グラフィックボード専用のメモリである「VRAM」。グラボによって2GBしか無かったり、逆に8GBも搭載されていたりと、色々なVRAM容量があるものの…。実際のところは何GBくらいあれば良いのだろうか、VRAMの使用量から考えてみる。
前提:VRAMが不足すると困ること
以前に書いた「GTX 1060は3GBと6GBのどちらがいい?6GB版です。」という記事で、使えるVRAM容量が残りわずかになるとフレームレートが急落する現象を紹介しました。
例えばVRAMが4GB搭載されているGPUの場合、そのうちの90%にあたる3.5~3.6GBを使用してしまうとフレームレートが急落するということ。これは平均fpsを下げ、体感上の快適さに影響する。
だからグラフィックボードを選ぶ上で、GPU自体の処理性能だけでなく「VRAM容量」も決して無視できないスペックなんですよ。
確認:VRAMはどれくらい使用されているか
どれくらいのVRAM容量がちょうど良いのかを知るには、実際にゲームを動かして「VRAMの使用量」を計測するのが一番正確。
テスト環境 | |
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CPU | Core i7 5820K |
GPU | NVIDIA GeForce GTX TITAN X |
VRAM : 12GB | |
メモリ | DDR4-2666 16GB |
マザーボード | Intel X99搭載ATXマザーボード |
ストレージ | Sandisk Extreme II 240GB |
電源 | 1200W 80+ PLATINUM |
OS | Windows 7 Ultimate 64bit |
How much VRAM do you need at 1080p, 1440p and 4K with AA enabled?
グラフィックボードはハイエンドGPUの「TITAN X」で、VRAM容量は12GBもあります。これだけあれば大抵の3Dゲームで、VRAMの使用量を計測できる。
CPUは6コア搭載のCore i7でボトルネックの心配は少なめだし、メモリーもDDR4-2666規格で2667Mhzで動作するので十分なスピード。ストレージは当然SSD。純粋にグラボ自体の性能を計測可能だ。
Unigine Heaven
海外ではよく知られた重量級のベンチマークソフトです。フルHD / WQHD / 4Kの3つの画質で、それぞれアンチエイリアスを切った場合と入れた場合の合計6パターンでVRAM使用量が計測された。
Unigine Heaven – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
解像度が上がれば上がるほど、描写しなければならない画素数が増加するのでVRAM使用量は上昇していく。そしてアンチエイリアス(AA)適用時は更にその影響が大きい、ということがこのグラフから分かりますね。
Far Cry 4
Far Cry 4 – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
3Dゲーム「Far Cry 4」ではこんな感じ。フルHD画質(1920×1080)で、既に2.6~3.0GBも使用している。WQHDになると最大3.8GB、4Kに至っては最大で約6GBも使用していることがわかった。
そしてアンチエイリアスが想像以上にVRAMを食うことも…。最近のAA(特にFXAA)は、直接フレームレートに影響を与えないものの、VRAMを食って間接的にフレームレートに影響を与える可能性はありそうだ。
The Witcher 3
The Witcher 3 – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
Witcher 3では意外とおとなしい結果が出た。4K画質の場合だけ3GBほど使うが、フルHDとWQHDでは2GB程度しか消費していない。Witcher 3の場合、VRAMは3GBくらいあれば事足りそうですね。
Battlefield 4
Battlefield 4 – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
BF4は4K画質までは概ね安定したVRAM使用量だが、8K画質になると一気に使用量が増加。AAを入れると7.5GBも使った。だが、8K自体があまり現実的じゃない解像度なので「解像度が上がればVRAM使用量は上がる。」という事実を確認する。くらいで良いと思います。
Metro Last Light
Metro Last Light – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
Metro Last LightはほとんどVRAMを使用しないようだ。フルHD画質だと、AAを入れても1.3GB程度。4K画質では使用量が増加するものの、それでも最大2.0GB程度だった。
Shadow of Mordor
Shadow of Mordor – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
Shadow of Mordorは容赦なくVRAMを使用する。フルHD画質でも3.3GBくらいは使っており、AAを入れると更に跳ね上がって4.8GBも消費している。
Grand Theft Auto V
Grand Theft Auto V – VRAM使用量(画質別 & AA有無)
GTA Vも同様にガッツリとVRAMを食います。少なくとも4GBはVRAMを使用するため、「GTX 1060 3GB」では安定したフレームレートを出せなくなってしまうだろう。
結論:VRAMは少なくとも4GBは欲しい
ゲームによってVRAM使用量は違いますが、新しいゲームになるに連れて必要とするVRAM容量は増えてきている。BF4やWitcher 3では2GB程度しか使わなかったのに、GTA Vでは4GBにまで増えた。
もう少し最近の事例も見てみよう。以下は「ガレリアXF」にて計測したVRAM使用量です。
2017年、大流行している「PUBG」(ウルトラ設定 + FXAA)だと見ての通り、5.5GBくらいは平気で使っているんですよね。ガレリアXFに搭載されているGTX 1070はVRAMが8GBもあるので特に問題にはならなかったけれど…。
「黒い砂漠」だと多少はマシになるが、やはり多い時で4.0GB近く消費しています。時代が進むにつれ、ゲーム側が消費するVRAM容量は増えてきている。
最新のゲームなら4GB以上が推奨
というわけで、2017年時点ではVRAM容量は少なくとも4GBは欲しい時代になってきたということ。
幸い、グラフィックボードは世代が更新される度にVRAM搭載量が伸びているため、少ない予算でも4GB以上のVRAMを得るのは難しくなくなった。
例えば1.5万円で入手できる「GTX 1050 Ti」には、4GBものVRAMが搭載されている。その1世代前の「GTX 950」には2GBしか無かったんですよ。
実用上、VRAMは6GBあれば足りる
「PUBG」のような重量級タイトルでは4GBを大きく超えてVRAMを使用することが明らかになっている。PUBGが特別VRAMをよく食うだけの可能性はあるが、将来的にはVRAM使用量は確実に増えていくだろう。
2017年時点では、ほとんどのフルHDゲーミングで多くても6GB程度しか使用しないため、実用上「VRAMは6GBもあれば十分に事足りる…」というのが結論だ。
将来的にVRAM容量はもっと増えていくかも
グラフィックボードは進化し、ディスプレイも表示できる解像度が進化してきた。そしてソフト側も進化して、動作のために必要なリソース(スペック)は毎年のように上がり続けています。
4~5年毎のスパンで見ていけば、今後もVRAM使用量とVRAM容量は確実に増えていくのは間違いない。「GTX 780 Ti」には3GBしかVRAMが無かったのに「GTX 1080 Ti」には11GBと、4倍近くまで増えたという事実もある。
クリエイター向けのGPU「Vega FE」は16GB、「Quadro M6000」には24GBものVRAMが搭載されており、技術的には12GB以上のVRAMを搭載するのは決して難しいわけではない…。
2017年時点での、おすすめVRAM容量
最後にザーッとまとめます。
- フルHD(1920×1080):少なくとも4GBあると良い、余裕を持つなら6GB
- WQHD(2560×1440):同様に少なくとも4GBは欲しい、パフォーマンス重視なら8GBはあったほうが良い
- 4K(3840×2160):大幅に使用量が伸びやすいため、最低6GBで可能なら10GB前後
2019~2020年くらいになれば、また一回り増えているかもしれませんが。現状はこれくらいの目安で大丈夫です。
以上「VRAMの使用量から考える、VRAMのオススメ容量」でした。
この中で32bitアプリのものはどれでしょうか?
私は古いゲームをしているのですごく気になっています。
多分、Unigine Heavenなら32bit OSでも動かせると思います。それ以外はちょっと自信がないですね…。
グラフに単位ぐらい入れて欲しいです