GIGABYTEより、第3世代Ryzenから実装されたPCIe Gen4(Gen3の2倍速い)に対応した超高速NVMe SSD「AORUS NVMe Gen4 SSD」がリリースされました。秒速5 GBの性能と、約90gの銅製ヒートシンクが大きな強みのSSDを徹底検証します。
AORUS NVMe Gen4 SSDのスペック
GIGABYTEはマザーボードメーカーで、SSDのメーカーではない。つまり、名前こそGIGABYTEのSSDではあるものの、実際の中身やコンポーネント(部品)は他社から仕入れたモノになります。
スペック | AORUS NVMe Gen4 SSD | ||
---|---|---|---|
容量 | 512 GB | 1 TB | 2 TB |
フォームファクタ | M.2 2280(両面実装) | ||
インターフェイス | PCIe 4.0 x4 | ||
コントローラ | Phison PS5016-E16 | ||
NANDフラッシュ | 東芝製「BiCS4」96層 3D TLC NAND | ||
DRAMキャッシュ | SK Hynix製 DDR4 SDRAM | ||
512 MB | 1024 MB | 2048 MB | |
読み込みシーケンシャル | 5000 MB/s | ||
書き込みシーケンシャル | 2500 MB/s | 4400 MB/s | |
読み込みランダムアクセス | 400000 IOPS | 750000 IOPS | |
書き込みランダムアクセス | 550000 IOPS | 700000 IOPS | |
消費電力高負荷時 | 5.9 W | 6.6 W | |
消費電力アイドル時 | 13.2 mW | 18.8 mW | 21.1 mW |
保証 | 5年 | ||
TBW書き込み耐性 | 850 TBW | 1800 TBW | 3600 TBW |
MSRP希望小売価格 | 未定 | $ 259.99 | $ 459.99 |
参考価格Amazon価格 | 33940 円 | 60260 円 | |
GB単価 | 33.1 円 | 29.4 円 |
公式のスペックシートをスペック表にまとめると、さすがに世界初のPCIe Gen4対応SSDというだけのことはあって、主要コンポーネントの本気度は高いです。順番に説明します。
まずSSDの性能に大きな影響力を持つSSDコントローラから。こちらはPhison製「PS5016-E16」を採用しています。PS5016-E16はPhisonが約16.5億円の巨費を投じて開発した、世界で最初のPCIe Gen4対応コントローラです。
NANDフラッシュメモリは、東芝メモリが開発した「BiCS4」を採用している。BiCS4を具体的に説明するなら、96層の3D NANDフラッシュメモリです。今回のSSDにはTLC型の96層NANDが搭載されています。
96層にまで積み上げられたため、従来の64層の3D NANDフラッシュメモリよりも、更なる高性能を目指すことが可能です。ただ速いだけでなく、性能が変化しにくいという強みもある。
DRAMキャッシュはSK Hynix製のDDR4メモリを採用。メモリの容量は、SSDの全容量に対して0.1%を確保してあるため、必要十分なDRAMキャッシュが揃っています。
ライバルを大幅に上回る耐久性能
SSDの耐久性能を示す「TBW(書き込み耐性)」は、他のNVMe SSDを大きく引き離しています。1 TBモデルの場合は600 TBWが主流でしたが、AORUS NVMe Gen4 SSDは約3倍にあたる1800 TBWです。
普通の使い方では、とても生きている間に使い切れる耐久性能ではありません。雷の直撃や太陽フレアなど天変地異を除外すれば、「経年劣化」以外の要因で壊れることはまず無いでしょう。
AORUS NVMe Gen4 SSDを開封レビュー
AORUSロゴで高級感あるパッケージ
一面マットブラックな背景に、鷲をイメージしたAORUSロゴと、「AORUS NVMe Gen4 SSD」とだけ印刷されたシンプルなパッケージングです。
裏面は6ヶ国語で、AORUS NVMe Gen4 SSDの性能やスペックについて、簡単な説明があります。よく見ると日本語がありません。
横にスライドして引っ張り出す。発泡スチロール製の分厚いスポンジで、SSD本体が保護されていました。
梱包用のスポンジを引っ張ると、その下に説明書が同封されているのみ。他に付属品は特に無かったです。
重さ90gの分厚い銅製ヒートシンク
AORUS NVMe Gen4 SSDが、他のGen4 SSDと比較して特に力を入れているのが「分厚い銅製のヒートシンク」です。
横から見ると、26箇所に「切り込み」が入ったヒダ状の形状になっていることが分かります。凹凸をつけて表面積を少しでも増やすことで、冷却効率を高める狙いが伺えるデザインです。
斜めにビシッと入った傾斜に「AORUS」のロゴが刻印され、側面には「THERMAL DESIGN FOR GEN 4」の文字もあります。ヒートシンクの固定には小径ネジ(00×50)を6本も使って、両側から固定している。
裏面もヒートシンクで覆われ、両面実装のコンポーネントを冷やす狙いです。
側面の隙間から、ヒートシンクとSSD本体の接触を見てみると、上下から熱伝導用のサーマルシートが挟まれているのが分かります。本当によく冷えそうな予感しかしないです。
ヒートシンクの付いていないM.2 SSDと高さを比較してみた。AORUS NVMe Gen4 SSDは、普通のM.2 SSDより約4倍近い高さがあります。規格外の大きさなので、マザーボードとの物理的な干渉は注意が必要です。
たとえば、フルアーマー型のM.2ヒートシンクを採用しているマザーボードの場合、このように背が高すぎるSSDだと干渉してしまって上手く閉じられなくなるリスクがあります。
重量は約97 gです。ヒートシンクの無いSSDだと約7 gになるため、銅製ヒートシンクの重量はおよそ90 gに達することに。銅製で分厚くて重たいヒートシンク…、冷却性能は期待せざるを得ません。
内部コンポーネントを確認
付属ヒートシンクを外す行為について。本製品の国内代理店である「旭エレクトロニクス株式会社」に問い合わせたところ、ヒートシンクを外した時点で保証は無効になる、との回答でした。
よってヒートシンクを外す行為は真似をしないように。マザーボード側のヒートシンクを使いたいと思っている人も、保証を無駄にしたくないなら諦めたほうが無難です。
ではヒートシンクを剥がして、採用されているコンポーネントを実際に確認していきましょう(※普通に使っていたら5年以内に壊れる可能性はほぼ無いから保証なんて気にしない)。
両側から締められている小径ネジ(00×50)を6本、外します。
エアガンのシリンダーを外すような動作で、SSD本体から上面のヒートシンクを剥がします。
そして、SSD本体をスライドさせるように引っ張り出せば、下面のヒートシンクからSSD本体を取り外すことが可能です。これで分解は完了です。
AORUS NVMe Gen4 SSDは、M.2 2280規格の「両面実装」タイプです。表だけでなく、裏側にも各種コンポーネントが実装されています。
NANDフラッシュはパッと見では分かりにくいですが、この外見と刻印の打ち方だと、間違いなく東芝製です。
刻印の「TABBG65AWV」は、他のPCIe Gen4 SSDでも確認されているため、採用されているNANDフラッシュメモリが96層の3D TLC NAND「BiCS4」というのは間違いないですね。
SSDコントローラはPhison製「PS5016-E16」です。PCI Express Gen4対応の高速SSDコントローラです。
DRAMキャッシュはSK Hynix製のDDR4 SDRAMでした。刻印の「H5AN4G8NBJR」を調べたところ、1.20 Vで動作する容量4Gbのメモリと判明した。4Gbを8で割り算すると0.5になるので、容量は512 MBです。
なお、DRAMキャッシュのすぐそばに実装されているPhisonロゴが入った小さなチップについては、全く情報がありませんでした。
裏面もチェック。NANDフラッシュは同じく東芝製の「BiCS4」が2枚実装されています。1枚あたり256 GBを4枚使って、合計で1 TBの容量を実現している。
DRAMキャッシュも同様にSK Hynix製のDDR4 SDRAMです。容量は512 MBで、表と裏を合わせて合計1 GBのキャッシュ容量になります。
というわけで、AORUS NVMe Gen4 SSDが採用しているコンポーネント(部品)は、どれもスペック通りで嘘偽りはありません。信頼性は高く、安心して選べるSSDです。
AORUS NVMe Gen4 SSDの性能を検証
テスト環境
- CPU:Ryzen 9 3900X
- 冷却:Noctua NH-U12A
- メモリ:DDR4-3200 8GB x2
- マザーボード:ASRock X570 Taichi
- SSD:Samsung 970 EVO Plus(250 GB)
- グラボ:ZOTAC RTX 2060 Twin Fan
- 電源:1200 W
ちもろぐ専用ベンチ機(AMD用)でSSDの性能を検証します。CPUは第3世代Ryzen、マザーボードはX570チップセット搭載で、PCIe Gen4をネイティブサポートする環境です。
従来のチップセット(B450など)でもPCIe Gen4を使用することは可能ですが、残念ながら性能を100%引き出せるわけではないので、X570で検証をすることにした。
Crystal Disk Mark 6
日本だけでなく国際的にも定番のSSDベンチマークである「Crystal Disk Mark 6」を用いて、AORUS NVMe Gen4 SSDの基本的な性能をチェックする。
性能に一貫性があるかどうかを確かめるため、標準設定の「1 GB」だけでなく「50 MB」や「16 GB」など、複数のテストサイズを実行して「性能の変化」にも着目します。
もっとも小さいテストサイズ「50 MB」では、読み込み速度が5000 MB/sに1割届かない結果になっているが、「1 GB」以上のテストサイズでは全体を通して安定した性能を維持しています。
シーケンシャル速度は高くても、扱うファイルサイズが大きくなると性能が低下するSSDは少なくない中、AORUS NVMe Gen4 SSDは読み書きともにほとんど性能を落とさない。
加えて4KiBランダム書き込み速度にも注目したい。すべてのサイズを通してAORUS NVMe Gen4 SSDは、約260 MB/s前後というOptane SSDにも匹敵する驚きの速度を記録している。
TLC NAND採用のNVMe SSDだと、速くてもせいぜい170 MB/s前後です。しかし今回検証したSSDは170 MB/s前後を約50%近くも上回る、約260 MB/s前後で動作しています。
なぜここまで速い数値を出せるのか。(推測ではありますが…)理由は2つある。
AMD X570 | Intel Z390 |
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実は2019年8月時点において、SSDをより速く動かせるプラットフォームは「AMD X570」です。CPUが第3世代Ryzenだと更に速くなり、インテル環境を超える速度でSSDを動作させてしまう。
もう一つはPCI Express Gen4であることが影響している可能性が、少なからずありそうだと考えています。
過去の検証データ(NVMe SSDたち)と比較データをまとめました。AORUS NVMe Gen4 SSDは、4KiBランダム読み込み速度を除いたほとんどの項目で過去最高の位置につけている。
AS SSD Benchmark 2.0
非圧縮データをテストに用いる「AS SSD Benchmark」で、AORUS NVMe Gen4 SSDの性能をスコア化。
AS SSD Benchmark 2.0
トップクラスのシーケンシャル速度が幸いして、AS SSD Benchmarkのスコアは過去最高の水準に達した。
ATTO Disk Benchmark
複数のテストサイズを一括でテストして、SSDの性能の一貫性や性格を分かりやすく示してくれるATTO Disk Benchmarkを検証。
速いし、安定性も高いです。ただしこれだけだと視覚的にも分かりづらいので、見やすくグラフに変換して他のSSDと比較をしてみます。
結果はやや興味深いです。読み込み速度の場合は、64 KBサイズで他のSSDと同じ水準に追いつき、256 KBサイズでようやくトップスピードに到達しています。
つまり小さいブロックサイズにおいては、PCIe Gen4の優位性は特に発揮されない可能性が高いことを示唆しています。
書き込み速度も同じような傾向が見られました。32 KBサイズで他のSSDと同じ水準になり、64 KBサイズでトップスピードに到達。その後は一貫して性能を維持しており、安定性は高い。
HD Tune Pro
約3500円するシェアウェアのストレージベンチマークです。ディスク全体に渡って書き込みを実行するテストがあるので、キャッシュの挙動(=下駄の履かされ具合)を確認しやすい。
読み込み速度
TLC NAND採用のSSDとしては、かなり一貫した読み込み性能です。平均で約2550 MB/s前後もの圧倒的なスピードを維持し続けてみせた。アクセスタイムはわずか0.024 ミリ秒でこちらも優秀。
書き込み速度
書き込み速度は開始直後は乱れますが、すぐに立て直して平均で約2450 MB/s前後を維持し続けています。てっきり途中でキャッシュが切れてガクッと落ち込むと予想していたが、全くそのような挙動はない。
おおむね一貫した書き込み速度を維持しています。やはり3D NANDを96層まで積み上げて得られるメリットは非常に大きいです。64層よりも、書き込み性能が更に落ち込みにくくなっている。
SLCキャッシュの有無
実は最初はいつもどおり80 GBのテストサイズで試したのですが、一向に性能が落ち込まないので120 GBまで引き上げて再テストした経緯があります。
それでもなお、読み込みと書き込みの両方で目立った性能低下は確認できなかった。東芝メモリが開発した96層3D TLC NANDの実力に(サムスンの後続とはいえ)驚かされるばかりです。
120 GBの連続書き込みで性能が落ちないなら、ほとんどのユーザーにとっては実用上困ることは無いでしょう。
ゲームのローディング時間
ロード時間 | AORUS NVMe Gen4 SSD | Plextor M9PeG | XPG SX8200 Pro | Optane 900p 280GB | Intel 760p 250GB | 970 EVO Plus 250GB |
---|---|---|---|---|---|---|
シーン#1 | 1.22 秒 | 1.574 秒 | 1.71 秒 | 1.047 秒 | 1.454 秒 | 1.376 秒 |
シーン#2 | 1.621 秒 | 1.896 秒 | 1.796 秒 | 1.549 秒 | 1.801 秒 | 1.843 秒 |
シーン#3 | 1.347 秒 | 1.549 秒 | 1.539 秒 | 1.232 秒 | 1.491 秒 | 1.546 秒 |
シーン#4 | 1.75 秒 | 2.145 秒 | 1.998 秒 | 1.701 秒 | 2.026 秒 | 2.062 秒 |
シーン#5 | 3.499 秒 | 3.852 秒 | 3.743 秒 | 2.98 秒 | 3.585 秒 | 3.967 秒 |
シーン#6 | 0.728 秒 | 0.835 秒 | 0.916 秒 | 0.676 秒 | 0.803 秒 | 0.881 秒 |
合計 | 10.165 秒 | 11.854 秒 | 11.703 秒 | 9.185 秒 | 11.16 秒 | 11.676 秒 |
FF14:紅蓮のリベレーターのベンチマークを使って、各セクションごとにロード時間を計測する。
結果は11秒の大台をついに抜き、10秒台につけた。今までのTLC NAND型SSDは11秒台で停滞していたのですが、AORUS NVMe Gen4 SSDはようやく11秒の壁を打ち破った。
PCMark 8 Storage Test
PCMark 8のストレージテストは、日常的な使用で想定されるアプリケーション(Adobe系ソフトやOffice系ソフトなどを中心)における実効速度を計測して性能を評価する。
PCMark 8 Storage Test / Score
スコアはもちろん5000点を超えて、ライバルのSSDとそれほど変わらないスコアを付けています。多くのNVMe SSDは5000点後半で停滞している傾向です。
PCMark 8 Storage Test / 実効速度
一方でPCMark 8を実行中のスループット(転送速度)は、約600 MB/sにとどまり、XPG SX8200 Proにすら追いつけない結果でした。依然として実効速度で最強は「Optane 900p」のままです。
Premiere Proプレビューの「コマ落ち」
Premiere Proの動画プレビューは動画素材を置いているストレージに影響を受けやすく、高ビットレート(=1秒あたりの転送量が多い)な素材であればあるほど「コマ落ち」が発生しやすくなる。
この検証ではコマ落ちの頻度を計測することで、SSDの性能を評価します。コマ落ちの計測にはPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」を使って、総フレーム数に対するコマ落ち比率で比較する。
動画素材 | AORUS NVMe Gen4 1TB | Plextor M9PeG | XPG SX8200 Pro | Optane 900p 280GB | 860 EVO 500GB | 970 EVO Plus 250GB | Intel 760p 250GB |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4K @448MB/s | 52.83% | 46.69% | 41.90% | 16.36% | 68.16% | 36.39% | 45.81% |
3K @251MB/s | 22.19% | 12.45% | 0.00% | 0.00% | 43.26% | 0.00% | 7.66% |
2K @176MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 15.56% | 0.00% | 0.00% |
4K @108MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
1080p @99MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
約5 GB/sに迫る最強クラスのシーケンシャル速度であっても、思ったほどドロップフレームは抑えられない結果になった。依然としてOptane 900pが一番スムーズにプレビュー出来ている。
ただし、1秒あたり250 MBを超える動画素材を一般ユーザーが扱うことはまずありません。よってほとんどのユーザーにとって、必要十分なプレビュー性能です。
アクセス集中時の応答速度
品質の悪いSSDにたまに見られる現象が「プチフリーズ」。Windows起動時にPCの動作がカクつく、動画ファイルを移動中にゲームをプレイしているとフレームが飛ぶ、などが代表例。
プチフリーズに対する耐性は、SSDの応答速度に比例するため、実際にSSDに対して高ストレスな負荷を掛けて応答速度を計測します。
テスト方法は約28 GB(1253枚)のTIFF画像を一気にBMP画像に変換(エンコード)するだけ。読み書きの両方を使い、画像1枚の処理が終わるたびにタスクが中断されるため非常にストレスが大きい処理です。
読み込みレイテンシと、転送レイテンシはテスト終盤まで25ミリ秒以下に抑えられており、なかなか優秀。書き込みレイテンシは終盤で若干鈍化して、25ミリ秒を一瞬ですが超えています。
テスト内容 | AORUS NVMe Gen4 1TB | Plextor M9PeG 512GB | XPG SX8200 Pro 512GB | Optane 900p 280GB | 860 EVO 500GB | 970 EVO Plus 250GB | Intel 760p 250GB |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 6.77 ms | 17.22 ms | 5.68 ms | 7.31 ms | 32.09 ms | 11.41 ms | 51.80 ms |
平均待ち時間 | 2.90 ms | 10.67 ms | 2.55 ms | 2.89 ms | 16.28 ms | 6.81 ms | 44.13 ms |
平均書込時間 | 9.70 ms | 8.31 ms | 1.09 ms | 1.13 ms | 9.37 ms | 4.84 ms | 39.40 ms |
エンコード時間 | 80.8 秒 | 106.4 秒 | 82 秒 | 79 秒 | 116 秒 | 90 秒 | 161 秒 |
凄いです。
読み込みと転送レイテンシ(待ち時間)はOptane 900pとそう変わらない結果になった。一方で書き込みレイテンシは大きく引き離されています。
エンコード時間は80.8秒で、Optane 900pで実行した場合と2秒しか変わらない。実用上は十分すぎるほど速いレイテンシと言っていいです。
エンコード時間 | AORUS NVMe Gen4 1TB | Plextor M9PeG 512GB | XPG SX8200 Pro 512GB | Optane 900p 280GB |
---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 6.22 ms | 56.05 ms | 30.58 ms | 16.25 ms |
平均待ち時間 | 2.61 ms | 29.94 ms | 17.21 ms | 7.09 ms |
平均書込時間 | 10.01 ms | 18.88 ms | 11.86 ms | 3.30 ms |
エンコード時間 | 32.14 秒 | 65.81 秒 | 47.04 秒 | 31.62 秒 |
更にハードなレイテンシテスト(=CPU使用率100%で実行)に掛けてみたが、AORUS NVMe Gen4 SSDはこの極端なストレステストを相手に耐えています。
読み込みと転送(待ち時間)レイテンシではOptane 900pを下回っており、書き込みレイテンシだけが追いつけない結果となった。エンコード時間は32.1秒で、900pの31.6秒とほぼ同じです。
結論として、普通の使い方ではまず想定されなような極端な負荷が掛かったとしても、AORUS NVMe Gen4 SSDは何の問題もなく動作することが可能です。
ゲーマーからプロのクリエイターまで、幅広くオススメできるのは間違いない。
SSDの動作温度を確認
ベンチマーク時のセンサー温度を計測
Crystal Disk Mark 6の「16 GB」テストを実行中に、HWiNFOを使ってSSDのセンサー温度を計測する。
センサーが提供する温度では、最大64℃に抑えられています。負荷がかかってから実際にSSD温度が上昇するまでにかなりのタイムラグが確認でき、付属の銅製ヒートシンクは「温まりにくく冷えづらい」性質です。
サーマルスロットリングなどは特に確認できず、付属のヒートシンクで適切な冷却性能を得られています。
サーモグラフィーで表面温度を確認
サーモグラフィーカメラを使って、SSDの表面温度を直接確認する。
もっとも温度が出やすいSSDコントローラ周辺を確認すると、温度は49℃前後で安定していました。
NANDフラッシュの方を見てみると、こちらも48℃前後で推移しており、コントローラ周辺とそれほど変わらない温度です。
ヒートシンクのどこを計測しても、だいたい46~49℃で推移しています。つまり分厚い銅製ヒートシンク全体に、SSDの熱を均一に分散させて効率よく熱を発散する設計です。
AORUS NVMe Gen4 SSDの熱処理は、とても優秀といえます。
ヒートシンクの冷却効果について
付属ヒートシンクを外すだけで保証が無効になるため、あまり意味のない検証かもしれませんが、付属の銅製ヒートシンクがどれほどの冷却効率をもたらすのかを検証しておきます。
- ヒートシンクなし:最大84℃
- 付属ヒートシンク:最大64℃
- マザーボード付属M.2ヒートシンク:最大55℃
ヒートシンクを外した状態では、最大84℃にまで上昇した。ヒートシンクを装着している場合と比較すると、実に20℃も差が開いている。分厚い銅製ヒートシンクは間違いなく機能しています。
次に、検証に使用したマザーボード(X570 Taichi)に付属している、フルアーマー型のM.2ヒートシンクを付けて検証。結果は最大55℃で、付属ヒートシンクより9℃も冷える結果になった。
つまり、M.2ヒートシンクが付属しているマザーボードを使っているなら、マザーボード側のヒートシンクを使うのは選択肢になります。にも関わらず、ヒートシンクの取り外しで保証無効は…惜しいですね。
まとめ:TLC NANDのSSDとして「最強」
AORUS NVMe Gen4 SSDは、東芝メモリが開発した「BiCS4」と呼ばれる96層の3D TLC NANDによって、驚異的なストレス耐性を実現しています。
そしてPhisonが巨費を投じて開発した「PS5016-E16」コントローラで、読み込みは最大5000 MB/s、書き込みは4400 MB/sと従来のSSDとは比較にならないシーケンシャル速度を叩き出す。
シーケンシャル速度は文句なしに最強。性能の一貫性はOptane SSDにはあと一歩及ばないものの、実用上はほとんど気にならないレベルにまで進化しています。
「AORUS NVMe Gen4 SSD」の良いところ
- 最速のシーケンシャル速度
- 突出した4KiBランダム書込速度
- ライバルより2~3倍も高い耐久性
- 高負荷時でも抜群の安定性
- 大量書き込みでも速度が低下しない
- 分厚い銅製ヒートシンクが付属
- たっぷり5年保証
大きなメリットは2つある。まず第1に、SSD単体としてのシーケンシャル速度は「最速」です。第2に、Optane SSDにあと一歩及ぶレベルの高い「一貫性」です。
間違いなくTLC NANDを採用するNVMe SSDとして、AORUS NVMe Gen4 SSDは「最強のSSD」に上り詰めている。重厚な銅製ヒートシンクも、よく冷えて優秀です。
よって、性能に関して不満は一切ありません。それなりに現実的な予算で、なるべく最高の性能を求めるユーザーにおすすめできるNVMe SSDです。
「AORUS NVMe Gen4 SSD」の微妙なとこ
- ヒートシンク取り外しで保証無効
- ヒートシンクとマザーボードの干渉リスク
- 普通なコストパフォーマンス
性能とは別のところで弱点を抱えています。
ヒートシンクを取り外すと5年間の製品保証は無効になるため、使う予定の人はマザーボードと分厚いヒートシンクが物理的に干渉しないかどうかを、事前にチェックしておきましょう。
特にフルアーマー型のM.2ヒートシンクを採用しているマザーボードとは、高確率で干渉します。干渉トラブルを避けるなら、GIGABYTE製のX570マザーボードを選ぶことを推奨する※。
※「X570 I AORUS PRO WIFI」など。GIGABYTE製でも干渉する場合はあるので、製品画像などをよく見て確認してください。
まとめると、AORUS NVMe Gen4 SSDは現時点で最速のTLC NAND型SSDです。その性能をフルに発揮するためにも、PCIe Gen4対応の「X570」マザーボードとセットで使いたいSSDですね。
以上「AORUS NVMe Gen4 SSDをレビュー:秒速5GBの超高速SSD!」でした。
筆者がおすすめできるSSDをまとめた記事はこちらからどうぞ。
GIGABYTE X570 I AORUS PRO WIFI
とこれ買ったんだけど
このSSDのヒートしんく外さないと干渉しちゃって
糞だったなぁ 同じ会社なのにこんなことありえるんですかね
そんなことあるのかと思って製品画像見たら本当に入らなさそう…。そういうこともあるんですね。
このSSDを使ったBTOパソコンはまだないのでしょうか
AS SSD Benchmarkの画像がドイツ語になってるのは何なんですかね…?
ポータブルSSDからデスクトップに移動した時に、英語用のファイルをコピーするのを忘れていたんです。だから特に深い意味はありません。
Taichiでも干渉するということはPhantom Gaming Xでもダメっぽいですね…結構期待してたんだけどな…せめてヒートシンクを「付属」にしとけば良かったのに…w
Corsair MP600はヒートシンク外してもOKだと、ASRockの中の人より伺っています。Gen4 SSDをASRock X570マザーボードで使うなら、Corsair MP600で解決かと。
最近のPhisonコン採用のTBWはかなり信憑性がアレなので、ライバル圧倒と言えるかは謎です。
CFDのMG4VTシリーズも似た傾向を示していますが、おそらくNANDの書き換え可能数か何かを単純に乗じたカタログスペックそのままを載せているものと思われます
あまりにも常識はずれなTBW値の製品だったため、この話はそこそこ有名です
ま…マジですか。TBWを計測する基準値が違ったりとか、そういう事情がありそうですね。
なんだかそのままでも水冷しやすそうなヒートシンクだ!
もうGen3もGen4普通の用途だと、実際に違いは感じ取れなさそう
環境が変化しなければ趣味の世界ですかね
PCIe Gen4 SSDはほとんどの人にとって趣味の世界というか、ちょっと自己満足の領域に入っている気がしてます。
Gen3 M.2とGen4 M.2の価格差や性能差があまりなさそうなのですが、今でも970 EVO Plusあたりを買った方が無難ですか?
それともGen4が使える環境ならGen4 M.2一択なのでしょうか?
そんなことは無いです。ほとんどの人にとっては、Gen3 M.2でも十分に満足できる性能です。970 EVO Plus、WD Black SN750、XPG SX8200 Proあたりはオススメです。よほど予算に余裕があるなら、Gen4 SSDも選択肢になる…くらいのイメージで。
現状で販売されてるGen4 M.2は今でもこのE16コントローラに東芝NANDの構成一択ですね。
Phisonがいつ頃から開発をしていたのかは不明ですが後発メーカーがまだ投入の気配も見せてない時期に投入とはまさに社運をかけてのプロジェクトだったのかな。
マザボに搭載するのにヒートシンクが邪魔って場合は一応同スペックで価格を抑えたヒートシンクレスのモデルがCFDから出てますね。
まあこちらのブログですと低価格SSDでちょっとやらかしたメーカーとして有名ですが…
[…] 信はGen3でたいていの場合間に合いますが、Gen4の速さはSSDの性能を引き出します。PCIe Gen4対応のNVMe M.2 SSDは、シーケンシャルリードが約5GB/sに達するという爆速になってしまいました。(笑) […]
このSSDを使っている者ですが、使い始めた当初はほぼ公称通りの速度が出ていたのに、windows10を1909から20H2にした時、書込みが1GB/s以上出なくなってしまったんですが、何が考えられますか…?
自分の方では1909に戻したり、SSDを外してまた取り付けたり、trimしたりしましたが、いずれも解決しませんでした。
同じ者です。
先程別のドライブにwindowsをインストールして、まっさらな状態で測定しましたが、結果は変わらずでした。
ハード側に問題があるのはこれで分かったんですが、どこが影響していると思いますか?