デザインが良い代わりに品質は手抜き、逆に品質は良いけれどデザインは地味。というPCパーツは多いが、11月22日から発売されたASUS製の電源ユニット「ASUS ROG THOR」はデザインと性能を両立したハイエンド電源です。
欲しいかも…と思っている人向けに、ROG THORの素性をまとめます。
「ASUS ROG THOR」のスペックと仕様
ASUS ROG THOR型番 : ROG-THOR-1200P | ||
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製造元 | Seasonicベース : Prime Ultra Platinum | |
容量 | 1200 W | |
効率認証 | 80 PLUS Platinum / ETA-A | |
認証レポート | 80 PLUS : 未確認 | |
Cybenetics : 提出済み | ||
10%負荷 | 85.3% | |
20%負荷 | 89.8% | |
50%負荷 | 91.6% | |
100%負荷 | 88.8% | |
平均効率 | 89.895% | |
静音認証 | LAMBDA-A+ | |
平均ノイズ : 17.45 dBA | ||
ケーブル | フルプラグイン式 | |
Haswell対応 | ATX12V v2.4 | |
Intel C6/C7 Power State対応 | ||
動作温度 | 0 ~ 50℃ | |
レール構成 | 3.3 V / 25 A | 最大125 W |
5 V / 25 A | ||
12 V / 100 A | 最大1200 W | |
5 VSB / 3 A | 最大15 W | |
-12 V / 0.3 A | 最大3.6 W | |
※12Vはシングルレール仕様で問題なし | ||
PFC | Active PFC(平均力率98.7%) | |
保護回路 | OVP : 実装過電圧保護 | OTP : 実装加熱保護 |
UVP : 実装低電圧保護回路 | SCP : 実装短絡・ショート保護回路 | |
OPP : 実装過電力保護回路 | SIP : 実装サージ・突入電流保護 | |
OCP : 実装過電流保護 | NLO : 実装無負荷運転保護 | |
冷却ファン | 135mm / ダブルボールベアリング軸受 / セミファンレス動作 | |
フォームファクタ | ATX / 152mm x 88mm x 192mm | |
※奥行きはケーブルを含めて200mmを超える | ||
重量 | 2.37 kg | |
MSRP | £ 315 / $ 250 | |
参考価格 | 約60000円うっそ…、為替考慮しても明らかに盛り過ぎでは? |
端的に言って、ハイエンド電源ユニットです。
なにせ、元となったベースモデルはSeasonic製「Prime Ultra Platinum」シリーズ。しばしば、国内で入手可能な電源ユニットの中では、相当の高品質と評されることの多い電源ユニットなので、信頼性は折り紙付き。
ただし、Prime Ultra Platinumから今回のROG THORへ作り変えられる過程で、いくつか劣化した部分があります。
- ファンは「FDB」ではなく「ダブルボールベアリング」へ改悪
- 保証期間は「12年」ではなく「10年」へ短縮
- OLEDとヒートシンクの追加で大型化
劣化したとは言え、依然としてハイスペックであることに変わりはない。「一応仕様が下方修正されているよ。」ということを伝えておきたかった。保証が2年減ったのは、コンポーネントの追加の影響です。
Seasonicとしては「設計が同じなら12年保証できると言い切れるけど、若干変更したし…ファンはダブルボールになったし、OLEDも付けてしまった。12年は多分ムリだろうね…」という言い分になると思う。
それでも10年あるから全然「余裕」ですけど。
コンポーネントは極めて高品質
ASUSの公式サイトに掲載されている内部写真と、サイバネティクス社に公開されているレポートから、ASUS ROG THORの内部コンポーネントについて解説します。
基本的な設計は「Prime Ultra Platinum」とほぼ同じですが、見ての通り1次回路側のヒートシンクが大幅に巨大化されている。この巨大ヒートシンクによって、冷却効率を高める狙いです。
ヒートシンク周辺には、突入電流をシャットアウトするためのNTCサーミスタ+リレー(水色の小さいパーツ)がしっかりと取り付け済み。青色の巨大コンデンサは日立製の105℃品で問題なし。
2次側のコンデンサも国産の高品質揃い。電解コンデンサはケミコン製の105℃品と、ルビコン製の105℃品を使っている。モジュラーボード側にびっしりと取り付けられているフィルター用のポリマーコンデンサはニチコン製FPCAPシリーズで固めてある。
※ 電圧のブレ幅のことを「リップル電圧」と呼ぶ。高品質な電源ユニットほど、リップル電圧が少ないため、パソコンへ与える無駄な負荷が少なく傾向にある。全体的な傾向として、Seasonic製はリップル電圧を10~15 mVに抑制するから恐ろしい。
Thermaltake(製造元はCWT)の1200W電源だと、フィルター用のコンデンサは台湾製で埋めてくるが、それでもリップル抑制は大したモノになる。それをSeasonicは贅沢に国産で埋めてくるわけですから、トップクラスのリップル抑制になるのは間違いない。
冷却ファンと静音性
冷却ファンはダブルボールベアリング軸受。Power Logic製の135mm口径ファンで、最大2000 rpm対応。公称スペックによれば最大41.6 dBAで動作するので、フル回転すると少々音が大きい可能性アリ(→ファンの仕様書)。
しかし、フル回転させるには少なくとも100%負荷が必要になるため、それほど問題にならない。
というより、そもそもASUS ROG THORはサイバネティクス社の「LAMBDA-A+」を取得しており、認証レポートの評価欄には驚くことに「平均17.45 dBA」と記載されている。つまり、ほとんどの負荷で極めて静かということ。
加えて、0dB技術に対応しているので内部温度が50℃になるまでは、ファンレス運用も可能。ただ、ファンが回っていても凄まじく静かなので、50℃というリスクを取ってまでファンレスにする必要はほぼ無い。
筐体デザインとOLEDパネルの機能
ASUSの資料より「外観」まとめ※画像はクリックで拡大します(資料) | ||||
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ROG THORは電源ユニットとして世界で初めてOLED(有機EL)パネルを搭載した、斬新なデザインを採用している。ROGファンにはたまらないデザインに仕上がっていると思う。
そして、そのOLEDパネルには「消費電力」が表示されるギミックになっています。電源ユニット内部に搭載されているMicroChip製のコントローラとフラッシュメモリで、消費電力を計測 & 記録して、パネルに表示する仕組みですね。
安物のワットチェッカーと違って、Seasonic側が仕込んだ方法で計測されるため、取得されている消費電力値の精度の高さには期待できる。
そして、OLEDパネルはLED制御に対応しているため、自由自在にLEDライティングの設定が可能。ただし、制御するためには「ASUS Aura Sync」に対応している必要があるので注意したい。
と思いきや、マザーボード側にLED制御をするためのコネクタ(4pinのRGBヘッダー)が設置されているなら、普通に使えるらしい。もちろん確実に行くなら、ASUSマザーボードがオススメです。
付属ケーブルと配線しやすいスリーブ仕様
柔らかくて取り回ししやすい「スリーブケーブル」を採用。必ず使うことになる、ATX 24pin(マザーボード給電用)、EPS 8pin(CPU給電用)、PCIe 6+2pin(グラボ給電用)のケーブルがスリーブ化されています。
付属ケーブル | 長さ | 本数 | コネクタ数 | 太さ |
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ATX 24pinスリーブ仕様 | 610mm | 1本 | 1個 | 18 ~ 20 AWG |
EPS12Vスリーブ仕様 | 650mm | 2本 | 2個 | 18 AWG |
6+2pin PCIeスリーブ仕様 | 680mm | 4本 | 4個 | |
6+2pin PCIeスリーブ仕様 | 680mm + 70mm | 2本 | 4個 | |
SATA | 350mm + 150mm + 150mm + 150mm | 1本 | 4個 | |
SATA | 400mm + 115mm + 115mm + 115mm | 2本 | 8個 | |
Molex / SATA x2 | 150mm | 1本 | 2個 | |
Molex | 350mm + 120mm | 1本 | 2個 | |
Molex | 450mm + 120mm + 120mm | 1本 | 3個 | |
FDD | 105mm | 1本 | 1個 | 22 AWG |
RGBケーブル | 800mm | 1本 | 1個 | |
RGB Syncケーブル | 800mm | 1本 | 1個 | 24 AWG |
電源ケーブル | 1380mm | 1本 | 1個 | 18 AWG |
付属ケーブルは以上の通り。CPUは最大16ピン。グラボは最大で48ピンまで対応。これだけあれば、よほどぶっ飛んだ構成にしない限りは、十分に間に合う内容ですね。
まとめ:ASUS ROG THORは良品だが…
最後に、ここまでの内容をまとめてしまいます。
「ASUS ROG THOR」の良いところ
- ベースモデルはSeasonic製「Prime Ultra Platnium」
- 静音認証は「LAMBDA-A+」取得
- 効率認証は「80+ Platnium」「ETA-A」を取得
- 耐久性と静音性に優れる135mm冷却ファン
- 1次 / 2次側ともに国産105℃コンデンサ使用
- ポリマーコンデンサも国産105℃を大量に使用
- トップクラスのリップル抑制を実現
- ASUS Aura SyncでLED制御ができる
- 唯一無二の斬新でスタイリッシュなデザイン
- OLEDパネルから消費電力(実測値)が分かる
- スリーブケーブルと、豊富な付属ケーブル
- フルプラグイン式
- 10年保証
という感じで、モノとしての出来栄えはやはりSeasonic。ハイレベルな仕上がりです。内部コンポーネントは贅沢ですし、実際の効率・冷却・静音どれを取っても完成度が高い。
更に付け加えると、1200W電源でサイバネティクスの「LAMBDA-A+」を取得したのは、ROG THOR 1200Wが世界初だったり。取得には平均騒音レベルが20 dBAを下回る必要があるので、極めて静かな電源ということ。
結論として、OLEDパネルを使ったソリッドなデザインと圧倒的な品質を両立させた、初の電源ユニットなのは間違いない。購入してハズレる確率は極めて低いですね。
「ASUS ROG THOR」のダメなとこ
- 国内価格が異様なほど高い
- LED制御は対応マザーボードが必要
- 奥行き192mmの大型なのでPCケースを選ぶ
- OLEDパネルは固定なのでPCケースを選ぶ
- ハンマーの柄が付属しない
MSRPは米国で250ドルです。意外と安いけれど、国内では60000円前後で流通。為替を多めに考慮しても35000円くらいになってくれて良さそうだが、まさかの6万円。舐められてますね…。
価格以外で注意したいところは、PCケースとの干渉や、デザインの見栄えを事前にチェックしておく必要があること。OLEDパネルは動かせないので、位置によっては見えなくなる可能性がある。それとハンマーの柄も付属しません。
でも、別に大きいとかPCケースを選ぶとかは、それほど大した問題ではない。とにかく価格が問題です。6万円とは一体…、せめてPrime Ultra Platniumと同じく、4.3~4.5万円くらいに抑えて欲しいところですね。
というわけで、以上「電源ユニット「ASUS ROG THOR」はデザインと性能の両立を実現するが…」でした。
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デザイン良し、性能良し、電力ロガー機能良し、価格は2.4万円な超コスパ電源。ぼくが検証マシンにて運用中の電源ユニットです。
ハイエンドだけでなく、ローエンド品もまとめてあるから助かるらしい、筆者のおすすめ電源ユニットまとめ。
や っ た ぜ 、 A S K
ASKほんと酷い。嫌い。
ASK本社破壊BB作ろう(提案)
でもそれがシャレにならないくらい今回はひどいと思う
ASKって前から こ ん な も の じゃない?
ASK本社爆破素材作って第三のニコニコ本社にしよう!(提案)
スリッパが無かったらこんなの出てこなかったんでしょうね…