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Intel UHD 750レビュー:Xe Graphics内蔵GPUの性能を検証

第11世代インテルCPUには、Tiger Lakeから移植した内蔵グラフィックス「Xe Graphics」が搭載されています。

従来のUHD 630とはまったく別物の新しい内蔵GPUですが、UHD 630やRadeon Vegaと比較してどれくらい性能が良いのか?ベンチマークです。

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Intel UHD 750のスペックと仕様

iGPUIntel UHD 750Intel UHD 630Radeon Vega 7
世代Tiger LakeKaby LakeRaven Ridge
プロセス14 nm++++14 nm+++7 nm
搭載CPU※代表的なCPUのみi9 11900K
i7 11700K
i9 10900K
i7 10700K
Ryzen 5 PRO 4650G
演算ユニット32247
シェーダー数256192448
ブーストクロック1300 MHz1200 MHz1900 MHz
理論性能665.6 GFLOPS460.8 GFLOPS1702.4 GFLOPS
TDP15 W15 W65 W
AV1ハードウェアデコード対応なしなし
HWエンコードQSVVersion 8 (TGL)QSVVersion 6 (KBL)VCE 4.0

第11世代(Rocket Lake)に搭載されている内臓グラフィックスは、Tiger Lake世代のXe Graphicsから移植してきたモノです。

Tiger Lakeシリーズでは演算ユニット数が48~96個で、ライバルのRadeon Vegaと競争できる性能がありますが、Rocket Lakeでは32個にカットされているため性能微増にとどまります。

Intel UHD Graphics 750の面積

たった32個でもCPU 2コア分に相当する面積を食っている上に、Rocket Lakeはいろいろ事情があって10 nmではなく14 nmプロセスで製造されたため、チップ面積に余裕がないです。

地味ながら強化された「機能性」

実は、32個の演算ユニット(= 256個のシェーダー)より遥かに広い面積を使って実装されているのが「機能性」です。

UHD 750は最大8KのAV1デコードに対応。AV1は非常に圧縮率の高いフォーマットで、身近なシーンだとYoutubeで高解像度な動画を再生するときに使われています。

圧縮率の高い動画フォーマットほど、CPU性能を必要とするものの、UHD 750に内蔵されたAV1デコード機能のおかげでCPUにほとんど負荷をかけずにスムーズな再生が可能です。

もうひとつ強化された機能性はハードウェアエンコードです。QSV(Intel Quick Sync Video)の最新バージョン(Tiger Lake版 = バージョン8)に対応し、高画質なHWエンコードが可能。

TuringのNVENCはKabylakeのQSVを超えるなかなかのものだったが、Icelakeはそれをもう一度ひっくり返した感じ。(中略)VCEはまあ…。固定品質系のレート制御がない時点でこの比較は不利なのだが、それにしても…。うーん。

rigayaの日記兼メモ帳「画質比較 (2020.03) 実写編」より

rigaya氏(x264guiExの作者さん)によると、HEVCにおける画質はIce Lakeの時点でTuring世代のNVEncを超えているとのこと。Tiger Lake世代のQSVなら、さらなる高画質に期待できるはず。

やかもち
なにげに高機能な内蔵GPUを搭載するのは、Ryzen CPUと競争する上でハンデな気がするな・・・。

Intel UHD 750の性能をベンチマーク

テスト環境

テスト環境
「ちもろぐ専用ベンチ機(2021)
PCver.Intelver.AMD
CPUCore i9 11900K
Core i9 10900K
Ryzen 5 PRO 4650G
冷却Corsair H100i Pro240 mm簡易水冷クーラー
マザーボードASUS ROG STRIXZ590-E GAMINGASUS ROG STRIXX570-E GAMING
メモリDDR4-3200 16GB x2使用モデル「G.Skill TridentZ C16」
SSDNVMe 500GB使用モデル「Samsung 970 EVO Plus」
電源ユニット1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」
OSWindows 10 Pro(20H2)
ドライバIntel 27.20.100.9316
Radeon 21.3.1

内蔵グラフィックスの性能比較を行うテストスペックです。

  • Intel UHD 750:Core i9 11900K
  • Intel UHD 630:Core i9 10900K
  • Radeon Vega 7:Ryzen 5 PRO 4650G

比較する内蔵グラフィックスは以上の3つ。DDR4-3200メモリを合計32 GB(16 GB x2)、設定はXMPそのまま(16-18-18-38-75 @1.35 V)を適用して、動作モードを「1:1」に設定します。

Intel内蔵GPUのドライバは「27.20.100.9316」、Ryzen APUドライバは「21.3.1」、どちらもレビューを書いた時点での最新版です。

定番ベンチマーク「3DMark」

外付けグラボ向けの重たいベンチマーク「FireStrike」では、UHD 750のGPUスコアは2140点です。ライバルのRadeon Vega 7は2倍近い4000点を叩き出しており、シェーダー数で力負けしています。

内蔵GPU向けの軽量ベンチマーク「Night Raid」でも基本的な性能差は変わらず。UHD 750は8887点、Radeon Vega 7は約1.8倍の15909点でした。

マルチプラットフォーム向けのGPUベンチマーク「Wild Life」では、UHD 750は4540点、Radeon Vega 7は約1.7倍の7688点です。

GPUの性能がそのまま反映されやすい3DMarkベンチマークにおいて、Ryzen APUのVegaは圧倒的に高性能。UHD 750は従来のUHD 630より高性能とはいえ、256シェーダーだと無理があります。

FF14:漆黒のヴィランズ

標準品質(デスクトップ)設定でベンチマーク。ログファイルの平均と最低値をまとめました。UHD 750とVega 7の性能差はおよそ1.24倍です。

CS:GO

無料でプレイできるFPS「CS:GO」は最高設定で問題なく動きます。UHD 750が平均40 fps前後で、Radeon Vega 7は平均84 fpsで2倍以上の性能です。

VALORANT

同じく無料プレイのFPS「VALORANT」は、低設定にて平均113 fpsと余裕の動作。しかし、UHD 630とほとんど性能差が出ないのが謎です。

Radeon Vega 7はおよそ1.6倍の平均182 fpsで圧倒的です。

原神

基本プレイ無料のMMOPRG「原神」は、低設定(精度1.0)で妥協して、璃月を散歩しながらテスト。UHD 750は平均30 fps前後でかろうじてプレイできるレベル。

Radeon Vega 7は平均50 fps近い性能です。

動画エンコード(Aviutl)

拡張QSVエンコードと、拡張VCEエンコードを使って動画エンコードの処理時間を計測します。

  • QSVの設定:-c hevc –quality best –icq 23
  • VCEの設定: -c hevc –preset slow –cqp 22:24:27 –gop-len auto

どちらも一応は画質重視の設定です。エンコード時間はVCEがトップ。

QSVの比較はシェーダーが多くてバージョンも新しいUHD 750が速い結果に。UHD 630より3割くらい速いので、おおむねシェーダー数に比例した性能です。

性能比較まとめ

iGPUUHD 750UHD 630Vega 7
3DMark
FireStrike
214014914000
3DMark
Night Raid
8887665215909
3DMark
Wild Life
454033517688
FF1431.123.938.5
CS:GO40.037.184.1
原神30.221.949.6
VALORANT113.3113.1182.4
平均52.944.490.1
性能比較+19.1%+102.8%

UHD 630比較で、UHD 750は19.1%高性能です。シェーダーが約33%しか増えていないため、割と妥当な結果です。

Radeon Vega 7はUHD 630の約2倍の性能・・・圧倒的に思えますが、シェーダー数は448個で、TDPはほぼ5倍の65 Wに設定されています。物量的に勝てないのは明白です。

【参考】Xe Graphicsは省エネなのか?

FF14ベンチマーク中に、内蔵GPUの消費電力を計測したグラフです。

  • UHD 750:平均8.7 W
  • Radeon Vega 7:平均41.8 W

Radeon Vega 7が軽く40 Wで、UHD 750はたった8.7 Wしか電力を使いません。FF14の性能差は約1.2倍ですので、Radeon Vega 7は5倍近い消費電力で20%の性能差しか出せていない計算に・・・。

96EU版はTDP:25 Wで6000点超え(via : notebookcheck.net

すでにリリース済みの「Xe Max Graphics(96EU + LPDDR4X 4 GB)」が、TDP:25 WでFireStrikeのGPUスコアにて6000点超えを記録しているので、電力効率はかなり良さそうに見えます。

32EUあたり8~9 Wの消費電力と想定して雑に計算すると、ゲーマー向けの「Intel Xe DG2(512EU)」はGPUコアだけなら144 Wで足りる計算です。

実際の製品ではVRAMチップやVRMフェーズ回路、内蔵GPUより遥かに高いと予想されるブーストクロック※によって200 W超えは視野に入りますが、それでもワッパは相当に高そうに見えます。

やかもち
グラボが品薄すぎる今なら、Intel Xe DG2に期待したい気持ちです。

※Xe Max Graphics(96EU)ですら1650 MHzまで上昇するので、dGPU版なら1900 MHz出ても違和感はない。

まとめ:Tiger Lake版GPUの素性は良い

Intel / コア : 8 / スレッド : 16 / ソケット : LGA 1200 / チップセット : Intel 400~500 / 内蔵GPU:UHD 750 / 付属クーラー : なし
Intel / コア : 8 / スレッド : 16 / ソケット : LGA 1200 / チップセット : Intel 400~500 / 内蔵GPU:UHD 750 / 付属クーラー : なし

「Intel UHD 750」のデメリットと弱点

  • 「32EU」ではRadeon Vegaに負ける
  • 搭載しているCPUが高い
  • 限定的なオーバークロック

「Intel UHD 750」のメリットと強み

  • 「QSV」バージョン8に対応
  • 最大8KのAV1デコード対応
  • 驚異的なワットパフォーマンス
  • 垣間見えるTGL版GPUの素性の良さ
  • Radeon Vegaより高機能

Intel UHD 750単体で評価するとイマイチですが、原因のほとんどはシェーダー数が足りていないからであって、Tiger Lake版GPUそのものはとても素性の良いGPUです。

たった8~9 Wの消費電力で、Radeon Vega 7に対して2~3割しか劣らない性能(FF14ベンチ)を出せますし、ノートパソコンでリリース済みの96EU版の性能は驚異的です。

優れたワッパと性能に加え、高画質なHEVCエンコードを可能にする「Tiger Lake版QSV(バージョン8)」や、最大8Kの「AV1デコード」に対応します。ライバルのRadeon Vegaはどちらも対応していません。

あとはインテルが外付けグラフィックボードとしてXe Graphics単体で出したり、Ryzen APUのような内蔵GPU特化型モデルとして出してくれると面白くなりそうです。

やかもち
512EU + GDDR6メモリを8 GBくらい搭載した単体のXe Graphicsに期待!

以上「Intel UHD 750レビュー:Xe Graphics内蔵GPUの性能を検証」でした。

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28 件のコメント

  • そうか、我々ってpc一般利用者のことを忘れてたね。
    もしかしたら内臓グラフィックで使う大半の人からしたら良品なのかもね。
    ままええわ、今回は許したる(寛容)

    DDR5対応CPU期待しとるで

  • ゲームとか特殊な作業やらない人にとっては動画視聴が一番重いわけで、そう思うとますます合理的な設計よね

  • ドライバー搭載して4kuhd再生がこの11世代からできなくなったのは痛いなー、10世代まではsgxだったりhdmi2.0だったりの制約があったけど、せっかくグラフィック強化したんだから別の方法で実現してくんねーかな

    • そもそも11世代CPU装着時、BIOSのSGXオプション自体が消えることになった。
      10世代に戻せばSGXオプションが戻ったけれど。
      つまりUHDBD再生は7-10世代限定のことを覚えておこう。
      しかしPCでのUHDBD再生はPowerDVDの画質の悪さによって、組み立ててももうPS5に負けたレベルかな?

  • ここでインテル擁護してる人の大半が気づいてないようだけど
    一般人の用途でほぼ十分なi3以下の11世代のCPUはコメットのリネーム品だから
    iGPUも旧世代でUHD7xxは載ってないのよね。

    • ほとんどの一般人はもはやデスクトップなど買わないので関係ない。
      tigerlakeは下位skuでもXeなので。

    • 叩きとか擁護とか見苦しい話に参戦する気はないですが
      一般用途はi3以下ってのは誰が決めたんです?

  • GPUの消費電力ってCPU込みなのかな(‘;’)?
    両方ともiGPUならどうせCPUも使うわけだから
    CPU込みのほうがわかりやすいかも

  • 現時点ではLAVなどに対応されないと思ったが、対応した後にUHD750はMPC+LAV+madVRの環境で4K 60FPS HDRは安定して出せるかを気にしています。
    UHD630は上記の条件で4K 40FPS HDRが限界です。4K 60FPSのHDRビデオを再生すると、平均20FPSのコマ落ちが出たから。

      • テストの結果が出ました。
        まず結論を言います。
        MPC+LAV+madVR/MPC Renderer経由での
        UHD730/750の4K 60FPS HDRビデオ再生速度は、駄目です。
        コマ落ちしすぎます。
        しかもmadVRのほうが速い為、madVRとMPC Video Renderer両方とも不合格です。

        しかし、タスクマネージャーを見ると、UHD730/750のVideo Decode速度はRTX3080の2倍以上で、僅かの23%で、非常に速いです。
        何故そんなに速いのに、コマ落ちしてしまうの?
        答えは、UHD730/750のレンダリング速度が駄目なことです。
        4750GのVega8も、RTX3080も、4K 60FPS HDRを出力する時、タスクマネージャーの3D部分はある程度余裕があります。だからmadVR経由でもMPC Video Renderer経由でも、コマ落ち無しで再生できます。

        • (続き)
          しかしUHD730/750が4K 24FPS HDRビデオを再生する時さえ3Dの使用率が92%に達します。
          24FPSでもそんなに苦戦していたから、60FPSでは全然駄目なことは納得できるのでしょう。
          HDR以外のビデオは他の映像出力レンダラーを使えば改善できるかもしれませんが、今、制限無しでHDR出力できるレンダラーはmadVRとMPC Video Rendererしかいませんので、コマ落ち無しで4K 60FPS HDRビデオを見たいのは、しばらくIntelの内蔵GPUから離しておこう。
          なお、上記のテストは11400 & 11900T ES + GIGABYTE Z490I AORUS ULTRAのDisplayPort経由でLG 27UL850に出力するのため、バス不足による4K 60FPSに達しないことではありません。

          • 先程MPC Video Rendererの設定を変えて、madVRよりフレームレートが出せるようになりました。
            しかし、それでも4K 54FPS HDRが限界のため、結論を変えません。

  • UHD630ではHDR非対応、リフレッシュレート最大120Hz
    UHD750はHDR10対応、リフレッシュレート最大144Hzとゲーミングモニターも生かせます

  • 全体の消費電力も入れたほうが良いと思います。(両者TDP 65W制限して)
    ノート向けはTDP 25Wでこんなに高性能と言ってもPL2が51Wだったりするので
    これも実測しないで省エネとは決めつけられないと思います。
    4700UはTDP 15WでIris Xeより若干劣るぐらいなので驚異的なワッパかと言えば15Wで動作している訳でも無いですし。

    • もし自分の手持ちの11900T ESが死体でなければ、こちらからTDP 35WのTシリーズは色々測定出来そうね。

      • 11900T ESは死体ではなかったので、ベンチしました。
        残念ながら、TDP制限のマザボを使わないと、省エネとは無縁です。
        11900T ESをZ490I AORUS ULTRAに動作する場合、
        CineBench R15をするだけで100Wを消費しました。
        Prime95を使うと、145W(AVX512)、135W(AVX2)を消費してしまいました。

    • GT710はもうお話にもならんので比較する意味無さそうだけど、GT1030は3D.comという所がゲーム性能だけの比較動画なら上げてる。
      新旧5タイトルで比較した結果、5~9割差でGT1030が圧倒。

  • 今更ですが、AMD(今回の場合vega7)はGPU消費電力単体の取得ができません。
    CPUと合算になります。なのでそこだけ訂正したほうがいいかと思います。

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