)を分解チェック

シールの下にネジが隠されているとは、最初は思いにもよらなかったです。触っている内に「なんかここ凹むぞ?」と気づいて、剥がしてみるとネジが姿を現した…。

WD Blue 3Dの中身(部品)を分解チェック

隠しネジ4箇所を外し、分解ベラなどを使ってこじ開けるとアッサリと割れました。

WD Blue 3Dの中身(部品)を分解チェック

シャーシ(筐体)をよく見ると、SSDコントローラが位置するところに「サーマルコンパウンド」という熱伝導材が貼ってありました。熱対策はしっかりしていますね。

WD Blue 3Dの中身(部品)を分解チェック

中に入っている青色の基板がSSD本体です。基板は驚くほど小さく、2.5インチのシャーシ(筐体)に対して4割に満たない程度の面積しかありません

WD Blue 3Dの中身(部品)を分解チェック

裏面にもコンポーネントが実装されています。両面に部品を実装することで、基板の面積を小さくし、物理的な力が加わっても故障しにくくなっています。

次は基板に実装されている主要なコンポーネントを順番にチェックしていく。スペック通りの内容になっているかが重要なポイント。

WD Blue 3DのコントローラはMarvell製

SSDコントローラは「Marvell 88SS1074」が搭載されています。先代のWD Blue SSDから続投のコントローラですね。

細かい話をすると、88SS1074は28nmプロセスで製造されているコントローラで、最大4チャンネルのNANDフラッシュを束ねることが可能なそこそこ高性能なチップです。

実際にWD Blue 3D SSDには、一枚あたり128 GBのNANDフラッシュが4枚実装されているので、4チャンネル対応は間違いなし。そして4枚も並列化すればかなりの速度を期待できるはず。

WD Blue 3DのNANDフラッシュはSanDisk製

NANDフラッシュはやはりSanDisk製の「64層 3D TLC NAND」を搭載しています。一枚あたり128 GBが合計4枚なので、このSSDの総容量は512 GBという計算になります。

ここで「あれ?スペック表には500 GBって書いてあるけど?」と思いますが、差分の12 GBは「予備領域」や「SLCキャッシュ」として利用される仕組みです。

SSDは使い続けていると使用できない領域(=不良ブロック)が発生するので、予備領域から補填することで寿命を伸ばします。SLCキャッシュはSSDに下駄を履かせる仕組みのこと。

WD Blue 3DのDRAMはNanya製

SSDの性能を高速化するために実装されるDRAMキャッシュは、Micron製…ではなく「Nanya製 DDR3メモリ」でした。容量は512 MBで間違いないが、メーカーが違います。

もしかするとMicron製のDRAMチップは1 TBモデル以上に使われていて、500 GBモデル以下はNanya製を使ってコストカットしているのかもしれない。

初心者もち
うわ~、ほんとにWDの製品は何も使ってないんだね?

というわけで、WD Blue 3D SSDは「WD」というブランド名こそ冠するものの、肝心の中身は「SanDisk(東芝)」「Marvell」「Nanya」の3社によって供給されています。

ただ、3社もあるとややこしいのでとりあえず「WDのSSDは実質SanDiskと東芝のSSD」と考えておけばOKです。

WD Blue 3D SSDの性能を検証(ベンチマーク)

Crystal Disk Mark 6

国内だけでなく、国際的にも定番のSSDベンチマークである「Crystal Disk Mark 6」を使って、WD Blue 3D SSDのシーケンシャル速度や、SSDの質が出やすいランダムアクセス速度を検証する。

性能に一貫性があるかどうかを確かめるため、標準設定の「1 GB」だけでなく「50 MB」や「16 GB」など、複数のテストサイズを実行します。

50 MB

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

Crystal Disk Markでテスト可能なもっとも小さい「50 MB」サイズでは、データがDRAMキャッシュに収まるため、ほぼ公称値通りのシーケンシャル速度を計測しました。

読み込み速度はほぼ560 MB/sに達し、書き込みも530 MB/sを超えており、どちらもスペック通りの結果です。

1 GB

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

テストサイズを標準的な「1 GB」サイズに変更すると、シーケンシャル速度はほとんど変化なく、ランダムアクセス速度(Q8T8やQ32T1)が更に向上しました。

4 GB

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

テストサイズを「4 GB」に引き上げると、依然としてシーケンシャル速度は公称値を維持し、ランダムアクセス速度も全体的に速いままで驚く。なかなか耐えますね。

16 GB

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

もっと大きい「16 GB」サイズでは、読み込み速度が若干低下してしまいます。書き込み速度も全体的に低下気味で、ようやくキャッシュの範囲外になったようです。

32 GB

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

Crystal Disk Markで最大サイズになる「32 GB」テストだと更に性能が落ち込むものの、思った以上に性能は下がっていません。

WD Blue 3Dの性能(Crystal Disk Mark 6)

競合するSATA SSDたちと比較すると、シーケンシャル速度は互角の水準を見せつけるものの、ランダムアクセス速度は残念ながらトップクラスの域から外れてしまいました。

現行のトップスピードは依然「Samsung 860 EVO」が保持しており、東芝WD連合の資本を持ってしても、すべてのコンポーネントを自社製造するサムスンには追いつけない様子です。

AS SSD Benchmark 2.0

WD Blue 3Dの性能(AS SSD Benchmark)

非圧縮データをテストに用いる「AS SSD Benchmark」でWD Blue 3D SSDの性能を確認。結果、読み込み速度はそこそこ早く、書き込み速度はシーケンシャルが大幅に低下しています。

AS SSD Benchmark 2.0

  • WD Blue 3D SSD
    1142
  • Intel 545s
    1021
  • Samsung 860 EVO
    1266
  • Crucial MX500
    1244
  • Barracuda SSD
    1001
  • Micron 1100
    1132
  • Colorful SL500
    791

過去のレビュースコアと比較をまとめると、標準的なSSDよりはワンランク上の性能に位置する。トップクラスはSamsung 860 EVOとCrucial MX500です。

ATTO Disk Benchmark

複数のテストサイズを一括でテストして、SSDの性能の一貫性や性格を分かりやすく示してくれるATTO Disk Benchmarkを検証。

WD Blue 3Dの性能(ATTO Disk Benchmark)

SATA SSDらしい速度傾向を示しました。64 KBサイズにてほぼトップスピードに達し、その後は64 MBサイズまでおおむね安定した速度を維持し続けています。

WD Blue 3Dの性能(ATTO Disk Benchmark)

読み込み速度を比較すると、ほぼすべてのサイズでトップスピードでした。と言っても誤差みたいな性能差なので体感することは無いでしょうけど。

WD Blue 3Dの性能(ATTO Disk Benchmark)

一方、書き込み速度はSamsung 860 EVOに若干ですが劣った結果です。その後性能が飽和状態に入ると、ほぼ同じ速度を維持し続けました。

HD Tune Pro

約3500円するシェアウェアのストレージベンチマークです。ディスク全体に渡って書き込みを実行するテストがあるので、キャッシュの挙動(=下駄の履かされ具合)を確認しやすい。

読み込み速度

WD Blue 3Dの性能(HD Tune Pro)

読み込み速度は割とブレ幅があって、最大で410 MB/sに対して、遅いところでは330 MB/sにまで落ち込む。上下幅は約80 MB/sにもなりました。やや性能が安定しない傾向です。

アクセスタイムは0.100 ミリ秒で、SATA SSDとしては普通です。

書き込み速度

WD Blue 3Dの性能(HD Tune Pro)

書き込み速度もリード同様に不安定で、最大375 MB/sに対して遅いところは280 MB/sくらいでした。ブレ幅は約95 MB/sなので性能の一貫性は今ひとつ良くないといえる。

アクセスタイムは0.057 ミリ秒。SATA SSDによっては0.030~0.040 ミリ秒くらいは行けるので、少し反応が遅い部類です。

SLCキャッシュの有無

WD Blue 3Dの性能(HD Tune Pro)

30 GBの連続書き込みを実行して、キャッシュがどれくらいの範囲まで効いているのかを計測したところ、6 GBを少し超えたあたりで書き込み速度が低下しました。

キャッシュが切れた後も平均で456 MB/sというスピードを維持しており、非常に優秀。NANDフラッシュを4枚も束ねているので、もともとの速度が相当に速い可能性があります。

ゲームのローディング時間

WD Blue 3Dの性能(ゲームのロード時間)
ロード時間WD Blue 3DIntel 545s860 EVOBarraCuda SSD比較
シーン#11.725 秒1.646 秒1.837 秒2.292 秒-24.7%
シーン#22.29 秒2.145 秒2.351 秒2.818 秒-18.7%
シーン#31.901 秒1.725 秒1.945 秒2.263 秒-16.0%
シーン#42.612 秒2.483 秒2.528 秒3.221 秒-18.9%
シーン#54.829 秒4.427 秒4.815 秒5.864 秒-17.7%
シーン#60.991 秒0.94 秒1.003 秒1.098 秒-9.7%
合計14.35 秒13.369 秒14.479 秒17.558 秒-18.3%

FF14:紅蓮のリベレーターのベンチマークを使って、各セクションごとにロード時間を計測する。その結果、最速はIntel 545sで、WD Blue 3Dは860 EVOに並ぶタイムでした。

Intel 545sは平凡な性能に見えて読み込みが意外と速いので、読み込み速度が求められるゲームのローディングでは非常に強い。とはいえ、WD Blue 3Dも十分なスピードです。

Premiere Proプレビューの「コマ落ち」

Premiere Proのプレビューは、素材を保存しているストレージのスループットに非常に影響されやすいため、高解像度のファイルをプレビューさせて「コマ落ちの頻度」を見ることでSSDを評価できます。

コマ落ちの頻度はPremiere Proの「コマ落ちインジケータ」という標準機能を使い、5回計測して平均を取りました。総フレーム数に対するコマ落ち枚数が少ないほど優秀なSSDです。

WD Blue 3Dの性能(Premiere Proのコマ落ち)
ドロップ率WD Blue 3DIntel 545s 256GBIntel 760p 256GB970 EVO Plus 250GB
6K @238MB/s77.50%79.70%77.14%75.11%
5K @136MB/s32.00%35.21%31.08%30.72%
5K @115MB/s19.40%25.39%20.59%21.47%
5K @72MB/s0.00%0.00%0.00%0.00%
4K @38MB/s0.00%0.00%0.00%0.00%

SATA SSDの割にはドロップフレームは少ない方ですね。突出してランダムアクセス速度が速いわけではないので、なぜドロップフレームが意外と少ないのか、不思議な結果です。

とはいえ、この程度の差はほとんど体感できないため何とも言えない部分はあります。とりあえず評価としては「フルHDの動画編集なら全く問題なし」ということになります。

4K素材の編集は素材の品質にもよりますが、よほど画質の高い素材でもない限りは問題ないはずです。

SSDの動作温度を確認

ベンチマーク時のセンサー温度を計測

SSDにかなり負荷がかかる、Crystal Disk Mark 6の32 GBサイズテスト実行時に、SSDのセンサー温度を計測した。

WD Blue 3Dの性能(動作温度)

センサー経由で計測できる温度は、最大で52℃に達した。SATA SSDとしてはやや発熱が大きい方ですが、サーマルスロットリングは発生せず、動作にはまったく支障ない温度です。

ただし、センサーがSSDのどこをモニターしているのかが分からない(ほとんどはNANDフラッシュの温度ですが)ので、サーモグラフィーカメラを使って実際に温度を測ってみる。

サーモグラフィーで表面温度を確認

WD Blue 3Dの動作温度(サーモグラフィー)

NANDフラッシュの温度は、負荷がかかっている状態でだいたい50~52℃で推移した。つまりセンサーがモニターしている温度は、NANDフラッシュで間違いないですね。

WD Blue 3Dの動作温度(サーモグラフィー)

SSDコントローラの温度を見てみると、負荷時に63~65℃でした。結構熱いですね。どうりでシャーシ(筐体)側にサーマルコンパウンドが貼ってあるわけです。

まとめ:平均以上の魅力的なSATA SSD

WD Blue 3Dのレビューまとめ

東芝メモリとSanDiskが共同で開発した、64層の3D TLC NANDを採用する「WD Blue 3D SSD」は、SATA SSDのメインストリーム帯で平均以上の性能を発揮しました。

後発の「Samsung 860 EVO」や「Crucial MX500」と比較すると、トップスピードにつけることはできないが、約1000円くらい安い価格を考慮すれば十分満足な性能です。

「WD Blue 3D SSD」の良いところ

  • 全体的に安定した読み書き速度
  • Crucial MX500を上回る耐久性能
  • サーマルコンパウンドとアルミ筐体で熱対策
  • 製品保証はたっぷり5年間
  • コストパフォーマンスは非常に高い

最大のメリットはコスパの良さです。現時点でMX500は8000円台、860 EVOは8000円近い値段に対し、WD Blue 3D SSDは7000円台から購入できます。

にもかかわらず性能はトップクラスのSATA SSDたちに対してあと一歩というレベルを実現しているため、総合的に見るとコストパフォーマンスは非常に高いです。

あと1000円くらい予算を下げると選択肢に残るのは、出処が怪しい中華フラッシュを採用する格安SSDしかありません。信頼性の低い格安SSDを買うくらいなら、WD Blue 3D SSDを買ったほうが絶対に良い。

それにNANDフラッシュの開発には東芝メモリも関わっていますから、日本製のSSDが欲しいと思っている人にもオススメです(※製造国をたどると国産ではないですが)

「WD Blue 3D SSD」の微妙なとこ

  • 860 EVOやIntel 545sに劣る耐久性能
  • 総合的な性能はトップ層に一歩届かない
  • SATA SSDにしては発熱がちょっと高め

2017年発売のSSDなため、後発のSSDと比較するとどうしてもスペック面で劣っていたり、性能がトップ層に届かなったりと弱点は残されています。

Samsung 860 EVOやIntel 545sと比較して、耐久性能は約3割ほど少ないですが、それでも500 GB版で「200 TBW」も確保されているので一般ユーザーにとって十分すぎる耐久値です。

WD Blue 3Dのレビューまとめ
Western Digital / NAND : SanDisk製64層TLC / 容量 : 500 GB / 耐久性 : 200 TBW / 保証 : 3年

結論、「WD Blue 3D SSD」はコストパフォーマンスと一級の品質を両立する、バランスに優れたSSDでした。「低予算狙いだけど格安はイヤだなぁ」という人はぜひ。

SanDisk / NAND : SanDisk製64層TLC / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 500 TBW / 保証 : 5年

なお、最初に解説したとおり「SanDisk Ultra 3D SSD」もデザイン以外は全く同一製品なので、こちらの方が安い場合はSanDiskを選べばOKです。

以上「WD Blue 3D SSDをレビュー:東芝とSanDiskが生み出す一級品」でした。


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16 件のコメント

  • SSDのベンチマークについてなのですが、
    PCMark 8 Expanded Storage Testの中の
    Storage Consistency Test を自分は参考にしています。
    高いSSDと安いSSDとの差は速度のベンチマークより
    使用時に速度を維持する性能にあると考えています。
    上記ベンチマークはSSDの速度の維持性能を示したもので
    高級なSSDがなぜ高級たり得るか、その理由がわかるテストだと思っています。
    上記テスト結果が載ってるととても参考になるなぁと思った次第です。

      • 自分の持ってる有償版はAdvanced Editionで、該当のテストはProfessional Editionでしか使えないようなので検証できませんでした…。買い切りならアリかなぁ、とは思いましたが、年間ライセンス式だと厳しいです…orz

  • SanDiskのUltra3DとWD 3Dではファームウェアは異なります。S.M.A.R.Tも若干異なるのでCrystalDiskInfoでの表示が違いますよ。

  • ReadyCache SSDはSanDiskしか出来ないのでしょうか?説明とかレビュー見つからなくてそこの所分からない。もしSanDiskしか使えないならマイナーというか変態的ですが紹介されたSSDで出来るのかな?

  • つい最近、WD Blue SSDの2019モデル「SN500」が発売されました。
    Intel Optane Memoryを除く一般用SSDとしては初のPCIe x2接続のNVMe SSDです。(既にWD Blackがx4接続で登場しているので、差別化の目的があるのでしょう)

    既存のPCIe x4接続のSSDと比べると、最高速度は劣ります(だいたい半分)が、発熱が穏やかです。
    検証してみませんか?

  • 既知既出かもしれませんが、SSDをシステムに使うと頻繁に読み書きが発生し耐久性が気にならなくないので、キャッシュ領域をSLCとして使っていると安心な気もしてます。SLCの速度面よりも。
    SLCキャッシュの有無とその容量は実耐久性に影響があるのか本当のところは分かりませんがなんとなく重要な気がしましたのでコメントに残しておきます。
    もし耐久性に影響があるならDRAMでのキャッシュも関係しそうかなと。

    • DRAMキャッシュがあるとNANDフラッシュ本体への余計な書き込みを減らせるので、DRAM無しSSDより寿命は伸ばせます。SLCキャッシュはNANDフラッシュの一部(空き容量をうまく活用するイメージ)を使うので、寿命に影響があります。

      ただ、現実的な使い方だと保証期間内に耐久性を使い尽くすのは困難です。Google Chrome(50タブくらい)を24時間付けっぱなしにすると1日あたり50 ~ 80GBも書き込みます(※筆者の事例です)が、これでも7 ~ 11年は耐えられる計算になります。860 EVOなら10 ~ 16年です。1TBや2TBなどの大容量モデルならもっと伸びます。

      自然災害(地震や落雷)に巻き込まれるリスクを除外すれば、耐久性はそれほど気にしなくても良い時代になっていますね。

      • お返事ありがとうございます。
        キャッシュが耐久性に影響があるならば、DRAMにプラスしてSLCキャッシュもあるほうが有効に思えます。SLCキャッシュが全然機能しないなら別ですが。
        そしてキャッシュが耐久性に影響するならNANDのキャッシュがTLCのままよりSLCのほうが適していると感じたのでコメントしたしだいです。

        あと耐久性ですが、NANDのキャッシュもですがTLC部も一部の領域の書き換えが集中する傾向はあると思いますので全域まんべんなくが大前提でのTBWでの耐久性計算より大幅に短くなると思います。
        ただし耐性に余裕は持たせているはずで(個体差あるので)、それでも数年は普通に持ってしまうかなと。
        そしてそこまでの使用量を毎日もあまりないと思いますし、3年以上持ちこたえてしまうのかなと。
        保証期間の設定から特に850 EVOや860 EVOなどはTLCの割に長期間安心して使えそうですね。そしてこれらはSLCキャッシュ(も)ありのモデルですよね。

  • 前回のおすすめSSD記事から結構年月が経ってますが
    現状でもSSD選びではまだ860EVOが一番なのでしょうか?

    • 公称値では今回のSSDが最速だったので試しましたが、4KBランダムアクセス速度などで860 EVOとMX500に追いつけない結果となりました。

      TLC NAND採用のSATA SSDで一番を選ぶなら、耐久性能も考慮して860 EVOです。そしてSSDメーカー各社がQLC NANDのSSD製造に邁進しているため、860 EVOを塗り替えるSATA SSDが今後登場するのか不透明な状況ですね…。

  • 3年半メイン機に使用していたSandisk製 Ultra II SSD 240GBが、ハードウェアレベルで認識しなくなりました(いわゆる突然死)。
    メーカー保証3年が切れていたので筐体を開けて調べてみると、ちもろぐさんのこちらの記事「WD Blue 3D SSD 500GB」と同じ基盤を使用していることがわかりました。

    使用しているチップも容量は異なりますが、ほぼ一緒でした。
    ・NANDフラッシュ Sandisk TLC NAND 64GB×4枚=256GB
    ・SSDコントローラ Marvell 88SS1074
    ・DRAMキャッシュ Nanya DDR3メモリ256MB

    突然死した理由は不明ですが、気になることが一点。
    故障したSandisk Ultra II SSDは、NANDフラッシュ×2、SSDコントローラ、DRAMキャッシュのチップを覆うように大きめのサーマルコンパウンドが貼ってありました。
    チップとサーマルコンパウンドが接触していたらサーマルコンパウンド側にチップの跡が残りますが、肝心のSSDコントローラは接触していた跡がチップの端にしかなく、チップの大部分がサーマルコンパウンドに接触していないことがわかりました。(NANDフラッシュ×2はサーマルコンパウンドに接触してた跡がはっきり残っています…)

    ちもろぐさんの記事のWD Blue 3D SSD 500GBはSSDコントローラの位置するところに小さめのサーマルコンパウンドが貼ってあります。WD Blue 3D の方が後継なので、SSDコントローラを集中的に冷やすよう改善された可能性がありますね。熱でSSDコントローラが故障したとは断言できませんが、ご参考までに。

    ちもろぐさんの記事を参考にさせていただき、新しいSSDを購入しようかと思います。SSDはメーカー保証が切れたら新しいものに交換していくのが賢いやりかたですね。

  • 突然申し訳ございません。もともとは、M2SATASSDの記事を拝読し、こちら、とCrucialMXの記事も拝読させていただきました。いずれも非常に参考になりました。素人なのに、L社PCをM2SSDにOSを入れてデュアルストレージにしてみたり、同じくL社PCに載せたM2にUbuntuを入れてデュアルブートにして何度もX250をクラッシュさせて、一からすべてやり直したり、しております。
    別記事にて調査くださった、CrucualMX500の1TBを、X260に入れて、趣味の音楽ファイルをSonyの各アプリで編集・整理したり聴いたり、ということを行っております。
    PCそのものの使い方としては「まったり」したもの、とも思いますので、掲載いただいた諸記事を参考にさせていただき、ある程度丈夫で、「当たり障りのない」SSDを使用していければ、と考えております。
    非常に書斎な諸調査、ありがとうございました。深謝申し上げます。<(_ _)>

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