「Samsung 983 ZET」は、インテルのOptaneシリーズに打ち勝つためにサムスンが開発したSSDです。既存の技術を駆使して生み出した「Z-NAND」を用いて、打倒Optaneを掲げますが、果たして未来のSSDに対して既存技術で勝てるかどうか。検証です。
Samsung 983 ZETのスペック
スペック | Samsung 983 ZET | |
---|---|---|
容量 | 480 GB | 960 GB |
フォームファクタ | HHHL(AIC) | |
インターフェイス | PCIe 3.0 x4 | |
コントローラ | Samsung Phoenix | |
NANDフラッシュ | Samsung製48層 3D SLC NAND | |
DRAMキャッシュ | Samsung製LPDDR4 | |
1536 MB | ||
読み込みシーケンシャル | 3400 MB/s | |
書き込みシーケンシャル | 3000 MB/s | |
読み込み4KBランダムアクセス | 750K IOPS | |
書き込み4KBランダムアクセス | 60K IOPS | 75K IOPS |
読み込みレイテンシ | 30 µs | |
書き込みレイテンシ | 30 µs | |
消費電力稼働時 | 9 W | |
消費電力アイドル時 | 5.5 W | |
保証 | 5年 | |
TBW書き込み耐性 | 7.4 PBW7578 TBW | 17.5 PBW17920 TBW |
MSRP希望小売価格 | $ 999.99 | $ 2075.85 |
参考価格 | 134745 円 | 141628 円 |
GB単価 | 280.7 円 | 147.5 円 |
「Samsung 983 ZET」は、インテルがコンシューマ向けに展開している最強のSSD「Intel Optane SSD」シリーズに対抗するために開発されました。
インテルが3D XPointと呼ばれる相変化メモリ技術を使って飛躍的な性能アップを実現したのに対し、サムスンはSSD黎明期の頃から存在する既存の技術、「SLC NAND」を限界まで磨き上げて作り出した「Z-NAND」で対抗します。
Z-NANDは48層まで積み上げた3D SLC NANDです。現在のコンシューマ向けSSDではもっぱらTLC(3-bit MLC)NANDやQLC(4-bit MLC)NANDが使われていますが、SSDの性質上ビットレベルセルを重ねるほど性能は悪化します。
ビットレベルセルを重ねるメリットは、容量あたりの低コスト化です。一方で、ビットレベルセルを重ねるほど強力なECC(誤り訂正符号)技術が必要になり、速度や耐久性が犠牲に。
逆に考えると、ビットレベルセルを重ねなければ容量あたりのコストは上昇し、代わりにSSDとしてのパフォーマンスは大幅な改善が可能です。だからZ-NANDではあえて、SLC技術を使って性能アップを狙います。
なお、サムスンも相変化メモリを使えば良いのでは。という疑問はもちろん出てくるでしょうが、残念ながらサムスンにはまだ3D XPointに対抗できるような相変化メモリの技術は存在しないようです。
インテルは主力製品のCPUに関しては悲惨な状況が続いていますが、SSDに関しては間違いなく革新的な発明をしたと言えます。3D XPointを使った製品はまさに「未来のSSD」です。
耐久性能の比較
耐久性能は480 GBモデルが7.4 PBW(約7600 TBW)、960 GBモデルは17.5 PBW(約17900 TBW)です。480 GBモデルはOptane SSDに劣る耐久性能ですが、960 GBモデルはほとんど同じ水準を実現しています。
Samsung 970 ProのようなMLC NAND採用のSSDと比較しても、軽く10倍以上の耐久性能を実現しているので、普通の使い方では一生使い切れないでしょう。経年劣化と外的要因※以外で壊れる確率は、限りなくゼロに近い耐久性能です。
※雷が直撃してパソコンが丸焦げになる、または太陽フレアを浴びてしまったとか。
Samsung 983 ZETを開封レビュー
サムスンのハイエンドらしいパッケージ
サムスンはハイエンド製品になればなるほど、パッケージデザインは「黒」が強くなる傾向です。970 Proには赤色のフォントがあったのに、983 ZETではついに黒と白だけのシンプルデザインに。
反対側はデータセンターレベルの製品であることを、しれっとイメージさせるグラフィックデザインが採用されています。高級感は文句なしに抜群です。
引っ張って開封。983 ZETの筐体にピッタリとカットされた、ウレタン質な梱包材に収められていました。
付属品は必要最小限で、説明書とロープロファイル用ブラケットだけが付属しています。
ヒートシンクを兼ねる美しい筐体デザイン
Samsung 983 ZETの筐体デザインは、数あるハイエンドSSDの中でも個人的には最高のデザインだと思います。
良い言い方をするなら、ハイエンドらしさを極めた無骨なデザイン。悪い言い方をするなら、あまりコンシューマ受けを狙ってないデザインとも言えます(※ライバルのOptane 905PはLEDライティング搭載です)。
ヒートシンクを兼ねる、細かい切り込みが入った金属製シャーシの塗装は、ダークブルー系のグランジ(ザラザラ感)が効いていて高級感が半端ないです。光の当て方によって、様々な「青」を見せてくれます。
裏面には金属製バックプレートが取り付けられ、基板コンポーネントを保護する役割を果たします。
ブラケット側には、コネクタらしき部位を確認できますが、何のコネクタかはよく分かりませんでした。
分解してコンポーネントを確認
完全なサムスン純正SSDなので、わざわざ目視で確認する必要は無いです。しかし、実際にどのようなコンポーネントが搭載されているのか、個人的な好奇心が耐えないので分解してチェックします。
4箇所のネジを外すだけで、金属製シャーシを基板から取り外せます。ただし、ネジを外す過程で保証シールが剥がれてしまうため、分解と同時に製品保証の対象外になるので真似はしない方が良いです。
Samsung 983 ZETのデザインは、基本的にはエンタープライズ向けSSDです。普通の安価なコンシューマ向けSSDとは色々と違いが多く、見ていて楽しいです。
983 ZETを構成するコンポーネントはNANDフラッシュメモリが合計8つ、SSDコントローラ、DRAMキャッシュ。左上には、急な電力損失時にデータを保護するために機能する、個体コンデンサまで実装されています。
よく見ると、まだNANDフラッシュメモリを実装できそうなスペースを確認できます(8箇所ほど)。
容量的には最大1.92 TBまで拡張できそうですが、Z-NAND採用の上位モデル「SZ985」は容量ではなく耐久性能がとんでもない数値になっているため、どうやら耐久性能を稼ぐために使われているようです。
NANDフラッシュメモリはSamsung製Z-NAND(48層 SLC NAND)を搭載。刻印は「K9QHGB8J0M-CCB0」です。
DRAMキャッシュも搭載。刻印は「K4F2E3S4HA」から始まっているので、Samsung製のLPDDR4メモリと判定できます。K4F2…と名付けられたパーツ型番では、容量は12 Gb(1.5 GB)モデルのみです。
SSDコントローラは、970 EVO Plusなどサムスン製のNVMe SSDでおなじみの「Samsung Phoenix」を搭載。ARM製の5コアCPUを搭載した高性能コントローラで、最大8チャネルのNANDフラッシュとの高速アクセスに対応可能です。
個体コンデンサはPanasonic製に見えますが、詳しい型番までは分かりません。静電容量の表記が真ん中に位置するため、PanasonicではなくELNA(エルナー)製の個体コンデンサの可能性もあり。
- コントローラー:Samsung Phoenix
- DRAMキャッシュ:Samsung製LPDDR4メモリ(1.5 GB)
- NANDフラッシュ:Samsung製Z-NAND(64 Gb 48L 3D SLC NAND)
- 個体コンデンサ:メーカー不明のポリマーコンデンサ
Samsung 983 ZETの中身(コンポーネント)は以上のとおりです。普通のSSDと比較して基板はとても巨大で、実装コンポーネントも数が多いため、960 GBモデルの希望小売価格が2000ドルを超えるのも無理はないですね。
とにかく贅沢な内容です。
Samsung 983 ZETの性能をベンチマーク
テスト環境
テスト環境「ちもろぐ専用ベンチ機」 | ||
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CPU | Core i9 9900K | |
CPUクーラー | 虎徹Mark II | |
マザーボード | ASRock Z390 Phantom Gaming 6 | |
メモリ | DDR4-2666 8GB x2 | |
グラフィックボード | RTX 2060 | |
SSD | SATA 500GB使用SSD「Samsung 860 EVO」 | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1903」 |
いつもどおり、ちもろぐ専用ベンチ機を使ってSamsung 983 ZETの性能をテストします。今回のレビューでは、ライバルのIntel Optane 905Pとの比較データも多めに出していくつもりです。
Crystal Disk Mark 7
日本だけでなく、世界的にも定番のSSDベンチマークソフトである「Crystal Disk Mark 7」を用いて、Samsung 983 ZETの基本的なパフォーマンスをチェックします。
性能の変化を確かめるため、標準設定の「1 GiB」に加えて64 MiB ~ 32 GiBの4パターンを追加してテストを行い、それぞれの結果をグラフにまとめました。
ほとんどのユーザーが注目するであろう「シーケンシャル速度(SEQ1M Q8T1)」は、読み込みが3400 MB/sを超えて公称値どおり。一方、書き込みは2850 MB/s前後イマイチ振るわず、公称値の3000 MB/sには届きません。
hiyohiyo氏(※Crystal Disk Markの開発者)のレビュー記事でも、書き込みは3000 MB/sに届いていなかったため、不具合というわけではなさそうです。
2行目の「シーケンシャル速度(SEQ1M Q1T1)」は、64 MiBサイズを除き、安定したパフォーマンスです。64 MiBサイズでは逆に性能が下がるという、少し変わった傾向があります。
「ランダムアクセス速度(RND4K Q32T16)」も、やはり64 MiBサイズの書き込み速度以外は、問題なく安定したパフォーマンスが出ています。
SSDの実質的な進化を示す4行目の「ランダムアクセス速度(RND4K Q1T1)」は、書き込み速度は余裕で200 MB/s超え、読み込みは165 MB/s前後を叩き出しました。
普通のSSDだとせいぜい60~70 MB/sが限界なのに、軽々とオーバーして165 MB/sとは。謳い文句どおり、たしかに「Z-NAND」の読み出し性能は凄まじい速さです。
Optane 905P 480GB | Samsung 983 ZET 960GB |
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では、ここでIntel Optane 905Pと1 GiBサイズで計測した時の性能を比較します。
傾向としては、読み出し性能(リード)は983 ZETが目立って優秀。ランダムリード性能はOptane 905Pが40%も高速で、応答速度は20 μsを下回る異次元の速さです。
書き込み性能はシーケンシャルなら983 ZETが優秀ですが、ランダムライト性能になるとやはりOptane 905Pには届きません。既存の技術でOptaneを相手にここまで戦えるのは素直に凄いと思いますが、いずれ限界が来るでしょう。
AS SSD Benchmark 2.0
非圧縮データをテストに用いる「AS SSD Benchmark」でSamsung 983 ZETの性能をスコア化。
AS SSD Benchmark 2.0 Score
ランダムアクセス性能ではOptane 905Pに劣っていても、シーケンシャル性能の高さが効いて総合スコアは7000点を超えました。過去レビューしてきた中ではNo.1のスコアです。
ATTO Disk Benchmark
複数のテストサイズを一括でテストして、SSDの性能の一貫性や性格を分かりやすく示してくれるATTO Disk Benchmarkを検証。
安定しています。ピーク性能に到達後は、書き込みが2850 MB/s前後、読み込みが3400 MB/s超えで問題なし。視覚的に見やすくグラフ化して、他のSSDと比較してみましょう。
読み込み性能は、なぜかピーク性能に達するのが少し遅いです。Optane 905PやSamsung 970 Proは32 KBサイズでピーク性能に到達しているのに、Samsung 983 ZETは1 MBサイズでやっとピーク性能に到達します。
書き込み性能は問題ありません。32 KBサイズでピーク性能に到達した後、3420 MB/s前後で安定した性能です。
HD Tune Pro
約3500円で購入できる、シェアウェアのストレージ用ベンチマークです。ディスク領域全体に渡って書き込みを実行するテストがあるので、キャッシュの挙動(=下駄の履かされ具合)を確認しやすい便利なソフトです。
読み込み速度は1800 MB/s前後で常に一貫した性能です。しかし、アクセスタイムは0.032 ミリ秒で、SLC NANDの割にはイマイチな結果に。
書き込み性能も非常に安定。おおむね1580 MB/s前後を推移していますが、ところどころ瞬間的に性能が落ちているのは少し気になります。アクセスタイムは0.016 ミリ秒で圧倒的です。
SLCキャッシュの有無
Samsung 983 ZETそのものが「SLC NAND」100%搭載のSSDなので、SLCキャッシュの有無を調べる意味はありません。とはいえ、毎回同じテストを実行しておくのは大事なので、一応テストはしました。
100 GBの連続テストの結果です。読み込みは3000 MB/s前後で常に一貫しているのに対して、書き込みはなぜか途中2000 MB/s近くまで落ち込む挙動が見られます(※理論上は常に一貫していないとおかしい)。
Optane 905Pならこの通り。ほぼ完璧に一貫したパフォーマンスをずっと維持しています。
PCMark 8 Storage
PCMark 8のストレージテストは、日常的な使用で想定されるアプリケーション(Adobe系ソフトやOffice系ソフトなどを中心)における実効速度を計測して、SSDの性能を評価します。
PCMark 8 Storage Test / スコア
スコアは5100点超えです。基本的な条件を満たしているNVMe SSDなら5000点を超え、レイテンシが極端に速いなど、特殊な条件が加わると5100点を突破できます。
PCMark 8 Storage Test / 実効帯域幅
PCMark 8を実行中のスループット(転送速度)は、レイテンシの速さが効いて1305 MB/sを記録。しかしOptane 905Pは1500 MB/sを超えて、次元の違いを見せつけました。
Samsung 983 ZETの性能を実運用で試す
連続書き込みテスト
1 MBサイズのテストファイルを15分間、ただひたすらに書き込み続けるハードなテストです。SSDの素の性能を明らかにして、公称値と素の性能との差や、SLCキャッシュの具体的な挙動などを検証します。
有料ソフト「HD Tune Pro」と似たようなテスト内容ですが、最近はHD Tune Proでも本来の性能を明らかにできなかった例があったため、実際に書き込むテストを実施しています。
983 ZETとOptane 905P、ともに凄まじい性能です。983 ZETは常に一貫して2300 MB/s前後の書き込み性能を維持し、Optane 905Pは容量をすべて使いきったところでようやく本気モードに突入し、2000 MB/s前後を維持しました。
Optane 905Pは、すべてのメモリセルを完全に充填すると逆に性能が上がる、非常に不思議な性質を持ったSSDです。NAND型SSDは空き容量がなくなるにつれて、性能は低下します。
もちろん、983 ZETは48層のSLC NAND採用なのでいくら書き込んでも性能はまったく低下しません。キャッシュが切れた時点で性能を失うのが、現在主流のTLCやQLC NAND型SSDの大きな弱点です。
時間あたりの書き込み量は、983 ZETが15分で約1925 GB、Optane 905Pは15分で約1652 GBでした。15分で1 TB以上を書き込みできるSSDは、本当にごくわずかです。
983 ZETは約2 TBにも迫る書き込み量なので、連続書き込みテストで983 ZETに対してマトモに対抗できるSSDは、Samsung 970 Proか他社のエンタープライズ向けSSDに限られます。
ゲームのロード時間
「FF14:紅蓮のリベレーター」ベンチマークを使って、ロード時間を計測します。計測方法はベンチマーク終了後に記録されているログファイルを読み取るだけです。
983 ZETは「9.758 秒」をマーク。ほとんどのSSDは10秒台の壁を超えられません。FF14のロード時間で10秒を割り込むには極端に速いレイテンシが必要だと、よく分かる結果です。
Premiere Proプレビューの「コマ落ち」
Premiere Proの動画プレビューは動画素材を置いているストレージ性能に影響を受けやすく、高ビットレート(=1秒あたりの転送量が多い)な素材であればあるほど「コマ落ち」が発生しやすいです。
この検証ではコマ落ちの頻度を計測することで、SSDの性能を評価します。コマ落ちの計測にはPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」を使って、総フレーム数に対するコマ落ち比率で比較しました。
動画素材 | Samsung 983 ZET | Optane 905P 480GB | Samsung 970 Pro 1TB | SX8200 Pro 512GB | SN550 500GB | SN500 500GB |
---|---|---|---|---|---|---|
4K @448MB/s | 22.56% | 18.28% | 34.90% | 41.90% | 46.74% | 51.90% |
3K @251MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 12.08% | 19.90% |
2K @176MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
4K @108MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
1080p @99MB/s | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
シーケンシャル性能よりもランダム性能が重視される結果になりました。983 ZETはランダム性能はそこそこ、シーケンシャルは爆速なので、1コマも落とさずプレビューできそうだと思っていたのですが。
結果は意外にもOptane 905Pの勝利です。Premiere Proのプレビューに効いているのは、やはりシーケンシャルよりもランダムリード性能と、あらためて体感させられました。
アクセス集中時の応答時間
SSDの品質の差は、アクセス(I/O)が集中したときにどれくらい早く応答できるか?で、ある程度判断が可能です。もし品質の悪いSSDなら、本テストによってプチフリーズも観測できます。
テスト方法は非常にシンプルで、約2500枚の4K写真(全部で約56 GB)を同じストレージ上でビットマップ画像にエンコードするだけ。読み書き両方を頻繁に使い、1枚のエンコードが終わるたびにタスクが中断されるため、意外とストレスの大きい処理です。
まずはCPUを25%(4スレッド)しか使わない、イージーモードでテストを実行します。
SSD | 983 ZET | Optane 905P | 970 Pro 1TB | SN750 500GB | SN500 500GB |
---|---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 4.46 ms | 6.28 ms | 4.86 ms | 5.68 ms | 10.73 ms |
平均書込時間 | 0.82 ms | 0.82 ms | 2.06 ms | 2.89 ms | 3.88 ms |
エンコード時間 | 161.91 秒 | 162.33 秒 | 161.02 秒 | 175.42 秒 | 186.82 秒 |
エンコード時間はSamsung 970 Pro以上では頭打ちの状況です。それでも、平均応答時間はハッキリと差が出ています。読み込み時間は983 ZETがわずかに速く、書き込み時間はほぼ互角です。
983 ZETとOptane 905Pは、970 Proより更に50%以上も速い書き込み応答時間を実現しています。
CPU使用率を100%(16スレッド)にしてテストを実行しました。平均応答時間のバラツキは大人しくなり、全体的に応答が悪くなります。
SSD | 983 ZET | Optane 905P | 970 Pro 1TB | SN750 500GB | SN500 500GB |
---|---|---|---|---|---|
平均読込時間 | 5.59 ms | 11.82 ms | 6.79 ms | 8.31 ms | 15.62 ms |
平均書込時間 | 1.77 ms | 2.38 ms | 1.89 ms | 9.21 ms | 12.31 ms |
エンコード時間 | 61.67 秒 | 62.46 秒 | 61.48 秒 | 77.05 秒 | 95.18 秒 |
イージーモードと同じく、エンコード時間はほぼ頭打ちです。一方で、読み込み時間では983 ZETがおよそ半分、書き込み時間は約25%ほど速い記録でした。983 ZETの勝因はおそらく、シーケンシャル性能でしょう。
SSDの動作温度を確認
ベンチマーク時のセンサー温度
Samsung 983 ZETの温度センサーは、NANDフラッシュに2つ、SSDコントローラーに1つの合計3センサー構成です。
NANDフラッシュの方は最大47℃でまったく問題なし。爆熱として知られるSamsung Phoenixコントローラーは、最大でも65℃に抑えられており、ヒートシンクの優れた放熱性を確認できます。
サーモグラフィーで表面温度を確認
ヒートシンク全体が35~40℃の範囲で推移しました。熱がまんべんなくヒートシンクに伝わり、放熱が効率よくできている証拠です。
まとめ:サムスンの「技術デモ」としては素晴らしい
Samsung 983 ZETは、SSD黎明期から存在する既存技術「SLC」を限界まで磨いた、物量作戦的なアプローチで生み出されたSSDです。
NAND型SSDとしてコンシューマ向け製品では他に類を見ない、桁違いのランダムアクセス性能を実現し、SLC NANDならではの常に一貫した爆速シーケンシャル性能は間違いなく魅力的。
しかし、相変化メモリを使った3D XPointにはやはりランダムアクセス性能(レイテンシ)で追いつかず、最強の性能には達しません。サムスンのNAND技術は世界最強であることを示す「技術デモ」としては素晴らしいですが、現状はそれだけの価値です。
1129ドルのOptane 905P(960 GB)なら、2000ドルを超えるSamsung 983 ZET(960 GB)以上のパフォーマンスを提供します。真に最強のSSDを求めるなら、残念ながら983 ZETでは不足でしょう。
「Samsung 983 ZET」の良いところ
- NAND型SSDとして最強の性能
- 桁違いのランダムアクセス性能
- 美しすぎるシャーシデザイン
- よく冷える巨大ヒートシンク
- 電力損失時のデータ保護機能
- 底なしの耐久性能(7.4~17.5 PBW)
- Optaneでは得られない独特の所有欲
デザインの美しさと、他のハイエンドSSDでは簡単には得られなかった、独特の所有欲に満足しています。
存在価値としては、あくまでも「技術デモ」の域を出ませんが、検証用のリファレンスSSDとして使うなら優秀です。ランダム性能はNAND型で最強、シーケンシャルはOptane以上なので、SSDの性能検証で重宝します。
「Samsung 983 ZET」の微妙なとこ
- 容量あたりのコストはOptane以上
- ランダムアクセス性能はOptaneに届かない
- 日本国内では代理店の取り扱いなし
Optaneに勝ててないのに、Optaneより値段が高いのは明らかな価格設定ミス。少なくとも、今の半額にしてくれないと買う価値はゼロです。480 GBモデルが375ドル、960 GBモデルが750ドルくらいなら悪くないかと。
あと、日本国内では正規代理店の取り扱いがありません。ニッチすぎる商品なので、売れないと判断されたのでしょう。入手するには、国内アマゾンまたはオリオスペックの並行輸入品か、Amazon.comから自分で輸入しかないです。
- Samsung 983 ZET 960 GB(並行輸入品 / オリオスペック)
ぼくはオリオスペックにて、44000円(税込)でSamsung 983 ZET(960 GB)を購入しました。これでも970 Proの1 TBモデルよりは高いですが、Optane 905Pの半額以下なので十分に価値があります。
以上「Samsung 983 ZETをレビュー:NAND型SSDはOptaneに勝てるのか?」検証とレビューでした。
ただ、最強のNANDと言っても、まだNANDの一種なので、NANDの時間が経ってデータが自動的に失う特性(いわゆる揮発性)をなくすことができない。
3DXPointは不揮発性メモリーの一種だから、そんなことに心配する必要がない。
GIGABYTEの4tbssdとどっちの方が早いのでしょうか
GIGABYTEのAORUS AICでしょうか?
確かAORUS AICは「RAID 0」で性能アップしてるので、シーケンシャル性能なら勝てるかもしれません。ランダムリード性能は絶対に勝てないですが…
サラッと書いてるけど44,000円でコレ買えたのすごく羨ましい
希望小売価格の1/5っておかしくないか
これまだ(2/1時点で)オリオスペックの方でアウトレットだけど買えますね
容量と性能と耐久性考えたらコスパ凄すぎますね
やかもちさんの記事、いつも参考にさせてもらってます
以前見たときは無かったと思ったがあるね
復活したのかな
日本の値段は高いですね、Optane を買うほうがいいと思います。中国では480G 1800元=27374円 960G 3500元=53229円くらいです。Optane の値段半分ぐらい。その価額は高くないと思います。
個体コンデンサ→固体コンデンサ
でしょうか
防爆弁付いてるけど固体コンデンサかな?
ぱっと見で固体コンデンサに見える電解コンデンサ増えてるし
何かにつけインチキとゴマカシの多いメーカーだから見せかけてるだけかも
4万円で未開封品買えました。ちょっと試して使ってないです。うん。