コスパの良さで人気になりやすいGeForce 70番台の最新モデル「RTX 4070 SUPER」を買ったのでレビューします。
RTX 4070(無印)と性能比較はもちろん、歴代の旧世代70シリーズ(RTX 3070 / RTX 2070 Super / GTX 1070 Ti)も比較に加えて、数年ぶりにグラフィックボードを更新したいと考える復帰勢向けのベンチマーク記事です。
(公開:2024/5/5 | 更新:2024/5/5)
「RTX 4070 SUPER」の仕様とスペック
GPU | RTX 4070 SUPER | RTX 4070 | RTX 3070 |
---|---|---|---|
プロセス | 5 nm製造 : TSMC | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7168 | 5888 | 5888 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 56 | 46 | 46 |
ブーストクロック | 2475 MHz | 2475 MHz | 1730 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 12 GB | GDDR6 8 GB |
理論性能(FP32) | 35.48 TFLOPS | 29.15 TFLOPS | 20.31 TFLOPS |
PCIe | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 220 W | 200 W | 220 W |
補助電源 | 16-pin | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 599 | $ 549 | $ 499 |
参考価格 | 96980 円 | 86800 円 | 64800 円 |
発売価格 | 95480 円 | 99800 円 | 69960 円 |
発売 | 2024/1/17 | 2023/4/13 | 2020/10/15 |
GPU | RTX 4070 SUPER | RTX 4070 | RTX 3070 |
---|---|---|---|
世代 | Ada Lovelace | Ada Lovelace | Ampere |
プロセス | 5 nm製造 : TSMC | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
トランジスタ数 | 358.0 億 | 358.0 億 | 174.0 億 |
ダイサイズ | 294 mm2 | 294 mm2 | 392 mm2 |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7168 | 5888 | 5888 |
TMU数Texture Mapping Unitのこと | 224 | 184 | 184 |
ROP数Render Output Unitのこと | 80 | 64 | 96 |
演算ユニット数 | 56 | 46 | 46 |
Tensorコア数機械学習向けの特化コア | 224 | 184 | 184 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 56 | 46 | 46 |
L1キャッシュ演算ユニットあたり | 128 KB | 128 KB | 128 KB |
L2キャッシュコア全体で共有 | 48.0 MB | 36.0 MB | 4.0 MB |
L3キャッシュコア全体で共有 | – | – | – |
クロック周波数 | 1980 MHz | 1920 MHz | 1500 MHz |
ブーストクロック | 2475 MHz | 2475 MHz | 1730 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 12 GB | GDDR6 8 GB |
VRAMバス | 192 bit | 192 bit | 256 bit |
VRAM帯域幅 | 504.2 GB/s | 504.2 GB/s | 448.0 GB/s |
理論性能(FP32) | 35.48 TFLOPS | 29.15 TFLOPS | 20.31 TFLOPS |
SLI対応 | – | – | – |
PCIe | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 220 W | 200 W | 220 W |
補助電源 | 16-pin | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 599 | $ 549 | $ 499 |
参考価格 | 96980 円 | 86800 円 | 64800 円 |
発売価格 | 95480 円 | 99800 円 | 69960 円 |
発売 | 2024/1/17 | 2023/4/13 | 2020/10/15 |
「RTX 4070 SUPER」は、従来モデルのRTX 4070を約20%パワーアップさせた改良モデルです。
- シェーダー数が22%増加(5888 → 7168シェーダー)
- L2キャッシュ容量を33%強化(36 → 48 MB)
- VRAM容量そのまま(12 → 12 GB)
- VRAMバス幅も変わらず(192 → 192 bit)
- NVEncエンコーダーは1基のまま
- 消費電力が微増(200 → 220 W)
- 価格設定を据え置き(実質的な値下げ)
スペックの違いをざっくりリストアップしました。見ての通り、シェーダー数(コア数)とL2キャッシュ容量が増えただけです。
VRAMのバス幅や、NVEncエンコーダーの内蔵数はそのまま据え置きで変わってません。RTX 4070 Ti相当などと言っている人を見かけたら要注意です。明確にRTX 4070 Tiと差別化された下位モデルに過ぎません。
幸い、従来モデルと同じ価格設定が引き継がれました。RTX 4070(無印)と同じ599ドルです。このままだとRTX 4070の在庫を処理できないため、NVIDIAはRTX 4070の価格を50ドル引き下げています。
- RTX 4070 Ti SUPER:約13万円~(799ドル)
- RTX 4070 Ti:約11万円~(799ドル)
- RTX 4070 SUPER:約9.7万円~(599ドル)
- RTX 4070:約8.7万円~(549ドル)
令和最新版、GeForce 70シリーズの国内価格です。
値段が2万円くらい離れるRTX 4070 Ti SUPERはともかく、下3つが1万円刻みでいやらしい印象を受けます。どうせ1万円の差額なら上位を・・・と、上位モデルへ誘導する狙いです。
RTX 4070 SUPERの性能をベンチマーク比較
テスト環境 「ちもろぐ専用ベンチ機(2024)」 | ||
---|---|---|
CPU | Core i9 13900K24コア32スレッド | |
CPUクーラー | NZXT Kraken X63280 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS TUF GAMINGZ690-PLUS WIFI | |
メモリ | DDR5-4800 16GB x2使用メモリ「Crucial Native DDR5」 | |
グラフィックボード | ZOTAC GAMING RTX 4070 SUPER Twin Edge OC | |
SSD | NVMe 4TB使用SSD「Hanye HE80」 | |
電源ユニット | 850 W(80+ Platnium)使用モデル「Corsair HX850i」 | |
OS | Windows 11 Pro検証時のバージョンは「22H2」 | |
ドライバ | NVIDIA 551.86 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@144 Hz使用モデル「INNOCN 32M2V」 |
「RTX 4070 SUPER」を比較するために用意した専用PCスペックです。
CPUにゲーミング性能でトップクラスの「Core i9 13900K」を使います。メモリは普通のDDR5-4800(ネイティブ)で容量32 GBで、テスト時のドライバは「551.86」です。
ベンチマーク用の莫大な数のゲームソフトやAIモデルを置いておくストレージは、容量4 TBのNVMe SSD(Hanye HE80)を使います。
今回のベンチマーク用に購入したRTX 4070 SUPERがこちら、ZOTAC GAMING製「RTX 4070 SUPER Twin Edge OC」です。
PCIe 8 pin x2 → 12VHPWR端子に変換するコネクタが付属します。
12VHPWR非対応の標準的な電源ユニットをそのまま使える仕様です。たとえば、筆者やかもちは「Corsair HX850i(2021)」でRTX 4070 SUPERをトラブルなく、至って正常に運用できています。
ケーブル1本で配線をスッキリ仕上げたい場合は、電源ユニットの純正変換コネクタを使えば大丈夫。
90 mm径デュアルファンを搭載する外排気設計を採用。厚み40 mm、ほぼ2スロットを占有するスリムなデザインです。
金属製のバックプレートを搭載します。バックプレートと基板の隙間にサーマルパッドが入っていないです。あくまでも基板の保護が目的で、背面から放熱を促す効果は期待できそうにないです。
ボード全長234 mm、奥行き124 mmでほとんどのPCケースに収まります。その代わり、ゲーム中の動作音がやや大きめです。
グラフィックボードの静音性と冷却性能は基本的にサイズに比例します。小さいほど静音性で不利、大きいほど静音性に優れる傾向が強いです。
- Display Port 1.4a
- Display Port 1.4a
- Display Port 1.4a
- HDMI 2.1
全部で4つの映像出力端子を備えます。HDMI 2.1とDisplay Port 1.4aどちらも、4Kで160 Hzまで動作確認が取れています。
Display Port 1.4a(DSC有効時)で、おそらく4Kで240 Hzまで可能です。
参考までに、購入時の価格は実質95000円でした。
RTX 4070 SUPERは599ドルで、歴代GeForce 70シリーズでもっとも値段が高いです。
ふつうに買うと10万円を軽く超えてしまいます。もし買うなら、ポイント還元が美味しい「Joshin Web(Yahooショッピング店)」をおすすめします。20%前後のポイント還元で実質支払い額を大きく減らせます。
廉価モデルの「MSI VENTUS」なら、実質8.2万円です。
薄型モデルで冷却性能と静音性に優れる「MSI GAMING X SLIM」ですら、ポイント還元を絡めると実質9.2万円ほどで買えます。
筆者やかもちは還元されたPayPayポイントを、ふだんの食費に充てたり、マザーボードやM.2 SSDなどPCパーツの購入に使っています。PayPayに対応している店が多いので現金やクレジットカードに近い感覚で使えて便利です。
久々にGTX 1070 Tiを使って気付いた問題
クローゼットから久々に「GTX 1070 Ti」を出してきて、4Kゲーミングモニターにつないで気づきました。GTX 1070 Tiだとテキストが汚いです。文字がにじんで見えます。
言うまでもなく、古い映像出力端子が原因です。
GTX 1070 TiはDisplay Port 1.4(DSC非対応)で、最大4K 120 Hzかつ8ビット(YCbCr422)に圧縮されます。RGBフル出力できないため、テキストが虹色ににじんで見えてしまいます。
最新世代のRTX 4070 SUPERはDisplay Port 1.4a(DSC対応)を搭載し、最大4K 160 Hzかつ10ビット(フルRGB)まで動作確認済み。DSC転送モードにより最大4K 240 Hz(10ビット)まで出力できます。
ついでにHDMI端子もチェック。
GTX 1070 TiはHDMI 2.0どまりで、最大4K 60 Hz(8ビット)が限界です。RTX 4070 SUPERならHDMI 2.1を搭載、最大4K 144 Hz(10ビット)まで動作確認済み。
Apex Legends
(※クリックで比較グラフ拡大)
Apex Legendsを最高設定で比較したグラフです。
RTX 4070 SUPERはすべての解像度で、RTX 4070から性能アップです。GTX 1070 Tiと比較して約2.2~2.5倍の性能に。
Escape from Tarkov(タルコフ)
(※クリックで比較グラフ拡大)
Escape from Tarkov(タルコフ)で、フレームレートが出づらいと有名な「Streets of Tarkov」で比較したグラフです。
設定はタルコフYoutuber「らっしーRushy_ve」さんを参考に、SSRをオフにしたり、Reflex Low Latencyをboost onにするなど、やや高画質な競技設定(→ 設定画面はこちら)を使用しました。
フルHDはCPUボトルネックの影響で頭打ちですが、WQHDと4KゲーミングでRTX 4070を軽々を超えます。WQHDでの安定性が増す印象です。
ただし、タルコフはCPUボトルネックが出やすいため、グラフィックボードだけにお金を掛けるとバランスが悪いです。CPUを「Ryzen 7 7800X3D」にしてから、RTX 4070か4070 SUPERを選ぶといいでしょう。
※タルコフは他のプレイヤーやBOTがいるとCPUボトルネックが顕著に発生してしまい、フレームレートが伸びづらくなる傾向が強いです。シチュエーションによっては平均100 fpsすら難しい場合もあり。
Fortnite(フォートナイト)
(※クリックで比較グラフ拡大)
フォートナイトを最高設定(NANITE:無効)で比較したグラフです。
マップ「TILTED TOWERS」にて、複数のBOTと撃ち合いしたり建築物をミサイルで破壊しながら測定します。
RTX 4070 SUPERは確実にRTX 4070より高性能です。GTX 1070 TiはフルHDで平均100 fpsすら出ないひどい性能に。
Call of Duty:Modern Warfare 3
(※クリックで比較グラフ拡大)
コールオブデューティ:モダン・ウォーフェア3を、極限プリセット設定(解像度100%)で比較したグラフです。
本タイトルはRadeon RX 7000シリーズが猛威をふるいます。RX 7800 XTがRTX 4070 SUPERを超えるトップに。
Overwatch 2(オーバーウォッチ)
(※クリックで比較グラフ拡大)
オーバーウォッチ2をエピック設定(解像度100%)で比較したグラフです。
RTX 4070 SUPERの伸びが目立ちます。RTX 4070比較で約20%も性能が伸びます。
R6S(レインボーシックスシージ)
(※クリックで比較グラフ拡大)
レインボーシックスシージを最高設定(レンダリング解像度:100%)で、付属のベンチマークモードを使って比較したグラフです。
オーバーウォッチ2と同じ傾向があり、思った以上にRTX 4070 SUPERの性能が伸びます。
Baldur’s Gate 3(バルダーズゲート)
(※クリックで比較グラフ拡大)
バルダーズゲート3をウルトラ設定で、グラフィックボードに負荷がかかりやすい「リズン街道」にてベンチマーク。
いい感じにRTX 4070 SUPERがRTX 4070を引き離します。4Kゲーミングの安定性も改善します。
Cyberpunk 2077
(※クリックで比較グラフ拡大)
重量級ベンチマークの代表例「サイバーパンク2077」をウルトラ設定(レイトレなし)で比較したグラフです。
RTX 4070 SUPERはRTX 4070から大幅な性能アップです。特に4Kゲーミングで約1.4倍もの性能アップで、おそらく36 → 48 MBへ増えたL2キャッシュ容量が効いています。
L2キャッシュ容量が多いと実質的なVRAM帯域幅が改善され、負荷の重たい4Kゲーミングで性能の下支え要因になります。
ドラゴンズドグマ2
(※クリックで比較グラフ拡大)
カプコンが開発した大ヒットタイトル「ドラゴンズドグマ2」を、最高設定(レイトレ:オフ)でベンチマーク。
マップはフィールド「アレス山麓」を採用。NPCが多い都市部(ヴェルンワース)だと極端なCPUボトルネックが発生してまったく比較にならなかったので、フィールドを採用します。
実際のゲームプレイでも都市部にいる時間は少なく、たいていバグバタルなどフィールドエリアにいる時間が長かったです。
ベンチマークの結果、解像度が上がるほどVRAM帯域幅が効いてくる傾向です。RTX 4070 SUPERはフルHD~WQHDでRTX 4070とRTX 3080を引き離す一方、4Kゲーミングでは逆にRTX 3080と同程度にとどまります。
エルデンリング
(※クリックで比較グラフ拡大)
エルデンリングを最高設定(レイトレ:オフ)で、ロケ地「ケイリッド地方」で比較したグラフです。
フルHDはゲーム側の仕様で頭打ち気味※ですが、WQHD~4Kゲーミングで性能差がなんとなく見えてきます。フルHD~4Kゲーミングまで、RTX 4070 SUPERが一貫してRTX 4070超えの性能です。
ただし、4KゲーミングのみRTX 3080やRTX 3090と大差なし。
※場所によってフレームレートの変動が激しいゲームです。ケイリッド地方で最大180 fps前後、魔術学院レアルカリアだと200 fps前後(ただしスタッター頻発)まで伸びる一方、リムグレイブ(初期エリア)や王都ローデイルはせいぜい120 fpsにとどまります。
モンハンワールド:アイスボーン
(※クリックで比較グラフ拡大)
全世界で2000万本超え、今もなお売れ続けている国産オープンワールドRPG「モンハンワールド:アイスボーン」を最高設定 + HiRes Texture Pack適用でベンチマーク。
ロケ地はあえて「古代樹の森」を採用。アイスボーンの「渡りの凍て地」まで進めたものの、結局「古代樹の森」が一番負荷が重たかったです。
RTX 4070 SUPERはすべての解像度でRTX 4070(無印)より高性能ですが、4KゲーミングのみRTX 3090とRTX 3080に勝てません。
ARK:Survival Ascended(ASA)
(※クリックで比較グラフ拡大)
恐竜サバイバルゲームの最新作「ASA」を、最高設定ではなく「高設定」でベンチマーク。最高設定だとあまりにも重すぎて比較に使えなかったので、あえて一段低い「高設定」を使います。
それでもフレームレートが非常に伸びづらく、RTX 4070 SUPERはフルHDですら平均40 fps程度に。旧世代の70番台シリーズはVRAM容量不足により、マトモに動作しませんでした。
基本的に「フレーム生成(Frame Generation)」ありきのゲームだと思われます。後ほど、アップスケーリング編で追加検証します。
PalWorld(パルワールド)
(※クリックで比較グラフ拡大)
国産サバイバルゲームの傑作「パルワールド」を最高設定でベンチマーク。
グラフィックボードに負荷がかかりやすい「花兎山山頂」にて、サラブレイズ(馬)で疾走しながら測定します。なお、初回ロード時のみスタッターが頻発するので、いったんコースを走ってから測定しました。
ベンチマークの結果、RTX 4070 SUPERが順当に性能アップ。苦手な4KゲーミングでもRTX 3090に並ぶ性能です。
Cities:Skylines II(シティスカ2)
(※クリックで比較グラフ拡大)
都市運営シミュレーション「Cities:Skylines II」を、最高設定(スケーリング:無効)でベンチマーク。
RTX 4070 SUPERは一応伸びているものの、4Kゲーミングで苦戦します。RTX 3090に対して約40%も抜かされ、RTX 3080に対しても約22%抜かされます。
Forza Horizon 5
(※クリックで比較グラフ拡大)
Forza Horizon 5を最高設定(MSAA x8 / レイトレなし)で比較したグラフです。
付属のベンチマークを使っているため、性能差がきれいに反映されます。Forza Horizon 5はRTX 4000シリーズやRadeon(RDNA)シリーズが得意な傾向です。
RTX 4070 SUPERはRTX 4070から約15%前後の性能アップです。4Kゲーミングも向上し、RTX 3090を上回ります。
FF14:黄金のレガシー
(※クリックで比較グラフ拡大)
Final Fantasy 14:黄金のレガシーを公式ベンチマークで比較。最初から設定されている最高設定(FSRモード)を使います。
CPUボトルネックの影響でフルHDは全体的に頭打ちの傾向が見られ、WQHD~4Kゲーミングで性能差が確認できます。
すべての解像度でRTX 4070 SUPERがRTX 4070以上の性能ですが、4KゲーミングはやはりRTX 3090に勝てず、RTX 3080と同等レベルに落ち着きます。
原神(Genshin Impact)
(※クリックで比較グラフ拡大)
原神を最高設定(精度:1.5 / シーン細部:最高 / 異方性:x16)で比較したグラフです。
フルHDはCPUボトルネックで頭打ちの傾向、WQHDで微妙な性能差が出ますがゲーム側の変動だと思われ、4K解像度でようやく性能差が出てきます。
RTX 4070 SUPERはRTX 3090とほぼ同じ性能です。4Kゲーミングに限って見れば、GTX 1070 Tiから約2.8倍もの性能アップに。
マインクラフト:BE版
(※クリックで比較グラフ拡大)
マインクラフトBE版にVanilla RTXシェーダーを適用して、レイトレーシング描画距離を24チャンクに設定してベンチマーク。マップは筆者がクリエイティブモードで作成した水中マップを使います。
水中だからVanilla RTXシェーダーが劇的に効いて凄まじい映像美を発揮するかわりに、グラフィックボードにマイクラと思えない強烈な負荷を与えられます。
RTX 4070 SUPERは、RTX 4070から微増です。RX 7800 XTはレイトレーシングの処理性能が遅く、RTX 2070 SUPER相当にとどまります。GTX 1070 TiはそもそもVanilla RTXシェーダーが動作しなかったです。
VRChat
(※クリックで比較グラフ拡大)
VRゲームの代表例でありながら、ベンチマークをほとんど見かけないVRChatを比較したグラフです。
グラフィック設定をUltra設定(異方性 x8)に、フレームレート上限を解除して、「Yayoi Forest House(作:猫屋敷やよい さん)」のプライベートモードで測定しました。
VRChatは単純なグラフィック性能だけでなく、VRAMのバス幅も重要です。
RTX 4070 SUPERはL2キャッシュ容量の増量で実質的なVRAM帯域幅が向上しているため、4K解像度で若干の性能アップが見られます。一方、RTX 3080(320 bit幅)やRTX 3090(384 bit幅)には・・・やはり届かないようです。
19ゲームの平均フレームレート
(※クリックで比較グラフ拡大)
テストしたゲームの平均フレームレートをまとめました(※注意:平均はしょせん平均なので参考にしすぎないように)。
今回テストした内容だと、RTX 4070 SUPERはRTX 4070(無印)に対してフルHDで約12%、WQHDで約14%、4K解像度で約16%も高い性能でした。
RTX 4070 TiとRTX 4070(無印)のちょうど真ん中に位置する性能です。RTX 3090の半額以下でRTX 3090をやや上回る性能と考えれば、コスパが高いと感じます。
(※クリックで比較グラフ拡大)
RTX 4070 SUPERを基準点に相対パフォーマンスも計算してみた。
フルHDとWQHDはRTX 3080やRTX 3090以上の性能ですが、4KゲーミングのみRTX 3090に1割近く負けています。VRAMのバス幅が192 bitと狭いせいで、4Kゲーミングだと性能が伸びづらいようです。
次にGTX 1070 Tiを基準点に相対パフォーマンスを計算すると、「別次元」といっても良いレベルの性能差が開きます。
RTX 4070 SUPERはフルHDで約2.6倍、WQHDで約2.8倍、4Kゲーミングも同じく約2.8倍も高性能です。
GTX 1070 Tiの発売当時の価格が約6万円で、RTX 4070 SUPERが約10万円なので価格差は約1.7倍に。値上げ幅以上に性能が伸びています。
アップスケーリング機能を比較ベンチマーク
最近のグラフィックボードはアップスケーリング技術を活用した、フレームレート底上げ機能に対応しています。
- NVIDIA GeForce:DLSS(Deep Learning Super Sampling)
- AMD Radeon:FSR(FidelityFX Super Resolution)
- Intel ARC:XeSS(Xe Super Sampling)
たとえば、GeForce RTXシリーズなら「NVIDIA DLSS」、AMD Radeonシリーズなら「AMD FSR」を対応するゲームで使えます。
DLSSまたはFSRに対応しているゲーム3本を使って、アップスケーリング有効時の性能を比較ベンチマークします。
(※クリックで比較グラフ拡大)
重たすぎてまともに動作しない「ARK:ASA(4K解像度)」でしたが、DLSS 3(フレーム生成)を使うと平均40 fpsまで向上します。
GTX 1070 TiはDLSS非対応で平均わずか2 fpsです。つまり、RTX 4070 SUPERはGTX 1070 Tiの約40倍も高性能です。
(※クリックで比較グラフ拡大)
サイバーパンク2077(レイトレ:ウルトラ品質)もそのまま動かすと非常に重たいですが、DLSS 2(FSR 2)の適用でかなりマシになります。
DLSS 3(フレーム生成)で平均60 fpsをかんたんに超え、そこそこ快適な4Kゲーミングが可能です。ちなみに、FSR 3(フレーム生成)はゲーム側が対応してないです。
なお、GTX 1070 Tiはレイトレーシング非対応だからベンチマークがそもそも動作しません。
(※クリックで比較グラフ拡大)
4K解像度が意外と重たいタルコフも、DLSS 2(FSR 2)を適用すれば、4Kで平均100 fpsに迫る快適な動作に仕上がります。
GTX 1070 TiはDLSS非対応で絶望的な重さ。RTX 4070 SUPERとの性能差が約5倍まで開きます。
- フルHDでいったんレンダリング
- 機械学習を使って4Kにアップスケーリング
- 実質4Kのフレームが完成します
4K解像度のレンダリングは非常に重たい作業ですが、DLSSを使えばフルHDやWQHD相当のレンダリングで済ませられるので、フレームレートを稼ぎやすくなります。
ちなみに、どの程度の解像度でレンダリングするかどうかはゲーム側の設定で調整できます。
- 高画質な設定(クオリティー):WQHD相当
- 標準的な設定(バランス):フルHD相当
- 性能重視(パフォーマンス):HD相当
ゲームによって差があるものの、おおむね上記のようなイメージで合ってます。
なお、あくまでもフルHDやWQHD相当の解像度でレンダリングするだけなので、「CPUボトルネック(→ 解説)」に対して無力です。CPUボトルネックが出やすいゲームだと、DLSS:バランスを使ってもフレームレートがまったく伸びない場合も多いです。
DLSS 3(FSR 3)は、1枚目と3枚目の中間フレームをAI機能でイメージして補完する機能です。単純にフレームレートが2倍になり、入力遅延も2倍に跳ね上がります。
存在しないフレームをグラフィックボード側で生成して挿入する性質上、「CPUボトルネック」に対しても一定の有効性があります。理論値で50%までCPUボトルネックの影響をカットできます。
ただし、フレームを挿入する分だけ入力遅延が増加します。入力遅延の増加は競技性が問われるFPS / TPSゲームで不利です。もっぱらMMORPGやソロプレイゲーム向けです。
定番ベンチマークの比較グラフ
役に立つか分かりませんが、一応3DMarkとVRMarkのスコアを掲載します。
SNS(Twitter X)でフォロワーに「このくらいの位置づけらしいよ?」と、ダイジェスト的に軽く紹介する分には便利かもしれません。
(※クリックで比較グラフ拡大)
軽い負荷がかかる「3DMark Fire Strike」の比較です。
やや重たい負荷がかかる「3DMark Time Spy」の比較です。
かなり重たい負荷がかかる「3DMark Speed Way」の比較です。レイトレーシング非対応のグラフィックボードだと動作しません。
かなり重たい負荷がかかる「3DMark Port Royale」の比較です。
(※クリックで比較グラフ拡大)
レンダリング解像度:2264×1348で動作する、負荷の軽い「VRMark Orange Room」の平均フレームレートです。400 fps前後で頭打ちです。
DirectX12向けの「VRMark Cyan Room」の平均フレームレートです。500 fps前後で頭打ちです。
非常に重たい負荷がかかる「VRMark Blue Room」の平均フレームレートです。なんと5120×2880(5K解像度)でレンダリングされてます。
VRChatにかなり近似した結果を出せますが、Blue RoomはVRAMのバス幅をそれほど考慮しないため鵜呑みにしないように。
RTX 4070 SUPERのクリエイティブ性能を比較
GPU | RTX 4070 SUPER | RTX 4070 | RTX 3070 |
---|---|---|---|
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 7168 | 5888 | 5888 |
ブーストクロック | 2475 MHz | 2475 MHz | 1730 MHz |
VRAM | GDDR6X 12 GB | GDDR6X 12 GB | GDDR6 8 GB |
理論性能(FP32) | 35.48 TFLOPS | 29.15 TFLOPS | 20.31 TFLOPS |
グラフィックボードのクリエイティブ性能は基本的に、シェーダー数とクロック数から計算できる理論性能(FP32)に比例して高くなる傾向があります。
RTX 4070 SUPERの理論性能が約35テラフロップス、RTX 4070(無印)が約29テラフロップスで約21%の性能アップを期待できます。実際にいくつか試して確認しましょう。
GPUレンダリング(Blender)
(※クリックで比較グラフ拡大)
GPUレンダリングの定番ベンチマーク「Blender 4.1.0」では、約17%の性能アップでおおむね理論値通りです。GTX 1070 Tiから見て、10倍のレンダリング性能です。
AIイラスト(Stable Diffusion XL)
「GTX 1070 Ti」はプロンプトの再現性が皆無です
AIイラストの定番ソフト「Stable Diffusion XL(AUTOMATIC1111版)」を使って、AIイラストの生成時間を比較します。
- モデル:Pony Diffusion V6 XL
- LoRA:全部で4つ(Detail Tweaker XLなど)
- 解像度:896 x 1152
- サンプラー:DPM++ 2M Karras
- ステップ:25
- Hires.Fix:1.25倍
- Hires.Fixステップ:12
個人的によく使っている手順です。SDXLの推奨サイズでいったん書き出したあと、Hires.Fixで少しだけアップスケールして好みの絵柄に仕上げます。
(※クリックで比較グラフ拡大)
グラフィックボードの処理性能をゴリゴリと贅沢に使ってくれます。
世代が古くて性能も貧弱なGTX 1070 Tiだと、そもそも動作すらしない・・・と思ったら途中でエラーを起こさず最後まで処理を完了します。
NVIDIAが作り上げた「CUDA」ライブラリの凄みを感じます。3世代前(7年前)のグラフィックボードで、最新のSDXLモデルをきちんと動かせます。
とはいえ1枚生成するのに約6分です。RTX 4070 SUPERは約1分で生成を終え、約5倍もの性能差です。しかもGTX 1070 Tiは同じ指示を送っても、生成結果をまったく再現できません。
SDXLモデルを使うならRTX 4070 SUPERが圧倒的に有利です。VRAMに不安を感じる方は、VRAMを効率よく使う「Forge版SDXL」で解決します。
こちらの記事でForge版も含め、いろいろなパターン別の生成時間を検証しています。興味のある方は参考にどうぞ。
ピーク時に約20 GBもVRAMを消費するため、VRAMが20 GB以下のグラフィックボードは「–medvram-sdxl」オプションを付けてテストしました。AMD Radeonは「ZLUDA版」を使っています。
言語生成AI(ローカルChatGPT)
Windows 12からCPUにAI処理性能(40 TOPS以上)が求められるなど、一般的なローカル環境でもAI処理性能が要求される時代が到来します。
代表例が「言語生成AI」です。ローカル環境で動作するLLM(大規模言語モデル)を使って、1秒あたりの平均トークン生成数を比較します。
(※クリックで比較グラフ拡大)
RTX 4070 SUPERは、RTX 4070とほぼ同じスピードで返答します。GTX 1070 Tiから見ると約2.3倍の返答スピードです。
RAW写真のAIノイズ除去(DxO PureRAW 4)
写真現像ソフト「DxO PureRAW 4」を使って、暗い環境で撮影したノイズだらけのRAW写真からノイズを取り除きます。
「DeepPRIME XD2」によるAI処理で、3枚の写真からノイズを消すのにかかった時間をテストします。
(※クリックで比較グラフ拡大)
RTX 4070 SUPERは11.03秒(1枚あたり約3.7秒)で、RTX 4070とほぼ同じです。GTX 1070 Tiから見て約3倍の処理速度です。
(※ノイズ除去する前のRAW写真)
(※DeepPRIME XD2でノイズ除去)
4K動画編集(PremiereとDavinci)
Puget Systemsのベンチマークプリセットを使って、動画編集の定番ソフト「Adobe Premiere Pro」と「Davinci Resolve Studio」のGPU性能をテストします。
テストに使用される動画素材は基本的に4K解像度以上で、割りと負荷の重たいワークロードです。
(※クリックで比較グラフ拡大)
Premiere ProベンチマークのGPUスコアは「104.8点」で、RTX 4070との性能差は誤差。GTX 1070 Tiから見るとほぼ2倍超えの性能アップです。
Davinci Resolve StudioのGPUエフェクト性能は「136点」で、RTX 4070から約5%の性能アップ。
GTX 1070 Tiと比較するとなんと約2.5倍もの性能アップに。最新のグラフィックボードは動画編集でもきちんと性能が向上しています。
動画エンコード(NVEncなど)
世代 | RTX 4070 SUPER (Ada Lovelace世代) | RTX 3070 (Ampere世代) |
---|---|---|
NVEncエンコーダー | 第8世代(1基) | 第7世代 |
NVEncデコーダー | 第5世代 | 第5世代 |
AV1エンコード | 対応 | – |
AV1デコード | 対応 | 対応 |
RTX 4070 SUPERはしばしば「RTX 4070 Ti相当」などと言われますが、実は内蔵エンコーダーの数が増えていません。
RTX 4070 Tiが「第8世代NVEncデュアルエンコーダー」に対し、RTX 4070 SUPERは従来どおり「第8世代NVEncシングルエンコーダー」です。
NVEncエンコーダーが1基しか無いと、2基あるエンコーダーそれぞれに処理を振り分けるスプリット方式エンコードを使えません。
動画エンコードの処理速度に大きな差がつくと予想できます。rigayaさん作のAviutl拡張プラグイン「NVEnc 7.50」を使って、動画エンコードの処理速度(平均fps)と品質スコア(VMAF Score)を調べてみましょう。
テスト内容は1分30秒ほどのゲームプレイ録画(動きの激しい原神プレイ動画)を、VBR形式(Bフレーム挿入あり)でエンコードするだけです。
想定どおり残念な結果に。RTX 4070 TiがAV1エンコードを平均500 fpsで処理する一方、RTX 4070 SUPERは平均300 fpsにとどまります。
AV1エンコードで約1.67倍の性能差、HEVCエンコードで約1.72倍の性能差です。
なお、GTX 1070 Tiが意外と速いように見えますが、GTX 10xx世代は「Bフレーム挿入」に対応しません。Bフレームを使っていない分、負荷が下がって処理速度が上がっているだけです。
エンコード品質(VMAFスコア)を比較します。
RTX 4070 SUPERのVMAFスコアはトップクラスです。Bフレーム挿入を使えないGTX 1070 Tiは相応に品質が下がります。
WQHD(2560×1440 / 16000 kbps)と4K(3840×2160 / 32000 kbps)のエンコード比較です。
エンコード速度はRTX 4070 Tiが圧勝、エンコード品質はほぼ互角です。
ゲーム開発(Unreal Engine 5)
無料で使えるゲーム開発ソフト「Unreal Engine 5.3」のプレビュー性能をテストします。
無料で配布されている「City Sample(The Matrix Awakens)」から「Small_City_LVL」を読み込み、既定のルートを1周してフレームレートを測定します。
「Big_City_LVL」だとメインメモリ容量が不足して動作が不安定だったため、メモリ容量32 GBでもなんとか動作するSmall版をテストしました。
(※クリックで比較グラフ拡大)
特に目立った性能差がないです。古いバージョンのUnreal Engineなら分かりやすく性能差が出ると思いますが、最新のUE5ではVRAMの消費量がかなり減っていて性能差が少ないです。
RTX 3070 ~ GTX 1070 TiはVRAM容量不足でスタッターが頻発してしまい、平均フレームレートがガタ落ちです。基本的にUnreal Engine 5を使った開発において、VRAM容量は多いほど有利です。
ゲーム実況配信(OBS Studio)
定番のゲーム配信ソフト「OBS Studio」を使って、レインボーシックスシージ(フルHD / 最高画質)を録画配信します。
- H.264(6000 kbps):60 fpsに制限して録画配信
- H.264(6000 kbps):360 fpsに制限して録画配信
- AV1(6000 kbps):60 fpsに制限して録画配信
- AV1(6000 kbps):360 fpsに制限して録画配信
Youtubeなら6000 kbps以上のビットレートに対応しますが、もうひとつの定番サイトTwitchが6000 kbps上限です。Twitchも想定して、あえて6000 kbpsに設定します。
配信時の画面サイズは圧倒的主流のフルHD(1920×1080)で、配信時の画面フレームレートは「60 fps」と「360 fps」の2パターンです。
Apex Legendsやレインボーシックスシージなど、競技性が求められるゲームでゲーミングモニターの使用を考えているなら、「360 fps」時の配信性能が重要です。
H.264エンコードで録画と配信を同時にすると、平均フレームレートが約10%下がります。GPU使用率がカツカツの状況で最低フレームレート(1%)の落ち込みも目立ちます。
配信中のコマ落ち(ドロップフレーム)は問題なし。スムーズに配信と録画を完了します。
最新世代のNVEncはAV1エンコードが得意です。エンコード負荷が下がり、最低フレームレート(1%)の安定性が向上します。
旧世代のGeForce 70シリーズはAV1エンコードに対応しません。
エンコード負荷が下がるため、当然コマ落ち(ドロップフレーム)も発生しなかったです。
RTX 4070 SUPERの消費電力を比較
電力ロガー機能のついた電源ユニットを2台使って、CPUとマザーボードに電力供給を分割します。
テスト環境 | ||
---|---|---|
電源ユニット #1システム全体 | 850 W(80+ Platnium)使用モデル「Corsair HX850i」 | |
電源ユニット #2CPUや水冷クーラーなど | 850 W(80+ Gold)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 |
システム全体を担当する電源ユニットから、+12Vレールの消費電力を見るとグラフィックボード単体の消費電力とほぼ一致します。
上記の接続方法だと、+12Vレールは基本的にグラフィックボード(6+2 pinとPCIeスロット)で使用されるため、CPUを取り除いておけば自ずとグラフィックボード単品の消費電力を抽出可能です。
ただし、電源ユニットの電力ロガーセンサーは刻み値が粗いです。変動幅が小さくなりがちな、低負荷時(低設定のフルHDなど)の精度はやや悪いです。
GPU単体の測定値を見るのではなく、他と比較して相対的に見るべきです。
誤:Aは平均200 Wらしい- 正:AはBと比較して50 W少ないらしい
これくらいのニュアンスでデータを見てくれると助かります。
特定のゲームをプレイ中の消費電力ではなく、テストした19個のゲームタイトルから平均消費電力を求めます。
(※クリックで比較グラフ拡大)
RTX 4070 SUPERの消費電力です。フルHDで平均198 W、WQHDで平均211 W、4Kで平均213 Wでした。GPU使用率の高いゲームなら220 W前後まで上昇します。
メーカー公称値の220 Wにほぼ一致します。
消費電力10ワットあたりの平均フレームレートを計算したグラフです。
RTX 4070 SUPERのワットパフォーマンスは他のRTX 40シリーズと同等クラスです。GTX 1070 Ti → RTX 2070 SUPER → RTX 3070へ、世代(製造プロセス)をまたぐたびワットパフォーマンスが伸びています。
GTX 1070 Tiと比較して、およそ2倍の効率です。DLSS 3(フレーム生成)対応ゲームなら、電力効率は3~4倍まで伸びます。
高負荷時のGPU温度は?
GPU使用率が100%に達する「3DMark Speed Way」を10分連続で動かして、RTX 4070 SUPER(ZOTAC GAMING Twin Edge OC)のGPUコア温度を測定したグラフです(※テスト時の気温は27℃前後)。
エリア | 平均値 | ピーク値 |
---|---|---|
コア温度 | 72.9℃ | 74.9℃ |
VRAM温度 | 79.5℃ | 82.0℃ |
ホットスポット | 84.2℃ | 86.9℃ |
RTX 4070 SUPER Twin Edge OCは10分を通して平均72.9℃(ピーク74.9℃)でした。
厚み40 mm(2スロット占有)、全長234 mmの比較的コンパクトなサイズゆえ、冷却性能は控えめな部類です。
ベンチマーク中の表面温度を、サーモグラフィーカメラで撮影します。
12VHPWR端子の表面温度は信じられないほど低いです。200 W前後の電力が流れていますが、表面の温度は人肌より少しあたたかい程度です。
金属製バックプレートは45~48℃前後です。基板との間にサーマルパッドが挟まれておらず、熱をほとんど伝えません。
GPUダイ側のヒートシンクが65℃前後、反対側のヒートシンクが55℃前後です。
騒音を10分テスト(動作音はうるさい?)
グラフィックボードから50 cm離れた位置にデジタル騒音メーターを置いて、「3DMark Speed Way」テスト中の騒音値を測定しました。
負荷がかかるとトリプルファンすべてが回り始め、40.0 dB前後まで上昇。その後テストが終わるまで「40.3 dB(普通)」前後に収まります。
騒音値(dBA) | 評価 | 目安 |
---|---|---|
30 ~ 32.49 | 極めて静か | 耳を近づければ聞こえるレベル |
32.5 ~ 34.9 | 静か | ファンが回っているのが分かる |
35 ~ 39.9 | やや静か | 扇風機を「小」で回したくらい |
40 ~ 42.49 | 普通 | エアコンよりは静かな音 |
42.5 ~ 44.99 | やや騒音 | エアコンの動作音に近い |
45 ~ 50 | 騒がしい | 扇風機を「中~大」で回した音 |
50 ~ | うるさい・・・ | 換気扇を全力で回した音 |
RTX 4070 SUPER(ZOTAC GAMING Twin Edge OC)の動作音をステレオ録音しました。
3DMark Speed Wayなど、高負荷かつ低フレームレートだと、基本的にファンの「ブォーン」とした低周波が主な騒音です。
FF14ベンチマークの序盤など、負荷が軽くて平均400 fpsを超えるハイフレームレートなシーンで個体コンデンサから高周波が鳴ります。
コンデンサが鳴ると、周波数成分のグラフが「しましま模様」に変化します。しましま模様がハッキリ写っているほど「コイル鳴き」がよく聴こえる傾向です。
原理的に、どのようなグラフィックボードでも(程度の差はあれど・・・)コイル鳴き自体は避けられないです。気になる方は垂直同期や可変リフレッシュレート(VRR)を使ったり、RivaTuner Statics Serverでフレームレートに上限を設定するといいでしょう。
まとめ:復帰勢におすすめなグラボ「4070 SUPER」
「RTX 4070 SUPER」のデメリットと弱点
- 未だにDLSS 3.0対応ゲームが少ない
- VRAM容量は12 GBのまま
- NVEncエンコーダーは「1基」
- 4KゲーミングでRTX 3090に劣る
「RTX 4070 SUPER」のメリットと強み
- RTX 3090をやや超える性能
- WQHDで120 fps超が可能
- 4Kゲーミングがそこそこ動く
- fpsをドカッと増やす「DLSS 3」
- ワットパフォーマンスが高い
- 優れたAIイラスト性能
- 高画質で超高速な「AV1エンコード」
- 安定した配信性能(コマ落ちが皆無)
- ケーブル1本でOK「12VHPWR」対応
- 消費電力200 W前後で扱いやすい
- 価格設定を据え置き
- 悪くないコストパフォーマンス
RTX 4070 SUPERは、今年発売されたSuperシリーズでもっともお買い得感が強いグラフィックボードです。従来モデルの価格を維持したまま、順当な性能アップを遂げています。
フルHDとWQHDの平均パフォーマンスにおいて、1世代前の最上位モデルRTX 3090以上の性能。4Kゲーミングの平均でRTX 3090にあと一歩迫る性能です。おおむね、悪くないコストパフォーマンスと評価できます。
消費電力が200 W前後と大人しく、PC初心者に扱いやすい点もメリットです。同等性能のRTX 3080やRTX 3090は軽く300 W超え、ムワッとした熱気を感じる放熱量があり、PCケース内のエアフロー設計がやや面倒でした。
200 Wちょっとしか放出しないRTX 4070 SUPERであれば、適当なPCケースに突っ込んでおくだけで大丈夫。ケーブルを流れる電力が少ないため、12VHPWR端子の取り扱いも心配無用です。
1世代前のRTX 3060 12GBや、2~3世代前のRTX 2070やGTX 1070 Tiを使っていて、グラフィックボードのアップグレードを考えている方におすすめです。
従来のGeForce 70シリーズから約3~4万円くらい値段が上がっていますが、性能の伸びは価格差を上回ります。
最後に記事タイトル「RTX 4070 SUPERと4070どっちがいい?」について簡潔に答えると、やはりRTX 4070 SUPERです。1万円程度の差額ならSUPERを買ったほうが後悔しないと思います。
以上「RTX 4070 Superをベンチマーク:RTX 4070とどっちがいいか性能比較レビュー【GTX 1070 Tiも比較】」でした。
RTX 4070 SUPERを単品で買う
無難におすすめが「玄人志向(黒モデル)」です。国内最安クラスながら、標準3年保証がついてくるコストパフォーマンスが魅力的です。とりあえず迷ったら玄人志向でいい時代。
薄型モデルは「MSI GAMING X SLIM」がおすすめ。厚み46 mm(2スロット占有)のスリムなデザインに、90 mm径トリプルファンをぜいたくに搭載して、優れた静音性と冷却性能を両立します。
デュアルファンモデルで静音性を追求するなら「ASUS DUAL OC」がおすすめ。ボード全長270 mm、奥行き135 mm、厚み51 mm(2.5スロット)の分厚い設計で静音性に優れます。
Quietモード時の静音性はデュアルファンモデルで最高峰です。
最後に今回のレビューで使った「ZOTAC GAMING Twin Edge OC」を紹介します。正直、あえて本ボードを選ぶ理由が見当たらないです。
薄型静音はMSI GAMING X SLIMが優位ですし、デュアルファンで静音はASUS DUALがトップクラスで、保証の長さは玄人志向(GALAKURO)がコスパ最強。今こうして冷静になると、どうしてZOTACを買ったのか・・・明確な理由を思い出せません。
しいて挙げるなら、ボードを分解しても保証が無効にならない。ぐらいしかメリットがなく、一般的には玄人志向(GALAKURO)がいいでしょう。
RTX 4000搭載ゲーミングPC【解説】
RTX 40 SUPERのレビュー記事
グラフィックボードのレビュー記事
4070Superは4070Tiより2万円近く安くて性能僅差だからコスパ的にTiよりお得な感じ
1660Superと1660Tiの関係を思い出す
更新お疲れ様です.いつも楽しく読ませていただいています.
私は自作PCに初めて挑戦しようとしているものです.
予算20万円のゲーミングPC自作プランの記事を読ませていただき、参考にしながら組もうとしているところです.記事内ではrtx4070が使われていたと思うのですが、rtx4070からrtx4070superに変更する場合にはcpuも変更するべきでしょうか.
FHDで高いFPSでゲームがしたいというよりは、WQHDで快適にゲームがしたいという用途です.
ぼくの見解では、WQHD前提なら「Ryzen 5 7600X(7500F)」「Ryzen 7 7700(7700X)」で十分かと。
もちろん予算があれば「Ryzen 7 7800X3D」や「Core i5 13600K」も魅力的ですが、ひどい円安の今、20万円以内となるとRyzen 5 7600X(7500F)が上限という状況ですね。
Aliexpressに抵抗なければ、同じ予算内でRyzen 7 7700をギリギリ入れられますが・・・。積極的におすすめはできないです。
詳しい検証ありがとうございました。
RTX4070SUPER買うかRX7900GRE買うかで迷ってたのですが、意外と7800XT強いですね。
コスパ良くて白グラボが安いので7800XT買おうかなと思いました。
RX 7800 XTはぼくが買ったときより明らかに性能が良くなりました。ドライバの安定性もGeForceと大差なし(※むしろ最近のGeForceドライバの方がちょっと問題あり)。
AI関係も「ZLUDA版」をはじめ、動作環境が揃ってきて動くようになっているし、自分でちゃんと情報を調べられる人なら全然アリだと思います。
ちなみにワットパフォーマンスの低さは、コア電圧をちょっと下げると改善できます。英語で「Undervolted AMD Radeon RX 7800 XT」などと検索すれば、参考例がいくつか出てきます。
>>悪くないコストパフォーマンス
4070Sよりコスパ良いグラボはどれなんでしょうか?やりたいゲームや画質やフレームレートにも依るとは思いますが
コスパはその人のやりたいことや環境に依る
お金を出してもWQHDで安定してフレームレートを稼ぎたいって人からすると4070Sは最良の選択になるし、FHDで十分という人だと過剰性能で一つ下の4060Tiでもまだ過剰性能気味、つまりコスパが悪くなる
4060でも6~7割方のゲーマーにとっては十分な性能だから4070以上を選ぶときはゲーム用というよりはゲーム以外の何かにパソコンを使いそうかで選んだ方がいいと思うよ
RTX4090だと思いますよ
4090はゲームだとコスパは良くはないと思う。
主にプレイするゲーム、解像度、フレームレートの許容範囲、どれぐらいの画質設定でプレイするつもりなのかと言う最低限必要な情報が不明でコスパの良いグラボなんて誰がわかんねん
検証お疲れ様です。
AI生成目的で4070を購入したのですが、折角良いグラボを買ったのだからゲームもしたいとなって検証結果を見てみると相応の差が出てますね。
早速後悔しています。
2070や1070から乗り換える世代はマザーボード側がPCIe4.0ではなく3.0だと思うのですが
x16ならそこまでの差はつかないと聞きますが実際のところどうなのでしょう?
PCIe接続以前にCPUボトルネックで宝の持ち腐れになるからマザボごと交換した方がいいと思う
intel12世代に乗り換えたけどグラボは2070をそのまま使用
WQHDモニターに買い替えでグラボ新調を検討中なんて他にもいると思いますよ
まるまるでなくても、パーツごとに必要な時にアップグレードしてええやん。
PCIe3でも古いCPUでも、単純に4070は3080を超えるはずなんだし。
intelは寿命が短く、AMDは更新直前で、焦ってCPUから買い替える必要ないでしょ。
なるほど
記述にあるような「数年ぶりにグラフィックボードを更新したい人」向けではないということですね
ありがとうございます
4kなら昔のi3でも十分
私の使ってるモニターはWQHDだし
出来る事自体は4070無印と変わらないと感じたので私は無印を買いました。
将来的なリセールバリューなんかでは差を感じそうな予感はしてますが。
初めまして。よく拝見させていただいております。
最近rtx4070superを購入したのですが、現在のメインPCのCPUがIntel core i5 12400Fを使っています。ゲームをしている中でどうも伸び悩んでいるように感じているのですが、CPUを変更すべきでしょうか?
また、現在サブPCにRyzen 7 5700Xを使っているのですが、そこと交換するか、CPUを変えるかならどちらの方が長期的に使えるでしょうか…?ご意見伺いたいです。
どんな環境でなんのゲームをしてどの要素がどう伸び悩んでるんだい
どっちも枯れた規格だから俺ならそのまま使うか夏以降にマザボごと新世代に買い替える
コメントありがとうございます。ApexをFHDの環境でプレイしている中で200fps前後から上がらず悩んでいます。240fps程度は出せる才能であると思っていたので、CPUの方が力不足かなと考えています。
そのままi5-12400fを使うか、夏頃に13、14世代に買い替えるかで主に悩んでました。
4070にそこまでの才能はないぞ
上見てみ。CPUにめっちゃ金かけた理想環境ですら151〜240(最高設定時)と240環境には少し足りない
実際はDiscord立ち上げてたり、裏で動くシステムがあったり、排熱で性能に制限がかかったり、そもそも4070内でも当たり外れがあったりで、他が安物システムだとCPU同じでも1〜2割は実戦性能が下がる
なので現時点で実値200出せる今は4070相応の環境であり、わざわざ高額なCPUを買うかどうかは悩ましい所だね
そもそもこれは設定高でのFPS値だから、ゲーマーなら設定下げて240/360張り付きを目的としているので4070でも十分才能はあると思いますがね
新しい記事でやかもち氏の評が出てたのでコピペしとく
すごくわかりやすかったわ
↓
定番の競技FPSタイトル「Apex Legends」の場合、RTX 4070 SUPERはバンガロールからスモークとテルミット爆弾を打ち込まれた状況でも、平均240 fpsをギリギリ維持できます。
RTX 3080から40 fps近く、RTX 3090よりも30 fpsほど高い性能です。実際のゲームプレイでは、スモークとテルミットを同時に大量に打ち込まれるシーンはめったに無いので、平均200 fps超えを十分狙えます。
コメントありがとうございます
なるほど…確かにベンチマークや各種サイトのアッパーを見過ぎていて、環境などを考慮していなかったかもしれません。
値段を睨みつつ様子見してみようと思います。ご指摘ありがとうございます。
長すぎ
頭悪い人ほど無駄に長文になる
3070Tiを使っていて去年の夏に部屋が灼熱地獄になったので、4070Superに買い替えを検討中でした。
とても参考になりました!
5xhoo0
一年前も評価はボロボロでしたが現在も4070の駄目さは健在でしたか…
買ってしまった人等はご愁傷様ですね