Plextorのゲーマー向けNVMe SSD「M9Pe」シリーズの後継モデルとして、「M9P Plus」が発売されました。キオクシア(東芝メモリ)製の「BiCS4」と、Marvell製のデータセンター向けコントローラーを組み合わせたSSDです。
さっそくサンプルを入手したので、詳しく検証します。
PLEXTOR M9P Plusシリーズのスペック
スペック | M9P Plus | ||
---|---|---|---|
容量 | 256 GB | 512 GB | 1024 GB |
フォームファクタ | M9PY Plus : HHHL | ||
M9PG Plus : M.2 2280 + ヒートシンク | |||
M9PGN Plus : M.2 2280 | |||
インターフェイス | PCIe 3.0 x4 | ||
コントローラ | Marvell 88SS1092 | ||
NANDフラッシュ | Kioxia製「BiCS4」96層 3D TLC NAND | ||
DRAMキャッシュ | LPDDR3 | ||
512 MB | 1024 MB | ||
読み込みシーケンシャル | 3400 MB/s | ||
書き込みシーケンシャル | 1700 MB/s | 2200 MB/s | |
読み込み4KBランダムアクセス | 300K IOPS | 340K IOPS | |
書き込み4KBランダムアクセス | 300K IOPS | 320K IOPS | |
消費電力稼働時 | 不明 | ||
消費電力アイドル時 | 不明 | ||
保証 | 5年 | ||
TBW書き込み耐性 | 160 TBW | 320 TBW | 640 TBW |
参考価格※M9PGN Plusの場合 | – 円 | – 円 | 21538 円 |
GB単価 | – 円 | – 円 | 21.0 円 |
PLEXTORの最新NVMe SSDシリーズ「M9P Plus」のスペックは以上の通りです。
従来の「M9Pe」シリーズと比較して大きく変更されたのが、NANDフラッシュメモリです。従来は東芝メモリ(現キオクシア)製の「BiCS3」を使い、M9P Plusでは後継モデルの「BiCS4」を採用しています。
- BiCS3:64層まで積み重ねた3D TLC NAND
- BiCS4:96層まで積み重ねた3D TLC NAND
BiCS4は、NANDフラッシュの積層数を従来の64層から1.5倍も多い96層にまで重ねました。3D NANDフラッシュは積層数が多いほど、より高性能になる傾向があります。
SSDコントローラーもわずかに変更されていて、M9P PlusではMarvell製のデータセンター向けコントローラー「88SS1092」を採用。従来モデルではコンシューマ向けのMarvell製「88SS1093」が採用されていました。
スペック | M9P PlusNEW !! | M9Pe |
---|---|---|
容量 | 1024 GB | |
フォームファクタ | M.2 2280 | |
インターフェイス | PCIe 3.0 x4 | |
コントローラ | Marvell 88SS1092 | Marvell 88SS1093 |
NANDフラッシュ | Kioxia製「BiCS4」96層 3D TLC NAND | Kioxia製「BiCS3」64層 3D TLC NAND |
DRAMキャッシュ | LPDDR3 | |
1024 MB | ||
読み込みシーケンシャル | 3400 MB/s | 3200 MB/s |
書き込みシーケンシャル | 2200 MB/s | 2100 MB/s |
読み込み4KBランダムアクセス | 340K IOPS | 400K IOPS |
書き込み4KBランダムアクセス | 320K IOPS | 300K IOPS |
TBW書き込み耐性 | 640 TBW |
M9PeとM9P Plus(1 TBモデル)のスペックを比較すると、シーケンシャル速度が約5~8%の性能アップです。
まとめると、M9P Plusは奇をてらうコンポーネントと設計ではなく、シンプルに搭載コンポーネントを後継品に切り替えることで堅実な性能アップを目指す設計です。
3モデルある「M9P Plus」シリーズ
モデル | M9PY Plus | M9PG Plus | M9PGN Plus |
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サンプル | |||
フォームファクタ | HHHL(PCIe) | M.2 2280 | |
ヒートシンク | LED付きヒートシンク | M.2ヒートシンク | なし |
参考価格※1 TBモデル | 25058 円+2200 円 | 22858 円+1320 円 | 21538 円 |
M9P Plusシリーズは全部で3つのモデルを展開します。PCIeスロットに挿し込む「HHHL」規格の「M9PY Plus」、標準的なM.2 2280規格でアルミ製ヒートシンクを搭載する「M9PG Plus」、基板だけの「M9PGN Plus」の3つです。
3モデルすべて性能や仕様は同一で、付属するヒートシンクが違うだけ。
なお、M.2ヒートシンクは従来モデルと比較して大幅に改善されました。M9PeGではプラスチックのような素材で薄っぺらいヒートシンクだったのが、今回のM9PG Plusから分厚いアルミニウム製にグレードアップ。
冷却性能を重視して選ぶなら「M9PG Plus」がベストです。冷却性能に加えて、LEDライティングによるデザイン性も欲しい人はHHHL型の「M9PY Plus」がおすすめ。
別途ヒートシンクを用意する、またはM.2エンクロージャーに入れて使う人は、基板だけの「M9PGN Plus」で大丈夫です。性能はどのモデルも同じなので、求める機能性と目的に応じて好きなモデルを選んでください。
耐久性能の比較
Plextor M9P PlusのTBW(書き込み耐性)は、500 GBモデルで320 TBW、1 TBモデルで640 TBWです。最近のSSDとして、ごく標準的でスタンダードな耐久性能が備わっています。
容量1 GBあたり0.64 TBW(640倍)も耐久性があれば、ほとんどのユーザーにとって十分すぎるほどの水準です。5年保証内にTBWを使い切るのはほぼ不可能に近いです。
PLEXTOR M9PY Plusを開封レビュー
ゲーミング感100%なパッケージング
「M9P Plus」シリーズはゲーマー向けにブランディングされているSSDなので、パッケージデザインも見るからにゲーミングな雰囲気が漂う、色鮮やかなデザインです。
パッケージ裏側はクリムゾンピンク色のフォントで、M9PY Plusの基本的なスペックや仕様について、簡潔にまとめられています。
中身をスライドして引っ張り出すと、PLEXTORとロゴの入った茶色の梱包箱が出てきました。
茶色の梱包箱は、よくある見開き式です。
型抜きされたプラ材の梱包材に、M9PY Plusと付属品がすっぽりと収まっています。
M9PY Plusの付属品は、ロープロファイル用ブラケットと固定ネジ、説明書の3つだけです。必要最低限の付属品です。
流体力学をイメージしたヒートシンク設計
「M9PY Plus」は、HHHLフォームファクタを採用し、面積の大きいヒートシンクを取り付け済み。ヒートシンクはきめ細やかに波打つような流線デザインで、流体力学っぽさをイメージしたデザインです。
非常にスタイリッシュな雰囲気と、クリムゾンレッドの球体にPLEXTORのロゴが入っているおかげで、ユニークなデザイン性も両立しています。
基板だけの「M9PGN Plus」より約3500円高い価格設定ですが、市販ではお目にかかれない優れたデザイン性と、LEDライティング対応のPCIe型ヒートシンクが付属すると考えれば、十分価格に見合った内容です。
基板コンポーネントを目視でチェック
PCIeブラケットを固定するネジを2本、ヒートシンク本体を固定するネジは4本。合計6本の小ネジを外すと、簡単に分解可能。ただし、ネジの1箇所にシールが貼ってあり、ネジを外すと同時に5年保証が無効になります。
PCIe型ヒートシンクは重さ117 gで、ずっしりとした重量感があります。素材はアルミニウムで、冷却性能は文句なしに期待できそうです。
HHHLフォームファクタといっても、中身はM9P Plusの基板が載っているだけです。基板本体を見る前に、もう少しだけHHHLの方を観察してみます。
ひときわ目立つ大きなICEチップは、ITE Tech製のRGB LEDコントローラ「8295FN-56A」です。M9PY PlusのLEDライティングの点灯は3パターンあり、ITEチップは光り方を常に制御しています。
M.2スロットのすぐそばにズラッと一列並んでいるのが「LED」です。合計18個もLEDが実装されているので、LEDライティングの光量は十分そうですね。
SSD本体をチェック。緑色の基板に、各種コンポーネントが整然と配置されています。
SSDコントローラはMarvell製「88SS1092」です。ARM製「Cortex R5(最大500 MHz)」を3コア搭載するハイスペックなコントローラで、最大8チャネルのNANDフラッシュメモリを制御できます。
コントローラ | 88SS1092 | 88SS1093 |
---|---|---|
NANDインターフェース | 最大8チャネル | |
CPUシステム | ARM Cortex R5合計3コア / 最大500 MHz | |
DRAMインターフェース | DDR3 / DDR4 / LPDDR2 / LPDDR3対応 | |
最大8 GB | 最大2 GB | |
用途 | データセンター向け | パーソナル向け |
従来モデルに搭載されていた「88SS1093」とスペック的にほぼ同一のコントローラです。
違いは対応しているDRAMキャッシュの最大容量くらいですが、DRAMキャッシュの容量は変わっていないため、実用上はほぼ完全に同性能のコントローラと言っていいでしょう。
DRAMキャッシュはNanya製LPDDR3メモリを搭載。容量は1 GB(256M x 32 = 8192 Mb)で、SSDの容量に対して約1%のキャッシュが確保されています。
NANDフラッシュメモリはキオクシア製「BiCS4」を採用。96層まで積み上げた3D TLC NANDフラッシュメモリです。刻印は「TH58LJT2T24BAEF」ですが、特にデータシート等の情報は見当たりません。
裏面はコンポーネント無しです。片面実装でM9PY Plusは容量1 TBなので、「BiCS4」は96層化によって少ないチップ面積で大容量を実現しているのが分かります。
ちなみに、以前レビューしたKingston KC2000は「BiCS4」を8枚も使って容量1 TBを実現していました。同じBiCS4チップでも、メーカーによって搭載するチップ枚数に大きく差があるのは興味深いです。
確認できたM9PY Plusの基板コンポーネントをまとめます。
- SSDコントローラ:Marvell 88SS1092
- NANDフラッシュメモリ:キオクシア製「BiCS4(96層3D TLC NAND)」
- DRAMキャッシュ:Nanya製LPDDR3メモリ
スペックシートに書いてあるとおりの内容で安心です。採用コンポーネントの信頼性に問題は皆無です。
LEDライティングをチェック
「M9PY Plus」付属ヒートシンクのLEDライティングを動画でチェック。時間経過や、使用状況(SSDの使用率をITEセンサーが読み取ってる?)によって、3種類の点灯パターンが自動で切り替わります。
光るゲーミングPCに組み込むのに最適なデザインです。なお、念のため「ASRock Polychrome Sync」でLEDライティングを調整できるか試しましたが、LEDライティングのソフト制御は出来ませんでした。
PLEXTOR M9PY Plusの性能を検証(ベンチマーク)
テスト環境
テスト環境「ちもろぐ専用ベンチ機」 | ||
---|---|---|
CPU | Core i9 9900K | |
CPUクーラー | 虎徹Mark II | |
マザーボード | ASRock Z390 Phantom Gaming 6 | |
メモリ | DDR4-2666 8GB x2 | |
グラフィックボード | RTX 2060 | |
SSD | SATA 500GB使用SSD「Samsung 860 EVO」 | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1903」 |
いつもどおり、ちもろぐ専用ベンチ機(インテル仕様)にて、PLEXTOR M9PY Plusの実力を詳しくテストします。
Crystal Disk Mark 7
日本だけでなく、世界的にも定番のSSDベンチマークソフトである「Crystal Disk Mark 7」を用いて、PLEXTOR M9PY Plusの基本的なパフォーマンスをチェックします。
性能の変化を確かめるため、標準設定の「1 GiB」に加えて64 MiB ~ 32 GiBの4パターンを追加してテストを行い、それぞれの結果をグラフにまとめました。
Crystal Disk Markで一番上の行に表示される「シーケンシャル速度(SEQ1MQ8T1)」は、読み込みが3400 MB/s以上でスペック通り、書き込みは2125 MB/s前後でわずかに公称値に届かない結果です。
2行目に表示される「シーケンシャル速度(SEQ1M Q1T1)」は、読み書きともに2000 MB/s以上の高速性能を維持しています。
「ランダムアクセス速度(RND4K Q32T16)」は64 MiBサイズで若干伸びない結果ですが、1 GiB以上では良好です。読み込みは1.5 GB/s超えでかなり速いです。
SSDの進化を示す度合いとして見られている、4行目の「ランダムアクセス速度(RND4K Q1T1)」は、キオクシアのBiCS4を使ったNVMe SSDとして極めて標準的なパフォーマンスを示しています。
読み込みが約35~40 MB/s、書き込みが約138~139 MB/sは記録。TLC NAND型SSDらしいランダムアクセス性能です。
Crystal Disk Mark 7は応答時間(レイテンシ)も計測できます。M9PY Plusのレイテンシは、読み込みが114.71 μs、書き込みが29.35 μsで特に問題ありません。
参考までに、過去にレビューしたSSDとレイテンシの比較をまとめておきます。基本的に、レイテンシをこれ以上縮小するにはSLC NANDや3D XPointのように、特殊なフラッシュメモリを採用したSSDが必要です。
AS SSD Benchmark 2.0
AS SSD Benchmarkは、非圧縮データをテストに使って、SSDのスループット(転送速度)とアクセスタイム(レイテンシ)を計測するベンチマークソフトです。SSDの総合的な性能をおおまかにスコア化します。
AS SSD Benchmark 2.0 Score
スコアは3191点。M9PeGより8%高いスコアです。
ATTO Disk Benchmark
複数のテストサイズでSSDのスループットを計測し、SSDの性能が一貫しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークです。理想は性能がピーク速度に達したあと、グラフがブレずに直線を描くこと。
書き込みは非常に一貫したグラフです。一方、読み込みはピーク速度に達したあと、じわじわと上がったり下がったりで少しブレました。M9PY Plusに限らず、BiCS4を使ったSSDで見られる傾向です。
従来のM9PeGと比較すると、全体的に速度が上がっていて、ピーク速度に達したあとの性能もおおむね上回っています。ただし、512 GBモデルとの比較なので、参考程度に見てください。
書き込み速度はスペック通りの違いだけが、グラフに現れます。M9PeGとM9PY Plusともに、ピーク速度に達したあとは直線のグラフです。
HD Tune Pro
HD Tune Proは約3500円で販売されている、有料のベンチマークソフトです。ディスク領域全体に渡って読み書きを実行し、キャッシュの挙動(=下駄の履かされ具合)を簡易的にチェックできます。
検証用PCに取り付けて、一番最初に実行するテストにも関わらず、なぜか読み込み速度は上下に乱高下していて安定しません。
読み込み速度は平均534.6 MB/sでNVMe SSDとしてはやや遅いです。アクセスタイムは0.058 ミリ秒で悪くない結果なので、もしかするとファームウェア起因の可能性も考えられます。
書き込みは平均581.3 MB/sです。450 GBを超えたあたりでガクッと書き込み性能が落ち込み、キャッシュの存在が見えてきました。アクセスタイムは0.031 ミリ秒でかなり高速です。
SLCキャッシュの有無
100 GBの連続テストで、SLCキャッシュの挙動をチェック。
結果、読み込みと書き込みともに、15 GBくらいでキャッシュが剥がれる様子を確認できます。一部のSSDで採用されている「可変キャッシュ」ではなく、シンプルな固定キャッシュを採用しているようです。
複雑な多段キャッシュにすると、見かけの性能を稼ぎやすいですが、信頼性には疑問を呈されています※。だからM9PY Plusに投入されている、シンプルな固定キャッシュはある意味で安心感があります。
※キオクシアの「BiCS4」は、空き容量の一部をQLC NAND化して、SSDの総容量に見合わない巨大なキャッシュを展開できる、という説があります。
PCMark 8 Storage
PCMark 8のストレージテストは、日常的な使用で想定されるアプリケーション(Adobe系ソフトやOffice系ソフトなどを中心)における実効速度を計測して、SSDの性能を評価します。
PCMark 8 Storage Test / スコア
基本的なスペックを満たしているNVMe SSDなら、スコアは5000~5100点に収まります。M9PY Plusは5083点をマークし、TLC NAND型SSDとしておおむね上限に近いスコアです。
PCMark 8 Storage Test / 実効帯域幅
PCMark 8を実行中のスループット(転送速度)は、670.4 MB/sを記録しました。過去レビューしてきたNVMe SSDの中でも、かなり上位に位置する性能です。
PLEXTOR M9PY Plusの性能を実運用で試す
連続書き込みテスト
1個あたり1 MBのテストファイルを15分間、ただひたすらに書き込み続けるハードなテストです。SSDの素の性能を明らかにし、公称値との差やSLCキャッシュの具体的な挙動などを検証します。
有料ソフト「HD Tune Pro」と似たようなテスト内容ですが、最近はHD Tune Proでも本来の性能を明らかにできなかった例があったため、実際に書き込むテストを実施しています。
開始直後は約2100 MB/s前後でハイスピードですが、62 GB書き込んだあたりで560 MB/s前後へ下落。その後、3回キャッシュが復活して書き込みを続けますが、206 GB以降は平均412 MB/sでした。
よって公称値の2200 MB/sに近い性能を維持できるのは、約200 GBくらいまでです。素の性能は平均で412 MB/sです。とはいえ日常的に200 GBを超えるファイルを扱うユーザーは、かなり稀でしょう。
ゲームのロード時間
「FF14:紅蓮のリベレーター」ベンチマークを使って、ロード時間を計測します。計測方法はベンチマーク終了後に記録されているログファイルから、ロード時間を読み取るだけです。
M9PY Plusは「10.888 秒」で10秒台を記録。M9PeGより約1秒も短縮しており、ゲーマー向けSSDらしい性能と言えます。
Premiere Proプレビューの「コマ落ち」
Premiere Proの動画プレビューは動画素材を置いているストレージ性能に影響を受けやすく、高ビットレート(=1秒あたりの転送量が多い)な素材であればあるほど「コマ落ち」が発生しやすいです。
この検証ではコマ落ちの頻度を計測することで、SSDの性能を評価します。コマ落ちの計測にはPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」を使って、総フレーム数に対するコマ落ち比率で比較しました。
動画素材 | M9PY Plus 1TB | KC2000 1TB | M9PeG 512GB | SN750 500GB | SN550 500GB | SN500 500GB | Optane 905P 480GB | SX8200 Pro 512GB | 970 EVO Plus 250GB | Intel 760p 250GB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4K @448MB/s | 39.27% | 41.66% | 46.69% | 47.57% | 46.74% | 51.90% | 18.28% | 41.90% | 36.39% | 45.81% |
3K @251MB/s | 0.00% | 2.74% | 12.45% | 13.91% | 12.08% | 19.90% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 7.66% |
2K @176MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
4K @108MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
1080p @99MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
M9PY Plusは、NVMe SSDとして特に違和感ないプレビュー性能を発揮します。1秒あたり448 MBの素材では約4割もコマ落ちしますが、他のNVMe SSDはもっとひどい結果です。
1秒あたり251 MBの素材では、1コマも落とさずにプレビューを完了。プロクラスの動画編集にも耐えられる性能があります。
アクセス集中時の応答時間
SSDの品質の差は、アクセス(I/O)が集中したときにどれくらい早く応答できるか?で、ある程度判断が可能です。もし品質の悪いSSDなら、本テストによってプチフリーズも観測できます。
テスト方法は非常にシンプルで、約2500枚の4K写真(全部で約56 GB)を同じストレージ上でビットマップ画像にエンコードするだけ。読み書き両方を頻繁に使い、1枚のエンコードが終わるたびにタスクが中断されるため、意外とストレスの大きい処理です。
まずは負荷の軽いイージーモード(CPU使用率:25%)でテストを実行します。
SSD | M9PY Plus 1TB | KC2000 1TB | SN550 500GB | SN500 500GB | SN750 500GB | MX500 1TB | 970 Pro 1TB |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 5.09 ms | 5.67 ms | 13.64 ms | 10.73 ms | 5.68 ms | 33.51 ms | 4.86 ms |
平均書込時間 | 1.22 ms | 1.52 ms | 8.15 ms | 3.88 ms | 2.89 ms | 10.05 ms | 2.06 ms |
エンコード時間 | 174.15 秒 | 167.57 秒 | 219.72 秒 | 186.82 秒 | 175.42 秒 | 262.99 秒 | 161.02 秒 |
イージーモードのテスト結果は問題なし。NVMe SSDのほぼ上限に近い応答時間とエンコード時間を叩き出しています。
次はハードモード(CPU使用率:100%)で、同じ内容のテストを検証します。
SSD | M9PY Plus 1TB | KC2000 1TB | SN550 500GB | SN500 500GB | SN750 500GB | MX500 1TB | 970 Pro 1TB |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 22.48 ms | 8.73 ms | 18.06 ms | 15.62 ms | 8.31 ms | 42.46 ms | 6.79 ms |
平均書込時間 | 20.24 ms | 3.24 ms | 19.53 ms | 12.31 ms | 9.21 ms | 28.22 ms | 1.89 ms |
エンコード時間 | 113.44 秒 | 64.98 秒 | 144.22 秒 | 95.18 秒 | 77.05 秒 | 221.02 秒 | 61.48 秒 |
キャッシュの挙動がやや不思議です。てっきりキャッシュに吸収されて速い応答時間を維持できると思いましたが、実際にはなぜか応答時間が伸びてしまいました。
SSDの動作温度を確認
ベンチマーク時のセンサー温度
SSDコントローラ側の温度センサーが記録した温度は、最大で46℃に抑えられています。重さ117 gの重厚かつ大型ヒートシンクの冷却性能は圧倒的です。サーマルスロットリングが起きる可能性は皆無です。
サーモグラフィーで表面温度を確認
ヒートシンクの温度はもっとも熱い部分で47℃前後です。全体的に40~47℃で推移しており、ヒートシンク全体で熱をうまく発散しているのが分かります。
エアフローを当ててない環境ですら、余裕で冷えているので、ケースファンの風が当たる位置ならもっと冷却性能に期待ができます。
まとめ:より安く、より高性能に「正統進化」
キオクシア製「BiCS4(96層の3D TLC NAND)」を採用し、従来モデルのM9Peから飛躍的ではないものの、M9P Plusは着実な性能アップを遂げています。
およそ62 GBある巨大なSLCキャッシュのおかげで、日常的な使い方ではおおむね公称値通り、2 GB/s超えの書き込み性能を叩き出します。体感できるかはともかく、ゲームのロード時間も1秒ほど高速化。
万人向けな性能を持つNVMe SSDです。今回レビューした「M9PY Plus」の場合は、LEDライティング対応かつユニークな流線型デザインの大型ヒートシンクが付属しており、ゲーマーに特におすすめです。
「Plextor M9PY Plus」の良いところ
- 約62 GBのSLCキャッシュ
- 平均よりやや多い耐久性能
- LEDライティングで「光るSSD」
- ヒートシンクの圧倒的な冷却性能
- 実は価格設定が大幅に安くなった
- たっぷり5年保証
地味に嬉しいのが価格設定の見直しです。HHHLモデルの場合、従来モデルは約29500円だったのが、後継モデルでは約25000円へ20%も値下がりしています。しかもまだ初値です。
モデル | Y : PCIe型ヒートシンク | G : M.2ヒートシンク | GN : なし |
---|---|---|---|
M9P Plus | 25058 円 | 22858 円 | 21538 円 |
M9Pe | 29517 円 | 28558 円 | 26117 円 |
差額 | -4459 円 | -5700 円 | -4579 円 |
性能アップと同時に、価格の値下げ。SSDの後継モデルとして王道のグレードアップを実現し、以前よりもPLEXTORブランドのSSDをおすすめしやすくなりました。
「Plextor M9PY Plus」の微妙なとこ
- コスパはちょっと微妙(2020年3月時点)
価格的にライバルになりうる「SX8200 Pro」や「Force MP510」と比較して、まだ3000~4000円ほど差額がありますが、現時点の価格はあくまでも初値です。
今後の価格次第では、1 TBクラスのNVMe SSDで極めて強力なポジションを占める可能性を十分に持ってます。
以上「Plextor M9P Plusをレビュー:LEDで光るゲーマー向けNVMe SSD」でした。