ふだんはPS4のゲームはしないんですが「リトルナイトメア」というホラーゲームの実況プレイを見たら、続きが気になってしまって勢いで買ってしまったんだよね。
やってみたら想像以上の面白さで1日で2周目までプレイ…。日本での知名度は低そうだけど、レビューしてみる。
リトルナイトメア(Little Nightmares)はどんなゲームか?
子供のころに感じた奇妙な恐怖や不安を覚えていますか?食欲の尽きることがない魔物が巣食う謎の船舶「ザ・モウ」の中、恐ろしくも懐かしい感覚を思い出したあなたの手で、囚われた幼き少女「シックス」を無事に脱出させましょう。
横スクロール風のホラーゲームです。黄色いレインコートを着た9歳の女の子「シックス」を、巨大な船舶「ザ・モウ」の中から脱出させるのが物語の大きな目的。
DoomやResident Evilと違って、武器を使って「敵」と戦うという要素は一切無い(例外はあるけど)。基本は敵に気づかれないように動くステルスプレイ。相手にバレないように鍵を回収したりして、奥へ奥へと進んでいく。
リトルナイトメアの高評価ポイント
適度な怖さとゲームバランス
初回プレイは結構怖いです。照明がとても少なくて、シックスが持っているライターの炎もそこまで明るくない。暗いマップを進んでいると「管理人」という腕の長い敵キャラも登場する。
見つからないように動いている時は特に心拍数が上がる瞬間で、いざ見つかると奥へ奥へと全力疾走して必死です…。大抵は敵に見つかると捕まってゲームオーバーへ。
敵が登場しだすと、それなりに難しい。しかし、このあたりはゲームバランスがいい具合に調整されていて、何度も繰り返す内に「こうやれば安全に行ける」という正攻法が分かるようになっている。
あれでもない、こうでもない…とやっている内に正解に辿り着けるので攻略サイトなどは一切使わなくても攻略できるようになっているのが嬉しい。以前、Amnesia Dark Descentというホラーゲームをやったことがあるのですが、解説サイト無しではエンディングに行けなかったからね。
逆に言えば、敵の行動パターンがあまり変化しないので単調だ…という評価はあるかもしれない。
知恵を絞って、使えそうなモノは上手く利用して敵から逃れます。
- タンスをよじ登って逃げる
- 机の下に潜り込んで隠れる
- 排気口に隠れてやり過ごす
- 高いところにぶら下がって飛び越える
- モノを投げて高い位置のボタンを押してエレベーターを呼ぶ
- おもちゃに音を出させて敵の気を引く
- 飛び跳ねて敵の攻撃を避ける
「こうすれば行けるかも?」と、直感的にどうすれば先へ進めるかが信じられないほど分かりやすくデザインされているんですよね。「あれに乗ったら行けるんじゃない?」と思って、やってみたら実際にそれで行けたり。
確かにホラーゲームなので、怖いと言えば怖いけれど…それ以上に攻略していくのがとても楽しいです。
主人公「シックス」の動きがかわいい
想像以上に主人公の「シックス」がよく動きます。そしてその動きが、ものすごく可愛く作られているんです。
走ったり、ジャンプしたり、しゃがんだり、ものを持ち上げたり、ものを引っ張ったり押したり、掴めそうな部分を掴んでよじ登ったり…。とにかくモーションが多くて、動きが細かく、可愛い。
ちなみにリトルナイトメアをプレイするきっかけになったのが「弟者」さんの実況なんですが、その弟者さんも「シックスちゃん動き可愛くない?」とか言ってたから間違いないよ。
不思議で独特な世界観と雰囲気
物語の舞台は謎の巨大船舶「ザ・モウ」なんですが、これは船というよりは海に浮かぶ巨大なレストランです(食料となる人間を保管する監獄、精肉室、調理室、そしてレストランという多層構造)。
リトルナイトメアのマップは非常に細かく丁寧に作り込まれていて、よく観察しながらゲームを進めていくと「もしかして、ここって…そういう施設なの?」といろいろと想像を掻き立てる。
マップごとにしっかりとした作り込みがあるために、言葉で語らずとも物語(ストーリー)を少しだけだが説明できてしまうのがスゴイ。
これって映画にも言えることだけど、世界観を言葉(ナレーションなど)でわざわざ説明するのは下手だと思うんだよ。せっかく映画なんだから、口で言わずに映像で世界観を伝えるべきだよね。
リトルナイトメアには「音声」が残念ながら一言も無いんですが(敵の叫び声などはあるけど、セリフは一切無いって意味)、テキトーにプレイしてても「こういう世界で、多分あの芸者はシックスの母親なんだな」って分かるようになってるからね。
マップの作り込みという映像だけで、プレイしている人にそれだけ補完させられるのは優秀だと思います。
あとは様々な作品へのオマージュというか、影響を受けているだろうな…という部分もあった。ここは評価の別れるところかも。
- 「見たことあるなぁと思ったら、千と千尋の神隠しか」
- 「食欲に溺れたゲストたちの狂気を感じられてすごかった」
こんな感じで評価が割れると思う。確かに、過去の作品に影響を受けている部分はあるんだけれど、細かいことは気にせずに純粋にリトルナイトメアの世界を楽しめば良いと思います。
特に「ゲストルーム」エリアの終盤にある全力逃亡のシーンは、演出が神がかっているので実際のプレイで体感するべき。ネタバレっぽさあるので、スクショは控えておきますが。
演出感のあるBGM
雰囲気を壊さない、バランスの良いBGMが揃っている。ちょっと不気味な女性と子供のハミング、不協和音、ノイズ、太鼓の音など、様々な音によって作られるBGMはものすごい演出力を持っている。
特に脱出からエンディングへ向かう時に流れるテーマはお気に入り。「まだこの世界にいたいんだが」と思ってしまったからな…。それですぐに2周目を始めたんだけどね。
なお、こちらの記事にも書いてある通り、サウンドトラックはSteam版のDLC(540円)を購入するか、北米版のLittle Nightmares (Six Edition)を購入しないと入手できない。どちらもゲーム本編を購入する必要がある。
あえて貼りませんが、Youtubeにもアップロードされているのでどうしても聞きたい方はYoutubeで検索してください。
「Lure Of The Maw」と「Prison Toys」は鳥肌ものです。特に後者はリトルナイトメアのストーリーや、シックスの境遇を考えると泣けてくる。
切ないけど、色々と考えさせられるストーリー
実はリトルナイトメアで唯一、不満のある部分がストーリーなんですが…。低評価ポイントにするほどでもないので、高評価ポイントとして書いてしまいます。
ホラーゲームによくあるのが悪魔やカルト宗教、精神的な実験がテーマになったものです。怖くて仕方がなかったAmnesiaは頭の狂った宗教団体と悪魔の話だったし、怖い以前に酔ってしまったOUTLASTは実験がテーマだった。
リトルナイトメアは「ザ・モウ」を脱出していく過程で、意味のあるシーンがいくつか出て来る。そこから考えるにテーマはおそらく「人間の欲」なんですよ。
ここを真面目に解説しちゃうとネタバレな気がするので、詳しい内容は別の記事に書くことにするが、とりあえず「人間のどうしようもない欲」がテーマになっていて、プレイしている内にちょっと複雑な気分になりますよ。
個人的にトラウマなシーンもあったので…。で、何が不満なのかというと、もっとストーリーを作り込んでほしかったということ。確かにゲーム内世界の圧倒的な表現力によって「こういうことなんだろうな」と補完は出来ます。
でも、あくまでも限られた材料から判断した補完であって、本当に正しいかは分からない。字幕だけでも良いから、もうちょっとコミュニケーションを入れて、ストーリーを説明してほしかった。(小説出たら買う)
リトルナイトメア【評価】
2000円弱という価格を考えると、十分に価格以上の価値があるホラーゲームだった。
秀逸なマップデザインや、試行錯誤は必要だが十分にクリア可能なゲームバランス、よく動くリアルなキャラクターたち、演出力のある映像表現、雰囲気を壊さないBGMなど。普通に傑作クラスのホラーゲーム。
あえて難点を挙げるなら、やや説明不足感があるストーリーと、短いプレイ時間かな。初回クリアまでは6時間くらいで、2周目は90分くらいで出来ましたから。でも2000円ということを考えると適度なボリュームではある。
「怖さ」はAmnesiaやOUTLASTに及ばないものの、ゲームの完成度は極めて高い。ホラーゲームが大好きという人にもオススメできるし、そもそもホラーをやったことがないという初心者にもオススメ。
以上、リトルナイトメアのレビューでした。
購入方法
ディスク版は日本で発売されておらず、輸入版を買うしか無いみたい。3000円強と少し割高。
「Six Edition」は色々と同封されている豪華なやつ。
- ゲーム本編
- オリジナル・サウンドトラック
- シックスのフィギュア(高さ10cm)
- オリジナル・ブックレット
- 限定ポスター
- 特製ケース
日本では販売しないのかな…、Six Editionほしいよ。北米では35~41ドルですが、日本で輸入版を買うと8000円を超えているんだよね。
その他にもリトルナイトメアには色々と関連グッズが出ているので、興味のある人は以下の記事から。
ゲーム本編だけならSteamやPlayStation Storeで購入するのがおすすめ。2200円(税抜)と、お手軽。
- Little Nightmares(Steam)
- LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-(PlayStation Store)
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