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DRAM(メモリー)を製造している主要メーカーまとめ

DRAM(DDRメモリー)を製造しているメーカー(ベンダー)について、個人的な興味があってメモついでに記事にまとめておいた。結論から言うとDRAMを製造できるメーカーは世界にわずか数社、一握りです。

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DRAMメーカーごとの特徴

2018年の時点で、DRAM市場においてマトモな売上をあげているメーカーは以下6社。

  • Samsung
  • SK Hynix
  • Micron
  • Nanya
  • Winbond
  • Powerchip

シェアは上から3社が95%を独占しています。

まぁ…市場シェアの話はかなり好きなんですが、本題からややズレた話なので後ほど詳しく書くとして。まずはメーカーごとの特徴についてカンタンにまとめます。

1. Samsung(サムスン)

DRAM市場で約45%のシェアを握る超大手のベンダーです。

DDRメモリーでは「B-die」と呼ばれるチップが特に安定していると定評がある。ちなみに「B-die」はG.SkillやCorsairのオーバークロックメモリーにも使用されているなど、OEM実績も多い。

初心者もち
え~。G.Skillのメモリーって実質サムスンってことなの?
やかもち
そういうことになるね。

メモリクロックのOCで相性が発生しやすい「AMD Ryzen」を使った環境でも、CorsairのOCメモリー(実質サムスン製)なら安定しやすいことからも、品質の高さは恐らくトップクラスかも。

2. SK Hynix(ハイニックス)

サムスンと同じく韓国のメーカーです。市場シェアはサムスンに続く2位で、約28%を握る。

基本的に高クロック状態での安定性について、評価は芳しくないです。定格で動かす分には特に問題なく普通に動きます。有名なOEM先はCFD、TeamGroup、Kingston、DREVOなど。

クロックが低い定格(2133 MHz ~ 2400 MHz)状態なら至って安定して動作可能で、コスパに優れたDRAMが特徴なので、ドスパラなどのBTOメーカーのメモリーでも割りとSK Hynix製は見かける印象。

3. Micron(マイクロン)

米国の巨大半導体メーカー。市場シェアは3位で、約23%を握っている。ちなみにNANDフラッシュ市場ではシェア4位です。

国内でも結構知名度の高いメーカーだと思います。SSDなら「Crucial MX」シリーズ、DDRメモリでもCFD販売の「Crucial」シリーズが有名だろう。

特に悪い評判などは聞かないし、SSD・メモリーともにBTOメーカーにおける採用事例も多い。無難に高品質なDRAMを作るメーカー、それがマイクロンという感じです。

4. Nanya(ナンヤ)

台湾に本社を構えるメーカーです。市場シェアは世界4位で、約3%ほど。

もっぱらエントリー向けの安価なSSD向けに、DRAMキャッシュを供給している。OEM先はSilicon PowerやCorsairのSSD用DRAMキャッシュが多いですね。

Nanyaはとにかく安さ重視のメーカーで、サムスンが既に10nmプロセスのDRAMの量産に入りガンガン出荷している中、Nanyaは未だに30nm ~ 42nmプロセスをメインに出荷ですから。

5. Winbond

台湾のメーカーです。

スーパーIOの集積回路を生産するメーカーとしてはかなりの大手だが、公式サイトの製品ページを見る限りではDRAMやNANDの製造は本腰を入れていない様子。

6. Powerchip

また台湾のメーカー。

もっぱらTSMCやGLOBALFOUNDRIESと同じファウンドリ企業であり、自社ブランド製品としてDRAMを出荷しているメーカーでは無い。お目にかかることはまず無いかも。

DRAM市場は「3社独占」が進行中

韓国のサムスン、SK Hynix(ハイニックス)、SSDのCrucialシリーズで有名な米国のマイクロン。この3社がDRAM市場で占めるシェアは全体の95%に達している(2018年Q1時点)。

ベンダー売上高市場シェア
Samsung1兆1344億円44.9%
SK Hynix7043億円27.9%
Micron5708億円22.6%
Nanya703億円2.8%
Winbond192億円0.8%
Powerchip124億円0.5%
その他157億円0.6%
全体2兆5270億円100.0%

データはドイツの市場調査会社「Statista」より引用しました。2018年第1四半期のDRAM市場全体の売上は2兆5000億円で、その内の約45%がサムスンによるものです。

安価で高品質なメモリーとしてMicronの「Crucial」が個人的に存在感が大きかっただけに、意外でした。理由については記事の途中で解説したとおり。あらためてまとめます。

  • メモリの有名メーカー「G.Skill / Corsair / GeiL」などにOEM供給している
  • NANDの出荷量も多く、同社のSSDに自社製のDRAMキャッシュを搭載している
  • 自社のGalaxyはもちろん、iPhone向けにもDRAMを出荷している

ざっとこんなところです。自作erなら知っている人が多いであろうG.Skillやコルセアも、DRAMチップ自体はサムスンから買い付けたモノだった。

サムスンはNAND市場で37%のシェアを持っており、「Samsung EVO / PRO」シリーズといった自社のSSDに搭載されるDRAMキャッシュもサムスン製(SEC印字)でした。

シェアが多いのも納得の状況。

シェア独占の弊害

ただ、消費者としては市場を3社がほぼ独占している状況は、危機感を覚えなくもない。2017~2018年の間にDDR4メモリは約2倍にまで高騰したが、果たして…。

2017年に自分が書いた考えは「単に供給が追いつかないくらい需要が爆発していた。」でした。しかし、2018年4月末に米国ではDRAM大手3社に対して集団訴訟がなされています。

彼らがわざと生産を遅め、価格をじわじわを引き上げ、結果として2017年度の決算で「爆益」を挙げた可能性が無くはない。いや…本当にメモリの値上がりはキツイので、そういうのやめて欲しいですね。

以上「DRAM(メモリー)を開発、製造している主要メーカーまとめ」でした。

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16 件のコメント

  • すげー45%ってやべぇ2社引き離しすぎ、まじやべぇ
    んでなんで3位から急に3%ってナンヤ・・・下がりすぎでしょ

  • ↑ギャグかな?草
    中華が頑張ればDDR5がリリースされる頃には安くと何時も願望しておる

  • ちょっと前には日本にもエルピーダメモリって言う大手DRAMベンダーがあったんですけどねぇ・・・
    金融危機と超円高で潰れて今ではマイクロンの一部ですわ
    もうちょっと我慢していれば生き延びてたかもしれないのに

  • てか、DRAMのほぼ全部がお隣のC国とK国製とか涙目過ぎる。
    PC業界をこの2国が牛耳ってると言っても過言ではないやんorz
    個人的にはこの2国の製品は意地でも避けたいくらいなのに…(特にK国の製品は逆に1兆円くれると言われても手にしたくない)

    • NAND市場では「東芝」がかなり強いですが、その東芝もNANDを含むメモリ部門を日米韓企業連合に売却が完了してしまったそうなので…何だかなぁという感じはします。
      日本はもっと自社の技術者を海外メーカーに引き抜かれないよう、待遇の改善をするなど何らかの対策をするべきなんですが、今の日本の経営者には期待できそうにないです。

  • コルセアがSamsungメモリを多く採用してるといった話は聞いたことありません。むしろHynixが一番多い気がします。

  • Samsungのメモリは探しても少ししか出ないのですが、主にどこへOEM供給しているのでしょうか?

    • 自分が調べた限りでは、SamsungのOEM先はG.Skill / Corsair / TeamGroup / Kingstonのオーバークロックモデルに多いようです。
      海外の掲示板(Reddit)に、Thaiphoon Burnerを使って型番ごとに調べ上げたデータがアップされているので、そちらを参考にすると良いと思います(1年前の情報なので参考程度に)。

      参考:Clearing up any Samsung B-Die confusion

    • 見てきたけど産業用・車載用・組み込み用がメインでしかもレガシーなSDRAMが主力みたい

      DDR4みたいな高性能・大容量がいらないものって結構あるしそういうニッチに特化してるようだ

  • 最近は中国の紫光集団系でCXMT製のメモリが出てきてるっぽいですね。DDR4は見てないですが、激安のDDR3とかがそうみたいです。

  • Nanyaは台湾に新しくEUVを採用した10nmクラスの先端DRAM製造工場をオープンさせたそうです。韓国勢の独占を崩して欲しいと思っています。Nanyaの部分の記述を更新していただけると嬉しいです。

  • ちもろぐ読者 へ返信する コメントをキャンセル

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