「SK hynix P41 Platinum」は、サムスンにつづく業界シェア2位のSK hynixが自社でコントローラ・DRAM・NANDを製造開発しているNVMe SSDです。
サムスンの980 PROやWestern DigitalのSN850に対して、どれほどの優位性を示せるか。実際にベンチマークして確かめましょう。
(公開:2022/8/1 | 更新:2022/8/1)
SK hynix Platinum P41【仕様】
SK hynix Platinum P41 スペックをざっくりと解説 | |||
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容量 | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
インターフェイス | PCIe 4.0 x4(NVMe 1.4) | ||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | ||
コントローラ | SK hynix Aries | ||
NAND | SK hynix 176層 3D TLC NAND | ||
DRAM | SK hynix LPDDR4 | ||
SLCキャッシュ | 非公開 | ||
読込速度 シーケンシャル | 7000 MB/s | 7000 MB/s | 7000 MB/s |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 4700 MB/s | 6500 MB/s | 6500 MB/s |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | ||
読込速度 4KBランダムアクセス | 960K IOPS | 1400K IOPS | 1400K IOPS |
書込速度 4KBランダムアクセス | 1000K IOPS | 1300K IOPS | 1300K IOPS |
消費電力(最大) | 7.5 W | 8.3 W | 8.3 W |
消費電力(アイドル) | 非公開 | ||
TBW 書き込み耐性 | 500 TB | 750 TB | 1200 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 150万時間 | ||
保証 | 5年 | ||
MSRP | $ 105 | $ 150 | $ 260 |
参考価格 | 13900 円 | 20900 円 | 36900 円 |
GB単価 | 27.8 円 | 41.8 円 | 36.9 円 |
SK hynix Platinum P41は、SK hynixが自社で製造するPCIe 4.0対応の超高速NVMe SSDです。
自社の12 nmプロセスで製造されるARM Cortexベースの独自コントローラ「SK hynix Aries」を、NANDに176層まで積み上げた3D TLC NANDを搭載します。
176層といえば、MicronのB47R FortisFlashが有名(Seagate FireCuda 530など)ですが、ようやくSK hynixも追いついた形です。ただし、Micronはすでに232層の実用化にこぎつけています。
DRAMキャッシュは省電力性に優れたLPDDR4メモリを搭載、もちろんSK hynixが自社で製造するDRAMメモリです。
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
---|---|---|---|
SK hynix Platinum P41 | 500 TBW | 750 TBW | 1200 TBW |
FireCuda 530 (FireCuda 530:レビュー) | 640 TBW | 1275 TBW | 2550 TBW |
CFD PG4VNZ | 350 TBW | 700 TBW | 1400 TBW |
Plextor M10PGN | 320 TBW | 640 TBW | 1280 TBW |
Crucial P5 Plus | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 980 PRO (980 PRO:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
WD Black SN850 (SN850:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
耐久性能評価(TBW)は、FireCuda 530につづく2番手です。
定番の980 PROと比較して、500 GBモデルで約1.67倍、1 TBモデルでは約1.3倍の耐久性です。2 TBモデルは大きな性能差はありません。
ライバル製品と価格設定の比較
シーケンシャル性能が6000 MB/s超えのハイエンドNVMe SSD同士で価格を比較。2022年7月時点、1 TBが約21000円、2 TBが約37000円です。
PCIe 4.0でトップクラスに位置する「FireCuda 530」とかなり価格が近く、苦戦を強いられる雰囲気をひしひしを感じます。
SK hynix Platinum P41を開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
今回レビューで使うサンプルはAmazonより、約17800円にて1 TBモデルを自腹で購入しました。
ふだんの価格だと約21000円でやや割高ですが、タイムセール時にかなりの頻度でセール値引きをしています。セール時に買えれば非常にお買い得です。
紫色のクリスタルが宇宙空間に浮かぶ独特のパッケージデザインです。
Amazonの販売ページいわく、国内正規保証品とのことですが、代理店のシール等は貼られていません。
説明書、保証書が同封されています。プラスチック製のケースにSSD本体がすっぽりと収まっています。
基板コンポーネント
マットブラック塗装の基板上に、SSDを構成する3つのコンポーネントが配置され、コンポーネントを覆い隠すようにシールが貼ってあります。
メーカーの保証規定によると、ラベルの損害や改ざんをすると製品保証を適用できないとのこと。M.2ヒートシンクを装着する際は、シールを剥がさずにそのままヒートシンクを付けた方が安全です。
基板の裏側にコンポーネントはありません。製品ナンバーやシリアルナンバーが印刷されたラベルだけが貼られているのみ。
コンポーネントが片側にしか実装されていない、シンプルな片面実装のNVMe SSDです。ノートパソコンやゲーム機(PS5など)、取り付けスペースが狭いハードに増設しやすいです。
シールを剥がして基板のコンポーネントを目視で確認します(※真似をしないでください、5年の製品保証が切れます)。
- コントローラ:SK hynix Aries
- DRAM:SK hynix LPDDR4-4266 1GB
- NAND:SK hynix 176層 3D TLC NAND(512 Gb)
SSDコントローラはSK hynix社の「Aries」を搭載。SK hynixは詳細を明らかにしていませんが、おそらくARM CortexベースのSoCです。製造プロセスは12 nmで、Phison PS5018-E18とほぼ同じ。
Phison製コントローラと比較すると、パッケージサイズ(面積)が広く、放熱性で有利です。
DRAMはSK hynix製「LPDDR4-4266(1024 MB)」を搭載。刻印はH54G36AYRBです。
NANDメモリはSK hynix製「176層 3D TLC NAND」を搭載(刻印はH25T2TC88C)。88層のNANDを2段重ね(2スタック)にして176層を実現しています。
SK hynixの176層NANDの記憶密度は10.8 Gbit/mm2で、ライバルのMicron(B47R Forits Flash)やWD東芝連合(KIOXIA BiCS6)をやや上回る水準に。
※記憶容量が上がれば上がるほど、少ないNANDチップで大容量を実現できる一方、並列化できる数も減ってしまうため結果的に書き込み性能が悪化する傾向があります。詳しくはWD Blue SN570のレビューにて。
SK hynix Platinum P41の性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
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CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | NZXT X63280 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | SK hynix Platinum P41 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 471.41 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@144 Hz使用モデル「DELL G3223Q」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/s超のSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.4
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「SK hynix Platinum P41(SHPP41-1000GM)」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
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テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度が約7400 MB/sに迫り、書き込み速度は6500 MB/s超えでシーケンシャル性能は公称スペック以上です。
テストサイズを64 GiBまで引き上げても、シーケンシャル書き込み性能がわずかに下がるだけで、ほぼ同じ性能を維持します。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。
SK hynix Platinum P41は47.04 μsで、競合する他のPCIe 4.0 SSDと互角の水準です。
書き込みレイテンシも非常に高速で、Samsung 980 PROを上回ります。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は7000 MB/s前後でピークに達したあと、安定した性能を維持します。980 PROやSN850を上回るシーケンシャル読み込み速度を示します。
書き込み速度はピーク時に6000 MB/s前後に達します。980 PROやSN850よりも一貫してPlatinum P41の方が書き込み性能が高速です。
ただし、ATTO Disk Benchmarkのテストは基本的にキャッシュ範囲内に収まる内容ゆえに、上記のテスト結果だけでは本当の性能をまったく判断できないので注意が必要です。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、約100 GB書き込んだあたりで書き込み速度が1500 MB/sにまで落ち込みます。
やはり176層まで積み上げた3D TLC NANDを持ってしても、書き込み性能を維持するのは至難の業です。過去にレビューしてきた980 PROやFireCuda 530も同様の傾向でした。
SK hynix Platinum P41を実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
ロード時間は「7.33 秒」で、980 PROやSN850とまったく互角です。同じ176層NANDのFireCuda 530は6秒台でさらに速い領域に達しています。
ファイルコピーの完了時間
Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量62 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
書き込み(980 PRO → SK hynix Platinum P41)速度はおおむねシーケンシャル性能に従った結果ですが、ゲームフォルダ(62 GB)の書き込みだけは、SN850やFireCuda 530に対して大きく遅れを取ります。
Secure Eraseで初期化してテストをやり直しても、結果はほとんど変わらず。
次は読み込み(SK hynix Platinum P41 → 980 PRO)のコピペ時間です。
ゲームフォルダ以外なら、シーケンシャル性能に沿った結果が出ており、SN850やFirecuda 530と互角の速さ。なぜかゲームフォルダのコピーだけが目立って遅いです。
テストに用意したゲームフォルダに、SK hynix Platinum P41と極端に相性の悪いパターン(ファイルの分布や細かさ)が入っているのかもしれません・・・。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
4Kプレビューのドロップフレーム率は24%台です。ランダムリード性能が速いため、20%を割り込むかと思いましたが、実際にはSN850や980 PROに一歩遅れた位置にとどまります。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)。
SK hynix Platinum P41のストレージスコアは「2918点(空き容量20%時)」です。空き容量100%なら3769点で、ライバルたちを大幅に上回るスコアです。
同じ容量で比較すると、既存のライバルたち(SN850や980 PROやFireCuda 530)を超えるトップクラスに位置します。
これまでのテスト結果を見るに、SK hynixがPCMark 10に最適化している可能性は否定できないですが、基本性能がある程度高くなければハイスコアを出すのは無理です。
既存のライバルと十分に競争できる性能の持ち主を考えていいでしょう。
Adobe系ソフト、ゲームロード時間の評価スコア、ファイルコピー性能のスコア、Microsoft Office系ソフトの評価スコア。それぞれの実用性能スコアは以上の通りです。
Adobeスコア、ゲームロードスコア、OfficeスコアでSK hynix Platinum P41が最高のスコアを示します。一方、ファイルコピーは大きく遅れを取ってしまい、970 PROをやや上回る水準に。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
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Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
競合するPCIe 4.0対応NVMe SSDと比較したグラフです。
テスト開始直後は平均4350 MB/s前後の性能で推移し、キャッシュが切れると平均2240 MB/s程度まで下がります。SN850とFireCuda 530より若干高速で、980 PROにわずかに劣る性能です。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。
15分間の書き込み量で見ると、Samsung 980 PROがトップです(1 TBモデル)。SN850とFireCuda 530とは、ほとんど性能差がありません。
なぜこれほどまで書き込み性能に差がつかないのか、NANDメモリの記憶容量を以下にまとめました。
- 980 PRO:112層3D TLC NAND(256 Gb)
- Platinum P41:176層3D TLC NAND(512 Gb)
- SN850:96層3D TLC NAND(256 Gb)
- FireCuda 530:176層3D TLC NAND(512 Gb)
答えはとてもシンプルです。3D NANDの積層数を高く高く積み上げても、記憶容量もセットで高くされるとトータルの書き込み性能が犠牲になります。
たとえば、100層から200層まで積層数を増やして性能が1.5倍になっても、記憶容量が256 Gb → 512 Gbに倍増するとトータルの書き込み性能は25%の低下です。
その代わり同じ容量を達成するのに必要な部品(NANDメモリ)が半減するため、高積層化による製造コスト増を相殺でき、販売価格を抑えられるメリットがあります。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは2つです。
- Drive Temperature:NANDの温度
- Drive Temperature 2:SSDコントローラの温度
まさか温度が2つ表示されるなんて・・・。一般的に、SSDコントローラはNANDメモリより発熱が激しいため、たいていのメーカーはNANDメモリの温度だけを表示する仕様です。
今回のSK hynix以外で温度センサーを2つ搭載するメーカーは、筆者が実際に見て知っている限りサムスンのみ。良心的で良い仕様です。
ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。
テスト開始5分でSSDコントローラの温度は90℃近くまで達し、同時にサーマルスロットリングらしき性能の低下も見られます。キャッシュ切れで平均2250 MB/s前後、温度保護が発動すると1000 MB/sまで下がります。
次はサーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。
- SSDコントローラ:85 ~ 86℃
- NANDメモリ:73 ~ 78℃
HWiNFOに表示される数値とおおむね一致しています。NANDメモリの表示温度はなぜか低めに出ています。
M.2ヒートシンクの必要性は人によりますが、SK hynix Platinum P41では明らかなサーマルスロットリングが発生してしまうため、性能を維持するならヒートシンク推奨です。
特に高画質な録画(4Kゲーム配信)など、SSDに対して継続的な書き込みを行う用途ではM.2ヒートシンク必須といっていいでしょう。
最近のマザーボードはM.2ヒートシンクが付属しています。わざわざ買わなくても付属のヒートシンクを取り付けておけば基本的に大丈夫です。
ただし、M.2スロットの位置によって注意が必要です。特にグラフィックボードの排熱をもろに受ける位置だと、まったく冷えない場合があり、「アドインカード」タイプのヒートシンクも選択肢のひとつです。
まとめ:トップクラスの実用性能ですがコスパはセール次第
「SK hynix Platinum P41」のデメリットと弱点
- 7400 MB/sのメリットは限定的
- 空き容量による性能変化あり
- ファイルコピー性能はライバルを圧倒できない
- 高負荷時の発熱が激しい
- サーマルスロットリングあり
「SK hynix Platinum P41」のメリットと強み
- 最大7400 MB/sのシーケンシャル性能
- 広大なSLCキャッシュ(100 GB以上)
- 高速なランダムアクセス速度
- かなり速いゲームロード時間
- 必要十分な耐久性(500 ~ 1200 TBW)
- コストパフォーマンスが高い
- 5年保証
SK hynix Platinum P41は、サムスンやMicronにつづく完全自社製造のNVMe SSDです。
全体的なパフォーマンスは非常にハイレベル。実用性能においては、WD Black SN850やSamsung 980 PROなど名だたるライバルを抑えています。
一部のファイルコピー性能でライバルたちに一歩遅れを取っているのは目立った弱点ですが、ファイルコピー性能さえ気にしなければ、現状のPCIe 4.0 SSDの中で最高峰の実用性能です。
とはいえ実用性能の性能差もSN850やFireCuda 530とかなり僅差であり、定価で比較してしまうとコストパフォーマンスも目立って高いわけではありません。
セール時の値段(1.7~1.8万円)なら、文句なしの性能です。
ちもろぐの個人的な評価は「A+ランク」で決まりです。
以上「SK hynix P41 Platinumをレビュー:SN850や980 PROを超える実用性能」でした。
innocnで27インチHDR1000のモニターが発売されましたがレビュー予定はありますか?
https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=10523723051&linkCode=ll2&tag=amaikill-22&linkId=c9e0eab9e0d4da045b1f02d0a2fff0be&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl
よろしくお願いします
Gold p31も可能ならレビューお願いします
海外のレビューによると、クルーシャルP5plusといい勝負らしいです。
韓国のレビュー
https://youtu.be/H9dfAw2SGdE
消音、字幕を消して数字を見る事を
オススメします。
上位はどれ買ってもいいから好きな会社のでいいのか
それにしても小学生だって一言入れられるのに製品テストへの労いもなく自分勝手な要求しかできない人の多いことか
まともな日本語の文章も書けないのか
内容に反論するんじゃなくて揚げ足取りしてる辺り図星ですね……
レビュー記事、有難うございます。大変助かります。
先日、知人のPS5にこのSSDを勧めて増設してあげたのですが、「SK hynix?」と
未だに不安視していますので、この記事をもって納得させて頂きます。
レビューありがとうございました。
お疲れ様です、スペック表の”GB単価”行が多分割り算抜けになっています
TBWが容量比例ではないのが少し気持ち悪いのを除けば、DRAM cache搭載の上級ランクとして普通に選択肢に上る品だと分かりました
SSDでは比較的後発メーカーとは言え、さすがはメモリの老舗ですね
それにしても、遅く出た方のキャッシュ切れテストでも今は1000MB/sですか
これが特に優れている訳でもないようなので、NVMe SSD全体の進化はすごい
既に他の方も言われてますが、Gold P31も是非今後のレビュー期待してます!
発熱やコスパを考えるとPCIe3.0クラスもエンドユーザー需要は高いと思われるので…
SSDレビューほんとありがたいです
このサイトのおかげでFireCuda530買ってめちゃ満足してます
ここまできたら最後の自社製SSDたるP5 Plusもレビューして頂上決戦してほしいです!
AsrockのMBとNVME SSDの相性問題があるみたいですね。
https://pcnomori.blog.fc2.com/blog-entry-578.html
私のMBはAsrockのB450 Pro、SSDは本品(SK hynix Platinum P41)ですが、BIOSで認識しないことを確認しました。
どうもAsrock側の不具合らしいのですが、この程度だとリコール出ませんね。無念。
この記事が書かれてから1年2か月後…
1TBではなく2TBがAmazonのセールで15,400円で買えるとは…
1年前の時点でもPCIe 4.0 SSDはかなり煮詰まってきている製品でしたから、今これが安く買えるのは有難いですね。PCIe 5.0 SSDは爆熱+未成熟ですしね。
スコアはすこーしだけP44 Proの方が良いみたいですが、(謎のファイルコピーの遅さ以外は)体感できないでしょうし。
TRIM切ってると速度低下するみたいなことで話題になってますね