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ASRock B850 LiveMixer レビュー:USBポート「23個」配信者向けマザーボード

ゲーム配信向けに特化したASRockのマザーボード「B850 LiveMixer」をレビューします。

なんとびっくり・・・、USBポートを合計23個も搭載する珍しいマザーボードです。電圧の安定性がすごいUltra USB Powerポートも備えます。実際にどう機能するか、USBテスターも使って検証。

やかもち
ASRock Japan様(@AsrockJ)より、レビュー用にマザーボードを提供してもらいました。前回の記事(Z890I Nova)と同様、自由に書いていいそうです。

(公開:2025/1/29 | 更新:2025/1/29

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ASRock B850 LiveMixer:仕様とスペック

ASRock / チップセット : AMD B850 / フォーム : ATX / ソケット : Socket AM5 / フェーズ数 : 17 (DrMOS) / M.2 : 3スロット / LAN : 2.5 GbE
スペックASRock
B850 LiveMixer
ソケットSocket AM5
Ryzen 9000 / 8000 / 7000に対応
チップセットAMD B850
フォームファクタATX(305 x 244 mm)
CPU用コネクタ8 + 4 pin
VRMフェーズ17フェーズ(DrMOS)
拡張性
メモリスロット
  • DDR5-8000+(OC)
  • 4スロット(最大256 GBまで)
PCIeスロット
  • 1段:PCIe 5.0 x16(CPU)
  • 2段:PCIe 4.0 x4(B850)
  • 3段:PCIe 4.0 x4(B850)
M.2スロット
  • M2_1(CPU):PCIe 5.0 x4
  • M2_2(CPU):PCIe 4.0 x4
  • M2_3(B850):PCIe 4.0 x4
SATAポート
  • 2個(B850)
USBポート
(背面ポート)
  • x1:USB 10 Gbps(Type-C)
  • x1:USB 10 Gbps
  • x4:USB 5 Gbps(Type-A)
  • x8:USB 2.0
USBヘッダー
(フロントパネル)
  • x1:USB 20 Gbps(Type-C)
  • x4:USB 5 Gbps(Type-A)
  • x4:USB 2.0
ブロック図
機能性
LANチップRealtek RTL8125
最大2.5 Gbps
無線LANMediaTek RZ717
最大2.8 Gbps / 2×2 / BT 5.4
サウンドチップRealtek ALC 1220
7.1チャンネルHDオーディオ
映像出力
  • HDMI 2.1
    最大4K @120 Hz
  • Display Port 1.4
    最大4K @120 Hz
音声出力3.5 mmプラグ:2個
S/PDIF:あり
レガシー端子なし
その他BIOSフラッシュバックボタン
価格と保証
保証2年(ピン折れ保証6ヶ月)
製品ページ公式サイト(asrock.com)
参考価格
(2025年1月時点)
やかもち
ひとこと解説:B650 LiveMixerの後継モデルです。CPU直結M.2スロットの増加や、VRMの強化など。「見た目」以外もけっこう改善されています。

ASRock B850 LiveMixerをレビュー

パッケージと付属品

グラフィティ風の英字フォントで「LiveMixer」のロゴが描かれたパッケージです。

下からめくり上げて開封する見開き式の梱包です。フタを開けてすぐに付属品やマザーボード本体が出てきます。

  • 説明書
  • 保証書
  • WiFiアンテナ
  • サーミスタセンサー(1本)
  • SATAケーブル(2本)
  • ASRockシール

必要十分なケーブル類と、ノベルティグッズが付属します。

サーミスタセンサーはマザーボード上の「T_SENSOR」ヘッダーにて使えます。温度を取りたい場所に貼り付けて、独自のファンコントロール設定などに活用できます。

マザーボードギャラリー(じっくり観察)

B850 LiveMixer
ギャラリー
ASRock B850 LiveMixerの写真ASRock B850 LiveMixerの写真
ASRock B850 LiveMixerの写真ASRock B850 LiveMixerの写真
ASRock B850 LiveMixerの写真ASRock B850 LiveMixerの写真

(クリックすると拡大します)

従来モデルのオレンジ色を使った派手なデザインから、まるで業務向けマザーボードを思わせる180°真反対のイメチェンを果たしました。

I/OヒートシンクとM.2ヒートシンク下部に、LEDライティングを実装。派手すぎない上品な光り方です。

やかもち
ストリートアート(グラフィティ)風のデザインは海外市場でウケが悪かったらしい。

マザーボードの拡張性とリアパネル

横幅305 mm、高さ244 mmのATXフォームファクタです。

信号強度を安定させ、メモリのオーバークロック耐性を高める効果があるらしい「8層基板」を採用しています。

ミドルクラスのマザーボードなら、8層基板がすっかりスタンダード化した印象です。

メモリスロット
  • DDR5-8000+(OC)
  • 4スロット(最大256 GBまで)
  • 両ラッチ方式

メモリスロットは4本(最大256 GBまでサポート)、両側からメモリをロックする両ラッチ仕様です。

メモリオーバークロックは割とスタンダードなDDR5-8000+対応をアピール。

M.2スロット
  • M2_1(CPU):PCIe 5.0 x4
  • M2_2(CPU):PCIe 4.0 x4
  • M2_3(B850):PCIe 4.0 x4

M.2スロットは3スロットです。

3本あるM.2スロットの内、2本がCPU直結スロット(M2_1 / M2_2)です。M2_1スロットがCPU直結でPCIe 5.0 x4に、M2_2スロットがCPU直結でPCIe 4.0 x4対応。

残る1本のみB850チップセットを経由し、3段目のPCIeスロットと帯域を共有する排他仕様です。

M.2スロットのツールレス仕様
  • M2_1:ネジ止めクリップ
  • M2_2:ネジ止めクリップ
  • M2_3:ネジ止めクリップ

すべてのM.2スロットの固定ネジが「ツールレス仕様」です。クリップを指で回してM.2 SSDを固定します。

付属のM.2ヒートシンク

(クリックすると拡大します)

全2本あるすべてのM.2スロットに、ASRock独自の鍛造アルミニウム製ヒートシンクが付属します。ヒートシンクへの熱伝導率を高めるサーマルパッドも貼り付け済みです。

M2_1用ヒートシンクが重さ72 gで、M2_2用は重さ63 gです。

ヒートシンクのツールレス仕様

(クリックすると拡大します)

M.2ヒートシンクは最近トレンドな「ツールレス」設計に対応。

丸いクリップを指で引っ張りながら、ヒートシンクを持ち上げるだけでかんたんに取り外しができます。

筆者のようなPCパーツを頻繁に取り替えるベンチオタクにとって嬉しい機能ですが、一度組み立てたらPCをいじらない一般人にとっては少々過剰なギミックかもしれません。

SATAポート
  • 2個(B850)

SATAポートは全部で2個です。B850チップセットを経由します。

PCIeスロット
  • 1段:PCIe 5.0 x16(CPU)
  • 2段:PCIe 4.0 x4(B850)
  • 3段:PCIe 4.0 x4(B850)

PCIeスロットは3本です。

1段スロットがCPUに直結されたPCIe 5.0 x16帯域で、PCIe Gen5規格の次世代グラフィックボードやNVMe SSDに対応できます。

2段目スロットはB850チップセット経由するPCIe 4.0 x4帯域です。3段目スロットのみ、M.2_3スロットと帯域を共有しています(排他仕様)。

やかもち
1段目と2段目で4スロット分の距離を取っているから、分厚い巨大なグラボを載せてもPCIeスロットが潰れません。
USBヘッダーとTBヘッダー※クリックで画像拡大します
  • x2:USB 2.0
  • x2:USB 2.0
  • x2:USB 5 Gbps(Type-A)
  • x1:USB 20 Gbps(Type-C)
  • x2:USB 5 Gbps(Type-A)
  • なし:Thunderbolt 4 Header

フロントパネル用のUSBヘッダーがあちこちに配置されています。

USB 2.0が4ポート分、USB 5 Gbps(Type-A)も4ポート分、USB 20 Gbps(Type-C)が1ポートで全9ポートです。

基本的に「B850チップセット(Promontory 21)」から供給されますが、一部のUSB 2.0ポートはGenesys Logic製「GL852」ハブコントローラを経由しています。

USB 5 Gbpsポートも一部だけ「ASM1074」ハブコントローラ、フロント用USB 20 GbpsポートはPericom製「PI3EQX10004」リドライバICを使っています。

最大23個ものUSBポートを可能にするため、B850チップセットで足りない分を追加のコントローラで補っている設計です。

なお、従来モデルのB650 LiveMixerに実装されていた、Thunderbolt AIC Header(TB4ヘッダー)が削除されています。

MSRP(190ドル)を維持しているにも関わらず、TB4ヘッダーが削除されてしまった原因はおそらくVRMフェーズの強化が一因です。
内部ヘッダー※クリックで画像拡大します

マザーボードのメモリスロット周辺とCPU電源コネクタの周辺に内部ヘッダーが実装されています。

RGB LEDヘッダ(最大36 W)、アドレサブルLEDヘッダ(最大15 W)、4ピンファンコネクタなど、基本的なヘッダーは揃ってます。

付属品のサーミスタセンサーを取り付けられる「T_SENSOR」ヘッダーも配置されており、センサーを貼り付けたエリアの温度に基づいてファンコントロールなどが可能です。

リアパネルI/O※クリックで画像拡大します
1
  • HDMI 2.1
    ※最大4K @120 Hz
2
  • Wi-Fiアンテナ
  • Display Port 1.4
    ※最大4K @120 Hz
3
  • USB 2.0
  • USB 2.0
  • USB 2.0
  • USB 2.0
4
  • USB 5 Gbps(Type-A)
    ※Ultra USB Power対応
  • USB 5 Gbps(Type-A)
    ※Ultra USB Power対応
  • USB 5 Gbps(Type-A)
    ※Lightning Gaming Ports対応
  • USB 5 Gbps(Type-A)
    ※Lightning Gaming Ports対応
5
  • USB 2.0
  • USB 2.0
  • USB 2.0
  • USB 2.0
6
  • LANポート(2.5G LAN)
  • USB 10 Gbps
  • USB 10 Gbps(Type-C)
7
  • 3.5 mmマイク入力
  • 3.5 mmオーディオ出力
  • S/PDIF

USBポートは全部で14個あります。

内2つがUSB 10 Gbps、4つがUSB 5 Gbps、残り8個がUSB 2.0です。

昨今のマザーボードで流行りのUSB 40 Gbps(Thunderbolt 4)や、DP Alt Modeに対応したType-Cポートは1個もありません。

USBポート1個あたりの性能よりも、USBポートの「総量」に特化したマザーボードです。

紫色の「Ultra USB Powerは、電源ユニットの+12Vレールから電力を引っ張り、マザーボード側のVRMフェーズを経由して+5V電圧に降圧するシステムです。

やかもち
デジタル制御電源(例:Corsair HXiなど)を持っている方は、+12Vと+5Vレールの消費電力を確認してみて。Ultra USB Powerの挙動がかんたんに分かります。

Ultra USB Power標準USB

電源ユニット側のブレ幅をVRMで吸収しているので、そのまま電源から5Vを引っ張るよりも安定した電源供給が可能です。

USBテスターで測定すると、Ultra USB Powerポートは電圧降下が少なく、最大7.5 Wの負荷でも5V台を維持します。電圧の上下の揺れ幅も少なく抑えられています。

一方、標準USBポートはあっさりUSB 5Vの下限値(4.75 V)を割り込んでしまい、7.5 Wの電力を安定して供給できなかったです(※6.9 Wまで下落)

そのほか、Ultra USB Powerにはジッター(Jitter)を抑制するICチップも贅沢に投入されています。

ざっくりまとめると、オーディオインターフェースやUSBタイプのキャプチャーボードなど、安定性を重視する機材を使いたい方に重宝するUSBポートです。

やかもち
ここだけの話、LiveMixerシリーズはUltra USB Powerポートをもっと増やして良い。たった2個と言わず「6個」くらい欲しくない?
CPUソケット※クリックで画像拡大します
  • 給電:8 + 4 pin
  • Foxconn製
    Socket AM5ソケット

CPUに電力を供給するコネクタは「8 + 4」ピンです。最近のASRockマザーボードでは線の太いソリッドピンを使っているため、8ピンだけで1000 W近い給電性能があります。8 + 4ピン合わせて1500 Wに迫ります。

CPUソケットはFoxconn製でした。

  1. 「Realtek ALC1220」:Realtek社の標準オーディオコーデック
  2. ELNA製オーディオゴールドコンデンサ

音質に大きく影響するオーディオコーデックはRealtek ALC1220を搭載。出力を高める専用のオペアンプICは1つも見当たらないです。

オーディオコンデンサはELNA製で、容量はやや小さめです。

LANチップは「RTL8125BG」を採用。従来世代から使われ続けている、実績のあるRealtek製2.5G LANチップです。

Wi-Fiモジュールは「MediaTek RZ717」を採用。最大2.8 Gbps(160 MHz帯)対応のWi-Fi 7モジュールです。

AMD Promontory 21(TSMC 6 nm)

「AMD B850」チップセットはTSMC 6 nmプロセス製の「Promontory 21」を1個だけ実装。

要するに、AMD B650チップセットとまったく同じ内容です。実質的にB850チップセットはB650のリネーム版と説明して問題ないでしょう。

X870Eと比較してチップセットの構成がシンプルなため、アイドル時の消費電力を削減できます。マザーボード単体で平均10 W前後の消費電力(実測値)です。

VRMフェーズの部品と回路設計

VRMヒートシンク※クリックで画像拡大します

重量356 g(89 + 267 g)もの巨大な鍛造アルミニウム製のVRMヒートシンクを搭載。折りたたみ構造や細かいフィンカットを多用して、できる限り放熱面積を広く確保した大きなヒートシンクです。

VRM(MOSFET)から迅速に熱を吸い上げるために、サーマルパッドも貼付け済み。ただし、コストカットのため熱伝導を高めるヒートパイプは搭載されていません。

VRMフェーズの構成※クリックで画像拡大します

ASRock B850 LiveMixerのVRMフェーズは全部で17本です。

VRMフェーズコントローラMOSFET
VcoreCPURichtek RT3678BE最大8 + 2フェーズVishay SiC659(80A)x14
SoC内蔵GPU / メモコンVishay SiC659(80A)x2
VDD_MISCCPU内蔵I/FVishay SiC659(80A)x1

VRMフェーズを制御するPWMコントローラと、各フェーズを担当するMOSFETを表にまとめました。

Richtek製「RT3678BE」で最大8 + 2フェーズに対応します。高効率なDrMOS(最大80 A)をCPU向けに14個、SoC向けに2個、内蔵I/F向けに1個使っています。

つまり、1フェーズにつきMOSFETを2個セットで束ねて、VRMの発熱を抑える設計です。

CPUに対して合計1120 A(80 x 14)もの出力が確保されており、デフォルト設定で最大230 Wが想定されるRyzen 9 9950X(16コア)ですら余裕の出力です。

個体コンデンサはASRock特注品「20Kブラックコンデンサ」を採用。

定格105℃で20000時間、かつ20℃10倍則のコンデンサです。静電容量が従来モデルより約2倍の1000 μFに増加しています。

コンデンサの数を減らしても、従来モデルと同じかそれ以上の容量を確保できるため、部品点数を抑えて故障率を下げる狙いです。

BIOS(UEFI)画面の使い方を解説

ASRock B850 LiveMixerのBIOS(UEFI)画面について、ざっくりと使い方を解説します。

なお、基本的にBIOSを少し触った程度でPCパーツはほとんど壊れませんが、苦手意識がある人は無理にBIOSを触らなくていいです。

SOC電圧を入れすぎてAMD Ryzen 7000(9000)をうっかり焼損させてしまった事例が見つかるくらいですし、慣れてないなら本当に触らないほうが安全です。

BIOS(UEFI)いじりは自己責任でお願いします。では項目ごとに解説を折り畳んだので、興味ある部分だけ読んでみてください。

パソコンを起動してすぐにF2またはDeleteキーを連打して、BIOS画面を開きます。

「English」タブをクリックすると、BIOS画面の表示言語を変更できます。

独自の固有名詞を除き、ほとんどのキーワードが違和感なく日本語化されました。

ただし、個人的に英語のまま使った方が良いです。マザーボードの設定に関する情報は日本語圏にほとんど無く、英語圏で探す場合が多いです。

わざわざ翻訳してられないので、英語表記のまま海外の情報を参考にすると捗ります。

「OCツール」タブは、CPUの手動オーバークロックや、メモリのオーバークロック設定がまとまったエリアです。

もっぱらメモリのオーバークロックに使います。

「アドバンスド」タブは、各デバイスの細かい設定ができます。

オンボードLANの無効化、PCIeスロットの規格変更(Gen5 → Gen4など)、AMD PBO機能の細かい設定などがまとまったエリアです。

もっぱらAMD PBO(CPUの自動オーバークロック)の設定に使います。

「ツール」タブはちょっとした便利ツールです。

NVMe SSDを出荷状態に初期化する「Secure Erase」や、USBメモリからBIOSをアップデートする「Instant Flash」があります。

「H/Wモニター」は各デバイスの温度や動作状況を確認したり、CPUクーラーやケースファンのファンコントロール(回転数)を設定できます。

「セキュリティ」タブはそのままセキュリティに関する設定です。

Secure Bootの有効化や無効化を切り替えられます。

「起動」タブはブートに関する設定です。

ブートドライブの指定、起動時のロゴ表示、Fast Boot(高速起動)などの設定ができます。

「退出」タブはBIOSの変更を保存するか、しないか、または初期化するかを選ぶエリアです。

あちこち変更しすぎて状況が分からないときは、保存せず再起動でやり直してください。

「H/Wモニター」タブを開いて、下の方へスクロールします。

ファン回転数の設定がズラッと登場。

CPUファンの回転数を変更してみましょう。

サイレントモードからカスタマイズモードに変更します。

カスタマイズモードに変更すると、ファンカーブを任意の数値に書き換えられます。

動作音を静かにしたいなら「温度4のファン速度:50」など、最大値を低く設定するだけです。

もちろん、低くするほどCPUの冷却性能が落ちてしまい、サーマルスロットリング(CPUの温度制限)に引っかかる可能性が高くなります。

ファンカーブを視覚的に設定したい場合は、一番下までスクロールして「Fan-tasticチューニング」を開きます。

視覚的にファンカーブを調整できます。

マウスでポイントをクリックして、自由自在に好みのファンカーブに書き換え可能です。

AMD Ryzenの自動オーバークロック機能PBO(Precision Boost Overdrive)」を有効化します。

「アドバンスド」タブからAMD Overclokingを開きます。

警告文が表示されます。リスクを承知でPBOに挑むなら「Accept」、定格で安心安全運用なら「Decline」でお戻りください。

Acceptで詳細な設定画面が開きます。Precision Boost Overdriveをクリック。

Autoモードだと何も表示されません。

Advancedモードに変更。

設定項目が増えます。PBO Limitsを「Motherboard」に変更します。

Precision Boost Overdrive Scaler Ctrlを「Manual」に変更。

「7X」~「10X」を選択します。

CPU Boost Clock Overrideを「Enabled(Positive)」に変更します。

Max CPU Boost Clock Override(+)を「100」か「200」にセット。

冷却性能に余裕があれば、ブーストクロックを入力した数値分、自動的に引き上げる設定です。「200」なら最大クロックが+200 MHz(+0.2 GHz)です。

Platform Thermal Throttle Ctrlは、熱保護(サーマルスロットリング)のトリガー温度を変更できます。

AMD Ryzen 7000(9000)はデフォルトで95℃、X3Dモデルは89℃に設定されています。

動作クロックごとに細かく電圧や温度を制御したいマニアな方は、「Curve Optimizer」と「Curve Shaper」を使って最適化します。

Curve OptimizerとCurve Shaperをうまく使えば、同じ性能を維持したままCPU温度(コア電圧)を下げられる可能性があります。

AMD PBO(Curve OptimizerとCurve Shaper)の電圧グラフ

いわゆる「低電圧化(Undervolting)」と呼ばれるテクニックです。

AMD Ryzen 9000(Zen5)シリーズから提供されるCurve Shaperは、Curve Optimizerよりも強力な効果がありそうです。

2つの最適化機能を組み合わせて、安定性を改善した柔軟な低電圧化プロファイルを作成できる可能性を感じます。

たとえばCurve Optimizer:ネガティブだと全クロックに対して一律に電圧が下がりすぎて動作が不安定なとき、Curve Shaperポイントを追加して高クロック時の電圧を少しプラスに補正するなど。

今まで以上に細やかな電圧制御が可能です。もちろん、2つの設定を組み合わせるために複雑性も増しており、他人の設定をそのままコピペしても上手く動くかどうか不確実性も増えています。

PBOの設定を終えたら、「退出」タブを開きます。

設定変更内容を保存して再起動です。

AMD Ryzen 7000(AMD Ryzen 9000)シリーズで、OCプロファイル(XMP / EXPO)対応のメモリを使ってメモリオーバークロックを設定する方法を紹介します。

「OCツール」から、DRAM Profile Configurationを開きます。

DRAM Profile Settingをクリックします。

収録されている「XMPプロファイル」または「EXPOプロファイル」を選んで完了です。

メモリ側に収録されている各パラメータが自動的に設定されます。

DRAM電圧もすべて自動で入力済みです。

細かいタイミング設定も自動で事細かく入力済みです。

設定変更内容を保存して再起動します。

メモリトレーニングが始まり、トレーニングが終わって問題なく動きそうならシステムが正常に立ち上がるはずです。

トレーニングにかかる時間は数十秒から数分ほど。容量48 GBの場合だと1分くらいで再起動が完了しました。メモリの容量が多いほど、トレーニングにかかる時間は伸びますので、のんびりと待ちましょう。

AMD Ryzen 7000(AMD Ryzen 9000)シリーズのメモリオーバークロックを軽く紹介します。

「OCツール」から、DRAM周波数(MCLK)を変更します。

DRAM周波数がズラッと一覧で表示されます。

お試しで、B850 LiveMixerがメーカー公称値に挙げている「DDR5-8000」に設定。

実効性能を落とさないために、Infinity Fabric Frequency(FCLK)を2000 MHzに設定。

AMD Ryzen 9000の場合は2200 MHzまで引き上げられるそうですが、基本的に2000 MHzで十分です。

DRAM VDD Voltageを1.30 ~ 1.35 Vに変更します。

UCLK DIVI MODEを確認します。

  • UCLK = MEMCLK(1:1同期モード)
  • UCLK = MEMCLK/2(1:2同期モード)

つまり、メモリクロックとアンコアクロック(CPU内蔵メモリコントローラの周波数)を揃えるかどうかです。

DDR5-5600なら、メモリクロックは2800 MHz(5600 / 2)で、アンコアクロックも2800 MHzに設定すれば無事1:1同期モードとなります。

DDR5-8000なら、メモリクロックは4100 MHz(8000 / 2)で、アンコアクロックも4100 MHzに設定すれば無事1:1同期モードです。

しかし、アンコアクロックを3000 MHz以上にすると安定動作の難易度が大幅に跳ね上がり、CPUの焼損リスクを高めるSoC電圧を盛る必要も出てきます。

2024年時点、AMD Ryzen 7000(9000)のメモリオーバークロックでは、DDR5-6000まで1:1同期モードを。DDR5-6200以上から1:2同期モードを使うと成功率が高いでしょう。

今回はDDR5-8000なのでMEMCLK/2(1:2同期モード)を選択します。

AMD Ryzen 9000(Zen5)シリーズはDDR5-6400程度まで1:1同期モードが動くらしいですが、AMD Ryzen 7000(Zen4)シリーズはDDR5-6000程度までです。Zen5とZen4では、内蔵メモリコントローラの性能が違います。

DRAMタイミング設定から、メモリのCL(レイテンシ)を任意に調整できます。

入力する数値は、オーバークロックメモリの仕様表を参考にするとラクです。

たとえば、G.SkillのOCメモリならメーカー仕様表からそのまま「40-48-48-96」をコピペします。

比較的ゆるい設定です。同じG.Skillでも製品によって「32-38-38-96」など、タイトな設定もあります。

タイトな設定になるほど成功率が下がるので、とりあえずCL40前後のメモリを参考にするといいでしょう。

メモリの設定を終えたら、「退出」タブから設定変更内容を保存して再起動です。

およそ1分ほど真っ暗な画面がつづき、メモリトレーニングがうまく通ったらWindowsが起動するはずです。

AINEX / 自作PCの動作検証に便利なセット / 型番:KM-01

いつまで経っても起動しないときは、電源ユニットからコンセントを引っこ抜き、マザーボード上のCMOSクリアピン(CLRCMOSヘッダ)に電源スイッチを取り付けて10秒以上長押しします。

コンセントをもとに戻して再び起動してから、メモリの設定をゆるめに変更します。

初心者もち
メモリの手動オーバークロックは面倒くさいんだね。やめとこ。
やかもち
正解です。DDR5-5600(定格クロック)の1:1同期モードで十分です。
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ASRock B850 LiveMixerの性能を検証

ベンチマーク環境について

AMD / コア : 16 / スレッド : 32 / ソケット : Socket AM5 / チップセット : AMD 600~800 / 付属クーラー : なし
テスト環境
CPUAMD Ryzen 9 9950X16コア32スレッド
CPUクーラーNZXT Kraken 280 (2023)280 mm簡易水冷ユニット
マザーボードASRock B850 LiveMixer
検証時のBIOSは「1.00」
メモリDDR5-8000 24 GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z5 RGB」
グラフィックボードRTX 4090 24 GB
SSDNVMe SSD 1 TB
電源ユニット850 W(80+ Platnium)使用モデル「Corsair HX850i」
OSWindows 11 Pro検証時のバージョンは「24H2」
ドライバNVIDIA 551.86
ディスプレイ3840 x 2160@160 Hz使用モデル「P32A6V-PRO」

以上のテストスペックにて、ASRock B850 LiveMixerの性能を検証します。CPUは「Ryzen 9 9950X(16コア)」を使います。

電力設定はマザーボードのデフォルト設定を使用します。PPT:200 Wで、CPU本体が約160 W前後で動作します。

メモリの設定も特に記載がなければ、デフォルト設定(JEDEC準拠の定格DDR5-5600 / 1:1同期モード)です。

M.2スロットとUSBポートの性能

ASRock B850 LiveMixerのM.2スロットとUSBポートの実効速度をテストします。

I/Oインターフェイスの実効速度※画像はクリックで拡大します
M.2スロット(Gen5)検証SSDは「Crucial T700 1TB
USB 10 Gbps(Type-C)検証SSDは「SK Platinum P41

CPUに直結しているM.2_1スロット(最大PCIe 5.0 x4)を「Crucial T700(1 TB)」でテストした結果、最大で11600 MB/s前後の性能を出せています。問題なくGen5対応M.2スロットです。

リアパネル(背面ポート)にあるUSB 10 Gbps(Type-C)ポートは、「SK Hynix Platinum P41(NVMe)」で約1020 MB/s前後まで伸び、おおむね規格通りの性能です。

有線LANとWi-Fiの性能

テスト結果有線LANWi-Fi
テスト結果※クリックで拡大
搭載チップRealtek RTL8125BGMediaTek RZ717
PING(遅延)11.57 ミリ秒13.28 ミリ秒
ダウンロード速度2375 Mbps1349 Mbps
アップロード速度2372 Mbps1238 Mbps
理論値リンクアップ速度2500 Mbps2882 Mbps6 GHz(160 MHz)

安定して下りで8000 Mbps、上りで3000 Mbps程度を出せる光回線「eo光10G(レビュー)」を使って、オンボードLANの通信速度をベンチマークしました。

有線LANポート(RTL8125BG)でほぼ理論値に近い2380 Mbps前後を、Wi-Fi 7(RZ717)で理論値の50%近い1350 Mbps前後まで確認できます。

Wi-Fi 7はもっと速いイメージがありますが、B850 LiveMixerに入っている「RZ717」は160 MHz対応です。320 MHz対応モジュールだったら2000 Mbps超を狙えます。

Wi-Fiルーターとの距離や遮蔽物の有無、契約している光回線の性能によって、実際に出せるスループットは大きく変動します。掲載した数値はあくまでも参考程度に。
【解説】「Wi-Fi 7」検証用のルーターについて
ELECOM / 6 GHz帯:最大5765 Mbps / 5 GHz帯:最大2882 Mbps / 2.4 GHz帯:最大688 Mbps / LAN:10G x1 + 2.5G x3

2万円台から買える日本メーカー製Wi-Fi-ルーター「WRC-BE94XS-B」を使っています。10G WANポート搭載で10G光回線をフルに利用でき、無線は6 GHz帯で最大5765 Mbpsのスループット(転送速度)に対応します。

次はLAN内の通信速度を実測ベンチマークします。

最大700 MB/s(5600 Mbps)ほどの速度を出せる「SSD NAS」とテスト対象のオンボードLANを、Mikrotik製の10G対応スイッチングハブでつないで通信速度を検証します。

「RTL8125BG(2.5G LAN)」の性能は、ダウンロード(下り)が平均267 MB/s、アップロード(上り)が平均281 MB/sです。

「MediaTek RZ717(Wi-Fi 7)」では、ダウンロード(下り)が平均164 MB/s、アップロード(上り)が平均82 MB/sです。

有線LANポートの通信速度を他のマザーボードと比較しました。

ASRock B850 LiveMixerは問題なく理論値近くで頭打ちになり、他社の2.5G LANとおおむね横並びです。

オンボードオーディオの音質

テスト結果DACの音質ヘッドホンなどADCの音質マイクなど
測定グラフ※クリックで拡大
測定グラフ※クリックで拡大
周波数特性Frequency response+0.01, -0.01+0.05, -0.87
SN比Noise level-99.5 dB-67.5 dB
ダイナミックレンジDynamic range102.3 dB68.0 dB
全高調波歪率(THD)THD Noise0.129%3.900%
相互変調歪率(IMD)Intermodulation distortion0.314%11.000%
評価★5.0 / 5.0★3.3 / 5.0
RME / 業務用オーディオインターフェース / DAC側:-115 dB / ADC側:-117 dB / 備考:オンボードオーディオを測定するなら十分な性能

音質特性を評価するソフトウェア「RMAA(version 6.4.5)」と業務用のオーディオインターフェース「RME ADI-2 Pro」を用いて、オンボードオーディオの音質特性をテストします。

  • 使用ソフト:RMAA(version 6.4.5)
  • 測定機材:RME ADI-2 Pro(AK4493版)
  • サンプリングモード:24-bit / 192 kHz
テスト対象出力入力
DAC(出力性能)デジタル → アナログ変換テスト対象のヘッドホン端子(3.5 mm)RME ADI-2 Proアナログ入力(XLR in)
ADC(入力性能)アナログ → デジタル変換RME ADI-2 Proヘッドホン端子(TRS out)テスト対象のマイク端子(3.5 mm)

RME ADI-2 Proの出力が最大 -115 ~ -113 dB程度まで、入力側で最大 -117 dBまで測定可能です。マザーボードの内蔵オーディオでRME ADI-2 Proを超えるのは極めて困難と考えているので、(理論上)これ1台でほぼすべてのマザーボードを測定できます。

なお、RMAAを使って得られたデータと実際の主観的な音質が相関するかと言われると・・・やや懐疑的です。高音質を評価するための手段ではなく、破綻していて最低限のラインに達してすらいないかどうかをチェックする基準と考えたほうがしっくり来ます。

ASRock B850 LiveMixerのオンボードオーディオ「Realtek ALC 1220」の音質特性は文句なしです。

ほぼ完全にフラットな周波数特性と、非常に低く抑えられたTHDとIMDノイズを実現しています。SN比とダイナミックレンジは100 dB前後に達し、実用上十分な数値です。

マイク入力はやや特性が悪めですが、他のALC 4082やALC 1220モデルと同じです。ALC 897(Z890 Pro RS)の方がマイク入力は良好な数値を出せています。

Sennheiser(ゼンハイザー) / 開放型ヘッドホン / 周波数特性:10~41000Hz / インピーダンス:300Ω / 重量:260 g

非常に鳴らしにくい定評があるSennheiser HD650で聴いてみた。

オペアンプが省略された内蔵オーディオですが、ふつうに十分な音量を取り出せます。大きな音量でもビビリ音やノイズが聞こえません。

低音域もそこそこ鳴っているし、解像度もそれなりに高くクリアな音質。音質にこだわりがない一般人なら、そのまま使っていける音質です。

やかもち
「ALC 1220」は、ALC 4082からUSBオーディオ機能を省略したモデルです。だから基本的に「音質」そのものに変わりないです。

CPU性能に問題ないかベンチマーク

CPUベンチマークスコア
Cinebench R23
マルチスレッド
41393 cb
Cinebench R23
シングルスレッド
2230 cb
Cinebench R15
マルチスレッド
6422 cb
Cinebench R15
シングルスレッド
349 cb
Handbrake
動画エンコード(H.264 1080p)
202.1 fps
Handbrake
動画エンコード(MKV 1080p)
44.4 fps
y-cruncher 0.8.5
円周率の計算(25億桁)
48.65 s

マザーボード側の設定をそのまま変えず、デフォルト設定でRyzen 9 9950Xの動作状況をチェック。

シングルスレッド性能とマルチスレッド性能、どちらも問題なく定格どおりの性能を引き出せています。

オーバークロックメモリの動作検証

G.Skill / 種類 : デスクトップ用 / 容量 : 24 GB / 枚数 : 2枚 / 規格 : DDR5-8000 (CL40) / 保証 : 限定ライフタイム

DDR5-8000(CL40)対応のオーバークロックメモリを使って、マザーボードのメモリ互換性を検証します。

JEDEC準拠のDDR5-5600(定格クロック)は、メモリクロック(MCLK)とアンコアクロック(UCLK)の1:2同期モードで安定性テストをパスします。

Karhu RAM Testでカバー率1000%の安定性です。メモリの実効スループット(読み込み帯域幅)は約61.4 GB/sを記録します。

B850 LiveMixerが製品ページでアピールする「メモリクロック:8000+(OC)」を、DDR5-8000(XMP設定)でテストします。

すんなりと起動こそするものの、RAM Testをクリアできないです。メモリの実効スループット(読み込み帯域幅)は約79.9 GB/sを記録します。

OC設定JEDECXMP
DRAMDDR5-5600DDR5-8000
MCLK5600 MHz8000 MHz
UCLK1400 MHz2000 MHz
FCLK2000 MHz2000 MHz
VDDIO_Mem1.10 V1.40 V
Boot正常に起動正常に起動
AIDA64
読み込み速度
61.4 GB/s79.9 GB/s
AIDA64
書き込み速度
65.6 GB/s83.1 GB/s
AIDA64
コピー速度
58.9 GB/s72.9 GB/s
AIDA64
レイテンシ
107.9 ns82.2 ns
RAM Test
  • > 1000%
  • 50%

MCLK:メモリクロック / UCLK:アンコアクロック / FCLK:内蔵IF「Infinity Fabric」の動作クロック / VDDIO_Mem:メモリ電圧 / AIDA64:メモリ帯域幅ベンチマーク(AIDA64 Benchmark)/ RAM Test:メモリ安定性ベンチマーク(Karhu RAM Test)

参考までに、DDR5-6000~6400を1:1同期モードで動かせるか検証したものの、Windowsの起動と帯域幅ベンチマーク(SiSoft)がやっとです。

Karhu RAM Testを始めると7%でエラーが出てWindowsの挙動がおかしくなり、その後BSOD(ブルースクリーン)で勝手に再起動します。

AMDいわく、DDR5-6000以上(= DDR5-6000を含む)は1:2同期モードがいわゆる定格とのこと。DDR5-6000から1:1同期モードで動くかどうかはCPUの個体差に依存する可能性がありそうです。

VRMフェーズの温度テスト

  • #1:VRMフェーズ回路(上部)
  • #2:VRMフェーズ回路(右側)
  • #3:VRMフェーズ回路(右側)
  • #4:気温

4チャンネル温度ロガーと、オメガエンジニアリング製のK熱電対センサー(接着タイプ)を組み合わせて、マザーボードのVRMフェーズ温度を実測します。

VRM温度テストに使うベンチマークソフトは「Cinebench R23(30分モード)」です。30分にわたって安定してCPU使用率が100%に張り付き、ストレステストに使いやすいので温度テストに採用してます。

Ryzen 9 9950Xをデフォルト設定(PPT:230 W)で動かして、VRMフェーズ回路にがっつり負荷をかけた温度グラフです。

VRMフェーズ温度平均ピーク値
上部VRM温度(#1)53.0℃54.3℃
上部VRM温度(#2)55.4℃56.7℃
側面VRM温度(#3)55.4℃56.9℃
周辺気温(#4)23.3℃23.7℃

テスト時の消費電力が平均220 Wです。合計1120 A(80 x 14)の出力を持つB850 LiveMixerにとって、220 W程度の負荷なんて余裕です。

30分経過しても50℃半ばに抑えられています。

当然ながら、30分間の連続負荷時の性能変化(= VRMサーマルスロットリング)も特に見られなかったです。

VRM周辺の表面温度をサーモグラフィーカメラでチェック。

個体コンデンサ周辺の温度が63℃前後に抑えられ、「20Kブラックコンデンサ」なら約250万時間もの期待寿命と計算できます(※日本ケミコンいわく:推定寿命の上限値は15万時間に注意)

個体コンデンサが原因でマザーボードが故障する確率はかなり低いでしょう。エアフローが劣悪な環境になりやすい、簡易水冷CPUクーラーを安心して使えます。

M.2ヒートシンクの冷却性能

平均8.5 Wくらいで安定して発熱する「Samsung 970 PRO」に対して、5分間の連続書き込みテストを行い、マザーボード付属M.2ヒートシンクの冷却性能を検証します。

  • ヒートシンクなし:95℃(ピーク温度)
  • ヒートシンクあり:57℃(ピーク温度)

結果、ヒートシンクの有無で最大38℃の温度差を叩き出し、エアフローをまったく与えていない環境でも驚異的な冷却性能です。

ヒートシンクの表面温度は、サーモグラフィーカメラで38℃前後(Δ14℃)でした。ヒートシンク全体に熱がまんべんなく広がり、効率よく熱を放出しています。

サーモグラフィー画像に写っていませんが、SSD基板の裏側にもサーマルパッドが敷いてあり、マザーボード側に熱を逃がしてPCB基板全体で放熱を促す構造です。

メーカーの資料から分かりやすい画像を引用します。SSDの表と裏から「サンドイッチ構造」で挟んで高い冷却性能を発揮します。

やかもち
別売りのM.2ヒートシンクは不要です。ケースファンで風を当てる前提ならGen5世代も問題ないでしょう。

マザーボードの消費電力

ASRock B850 LiveMixerの消費電力を測定しました。

アイドル時(何もしていない)で平均9.9 Wほど、CPUに約220 Wの負荷をかけると約2.7 W増えて平均12.7 Wです。

DDR5メモリ(+5V)とNVMe SSD(+3.3V)の消費電力を差し引いた数値です。

参考程度に、他のマザーボードと比較したグラフです。

実装面積が小さいMini-ITXがトップで、複数のチップセットを組み合わせるAMD X870Eマザーボードがワースト記録です。

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ASRock B850 LiveMixer:レビューまとめ

「ASRock B850 LiveMixer」の微妙なとこ

  • メモリ設定変更後の起動がやや遅い
  • M.2とPCIeスロットに排他仕様あり
  • 内蔵オーディオの入力特性が低い
  • SATAポートはたった2個
  • Wi-Fi 7(160 MHzまで)
  • PCIeスロットの数が少ない
  • USB PDやUSB 40 Gbps無し
  • TB4ヘッダーが削除された(従来比)

「ASRock B850 LiveMixer」の良いところ

  • Ryzen 9(230 W)も余裕なVRM
  • M.2スロットが全部で3本
  • よく冷えるM.2ヒートシンク
  • 十分なメモリOC耐性
    (DDR5-8000まで確認)
  • Realtek 2.5G LAN
  • Wi-Fi 7(BT 5.4)対応
  • 高音質な内蔵オーディオ
  • 大量のUSBポート(全23個)
  • USB機材が安定する
    「Ultra USB Power」ポート
  • カスタム温度センサーに対応
  • 便利なツールレスギミック搭載
  • BIOSフラッシュバック対応
  • 扱いやすいUEFI画面
  • ドライバの自動インストールが便利
  • マザーボードの消費電力が低い
  • 充実の保証内容(2年+ピン折れ6ヶ月)

ASRock B850 LiveMixerは「USBを大量に使う用途」に適したマザーボードです。

極めて安定性の高いUSB 5V電圧を供給する「Ultra USB Power」ポートも搭載し、オーディオインターフェイスやポータブルDACの安定動作に貢献します。

USBポート以外の拡張性もそこそこ充実の内容です。キャプチャーボードの取り付けに使うPCIe x4スロットが、一番下に2本並んで密集して配置されています。

基本的な装備も抜かりなし。標準動作(最大230 W)のRyzen 9 9950Xですら余裕でフル稼働できる、出力1000 A超の強力なVRMフェーズを備え、標準M.2ヒートシンクの冷却性能も抜群です。

ただし、コストカットを感じる部分も多々あります。Wi-Fi 7は160 MHzのみ対応で、もっと高速な320 MHzに非対応でした。従来モデルで実装されていた「Thunderbolt 4」ヘッダーも削除済みです。

大量の機材を使う可能性がある配信者に特化したマザーボードなら、TB4ヘッダーを削除する意味が理解できないです。

ASRock / チップセット : AMD B850 / フォーム : ATX / ソケット : Socket AM5 / フェーズ数 : 17 (DrMOS) / M.2 : 3スロット / LAN : 2.5 GbE
価格と保証
保証2年(ピン折れ保証6ヶ月)
参考価格
(2025年1月時点)

以上「ASRock B850 LiveMixer レビュー:USBポート「23個」配信者向けマザーボード」でした。

やかもち
個人的な欲を言えば、Lightning Gaming Ports(2個)を削除して、USB 5V電圧の安定性が桁違いに高い「Ultra USB Power」に置き換えてほしいかな。

自作PCのおすすめプラン解説【予算別】

AMD Ryzenで自作PC【組み立てガイド】

マザーボードのレビュー記事まとめ

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2 件のコメント

  • サウンドチップ、最近は内部的にUSB接続が増えてきたな。
    古典的なHDAudioタイプと違って、ほかのUSB2.0機器と共用のバスになるから、その辺の安定性はどうなんだろう

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