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「AMD CrossFire」のやり方と設定、2枚挿しの効果まで解説

AMDのRadeon RXシリーズを2枚以上使って性能アップを狙う場合に使うのが「AMD CrossFire」と言う方法。知名度はNVIDIA SLIほどではなく、やり方を解説しているサイトが少ないので実際に2枚のRadeonを使って、CrossFireの設定からその効果まで。一通り解説してみる。

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「AMD CrossFire」を使える前提条件

まずは基本から確認します。とはいえ、NVIDIA SLIと比べればCrossFireはずっと敷居が低いので、基本的にはAMDのグラボが2枚あれば大丈夫と思っておけば良い。

  • CrossFireをサポートするマザーボード
  • 同じシリーズのRadeon GPU

必要な条件はこれだけです。グラボを接続する「ブリッジ」など、特殊なハードウェアは一切必要ない。単にCrossFireを使えるマザーボードと、同じシリーズのグラボがあれば良いです。

CrossFire対応のマザーボード

各社マザーボードの製品ページに行けば分かります。ほぼ例外なく、CrossFireをサポートするマザーボードはスペック表に書いてあります

面白いのはハイエンドやゲーマー向けマザーボードを問わず、多くのマザーボードでCrossFireをサポートしていることです。対するNVIDIA SLIは、ハイエンドチップセットを搭載するマザーボードでしか対応していない。

実際、Z370のマザーボードでSLIをサポートしている製品は多いが、H370やB360では一つも無い。CrossFireの魅力はSLIと比較して低コストで導入できるということになる。

更に、CrossFireにはブリッジインターフェイスを必要としない点もメリット。NVIDIA SLIには画像のような「SLIブリッジ」というインターフェイスが必要で、グラボのグレードによってはブリッジ用のスロットが用意されていない。

同じシリーズのRadeon RXを用意する

マザーボードがOKなら、次はCrossFireを構成するグラボを用意します。SLIの場合は同じGPUが必要になるが、CrossFireの場合はそのあたりが結構ゆるくて、Radeon同士なら割と何でもいけるようです。

ただし、世代違いについてはよく分からないので手を出さないほうが無難かと。

  • RX 580とRX 580:行ける
  • RX 580とRX 570:行ける
  • RX 580とRX 480:行ける
  • Vega 64とRX 470:分からない
  • Vega 64とR9 290X:分からない

イメージとしてはこんな感じです。RX 400~500は実質的にほぼ同じGPUなので、CrossFireを構成可能。しかし、VRAMの規格が違うVega世代とCrossFire出来るかどうかは分かりません。

2~3世代離れている場合も、ちょっと分からないです。RX 580とRX 470は行けるけど、RX 580とR9 290Xは行けるのかどうか。断定できません。

本記事でCrossFireを行うテスト環境

テスト環境
CPUCore i7 8086K
冷却Cryorig H7 Quad Lumi
メモリDDR4-2400 8GB x2
マザーボードASRock Z370 Pro4
グラボRadeon RX 580 8GB
Radeon RX 570 4GB
SSDSamsung 860 EVO 250GB M.2
Micron 1100 SSD 2TB
電源Toughpower Grand RGB 750W Gold
OSWindows 10 Pro 64bit
ドライバAMD Adrenalin 18.7.1

※ リンクはレビュー記事につないであります。パーツの詳細を知りたい場合は、リンクへ飛んでレビュー記事を確認してください。

本記事でCrossFireを行う環境は以上の通り。CrossFireをサポートしている「Z370 Pro4」に、RX 580とRX 570という異種の組み合わせで行く(異種にしたのは好奇心です。おすすめは同種GPUで)。

なお、当たり前のことですが補助電源コネクタを挿し忘れないように。今回は8pinが2個、6pinが1個必要でした。合計で375W分の補助コネクタです。Radeon RXはやはり消費電力が恐ろしいですね。

AMD CrossFireの設定方法

念のため、事前にRadeonを1枚挿した状態でAMDのドライバを導入しておくこと(→ Download AMD Drivers)。

Radeonを2枚挿したら、電源ユニットのスイッチを入れてパソコンを起動させる。起動後、おそらく数秒パソコンがフリーズするが…気にせずに待つこと(このフリーズ中にCrossFireが有効化されているようです)。

フリーズが終わったら、Radeonソフトウェアを起動させて「ゲーム」の設定へ行く。

「グローバル設定」に行きます。

「AMD CrossFireロゴ」と「AMD CrossFire」という項目が追加されているはずなので、CrossFireの方を有効化します。ロゴの方は画面の右上に単にロゴマークが表示されるだけなので不要です。

次に、ゲーム側の設定もする。グローバル設定でCrossFireを有効化するだけでは上手く動かないので、ゲーム毎にCrossFireモードを設定してやる必要がある。この設定次第で、CrossFireの効果も変わってくる。

  1. 無効化
  2. 標準
  3. AFR対応
  4. 最適化1×1
  5. AFR互換
  6. 定義済みのAMDプロファイルを使用する

モードは全部で6種類。初期設定では「標準」が設定されているが、ゲームを起動してみて動作が不安定なら「AFR対応」に切り替えてみること。AFR対応は割りと理想的な動作のようで、ハマればキレイに動きます。

AFR対応がダメな場合は「最適化1×1」や「AFR互換」を試すこと。何かしら機能しやすいモードがあるはずです。…もちろん何をやってもダメな場合もある。全てのゲームがCrossFireに対応しているわけではないからね。

ゲームごとのサポート状況はこちらのデータベースが参考になる。多くのゲームが「Official CrossFire Profile」(公式サポート済み)ですが、中には「1×1の方が安定します。」といった情報も書き込まれている。

非常に役立つデータベースだが、掲載されていないゲームもあります。その場合は自分でやってみて「ぴったりハマる設定」を見つけ出すしか無い。何をやってもダメなら、完全に非対応ということで諦めよう。

AMD CrossFireの効果を検証

CS:GO

比較的軽いゲームの「CS:GO」から試してみる。RX 580単体だと平均フレームレートは「261.3」でした。

RX 570を足してCrossFireを構成するとこの通り。標準モードだと逆にガタガタな動作になって残念な結果になったが、AFR対応モードを切り替えると安定するように。このAFR導入時のフレームレートと比較してみる。

一見するとCrossFireの方が安定しているように見えるが、平均値を求めると。

  • RX 580単体:平均261.3 fps
  • RX 580と570でCF:平均252.9 fps

RX 570を足したにも関わらず、劇的にパフォーマンスが向上することはなかった。むしろ平均フレームレートは低下しており、CrossFireの難しさを痛感させられてしまった。

GPU使用率を確認すると、一応は2枚とも仕事をしているようですが。

  • RX 580:51.8%
  • RX 570:60.8%

使用率の平均を求めると、50~60%程度に。2枚とも100%の仕事をしているわけではないようだ。

PUBG

効果なし。標準モード、AFR対応モード、AFR互換モード。何をやっても改善どころかドロップフレームの連続でキツイ。

Rainbow Six Siege

PUBGと同様に効果なし。

DOOM

CrossFireを有効化すると、そもそもDOOMが起動しなくなってしまった。Vulkan API対応など洗練されている印象のあるDOOMだが、起動すら出来ないのは意外でした。やはり異種CFだからかな…。

黒い砂漠

黒い砂漠では「AFR対応」モードがダメダメで「最適化1×1」を使うことで、CrossFireの効果を確認できた。

まずRX 580単体で平均103 fpsでした。

RX 580 + 570でCrossFireを構成すると、都市部におけるフレームレートはあまり改善しなかったが、郊外に出るとフレームレートの出やすさが一気に変化しました。

  • RX 580単体:平均103 fps
  • CrossFire:平均126.9 fps

RX 570を足すことで平均フレームレートは約25%も改善。CrossFireの効果をマトモに受けることが出来たようです。

まとめ:CrossFireは低コストだが効果も低い

  • ローエンドのマザーボードでも対応している
  • 同じ種類のGPUじゃなくても使える
  • 専用のブリッジインターフェイスは不要

AMD CrossFireは以上に挙げた通り、とにかく低コストで導入できる点が大きなメリット。今回もRX 580と570という、違うGPUでCrossFireを構成することに成功している。

しかし、低コストで導入できる一方で、肝心の効果に関しては首を傾げざるを得ない結果が多い。

  • 対応していないゲームが多い
  • 逆にフレームレートが低下することが多い
  • 動作が不安定になることも
  • 消費電力が半端ない

PUBG、Rainbow Six Siege、DOOMなどでCrossFireを試した。効果は「逆にフレームレートが低下」「ドロップフレームが頻発」「そもそも起動しない」などなど、残念な状況。

黒い砂漠では25%の効果を得ることが出来たが、正直なところ微妙です。グラボ追加分のコストと消費電力を考えれば、決してコスパの良い効果とはいえず…上位のグラボを買ったほうが良いんですよね。

初心者もち
AMDの2枚挿しって難しいんだな。
やかもち
そうなんですよ~。電気代の無駄遣いになりやすい。

同種CrossFireなら効果があるのでは?

本記事では「RX 580 + 570」という異種CFなので、同種なら効果があるのではないか。という疑問を持つのが当たり前だろう。この点について調べたところ、以下のサイトが参考になります。

結論だけ言うと、同種のグラボでCrossFireを構成しても、その効果が発揮されるかされないかはゲーム次第です。Sniper Elite 4では90%以上の効果を得られた一方、DOOMでは0%という残念な結果になっています。

2018年時点では、AMD CrossFireは積極的にオススメできるものではありません。上位のグラボを選ぶか、NVIDIA SLIを導入したほうが得られる効果は大きいでしょう。

以上「AMD CrossFireのやり方と設定、2枚挿しの効果まで解説」でした。


と…いうわけで、ミドルクラスのグラボを2枚挿しにしたところで得られる効果は少ないので、フレームレートがもっと欲しいならハイエンドGPUを選ぶのがベスト。おすすめグラボについてはこの記事がオススメです。

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22 件のコメント

  • SLIですら不安定なゲームが多い中、それよりマイナーなCFは言わずもがなと言う所ですね

  • VRAMやクロック、SP数といった基本性能部分が低い方に合わせられちゃう気がしたので出来るならsp数とかVRAMも同じ機種にしたほうがええですね(´・ω・`)

  • へぇクロスファイアって結構柔軟ですね、違うRadeonでも使えるってことは新しいの出たらそれつけて昔のも使えるってことだし。でもあんまり性能上がらないのは悲しいなぁ・・
    所でいくつか気になったのですが
    1.ブリッジケーブルは一部で使うかもとか特殊な電源が必要とかAMDのサイトに書いてありましたyacamochi は無しで書いてますが付けた場合の効果は無いのでしょうか?
    2.『使用率の平均を求めると、50~60%程度に』GPU使用率が低いということはCPUボトルネック?
    3.黒い砂漠のフレームレートの2枚の方の表がCS:GOと書かれています
    4.AMDのと4Gamerのも見てもモードの説明がよくわかりません…AFR対応が交互に描写するのだと思うのですがその他がさっぱりです。AFR互換はSuperTiling?Scissor?
    (https://www.4gamer.net/specials/3de/050621_crossfire/050621_crossfire.shtml)情報古すぎるのでしょうか?

    • CrossFireの技術的な仕様については、また別の記事を書く時にまじめに勉強する予定です。
      この記事はたまたまRadeonが2枚あったので、実際にやってみてどんな感じなのか試してみた。という趣旨が強いです。

      < 1.ブリッジケーブルは一部で使うかもとか
      自分の手持ちのRadeonには、そもそもブリッジを挿し込めそうなコネクタが無いんですよね。昔のRadeonにはあったらしいのですが、最近のRadeonでは完全に不要なのかもしれません。

      < 2.『使用率の平均を求めると、50~60%程度に』GPU使用率が低い
      ゲームによって使用率が全然違いしました。4K画質など、もっと重たい負荷を掛ければ傾向が違ってくるかもしれません。

      < 3.黒い砂漠のフレームレートの2枚の方の表がCS:GOと書かれています
      修正します…

      < 4.AMDのと4Gamerのも見てもモードの説明がよくわかりません…
      ぼくも英語版の解説を読みましたが、まだよく分かっていません。
      モードによってCFがちゃんと機能したり、しなかったりするので、なるべくCFが効きやすいように複数のモードを用意しただけ。のように思えます。

      • RX4xx番台よりクロスファイア用コネクタがなくなりました。
        それ以前のものは必要でしたが(基本対応グラボに同封)、今はスロット経由でリンクしてますよ。

      • 2.『使用率の平均を求めると、50~60%程度に』GPU使用率が低い
        すみません表のほうよく見てませんでした、100の所でとまってますね。
        黒い砂漠は重たいので効果はわかりやすかったです。144ぐらい?で止まってるってことは同期かな。
        4Kとかになってくると片方の4GBのVRAMがネックになるかもしれないのでそこも見たいです
        4.AMDのと4Gamerのも見てもモードの説明がよくわかりません…
        別記事書くかもってことなのでその時期待します。まぁAMDだけでなくNVIDIA のSLIもわかってないので、そちらももし書く期会あればうれしいです。

  • NvidiaのSLIですらたとえ対応ソフトだろうが不安定になること多いですからね、ドライバでもSLI関連は修正案件としてよく提示されますし。
    シングルGPUであったとしてもドライバの安定性に不安が残るRadeonでCFは相当冒険心が強くないことには…

  • B350 TOMAHAWKにRX580とVEGA 56で実験してみましたが、CrossFireの設定が現れませんでした。
    まぁ流石に出来たとしても構造が違い過ぎてガタガタになりそうですし、B350に電源700Wでは心許なさすぎる…

  • 3DCGを趣味として触っている身としてはBlenderのCyclesでどのような結果が出るかというのが気になります。
    たまに見ていると、ベンチマークやどのような特徴があるかなどわかりやすく書かれていてレンダラの記事を読みたいなぁというところです。

    radeonとgeforceの混在が可能でどの様になるかや、違う型番や製品でのnvidia製品にてどうなるのか、CF不可のradeon同士で可能か、SLIの有無はどれほどか(多分ない)など書いていただければ幸いです。

  • いつも参考にしています。Radeonに乗り換えようとしてます。Radeon RX 590は2枚さし出来るのでしょうか?又RX 590の2枚さしの性能が分からないので教えて頂けませんか?

    • ゲームによって性能の伸び幅はまったく違います。うまく行けば3割くらい。ゲームによっては6割に達することもありますが稀です。RX 2070を1枚買ったほうが得られる平均的なパフォーマンスは高いので、RX 590の2枚挿しはあまりオススメはできません。

      • RX 590 x2:約49000円
      • RTX 2070:約54000円

      今のところ価格はこうなってるので、あと5000円頑張ってRTX 2070を選んだほうが後悔しにくいと思われます。

  • 現在RX570を使っていて、マイニング用に投げ売りされている5000~7000円のRX470か570でcrossfireしたとしてもよっぽど効果の高いゲーム以外では微妙な感じみたいですね…
    潜在的にはもっと良い性能が出る技術の筈なのに活かしきれてないところが非常に残念です。

  • 好奇心からcfやってみたんですけどメインじゃない方のグラボのファンが回らないのは正常でしょうか
    Radeonのドライバーの方ではCFオンにしてグラボ2枚は認識はしているようです。

  • 最新の
    クロスファイアの方法が知りたいです!誰も記事にしてないので
    よろしければお願いいたします。

  • 最近VEGA56でやってみたけど
    FHDでテストしても全然ダメだけど2560xでやると意外と伸びるような感じなので
    2560とか4Kなら意外といいのかもというより2560でやってFHDにしても伸びないが正解かなー、結局低解像度でやるならお金かけて無理に2枚にしないでもっといいグラボ使えってお金かけてでも限界超えたいひとつまり高画質の高負荷の人向きなんじゃないかと。

  • yacamochi へ返信する コメントをキャンセル

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