「ThinkCentre Neo Ultra」は、BTOメーカー超大手のLenovoがMac Studioに対抗するべく開発したキューブ型PCです。
容量4リットルの狭い空間に、20コア28スレッドCPU(i7 14700)と、内蔵GPUよりはるかに高性能なGPU「RTX 4060」を詰め込んでいます。
セール時に実質20万円ちょっとの安さも魅力的で、興味本位に1台買ってみた。軽く比較レビュー記事を残しておきます。
(公開:2025/6/9 | 更新:2025/6/9)
ThinkCentre Neo Ultraの仕様とスペック
Lenovo直販サイト限定モデル「ThinkCentre Neo Ultra」は、容量3.6リットルの小型キューブ筐体にCPU「Core i7 14700(20コア28スレッド)」と、グラボ「RTX 4060 8GB」を搭載します。
自作PC向けの小型ケースなら、筆者の知る限り容量8.35リットルが最小です。

ギッチギチにCore i7(20コア)とRTX 4060が詰まってます
一方で、Lenovo自社設計の特注ケースを採用するNeo Ultraは半分以下の3.6リットルに到達します。
ケースが小さいと市販のパーツは入り切らないから、LenovoがOEM各社に作らせたオリジナルサイズの電源ユニットやグラフィックボード、熱設計(CPUクーラー)も駆使した設計です。
おそらく、過去レビューしてきた数多くのミニPCをはるかに凌駕する性能を発揮するはずです。

今回のレビュー機は、Core i7(RTX 4060)モデルをカスタマイズして価格を抑えてから購入しました。
リワード10倍キャンペーンもタイミング良く開催されていたから、ポイント還元込みで実質20万円です。
獲得したポイントで「Lenovo L27-h(レビュー済み)」などリセールバリューの高いPCディスプレイを購入して、フリマで売り払えば回収も容易でしょう。

Lenovo直販のカスタマイズ代金は、価格に記載されている「%オフ」がしっかり反映されます。たとえば「45%オフ」表示のときに約2万円のカスタマイズをすると、実際に請求される費用は約1.1~1.2万円です。
カスタマイズでパーツを増設するつもりなら、必ず「%オフ」表記をチェックしてください。

- NPU:独立型NPUカード(Kinara Ara-2)
- メモリ:DDR5-5600 16 GB(2 x 8 GB)
- SSD:NVMe SSD 256 GB
- 無線LAN:Wi-Fi 7(Intel BE200)
- キーボード:なし
- マウス:なし
- 標準保証:オンサイト修理(1年間)
以上のカスタマイズで、約24.4万円から約22万円に値下げできました。独立型NPUカードを追加しなければ、あと1.5万円は安くできます。
約2~3万円も費用が浮いたら、容量1 TBのSSDや32 GBメモリをセルフ増設できます。

ThinkCentre Neo Ultraのデザインとパーツ構成
パッケージデザインと付属品

Lenovo直販サイトで注文して、およそ1ヶ月で届きました。標準構成のままなら1~2週間で届きます。
いつもどおり、茶色の段ボール風なパッケージに太いサンセリフ体の英字フォントで、「ThinkCentre」と大きく印刷されています。

高密度な発泡スチロールの梱包材で中身がみっちり固定されています。

付属品ボックスとThinkCentre Neo Ultra本体です。本体は静電気防止袋に包まれ、梱包材でハンバーガー状態です。

- 説明書
- PCリサイクル申込書
- 電源ケーブル
簡素な付属品です。
【容量4.1リットル】手のひらより一回り大きいサイズ

Lenovoがルナグレー(Luna Gray)と呼ぶ、インダストリアルデザイン向けのシックで落ち着いた色合いの金属製ボディを採用します。
表面がわずかにザラザラとするサンドブラスト(砂吹き)加工を施して、高級感を演出する狙いも見られます。
Apple Mac Studioと競合するために開発されただけあり、筐体の品質がとても高いです。

本体の高さは実測11.1 cm(底面のゴム足を含む)です。

横幅は実測19.5 cm、奥行きが実測19.1 cmでした。筆者の実測で計算すると約4.13リットルと、非常にコンパクトです。
- ThinkCentre Neo Ultra:約4.13リットル(4134.2 ml)
- ThinkCentre Tiny Gen2:約1.19リットル
- HP ProDesk 405 DM:約1.08リットル
- GMKtec K8 Plus:約1.03リットル(1028.5 ml)
- MINISFORUM UM780 XTX:約0.99リットル(991.2 ml)
- MINISFORUM UM760 Slim:約0.89リットル(893.9 ml)
- GMKtec NucBox M6:約0.85リットル(845.3 ml)
- GMKtec NucBox M5:約0.85リットル(845.3 ml)
- GMKtec EVO-X1:約0.82リットル(815.1 ml)
- AOOSTAR GEM10:約0.80リットル(800.7 ml)
- GEEKOM Mini IT13:約0.66リットル(655.2 ml)
- Beelink Mini S12 Pro:約0.47リットル(469.2 ml)
- GEEKOM AX8 Pro:約0.46リットル(458.4 ml)
今までレビューしてきたミニPCの中が、ほとんど1リットル前後(1000 ml)に収まる中、ThinkCentre Neo Ultraは約4倍近い突出して巨大サイズです。
もちろん、一般的なデスクトップPC(15~40リットル)と比較すれば、約4リットルでもはるかに小さいです。性能とスペックに対する省スペース性の高さに優れています。

本体重量は3502 gです。電源ユニット内蔵型で、ACアダプターの重量は実質的に含まれています。
約3 kg台のゲーミングノートが実在するから外出先に持ち出せなくは無いものの、キューブ型の分厚い形状を考えると、1リットル級のミニPCみたく外出先に持ち出す使い方はやはり厳しいです。

(ThinkCentreロゴとサンドブラスト加工の金属製パネル)

(底面に滑り止め用のゴム足)
本体の底面に滑り止めとスペーサーを兼ねるゴム足が4本取り付け済み。
VESAマウントに固定するネジ穴は当然ありません。
フロントパネルの右下にインターフェイス、リアパネル(背面)に大量のインターフェイスと排気用スリットが設けられています。
トップパネル(天板)と本体の間にわずかな隙間があり、外気を内部に取り込む吸気用スリットとして機能します。上から吸って背面から吐き出す、一方通行のエアフローが確保されるシンプル設計です。

15.6インチのノートパソコンやマンガ本と並べてみた写真です。
1リットル級のミニPCを縦に3~4台積み重ねたくらいのサイズ感で、ミラーレス一眼カメラより一回り大きいイメージです。

27インチのゲーミングモニターと並べてみた。
ThinkCentre Neo Ultra本体のフットプリント(占有面積)はかなり少なく、マウスを握った右手より少し大きい程度で済んでいます。
充実のインターフェイス仕様

- ヘッドホン端子(3.5 mm)
- USB 10 Gbps
- USB 10 Gbps
- USB 20 Gbps(Type-C)
- 電源ボタン
フロント(前面)パネルにUSBポートが3つあります。
外付けグラフィックボード(eGPU)を増設できる「Oculink」ポートは1個もないです。

- Display Port 1.4
- HDMI 2.1
- Display Port 1.4
- Display Port 1.4
- Display Port 1.4
- USB 5 Gbps
- HDMI 2.1
- USB 5 Gbps
- USB 10 Gbps
- USB 10 Gpbs
- LANポート(1G LAN)
リア(裏側)パネルの内容は大量です。
グラフィックボード(RTX 4060)と内蔵GPUをあわせて、合計6個(内4つがDP 1.4 / 2つがHDMI 2.1)もの映像出力端子を備え、最大6画面のマルチディスプレイ出力に対応します。
最近のミニPCにありがちなUSB 40 Gbpsポートや、デュアル2.5G LANポートが一切なく、ややトレンドに遅れている感のある保守的なインターフェイスです。
オーディオインターフェイスや無線キーボードと相性がいいUSB 2.0ポートも無いです。

では、各インターフェイスが仕様どおりに機能するかどうか、実機で検証します。
映像出力ポート ※クリックで画像拡大 | |
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最大4K 160 Hz対応のゲーミングモニター(TCL 27R83U)につないで動作チェック。
Display Port 1.4で4K 160 Hz(10 bit)まで、HDMI 2.1で4K 160 Hz(10 bit)まで出力できます。USB Type-C(DP Alt Mode)は非対応です。
なお、4K 160 Hz(10 bit)を2台同時に接続しても問題なく映像を表示できます。
USB 40 Gbps対応のエンクロージャー(中身:SK Hynix Platinum P41 1TB)を使って、USBポートのデータ転送速度を実測します。
USB 20 Gbps(Type-C)ポートは約2040 MB/s前後、USB 10 Gbpsポートにて約1070 MB/s前後の転送速度を確認できました。
ただし、使用するUSBエンクロージャーによっては、Windows側で書き込みキャッシュを有効化しないとランダムアクセス性能(RND4K Q1T1)がまったく出ない場合があります。


LANポートは1G LAN(Intel製I219-LMチップ)を搭載。
10G光回線に接続して、IPA CyberLab 400Gでテストするとダウンロードで約950 Mbps、アップロードで約940 Mbpsもの爆速インターネットです。

Wi-Fi(無線LAN)はIntel製BE200チップ搭載で、最大2882 Mbps対応。
Wi-Fi 7対応ルーターに2882 Mbps(6 GHz帯)でリンクアップでき、ダウンロードで約2257 Mbps、アップロードで約2252 Mbpsを叩き出し、一般的な有線LANポート(1G)をはるかに超える通信速度です。
強力なダウンロードサーバー(Steamやhuggingfaceなど)が相手なら、なんと100~140 MB/s前後のダウンロード速度を実際に出せています。
ELECOM製の格安Wi-Fi 7ルーターで、有線と無線(Wi-Fi)どちらも検証しています。
ThinkCentre Neo Ultraの分解とパーツ増設
ケースの開封

少し先端が細めな「PH1」規格のプラスドライバーを用意します。

ThinkCentre Neo Ultraの開封はそれほど難しくないです。底面パネルのゴム足を反時計回り(左)に回転させます。

爪でつまみづらいから、ピンセットやペンチで掴んで回すとかんたんに取り外せます。

ゴム足を取り外すと、小ネジが登場します。

4箇所すべての小ネジをプラスドライバーで外します。
ネジを押し込む力が90%:ネジを回す力は10%の比率がコツです。ネジを回す方向に力を入れすぎると、ネジ山が舐めて(潰れて)しまうので注意。

底面パネルを取り外して、すぐに各スロットへアクセスできるユーザービリティの高い設計です。
搭載パーツを目視でチェック

ThinkCentre Neo Ultra(16 GB + 256 GBモデル)の標準搭載パーツです。M.2 SSDから順番に目視で見ていきます。

標準搭載のNVMe SSDは「Samsung PM9C1a(TLC NAND)」でした。
市販モデル「Samsung 990 EVO」のOEM版に相当します。
PCIe 4.0 x4対応のそこそこ高性能なNVMe SSDです。

ThinkCentre Neo Ultraのメモリは、SODIMM規格の「DDR5-5600」メモリです。
信頼性の高いSamsung純正モジュールを搭載します。


ケース側面にこっそり存在する謎のM.2スロットに、エッジ型AIアクセラレーター「Kinara Ara-2」を搭載します。
最大40 AI TOPSの処理性能を持つ「Ara-2」NPUと、LPDDR4-2133 8 GBメモリがセットで組み込まれた特殊なモジュールです。
定番のローカル生成AIソフト「Ollama」「LM Studio」「ComfyUI」「Stable Diffusion A1111」などで使おうとしましたが、そもそもAra-2 NPU自体がまったく認識されません。
デバイスマネージャーで認識されている状態でも、定番ソフトから完全に見えていない様子です。使い方をLenovoサポートに聞いても要領を得ない回答で、結局・・・使い物にならないです。


Wi-Fiチップは「Intel BE200」でした。最大2.8 Gbpsのネットワーク速度と、Bluetooth 5.4に対応するWi-Fi 7カードモジュールです。
メーカー仕様の最大値は5.8 Gbps(5764 Mbps)ですが、Windows 11 24H2では最大2882 Mbpsに制限されます。
Windows 11で5 Gbps超を達成できるWi-Fi 7モジュールはやはりQualcomm製に限られているようです。

Lenovoオリジナル設計の超小型な「RTX 4060」を搭載します。

全長170 mm、厚み41 mmのショート基板モデルで、補助電源コネクタ(8 pin)も付いています。
狭い空間に押し込まれた小型筐体ながら、標準的なTGP:115 Wで動作します。

電源ユニットも超小型な特殊規格です。

BTOパソコンで定番の「AcBel」製です。型番「PCP007」で、最大350 Wまで対応します。効率認証「80 PLUS Platinum」も取得済み。
+5Vや+3.3Vに非対応で、+12Vと+20Vだけ供給する変わった規格です。


グラフィックボードを挿し込むPCIeスロットは、マザーボードから物理的に切り離された「ドーターボード」型です。
反対側に、NPUモジュールを挿し込む専用M.2スロットが備えてあります。

80 mm径シロッコファンを2個搭載し、CPU本体のヒートシンクから熱を回収します。

フル銅製ヒートシンクと、2本のヒートパイプでCPUから熱を吸い上げます。
溜まった熱を2個のシロッコファンを使って、リアパネル(背面)の排気用スリットから吐き出します。

通気性を確保するため、穴だらけのパンチホール加工を施された金属製シャーシです。

シャーシ内側の構造です。金属シャーシと内部パーツの接触を避けるため、内側にスポンジが貼ってあります。
パーツの拡張性をチェック

標準パーツをすべて取り外した様子です。
- M.2スロット(2280サイズ / NVMe SSD)
- M.2スロット(2280サイズ / NVMe SSD)
- メモリスロット(DDR5 / SODIMM)
- メモリスロット(DDR5 / SODIMM)
メモリスロットが2枚(※使用済み)、NVMe SSD対応のM.2スロットが2本(※内1本使用済み)あります。
OS用に使用済みのM.2スロットはPCIe 4.0 x4、空いているもう1本のM.2スロットもPCIe 4.0 x4対応です。
増設できるSSDが1枚に限られています。なるべく大容量のSSDを増設したいです。

試しに「WD Black SN850X(8 TB)」を増設してみます。

増設したいM.2スロットのクリップ(留め具)を先に外しておきます。

SSD本体をやや斜めの角度から、M.2スロットにそっと挿し込みます。

SSDを倒してから、クリップで固定して完了です。

増設したNVMe SSDは問題なくPCIe 4.0 x4接続で認識され、シーケンシャル性能で約6900 MB/s前後(PCIe 4.0 x4規格の上限近い)を出せています。

Windowsのライセンス状況

ThinkCentre Neo Ultraを起動後、インターネットに接続すると自動的に「デジタルライセンス認証」されます。

- ライセンス種別:OEM_DM channel(OEM版)
- ライセンス状況:ライセンスされています
コマンドプロンプトに「slmgr /dli」と入力して、ThinkCentre Neo UltraのWindowsライセンスを確認しました。
結果は「OEM_DM channel」、正規のOEM版ライセンスがインストールされています。

プリインソフト「Lenovo Vantage」
ThinkCentre Neo Ultraには、管理ソフト「Lenovo Vantage」がプリイン済み。

ダッシュボードから、デバイスのシリアル番号やBIOSバージョンを確認できます。

ドライバの更新プログラムを確認でき、必要であれば、そのままBIOSアップデートも可能です。

ハードウェアスキャンにて、搭載されているパーツが故障していないか自己診断する機能を使えます。
パソコンが不調なとき、自己診断で問題が見つかればサポートに連絡してメーカー保証を使えるかどうか相談できるらしいです。

セキュリティ機能を確認する画面です。
マカフィーのキックバックキャンペーンのせいで、仕方なくマカフィーを宣伝する内容になっていますが、基本的に「Windows Defender」で十分すぎるほど強固です。

ユーティリティ画面です。
いにしえの「メモリークリーナー」や、データのクローンやバックアップに使う「Lenovo Migration Assistant」を使えます。

サポート・サービス画面で、メーカー保証の残り期間を確認できます。メーカー保証は1年だったはずですが、実際には2ヶ月多い「14ヶ月」です。

Lenovo純正パーツを買う画面もあります。

SODIMMメモリやNVMe SSDを注文できますが、値段が高すぎて実際に買う人はいないでしょう。


プリイン済みアプリは「Lenovo Vantage」と「Lenovo Vantage Service」「McAfee」の3つだけです。
McAfeeを速攻アンイストールするだけで問題なし。McAfee以外の忌々しいサードパーティ製セキュリティソフトは一切入ってません。
初期設定の時点でそこそこクリーンな状態です。
ThinkCentre Neo Ultraの性能をベンチマーク

(20コア28スレッドの性能をテスト)
「ThinkCentre Neo Ultra(Core i7 14700)」の性能をベンチマークやゲーミングで検証します。
Windowsの電源管理を「バランス」から変更せず、BIOS画面から設定できる電力制限も「パフォーマンスモード(最大160 W)」のまま、初期設定で検証します。
レンダリング / 3DCG系の性能

CPUの定番ベンチマーク「Cinebench R23」の比較です。
さすがデスクトップPC用のハイエンドCPU「Core i7 14700(20コア)」らしい、圧巻のスコアを記録します。
モバイル向け最強クラスの「Ryzen AI 9 HX 370」すらあっさり超えています。

体感動作に影響が大きいシングルスレッド性能もトップクラスです。
レスポンスがサクサク素早く、何かを待たせている間に他の処理を挟む割り込みに対してもスピーディーに処理してみせ、ハイエンドなデスクトップPCに近い感覚です。
右クリックでコンテキストメニューを開く、Win + Eキーでエクスプローラーを開くなど。細かいアクションの反応がスッと出てきます。
複数のアプリを起動するマルチタスク時の性能も快適で、ゲームのアップデートを複数同時に処理させても目立った「もたつき」を感じなかったです。
先日レビューしたZen5世代のモバイル向け最強格「Ryzen AI 9 HX 370」とさほど変わらない、良好なレスポンス感です。
筆者がメインPCでふだんから使っている「Core i7 13700K」とほとんど変わりないです。
懐かしい「Cinebench R15」の結果も参考程度に掲載します(※数年ぶりにCinebenchスコアを見に来た人向け)。
マルチスレッド性能は、20コア28スレッドのパワーで当然トップです。シングルスレッド性能も非常に速く、Ryzen AI 9 HX 370に迫ります。

動画エンコード

動画エンコードは無料ソフト「Handbrake」を使って検証します。容量が約1 GBのフルHDアニメを「Fast 480p30(x264)」「Fast 1080p30(x264)」プリセットでエンコード。
Intel N100に対して約6倍、Ryzen AI 9 HX 370の約1.3倍ものエンコード性能を発揮します。
Microsoft Office
Microsoft Officeのベンチマーク | |
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Edge | 19783 |
Word | 11100 |
Excel | 31040 |
PowerPoint | 16951 |
総合スコア | 18436 |
PCMark 10 Professional Editionを使って、オフィスワークの代表例「Microsoft Office」の処理速度をチェック。
スコアの目安はPCMark 10公式いわく「4500点」です。Core i7 14700が叩き出したスコアはどれも4500点を軽く超えていて、総合スコアは約18400点です。
総合スコアは過去レビューしてきたミニPCで第1位にランクイン。
スコアの内訳によると、ブラウザ(Edge)スコア、文書作成(Word)、表計算(Excel)、スライド作成(PowerPoint)スコアどれも最高の数値です。
実際にExcelで集計作業やグラフ作成を伴うオフィスワークを試して、メインPCと体感的に差がない快適さで作業を進められました。
写真編集(Photoshop)

写真編集は「Adobe Photoshop」で処理速度をテスト。Puget Systems社が配布しているベンチマーク用のバッチファイルを使い、実際にPhotoshopを動かして性能をスコア化します。
マシン | ThinkCentre Neo Ultra | GMKtec EVO-X1 AI |
---|---|---|
CPU | Core i7 14700 | Ryzen AI 9 HX 370 |
GPU | RTX 4060 | Radeon 890M |
RAM | 32 GBDDR5-5600 | 32 GBLPDDR5X-7500 |
総合スコア | 1324 | 1241 |
一般処理のスコア | 163.1 | 148.9 |
フィルタ系のスコア | 101.7 | 99.3 |
GPUスコア | 114.9 | 107.5 |
Core i7 14700のPhotoshopスコアは「1324点」です。Photoshopの基本的なタスクをサクサクと処理できる性能です。
CPUの高いシングルスレッド性能で「一般処理」のスコアが非常に高く、フィルタ系とGPU処理は頭打ちの傾向でした。
ある程度の性能さえあれば、Photoshopは性能の伸びが鈍化するタスクです。メモリ容量を増やしたほうが効果的でしょう。
過去レビューしたミニPCと、Photoshopベンチマークの個別スコアを比較しました。
フィルター処理のみ誤差レベルのわずかな差でトップを逃すものの、一般処理やGPUスコアで過去最高です。

ビデオチャット(VC)の処理速度
PCMark 10の「Video Conference(ビデオ会議)」モードを使って、ビデオチャットの快適さをテストしました。

PCMark 10でテスト | |
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総合スコア | 81665000点以上ならOK |
ビデオチャットの快適度 | 29.5 /30.0 fps |
結果は8166点で、5000点以上を余裕でクリア。複数人とビデオチャットを同時に行った場合の、映像のスムーズさ(フレームレート)はほぼ30 fpsで、上限の30 fpsに迫ります。ビデオ通話は余裕で動きます。
搭載グラボ「RTX 4060」の性能
今回のThinkCentre Neo Ultraに搭載されたグラフィックボードは「RTX 4060(TGP:115 W)」です。容量4~5リットルの小型シャーシに詰め込める、上限に近いグラボです。
GPU (世代) | コア数 (シェーダー数) | クロック (最大値) | 理論性能 (FP32) |
---|---|---|---|
RTX 4060 (Ada Lovelace) | 3072 | 2460 MHz | 15.11 TFLOPS ※Dual Issue = 1/2 |
Radeon 890M (RDNA 3.5) | 1024 | 2900 MHz | 5.939 TFLOPS |
Radeon 780M (RDNA 3.0) | 768 | 2700 MHz | 8.909 TFLOPS ※Dual Issue = 1/2 |
Radeon 760M (RDNA 3.0) | 512 | 2600 MHz | 5.323 TFLOPS ※Dual Issue = 1/2 |
Radeon 680M (RDNA 2.0) | 768 | 2000 MHz | 3.379 TFLOPS |
Radeon 660M (RDNA 2.0) | 384 | 1900 MHz | 1.459 TFLOPS |
Radeon RX Vega 8 (GCN 5.0) | 512 | 1900 MHz | 1.280 TFLOPS |
Iris Xe Graphics 96EU (Intel Xe1) | 768 | 1500 MHz | 1.997 TFLOPS |
RTX 4000シリーズ(Ada Lovelace)世代のグラフィックボード(dGPU)です。
3072シェーダーを最大2460 MHzのクロックで動かし、ピーク時に約15 TFLOPSの理論性能に達します。一般的なミニPCの内蔵GPUと比較して、約3倍も強力な性能です。
加えてGPU専用の高帯域メモリ(VRAM)を備え、内蔵GPUによくあるメインメモリ由来のボトルネックから開放されます。
実際のゲーミング性能は理論性能以上に大きく差が開くはずです。なにげにAda Lovelace世代だから、Tensorコアを用いたAI超解像「DLSS 4」や、フレーム生成「DLSS FG」も対応します。
RTX 4060自体は案外舐められた印象がある一方、内蔵GPUと比較すれば依然として信じられないほどパワフルです。
さっそく定番のGPUベンチマークで比較してみましょう。
定番ベンチマークで性能比較
基本的なGPUベンチマークの結果まとめです。
スコアだけだと何が何やら分からないので、他のミニPCと比較します。

ゲーミングPC向けの高負荷ベンチマーク「FireStrike」の結果です。
GPUの性能を示すGPUスコアが27859点で、エントリークラスの「RTX 3050 Laptop」より約2.4倍も高性能、「RTX 4050 Laptop」を1割くらい上回るグラフィック性能です。


モバイル向けの軽量ベンチマーク「Night Raid」の結果です。
RTX 4060は約127600点を叩き出し、Radeon 890Mと比較して約3倍以上のスコアです。

マルチプラットフォーム対応の軽量ベンチマーク「Wild Life」の結果です。
RTX 4060は約56800点です。Radeon 890Mを約3倍近いスコアに迫ります。

「Time Spy」の後継モデルにあたる、モバイル向けの重量級ベンチマーク「Steel Nomad Light」の結果です。
RTX 4060は約10600点です。Radeon 890Mの約3.3倍、Radeon 780Mの約4倍強に達します。

モバイル向けのレイトレーシング対応ベンチマーク「Solar Bay」の結果です。
シェーダー(コア)数が多いほど有利になる傾向はSteel Nomad Lightと似ています。
ファイナルファンタジー14:黄金のレガシー(デスクトップ標準品質)のベンチマーク結果です。
内蔵グラフィックスの性能だけでなく、メモリの帯域幅やCPU性能も複合的に要求される傾向が強い、いわゆる総合ベンチマークに近い性質があります。
Core i7 14700(RTX 4060)は、Ryzen AI 9 HX 370(Radeon 890M)より約3.3倍も高いスコアです。
パワフルな20コア28スレッドCPU、約4倍近いVRAM帯域幅(272 GB/s)、約3倍超えの理論性能でやっと3.3倍の性能に向上します。
実際にゲームをプレイして性能をテスト
- 平均120 fps:ヌルヌルとした映像で入力遅延も少ない「とても快適」
- 平均60 fps:最低限「快適」といえるギリギリの最低ライン
- 平均30 fps:体感できる入力遅延が目立つ紙芝居レベルの動作
内蔵グラフィックスでゲームプレイをする場合、できれば「平均60 fps」以上が望ましいです。
Apex Legends 射撃訓練場でテスト | |
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フルHD 中設定 | 平均 : 212.2 fps |
下位1% : 105.2 fps | |
フルHD 低設定 | 平均 : 233.0 fps |
下位1% : 114.4 fps | |
オーバーウォッチ2 マップ「KING’S ROW(4 vs 4)」で撃ち合い | |
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フルHD (ノーマル設定 + 100%) | 平均 : 303.4 fps |
下位1% : 175.0 fps | |
VALORANT マップ「トレーニングエリア」でテスト | |
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フルHD (最高設定 + MSAA x4) | 平均 : 568.0 fps |
下位1% : 386.0 fps | |
フルHD (最高設定 + MSAA x2) | 平均 : 555.0 fps |
下位1% : 338.0 fps | |
鳴潮 マップ「リナシータ」でソアー高速飛行 | |
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フルHD (グラフィック優先) | 平均 : 115.8 fps |
下位1% : 65.5 fps | |
フルHD (バランス) | 平均 : 117.8 fps |
下位1% : 69.6 fps | |
フルHD (パフォーマンス) | 平均 : 119.6 fps |
下位1% : 81.6 fps | |
原神(Genshin Impact) マップ「神に捨てられた殿閣」でテスト | |
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フルHD (プリセット:高) | 平均 : 206.6 fps |
下位1% : 126.8 fps | |
フルHD (プリセット:中) | 平均 : 228.2 fps |
下位1% : 135.7 fps | |
フルHD (プリセット:低) | 平均 : 246.9 fps |
下位1% : 156.9 fps | |
崩壊スターレイル マップ「星槎海中枢」でテスト | |
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フルHD (プリセット:高) | 平均 : 184.3 fps |
下位1% : 116.9 fps | |
フルHD (プリセット:中) | 平均 : 198.1 fps |
下位1% : 127.2 fps | |
フルHD (プリセット:低) | 平均 : 233.7 fps |
下位1% : 156.3 fps | |
ゼンレスゾーンゼロ マップ「ルミナスクエア」でテスト | |
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フルHD (プリセット:高) | 平均 : 84.1 fps |
下位1% : 49.1 fps | |
フルHD (プリセット:中) | 平均 : 87.4 fps |
下位1% : 56.6 fps | |
フルHD (プリセット:低) | 平均 : 92.7 fps |
下位1% : 57.3 fps | |
マインクラフト 「PORTAL PIONEERS RTX」でテスト | |
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フルHD (32チャンク) | 平均 : 308.4 fps |
下位1% : 157.7 fps | |
フルHD (16チャンク) | 平均 : 486.7 fps |
下位1% : 247.3 fps | |
ストリートファイター6 「LUKE vs RYU」でテスト | |
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フルHD (NORMAL設定) | 平均 : 59.7 fps |
下位1% : 55.0 fps | |
フルHD (LOW設定) | 平均 : 60.0 fps |
下位1% : 55.7 fps |
さすが外部グラフィックボード(dGPU)です。
内蔵GPUとまったく比較にならない圧倒的な性能差を見せてくれました。フルHDかつゲーム側のグラフィック設定を妥協すれば、おおむねメインPCと大差ないプレイ体験です。
「DLSS 4」と「DLSS FG」対応ゲームなら、WQHDや4Kゲーミングで平均80~90 fps前後※も狙えます。
※フレーム生成を使う場合、平均60 fpsだと入力遅延で違和感が出ます。測定値で80~90 fps程度でだいぶ快適な操作感に近づきます。

最新グラフィックの鳴潮(Wuthering Waves)も当然ながら快適です。
RTX 4060だから、ゲーム側のオプションから「120 FPS」を選べます。ミニPCの内蔵GPUは120 FPSがオミットされて選べないため、有志制作のツールを使って解除する手間がありました。
モンハンワイルズが動くか検証
モンスターハンターワイルズ 緋の森(豊穣期)でテスト | |
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フルHD 最低設定 + FSR:バランス | 平均 : 74.5 fps |
下位1% : 62.8 fps | |
フルHD 最低設定 + FSR:ウルトラパフォーマンス | 平均 : 86.4 fps |
下位1% : 74.0 fps | |
フルHD 最低設定 + FSR:ウルトラパフォーマンス + FSRフレーム生成 | 平均 : 141.1 fps |
下位1% : 103.2 fps |
・・・モンハンワイルズはRTX 4060でも、けっこう厳しい雰囲気です。
画質を下げて、アップスケーリング(バランス品質)を入れてようやく平均60 fps台を維持できます。
高グラフィック設定は「DLSS 4:バランス」と「DLSS FG」で平均75 fps程度です。つまり、元フレームが60 fpsを割っていて入力遅延が目立ってきます。
Radeon 890M(Ryzen AI 9)と性能比較
現行フラグシップ級の内蔵GPU「Radeon 890M(1024コア)」とゲーム性能を比較します。

当たり前ですが、外部グラフィックボード(dGPU)のRTX 4060が完封します。
fps制限がないゲームなら、約3倍以上のフレームレートを出せるゲームもあり、9ゲーム平均値は118%(約2.2倍)でした。

ThinkCentre Neo Ultra の温度と騒音
動作温度をチェック
ベンチマーク中のCPU温度 ※CPUに100%の負荷がかかった状態 |
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CPUに100%の負荷がかかるCinebench R23ベンチマーク中のCPU温度は最大で100℃、平均85℃です。
内蔵グラフィックスにも負荷がかかるFF14ベンチマークでは、最大100℃、平均93℃です。
グラフィックボードの放熱(約115 W)が加わるから、ゲーム時の方がCPU温度が高くて冷えづらい傾向がハッキリ出ます。
負荷時の電力制御 ※クリックで画像拡大します | |
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CPU側 | 内蔵GPU側 |
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平均値まとめ | |
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ThinkCentre Neo Ultra の電力制御をチェック。
CPUクロックはテスト開始直後に5300 MHz前後に達し、その後じわじわと下がり続けて平均3600 MHz程度に抑えられます。
容量4リットルの筐体と薄型ヒートシンク + シロッコファン2個の熱設計で、最大160 WにもなるCore i7 14700を冷やすのは難易度が高いです。
外部グラフィックボード(RTX 4060)のクロックは平均2800 MHz前後で安定しており、GPUコア温度は64℃前後でした。

サーモグラフィーカメラで負荷時の放熱をチェック。

リアパネル(背面)側は50℃台で、ヒートシンクの排気口が70℃前後です。まったく問題のない温度です。

筐体の背面から勢いよく内部の熱気を放出します。

ベンチマーク中にケースを開封して、各スロットの発熱をチェックします。
M.2 SSDが約60℃ほど、SODIMMメモリが約50℃台で特に問題ないです。
金属製の底面パネルにサーマルパッドが取り付けてあり、パーツの熱を底面パネルに逃がすパッシブ冷却設計のおかげで、意外とよく冷えています。
静音性能を騒音計で検証

動作音(騒音)をテスト (本体から50 cmの距離で測定) | ||
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シャットダウン (電源オフ時) | 31.3 dB | |
アイドル時 (何もしない状態) | 33.0 dB | |
ゲームプレイ中 (FF14:黄金のレガシー) | 44.5 dB | |
CPU高負荷時 (Cinebench R23) | 43.9 dB |
校正済みのデジタル騒音メーターを使って「ThinkCentre Neo Ultra」の動作音(騒音レベル)を、シーン別に測定しました。それぞれの測定結果は中央値です。

騒音値(dBA) | 評価 | 目安 |
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30 ~ 32.49 | 極めて静か | 耳を近づければ聞こえるレベル |
32.5 ~ 34.9 | 静か | ファンが回っているのが分かる |
35 ~ 39.9 | やや静か | 扇風機を「小」で回したくらい |
40 ~ 42.49 | 普通 | エアコンよりは静かな音 |
42.5 ~ 44.99 | やや騒音 | エアコンの動作音に近い |
45 ~ 50 | 騒がしい | 扇風機を「中~大」で回した音 |
50 ~ | うるさい・・・ | 換気扇を全力で回した音 |
ThinkCentre Neo Ultraは、オフィスワークから軽いゲームなど軽~中程度の負荷なら、おおむね静かなミニPCです。
動画エンコードやゲーム開始時のシェーダーコンパイル、複数のWindows Updateなど、重量級のタスクでCPUに負荷が集中するとファンの回転音がよく聴こえます。
デュアルファン仕様(80 mm x2)でも、4リットルの狭い空間でCore i7 14700(20コア)とRTX 4060を静かに冷やすのは難しいようです。
ノートパソコンに近いやや甲高いタイプの音質だから、主観的にうるさく聴こえます。
テストで測定された44.5 dB(中央値)は「やや騒音(42.5~44.9 dB)」に分類されます。
コンセント経由の消費電力をテスト
消費電力 (ACアダプター接続時) | ||
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アイドル時 (デスクトップ画面) | 36.3 W | |
CPU負荷 (Cinebench R23) | 182.6 W | |
ゲームプレイ中 (FF14ベンチ) | 260.5 W |
ThinkCentre Neo Ultraの消費電力はアイドル時でおよそ36 W前後、Cinebench R23でCPUに負荷をかけて183 W前後ほど。
ゲームプレイ(dGPU)時の消費電力が260 W前後です。
高負荷時の消費電力はともかく、アイドル時の消費電力が妙に高いのが気になります。
まとめ:格安中華メーカーに真似て欲しいキューブ型PC

「ThinkCentre Neo Ultra」のデメリットと弱点
- 保守的なインターフェイス類
- 平均的なミニPCより大型
- SDカードスロットなし
- まったく役に立たない
「Kinara Ara-2」NPUモジュール - 物足りないパーツ拡張性
- 性能なりに消費電力も多め
- 高負荷時の動作音が大きい
- メーカー標準1年保証
「ThinkCentre Neo Ultra」のメリットと強み
- Core i7 14700(20コア28スレッド)
- フルHDゲーミングがとても快適
(DLSS 4やDLSS FGも対応) - オフィス用途に十分すぎる性能
- 高級感もある頑丈な金属製シャーシ
- 電源ユニット内蔵型でスッキリ
- Windows 11 Home(OEM版)
- コストパフォーマンスが高い
(セール価格 + Lenovo 10%還元)
ThinkCentre Neo Ultraは平均的なミニPCを凌駕する性能を発揮できる「キューブ型」ミニPCです。
セール価格とLenovo 10%ポイント還元なら、コストパフォーマンスも申し分なし。もちろん、役に立たない「Kinara Ara-2」NPUをカスタマイズで外せば、もっと価格を安くできます。
コスパと性能どちらも重視しつつ、そこそこ小型なパソコンが欲しい人におすすめ・・・したかったです。
実は、レビュー記事が完成した時点でNeo UltraモデルがEOL(終売)となり、もう入手できません。だからGMKtecやMINISFORUMなど、格安中華メーカーに真似して欲しいです。
ミニPCを何十台と触っていて薄々気づきましたが、格安中華系はどこも横並びで似たような製品ばかり作っています。
そろそろRTX 4050 Laptopや、今後リリースされる予定のRTX 5050など。ローエンドdGPU(TGP:100 Wクラス)と組み合わせたミニPCが出てきて良いのでは?
Radeon 890Mをはじめとした内蔵GPUの進化も凄いものの、やはりメインメモリの帯域がボトルネックになりやすく、見ていて非効率的に映ります。
GPU専用メモリ(VRAM)を備えるdGPUを使ったほうがはるかに効率よく性能を出せそうですが、なかなかGeForce搭載ミニPCが出てこなくて困惑しています。
以上「ThinkCentre Neo Ultra レビュー:容量4Lにi7 14700(20コア)とRTX 4060を詰め込む!」でした。
ThinkCentre Neo Ultraの代替案
過去にレビューしたミニPCで、ThinkCentre Neo Ultraの代替案が1台も見つからないです。
Amazonで軽く探してみると、おそらく「GMKtec EVO-X2」が代替案に近いように見えました。
CPU | GMKtec EVO-X2 (定価:33万円~) | ThinkCentre Neo Ultra (定価:24万円~) | |
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CPU | Ryzen AI Max+ 395 (Zen5世代 / 16コア32スレッド) | Core i7 14700 (第14世代 / 20コア28スレッド) | |
内蔵GPU | Radeon 8060S (2560コア / 2.34 GHz) | UHD Graphics 770 (256コア / 1.55 GHz) | |
外部GPU | なし | RTX 4060 8 GB (3072コア / 2.46 GHz) | |
NPU | XDNA 2※ (50 TOPS / 共有メモリ) | Kinara Ara-2※ (40 TOPS / LPDDR4 8 GB) | |
メモリ | 64 GB (LPDDR5X-8000 / 4 ch) | 32 GB (DDR5-5600 / 2 ch) | |
SSD | 2 TB (PCIe 4.0 x4) | 512 GB (PCIe 4.0 x4) | |
主要ポート |
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電源 | 230 W (ACアダプター) | 350 W (内蔵型 / 80 PLUS Platinum) | |
筐体 | 2.76リットル (193 x 186 x 77 mm) | 4.13リットル (191 x 195 x 191 mm) |
※NPUはどちらも役に立たないです。
タイムセール時に約10万円も値引きされるらしく、Radeon 8060Sの実効性能次第でかなり魅力的かもしれないです。
Ryzen AI Max+のメモリ帯域幅は256 GB/sに達するらしく、外部GPUのVRAMに匹敵します。ゲームタイトル次第でRTX 4060クラスに並べそうなスペックです。
加えて、GMKtecなど格安中華メーカーらしく、標準搭載のメモリ容量とSSD容量がLenovo比較で2倍以上です。
代替案どころか上位互換の可能性も見えてきますが、実際に(まだ)使えていないので詳しいコメントは控えておきます。
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