自作パソコン、昔はメーカー製よりも安く作れるし自由なパーツ選定が出来るというメリットから、盛んに行われていた。しかし、最近はドスパラなどのBTOメーカーが安くマシンを提供できるようになった。
結果として、コスト的なメリットは失われ、自作は趣味の領域へ。
さてと…ドスパラのゲーミングモデルでハイエンドに位置する「ガレリアZZ」。これを自作した場合と、素直に買った場合。どちらがトータルで「お得」なのか。ふと気になったのでまとめてみました。
ガレリアZZの構成
GALLERIA ZZ | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700K |
3.60 Ghz ~ 4.20 Ghz | |
4コア / 8スレッド | |
メモリ | 16GB(8GB*2) |
グラフィック | GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition 11GB |
マザーボード | Intel Z270搭載 ATXマザーボード |
SSD | 500GB |
HDD | 3TB – 無料アップグレード |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
USB 3.0(前面) | x2 |
USB 3.0(背面) | x6 (Type A x5 + Type C x1) |
出力 | – |
HDMI x1 | |
DisplayPort x3 | |
電源ユニット | 800W 静音電源(80+ GOLD) |
キーボード | 付属 – GALLERIA Gaming Keyboard(USB接続) |
マウス | 付属 – レーザーマウス(USB接続) |
サイズ | 207(幅)x520.7(奥行き)x450.2(高さ)mm |
重量 | 約13.9kg |
この構成で税込み253778円です。「Core i7 7700K」に「GTX 1080 Ti」、文句なしのハイエンドモデル。現状ほとんどのタイトルを4K画質で平均60fps以上で動かせる性能ということ。
これを自作した場合のコストをまとめていく。ほぼ似たようなパーツを、Amazonで買える最安価で選んでいって、その合計額が「ガレリアZZ」を超えるか超えないかを確認する。
OS:Windows 10 Home 64bit
DVDメディアのWindows 10 Homeです。DSP版は基本的に安価に済む傾向。なお、Windowsは海外サイトでOEM版を購入したり、Amazonやヤフオクでボリュームラベルを購入することで更に安価に済ませられるが…。
あんまり人にオススメするような方法じゃないので除外しました(気になる人はググってください)。
CPU:Core i7 7700K
CPUはこれ。「Ryzen 7」と比較すると演算性能は負けていますが、ゲーミング性能は依然として優秀。本当にゲーム用途なら、基本的に問題ない。他にも色々と作業を並行させたいならRyzenだろうけど。
メモリ:シリコンパワー DDR4-2400 8GB*2
シリコンパワー デスクトップPC用メモリ DDR4-2400(PC4-19200) 8GB×2枚 288Pin 1.2V CL17 永久保証 SP016GBLFU240B22
ガレリアZZはPC4-19200のメモリを採用している。つまり、若干スピードの速いDDR4メモリが使われているということ。その中でも安いモデルを今回は選んでおいた。ほんと最近はメモリ高騰してますね…。
GPU:GTX 1080 Ti 11GB Founders Edition
[mini]価格: 83700円[/mini]ガレリアZZに搭載されているのはPalit製の「Founders Edition」なんです。ドスパラが独占販売していて、Amazonでは入手不可能。ちなみに、2017年7月現在にて、これよりも安く売っているGTX 1080 Ti搭載ボードはありません。
マザーボード:ASRock Z270 Pro4
インターフェイス数がほぼ同じ仕様(チップセットもZ270)で、かつ安価なモデルを選定。結果見つかったのがAsRock製の「Z270 Pro4」。背面にUSB3.0が6つ搭載されていて、メモリスロットは4本。全く同じ仕様です。
SSD:Crucial MX300 525GB
Crucial [Micron製] 内蔵SSD 2.5インチ MX300 525GB ( 3D TLC NAND /SATA 6Gbps /3年保証 )国内正規品 CT525MX300SSD1/JP
ちょっと500GBを超えていますが気にしない。この製品がAmazonにおいて、500GBモデルとして最もコスパが良い。
HDD:WD Blue 3TB
【Amazon.co.jp限定】WD HDD 内蔵ハードディスク 3.5インチ 3TB WD Blue WD30EZRZ/AFP SATA3.0 5400rpm 2年6ヶ月保証 (FFP)
Western Digitalの青色モデル。コストパフォーマンスに優れる3TB HDDです。耐久性も、この価格帯としては最も堅牢。高耐久としてはHGST製が有名だが、やはり高いんですよね…。
電源:Thermaltake TOUGHPOWER 850W 80+ GOLD
Thermaltake TOUGHPOWER GRAND RGB -850W -NON DPS- 80+GOLD PC電源ユニット PS673 PS-TPG-0850FPCGJP-R
- EPSサイズ
- 出力800W
- 80PLUS GOLD認証を受けていること
この条件で絞っていき、Amazonで最も安価で、コストパフォーマンスに優れた製品を選んだ。
DVDドライブ:HLDS GH24NSD1 バルク品
安くて人気なDVDドライブ。現代において、DVDドライブは最低限の読み書きが出来れば十分だと思ってる。インストールする時くらいしか用がないので。
キーボード:ELECOM TK-DUX31BK ゲーミングモデル
今、初めて知ったが。ガレリアに付属してくるゲーミングキーボードは非売品らしい。ということで似たような製品をAmazonから持ってきた。価格は4000円ほどで、ゲーミングキーボードとしては普通の価格。
マウス:マイクロソフト Compact Optical Mouse for Business
キーボードと同じく、付属マウスも非売品。なのでものすごく似ているマウスを持ってきた。800円という価格はごくごく普通で、リーズナブル。逆にこれより安いとちょっと怖いかな…。
PCケース:Lian Li ATX PC-K5X
寸法は、幅205mm / 高さ450mm / 奥行き500mm。ほぼガレリアZZのKTケースと同じです。価格はATXケースの中では割りと普通の価格。
CPUクーラー:Cooler Master Hyper TX3 EVO
ガレリアZZには標準で「静音パックまんぞくコースLite」が付属している。それなりに大きい空冷ファンが取り付けられ、高い静音性と冷却性能を実現するというもの。Amazonでほぼ同じモデルを選びました。価格は割りと普通ですね。
合計して、自作した場合のコストをまとめる
パーツ | 価格 | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit | 12742 |
CPU | Core i7 7700K | 39955 |
メモリ | シリコンパワー DDR4-2400 8GB*2 | 14800 |
GPU | GTX 1080 Ti 11GB Founders Edition | 83700 |
マザーボード | ASRock Z270 Pro4 | 16758 |
SSD | Crucial MX300 525GB | 17700 |
HDD | WD Blue 3TB | 8980 |
電源 | Thermaltake TOUGHPOWER 850W 80+ GOLD | 17093 |
DVD | HLDS GH24NSD1 バルク品 | 1915 |
キーボード | ELECOM TK-DUX31BK ゲーミングモデル | 4000 |
マウス | マイクロソフト Compact Optical Mouse for Business | 845 |
PCケース | Lian Li ATX PC-K5X | 6841 |
CPUクーラー | Cooler Master Hyper TX3 EVO | 3090 |
合計 | 228419 |
なるべく似たスペックのPCパーツで構成してみたが、意外と安価に済んでいる。
- すべて自作:228419円
- BTOで即購入:253778円
パーツなどをAmazonやドスパラから取り寄せて、一から各パーツを組み立て、OSやドライバをインストールするまでの作業を自分で行った場合。BTOの「ガレリアZZ」と比べて10%ほど安くなることが分かった。
10万円くらいのミドルクラスだと、意外と価格差は出づらいのだが、20万円超えのハイエンドモデルだと未だに10%くらいの差額は出るんですね。ちょっと意外でした。
10%の価格差は「お得」か?
個人的な感覚から見ても、10%の差額はかなり大きいと感じます。ガレリアZZの場合はほぼ同じような構成であっても、25359円もの差額が出ました。
さて、25000円の差額を払って「ガレリアZZ」をさっさと入手する場合と、差額を抑えるために自分で作ってしまう場合。どちらの方が「お得」と言えるのか考えてみる。
ドスパラで直接買ってしまうケース
まずは多少の差額を払ってまで、完成品を購入するメリットやデメリットから見ていこう。
BTOの完成品を買うメリット- 当日出荷なので1~2日後に入手可能
- プロが組み立てた「完成品」なので、トラブルに会う確率は極めて低い
- 自作未経験の場合、自分で組み立てたり勉強する時間を節約できる
- 無料で修理保証が1年付いている
ドスパラは世界最大級のVGAベンダーである「Palit社」の代理店も兼任しているため、自社製品に回すPCパーツをかなり優先的に仕入れられる立場だ。
ガレリアZZに使われている「GTX 1080 Ti Founders Edition」は2017年7月時点で「品切れ」のはずだが、PC本体はこうして注文可能になっていることからも、豊富な在庫を持っていると推測出来る。
パーツ間の相性なども、ほぼすべて検証された上で選定されているので、自作ではありがちな「相性が悪いのかPCが起動しない…」という事態も回避できる。とにかくリスクが低く、安全。これが最大のメリットだろう。
BTOの完成品を買うデメリット- 自分で一から組み立てる場合と比べて、やや割高
- パーツの自由度、カスタマイズ性にやや欠ける
やはり割高なのがデメリットだろう。パーツ選びの自由度も少ない(これは選ぶ製品を変えれば、ある程度は融通が効く)。自作スキルがある人間には「不自由だな…」と思われます。
自作で一から作ってしまうケース
次はこちらの記事でも紹介している「自作」を行った場合のメリット・デメリットを見てみる。
「自作」で作るメリット- やはり完成品を買うよりも安く済む
- パーツの自由度は格段に高い
- 中古パーツも使えるので、安くしようと思えばもっと安価に出来る
パソコンを自作できるスキルがあり、自作という作業自体を楽しめるのであれば、これらのメリットをフルに享受できる。
特に、中古パーツを採用することによって格段に安いPCを組むことも可能。以下の記事はその事例です(もちろんオススメはしませんよ)。
「自作」で作るデメリット- 未経験者にとって「自作」という作業は意外と大変
- 完成品は注文すれば終わりだが、自作は格段に手順が多い
- 組み立て途中にトラブルが発生しても、すべて自己責任
- トラブルが発生しても、自分で対処できる能力が必要(検索力は特に重要)
- 未経験者の場合、自作に必要な知識も学ばなければ
自分の責任、自分の判断で、パソコンのコンセプトを決めてパーツ選定まで行い、Amazonやドスパラで実際にパーツを仕入れる。揃ったら、各種パーツをケース内に組み上げ、OSをインストールし、ドライバも入れる。
完成品を買う場合と比べて、やらなければならない作業は格段に多い。パーツの相性問題や初期不良に運悪く遭ってしまった場合、返品する手間が生じることも。
何よりも、自作を全く経験したことが無い場合は、自作をする上で必要な「知識」を頭に入れる必要もある。本屋で自作PCの専門誌を読んだり、不安な場合は価格コムのピックアップリストで先人にアドバイスを求めたり。
「上手く行かない」「起動しない」「失敗する」などのリスクを避けるために打たなければならない手数は、意外にも多いのです。もちろん、ぼくのように自作という作業自体を楽しめる人間には、自作がオススメですけど。
- パーツ選定(そして妄想):2~7時間(非常に楽しい)
- 発注作業:1時間(ここでもよく悩む)
- 2~3日してAmazonからパーツが届く
- 組み立て:1~3時間(たまに順序間違えてヒヤヒヤします)
- (※トラブルイベントが発生した場合、1時間~翌日)
- インストール:1~2時間
- 検証:1~2時間(オーバークロックやら、ベンチマークやら)
ぼくの場合は、だいたいこれくらい掛かります。色々とやってたら10時間経過してた…とかよくある。グラフィックボードを刺す順序を間違えて、CMOSリセットで翌日まで放置…という事例もあった。
楽しいから気にならないけど、パソコンが単に安く欲しいだけの人には退屈かもしれない。それに、時間がかかりすぎると徒労感も出てくるだろう。「こんな手間ならドスパラでポチっとけば良かった…」など。
トータルで言うと
そう…。「完成品」と「自作」の間には、差額うんぬんの前に価値観の壁が大きい。
タイプ | オススメ |
---|---|
自作は余裕です、超楽しいです | 自作で確定 |
自作楽しそうだし、新しいことを勉強するのも苦じゃない | 自作、行けるかもしれない |
さっさとゲーミングPCを手に入れて、ゲームしたいよ | BTOで買った方がいい |
差額は確かに大きいが、そのために時間を使うのも… | BTOの方が、結果的に幸せかも |
こんな具合。人それぞれ好き嫌いは違うので、安く済む(かも)しれないからと言って誰彼構わず「自作」をオススメするわけには行かない。手間や時間の無駄を省きたい人には、やっぱり「BTO」がオススメなので。
手軽に、ノーリスクで高性能PCが欲しい- ドスパラなどのBTOメーカーで完成品を購入するべき(1年間修理保証もあるよ)
- 自作をやってみても良い(ただし自己責任)
結論
同じスペックなら確かに「完成品」は割高だ。自作なら割安に済むかもしれないが、手間・労力・時間を考慮すると結局のところ価格差は相殺されているだろう。
「ガレリアZZ」を買うか、作るか
ここまで説明してきた通り。
- 想定される作業と消費する時間は、25000円という差額に見合ったものなのか?
ここをよく考えてみて、結論を出すと良い。基本的に、ぼくは安易に自作はオススメしていません(昔は誰彼かまわず自作を勧めていた)。自分が身近で面倒を見れるなら構わないが、現実的にそれは厳しいからね…。
以上、ドスパラのガレリアZZは、自作と購入のどちらが「お得」なのか?…について書いてみました。
追記:実際にガレリアZZ使ってみたよ。
2018年版のガレリアZZ(Core i7 8700K + GTX 1080 Ti搭載)を実際に使ってレビューしてみたので、ちょっとでも「やっぱりBTOも気なるんだよな。」と思っている方は読んでみてください。
記事を読ませていただきました!
自作したら安くなるのか気になって検索しましたらこちらの記事がヒットしまして(^O^)
やはり現状BTOを使う方が楽で経済的にもいいかと思います、自作はやはり趣味かな…
記事にはないですが自己アフィリエイトをすることによってドスパラは9,4㌫現金バックしますしドスパラ内のポイントも付くため10㌫以上の還元があります…
自己に使う労力を考えてもBTOで購入の一択かなと思いましたm(__)m