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Samsung 980 PRO(2TB)レビュー:価格改定で安くなってもイマイチかもしれない

NAND業界のIDMであるサムスンが自社で製造するフラグシップモデル「Samsung 980 PRO」が価格改定で一気に安くなりました。2 TBモデルが約2.4万円、つい何も考えずに買ってしまったので・・・レビューします。

(公開:2023/4/7 | 更新:2023/4/7

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Samsung 980 PRO 2TBのスペックと仕様

Samsung / NAND : Samsung製128L TLC NAND / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年
Samsung 980 PRO 2TB
スペックをざっくりと解説
容量2000 GB
インターフェイスPCIe 4.0 x4(NVMe 1.3c)
フォームファクタM.2 2280(片面実装)
コントローラSamsung Elpis
NANDSamsung V6 NAND
(Samsung製 128層 3D TLC NAND)
DRAMSamsung LPDDR4
SLCキャッシュ6 ~ 222 GB
読込速度
シーケンシャル
7000 MB/s
書込速度(SLC)
シーケンシャル
5100 MB/s
書込速度(TLC)
シーケンシャル
2000 MB/s
読込速度
4KBランダムアクセス
22K IOPS
書込速度
4KBランダムアクセス
60K IOPS
消費電力(最大)6.1 W
消費電力(アイドル)35 MB/s
TBW
書き込み耐性
1200 TB
MTBF
平均故障間隔
150万時間
保証5年
MSRP$ 430
参考価格24222 円
GB単価12.1 円

「Samsung 980 PRO 2TB」は、半導体メモリの超大手メーカーであるSamsungが自社で製造するフラグシップ級のNVMe SSDです。

公式データシートで搭載しているNANDメモリやSSDコントローラを開示しており、さらにSLCキャッシュサイズや展開方法(Intelligent TurboWrite 2.0)も事細かく公開している点が、巷にあふれる有象無象のメーカーと大きく違います。

ただし、価格の高さだけが目立ったネックでした。特に日本国内では正規代理店(株式会社ITGマーケティング)がぼったくり価格を繰り広げており、競合他社が強くなった今となっては、好んで選ぶメリットが薄い状況。

さすがに売れ行きも低迷し始めたためか、重い腰を上げて価格改定に踏み切った様子です。

約38000円だった価格が、いきなり40%近い値下げで約24000円に値下がり、一気に買いやすい価格になりました。

SSD500 GB1 TB2 TB
Samsung 980 PRO
980 PRO:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
HIKSEMI FUTURE SSD
FUTURE70-01TB:レビュー
1800 TBW3600 TBW
SK Hynix Gold P31
SK Hynix Gold P31:レビュー
500 TBW750 TBW1200 TBW
WD_BLACK SN770
WD_BLACK SN770:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW
KIOXIA EXCERIA PLUS G2
KIOXIA EXCERIA G2 PLUS:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
KIOXIA EXCERIA G2
KIOXIA EXCERIA G2:レビュー
200 TBW400 TBW800 TBW
WD Blue SN570
WD Blue SN570 NVMe:レビュー
300 TBW600 TBW
Crucial MX500
FireCuda 530:レビュー
180 TBW360 TBW700 TBW
FireCuda 530
FireCuda 530:レビュー
640 TBW1275 TBW2550 TBW
CFD PG4VNZ350 TBW700 TBW1400 TBW
Plextor M10PGN320 TBW640 TBW1280 TBW
Crucial P5 Plus300 TBW600 TBW1200 TBW
WD Black SN850
SN850:レビュー
300 TBW600 TBW1200 TBW

耐久性能評価(TBW)は競合他社とほぼ同じ水準です。今回レビューする2 TBモデルでは1200 TBWをアピールします。

仮にゲーミングPCでシステムストレージとして使った場合、かなり過剰に見積もっても1日あたり平均50 GB程度の書き込みです。

1200 TBWを50 GB(0.050 TB)で割ると24000日で、耐久値を使い切るのに約65年もかかる計算に。おそらくNANDメモリの寿命が尽きるより先に、SSDコントローラが経年劣化で故障する確率のほうが高いです。

ライバル製品と価格設定の比較

Samsung 980 PRO 2TBの価格を比較

PCIe 4.0対応のハイエンドNVMe SSDと価格を比較したグラフです。

2023年4月時点、Samsung 980 PRO 2TBが約2.4万円です。他社のライバル製品(FireCuda 530 2TBなど)と比較して2~3割ほど安く買えます。ハイエンド同士なら比較的コストパフォーマンスが良さそうです。

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Samsung 980 PRO 2TBを開封レビュー

パッケージデザイン & 開封

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(パッケージデザイン)
Samsung / NAND : Samsung製128L TLC NAND / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年

今回レビューで使うサンプルはAmazon(販売ページはこちら)より、約24000円にて2 TBモデルを自腹で購入しました。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(パッケージデザイン)

Samsungのハイエンドモデルらしい、高級感あるパッケージデザインです。パッケージの裏面に、株式会社ITGマーケティング(サムスン正規代理店)のシールが貼ってあります。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(付属品など)

中身は従来のSamsung SSDシリーズと同じく、やや硬いプラスチック製のケースに980 PROが収納されており、下の段にマニュアルが同封されている形式です。

基板コンポーネント

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

マットブラック塗装のプリント基板上に、SSDを構成するコンポーネントを覆い隠すように製品ラベルシールが貼られています。

ラベルシールを剥がすと5年間の製品保証が無効となるリスクが高いため、別途M.2ヒートシンクを取り付ける場合はシールを剥がさずにそのまま取り付けましょう。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

裏面にコンポーネントはありません。各国の認証ロゴが記載されたラベルシールが貼られています。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

表面だけにコンポーネントが実装されているシンプルな片面実装のNVMe SSDです。取り付けスペースが狭いノートパソコンで問題なく使えます。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

ラベルシールをを剥がして、基板のコンポーネントを目視で確認します(※5年間の製品保証が切れる行為ですので、真似しない方が安全)

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)
  • コントローラ:Samsung Elpis
    S4LV003 NRBV4PYB 2150
  • DRAM:Samsung LPDDR4 2048 MB
    SEC 146 K4F6E3S 4HMBGCH
  • NAND:Samsung 128層 3D TLC NAND
    SEC 204 K9DVGY8J5B-DCK0

SSDコントローラ、NANDメモリ、DRAMまで。すべてサムスンが自社で製造する、完全なメーカー純正モデルです。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

SSDコントローラはSamsungが自社で製造するARM Cortexベースの「Samsung Elpis」を搭載。

Samsung 8 nmプロセスで製造されるAMR Cortex-R5をマルチコア(具体的な数は不明)で構成した、高性能なSSDコントローラです。最大8チャネルのNANDメモリに接続でき、高いスループットを稼げます。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

DRAMもSamsungが自社で製造する「LPDDR4」メモリをたっぷり2 GBも搭載。

型番「K4F6E3S4HM-BGCH」から推測するに、LPDDR4-3733(最大1866 MHz)、定格電圧1.1 VのDRAMだと思われます。

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(基板コンポーネント)

NANDメモリもSamsungが自社で製造する「Samsung V6 V-NAND(128層 3D TLC NAND)」です。

メーカーの公式情報では「110~136層」とボカされた表現ですが、TechInsightsの調査によると総ゲート数が136、NANDの積層数は128層で確定しています。1世代前のV5 V-NANDから32層しか増えていません。

ちなみに、今回のレビュー個体で確認できる型番「K9DVGY8J5B-DCK0」はSamsung 980 PROだけでなく、下位モデルのSamsung 980(無印)でも使われています。

やかもち
今となってはありふれた128層 3D TLC NANDを採用するSSDです。より安価な価格の「SK Hynix Gold P31(レビュー)」と同じ積層数だったり。

Samsung 980 PRO 2TBの性能をベンチマーク

テスト環境を紹介

Samsung 980 PRO 2TBをレビュー(テストPCスペック)
テスト環境
「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」
CPURyzen 9 5950X16コア32スレッド
CPUクーラーNZXT X63280 mm簡易水冷クーラー
マザーボードASUS ROG STRIXX570-E GAMING
メモリDDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」
グラフィックボードRTX 3070 8GB
SSDSamsung 980 PRO 2TB
電源ユニット1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
OSWindows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」
ドライバNVIDIA 471.41
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「Innocn 27M2V

980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。

CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/s超のSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。

マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。

SSDの冷却について

SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。

  • マザーボード付属のヒートシンクを装着
  • ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす

SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Crystal Disk Info)
  • インターフェース:NVM Express
  • 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
  • 対応規格:NVM Express 1.4
  • 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache

「Samsung 980 PRO 2TB」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。

ファームウェアが最新版(5B2QGXA7)に更新済みの個体でした。旧ファームウェアではSamsung 980 PRO 2TBが突然リードオンリーモードに切り替わる不具合があり、最新版で解消されています。

私たちが発見した最も一般的な障害モードは、ドライブが突然読み取り専用モードにロックされ、ドライブが使用できなくなることです。故障したドライブがプライマリ ドライブである場合、ドライブを交換してOSを再インストールするまで、システムは起動できなくなります。(Google翻訳まま)

Critical Samsung SSD Firmware Update より

米国の大手BTOメーカー「Puget Systems」の信頼できる報告です。古いファームウェアが入っていたら、Samsung Magicianソフトを使ってファームウェアを最新版にアップデートしましょう。

フォーマット時の初期容量は「1.81 TB」でした。

Crystal Disk Mark 8

「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。

Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します
HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(MB/s)テストサイズ:64 GiB(MB/s)
HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Crystal Disk Mark 8)
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ)テストサイズ:64 GiB(レイテンシ)

読み込み速度が約6860 MB/sで、書き込み速度は約4994 MB/sを記録。どちらもメーカー公称値に少し届かない結果に。

テストサイズを64 GiBまで引き上げても、目立った性能変化が無いのはプラス評価です。ランダムリードはむしろ改善されています。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TB(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。

Samsung 980 PRO 2TBは49.57 μsで、最近のハイエンドNVMe SSDからやや一歩引いた位置に。1 TB版と比較すると遅くなってます。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TB(Crystal Disk Mark 8で応答時間を比較)

書き込みレイテンシも普通です。1 TB版よりわずかに遅くなります。

ATTO Disk Benchmark

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。

ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

読み込み速度は6500 MB/s前後でピークに達したあと、おおむね安定した性能を維持します。他のNVMe SSDより立ち上がりが遅いですが、キャッシュに収まる範囲ならシーケンシャル公称値に近い性能です。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)

書き込み速度は4800 MB/s前後で安定します。キャッシュの範囲内なら、おおむねスペックに近い性能を示しており、特に問題ありません。

注意事項:ATTO Disk Benchmarkのテストは基本的にキャッシュ範囲内に収まる内容ゆえに、上記のテスト結果だけでは本当の性能をまったく判断できないので注意が必要です。

HD Tune Pro

HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。

HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します
HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(HD Tune Pro)
  • 読み込み速度:2261.3 MB/s
  • アクセスタイム:0.088 ms
HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(HD Tune Pro)
  • 書き込み速度:1860.3 MB/s
  • アクセスタイム:0.018 ms
HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(HD Tune Pro)
  • 読み込み速度:5562 MB/s
  • 書き込み速度:1973 MB/s
  • SLCキャッシュ:6 GB

HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。

3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、テストを開始して数秒で4000 MB/s台が終了し、テスト完了まで一貫して2000 MB/s前後の書き込み性能を維持します。

データシートによると最大222 GBのSLCキャッシュを展開できる仕様ですが、HD Tune Proの結果を見る限り、キャッシュ生成のダイナミック挙動がやや不安定です。

やかもち
基本的なベンチマークは以上です。次は実戦テストでSamsung 980 PRO 2TBの実力を確かめます。

Samsung 980 PRO 2TBを実運用で試す

ゲームのロード時間を比較

FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(FF14のゲームロード時間)

Samsung 980 PRO 2TBのロード時間はなんと「6.79 秒」で、ライバル製品の一つであるFireCuda 530に匹敵します。しかし、DRAMレス(HMB方式)のHIKSEMI FUTURE SSDには届かず・・・。

やかもち
HIKSEMIに届かないと言っても、絶対値でわずか0.5秒の差です。「体感」するのは非常に難しいです。

ファイルコピーの完了時間

Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。

  • ゲームフォルダ(容量62 GB / 76892個)
  • 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
  • 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)

ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD BLACK SN770をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD BLACK SN770をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

書き込み(980 PRO → Samsung 980 PRO 2TB)速度です。

ゲームフォルダの書き込みはなぜか同クラスのハイエンドNVMe SSDに引き離されていますが、写真フォルダとZipファイルの書き込みは問題なくハイエンド級です。

WD BLACK SN770をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD BLACK SN770をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)
WD BLACK SN770をベンチマーク(ファイルコピーに掛かった時間)

次は読み込み(Samsung 980 PRO 2TB → 980 PRO)のコピペ時間です。

ゲームフォルダの読み出しはなぜか遅いです。写真フォルダとZipファイルの読み出しはちゃんとハイエンドクラスの性能です。

やかもち
そろそろ基準ストレージに使っている980 PRO 1TBが時代遅れになってきた感が否定できないですね、特にゲームフォルダのコピペが参考にならないです。Intel Optane P5810Xの導入を検討します。

Premiere Pro:4K素材プレビュー

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。

コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。

HIKSEMI FUTURE NVMe SSD 1TBをベンチマーク(Premiere Pro 4Kプレビュー)

4Kプレビューのドロップフレーム率は約20.1%です。

優れたシーケンシャル性能と応答速度を持ち合わせる980 PROですが、最新のDRAMレスSSD(SN770など)を相手に遅れを取る意外な結果になりました。

なぜDRAMレスごときに980 PROが劣ってしまうのか、単純にSLCキャッシュの動的展開が遅いのが要因かと思われます。SN770やHIKSEMI FUTUREはとにかくSLCキャッシュの扱いが上手です。

空き容量を利用して動的かつスピーディーにSLCキャッシュ(ときにはMLCキャッシュ)を生成できるため、SLCキャッシュの展開が遅い980 PROにとって不利な戦いです。

やかもち
3K動画素材(@251 MB/s)以下は、ドロップフレーム率「0%」で問題なし。比較グラフは省略します。

PCMark 10:SSDの実用性能

PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。

Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。

なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)

Samsung 980 PRO 2TBの実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)
WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 ストレージスコア)

Samsung 980 PRO 2TBのストレージスコアは「2021点(空き容量20%時)」です。空き容量100%なら2765点で、空き容量による性能低下は約27%です。

空き容量20%スコアを比較すると、価格がはるかに安いSK Hynix Gold P31(2184点)に劣っており、DRAMレスSSDのWD Black SN770(3260点)にも大きく引き離される残念な結果です。

Samsung Elpisコントローラ + 128層TLC NANDの組み合わせはすでに時代遅れかもしれません。

WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 Adobeソフト)
WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 ゲームロード時間)
WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 ファイルコピー)
WD BLACK SN770の実用性能(PCMark 10 Microsoft Office)

PCMark 10ストレージテストの細かい内訳を確認します。

ファイルコピースコア以外はぼちぼち平凡なスコアです。Adobeスコア、ゲームロードスコア、Officeスコアにおいて、安価なSN770やHIKSEMIに届かないです。

安くなった価格改定後でも、やや割高感を否定できません。

実用スコアの内訳
Full System Drive Benchmark
Adobe ScoreAdobe Acorbatの起動
Adobe After Effectsの起動
Adobe Illustratorの起動
Adobe Premiere Proの起動
Adobe Lightroomの起動
Adobe Photoshopの起動
Adobe After Effets
Adobe Illustrator
Adobe InDesign
Adobe Photoshop(重たい設定)
Adobe Photoshop(軽量設定)
Game ScoreBattlefield Vの起動(メインメニューまで)
Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで)
Overwatchの起動(メインメニューまで)
Copy Score合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み)
ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
ISOファイルをコピー(読み込み)
合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み)
JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み)
JPEGファイルをコピー(読み込み)
Office ScoreWindows 10の起動
Microsoft Excel
Microsoft PowerPoint

15分間の連続書き込みテスト

約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら連続して書き込み続ける過酷な検証方法です。

一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。

15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。

Samsung 980 PRO 2TBの連続書き込み性能(15分)をテスト

Samsung 980 PRO 2TBと競合するNVMe SSDと比較しました。テストを開始から約229 GBまで3800 MB/s前後を維持し、その後、平均1760 MB/sで推移します。

サムスンがデータシートに記載している通り、SLCキャッシュを展開できるサイズは222 GB前後です。

Samsung 980 PRO 2TBの連続書き込み性能(15分)をテスト

時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。

15分間の書き込み量で比較すると、SK Hynix Platinum P41にわずかに届かず、FireCuda 530 2TBに約1.5倍もの差を付けられ完敗します。

やかもち
128層TLC NANDで、176層以上のTLC NANDを相手にするのはやはり分が悪い戦いです。

SSDの動作温度をテスト

高負荷時のセンサー温度

Samsung 980 PROで表示される温度センサー

モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは2つです。

  • ドライブ温度:NANDメモリの温度
  • ドライブ温度2:SSDコントローラの温度

SSDコントローラの温度はNANDメモリより高く表示されるため、NANDメモリだけに温度センサーを搭載するのが一般的な対応です。

あえて温度センサーを2つ搭載しているサムスンは、消費者に対して良心的な姿勢を取っているメーカーと受け取っていいでしょう。

参考までに、NANDメモリとSSDコントローラそれぞれにセンサーを搭載するメーカーは(筆者の知る限り)サムスンとSK HynixとHIKSEMIの3社だけです。

Samsung 980 PRO 2TBのSSD温度をテスト(高負荷時)

ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。

テスト開始直後に2000 MB/s前後に書き込み性能が下がり、2分くらいでサーマルスロットリングが発動して書き込み速度が1460 MB/s前後に抑えられます。

センサー経由の温度で、NANDメモリ側が80℃前後、SSDコントローラ側が83℃とかなり高いです。

次はサーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。

サーモグラフィーで表面温度を確認

HIKSEMI FUTURE SSDの表面温度(サーモグラフィー)

テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。

  • SSDコントローラ:79 ~ 80
  • NANDメモリ(右):81 ~ 82
  • NANDメモリ(左):79 ~ 80℃

NANDメモリの表面温度が80℃前後で、SSDコントローラの表面温度も同じく80℃前後です。

HWiNFOに表示される温度とおおむね一致します。ヒートシンクを兼ねているラベルシールの影響で、全体的にまんべんなく熱が分散されている印象があります。

長尾製作所 / 規格 : M.2 2280 / 型番 : SS-M2S-HS01

結論、Samsung 980 PROのパフォーマンスを維持するなら、別途M.2ヒートシンクが必要です。付属のラベルシールだけでは高負荷時に冷やしきれず、サーマルスロットリングに陥ります。

追加コストを避ける場合、マザーボードに付属するM.2ヒートシンクで十分です。ケースファンでゆるくエアフローを当てると、サーマルスロットリングをほぼ回避して、高い性能を維持できるはずです。

なお、マザーボード付属のヒートシンクはネジの締めすぎに要注意。締めすぎると基板に圧力がかかりすぎてSSDの故障につながります。

まとめ:価格改定後の値段でもイマイチ感を否定できない

「Samsung 980 PRO 2TB」のデメリットと弱点

  • 空き容量による性能変化あり
  • 高負荷時にサーマルスロットリング
  • 高負荷時の温度がかなり高い
  • 素の書き込み性能は平凡
  • 実用性能でやや遅れを取る

「Samsung 980 PRO 2TB」のメリットと強み

  • 最大7000 MB/sのシーケンシャル性能
  • やや速いランダムアクセス速度
  • トップクラスのゲームロード時間
  • 広大なSLCキャッシュ(最大222 GB)
  • 耐久性が高い(1200 TBW)
  • 大容量モデルあり(最大2 TB)
  • Samsungによる完全自社製造モデル
  • ファームウェア更新あり
  • 5年保証

Samsung 980 PRO 2TBの性能は決して悪くないです。今でも通用するハイエンドらしい性能があるし、何よりSamsungが主要コンポーネントを自社で製造供給する信頼性に大きな価値があります。

しかし、価格と性能に目を向けると、やはり遅れを取っている印象を否定できません。

実用性能では価格の安い格下モデル(SN770やHIKSEMI FUTUREなど)に抜かされているし、書き込み性能も176層超えのNANDを採用するハイエンドモデル(FireCuda 530)に完全に劣っています。

価格改定でつい浮かれて2 TBモデルを買ってしまった筆者ですが、正直に言うと買い物検定失格です。

以上「Samsung 980 PRO(2TB)レビュー:価格改定で安くなってもイマイチかもしれない」でした。

やかもち
PS5用なら良いのかな、でもPS5専用だったら「Crucial P3 Plus(レビュー)」で結論が出ているし、なんとも扱いに困るSSDです。

Samsung 980 PRO 2TBを入手する

Samsung / NAND : Samsung製128L TLC NAND / 性能 : 最大7000 MB秒 / 容量 : 2 TB / 耐久性 : 1200 TBW / 保証 : 5年

価格改定後の約2.4万円でもやや高いと感じるため、大きなポイント還元があるセール時を狙って買うべきです。

Amazonよりも、楽天やYahooショッピングの方がポイント還元が大きい場合が多く、実質2.1万円台を狙えます。

なお、書き込み性能より実用性能を重視する方は「WD Black SN770」をどうぞ(・・・締めの決まり文句と化しつつある)

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14 件のコメント

  • SSD検証データのリファレンス変更まで確かに…と思ってたら
    P5810Xが出てきて凄くらしさを感じて笑ってしまった

    レビューお待ちしてます

  • レビューお疲れ様です。購入の目安として非常にありがたい記事なのですが、一点だけ、基板上コンポーネント確認の欄のNANDの製造メーカーがYMTCになってますが、多分Samsung製ですよね。すぐ下にもオールSamsungという旨や詳細情報がありますので、細かいミスを突いてしまって申し訳ありません。
    P5810Xのレビューお待ちしてます。

  • それにつけてもSN770の強さよ
    Gen4エントリー帯なら信頼性も考慮するとほぼ一択くらいまである

  • Gen4の2TBモデルも最近は大分安くなって信用に足りるメーカー製のも2.5万辺りで買えるのは有難いですね
    この勢いで今度は4TBモデルも頑張って欲しいとこ、流石にmodゲー複数やると2TBですら容量足りねえってなります、マザーのM.2スロットにも限界有るし増設カードは使いたくないし

  • 今更980とかいう型落ちレビューですか
    最新型の990レビューしてよ
    てかDDR5もはよ

    • そういうアホな要求をしてはいかんよ。どうしてもレビューして欲しければ、自分で買って主様のところへ送らせてもらって、レビューして下さいとお願いするのが筋。それでもやって下さるとは限らんけどね。

      自腹切らせてあれやれこれやれ言うのは、礼儀知らずの戯れ言です。お願いするにしても、最低限の言葉遣いというものがあるのですよ。そんなルールもわからん人は、自分で測定機材揃えて自分で買って自分で計測すればよろしい。

      • クレクレ厨に何言っても無駄と言いたいけど、言い分のしてはおっしゃる通りやな
        あと990もDDR5も調べればレビューなんていくらでも出るんだから、自分から行動していけよとは思う
        あとは情報をすり合わせれば終わりなんだし

  • 今はアマゾンで2万まで値下がりしてるのとGWポイント還元含めていい感じですね
    ここまでくればSN770よりコスパ高い

  • Samsungのキャッシュ枯渇後のTLCの速度って公式の何の資料に書いてあるんですか?ぱっと見データシートに載ってないような

  • 年末年始セール時期
    評価低いですが、ノートpc Cドライブで2TB 1万7-8千円なら買ってもいいですか?
    pcie-3のPCですが、pci-3までのや廉価モデルと大して変わらないんですが

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