Western Digitalがサムスンの980 PROに対抗するべく投入した「WD_BLACK SN850」をレビュー。
スペック上はどちらも似た者同士ですが、SN850は実用性能で980 PROを打ち負かすらしいです。微妙に信じがたいので、本記事で980 PROとSN850を競わせます。
WD Black SN850【仕様】
WD Black SN850※ スペックをざっくりと解説 | |||
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製品名 | SN850 500 GB | SN850 1 TB | SN850 2 TB |
容量 | 500 GB | 1000 GB | 2000 GB |
インターフェイス | PCIe 4.0 x4(NVMe 1.4) | ||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | ||
コントローラ | WD_BLACK G2(SanDisk) | ||
NAND | Kioxia BiCS4 96層 3D TLC NAND | ||
DRAM | DDR4(メーカー不明) | ||
512 MB | 1024 MB | 2048 MB | |
SLCキャッシュ | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
読込速度 シーケンシャル | 7000 MB/s | 7000 MB/s | 7000 MB/s |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 4100 MB/s | 5300 MB/s | 5100 MB/s |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
読込速度 4KBランダムアクセス | |||
書込速度 4KBランダムアクセス | |||
消費電力(最大) | 2.9 W | 2.9 W | 2.9 W |
消費電力(アイドル) | 5 mW | 5 mW | 5 mW |
TBW 書き込み耐性(準拠 : 不明) | 300 TB | 600 TB | 1200 TB |
保証 | 5年 | ||
MSRP | $ 150 | $ 230 | $ 450 |
参考価格 | 15980 円 | 24980 円 | 56800 円 |
GB単価 | 32.0 円 | 25.0 円 | 28.4 円 |
※製品の表記としては「WD_BLACK SN850」が正しいですが、本記事では普通に「WD Black SN850」と記載します。
WD Black SN850のスペックは、具体的な数値が一部明らかにされていない部分が多いです。
980 PROでは具体的に開示されていた、SLCキャッシュのサイズやキャッシュ超過後の書き込み速度、さらに4KBランダムアクセス(QD1)性能すら非公開です。
一応、国内の著名なメディアも確認しましたが詳しいデータは得られず。どうやらメディア向けのデータシートでも、Western Digitalは詳しい数字を開示していないようですね・・・。
980 PROとSN850(1 TB)の比較表を以下にまとめました。
1 TBモデルで両者を比較 | ||
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SSD | SN850 | 980 PRO |
NAND | 96層 TLC NAND | 128層 TLC NAND |
SLCキャッシュ | 非公開 | 114 GB |
読込速度 シーケンシャル | 7000 MB/s | 7000 MB/s |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 5300 MB/s | 5000 MB/s |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | 2000 MB/s |
TBW 書き込み耐性 | 600 TB | 600 TB |
MSRP | $ 230 | $ 230 |
参考価格 | 24980 円 | 24980 円 |
SN850はキオクシア(旧東芝メモリ)製の「BiCS4」シリーズを採用します。96層まで積み上げたTLC NANDで、特にこれといって目新しい製造技術ではありません。
キャッシュ有効時の書き込み性能は5300 MB/sと、980 PROより300 MB/s高い数値です。しかし、肝心のキャッシュサイズと超過後の性能は非公開ですので、スペックだけでは優劣を判断できません。
傾向的に、NANDメモリの積層数が高いほど素の性能を維持しやすいです。キオクシアの96層とサムスンの128層、どちらが高性能かは後ほど・・・書き込みテスト(15分)を行って検証します。
「SN850」の技術的な進化ポイントは?
- 16 nmプロセスによる新型コントローラ
SN850を構成するコンポーネントのほとんどが、目新しいところは何もない既にあるモノの続投です。96層NANDは前からありますし、DRAMも普通のDDR4メモリ。
唯一更新されたのがSSDコントローラです。Western Digital傘下のSanDiskが開発した「WD_BLACK G2」コントローラは、TSMCの16 nmプロセスで製造されています。
従来の28 nm製コントローラより発熱を抑えられる分、さらなる高性能化を実現可能です(※データシートが非公開なのであまり解説できない・・・)。
ライバル製品と価格設定の比較
PCIe 4.0 x4接続(最大7000 MB/s)のNVMe SSDとしては、十分に競争力のある価格設定です。1 TBモデルはライバルの980 PROとまったく同じ。
しかし、2 TBモデルだけは980 PROより8000円も高いです。北米価格はどちらも449.99 ドルですので、ITGM(サムスン代理店)よりケミック(WD代理店)の方がマージンを多く盛ってます。
WD Black SN850を開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
マットブラックな背景に「WD_BLACK」とロゴが描かれたインパクトのあるパッケージデザインです。
下位モデルのSN750と基本的によく似たデザイン。SN850ではオレンジ色がアクセントに追加されています。
パッケージの表と裏です。代理店のシールなどは貼られていません。
中身はプラスチック製のケースのみ。ケースにSN850が収納されていて、ケースとSSDの間にマニュアルや保証書が同封されている形式です。
基板コンポーネント
マットブラック塗装の基板上に、SSDを構成する3つのコンポーネントが配置されています。
- SSDコントローラ:WD_BLACK G2(SanDisk)
- DRAMキャッシュ:DDR4メモリ(1024 MB)
- NANDフラッシュメモリ:KIOXIA製 96層 3D TLC NAND
- NANDフラッシュメモリ:KIOXIA製 96層 3D TLC NAND
コンポーネントの内容は以上の通り。Western Digital自身にSSDを製造する能力はないため、各種コンポーネントは傘下企業や他のメーカーから入手します。
SSDコントローラはWD傘下のSanDiskが開発し、TSMCが16 nmプロセスで製造。DRAMはMicronまたはNanya製のDDR4メモリ。NANDはキオクシア(旧東芝メモリ)の「BiCS4」です。
基板の裏面はコンポーネントなし。スペックに記載どおり「片面実装」のM.2 SSDです。サムスン製品で見られる放熱シールも、SN850では貼られていません。
裏面に貼っても意味はない、というWestern Digitalの意思表示でしょうか。実際、980 PROの放熱シールもおまじない程度のモノですし、何も貼っていないのも正しいかも。
WD Black SN850の性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
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CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | Corsair H100i Pro RGB240 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | WD Black SN850 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 461.40 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@60 Hz使用モデル「BenQ EL2870U」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/sのSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
コメント欄にて「15分テストはサーマルスロットリングの影響があるのでは?」と指摘を頂いたので、ここにテスト時の冷却状況について追記します。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.4
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「WD Black SN850(1 TB)」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
「Game Mode」の設定について
- Western Digital Dashboard(公式サイト)
Western Digital用SSDの純正ユーティリティ「Dashboard」から、SN850独自のゲームモードを変更できます。出荷設定の「オフ」から「オン」に変更して、ベンチマークすると↓
ゲームモードの効果は圧倒的です。シーケンシャルだけでなく、ゲームモードらしく4KBランダムアクセスまで高速化します。
ゲームモードの方が高性能だと分かったので、今回のレビューではゲームモードを有効化して各ベンチマークを行います。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
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テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度は余裕で7000 MB/sオーバー、書き込み速度も5300 MB/sを超えていて、メーカー公称値に書いてある性能を発揮します。
4KBランダムアクセスもライバルの980 PROとほとんど変わらないレベルで高速で、書き込みに至ってはなんと300 MB/sオーバー。Intel Optaneや983 ZETすら上回る凄まじい応答時間です。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較です。
読み込みレイテンシは44.24 μsで、980 PROとほぼ互角。一方、書き込みレイテンシは12.23 μsと過去最速の応答時間を記録。Optane 905Pより速くて驚きました。
新型コントローラ「WD_BLACK G2」は驚くべき速さ・・・というより、SLCキャッシュの展開が神業的な領域に突入してそうな予感。96層NANDの速さとは思えません。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は6700 MB/s前後でピークに達します。さすがPCIe 4.0 x4接続のパワー、PCIe 3.0に縛られている970 PROや983 ZETをかんたんに超える性能です。
書き込み速度も傾向はほぼ同じ。ピーク到達後は5200 MB/s前後の書き込み性能です。SN850はシーケンシャル系のシンプルなベンチマークで、ちゃんと性能を発揮します。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、250 GB全部書き込んでも性能の変化が見られません。
理論上、空き容量が1 TBあればSLCキャッシュは最大で333 GBまで展開可能です。250 GBですら書き込み性能が落ちないことから、SN850はかなりダイナミックにキャッシュサイズを動かすと予想できます。
WD Black SN850を実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:漆黒のヴィランズ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
WD Black SN850のロード時間はたった「6.85 秒」です。970 PROよりも速く、ライバルの980 PROとほぼ互角のロード時間。ランダムリードの速さが効いてます。
ファイルコピーの完了時間
「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量65 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
読み込み(SN850 → 980 PRO)は問題なく速いです。なお、980 PROを1枚しか所有していないため、980 PROのデータはありません。
書き込み(980 PRO → SN850)もかなりの速さですが、容量128 GBの圧縮データ(.zip)のコピーは983 ZETの方が速いです。
容量128 GBならSN850の広大なキャッシュ展開で飲み込めるはず(HD Tune Proでは250 GB以上)ですが、実際のテストだと展開できるキャッシュサイズに差が出ている可能性が高いです。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
改善されたランダムリード性能とすさまじいシーケンシャル性能により、SN850のプレビュー性能はTLC NANDとは思えない安定性を見せます。
980 PROには若干追いついていないものの、キャッシュの使用状況や空き容量によってプレビュー性能はやや変動します。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合のテストも行いました(※2回:約2時間)。
実用性能のスコアは、端的に言って「驚異的」です。980 PROとそう変わらない性能を予想していただけに、SN850の凄まじい実用性能の高さは素直に評価できます。
空き容量を20%まで削減した状態ですら、空き容量100%の980 PROよりも高いスコアと応答時間、実効帯域幅を記録しています。
Adobe系ソフト、ゲームロード時間の評価スコア、ファイルコピー性能のスコア、Microsoft Office系ソフトの評価スコア。それぞれの実用性能スコアは以上の通りです。
Adobe系、ゲームロード、Office系は980 PROを上回ります。ファイルコピー性能は983 ZETや980 PROを抑えてのトップです。
なぜSN850が予想外のハイスコアを叩き出せるのか、理由はよく分かりません。少なくとも使われている素材は980 PROの方が格上ですので、SN850の勝因は新型コントローラでしょう。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
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Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
SN850と980 PROの比較グラフです。ようやくSN850の弱点が見えてきました。
やはりキャッシュ超過後の書き込み速度は、128層NAND採用の980 PROに軍配が上がります。HD Tune Proで250 GB以上あったはずのSLCキャッシュも、実際のテストでは138 GBしか展開できてません※。
※Western Digitalは具体的なキャッシュ仕様を公開していないため、個体差や使い方によって実際に展開できるキャッシュサイズは大きく違う可能性があります。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。最初の5分はSN850がわずかに多いですが、10分以降は980 PROがじわじわとSN850を引き離します。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは1つだけです。
- Drive Temperature:NANDの温度
一般的なSSDらしく、「NAND」の温度を表示します。
ヒートシンクとエアフローの無い環境で、SSDが発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。1枚目がSN850、2枚目は980 PROのグラフです。
テスト開始から1分20秒で温度は92℃に到達し、性能が上下に揺れまくるサーマルスロットリングを確認できます。980 PROより発熱は激しく、性能の乱れ方も派手です。
とはいえ、Western Digitalはヒートシンクを付けろとは言っていないので、このまま使っても問題はありません。性能上のデメリットを気にする場合のみ、別売りのM.2ヒートシンクをおすすめします。
せっかくの高性能を出し切る運用をしたい方は、M.2ヒートシンクをつけて、ケースファンなどでエアフローを当てれば完璧です。
なお、ヒートシンクを取り付ける際はSSDのシールはそのままで大丈夫。剥がすとわずかに冷えやすいですが、5年保証を失うリスクの方が怖いです。
※ヒートシンクをつけずに使っても保証に影響しませんし、別売りのヒートシンクを使っても大丈夫。シールさえ剥がさければ問題なし。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から2分あたりをサーモグラフィーカメラを使って撮影。
- SSDコントローラ:95~96℃
- NANDメモリ(右側):90~93℃
- NANDメモリ(左側):86~88℃
HWiNFOに表示される数値とおおむね一致します。HWiNFOに表示されないコントローラの表面温度は96℃・・・あの高性能を引き出すためとはいえ、なかなかの爆熱っぷりです。
まとめ:PCIe 4.0界における「実用性能の鬼」
「WD Black SN850」のデメリットと弱点
- 高負荷時のSSD温度は爆熱
- サーマルスロットリングあり
- 空き容量が少ないと性能が下がる
- 7000 MB/sのメリットは限定的
- 素の書き込み速度が遅い(980 PRO比)
- 2 TBモデルだけ異様に高い
SN850の目立った弱点は、高負荷時の「爆熱」と性能が乱高下するサーマルスロットリングです。せっかくの性能を活かすためには、別途M.2ヒートシンクとエアフローを必要とします。
もうひとつの弱点は980 PROと比較して、キャッシュ超過後の書き込み速度が遅いこと。TLC NAND SSDとしては驚異的な性能とはいえ、書き込み重視であれば980 PROを選んだほうが良いでしょう。
最後に価格設定について。980 PROの2 TB版が約4.8万円に対し、SN850の2 TB版は約5.7万円(+9000円)です。
「WD Black SN850」のメリットと強み
- PCIe 4.0 x4の上限「7000 MB/s」を拝めます
- 広大なSLCキャッシュ(100 GB以上)
- 高速なランダムアクセス速度
- ゲームロード時間はトップクラス
- 980 PROを超える実用性能
- 必要十分な耐久性(300 ~ 1200 TBW)
- 有用性の高い「ゲームモード」
- コストパフォーマンスOK
- 5年保証
全体的に見て、SN850は恐ろしく優秀なPCIe 4.0対応SSDと言わざるを得ないです。SN750(下位モデル)のパッとしない性能を思うと、SN850の性能は飛躍的な進化を遂げています。
素の性能は96層NANDで不利ですが、新型コントローラの巧みなキャッシュ展開(= 広大な可変型SLCキャッシュ)でうまく弱点を隠し、ライバル980 PROを超える実用性能を叩き出します。
1 TB版の価格は980 PROと同じで、コストパフォーマンスも良好です。
書き込みメインの方、2 TB版が欲しい方は980 PROをおすすめしますが、そうでないならSN850で間違いないと言えます。ちもろぐの個人的な評価は「A+ランク」で決まりです。
以上「WD Black SN850をレビュー:980 PROを実用性能で打ち負かす?」でした。
WD Black SN850を入手する
WD Black SN850はAmazonやツクモ通販、パソコン工房などで購入できます。500 GB版が約16000円、1 TB版は約25000円、2 TB版は約56800円です。容量単価が一番安いのは1 TB版です。
なお、レビューを書いた時点でパソコン工房がセール価格 & 2000ポイント還元(条件:1商品あたり2万円以上のパーツを購入)を開催しています。
ぼくも今回のレビュー用にWD Black SN850(1 TB)をパソコン工房で購入しました。SN850に興味ある方はパソコン工房を見てみてください
PCIe gen4 最速SSDのSN850と980PROのデータ公開ありがとうございます。
知りたかった内容です!
個人的には、1TB新品が1万円後半まで値下がりすれば購入したいところです。
2.5万円は確かに高いですよね…、Gen4 SSDが出た頃は3万円だったのが今では1.6~1.9万円ですから、そのうち7000 MB/s級のGen4 SSDも同じくらいの価格にならないかな~とうっすら期待してます。
ちもろぐは勉強になる!こんな素晴らしい教科書は他に無い
ヒートシンクつけてサーマルスロットリングなしの比較してほしい
サーマルスロットリングをなくせば足を引っ張るものがなくなるから、15分テストの結果も変わるかもしれない
たしかに記事中で説明していないので、15分テストでサーマルスロットリングを疑うのはまっとうな疑問ですね。説明不足でした。
15分書き込みテストに限らず(5分の温度テストだけ除外)、X570-E GAMING付属のM.2ヒートシンクを装着し、ケースファンでエアフローを当てた状態でテストしています。
なお、テストを行う順番は15分書き込みテストとHD Tune Proが最優先です。他のベンチをやってからだとSLCキャッシュの使用状況が変化してしまい、挙動が変わる可能性があるため最優先で行います。
※キャッシュが上手く開放されない場合は、Secure Eraseで出荷状態に戻してから再テストをする場合もあります。
おすすめのSSDでゲームモードのことちらりとも書いてなかったのでソレなしの記事かなって思ってたら寧ろゲームモード主体で書かれててビックリ。
電圧でこんなに変わるなら他のSSDも負荷かけたらそのSSDの最速の結果になるのかな?
980 PROがやっぱり速かった、ってことになったら笑う。
WD以外もアプリ作ってくれたらいいのに・・・
ゲームモードはSanDiskの新型コントローラ「WD_BLACK G2」独自の機能っぽいです。
念のため、980 PROにも似たような機能があったりしないか、サムスン純正ソフト「Samsung Majician」を入れてチェックしましたが・・・特にそれらしい機能は無かったです。
おすすめのSSDは、そもそも記事内容をまったく更新していないので、ゲームモードについて書いていないのは当然です。まだいくつかベンチマークを待っているGen4 SSDが残っているので、それらの記事が終わり次第、おすすめSSDも更新する予定です。
ゲームモードはPC WatchでのSN750でレビューで書いてあったから新型コントローラの独自ではないのでは。
その後におすすめのSSD書かれていたのでゲームモードあえて無視していたのか、書き忘れてるのかなと。まぁおすすめのSSD書かれた時に気づいてコメ打ってたらよかったんだろうけど追記するのも今更すぎるよね。
あと別のSSDでSLCモードで動くのがあるらしいですね、最近のSSDはアプリ機能も入れて検証しなくちゃいけないくて大変だけどMLC無くなってきたし、むしろもっと沢山いろんな機能をメーカーは作ってつけてほしい。
おすすめのSSD(+Gen4)楽しみにしています。
ADATAのGAMMIX S70のレビューもしていただけたらなー
購入候補だけど、話題にも挙がらないから心配で(;^ω^)
Marvellの中の人が起こした新興企業「InnoGrit」製コントローラが搭載されているらしく、個人的にちょっと不安を感じるコンポーネントなSSDですね…。
普通に実績のあるPhison + Micronな「PG4VNZ」の方が良さそう(※こちらは既に所有しててベンチマーク待ちです)。
こないだ出たPlextorのM10Pは、Read7000MB/secとSN850と同世代ではあるが
コントローラーがInnoGrit製なんですよね
他社より安いし、何か罠でもあるんでしょうか?
Marvellに務めていたZining Wu(吴子宁)は2016年にInnoGrit社を起業しました。
Zining Wuは北京の清華大学(胡錦濤や習近平も卒業生)の卒業生であり
“中華人民共和国人”です(台湾人ではなく)。
InnoGrit社も上海・成都・南京等に拠点を持つ中華人民共和国の企業です(台湾企業ではなく)。
以上の事からInnoGrit社製のコントローラーにはバックドア等が仕掛けてあるのではないかとの
懸念を抱く人もいます。
おっと、誰か来たようだ
またまこんな恥ずかしい書き込みするやついるんだな
5chにお帰り
それマジなん?
事実ならネトウヨの皆様方がギャーギャー騒ぎ立てると思うんだがw
これ+Ryzen5 3600とB550SLの組み合わせでリードが6000くらしいか出ないんですけど何がいけないんでしょうか
これ+Ryzen5 3600とB550SLの組み合わせでリードが6000くらしいか出ないんですけど何がいけないんでしょうか https://wikipedia.org/ でリードが
れマジなん?事実ならネトウヨの皆様方 … 皆様
[…] OMEN by HP 45Kに標準で入ってるストレージは「WD_BLACK SN850(レビュー記事)」の2 TBモデルです。Western Digitalのハイエンドゲーマー向けNVMe SSDです。 […]
4TBと8TBが発売されているのですがレビュー予定ありますでしょうか?