NVIDIAのグラフィックボード(GPU)は世代を1つ更新すると、前の世代ではハイエンド相当だった性能があっさりとミドルクラスになってしまうことはよくある。それぐらい進化の幅がすさまじいわけです。
この記事では「GTX 1070」についてまとめる。過去ハイエンド相当だった「GTX 980 Ti」と比較しつつね。
GTX 1070の基本仕様 / スペック
スペック | GTX 1070 | GTX 980 Ti |
---|---|---|
ダイ | ||
トランジスタ数 | 72億個 | 80億個 |
ダイサイズ | 314mm2 | 601mm2 |
プロセス | 16nm | 28nm |
CUDAコア数 | 1920 | 2816 |
TMU数 | 120 | 176 |
ROP数 | 64 | 96 |
ベースクロック | 1506 Mhz | 1000 Mhz |
ブーストクロック | 1683 Mhz | 1076 Mhz |
理論性能 | 6463 GFLOPS | 6060 GFLOPS |
VRAM | 8GB GDDR5 | 6GB GDDR5 |
メモリバス | 256-bit | 384-bit |
メモリ帯域幅 | 256GB/s | 336.6GB/s |
TDP | 150W | 250W |
希望小売価格 | $379 | $649 |
「GTX 980 Ti」と並べて基本仕様をまとめてみた。28nmだったプロセスサイズが16nmへと約半減し、トランジスタ数も8億個程度減っている。ダイサイズもほぼ半分の面積に減っているのが分かる…。
その代わり、クロック周波数は50~70%も上昇しており、TDP(消費電力)も70%近く減ってわずか150Wに。プロセスサイズが小さくなったことで、大幅に効率良く進化したということです。
- チップの大きさは大幅に小型化
- クロック周波数は大幅に上昇
- 電力効率、熱効率ともに大幅な進化
- 小型化のおかげで、VRAMに余裕ができた
- 小型化により希望小売価格もほぼ半額へ
やはりプロセスサイズが小さくなったのが大きい変化ということだ。小さければ小さいほど、同じ面積に大量のチップを載せられるからね。あと、ダイのサイズが小さいほど歩留まりが向上するため結果的にコストダウンにつながる。
GTX 1070の性能(ベンチマーク)まとめ
GTX 1070の性能を確認していく。ハイエンドが世代更新時に格下げを食らうのはNVIDIAではよくあることだが、GTX 1070も同様のことが言えるのか。PC GAMERさんのデータを参考にまとめてみます。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Core i7 5930K @4.2 Ghz |
M/B | Gigabyte GA-X99-UD4 |
メモリ | DDR4-2666 16GB |
ストレージ | Samsung 850 EVO 2TB |
電源ユニット | EVGA SuperNOVA 1300W |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
ドライバ | AMD Crimson 16.5.2/3 |
NVIDIA 365.19/.25 |
テスト環境には6コア12スレッドの「Core i7 5930K」が使われていて、しかも4.20 Ghzにオーバークロックされている。ボトルネックを心配する必要は無いと思います。メモリもDDR4-2666が使われているのでバランスが良いライン。
Ashes of the Singularity
フルHD(1920×1080)WQHD(2560×1440)4K(3840×2160)
フルHD、WQHD、4K。すべての画質においてGTX 1070はGTX 980 Tiを10~20%ほど上回るパフォーマンスを記録。もちろん前世代のGTX 970とは全くの別物と言える性能です。
Batman : Arkham Origins
Batman:Arkham Origins(最高画質)でのパフォーマンス。GTX 1070の圧倒的な性能が際立っている。
The Division
フルHDとWQHD画質はウルトラ設定。4K画質のみ高設定に落として検証。GTX 1070の方が優秀。
Doom
Vulkan APIを適用しての検証。フルHD画質ではGTX 1070と980 Tiが互角の性能になっているが、画質が上がっていくとGTX 1070の強さが際立つという結果へ。
Fallout4
すべての画質でウルトラ設定にて検証。GTX 1070は980 Tiよりも20%ほど高速。
Far Cry Primal
「HD Texture Pack」を適用して検証。GTX 1070が10%ほど高速ですね。
Grand Theft Auto V
GTAVも同様の結果。
Hitman 2016
DX12環境のHitman 2016ではR9 Nanoが効率よく性能を発揮できている。GTX 980 TiはR9 Nanoにも劣る結果になってしまった。GTX 1070は依然として最強。
Hitman : Absolution
Hitman : Absolutionも全ての画質においてGTX 1070が最強。
Metro : Last Night
Metro : Last Nightは意外と要求してくるマシンパワーが大きいタイトル。GTX 1070周辺でフレームレートの頭打ちが見られた。特にWQHDと4K画質では、GTX 980 Tiと大差がないのが分かります。
Rise of Tomb Raider
DX11環境のRise of Tomb Raider。R9 Nanoがあまり力を発揮できていない。GTX 1070は依然として980 Tiを押しのけて最高のパフォーマンス。
The Witcher 3
Witcher 3でもGTX 1070が健闘。
平均パフォーマンス
検証したタイトルの平均フレームレートをまとめて、総合的にGTX 1070のパフォーマンスの高さを確認する。GTX 1070は980 Tiと比較して、全ての画質において10%ほど高い性能になっています。
先代のGTX 970と比較すると全画質でフレームレートは約70%も高速化しており、1世代の更新だけで爆発的に性能を伸ばしたのが分かる。
GTX 1070は「WQHD画質までなら完全に守備範囲」
GTX 1070はGeForce 10シリーズで上から数えて3番目に位置するGPU。比較対象のGTX 980 Tiは、先代GeForce 9シリーズで最上位に位置するGPUだ。
グレード的には当然GTX 980 Tiが上位ではあるが、小型化によって電力効率・熱効率が大幅に向上し、クロック周波数が爆発的に上昇したおかげで実際のゲーミング性能も大幅な進化を遂げた。
そして各種タイトルのフレームレートをまとめた「平均値」を見てみると、フルHDでは111.9fpsで動作して、WQHDでは77.4fpsで動作する。
一般的にゲーミングの場合、フレームレートは平均60以上が出れば快適とされていて、GTX 1070はWQHD画質までは完全に守備範囲に収めているということ。
GPU | 1ドルあたりのフレームレート |
---|---|
GTX 1070 | 0.205 |
GTX 970 | 0.178 |
GTX 980 Ti | 0.133 |
R9 Nano | 0.129 |
もう一つすごいのがコストパフォーマンスの高さ。980 Tiと比較した場合、確かに性能は10%しか変化していないが、1ドルあたりのフレームレートは「0.133」から「0.205」に増えている。
- 0.133:60fpsを手に入れるために451ドル必要(約5万円)
- 0.205:60fpsを手に入れるために293ドル必要(約3万3000円)
GTX 1070の方が約50%も割安で、しかもTDP(消費電力)の公称値は250Wから150Wへと落ちているので、ランニングコストも大幅に安くなった。まさに「技術革新」をひしひしと感じる出来栄え。
GTX 1070が必要になる人
GTX 1070はたしかに980 Tiと比べれば安価になったし、コストパフォーマンスは高い。それでも日本国内では4~5万円を超える、それなりに高価なグラフィックボードでもある。
GTX 1070が1枚あれば、ほとんどのゲーミングを快適にこなし切ってしまう圧倒的な性能を手に入れられるが、その性能を本当に必要とする人はそこまで多くないはずだ。
- WQHDサイズのディスプレイでゲーミングをする予定の人
- フルHDだけれど、高リフレッシュレートのモニターでプレイする予定の人
おそらく、GTX 1070が必要になるのはこの2例だと思います。フルHDよりも更に大きいディスプレイで平均60fps以上を出したい、という人。次に、フルHD画質だが100fps以上の環境で遊びたい人だ。
リフレッシュレートという仕様は知っておかないと危ない。GTX 1070は容易に60以上のフレームレートを叩き出すが、もしも使っているディスプレイのリフレッシュレートが60Hzを超えていなければ、実際に目視できるフレームレートは60に制限されてしまう。
60fps以上で遊ぶつもりの人は以下の記事もついでに読んでおきたい。
GTX 1070の国内価格
「Keepa」を使って、Amazonの流通価格を調査した。安価モデルだと最安で45000円台で、OCモデルになってくると6万円に達するグラボもありました。
GTX 980 Tiは8~9万円台が、当時の相場だったから…計算した通りやはり50%くらいは割安でより良い性能が手に入るということに(TDPは100W少なく、VRAMは2GB増量)。
もっとも安価なモデルが玄人志向。ベースクロックは1518Mhzで、ブーストクロックが1708Mhz、つまりほぼ定格性能です。最安値は44000円台にまで下がっていて、2017年7月時点では5万円台と少々値上がり気味。
MSI オリジナルクーリングシステム TWINFROZR VI 搭載 GeForce GTX 1070グラフィックボード GeForce GTX 1070 GAMING X 8G
MSIの定番OCモデル。価格は53000円台で安定。ベースクロックは1607Mhz、ブーストクロックは1797Mhz。約5%ほど高速化されている。
最後はGIGABYTEのOCモデルを。Amazonでは最も売れていて、同様に価格は53000円台で安定。ベースクロックは1620Mhz、ブーストクロックは1822Mhz。約7%も高速化されていて、この価格帯では最速モデルです。
4K / VRゲーミングにはSLI必須だが…
GTX 1070は、WQHDまでを制する神コスパのグラフィックボード。しかしここまでまとめてきたように、4K画質のパフォーマンスは平均60fpsを下回っており力不足。4K以上で遊ぶ場合は…
- GTX 1070を2枚用意してSLIにする
- GTX 1080 Tiを使う
どちらがコスパが良いのかは遊ぶ予定のタイトルによって変わってくるため一概に言えないが…。基本的にGTX 1070をSLI化すると、GTX 1080 Tiと互角の性能には出来る。
価格を見てみるとGTX 1080 Tiは9万円台で、GTX 1070 SLIは最安モデル2枚を使っても9~10万円程度は掛かってしまう。しかもTDPの効率は悪く、SLIに対応していないタイトルに対して無力という問題もある。
1070のSLI化をするくらいなら、GTX 1080 Tiを1枚用意したほうが良いとは思います。
GTX 1070のまとめ
最後に「GTX 1070」について、ざーっとまとめ。
- 先代のハイエンド「GTX 980 Ti」よりもゲーミング性能は格上
- WQHD画質までは最高のコストパフォーマンスを誇る
- フルHDで100fps以上を出したいときにも重宝する
- 2017年時点で、4~5万円台のグラボでは最強クラスの性能
- 4K(VR)ゲーミングをするなら性能不足、GTX 1080 Tiを推奨
以上「GTX 1070の性能まとめ【GTX 980 Tiと比較しながら】」でした。
GTX 1070 搭載のおすすめマシン
GALLERIA XF | |
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OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700 (4コア / 8スレッド / 3.60~4.20Ghz) |
GPU | GTX 1070 8GB |
メモリー | DDR4-2400 4GB*2 |
マザーボード | Intel H270搭載マザーボード(MircoATX) |
SSD | 250GB |
HDD | 1TB |
電源 | 500W 静音電源(80+ BRONZE) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
ドスパラの中の人によれば、ドスパラで一番売れているらしい「ガレリアXF」。実際に使ってみたが…ビックリするくらいレスポンスが猛速で、フルHDゲーミングも超快適…。
ついでに読んでおきたい…
GeForce 10、Polaris 20、Vegaまで、2017年に活躍した様々なグラフィックボードからベストなGPUを7品まとめた記事。動作フレームレートなど、データに基づいて性能を分かりやすく解説したのが特徴です。
流行りのPUBGに特化した推奨スペックまとめ。フルHD画質に関しては「GTX 1070」で余裕そうだ。
ビッグダイとミドルサイズのダイで価格が大幅に異なるのは半導体生産につきものの歩留まりに大きな差がでるからです、決して原材料費の差が大きいからじゃない・・・。
ダイサイズが多くなれば当然歩留まりは悪化します。
確かに、変な説明をしてしまいました…。Core i9やRyzen Threadripperの価格差も、ダイの大きさにありましたね。修正しておきます。
GeForce GTX 980TiにXeon X3690でPUBG出来ますかね…
[…] 出典GTX 1070の性能まとめ【GTX 980 Tiと比較しながら】 | ちもろぐ […]
不謹慎しか言えないテストですね〜
いやいや、このベンチ結果おかしくないですか?
1070は具体的にはどのメーカーのなんという機種を使用しましたか?
おかしいと思う
GTX980Tiなんかは古いおかげで中古でかなり安くゲットできるのでそれなりにお得なのかもしれない。