ゲーミングノートパソコンという非常に高価なパソコンがある。ふと思うことはゲームをするために、わざわざノートパソコンを選ぶ必要はあるのか。
どちらを選んだほうが「お得」なのか考えるべく、デスクトップPCとノートPCの強みや弱みを交互に挙げて確認してみよう。
デスクトップ VS ラップトップ
机の上に鎮座する「デスクトップ」(DeskTop)と、膝の上を占領する「ラップトップ」(LapTop)。最初にちょっとどうでもいい話をすると、ぼくとしてはラップトップという言い方が主流になって欲しい。ノートPCという字面がダサいからだ。
というわけで、10個くらいの項目でデスクトップとノートパソコンの強み(メリット)と弱み(デメリット)を比較していきます。結論が出ている人もいると思うが、一応詳しく見ていくよ。
1. CPUの性能
ノートパソコンの場合、筐体の大きさがデスクトップを比較すると遥かに小さいし薄い。空間が極めて限られているため、ノートPC向けCPUは発熱を抑えた低電圧モデルが主流になっています。
そして低電圧モデルの多くはデスクトップ向けCPUと比較して、遥かに性能が悪い。ゲームを動かそうとしても高確率でグラフィックボードの足を引っ張るため、効率が良くなかった。
そこでインテルはゲーミングノートパソコン向けに「HK」「HQ」という、ハイエンド仕様のCPUを投入した。
Cinebench R15 – シングルスレッド性能
Cinebench R15 – マルチスレッド性能
同じCore i7でも低電圧モデルだと250点程度だったスコアが、ハイエンド仕様の7700HQではその3倍近い740点程度まで性能が上昇。デスクトップ向けのCore i7は1000点台だ。
そして2017年後半になってインテルはCoffee Lakeという過去の伝統を色々と打ち破る第8世代を投入。モバイル向けCPUのコア数が2倍に倍増されるなど、既存のCPUを遥かに超える性能を実現しています。
Cinebench R15 – マルチスレッド性能
「U」は一応は低電圧モデルだが、コア数を2倍にしたことで大幅に性能が伸びていますね。今後は6コア搭載の「i7 8750H」や「i9 8950HK」が登場する予定だ。
- CPU性能それ自体は、確実にデスクトップCPUとの差を埋めてきた
これが2017年現在の結論です。性能は確実に上がっており、デスクトップCPUと比較しても遜色ない処理性能になってきた。
2. グラフィックボードの性能
ゲームをするなら一番重視しなくてはならない「グラフィックボード」。今まではモバイル向けの専用GPU、たとえばGTX 950なら「GTX 950M」という具合にデスクトップとは違うモバイル版が使われてきました。
しかし、これも2017年に入ってから大きく変化した。例えばGTX 1060 6GBの場合、今までなら「GTX 1060M」という具合にモバイル版が作られるのかと思いきや、そのままの状態でノートPCに搭載されています。
デスクトップ向けGPUをノートパソコンに詰め込んだ製品が大幅に増えてきて、性能差も以前より大幅に縮まった。結果としてゲーミングノートパソコンの性能は大幅に向上したと言っていい。
PlayerUnknown’s BattleGournd – ウルトラ設定(1920×1080)
今、人気のPUBGで比較するとこんな感じ。使われているGPU本体はほぼ同じですが、実際のパフォーマンスはやはりデスクトップ版に大きく離されてしまいました。なぜこれだけ差がでるのか。
- 筐体が狭いので熱がこもりやすい
- CPUも熱の問題で、性能が出づらい
- ボトルネック & サーマルスロットリングで性能低下
上手く冷やせないと本来の性能を出せないのがPCパーツだ。例えば、GTX 1060の性能をもっとも引き出せるグラフィックボードは以下のような形状をしている。
重量は軽く1kgを超えているし、厚みも5cm以上あります。そしてGPUを冷やすために大きな空冷ファンが2つも取り付けられている。ここまでしないとベストパフォーマンスを出せないのに、ノートPCに詰め込んで同じことが出来るか?
…無理なわけです。
- 理論上は同じ性能を出せるはず
- グラボを詰めるにはノートPCは狭すぎる
- 熱処理が上手く行かず、本来の性能は出ない
これが2017年現在の結論です。性能は確実に上昇していますが、より小さく、少ない消費電力で動くGPUが必要だ。
3. コストの比較
ここまで、ノートパソコンの性能は確実に向上している。という内容だったが…そういえばコストはどうなっているのか。結局のところ、性能が上がっても価格も同時に上がってしまったら意味がありませんから。
PC | GALLERIA XF | GAMEMASTER NX |
---|---|---|
CPU | Core i7 7700 | Core i7 7700HQ |
GPU | GTX 1070 8GB | GTX 1070 8GB |
メモリ | 16GB | 16GB |
SSD | 250GB | 250GB |
HDD | 1TB | 1TB |
保証 | 1年 | 1年 |
価格 | 177980 | 249980 |
ほぼ同じスペックのデスクトップとノートパソコンを比較するとこの通り。価格差が半端ないことになっていますね。GAMEMASTER NXはモニターにG-SYNCが搭載されているから、その分で差が開いている可能性はある。
PC | GALLERIA XT | GKF1060GF |
---|---|---|
CPU | Core i7 7700 | Core i7 7700HQ |
GPU | GTX 1060 6GB | GTX 1060 6GB |
メモリ | 8GB | 8GB |
SSD | 250GB | 250GB |
HDD | 2TB | 1TB |
保証 | 1年 | 1年 |
価格 | 147980 | 169980 |
もっと一般的なモデルで比較すると…思ったより差額が狭くなりました。同じ性能(実際には劣る)で2万円も差があるじゃないか…と感じてしまうが、ノートパソコンにはキーボードとディスプレイが付属しています。
- フルHDのディスプレイ(安物):1.1~1.3万
- キーボード(安物):3000~5000円
この分を考慮すると差額はもっと狭まって、2000~5000円くらいの差額に。こう考えるとかなり進化したんだな、と感じます。よくゲーミングノートはコスパが悪いと言われていたが、ちゃんと比較すると言われているより酷くない。
PC | GALLERIA MH | GKF1050TGF |
---|---|---|
CPU | Core i7 7700 | Core i7 7700HQ |
GPU | GTX 1050 Ti | GTX 1050 Ti |
メモリ | 8GB | 8GB |
SSD | 250GB | 250GB |
HDD | 1TB | – |
保証 | 1年 | 1年 |
価格 | 119980 | 132980 |
ディスプレイ | 12000 | – |
キーボード | 3000 | – |
合計 | 134980 | 132980 |
更に低スペックなモデルで比較します。やはり、キーボードとディスプレイの分を考慮すれば、同スペック品で同価格は実現されているようだ。今までちゃんと調べてなかったので、自分でもかなり驚いている。
- コスパは一見「悪く」見えるが、実際にはほぼ同じ
- ただ、熱問題で最大3~4割も性能面で劣ることがある
- よってコスパは完全に同じとはいえない
これが結論になります。一応、同スペック品で同価格は実現されています。この点は驚くべきところだが、性能を「平均」で見るとデスクトップ版には負けてしまいます。
というわけで「ゲーミングノートパソコンはコストパフォーマンスが悪い。」と言ってしまって良いかと。ちゃんと100%同じ性能が出るなら「コスパは同じ。」と評価を下せるけどね。
4. 携帯性、省スペース性
「携帯性」はノートパソコンの存在理由。デスクトップはたとえ背負っても、外で遊ぶのには絶対に向かないがゲーミングノートパソコンは重たいとはいえ「可能」だ。
そして、同スペックで性能が劣ると分かっていてもノートパソコンを選ぶ人の多くは、この携帯性と省スペース性に非常に魅力を感じているから。
しかし…ぼくにはこの携帯性というメリットのために割高なコストを払おうという気持ちに全くなれないため、参考になるレビューを読み漁って「魅力」を集めてみました。
- 出張先でFF14などのオンラインゲームをしたい
- 旅行先、ホテルの一室で優雅にゲームをしたい
- 友達で集まってゲームをする時に便利
- 飛行機やバスで長い移動をしている時にゲームをする
ザーッと見た限りでは、このあたりがゲーミングノートを選ぶ大きな理由のようでした。思っている以上に、自宅以外の場所でゲームをしたいという需要はあるんですね。
5. セットアップの容易さ
ノートパソコンの場合…
- 梱包から出す
- 電源ボタンを押す
これだけで最初の起動にたどり着けます。充電されていない場合は電源ケーブルで、ノートPCとコンセントをつなぐだけ。セットアップは非常に簡単だ。
デスクトップの場合…
- (デスクがない場合は、PCデスクを買っておく)
- 梱包から出す
- 置く場所を決めて設置する(机の上か、床上か、右か左か、などなど)
- ディスプレイやキーボード、マウスを出す
- これも置く場所を決めて設置
- 各種ケーブルをPCのリアパネルに接続する
- 電源ケーブルをPCと接続する
- 電源ボタンを押す
慣れている人からすれば、どうってことはない。しかし、面倒くさい人にとってはノートパソコンのセットアップの容易さはとても魅力的かもしれない。
6. キーボード
ゲーム用途の人にとって、キーボードはかなり重要な問題になる。以前にドスパラのゲーミングノートPCを2台(GKF1060GF / GAMEMASTER NX)、実際に遊んでみたことがあるが。やはりキーボードが使いづらい。
ノートパソコンは筐体が小さいため、キーボードの横幅が狭くなってしまう。そのためキーが削られたり、Enterキーが小型化したりするのだが、慣れるまではこれが非常に不便に感じます。
そしてキー入力が忙しいゲームになると指の疲れやすさも気になる部分だ。デスクトップなら自分の好みに合ったキーボードを使えるので、キーボードに関してはデスクトップの方が明らかに有利だろう。
7. ディスプレイ / モニター
自由に選べるという点で、デスクトップが有利なように感じますが。ノートパソコンも、他のディスプレイに端子を接続することで好きなモニターを選べることに変わりはない。マルチディスプレイ環境だって構築可能だ。
最近のゲーミングノートは、FreeSync / G-SYNCに対応していたり、120Hz以上の高リフレッシュレートで動作するディスプレイが搭載されている製品も少なくない。よってディスプレイの自由度にほとんど差はないと思います。
- 家で使うときは24インチのモニターにつなぐ
- 外出時は14インチのディスプレイで持ち運びに有利に
状況によって使い分ければいい話です。
8. アップグレードや増設
ノートパソコン最大のデメリットが拡張性の弱さ。例えばPUBGをするつもりで買ったパソコンが思ったよりもフレームレートが出ない…という場合。
デスクトップPCならグラフィックボードを用意して、交換したり増設することで性能アップを狙えるが。ノートパソコンの場合はグラフィックボードを別のものに取り換えることは、ほぼ不可能。
- メモリー
- SSD
- HDD
大抵のノートパソコンは上記3点のパーツを交換したり、増設するくらいが限界。性能そのものに大きく関わるCPUやグラボはいっさい変更が効かない。間違った場合のリスクはデスクトップよりずっと大きいということだ。
9. 修理やメンテナンス性
個人的にはここも厄介な部分。例えば、デスクトップPCが突然起動しなくなったとします。ぼくは自作PCの知識があるので、PCケースを開けてどのパーツが原因なのか。放電で済む話なのか、などなどいろいろと原因を切り分けて問題を解決できます。
それがノートパソコンになると一気に難易度は跳ね上がる。しかもMacBookやSurface Laptopのようなブランド物になると、分解すること自体がかなり難しい。たとえ開けることができても、原因の特定をするのはほぼ無理。
せいぜいメモリーかストレージを外して検証ができるくらいだからね。マザーボードまで到達できる強者もいると思いますが、ほとんどの人はそこまで分解しようとは思わないし、技術もない(ぼくもそこまで分解したくないです)。
よってメーカーに頼ったり、場合によっては修理費を支払って治してもらうわけです。
- ノートパソコンは故障したときに、自己解決が難しい
- デスクトップは故障時の自己解決は比較的かんたん
とは言っても、最近のメーカーはこちら側の過失(落とした、コーヒーこぼした、踏んづけたなど)ではない限り、たいていの場合は無料で修理や交換をしてくれるので過度に恐れる必要はない。
10. 耐久性の違い
最後は耐久性の違いについて。デスクトップの耐用年数は5年前後と言われており、一方ノートパソコンの耐用年数は3年ほどと4割短いです。なぜこれだけの差が出るのか。
- デスクトップ:筐体が大きいので、エアフロー(熱処理)ができている
- ノートパソコン:筐体が小さく薄い、エアフロー(熱処理)ができていない製品も多い
そう、熱の問題です。しかもゲーミングはCPUとグラフィックボードの双方を酷使するため、ノートパソコン内部の温度が容赦なく上がっていき、サウナ状態になってしまう。
PCパーツの耐久性能は年々向上しているが、常時高熱な環境で動かし続けるのは得策ではない。いずれはどこかがおかしくなります。
もちろん、GAMEMASTER NXのようにバカでかい放熱機構を備えたモンスター級ゲーミングノートなら、そこまで心配しなくていい。中の熱気をしっかりと排出してくれるなら、問題はないのだ。
こちらはあまり排熱ができていないゲーミングノート。排気ファンから熱を出しているようだが、内部の熱がなかなか抜け切りません。サーマルスロットリングも発生していたし、薄型ゲーミングノートはリスクが高い。
分厚いほうがよく冷えて性能も出やすいし、熱がこもらないので耐久性も結果として長い。
まとめ:ゲームするならデスクトップの方が「お得」
デスクトップ VS ノートパソコン | ||
---|---|---|
CPU | 優秀 | 追いついてきた |
GPU | 優秀 | あと一歩 |
コスト | 優秀 | 実質的には悪い |
携帯性 | 悪い | 優秀 |
セットアップ | 面倒くさい | ラク |
キーボード | 優秀 | イマイチ |
モニター | 自由 | 臨機応変に |
拡張性 | 優秀 | 悪い |
メンテナンス性 | 優秀 | 悪い |
耐久性 | 優秀 | 分厚いほど良い |
PUBG、アサシンクリードオリジンズ、CoD:WW2、FF15、Destiny 2、黒い砂漠など。「重量級」と呼ばれている3Dゲームをするつもりなら、ゲーミングノートはおすすめしづらい。
逆にマインクラフト、FFXIV、MHF、CS:GOなど。ハイスペックPCじゃなくても十分に動くゲームなら、ゲーミングノートでも良いと思いますね。
- 重たいゲームをするのにゲーミングノートは向かない
- 軽めのゲームならゲーミングノートでも悪くない
以上「ゲームをするなら、デスクトップPCとノートPCどちらを選ぶべきか」について、詳しく解説でした。
ノートの利点は場所を取らない事と携帯性が最大のポイントですねえ。
(ラップトップというと9801LXとかが浮かんで古臭く感じてしまうので「ノート」推しで)
玄関から外に出る出ないに関わらず、好みの場所でPC操作できるというのは生活スタイルによっては重要でしょう。
ただ、VRのヘッドマウントディスプレイのように、インプット・アウトプットデバイスの主流が
変化していったときに、中途半端な形であるノートPCのようなものが生き残っていられるか微妙ですね。
あと電気代。
ログインしっぱなしでメリットのあるゲームもあるのでノートを家の片隅に置いて寝放置。
まあ廃熱とかの関係は、第7世代Core+GeForce10系の組み合わせになるとかなり少なくなったなと感じますね。
店のデモ機を軽く触った時の感想ですけど、3Dゲームのデモを延々と回してる展示機を触ってもあまり熱く感じませんでした。
それに店頭でもゲーミングノートに割く面積が大きくなってる感があります。
まあ個人的には外に出てまでゲームしようとは思いませんけど。
このコメントもサブ機のノート(T芝製V82/B)から書いてますが、あくまでネット中心であと仕事の書類作成用って感じですね。ゲームはメインの自作でやります。
耐熱とコスパ考えると、やっぱりデスクトップかなぁっと。
ゲーミングノートPCは外への持ち出しを考慮すると、持ち運びにくく、ノートPCとしてのメリットもなかなか感じません。
SurfaceBook2(Core i7 GTX 1050 ほぼゲーミングPCそれでいて携帯性良好)
「あ ほ く さ」
ゲームをするならGPU交換ができるデスクトップ一択でしょうね
ソフト・ハード両方の進化からすると3年に1度はGPUを交換したいです
そういえばARM版Windows10s出ましたね
ゲーミングノート…日本ではパソコン自体廃れていますが海外の留学生の間では結構な人気で家族や恋人とビデオチャットしたり勉強や動画やゲームとフル活用しているように感じます。記事の魅力欄にもあるように長期出張が多いゲーマーにはお勧めです。
車で言えば2000年7月~2004年まで生産していたアトレー7でしょうか
ほぼ軽4貨物と同じ車体で7人乗り1300ccのエンジンを積んでしまった非常に走行性の良い普通車でしたが時代に全く合わず、すぐ生産中止になり後継機も出ていません。とてもニッチな車なので所有者の満足度も概ね良好なのですが、こんな中途半端な車買うんだったら普通の車買うわ(デスクトップ一択)となりゲーミングノート同様に売れなかったんでしょうね。