スマホより小型軽量なのに容量たっぷり2TB、性能は最大1050 MB/sを叩き出す高性能なポータブルSSD「Crucial X8」をレビュー。
ゲーム機やゲーミングPCの手軽なSSD追加に魅力的な、Crucialブランド初のハイエンドポータブルSSDをくわしく検証します。
Crucial X8のスペックと仕様
スペック | Crucial X8 | ||
---|---|---|---|
容量 | 500 GB | 1000 GB | 2000 GB |
インターフェイス | USB 3.2 Gen2 (10 Gbps) | ||
コントローラ | Silicon Motion SM2263 | ||
NANDフラッシュ | Micron製64層 3D QLC NAND | ||
DRAMキャッシュ | Micron製 DDR4 | ||
読み込みシーケンシャル | 1050 MB/s | ||
書き込みシーケンシャル | ? | ||
サイズ | 110 x 53 x 11.5 mm | ||
重量 | 101 g | ||
保証 | 3年 | ||
TBW書き込み耐性 | メーカー公称値なし | ||
MSRP希望小売価格 | $ 119.95 | $ 149.95 | $ 307.00 |
参考価格 | 15980 円 | 23180 円 | 45980 円 |
GB単価 | 32.0 円 | 23.2 円 | 23.0 円 |
「Crucial X8」は、マイクロン社のCrucialブランドでは初めての、USB 3.2 Gen2(10 Gbps)対応のポータブルSSDです。メーカー公称値で最大1050 MB/sの読み込み性能をアピールします。
一方で、書き込み性能についてはスペックに一切くわしい数値は記載されていません。中身に入ってるSSDが「Crucial P1(= QLC NAND採用)」とされており、具体的な性能を記載しづらいのでしょう。
ライバル製品と価格比較
同じスペック(USB 3.2 Gen2対応で最大1050 MB/sをアピール)のポータブルSSDと、価格比較をまとめました。
Crucial X8の価格設定は際立って安いわけでもなく、高いわけでもない、ごく普通の価格設定です。海外価格だとコスパの良い値段をしているのですが、国内価格だと普通クラスです。
開封 & デザインをレビュー
パッケージと付属品
パッケージはいつもどおりクルーシャルらしい、紺色の背景に白いフォントです。
引っ張り出して中身を取り出すタイプのパッケージ。本体はプラスチックの薄いスペーサーに収まっています。
- Crucial X8(2TB)本体
- USBケーブル
- 説明書
付属品は、必要最低限の内容です。
USBケーブルは「USB 3.2 Gen2(Type-C)」で、Type-Aに変換するためのコネクタが付属します。なお、Type-CとType-Aどちらで接続しても、パソコン側が10 Gbps対応なら最大1050 MB/sで使えます。
ただ、写真を見てわかるとおり・・・付属のケーブルは長さがとても短いです。取り回しに不便を感じるなら、他社製のUSB Type-Cケーブルをおすすめします。
アルミ製のシャーシは頑丈かつ高級感
デザインはマットブラック塗装の、アルミニウム製シャーシです。ザラッとひんやりした触り心地で、価格が高い分だけシャーシの高級感は悪くないです。
反対側も同様です。Crucial by Micronのロゴが白いフォントでシンプルにデザインされてます。左右の端は硬いゴムラバーで強度を高めています。最大2メートルの落下に耐えられるとのこと。
接続コネクタは「USB Type-C」です。挿し込み口はグラつきもなく、USBをしっかりと挿し込みできるので安心感があります。
小型で軽量、重さはわずか101グラム
長さが110 mm、横幅が53 mmと十分にコンパクト。Samsung T7シリーズより若干大きく、SanDisk Extreme Pro Portableとおおむね同じサイズ感です。
厚みは11.5 mmです。最大1050 MB/s対応のポータブルSSDとしては、もっとも分厚いですが、厚みがあり重量が多い分だけ耐久性も良さそうです。
2 TBモデルの重量は101 gでした。
スマートフォンと比較すると、Crucial X8のコンパクトさがよく分かります。
M.2 SSDとSATA SSDも比較してみた。Crucial X8はトップクラスの小ささでは無いものの、「ポータブルSSD」を名乗るに十分なコンパクトさと軽量を兼ね備えています。
Crucial X8の性能をベンチマーク
テスト環境
テスト環境 | |
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CPU | Core i9 10900K |
冷却 | 虎徹Mark II |
マザーボード | ASUS ROG STRIX Z490-E GAMINGBIOSは「0403」を使用 |
メモリ | DDR4-2666 8GB x2 |
グラフィックボード | RTX 2060 |
SSDテスト対象 | Crucial X8 2TB |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 |
OS | Windows 10 Pro 64bit使用バージョンは「1909」 |
ちもろぐ専用ベンチ機(自作パソコン)のUSB 3.1 Gen2(10 Gbps対応)コネクタに挿し込み、Crucial X8(2 TBモデル)の性能をテストします。
Crucial X8をパソコンに接続すると、すぐに使用できる状態です。特にこれといったフォーマットをする必要はありません。
空き容量は「1.81 TB」です。表記上は2 TBの容量でも、パソコン側では1 KB = 1024バイトとして認識されるため、実際に使える容量は1.81 TBになります。
初期フォーマット形式は「exFAT」です。WindowsとMacのどちらでも、何も設定せずに最初から認識します。
なお、PS4でゲームを起動する用に使う場合は、exFATだと無理なので以下の記事を参考にフォーマットし直してください(※単なるバックアップドライブとして使うならexFATで大丈夫)。
Crystal Disk Info
Crystal Disk InfoでSSDの情報をチェック。基本的なステータス(SMART)が表示されています。SSDの温度、書き込み容量なども確認できます。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark 7で、SSDの性能を確かめます。テストサイズが1 GiBだと、読み込みは1056 MB/s、書き込みがなんと992 MB/sでスペック以上の性能です。予想よりずっと高性能です。
テストサイズを32 GiBに変更してテストしても、読み込みは1067 MB/sで問題なし。書き込みは約1022 MB/sを叩き出し、大きいファイルを書き込んでも性能がほとんど変化しません。
長さ180 cm(1.8 m)のUSBケーブル「Anker PowerLine+」を使って、Crucial X8を接続してCrystal Disk Markをテストしてみた。
付属のケーブルよりわずかに性能が下がるだけで、実用上はまったく問題ありません。
というかAnker PowerLine+は5 Gbps対応のケーブルなのに、なぜか10 Gbps相当の性能が出ていますね。さすがのAnkerと言うべきか、スペック表記がテキトーなのか・・・。
HD Tune Pro
思っている以上にCrystal Disk Markの結果が良いので、次はHD Tune Pro(有料のベンチマークソフト)を使ってCrucial X8の性能を徹底的に調べます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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1~2枚目のテストでは、なぜかCrucial X8の性能が100%発揮できないようです。3枚目のテスト(サイズは100 GB)だと、読み込みは1008 MB/s、書き込みは966 MB/sを維持しており優秀な性能です。
100 GBのファイルテストで性能が微動だにしないので、普通に使っていて性能の低下が問題なることは、ほぼ無いでしょう。
ファイルコピー速度
容量53.5 GBのデータを使って、ファイルコピーの速度を計測します。
読み込みは870 MB/s前後で、とても安定しています。書き込みも700 MB/s前後をキレイに維持したまま、53.5 GBのコピーを完了。性能の安定感は予想以上です。
15分間の連続書き込みテスト
せっかくなので「15分書き込みテスト」も行います。1つあたり約1 MBのテストファイルを、15分間ただひたすら書き込み続ける、かなり過酷でハードな検証方法です。
ほとんどのSSDは、数分以上の連続書き込みで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無、キャッシュの大きさ、キャッシュが切れた後の性能低下など。SSDの挙動がいろいろと判明して楽しいですよ。
キャッシュ段階 | SLCキャッシュサイズ | 書き込み速度(平均) |
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SLC(1段階) | 270.9 GB | 822.01 MB/s |
素の性能 | 0.0 GB | 170.98 MB/s |
Crucial X8(2 TBモデル)は約271 GBまで、822 MB/s前後の書き込み速度を維持します。キャッシュが切れたあとは、171 MB/s前後の書き込み速度に落ち込みます。
15分のテスト時間でおよそ360 GBもデータを書き込みました。
ほとんどのユーザーは270 GBどころか、100 GB以上のファイルを扱うこと自体が珍しいはずです。Crucial X8の271 GBもの広大なキャッシュがあれば、めったに不便しません。
ゲームのロード時間
FF14:紅蓮のリベレーター(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
Crucial X8のゲームロード時間は「10.82 秒」です。内蔵型SSDと比較するとどうしても劣っていますが、ポータブルSSDとしては十分に速いです。
PS4やPS5など、ゲーム機の拡張ストレージはもちろん、SteamやBattle.netなどPCゲームのデータ置き場としても余裕で使えます。
SSDの温度をチェック(15分テスト)
サーモグラフィカメラを使って、15分間の書き込みテストが終わったあとに、Crucial X8の表面温度を撮影しました。
結果、テスト前に35~36℃だった温度は、15分で44~45℃に上昇。手で触るとほんのり暖かいカイロのような温度です。アルミ製シャーシの放熱性は問題なし。
Crystal Disk Infoで温度をチェックすると、35℃ → 54℃に上昇しています。やはりCrucial X8のSSD温度は余裕です。
まとめ:手軽な外付けゲーム用ストレージに最適
「Crucial X8」の微妙なとこ
- 中身はQLC NAND SSD
- キャッシュが切れると書込速度が遅い
- 付属のケーブルが短い
Crucial X8は弱点は、中身にQLC NAND SSD「Crucial P1」を採用したことです。QLC NANDはキャッシュが切れると書き込み性能が大きく下がってしまうので、用途を選びます。
読み出しメインのゲームや動画視聴なら問題ありませんが、デジカメや一眼レフで撮影した高解像度な映像データを保存したい。などなど、書き込みメインの使い方だと相性が悪いです。
「Crucial X8」の良いところ
- コンパクトで軽量
- アルミ製の頑丈なケース
- 最大1050 MB/sの高速性能
- 約270 GBものSLCキャッシュ
- 高負荷時でも大人しい温度
- 落下と衝撃にとても強い
- ゲーム用ストレージに相性良し
- 3年保証
Crucial X8の弱点は書き込み性能、と説明しました。しかし、今回のテストでCrucial X8(2 TB)のキャッシュはなんとビックリ、約271 GBもあります。
271 GBはそうそう簡単に使い切れるキャッシュ容量ではないです。最近はゲーム1本で100 GB超えの時代。それでも、271 GBものキャッシュがあれば十分に吸収できます。
なお、キャッシュが切れたあとの性能(約171 MB/s)ですら、安価なポータブルSSDやポータブルHDDを上回る性能です。Crucial X8はほとんどの人にとって満足できる性能を提供できています。
ゲーム機の外付けストレージ、PCゲームの持ち運びストレージなど。「Crucial X8」はゲーム中心の使い方に最適なポータブルSSDです。
以上「【小型軽量で高速2TB】Crucial X8をレビュー:1050MB/sのポータブルSSD」でした。
「Crucial X8」を購入する
Crucial X8は容量500 GB / 1 TB / 2 TBの3モデルをラインナップ。日本国内ではAmazon.co.jpで購入できます。
Xiaomi!?