2021年8月に発売された「Seagate FireCuda 530」は、Micron製の176層3D TLC NANDと、TSMC 12 nm製のコントローラのコンボで最大7300 MB/sを実現するPCie 4.0対応NVMe SSDです。
本記事は提供ですが・・・、SN850や980 PROといったライバル製品と比較しながら実力を詳しくレビューします。
Seagate FireCuda 530【仕様】
Seagate FireCuda 530 スペックをざっくりと解説 | ||||
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容量 | 500 GB | 1000 GB | 2000 GB | 4000 GB |
インターフェイス | PCIe 4.0 x4(NVMe 1.4) | |||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | M.2 2280(両面実装) | ||
コントローラ | Phison PS5018-E18 | |||
NAND | Micron 176層 3D TLC | |||
DRAM | SK Hynix DDR4-2666 | |||
512 MB | 1024 MB | 2048 MB | 2048 MB | |
SLCキャッシュ | 非公開 | |||
読込速度 シーケンシャル | 7000 MB/s | 7300 MB/s | 7300 MB/s | 7300 MB/s |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 3000 MB/s | 6000 MB/s | 6900 MB/s | 6900 MB/s |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | |||
読込速度 4KBランダムアクセス | 非公開 | |||
書込速度 4KBランダムアクセス | 非公開 | |||
消費電力(最大) | 5.8 W | 6.5 W | 8.0 W | 8.4 W |
消費電力(アイドル) | 25 mW | |||
TBW 書き込み耐性 | 640 TB | 1275 TB | 2550 TB | 5100 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 180万時間 | |||
保証 | 5年 + 3年間のRescueサービス※ ※データ復旧サービスが付属 | |||
MSRP | $ 150 | $ 240 | $ 440 | $ 950 |
参考価格 | 15980 円 | 26400 円 | 54980 円 | 112980 円 |
GB単価 | 32.0 円 | 26.4 円 | 27.5 円 | 28.2 円 |
- FireCuda 530(Amazon公式ストアページ)
「FireCuda 530」の製品コンセプトは、データシートによると「超・耐久性絶対的優位性」とのこと。ゲーマーからクリエイターまで幅広いユーザーのニーズに応えられる、PCIe 4.0対応最速クラスかつ万能タイプのNVMe SSDです。
スペックを見てみましょう。読み込み速度は最大7300 MB/s、書き込みは最大6900 MB/sをアピール。2021年8月時点、PCIe 4.0対応のNVMe SSDでもっとも高い数値です。特に7000 MB/s近い書き込み速度は驚異的。
SSD | 500 GB | 1 TB | 2 TB |
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Seagate FireCuda 530 | 640 TBW | 1275 TBW | 2550 TBW |
CFD PG4VNZ | 350 TBW | 700 TBW | 1400 TBW |
Plextor M10PGN | 320 TBW | 640 TBW | 1280 TBW |
Crucial P5 Plus | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
Samsung 980 PRO (980 PRO:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
WD Black SN850 (SN850:レビュー) | 300 TBW | 600 TBW | 1200 TBW |
書き込み耐性も頭一つ抜けた水準に達します。容量あたりの耐久性能(TBW)はライバル製品と比較してざっくり2倍以上。MTBFは180万時間です。
3年間のデータ復旧サービスが付属
FireCuda 530は5年間の製品保証に加えて、3年間のデータ復旧サービス(Rescue Data Recovery Services)が付属します。
とはいえFireCuda 530のTBWは非常に高水準な上に、MTBFは180万時間と途方も無い長さ。普通に使っていて故障する確率は極めて低いものの、・・・無料で付属する分には嬉しいサービスです。
ライバル製品と価格設定の比較
シーケンシャル性能が6000 MB/s超えのハイエンドNVMe SSDにて価格を比較しました。1 TBモデルは26000円台、2 TBモデルが55000円前後です。
1 TBモデルは競合するWD Black SN850やSamsung 980 PROより若干高い価格設定。発売から間もないので、いずれはライバル製品とほぼ同じ価格に落ち着くと予想できます。
Seagate FireCuda 530を開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
今回は日本シーゲイト(@Seagate Japan)より、FireCuda 530の1 TB版と2 TB版を用意していただきました。2 TB版は提供、1 TB版は無理を言ってレンタルしました。
従来モデルのFireCuda 520とほとんど同じ、オレンジ色を基調としたパッケージデザインです。
パッケージの表と裏です。代理店のシールは貼られていません。
中身を引っ張り出すとプラスチック製のケースにFireCuda 530と付属品が収納されてます。
付属品はステッカー、説明書、保証書など。
ステッカーは黒字と白字の2種類です。SSD製品でこうしたノベルティが付属するのは珍しいです。従来モデルのFireCuda 520も、ステッカーなどは付属していませんでした。
基板コンポーネント
マットブラック塗装の基板上に、SSDを構成する3つのコンポーネントが配置され、コンポーネントが見えないように「FireCuda」ロゴの描かれたシールが張ってあります。
メーカー曰く、表側のシールは剥がしても保証に影響しないとのこと。別売りのM.2ヒートシンクを、チップに直に取り付けたい人には嬉しい対応です。
基板の裏側もコンポーネントがぎっしりと詰まっています。こちらもシールが貼ってあり、製品ナンバーやシリアルコードが印刷されています。剥がすと保証が無効になるので注意してください。
では、剥がしても大丈夫な方を剥がして、基板上に実装されているコンポーネントを目視でチェックします。
基板の全体図と、NANDメモリ、SSDコントローラ、DRAMそれぞれの拡大図をまとめて掲載します。
- コントローラ:Phison PS5018-E18(Seagate刻印)
- DRAM:SK Hynix H5AN8G6NCJ(DDR4-2666 1024 MB x2)
- NAND:Micron 176層 3D TLC NAND(256 GB x8)
SSDコントローラはPhison社のPS5018-E18を搭載。ARM Cortex R5 CPUを5つ搭載(ペンタコア)する高性能なSoCです。従来世代の28 nmプロセスから一気に12 nmプロセスへシュリンクします(製造はTSMC)。
非常に高性能なコントローラですが、相変わらず具体的な仕様は非公開です。プロセスが縮小しても性能も飛躍的に上昇したため、従来世代と同じく、熱に敏感でサーマルスロットリングが発生しやすい可能性が残ります。
NANDメモリはMicron社のB47R FortisFlash(Standard < FortisFlash < FortisMaxの順番に高耐久)をぜいたくに8枚搭載。1枚あたり容量256 GBで、合計2048 GBに達します。
積層数は驚異の176層で、2021年8月時点で最高水準です。ライバルはサムスンが12X層(おそらく128層)、東芝WD連合(キオクシア)は112層にとどまっているので、優れた性能特性に期待できます(技術的には)。
DRAMはSK Hynix社のDDR4-2666メモリを搭載。2 TBモデルでは、容量1 GBのDDR4メモリを基板の裏と表に1枚ずつ、合計で2枚搭載します。
2 TBモデルは見ての通り「両面実装」です。別売りのM.2ヒートシンクやアドインカードを使う場合は一応、両面実装SSDとの互換性を確認してください。
1 TBと500 GBモデルは「片面実装」なので特に気にしなくて大丈夫です。
Seagate FireCuda 530の性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
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CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | Corsair H100i Pro RGB240 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | Seagate FireCuda 530 2TB Seagate FireCuda 530 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 471.41 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@60 Hz使用モデル「BenQ EL2870U」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/sのSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 4.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.4
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache
「Seagate FireCuda 530(2 TB)」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
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テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度は7300 MB/s超えで公称スペックどおり、書き込み速度は6800 MB/s台でほぼスペックどおりのシーケンシャル性能です。テストサイズを64 GiBまで引き上げても、テスト結果は微動だにしません。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。1 TBと2 TBモデルともに読み込みレイテンシは46.0 μs台に突入し、ライバル製品と横並びに。
書き込みレイテンシは13.0 μs台で、ちもろぐで過去にレビューしたSSDとしてはトップクラスの水準です。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は7000 MB/s前後でピークに達したあと、安定した性能を維持します。980 PROやSN850を上回る驚異的な読み込み速度です。
書き込み速度はピーク時に2 TBモデルが6600 MB/s前後、1 TBモデルは5500 MB/s前後ですが、それでもSN850や980 PROより高い性能です。
ただし、ATTO Disk Benchmarkのテストは基本的にキャッシュ範囲内に収まる内容ゆえに、上記のテスト結果だけでは実際の性能はまだなんとも言えません。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
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HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。3枚目のファイルベンチマーク(250 GB分)を見ると、ずっと6000 MB/s台の書き込み速度を維持している様子が分かります。
2 TBモデルはとても大容量なので、展開できるSLCキャッシュも非常に広大と予想できます。250 GB程度ではキャッシュを使い切れないようです。後ほど、もっと詳しくテストします。
Seagate FireCuda 530を実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
7秒台の壁を抜けてきました。FireCuda 530の2 TBモデルは「6.74 秒」、1 TBモデルが「6.72 秒」です。小数点以下のわずかな違いとはいえ、明確に性能差があるのは嬉しい事実です。
ファイルコピーの完了時間
「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量65 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
読み込み(Seagate FireCuda 530 → 980 PRO)はおおむねWD Black SN850(1 TB)と僅差です。特に1 TBはほとんど性能差が無いレベルで互角の勝負をしています。
2 TBモデルなら圧倒できるかと期待しましたが、残念ながらベンチマークの基準に使っているSamsung 980 PROがボトルネックになってしまい、正確な測定ができません。
書き込み(980 PRO → Seagate FireCuda 530)も似た傾向です。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
4Kプレビューは約17%のドロップフレーム率です。1 TBと2 TBモデル両方とも、ライバルのSN850や980 PROを抑えてトップクラスの位置に付きます。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)。
2 TBモデルは空き容量を20%まで追い込んだ状態でも、スコアにまったく変化が見られません。ちもろぐでテストした普通のNVMe SSDとしては、過去最高のスコアです。
1 TBモデルは空き容量による性能変化があるものの、空き容量20%の状態でもSamsung 980 PROをあっさり上回り、SN850にあと一歩迫るスコアを示します。
Adobe系ソフト、ゲームロード時間の評価スコア、ファイルコピー性能のスコア、Microsoft Office系ソフトの評価スコア。それぞれの実用性能スコアは以上の通りです。
980 PROはもう戦いについていけず、SN850とFireCuda 530同士で熾烈な性能バトルを繰り広げます。1 TBモデルではSN850に首位を譲りますが、ファイルコピーの性能はFireCuda 530が頂点です。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
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Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
PCIe 4.0対応のNVMe SSD(4つ)を比較したグラフです。2 TBモデルは強くて当然なので参考程度に見てください。注目は1 TBモデル同士の性能比較です。
FireCuda 530のキャッシュはパッと見た感じでは2段階構造です。最初のキャッシュ切れで平均2000 MB/sに落ち込み、途中でさらに平均1000 MB/sまで性能が下落します。
5000 MB/s近い速度を維持できるのはおよそ110 ~120 GB程度。ライバル製品とそれほど差はありません。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。1 TB同士の比較では、最初の5分間はFireCuda 530がトップ、その後10 ~ 15分と経過するにつれてSamsung 980 PROが逆転します。
2 TBモデルはさすがに圧倒的です。たったの5分で約1.2 TBを書き込み、15分で約2.4 TBもの書き込み量を記録します。めちゃくちゃなスピードです。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは1つだけです。
- Drive Temperature:NANDの温度
表示する温度はNANDメモリのみ、より発熱が激しいSSDコントローラの温度は表示されない仕様です。
ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。
温度が65℃を超えたあたりで突然、書き込み速度が乱高下して不安定に・・・。Micronによると、176層3D TLC NANDの動作温度は0 ~ 70℃とのこと。たしかに、70℃を超えた時点で明らかに性能が不安定です。
ですが、70℃を超えた程度でここまで不安定になるのはちょっと不自然に思えます。サーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。
- SSDコントローラ:103 ~ 107℃
- NANDメモリ:78 ~ 82℃
NANDメモリの温度はHWiNFOに表示される数値とおおむね一致しています。一方、SSDコントローラの温度はなんと100℃超え、ピーク時には107℃近い温度を記録しており、「爆熱」と言われても否定できない状態です。
サーマルスロットリングが発動して性能が乱高下するのも納得です。
FireCuda 530に全力を出してもらうなら、別売りのM.2ヒートシンクにケースファンを使ってエアフロー当てを強く推奨します。マザーボード付属のM.2ヒートシンクも使えます。
M.2スロットの位置によっては、エアフローを当てづらかったり、グラフィックボードの排熱をもろに受けてまったく冷えない場合もあるので「アドインカード」タイプのヒートシンクも選択肢のひとつです。
まとめ:980 PROを打ち負かす性能と耐久性
「Seagate FireCuda 530」のデメリットと弱点
- 7300 MB/sのメリットは限定的
- 空き容量による性能変化あり(500 GBと1 TBモデル)
- 積極的に冷やさないと「爆熱」です
- 激しいサーマルスロットリング
「Seagate FireCuda 530」のメリットと強み
- 最大7300 MB/sものシーケンシャル性能
- 広大なSLCキャッシュ(100 GB以上)
- 高速なランダムアクセス速度
- 最速クラスのゲームロード時間
- 980 PROを超える実用性能
- ライバルの2倍以上の耐久性(640 ~ 5100 TBW)
- 大容量モデルあり(2 TB と4 TB)
- コストパフォーマンスOK
- 5年保証 + 3年間のデータ復旧サービス
FireCuda 530のパフォーマンスは全体的にハイレベルです。実用性能のスコアと持続的な書き込み性能は、SN850に一歩譲りますが、ゲームロード時間や4K動画素材のプレビュー性能など。
幅広い分野でトップクラスの性能を示します。ファイルコピー性能も日常的な使用の範囲(大きくても容量100 GBのゲーム1本程度)であれば、基本的には現行もっとも速いです。
さらに、ライバル製品より2倍以上も多い耐久性能もFireCuda 530の大きな利点です。たとえば1 TBモデルだと600 TBWが主流の中、FireCuda 530は1275 TBWの耐久性能を持ちます。
圧倒的に高耐久で、性能はPCIe 4.0対応NVMe SSDとしてはトップクラスの領域です。
ちもろぐの個人的な評価は「A+ランク」で決まりです。
FireCuda 530は速くて超頑丈、保証も手厚い、価格も高すぎず妥当な設定。目立った弱点は他のライバルと同じく「爆熱」なくらいで、ヒートシンク付けてエアフローを当てれば問題なし。おおむね万人向けなNVMe SSDです。
以上「Seagate FireCuda 530レビュー:超高耐久と最速クラスの性能」でした。
Seagate FireCuda 530を入手する
FireCuda 530は1 TBと2 TBモデルともにAmazonにて購入できます。1 TBがおよそ2.6万円台、2 TBモデルは約5.5万円で先行予約を受付中。9月10日に発売予定です。
地の書き込み速度が2000もあるならSLCキャッシュ要らんのに
そのせいで2回目の落ち込みができてるんだろうし
業務用のキャッシュ用に最適
てか2TBつっっっよ…
15分間の連続書き込みテストだと、1TBの3機種の差よりも1TBと2TBの差が際立ってますね。
多分SN850や980PROも2TBならすごい数字が出るんでしょうね。
次はCrucial P5 Plusですかね。
6600xtレビューしないんですか?
この記事見て予約して今日届きましたが、同バージョンのCrystalDISCMark8.04で同じ数字は出ませんでした。概ね1割ちょい、数値が低いです。ハズレ引いたのか、レビュー回された製品がレビュー用なので良いものだったのか、はたまた私はOSインストールした状態のSSDをベンチしたという点が記事と異なるのでシステムインストールしてないSSDとではそのくらい差異がでるのか。なんとなく最後の予想が原因な気がしますが、これ買う人は普通そこにOS入れると思うのでどっちかってとOS入れずに測ってるレビューがその辺考慮してないのが画竜点睛な気もします。
>これ買う人は普通そこにOS入れると思うのでどっちかってとOS入れずに測ってるレビューがその辺考慮してないのが画竜点睛な気もします。
自分はOS入れて使わない予定なのですごく参考になります^^
おま環でぶれないRAWなデータの方が比較にならないほど高価値
国語の問題がムズムズ来る、「画竜点睛」って
正直なところ、Phison製コントローラを採用したSSDをオススメするのはどうなんでしょう?
おそらく同じNANDが使われているP5 Plusよりも異様に大きいTBWは正直信頼できるとは言いづらく、昔からプチフリ発生したり変に圧縮を行うためベンチマークの数字のみがよく見えるなど信頼性に疑問が多く残りますが……
Firecuda530のレビュー有難う御座います!
非常に細かなレビューで知りたい内容を網羅されていて、
いつも参考にさせて頂いています。
少し気になった事があったのでコメント致しました。
今回レビューを拝見してFirecuda530の4TBを購入してヒートシンクをレビュー内の選択肢にあったAauacomputerのKryoM.2evoにして取付けをしようとしましたが、ある問題がありました。
Firecuda530が爆熱で別売りのヒートシンクの選択肢にKryoM.2 evoがありましたが、KryoM.2evoは対応のSSDの厚さがMAX2.3mmまでとなっています。
Firecuda530の場合、500GBと1GBの片面仕様のみの対応になり、2TBと4TBに関しては3.58mmもあり、工夫しなければKryoM.2 evoに取付けが出来ません。
私以外にこちらのレビューを見た方で勘違いされる方もいるかもしれないので、一応ご連絡した次第です。
余計な心配、ご連絡でしたらすみません。
500GBモデル同士での比較もしてもらえないでしょうか。
500GBモデルではカタログスペックはライバル機と大きく差が出るように思います。
また、主にOS用として使用する場合は、小さいファイルのランダム読み書き性能が重要になると思うのですが、これは500GBモデルだと相応に落ちるのでしょうか、それともあまり下がらないのでしょうか。
ゲーム用には少し勿体ないような気もするけど変にi9とかを積むくらいならこういう高性能なssdを詰んだ方が快適そう
ヒートシンク付きモデルもありますが、やはりそちらの方が良いでしょうか?