RTX 4090を早々に買ったマニア層なら、すでに手に取っているであろうRTX 50シリーズ旗艦グラボ「RTX 5090」を筆者も買ったので、RTX 4090やRTX 3090も含めて比較ベンチマーク。
ゲーム用として使うには── あまりにもぶっ飛んだスペックです。だからゲーム系ベンチに加えて、動画編集やエンコード、AI生成速度まで幅広いカテゴリでRTX 5090の性能を検証します。
40万円近いRTX 5090を買うか、新品で30万円をギリギリ切るRTX 4090で妥協するか、選ぶヒントになれば幸いです。

(公開:2025/9/17 | 更新:2025/9/17)
「GeForce RTX 5090」の仕様とスペック

GPU | RTX 5090 | RTX 4090 | RTX 3090 |
---|---|---|---|
プロセス | 5 nm製造 : TSMC 4N | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 21760 | 16384 | 10496 |
RTコア数レイトレ特化コア | 170 | 128 | 82 |
Tensorコア数AI特化コア | 680 | 512 | 328 |
ブーストクロック | 2407 MHz | 2520 MHz | 1695 MHz |
VRAM | GDDR7 32 GB | GDDR6X 24 GB | GDDR6X 24 GB |
理論性能(FP32) | 104.8 TFLOPS | 82.58 TFLOPS | 35.58 TFLOPS |
TDP | 575 W | 450 W | 350 W |
補助電源 | 16-pin | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 1999 | $ 1599 | $ 1499 |
参考価格2025/09時点 | 378000 円 | 299980 円 | 299980 円 |
発売価格 | 452800 円 | 289300 円 | 212278 円 |
発売 | 2025/1/30 | 2022/10/12 | 2020/9/24 |
GPU | RTX 5090 | RTX 4090 | RTX 3090 |
---|---|---|---|
世代 | Blackwell | Ada Lovelace | Ampere |
プロセス | 5 nm製造 : TSMC 4N | 5 nm製造 : TSMC | 8 nm製造 : Samsung |
トランジスタ数 | 922.0 億 | 763.0 億 | 283.0 億 |
ダイサイズ | 750 mm2 | 608 mm2 | 628 mm2 |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 21760 | 16384 | 10496 |
TMU数Texture Mapping Unit | 680 | 512 | 328 |
ROP数Render Output Unit | 192 | 176 | 112 |
演算ユニット数 | 170 | 128 | 82 |
Tensorコア数機械学習向けの特化コア | 680 | 512 | 328 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 170 | 128 | 82 |
L1キャッシュ演算ユニットあたり | 128 KB | 128 KB | 128 KB |
L2キャッシュコア全体で共有 | 88.0 MB | 72.0 MB | 6.0 MB |
L3キャッシュコア全体で共有 | – | – | – |
クロック周波数 | 2017 MHz | 2235 MHz | 1395 MHz |
ブーストクロック | 2407 MHz | 2520 MHz | 1695 MHz |
VRAM | GDDR7 32 GB | GDDR6X 24 GB | GDDR6X 24 GB |
VRAMバス | 512 bit | 384 bit | 384 bit |
VRAM帯域幅 | 1787.1 GB/s | 1008 GB/s | 936.2 GB/s |
理論性能(FP32) | 104.8 TFLOPS | 82.58 TFLOPS | 35.58 TFLOPS |
SLI対応 | – | – | 対応 |
PCIe | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 575 W | 450 W | 350 W |
補助電源 | 16-pin | 16-pin | 12-pin |
MSRP | $ 1999 | $ 1599 | $ 1499 |
参考価格 | 378000 円 | 299980 円 | 299980 円 |
発売価格 | 452800 円 | 289300 円 | 212278 円 |
発売 | 2025/1/30 | 2022/10/12 | 2020/9/24 |
「RTX 5090」は、最新世代(RTX 50シリーズ)のフラグシップモデルのグラボです。ハイエンドの中のハイエンド、頂点を冠すに見合う最高峰のスペックを備えます。
従来世代「RTX 4090」も大概モンスター級でしたが、RTX 5090もさらなる進化を遂げています。
- コア数を約1.3倍に増量
- VRAM性能が約1.8倍に(約1.8 TB/s)
- VRAM容量32 GBに増量
- 新機能「DLSS MFG」で最大4倍の性能
- 民生向け初の「トリプルエンコーダー」
- 動画エンコードの品質アップ
- メーカー価格は約25%値上げ
- 弩級の消費電力(575 W)
RTX 50(Blackwell)世代の製造プロセスが、従来世代のTSMC 4N(5 nm相当)から変わっていないため、ただ単純にチップの規模を巨大化して性能向上を狙うスタイルです。
コア数が約20000コア超に増え、VRAMの物理帯域幅は毎秒1787 GB(たった1秒でほぼ2 TBを転送)、設計が大きくなった分だけ消費電力も増えてしまいました。
とにかく、前作を超えるモンスタースペックです。ハッキリ言って「ゲーミング」用として過剰スペック。なぜなら、これほど大規模なチップから100%の性能を引き出せるCPUが未だ存在しないからです。
多分ゲーマー向けには売れないかも・・・と踏んだのか、VRAM容量を24 GBから32 GBに増量しています。
湯水のようにVRAMを消費するタスク。たとえば、Davinci Resolveで4K~8K RAW動画編集やAfter EffectsでCGI制作、ローカル環境で動かすAI生成タスクなど。
時間 = お金に直結するクリエイター需要も同時に狙っています。ついでにNVEncエンコーダーを2基から3基に増設しているから、動画エンコードも最高仕様です。
RTX 5090はゲームだけでなく、おおよそほとんどの用途を劇的に加速化する、個人向けで最強の汎用演算アクセラレーターです。
では、実機レビューでRTX 5090がどれくらい進化して、前作RTX 4090と約6~8万円の差額に見合う価値を見いだせるのか。詳しく検証してみます。
RTX 5090の性能をベンチマーク比較

テスト環境 「ちもろぐ専用ベンチ機(2025)」 | ||
---|---|---|
![]() | Ryzen 7 9800X3D8コア16スレッド (3D V-Cache:64 MB) | |
![]() | NZXT Kraken X63280 mm簡易水冷クーラー | |
![]() | ASUS TUF GAMINGX670E-PLUS | |
![]() | DDR5-5600 16GB x2使用メモリ「Crucial Native DDR5」 | |
![]() | ZOTAC GAMING RTX 5090 SOLID OC(※筆者が買いました) | |
![]() | NVMe 8TB使用SSD「WD Black SN850X」 | |
![]() | 1000 W(80+ GOLD)使用モデル「Corsair RM1000x」 | |
![]() | Windows 11 Pro 24H2(最新版:26100.6584) | |
ドライバ | NVIDIA 581.15 Radeon 25.6.2 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160(240 Hz)使用モデル「LG 32GS95UE-B」 |
GPU | オリジナルモデル |
---|---|
RTX 5090 | ZOTAC SOLID OC プロファイル:575 W(定格準拠) |
RTX 5080 | MSI Ventus プロファイル:360 W(定格準拠) |
RTX 5070 Ti | GIGABYTE GAMING OC プロファイル:300 W(定格準拠) |
RTX 5070 | ZOTAC GAMING OC プロファイル:250 W(定格準拠) |
RTX 5060 Ti 16GB | GALAKURO OC/DF プロファイル:180 W(定格準拠) |
RTX 4090 | GIGABYTE GAMING OC プロファイル:450 W(定格準拠) |
RTX 4080 SUPER | ZOTAC Trinity Black プロファイル:320 W(定格準拠) |
RTX 4070 Ti SUPER | Manli Gallardo プロファイル:285 W(定格準拠) |
RTX 4070 SUPER | ZOTAC Twin Edge OC プロファイル:220 W(定格準拠) |
RTX 4070 | ZOTAC Twin Edge OC プロファイル:200 W(定格準拠) |
RTX 4060 Ti 16GB | Palit JetStream OC プロファイル:165 W(定格準拠) |
RTX 3090 | ASUS TUF GAMING OC プロファイル:350 W(定格準拠) |
RTX 3080 10GB | NVIDIA Founder’s Edition プロファイル:320 W(定格準拠) |
RTX 2080 Ti | MSI Gaming X Trio プロファイル:250 W(定格準拠) |
RX 9070 XT | ASRock Taichi OC 手動設定:304 W(定格準拠) |
RX 9070 | ASRock Steel Legend OC プロファイル:220 W(定格準拠) |
RX 9060 XT 16GB | ASRock Challenger OC プロファイル:160 W(定格準拠) |
RX 7900 XTX | ASRock Phantom Gaming OC プロファイル:355 W(定格準拠) |
RX 7800 XT | Sapphire PULSE プロファイル:263 W(定格準拠) |
RX 7700 XT | ASUS DUAL OC プロファイル:245 W(定格準拠) |
RX 7600 XT | ASUS DUAL OC プロファイル:190 W(定格準拠) |
検証用に使うグラフィックボード一覧です。
基本的に定格準拠の電力プロファイルを備えるか、vBIOSスイッチで定格準拠に切り替えられるモデルを使います。過度な出荷時オーバークロックが確認された個体に限り、Cybenetics PMDを用いて定格相当までリミッターを設定します。
たとえば「ASRock Taichi OC」が代表例です。定格モードでも約20~30 W逸脱する傾向があるので、電力を96%に制限します。
なお、電力プロファイルをキャリブレーションしても、個体差によるクロック差は諦めてください。下位モデルでも稀に良個体が紛れ込んだり、上位モデルなのに並以下の選別だったりします。
「RTX 5090」のベンチマーク検証では、ちもろぐ専用ベンチ機を使います。基本スペックは以上の通り。
CPUは最強のゲーミング性能を誇る「Ryzen 7 9800X3D(8コア)」を使い、メモリはBTOパソコンで標準的な「DDR5-5600」を32 GB(16 GBを2枚)です。
ベンチマーク用の莫大な数のゲームソフトやAIモデルを置いておくストレージは、容量8 TBのNVMe SSD(WD Black SN850X)を使います。

(4K 240 Hz対応ゲーミングモニター)
最大4K 240 Hz / フルHD 480 Hzに対応する、神速のゲーミングモニター「LG UltraGear 32GS95UE-B」が検証用モニターです。
一部のゲームで垂直同期(V-Sync)をうまく回避できないリスクが少なからず存在するから、物理的にリフレッシュレートが高いゲーミングモニターを使って事前にリスクを抑えます。
- NVIDIA GeForce Graphics Drivers 581.15 WHQL
- AMD Radeon Graphics Drivers 25.6.2 WHQL
テスト時のドライバはGeForce側が「581.15」、Radeon側は「25.6.2」を使います。どちらもテスト時点で一般公開されている安定版ドライバです。

(ZOTAC RTX 5090 SOLID OC)
ベンチマーク用に筆者が自腹で買った「ZOTAC RTX 5090 SOLID OC」です。
発売されて2ヶ月たった頃、某家電屋でたまたま在庫を見かけて衝動買いしました。当時45.2万円ですが、今なら40万円前後で推移しています。

101 mm大口径の冷却ファンを3個、厚み67.8 mmのヒートシンク、6 mm径ヒートパイプを7本装備します。
シャンパンゴールド色に塗装された部分が、ダイキャストアルミ製の金属フレームです。ボード全体のたわみ、プリント基板(PCB)の経年による歪みを緩和します。
バックプレートも当然ながら金属製です。受熱ベースプレート部にベイパーチャンバー機構も搭載済み。値段に見合う質実剛健な冷却設計です。
本体重量は約2.3 kg(実測2266 g)もあります。

補助電源コネクタは「12V-2×6」です。念のため、各コネクタの供給電力(給電能力)を実測します。
供給電力 (測定 : Cybenetics) | ピーク値 (0.001秒) |
---|---|
PCIeスロット (PCIe x16) | 13.3 W |
PCIe補助電源 (12V-2×6) | 697.9 W |
PCIeスロットから最大75 W(実測値:約13 W)まで、12V-2×6から最大600 W(実測値:約698 W)まで、合計675 W(実測値:約708 W)を取り出せます。
瞬間的なピーク値で約700 Wに達する大電力を軽々と供給できます。連続値なら約575~600 W前後を安定して持続的に供給可能ですが、定格最大値(660 W)との距離が近いです。
もっと積極的にPCIeスロットから電力を取る制御なら安心感があったものの、なぜか12V-2×6コネクタだけで賄う制御です。
コネクタを適切に奥までしっかり挿し込み、横方向のテンションを過度に掛けないよう注意しましょう。マージンが少ないため、誤った運用をすると溶融リスクが高まります。


(グラボに変換ケーブルが付属します)
なお、電源ユニットに12V-2×6ケーブルがない場合は、付属品の「12V-2×6 → PCIe 8 pin(x4)」で問題なく使えます。
接続されているPCIeコネクタの本数を認識し、自動的にvBIOSを切り替える機能も搭載されています。ZOTACの場合は4本で575 W、3本で450 Wモードで正常に動作可能です。
2本で300 Wモードは非対応です(※Gainwardなら対応してました)。

- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- HDMI 2.1b(FRL12x4 = 48 Gbps)
映像出力端子は全部で4本です。
Display Port 2.1がちゃんとUHBR20規格に対応します。最大80 Gbpsもの圧倒的な転送レートにより、4K(240 Hz)を無圧縮(非DSC)で表示できてしまうほどです。
なお、ライバルのRX 9000シリーズはUHBR13.5規格にとどまり、最大54 Gbpsに制限されます。真のDP 2.1が必要ならRTX 50シリーズしか選択肢がないです。
RTX 5090のゲーム性能をベンチマーク

全部で20本のゲームを使って、RTX 5090の性能を実際にベンチマークします。


- ベンチマークに使ったゲームタイトル
- ベンチマーク時の画面サイズ(解像度)
- 左から順番に「グラフィック設定」「ロケ地」「採用ゲームエンジン」
- 最低フレームレート(下位1%)
- 平均フレームレート
- フレームレート(横軸)
当ブログ「ちもろぐ」のゲーム性能グラフは以上6つの項目で構成され、そのうち太字で強調した2~5番がとても重要です。
- 画面サイズ(解像度)
画面サイズはそのままゲームプレイ時の解像度です。フルHD(1920 x 1080)→ WQHD(2560 x 1440)→ 4K(3840 x 2160)の3つを検証します。
4Kになるほど情報量が増えてディテールの細かい映像が表示されますが、それだけグラフィックボードにかかる負荷も増大して、平均フレームレートが大きく下がる要因です。
- グラフィック設定
ゲーム側の設定です。基本的に最高画質になるよう調整し、あまりにも重たすぎて検証にならない場合のみゲーム設定を妥協します。
なお、参考程度に検証したゲームで使われている「ゲームエンジン」も掲載しています。エンジンによって性能の傾向がそこそこ変わるので、相関性に着目すると何か発見があるかもしれません。
- 平均フレームレート
Intel社が開発したフレームレート測定ツール「PresentMon V2」を用いて、ゲームプレイ中の描写フレーム数を記録します(※記録方式:MsBetweenDisplayChange)。
1秒あたり60枚なら60 fpsで、240枚なら240 fpsです。記録したfpsをテスト時間で割って平均フレームレートを求められます。
平均フレームレートが高いほどヌルヌルとした快適な映像を表示できている証拠として扱えますが、平均値だけを見ていると誤った解釈をするリスクが出てきます。
- 最低フレームレート(下位1%)
平均値に加えて、記録したfpsのうち下から数えて1%の範囲に入っているワースト値もセットで掲載します。
ゲームプレイ中にfpsが不安定な挙動だと下位1%が著しく低い数値になり、平均値が高くても実際にプレイするとカクカクとストレスのたまる挙動をしている可能性に気づけます。
Apex Legends

平均fps最低fps(下位1%)
定番eSportsタイトル「Apex Legends」を最高グラフィック設定でベンチマーク。
RTX 5090は平均300 fps前後にほぼ張り付いてしまい、グラボの性能を出し切るより先にゲーム側の上限(300 fps制限)に衝突します。

平均fps最低fps(下位1%)
最近トレンドになりつつあるWQHD(フルHDの1.8倍)でも、RTX 5090は見事に300 fps上限にぶつかります。

平均fps最低fps(下位1%)
競技FPSゲーマーからまったく支持がない4K解像度(フルHDの4倍)を参考程度にベンチ。RTX 4090と比較して、RTX 5090は約15%高いフレームレートです。
Escape from Tarkov(タルコフ)

平均fps最低fps(下位1%)
カルト的な人気を誇るサバイバル型FPSタイトル「タルコフ」を、カスタム高設定でベンチマーク。ドライバ側で1000 fps上限に上書きして144 fps上限を解除しています。
フルHDの結果は見ての通り、CPUボトルネックに壁になってグラフィックボードの性能差がまったく出なかったです。
タルコフをプレイするならグラフィックボードをほどほどにして、CPUにお金を掛けるべきです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDに引き上げると、グラフィックボードの性能差が出現しますが、依然としてCPUボトルネックに阻まれています。
タルコフは本当に恐ろしいゲーム、WQHDですらCPUボトルネックが先に来ます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でようやくCPUボトルネックが緩和され、グラフィックボードの性能差を抽出可能です。
タルコフはUnityで制作されているゲームなので、VRAM帯域幅にとても敏感なタイトルで知られます。
RTX 5090が持つ毎秒1.8 TBの爆速VRAMが性能を発揮するかと思いきや、残念ながら平均160 fpsあたりで伸び悩みます。なんと4KですらCPUボトルネックです。
4K解像度でCPUボトルネックが発生するほど、RTX 5090があまりにも速すぎました。グラフィックボードから100%の性能を引き出せないです。
Fortnite(フォートナイト)

平均fps最低fps(下位1%)
最新のUnreal Engine 5で制作されている大人気eSportsタイトル「フォートナイト」をベンチマーク。
グラフィック設定を最高プリセットにしてから、Nanite仮想化設定(Lumen)を「高」に抑えました。
結果、フルHDは従来比+9%です。消費電力がTGP比100%に届かないため、おそらくCPUボトルネックが原因です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで少しCPUボトルネックが緩和され、従来比+13%に伸びます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でそこそこCPUボトルネックが緩和されてきて、RTX 4090と性能差が約1.2倍まで開きます。

Call of Duty : Black Ops 6

平均fps最低fps(下位1%)
グラフィック品質が高い有料FPSタイトル「Call of Duty : Black Ops 6」を、ゲーム内ベンチマークで検証します。
フルHDはやはりCPUボトルネックがお出迎えです。RTX 4090から約8%の伸びにとどまり、RTX 5090の性能をまったく出し切れないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで若干マシになりますが、それでも従来比+14%程度。まだまだCPUボトルネックが壁です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でそこそこ伸びて、RTX 4090と比較して約23%伸びます。
VALORANT

平均fps最低fps(下位1%)
競技シーンで著名なeSportsタイトル「VALORANT」を、最高グラフィック設定でベンチマーク。
最高画質でもテストしたグラフィックボードほぼすべてがCPUボトルネックに衝突して、目立った性能差がまったく出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでもCPUボトルネックがまったく消えず、グラフィックボードの性能差を上手く抽出できないです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度なら・・・虚しくCPUボトルネックから逃げられないです。平均500 fps台に乗ったあたりでフレームレートが伸び悩み、RTX 5090とRTX 4090がほぼ同じ性能に。
Overwatch 2(オーバーウォッチ)

平均fps最低fps(下位1%)
日本でも人気が高いヒーロー型シューターFPS「オーバーウォッチ2」を、最高グラフィック設定でベンチマーク。
RTX 5090はRTX 4090に対して+12%です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでさらに性能差が開いて、RTX 4090に対して+28%ものリードを見せます。

平均fps最低fps(下位1%)
VRAM帯域幅が影響しやすい4K解像度にて、RTX 5090がRTX 4090より+40%も高い性能です。
eSports系タイトルの中でも、オーバーウォッチは際立ってグラフィックボードを上手く使えます。
グラボを2枚使ってフレームレートが2倍増する極めて稀有なゲームですし、大規模なGPUを使いこなせる傾向が強いです。
Assetto Corsa EVO

平均fps最低fps(下位1%)
現実のようなリアルな挙動をウリにしている、マニア向けなレーシングシミュレーション「Assetto Corsa EVO」をベンチマーク。
やはりフルHDは伸びづらく、RTX 4090に対して+14%程度にとどまります。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDもフルHDに近い傾向がつづき、従来比+22%でした。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度も同様の伸びです。RTX 5090がRTX 4090に対して+25%の性能アップを記録します。
首都高バトル

平均fps最低fps(下位1%)
日本国内で人気が高いレーシングシミュレーション「首都高バトル」をベンチマーク。なお、最高グラフィック設定が非常に重たかったため、1段階下げた高設定を使います。
RTX 5090は従来比+17%で伸び悩み、しかも450 W制限時とほとんど変わらない性能です。
CPUボトルネックがRTX 5090より先に来てしまい、グラボの性能を上手く発揮できない構図です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも引き続きCPUボトルネックに阻まれます。フルHDと同じく従来比+17%です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度から少しCPUボトルネックが緩和され、RTX 5090とRTX 4090で性能差+24%に開きます。
モンハンワイルズ(MH Wilds)

平均fps最低fps(下位1%)
ゲーミングPC特需を引き起こすほど熱狂的な人気を誇っていた(過去形)、国産サバイバルアクション「モンスターハンターワイルズ」をベンチマーク。
いつもどおり、レイトレーシング効果が分かりやすくGPU負荷も大きい「緋の森(豊穣期)」をロケ地にします。プリセット「ウルトラ(レイトレ:高)」を適用してから、超解像とフレーム生成を無効化します。
予想どおり、重量級ゲームのモンハンワイルズでもRTX 5090ならCPUボトルネックが先に来ます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDもフルHDと同じ傾向が続きます。RTX 4090から+20%程度しか伸びず、450 W制限時もフレームレートがほぼ同じです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でも・・・ おそらくCPUボトルネックが原因でRTX 5090と450 W制限時に性能差が出ません。RTX 4090と比較して+26%の性能アップです。
サイバーパンク2077

平均fps最低fps(下位1%)
オープンワールドアクションの傑作「サイバーパンク2077」をベンチマーク。プリセット「レイトレーシング:ウルトラ」を適用してから、超解像とフレーム生成を無効化します。
RTX 5090がRTX 4090に対して+18%の性能アップです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでさらに性能差が開き、RTX 5090がRTX 4090より約27%も高い性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度も少し伸びて約31%も高性能でした。
2世代前のフラグシップ級だったRTX 3090から見て、RTX 5090はほぼ3倍の性能です。DLSSフレーム生成を使えば確実に10倍以上のフレームレートを狙えます。
Ghost of Tsushima

平均fps最低fps(下位1%)
PlayStation専売ソフトからPCに移植された、日本風アクションの傑作「Ghost of Tsushima」を最高画質でベンチマーク。
RTX 4090からRTX 5090で約15%の性能アップです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで少し伸びて従来比+23%に。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度はもっと伸びて従来比+40%(1.4倍)に達します。
黒い砂漠(Black Desert)

平均fps最低fps(下位1%)
なぜかモンハンワイルズに迫るアクティブユーザー数が今もいる、隠れ人気MMORPG「黒い砂漠(Black Desert Online)」をウルトラ品質でベンチマーク。
2025年8月に実装された新マップ「魔界エダニア」がロケ地です。10年前(2015年)リリースの古いゲームですが、ベンチマークを見てのとおり驚異的な負荷です。
RTX 5090は、RTX 4090に対して、フルHDにもかかわらず約30%もの高い性能を発揮します。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで性能差がさらに開くように見えて、RTX 5090がRTX 4090に約32%にとどまります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度のベンチマーク結果です。
RTX 4090からRTX 5090で約36%の性能アップでした。2世代前のRTX 3090から数えると、軽く3倍超の凄まじい伸び幅です。

鳴潮(Wuthering Waves)

平均fps最低fps(下位1%)
ライブサービス型の大人気オープンワールドRPG「鳴潮(Wuthering Waves)」をベンチマーク。プリセット「グラフィック優先」を適用して、レイトレーシング:高(オプションすべて)を有効化します。
鏡面反射と水面反射を多用するエリアで凄まじい負荷が発生し、ほとんどのグラフィックボードが120 fps上限すら維持できないです。
もちろん、最強クラスのRTX 5090なら平均120 fps上限をかなり維持できます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでは平均60 fpsすら出せないグラフィックボードが続出します。
性能差がさらに開いてRTX 4090とRTX 5090で約1.2倍です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度の性能差も同じく約1.2倍にとどまります。
消費電力が約550 W(TGP比:96%)に達するため、VRAMの物理帯域幅がボトルネックにならない限り、おおむねシェーダー(コア)数に比例した結果かもしれません。
ゼンレスゾーンゼロ(ZZZ)

平均fps最低fps(下位1%)
ライブサービス型の大人気アクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」をベンチマーク。
フルHDの場合、CPUボトルネックに制限されてグラフィックボードの性能差がうまく出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDもCPUボトルネックに引っ張られるように見えて、なぜかRTX 4090に1割もの逆転を許します。
450 W制限時の方がむしろフレームレートが伸びる傾向もあり、不可解な挙動です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でも、RTX 5080以上の旗艦モデルにとってCPUボトルネックは依然として大きな壁です。
しかもRTX 5090は4K解像度でも平均150 fpsから伸び悩み、なぜかRTX 4090に負けてしまいます。
崩壊スターレイル(Starrail)

平均fps最低fps(下位1%)
今どきめずらしいターン制RPGの超人気作「崩壊スターレイル」をベンチマーク。ランダムなスタッターが発生するゲームだから、最低フレームレート(1%)は参考程度に。
RTX 5090はRTX 4090と比較してわずか5%程度の伸びです。CPUボトルネックにしっかり妨害を受けてます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで一気に伸び始め、RTX 5090がRTX 4090に対して+39%もの性能差を付けます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度で性能差がさらに拡大し、RTX 5090とRTX 4090で+43%もの性能差に。
崩壊スターレイルはVRAM帯域幅に依存する傾向が極めて強いゲームです。シェーダー(コア)数以上の性能差を出せています。
ステラーブレイド(Stellar Blade)

平均fps最低fps(下位1%)
メガニケ(勝利の女神:NIKKE)の開発元で知られるSHIFT UP社が開発した、買い切りアクションタイトル「ステラーブレイド」をベンチマーク。
プリセット「とても高い」を適用後、超解像とフレーム生成を無効化します。
RTX 5090を含むハイエンドモデルは軒並みCPUボトルネックに阻まれて、平均220~230 fps前後で止まります。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでも、RTX 5090やRTX 4090はCPUボトルネックに引っ張られています。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でRTX 5090の本領発揮、RTX 4090に対して+36%(約1.4倍)の性能差です。
パルワールド(Palworld)

平均fps最低fps(下位1%)
継続的な無料アップデートの繰り返しで根強い人気を保っている、国産サバイバルゲームの傑作「パルワールド」をベンチマーク。
RTX 5070 Ti以上のグラボでCPUボトルネックの影響が見られます。RTX 5090も当然ながらフレームレートをほとんど伸ばせないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでCPUボトルネックが少しだけ緩和され、RTX 5090とRTX 4090の性能差が+17%(約1.2倍)に開きます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でCPUボトルネックの影響がほぼ薄れ、RTX 5090が全力に達します。つまり、消費電力がTGP比100%(575 W)に張り付く状態です。
全力を出せた状態で、RTX 5090はRTX 4090に対して+31%(約1.3倍)の性能です。
増えたシェーダー(コア)数と、VRAMの物理帯域幅が少々の影響と考えて、ほぼ納得できる性能差に見えます。
シティスカ2(Cities : Skylines II)

平均fps最低fps(下位1%)
都市シミュレーションゲーム「Cities : Skylines II」をベンチマーク。そこそこスタッターが発生しやすいため、最低フレームレート(1%)は参考程度に。
フルHDは基本的にCPUボトルネックが邪魔になって、RTX 4090以上からフレームレートが伸びづらいです。RTX 5090とRTX 4090で+9%程度。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDから性能差が開いてきて、RTX 5090がRTX 4090を+21%(約1.2倍)も上回ります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度を一気に性能差が開いて、RTX 5090がRTX 4090をなんと+45%(約1.5倍)もの性能に。
シェーダー(コア)数の増量分を大きく上回る伸び幅です。秒速1 TBから1.8 TBに増えたVRAM物理帯域幅が効いている可能性が高いです。
マインクラフト(Bedrock Edition)

平均fps最低fps(下位1%)
誰もが知ってるサンドボックスゲーム「マインクラフト(Bedrock版)」に、レイトレーシングを実装する「Vanilla RTX」シェーダーを導入してベンチマーク。
過去の傾向を見る限り、マインクラフト(Bedrock版)はRTX 50シリーズに最適化されてません。負荷が軽いほどフレームレートが伸びず、RTX 40シリーズに逆転されがちです。
RTX 5090も例に漏れず、RTX 4090に逆に抜かされます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで負荷が増えると、RTX 5090が少しずつ性能を発揮し始めます。性能差はわずか+4%です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でようやくまともな性能差を見られますが、それでも+20%(約1.2倍)にとどまり、物足りない性能差に終わります。
VRChat

平均fps最低fps(下位1%)
ベンチマークの難しさで知られる、VRゲームの代表例「VRChat」をベンチマーク。グラフィック設定をすべて最大値にして、オブジェクト数が多くGPUに負荷が集中しやすいワールドを使います。
フルHDの場合、RTX 5090はRTX 4090を+9%上回るだけでした。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで性能差が開いて、RTX 5090がRTX 4090を+22%(約1.2倍)上回る性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でさらに性能差が開きます。
RTX 5090はRTX 4090をなんと1.6倍近く(+58%)も上回る驚異的な性能差です。意外にも消費電力は約520 Wほど、TGP比90%で少し余力を残しています。
CPUボトルネックの影響も考えられますが、RTX 4090をコア数以上に超えている性能差を見るに、VRAMの物理帯域幅が要因です。
RTX 5090が毎秒1787 GB、RTX 4090は毎秒1010 GBで、約1.8倍の開きがあります。フレームレートの差が約1.6倍だから、やはりVRChatにおいてVRAMの物理帯域幅は効果てきめん。
【おまけ】定番ベンチ「3DMark」の比較スコア

4K解像度(3840 x 2160)で動作する重量級ベンチマーク「Steel Nomad」のGPUスコアを比較しました。
RTX 5090が約14200点で、RTX 4090は約9100点です。両者の性能差が理論上1.5~1.6倍になる可能性を示していますが、あくまでも理論値に過ぎません。
実際に1.5~1.6倍の性能差を示したゲームは、シティスカ2(4K)とVRChat(4K)の2タイトルだけ。個人的に3DMarkスコアをアテにしてないです。
ゲームタイトル次第で実際の性能は大きく変わってしまう可能性が高く、Steel Nomadなど理論値スコアはざっくりとしたイメージ図と捉えた方が、精神衛生的に安全です。
RTX 5090の平均ゲーミング性能
平均フレームレートを比較(20ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
ベンチマークした全20個のゲームから、RTX 5090の平均パフォーマンスを計算したグラフです。
RTX 5090のフルHD性能は、RTX 4090をたった+7.5%高いだけです。電力プロファイルを450 Wに制限しても、ほぼ同じフレームレートを得られます。

平均fps最低fps(下位1%)
RTX 5090のWQHD性能はRTX 4090から+14.9%の伸びです。450 W制限時も誤差程度にとどまり、CPUボトルネックの影響を色濃く受けています。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でRTX 5090の本領発揮です。RTX 4090から+25.5%の伸びを記録します。450 W制限で+19%の伸びに鈍化します。
VRAM物理帯域幅の向上により、一部のゲームタイトルでワットパフォーマンスがやや改善します。
一応、レビュー時点の新品価格ならRTX 5090とRTX 4090のコストパフォーマンスが拮抗しますが、1.2~1.3倍のネイティブ性能差に6~8万円を払うのは少し難しい印象がありそうです。

【ラスター】平均fpsを比較(16ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
「レイトレーシング」のデータを差し引いた、ラスタライズ性能(非レイトレ性能)の平均パフォーマンスです。
RTX 5090とRTX 4090のラスタライズ性能差は+7.4%程度。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDのラスタライズ性能で+14.3%の性能アップです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度で性能差が拡大し、RTX 5090がRTX 4090を+25.7%も上回ります。
【レイトレ】平均fpsを比較(4ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
レイトレーシングだけに絞った平均パフォーマンスも見てみましょう。
レイトレ有効でもフルHDだとCPUボトルネックから逃れられず、RTX 4090から+7.8%程度の渋い結果にとどまります。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDのレイトレ性能です。RTX 5090がRTX 4090を+17.5%ほど高いフレームレートです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度のレイトレ性能です。RTX 5090はRTX 4090を+24.5%上回る性能を発揮します。
RTX 5090のAIアップスケーリング性能
最新のAI超解像モデル「DLSS 4」に対応
超解像 | NVIDIA DLSS (Deep Learning Super Resolution) | AMD FSR (FidelityFX Super Resolution) | Intel XeSS (Xe Super Sampling) |
---|---|---|---|
最新世代 | Transformerモデル | CNN + Transformerモデル | 機械学習 + フレーム生成対応 |
1世代前 | CNNモデル + フレーム生成対応 | フレーム生成対応 | 機械学習で超解像 |
2世代前 | 機械学習(CNN)で超解像 | 機械学習なし (前後参照の動き検出) | – |
3世代前 | 機械学習なし (Lanczosフィルタ) |
フレームレートを底上げする超解像(アップスケーリング)機能として、RTX 50シリーズは最新モデル「DLSS 4(Deep Learning Super Resolution 4)」に対応します。
NVIDIAが大金をかけて用意した莫大な量のデータセット(学習用データ)を、Transformerモデルを用いて学習させて作り出した、最新のAI超解像モデルです。
従来のCNNモデルを使ったDLSS 3世代と比較して、Transformerモデルを使ったDLSS 4世代ではネイティブ画質に近い品質でアップスケーリングが可能とされています。
しかも、ゲーム次第でネイティブ画質以上の品質に超解像できるらしく、「画質を妥協して性能を稼ぐ」から「画質のためにあえて有効化する」機能に進化しました。
DLSS 4によるAI超解像を適用すると、HD(1280 x 720)~ フルHD(1920 x 1080)相当の軽い負荷だけで、実質4K(3840 x 2160)ゲーミングを動かせます。
ネイティブ画質で平均60 fpsギリギリだった超重量級ゲームも、DLSS 4超解像なら平均120 fpsや平均240 fpsも視野に入る圧倒的な性能です。

誤解が多いので念のため解説します。
世代 | DLSS 4 SR (AI超解像) | DLSS MFG (マルチフレーム生成) | DLSS FG (フレーム生成) |
---|---|---|---|
RTX 50 | 対応 | 対応 | 対応 |
RTX 40 | – | ||
RTX 30 | – | ||
RTX 20 |
最新のAI超解像モデル「DLSS 4」を使った超解像(SR)は、すべてのGeForce RTXシリーズで対応済み。AI特化型コア(Tensor Core)が入ってるGeForceなら、基本的にDLSS 4を使えます。
一方で、「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」は現時点でRTX 50限定機能です。
従来世代からある「DLSS FG(フレーム生成)」は、RTX 40とRTX 50が対応します。
「DLSS 4」と他社の超解像モデルで画質を比較
「DLSS 4」「DLSS 3」「FSR 4」「FSR 3.1」に対応している「サイバーパンク2077」で、パフォーマンス品質の超解像とフレーム生成(2X)を入れて、分かりやすい比較画像を用意しました。
ネオンの細いラインに画質の違いがハッキリと出ます。従来世代「DLSS 3」だと、階段状のジャギーが大量に目立っていて画質が悪いです。
最新モデル「DLSS 4」なら、ジャギーがまったく発生せずヌルヌルと直線を再現できます。
ライバルの最新モデル「FSR 4」と比較してみても、やはりジャギーの少なさはDLSS 4が圧倒的です。
アスファルトのディティール表現に注目します。
テクスチャの明瞭感に若干の差が生じていて、DLSS 4ならピントが一致したような、くっきり明瞭パキッとした画質に見えます。
FSR 4と比較しても、DLSS 4の方がさらにシャープな描写に仕上がっている印象です。
奥の方に見えるガードレールのりんかく線や、反射光に頻出する階段状ジャギーも大幅に軽減されています。
AI超解像が再現に失敗しやすい規則正しいテクスチャの表現をチェック。
左側にあるオレンジ色のテキストに注目すると、各モデルの性能差が丸わかりです。DLSS 4がもっともピントが一致した、解像感の高いテキストをきちんと表示できます。
右側の下から上へ一定速度で流れているコードログも興味深いです。規則正しく動いているテクスチャの再現性能において、DLSS 4が明確に別次元の領域だと見て取れます。
FSR 4はテキストをぐちゃぐちゃと謎言語に変換しているし、DLSS 3はコードの流れに違和感が残ります。
若干分かりづらいシーンです。DLSS 4とFSR 3.1の比較なら、ピンボケ感が緩和されて解像度の高い映像に見えます。
しかし、DLSS 3との比較は少し微妙な印象で、言われてみれば若干シャープネスが増した感がある程度。
「24時間営業」の背後にあるタイル張りの壁面が分かりやすいです。
タイルのつなぎ目とネオンの反射光の再現性に若干の差が生じます。奥の方に見えるネオンチューブのぼんやり感は、DLSS 4が明らかに優秀です。
「モンスターハンターワイルズ」も一応チェックします。
ハンターの髪、背中に背負っている武器のりんかくやテクスチャなど、DLSS 4のほうがクッキリとシャープネスな仕上がりです。
FSR 4と比較しても、DLSS 4が明確に高画質です。
細かい背景描写をチェック。
正直なところ、かなり微妙な差です。FSR 3.1が目立って酷い画質だと分かりますが、FSR 4やDLSS 4の性能差は正直なんとも言えません。
FSR 3.1だけが顕著にひどい画質です。DLSS 4やFSR 4の差は言われてみれば程度にしか変わらない印象。

超解像 + フレーム生成時の平均fpsを比較
今回ベンチマークに使った20本のゲームから、「FSR 4」と「DLSS 4」どちらも使える2本のゲームを使って、超解像 + フレーム生成時の性能を検証します。
- モンハンワイルズ
(DLSS 4対応 / FSR 4オーバーライドで対応) - サイバーパンク2077
(DLSS 4対応 / FSR 4オーバーライドで対応)
モンハンワイルズとサイバーパンク2077は、DLSS 4に正式対応済みです。ゲーム画面設定から「DLSS 4」を選択するだけで有効化できます。

平均fps最低fps(下位1%)
超解像 + フレーム生成を加えると平均200 fpsを超えます。しかし、RTX 5090よりはるかに安価なRX 7900 XTXやRX 9070 XTと1割くらいしか差がないです。
モンハンワイルズがRadeonに有利なゲーム、かつ「DLSS 4」が「FSR 4」より負荷が重たいため、フレームレートの伸ばしやすさで不利です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでも性能差は約24%にとどまり、正直やや期待ハズレなフレームレートです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度からRX 7900 XTXやRX 9070 XTを約1.4~1.5倍ほど引き離し、RTX 4090に対して約1.2倍のフレームレートです。

平均fps最低fps(下位1%)
ネイティブ解像度で平均140 fps前後だったサイバーパンク2077は、AI超解像とフレーム生成の力を借りて平均290 fps(2倍超)に跳ね上がります。
RTX 5090は、平均フレームレートでRTX 4090を約18%上回ります。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでさらに性能差が拡大し、RTX 5090がRTX 4090より+27%(約1.3倍)も高い性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度も凄まじい性能を叩き出し、RTX 4090に対しRTX 5090が+31%(約1.3倍)も上回ります。
レイトレ(ウルトラ品質)のサイバーパンク2077が、4K解像度で平均200 fps近くまで伸びています。
フレーム生成をさらに強化する「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」を使えば、4Kで240 fps超の世界も十分に可能です。
「マルチフレーム生成(DLSS MFG)」適用時の性能

RTX 50シリーズ限定機能「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」を軽くチェックします。
今回テストした20本のゲームで、正常動作が可能なDLSS MFG対応タイトルは「サイバーパンク2077」だけです。
まだまだ普及率と実装に課題があり、RTX 50シリーズの主要な強みとして推すにはイマイチ訴求力に欠けます。

平均fps最低fps(下位1%)
RTX 5090にフレーム生成(DLSS FG)を適用して、平均200 fpsに達します。
マルチフレーム生成(DLSS 3x MFG)モードで平均280 fpsまで一気に伸びて、RTX 4090にダブルスコア(約2.1倍)もの驚異的な性能差で圧勝します。
さらに中間フレームを3枚生成する(DLSS 4x MFG)モードを入れて、平均350 fpsまで底上げ。RTX 4090を約2.7倍も超える文句なしの性能差です。
歴代のフラグシップモデルと比較すると・・・
- RTX 4090(DLSS FG対応):約2.7倍(+167%)
- RTX 3090(DLSS FG非対応):約9.0倍(+801%)
- RTX 2080 Ti(DLSS FG非対応):約13.4倍(+1239%)
文字通り、飛躍的な向上幅と評価できます。
サイバーパンク2077のように、適切に実装されたDLSS MFG(マルチフレーム生成)なら、4x MFGでも違和感なくプレイ可能です。
レイトレの入った高画質な4Kゲーミングがヌルヌル動いて強烈です。
フレーム生成の原理的に入力遅延こそほとんど変わらないですが、競技性を要求されないソロゲーを楽しむ分には、ほとんど問題ないです。

RTX 5090のクリエイティブ性能を比較
ここからは、グラフィックボードのベンチマークで見過ごされる傾向が強い「クリエイティブ性能」を詳しくテストします。
クリエイティブ性能に影響するスペックを確認します。
GPU | RTX 5090 (Blackwell世代) | RTX 4090 (Ada Lovelace世代) |
---|---|---|
VRAM帯域幅 | 1787 GB/s | 1010 GB/s |
FP16 / 演算回数 | 104.8 TFLOPS | 82.6 TFLOPS |
FP8 / 演算回数 | 209.6 TFLOPS | 165.2 TFLOPS |
INT8 / 演算回数 | 838.4 TOPS | 660.8 TOPS |
INT4 / 演算回数 | – | 1321.6 TOPS |
FP4 / 演算回数 | 3353.6 TOPS | – |
RTX 5090の理論性能は104.8 TFLOPSです。RTX 4090から約27%しか伸びておらず、純粋な計算性能が意外と伸びていない印象を受けます。
RTX 50シリーズ(Blackwell世代)から扱えるようになった「FP4」方式も、ソフト側が対応していなければ無用の長物に過ぎず、多くの一般人にとって得られる恩恵は少ないでしょう。
あまり過度な期待はせず・・・基本的なクリエイティブタスクを一通り動かしてみて、ちゃんとスペックどおりの性能差が出るか検証です。
GPUレンダリング

定番のGPUレンダリングソフト「Blender」を使って、RTX 5090のレンダリング性能をベンチマーク。
RTX 5090が約15200点で過去最高スコアを更新し、RTX 4090を約34%上回ります。
なぜか電力を450 Wに絞ってもスコアはまったく同じです。
Blenderスコアの内訳です。
monster / junkshop / classroomすべての項目でRTX 5090が最高の記録です。

AIイラスト生成(Stable Diffusion)

AIイラスト生成ソフト「ComfyUI」を使って、Stable Diffusion XLやQwen Imageの生成スピードを検証します。
一般的に「iterations / seconds(1秒あたりのステップ数)」が指標として扱われますが、意外と長いVAEデコード時間が含まれないため、しばしば誤解を招く要因です。
よって本記事では、生成にかかった総時間(Prompt executed)を性能指標に使います。
- GeForceシリーズ:NVIDIA CUDA
- Radeonシリーズ:AMD ROCm
- Intel Arcシリーズ:Intel XPU
GeForceシリーズは「CUDA」版、Radeonシリーズは「ROCm(The Rock Wheel)」版を使います。
詳しいテストスペックは「AIイラストベンチマークの環境設定」を参照してください。

Novel AIが配布している初代Novel AI(nai-anime-v1-full)モデルを使って、定番のアスカベンチマーク(512 x 512)をテスト。
RTX 5090はわずか約3.9秒(1枚あたり0.4秒)で生成を終え、RTX 4090より約37%速い生成スピードです。

今もなお主流の「SDXL 1.0」モデルを使って、定番の解像度「832 x 1216」を一度に10枚生成します。
RTX 5090は約21.8秒で生成を完了、1枚あたり2秒で出てくるからプロンプトの試行がサクサク快適に進みます。
これほど異常な速さだと、他人にわざわざ「◯◯を出したいけどプロンプト分かる?」と質問する必要性も消滅します。
自分で試したほうが何十倍も速いです。とにかく同じ時間に打てる回数が桁違いに増えるので、一度体感するとRTX 3060やRTX 5070に戻れないです。
テストパターン別に結果まとめ ※クリックでグラフ拡大 | |
---|---|
ControlNetを適用 一度に5枚生成 | Hires.Fix(超解像) 1664 x 2432にアプスケ |
![]() | ![]() |
Hires.Fix(4K超解像) 3840 x 2160にアプスケ | 最新モデル生成 Qwen Image Q3で生成 |
![]() | ![]() |
パターンごとのテスト結果をまとめて掲載します。
構図を指定する「ControlNet(AnyTest v4)」適用時、RTX 5090はRTX 4090より約1.5倍(+49%)高速です。
ディティールを加えながらイラストを高精細化する「Hires.Fix(ControlNet Tile併用)」適用時、RTX 5090はRTX 4090より約1.3倍(+28%)高速です。
さらに4K解像度へHires.Fixすると、RTX 5090はRTX 4090を約1.5倍(+54%)も速く処理を終えました。
- RTX 5090 FP4:5.2秒(+193%高速化)
- RTX 5090:9.3秒(+63%高速化)
- RTX 4090:15.2秒(+0%)
最新の画像生成モデル「Qwen Image」は、RTX 5090がRTX 4090より約1.6倍(+63%)も高速で、FP4方式(Nunchaku)を使うと約3倍(+193%)に爆速化・・・。
FP4方式に対応すれば、Qwen ImageやFLUX.1など超大型モデルをまるでSDXL 1.0モデルのような感覚で扱えます。RTX 5090は最新モデルを超ハイスピードで動作可能です。

AI動画生成(Wan2.2)
AI生成ソフト「ComfyUI」を使って、定番の動画生成モデル「Wan2.2」の生成スピードを検証します。
画像と同じく動画も、性能指標は生成にかかった総時間(Prompt executed)です。
- GeForceシリーズ:NVIDIA CUDA
- Radeonシリーズ:AMD ROCm
- Intel Arcシリーズ:Intel XPU
GeForceシリーズは「CUDA」版、Radeonシリーズは「ROCm(The Rock Wheel)」版、Intel ARCシリーズは「Intel XPU」版を使います。
モデルサイズはすべて「Q6_K.gguf」固定です。
比較的大きなサイズのモデルですが、軽量動作なKijai版ワークフローを採用し、幅広いグラフィックボードでWan2.2をなんとか動かす努力をします。
VRAM容量の過不足に合わせて「Blocks To Swap」オプション値を調整したり、テストの開始と終点で詰まるようならVAEエンコード & デコード分割タイルモードも入れています。
詳しいテストスペックは「【Wan2.2】AI動画ベンチマークの環境設定」を参照してください。

360p相当の粗い解像度(416 x 416)、長さ5秒(81フレーム)の動画をWan2.2で生成しました。
RTX 5090は約39秒、RTX 4090は約53秒です。約1.4倍(+36%)の性能差でRTX 5090が勝利します。
パターンごとのテスト結果をまとめて掲載します。
480p相当(800 x 448)なら、RTX 5090が約69秒ほど、RTX 4090は93秒です。約1.4倍(+36%)の性能差です。
720p相当(1280 x 704)はVRAM容量16 GBが足切りラインです。RTX 5090は難なく処理して約180秒、RTX 4090は約225秒でした。
AI動画生成性能は約1.3~1.4倍の伸びにとどまり、おおむねスペック通りの性能差です。
参考までに、動画版Nunchaku(FP4)が登場した場合、おそらく約2.5倍(+150%)程度まで伸びる見込みです。
AIテキスト生成(ollama)
ローカル環境で動くChatGPTをベンチマークします。生成ソフトに「ollama」、生成モデルは「DeepSeek-R1-Distill-Qwen(GGUF版)」です。
「モンハンワイルズにおすすめなゲーミングPCについて約6000文字で解説してください」と英語で質問して、1秒あたりの回答スピード(token/s)で比較します。
なお、RX 9000シリーズは「LM Studio」を使って生成します。Radeonの場合、ollamaで動かすよりLM Studioの方が処理速度が速いです。

軽量な8Bモデルの場合、RTX 5090はRTX 4090に対して約1.4倍(+39%)も速い回答スピードです。
LLM(AIテキスト生成)において、生成モデル本体がVRAM容量に入り切っている限り、CUDAコア数とVRAM帯域幅で勝負が決まります。
RTX 5090とRTX 4090どちらも8Bモデルを完全に収納できますが、性能差は意外と開いていないです。処理が軽いと大規模なコア数をうまく使えない傾向がありそうです。

標準的な14Bモデルを検証します。
RTX 5090はRTX 4090より約1.5倍(+50%)高速です。軽量な8Bモデルより速度が出ています。

重量級の32Bモデルもテスト。
RTX 5090はRTX 4090より約1.6倍(+60%)高速です。毎秒1 TB(1010 GB/s)から1.8 TB(1787 GB/s)に強化されたVRAM性能がよく効いています。
4K素材で動画編集

Premiere Pro CCに4K動画素材を入れて、Puget Benchスクリプトでベンチマークした結果です。
RTX 5090の総合スコア(Overall Score)は約14800点で、RTX 4090よりわずか3%速いだけでした。
しかも、消費電力を450 Wに制限すると逆にスコアが上がる傾向も確認できます。それぞれ3回テストして同じ傾向です。
大量のコア数がものを言いそうな、エフェクト処理(GPUエフェクト)ですら、RTX 4090と僅差です。
VRAM容量24 GBでも足りないくらい巨大な動作素材を扱わないなら、RTX 4090で十分な性能と言えそう。

ハードウェアの性能をゴリゴリと使ってくれる無料の動画編集ソフト「Davinci Resolve Studio」を、Puget Benchスクリプトでベンチマーク。
RTX 5090の総合スコア(Overall Score)は約12200点で、RTX 4090を約13%上回るスコアです。
LongGOP形式の処理でRTX 5090が従来比+28%の性能アップを遂げ、LongGOPが得意なRX 9000勢に肉薄します。
エフェクト処理は大規模なシェーダー数で圧倒し、RTX 4090から約1.4倍(+39%)に跳ね上がりました。一方で、Fusion処理はほとんど誤差程度でまったく伸びないです。
RAW写真のAIノイズ除去

(歪曲収差で歪んでしまった直線も復元)
「DxO PureRAW」を使って、RAW写真のノイズ除去をベンチマークします。
PureRAWに搭載されている生成モデル「DeepPRIME XD2s」は、インターネット不要のローカル環境で使えて、そのうえ凄まじいノイズ除去と歪み補正を高速でバッチ処理できる優れたモデルです。

Sony a7CIIで撮影した3300万画素のRAW写真(5枚)から、ノイズと歪みをAI除去するのにかかった時間です。
一定ラインのグラボ以上でタイムが飽和します。RTX 5090がRTX 4090より1割ちょっと速くなった程度で、スペックに見合った性能差は出ないです。
DxO PureRAWが複数バッチ処理に対応していれば、また違った結果が得られそうですが、今のところシングルキュー処理のみ対応。
1枚ずつ順次実行するので、大規模なシェーダー数やVRAM帯域幅をイマイチ活かしづらい環境です。
動画エンコードの速度
動画エンコードの処理速度(1秒あたりの変換フレーム数 = fps)をベンチマークします。
- GeForce:NVEnc
github.com/rigaya/NVEnc/releases - Radeon:VCEEnc
github.com/rigaya/VCEnc/releases - Intel Arc:QSVEnc
github.com/rigaya/QSVEnc/releases
rigayaさんが公開している各エンコーダに対応する動画変換ソフトを使って、動きが激しいゲームプレイ中の録画動画をエンコードします。
なお、エンコード設定は「品質(VMAFスコア)」で正規化して、圧縮率(実効ビットレート)も可能な限りそれぞれ近づけています。
同じ変換品質かつ近い圧縮率でエンコードした場合の処理速度を比較します。

大手配信サービス「NETFLIX」が開発した、エンコード前後の劣化具合を数値化するスコアが「VMAF(Video Multimethod Assessment Fusion)」です。


動きが激しいシーンで頻発しやすいブロックノイズやディティール潰れを検出すると、VMAFスコアが大幅に下がります。
エンコード速度が速くてもVMAFが低ければ意味がないし、逆にVMAFが高くてもエンコード速度が遅くても困ります。だからエンコード速度を正確に比較するために、VMAFスコアを揃えた設定でテストしました。

昔ながらの「H.264」形式エンコードです。
歴史的にGeForceシリーズはH.264エンコードを軽視していて、まったく最適化する気なし。
複数のエンコーダーを並列化してエンコード速度を加速化する「分割エンコード」も、rigayaさんのブログいわく「H.264に限って非対応」です。
しかし、なぜかRTX 5090は妙にH.264エンコードが速いですし、実際に3基のエンコーダーがすべて同時に稼働します。
なお、3基のエンコーダーを使っても・・・ H.264にすごく最適化されているRX 9000シリーズには届かないです。

ゲームの録画で重宝されている「HEVC」形式エンコードです。
3基のエンコーダーを使った「3分割エンコード」を有効化して、RTX 5090はRTX 4090に対して約1.4倍(+42%)まで加速化します。
GeForceシリーズはH.264と同様にHEVCの最適化もそれほどやる気が無いです。HEVCに最適化されているRX 9000シリーズに、あと一歩及ばず惜しい結果に。

H.264形式より格段に圧縮率が高い最新規格「AV1」エンコードです。
RTX 5090のAV1エンコード速度は、従来比(RTX 4090)で約1.4倍(約38%)も高速化しています。RX 9000シリーズに対して約1.7倍もの速度です。
デコーダー側の負荷次第で性能差が広がったり縮んだりしますが、H.264とHEVCエンコードはRadeon有利、AV1エンコードでGeForce有利な傾向です。
動画エンコードの変換品質(VMAF)
動画エンコードの変換品質(VMAFスコア)を、ビットレートごとに調べます。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
エンコード速度が80 fps前後になるよう設定を正規化してから、実効ビットレートごとのVMAFスコアを散布図(scatter plot)にプロットしました。
RTX 5090は従来と同じテスト方法に加え、3分割エンコードを使った場合の画質もチェックします。高速化した分、重たい設定を適用して品質を伸ばせないか、どうしても興味が尽きなかったので。
結局のところ、3分割エンコードを使えば速度が上がるものの、圧縮率が逆に悪化します。
基本的にRTX 5090(Blackwell世代)のH.264エンコードは画質がほとんど向上しません。低ビットレート領域の画質も伸びづらいです。
NVIDIA自身もH.264エンコードの画質改善にまったく力を入れていないですし、大差なくて当然な気がします。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
RTX 5090(Blackwell世代)のHEVCエンコードは、ビットレート16000 kbps以下で若干の改善です。
NVIDIAいわく+5%の改善です。今回のテストでは+1~8%の画質アップで、ゲーム配信でよく使うビットレートに絞ると平均+6%に達します。
RDNA 4世代のHEVCエンコードに危うく追いつかれそうでしたが、Blackwell世代の新型NVEnc(第9世代)で見事に引き離し、トップを独走中です。
なお、3分割エンコードを使うと品質が僅差ですが下がる傾向が見られます。重たいオプションを適用しても、実効ビットレートが下がってくれないので、当初の思惑からハズレてきました。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
AV1エンコードはRTX 50シリーズから「Ultra Quality」プリセットを使えるようになり、16000 kbps以下の低ビットレート領域で若干の画質向上が見られます。
4000 ~ 16000 kbpsの範囲で、+0.6~8.1%の画質アップです。平均5%の改善を実現し、NVIDIA公式発表の「同じ品質で5%以上の圧縮率」をざっくり確認できたかたちに。
RTX 50以外のグラフィックボードは、どんぐりの背比べです。
フルHDと4K解像度のテスト結果です。
H.264エンコードのみ目立ってRTX 5090が劣勢で、HEVCとAV1エンコードでトップ争いを展開します。
OBSでゲーム配信録画
定番のゲーム配信ソフト「OBS Studio(v31)」で、モンハンワイルズをYouTubeに配信しながら同時に録画もします。

OBSなし録画配信中
VRAM容量がきびしい状態で同時に録画と配信(OBS)を実行すると、フレームレートが乱高下したり、まったく安定しない場合が多々あります。
RTX 5090は容量32 GBものVRAMがあり、モンハンワイルズを4Kで動かしても十分に余裕があります。
フレームレートを少し落とすだけにとどまり、極めて安定性が高いです。

配信中のドロップフレーム数です。

(OBSの統計ログでドロップフレーム数を確認)
RTX 5090はドロップフレーム率0%で見事な配信です。
2分割~3分割エンコードを使って、4K(120 fps)録画や8K(120 fps)録画も可能です。

グラフィックスAPIの呼び出し回数
(単位:1秒あたり1万回)
参考程度に、RTX 5090のAPI呼び出し回数を測定しました。
DirectX11のシングルスレッドとマルチスレッドが平均的ですが、ゲーム性能にほとんど影響が出ないほど、すでに十分すぎる数値です。毎秒6000万リクエストくらい出ています。
DirectX12の呼び出し回数はRTX 50シリーズ全体でそこそこ伸びて、RTX 5090が過去最高となる毎秒1億1800万リクエストを叩き出します。
DirectX11と同様に十分すぎるほど高い数値です。毎秒9000万が1億2000万に増えても、実際のゲーム性能に与える影響はおそらく非常に軽微です。
最後にVulkan APIの呼び出し回数ですが、ほとんどのグラボが毎秒5000~6000万リクエストにとどまり、RX 9000シリーズだけ突出して多かったです。
なお・・・ベンチマークを開発したUL Benchmarkいわく、API Overheadは現行世代のGPUであれば数値が非常に高く比較として意味をなさない、としてベンチマーク自体が隠されています。

RTX 5090の消費電力を比較

(約20万円もする高価なワットモニター)
「Cybenetics PMD(Power Measurement Device)」を使って、グラフィックボードの消費電力をダイレクトに測定します。
グラフィックボードの付属ソフトや、フリーソフト「HWiNFO」を使えば、誰でもかんたんにグラフィックボードの消費電力をチェックできる時代です。
しかし、2024年頃から「PCIe 5.1」規格に対応するマザーボードが増えていて、マザーボード経由で最大165 W(12 V x 13.75 A)もの電力を供給できます。
仮にグラフィックボード本体が約300 Wを使っていたとして、マザーボード経由で165 Wも引っ張り出されると、ソフト読みに表示される消費電力は135 Wです。
PCIe 5.1規格の登場で、フリーソフトを使ったいわゆる「ソフト読み」の信頼性がPCIe 5.1以前よりも下がりました。

(PCIe x16スロットも見逃さない)
当ブログ「ちもろぐ」で使っているCybenetics Labs謹製PMDなら、PCIe 8 pin(12VHPWR / 12V-2×6)とPCIe x16スロットの消費電力を直接モニターできます。

(12VHPWR or 12V-2×6コネクタも対応)
電源ユニットの認証機関であるCybenetics Labsが制作しただけあって、肝心の性能と精度が抜群に優秀です。
- 測定周期:1秒あたり1000回(1ミリ秒)
- 電圧精度:1 mV(0.001 V)
- 電流精度:1 mA(0.001 A)
- 電力精度:1 mW(0.001 W)
1秒あたり1000回の測定回数で、瞬間的な消費電力の跳ね上がり(スパイク電力)を正確に捉えられます。
わずか0.001 Wの高い分解能により微弱な消費電力もきちんと測定して、PCIeスロット経由の消費電力やアイドル時の消費電力も追跡できます。
ゲーム時の消費電力とワットパフォーマンス

テストした20本のゲームプレイ中の消費電力(平均値)を比較したグラフです。
負荷が軽いフルHDの場合、RTX 5090は平均364 W消費します。450 W制限時で平均342 Wです。RTX 4090と比較して約26%増えました。

WQHDゲーミング時の消費電力はかなり増加して平均435 Wです。450 W制限時で平均396 Wです。
フルHDと同じく、RTX 4090から約28%増えました。

4Kゲーミング時の消費電力はさらに増えて平均528 Wに、450 W制限時で平均451 Wに達します。RTX 4090より約33%も多い消費電力です。
平均消費電力を平均パフォーマンスで割って、消費電力10ワットあたりのフレームレートを求めると、いわゆる「ワットパフォーマンス(電力効率)」を計算できます。
RTX 5090はCPUボトルネックの影響でフレームレートを伸ばしづらい環境だったり、32 GBもの巨大なGDDR7メモリと512 bit幅バスも電力をよく食うせいで、ワットパフォーマンスが逆に悪化します。
他のRTX 50シリーズと唯一真逆の傾向です。RTX 4090と比較して、フルHDで-15%、4Kでも-6%ほど効率が下がってしまいました。

フレームレート制限時のワットパフォーマンス

自由自在にfps制限ができる「RTSS」
Riva Tuner Statics Server(RTSS)を使って、ゲーム側の上限フレームレートをスライドしながら、グラフィックボードの消費電力をCybenetics PMDで記録します。

縦軸(x)が消費電力の実測値で、横軸(log)が実効フレームレートです。
まるで固定値オフセットが追加されたかのように、常にRTX 4090より一段階多い消費電力です。

フレームレートを消費電力で割って、1ワットあたりのフレームレート(ワットパフォーマンス)をプロットしたグラフです。
フレームレートを上げるほど、RTX 5090のワットパフォーマンスも上昇します。RTX 4090は途中まで上昇し、スイートポイントを超過すると急落する傾向です。
最終的にRTX 4090未満の電力効率で終わります。
アイドル時とエンコーダーの消費電力
ほとんどのPCゲーマーがあまり気にかけない、アイドル状態(何もしていない状態)の消費電力や、エンコーダー使用時(= 動画再生など)の消費電力をチェックします。
微弱な消費電力を検出できるCybenetics PMDを使って少し深堀りしてみます。

ゲーミングモニター(4K 120 Hz)を1台つないで、バックグランドアプリをタスクキルして、LANケーブルを引き抜いてシステムをインターネットから隔離します。
デスクトップ画面の何もないところをダブルクリックしてシステムをアイドル状態に落とし込んだら、別のパソコンからCybenetics PMDを使って消費電力を測定します。
RTX 5090は平均32.4 W(450 W制限:31.7 W)です。今まで測定したグラボでワースト1位を更新します。
何度も説明するように、おそらく容量32 GBものGDDR7メモリが原因です。最大600 Wを供給するために設計された、大掛かりなVRM設計(大量のMOSFET)も、待機電力を押し上げる原因に。

マルチディスプレイ時のアイドル電力もかなり多いです。
ゲーミングモニターを2台(4K 120 Hz + QHD 120 Hz)つないで、平均64.7 W(450 W制限:64.0 W)です。
RTX 4090から約2倍近くも増えてしまいます。
AMD FreeSync Premium(G-Sync互換)の有無や、リフレッシュレートや解像度の組み合わせ次第で、いくらでも消費電力が変動する可能性が高いです。
掲載したデータはあくまでも筆者の環境だけで得られたデータに過ぎず、他人の環境で再現する保証は一切ありません。
なお、自分で測定するときは必ずシステムの外部から測定しましょう。システムの内部だと、測定ソフト自体がアイドル状態への移行を妨げてしまい、一向にアイドル時の消費電力を測定できないです。
VLC Media Playerで、高画質なゲームプレイ録画映像を再生します。動画を再生中の消費電力を、別のパソコンからCybenetics PMDで測定しました。
RTX 5090はH.264 / HEVC / AV1形式のどれを再生しても平均80 W前後とかなり多いです。
少し変わったパターンの動画もテストします。上から順番に8K 60 fps / 8K 90 fps / フルHD 480 fpsの動画です。
8K(60 fps)とフルHD(480 fps)動画で平均80 W台、8K(90 fps)は平均100 W前後に乗ってしまいます。
動画エンコード時の消費電力もテストします。
エンコーダーが3基に増えた分、エンコード時の消費電力も大きく増加します。H.264とHEVCで平均130 W前後、AV1エンコードで平均150 W近くに達します。

スパイク電力をテスト(おすすめ電源ユニット)

(縦軸:消費電力 / 横軸:0.001秒ずつ測定)
グラフィックボードに変則的な負荷がかかると、瞬発的に消費電力が跳ね上がる「スパイク電力」が発生します。
近年の電源ユニットはスパイク電力を考慮して設計されているから、ほとんどの人はスパイクを気にする必要はありません。
しかし、スパイク電力が気になって仕方がないマニアなユーザーも少なからず存在するため、Cybenetics PMDで測定したミリ秒単位のスパイク電力を掲載します。

RTX 5090のスパイク電力はピーク時708 Wです。450 W制限時でピーク時565 Wに達します。
従来世代のRTX 4090から約150~170 Wもスパイク電力が増加します。強烈なスパイクで悪名高い、あのRX 7900 XTX以上です。
電源ユニットのピーク容量 | ||
---|---|---|
容量 / 世代 | ATX 2.x | ATX 3.x |
650 W | 880 W | 1300 W |
750 W | 1015 W | 1500 W |
850 W | 1150 W | 1700 W |
1000 W | 1350 W | 2000 W |
幸い、強烈なスパイク電力を前提に設計されたATX 3.0準拠の電源ユニットが主流です。RTX 5090が放つ600 W超のスパイク電力ですら、もはや怖くない新時代です。
CPUにCore i9 14900K(253 W)やRyzen 9 9950X(230 W)を使う前提でも、容量1000 Wの電源ユニットで十分に事足りるし、実際に筆者も1000 W電源で運用中です。

高負荷時のGPU温度とVRAM温度
グラフィックボードの温度やクロック測定は、基本的に使ったグラボの設計とチップの選別具合に左右されます。
まったく同じボード設計でも、GPU自体の個体差でクロックの伸びやすさや発熱度合いに差がどうしても出てくる可能性があります。
今回のRTX 5090レビューで使ったグラフィックボードは「ZOTAC GAMING SOLID OC」モデルです。
全長330 mmもの巨大なボード設計に、101 mm大口径トリプルファンをぜいたくに搭載した、ハイエンド仕様モデルです。チップ接触面にベイパーチャンバー機構も投入し、高効率で優れた冷却性能を発揮します。
定格ベースの廉価モデルよりも冷えやすく、温度が低めに出やすいです。
掲載するデータは筆者の環境とグラフィックボードで得られたもので、あくまでも参考程度に見てください。

崩壊スターレイルを4K解像度(最高グラフィック設定)で起動したあと、約60分そのまま放置しながらGPUコア温度を測定したグラフです。
GPU温度 | 平均値 | ピーク値(1%) |
---|---|---|
コア温度 | 79.4℃ | 79.7℃ |
VRAM温度 | 86.0℃ | 86.0℃ |
ホットスポット | 取得不可 | 取得不可 |
GPUコア温度とVRAM温度、どちらも80℃前後まで上昇します。
冷却ファンの風切音が聞こえる程度に回っている割に、やや冷えが悪い印象です。ボードデザイン自体が良くても、冷却ファンの性能があまり良くないパターンでした。
それでも上限温度(95℃)まで十分にマージンがあり、温度による性能低下(サーマルスロットリング)も発生しなかったです。


約60分間のGPUコアクロック周波数を追跡したグラフです。
ゲーム起動時に2902 MHzに達したあと、その後テストが終わるまでずっと平均2535 MHz前後を推移します。
メーカー公称値(2422 MHz)を約110 MHzも超えている、非常に高いブーストクロックを一貫して維持できる安定したクロック動作です。サーマルスロットリングも一切なし。

テスト中のフレームレート(fps)とフレームタイム(ms)です。
起動から1分程度まで、じわじわとフレームレートが下がって、その後に安定するグラフです。
つまり徹底的に冷やせば、フレームレートをいくらか伸ばせる余地がありそうな挙動ですが、動作音(騒音)を考えるとおすすめしません。
体感できるほどの性能差も無いです。

ブーストクロックの動作チェック | |
---|---|
最大値 | 2880 MHz |
ピーク値(1%) | 2880 MHz |
平均値 | 2752 MHz |
公称値(NVIDIA) | 2407 MHz |
公称値(GIGABYTE) | 2422 MHz |
GPUに極端な負荷をドカンとぶつけて、メーカーがスペック表に掲載している「ブーストクロック(Boost Clock)」を満たせるかチェックします。
結果は最大値で2880 MHz(ピーク値1%で2880 MHz)を叩き出し、リファレンス公称値(NVIDIA)とオリジナル公称値(ZOTAC)どちらもあっさり超えています。
【参考】450 Wモード時の温度やクロック

付属の変換ケーブルに、PCIe 8 pinコネクタを3本だけ接続すると「450 Wモード」で起動します。
RTX 5090をフルパワー(575 W)で運用するのが心理的に怖い場合、450 Wモードは一定の有用性があります。
450 Wに制限してもゲーム性能やクリエイティブ性能でRTX 4090を基本的に超えられるうえ、575 W時よりケーブルの発熱やボード本体の放熱量を大きく削減可能です。
バックプレートの最大温度は83℃ → 74℃に、12V-2×6コネクタの最大温度は95℃ → 78℃へ、コネクタ表面温度の全体的な分布で80℃ → 60℃台まで下がりました。
575 Wから450 Wに制限しただけで、劇的な冷却効果です。特にもっとも懸念している人が多い、12V-2×6コネクタの表面温度を大きく下げられます。
ちなみに、PCIe 8 pinに450 Wも流して大丈夫なのか、サーモグラフィーを見るとたった35~40℃程度です。12V-2×6コネクタと比較すれば、まったく気にする必要のない温度でした。

崩壊スターレイルを4K解像度(最高グラフィック設定)で起動したあと、約60分そのまま放置しながらGPUコア温度を測定したグラフです。
GPU温度 | TGP:450 W (平均値) | TGP:575 W (平均値) |
---|---|---|
コア温度 | 73.2℃ | 79.4℃ |
VRAM温度 | 81.8℃ | 86.0℃ |
ホットスポット | 取得不可 | 取得不可 |
GPUコア温度が約6℃、VRAM温度が約4℃下がります。
そこそこ聞こえていた冷却ファンの動作音も静かです。消費電力が下がると冷却性能に余裕が増えて、ファンを積極的に回さずとも十分に冷える様子です。

約60分間のGPUコアクロック周波数を追跡したグラフです。
ゲーム起動時に2902 MHzに達したあと、450 Wで維持可能なクロックまで下がります。その後テストが終わるまでずっと平均2175 MHz前後を推移します。
消費電力を575 W → 450 Wに制限した影響で、メーカー公称値(2422 MHz)を約250 MHzも下回ってしまいます。

テスト中のフレームレート(fps)とフレームタイム(ms)です。
GPUコアクロックが下がった分だけ、フレームレートも少し下がります。575 W時に平均110 fpsが、450 W制限で平均101 fpsへ約10%の下落です。
しかし、性能が1割下がってもRTX 4090(450 W)に対して約20~25%も高性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
もう一度あらためて、4Kゲーミング時の平均パフォーマンスをチェック。
575 W(定格)ならRTX 4090に対し+25.5%、450 W制限でも+19%の伸びです。ワットパフォーマンスも向上します。


まとめ:RTX 5090に追いつけるCPUが今後の課題

使い方 | 評価※ |
---|---|
FPSやeSports(競技ゲーミング) 主流のeSports系タイトルで300~600 fps台を狙える、非常に優れたフルHDゲーミング性能です。 | ![]() |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 最高峰の画質を誇るAI超解像「DLSS 4」とフレーム生成「DLSS FG」の組み合わせで、144 fps超のレイトレ4Kゲーミングを楽しめます。マルチフレーム生成(DLSS MFG)対応ゲームなら4K 240~360 fps、パストレーシングでも4K 120 fpsが現実になるライン。ただただ凄まじいゲーム性能です。 | ![]() |
ゲーム実況配信の安定性 H.264エンコードは貧弱ですが、3分割エンコードで速度を稼げます。HEVCエンコードはそこそこ品質がよく、AV1エンコードは速度と品質ともに最強です。Youtube配信と特に相性良く、Twitch配信も余裕でこなせます。VRAM容量32 GBの恩恵により、Radeonと同程度に配信時のフレームレート下落率を低く抑制可能です。 | ![]() |
プロの写真編集・動画編集 写真編集は目立った問題がありません。AIノイズ除去(DxO PureRAW)も速いです。Premiere ProやDavinci Resolveにおける、エフェクト処理とCG処理も文句なしに速い傾向あり。4K動画編集もこなせます。しかし、ソフト側の最適化がまだ未成熟なのか、RTX 5090の性能をフルに出し切れていないです。VRAM容量32 GBを除けば、RTX 4090と大差ない気がします。 | ![]() |
AIタスクの性能とサポート ハードウェア側のAI処理性能は依然として優秀です。ソフトウェアの対応も着実に進み、対応ソフトをインストールするだけですぐに生成を始められます。さらに奥の手「FP4」対応モデルなら、RTX 4090に対して3倍近い速度も可能です。 | ![]() |
ドライバの安定性と機能性 ドライバの安定性が「581.15」に来て、ようやく煮詰まってきました。予期しないクラッシュ、ブラックアウト(ドライバアウト)に一切遭遇しなかったです。機能性も充実していて、「DLSS 4オーバーライド」「Smooth Motion」「RTX HDR」「RTX Voice」「RTX VSR」など、ゲーム向け機能とコンテンツ向け機能が盛りだくさん。 | ![]() |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
「RTX 5090」のコストパフォーマンス

RTX 5090のコストパフォーマンスを、レビュー時点で買える価格で計算します。
Ryzen 7 9800X3Dを使っても、CPUボトルネックが深刻だったため、フルHD時のコスパはRTX 4090に届かないです。

同じ手順で、WQHD(2560 x 1440)ゲーミング時のコスパも計算します。
少しコスパの格差が狭まるものの、やはりCPUボトルネックの影響がかなり残っていて、RTX 4090にコスパで負けてしまいます。

4K(3840 x 2160)ゲーミング時のコストパフォーマンスです。
4KならRTX 5090とRTX 4090のコスパがほぼ同じに。「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」を考慮すると、RTX 5090の勝利です。
「RTX 5090」のデメリットと弱点
- Ryzen 7 9800X3Dでも
「CPUボトルネック」が発生 - 「DLSS MFG」対応ゲームが少ない
(DLSSオーバーライド機能でやや緩和できます) - アイドル時の消費電力は多い
- マルチディスプレイ時の消費電力も多い
- 12V-2×6コネクタの最大定格に不安あり
- ワットパフォーマンスが伸びない
- 決して “安くはない” 価格設定
「RTX 5090」のメリットと強み
- 最強クラスのゲーミング性能
- フルHD~8Kゲーミングまで対応
- 敵なしのレイトレーシング性能
(パストレーシング性能はライバル不在) - 最高峰の画質を誇る超解像「DLSS 4」
- フレームレート倍増「DLSS FG」
- フレームレート3~4倍「DLSS MFG」
- ドライバ型フレーム生成「Smooth Motion」
- 全体的に優れたクリエイティブ性能
- 簡単な導入かつ爆速なAI生成性能
- 高品質で最速な「AV1エンコード」
- 安定した配信性能
- ケーブル1本でOK「12V-2×6」対応
- 機能性と安定感あるドライバ(581.xx以降)
- 価格は高いですが・・・ ” 妥当なコスパ “
「RTX 5090」は、フルHDやWQHDよりも更に高解像度な4K~8Kまで対応可能な最強のゲーム性能に、敵なしと言っていいレベルの超広範な汎用性を兼ね備える唯一無二の旗艦グラボです。
RTX 50シリーズの頂点を極め、競合他社(RadeonやIntel ARC)を含めてもライバル候補すら見当たらない、真のフラグシップモデルに君臨しています。
予算に制限がなければ、十分におすすめできる価値あるグラボです。

筆者自身、RTX 5090を2枚買うほど気に入っています。
予算的に行けそうなら買ってしまって良い、少なくとも筆者はそう確信しているし、そもそも良いと感じてないグラボを他人に勧められるほど人間が出来てないです。
ただし、RTX 5090の導入にあたって注意点が3つあります。
- 【RTX 5090の注意点:その1】
フレームレートを引き出すには「CPU」が重要
あまりにもRTX 5090が速すぎて、ゲーム次第で4K解像度でもCPUボトルネックが発生します。基本的に、Ryzen 9 9950X3D(またはRyzen 7 9800X3D)推奨です。
目処はたっていないですが、もし9000X3D以上のゲーミングCPUが今後リリースされれば、そちらを推奨します。
- 【RTX 5090の注意点:その2】
容量1000 Wの電源ユニットが無難
ATX 3.0~3.1準拠の電源ユニットなら、容量750~850 Wでも動作可能ですが、電源容量カツカツで使うと動作音がうるさいです。
コストパフォーマンス重視で容量1000 W、予算が潤沢であれば容量1200 Wの電源ユニットをおすすめします。
- 【RTX 5090の注意点:その3】
「12V-2×6」コネクタをしっかり挿し込む
コネクタを奥までしっかり挿し込みます。一応、最新の12V-2×6コネクタは中途半端な挿し込みを検知して、グラフィックボードに電力を供給できない安全機構を搭載します。
それでも、ごくまれに溶融事例が出てしまっているため注意が必要です。
電力制限を掛ければ温度を低く抑えられますが、変な挿し方だとコネクタ内部の抵抗値に偏りが生じて、加速度的に加熱が進む場合があります。

フルパワー(575 W)でも制限モード(450 W)でも、必ず12V-2×6コネクタを根本まできっちり挿し込みます。

予算30万円台(30~40万円)でおすすめなグラボです。
ひとつ下の兄弟「RTX 5080(約18~19万円)」に物足りなさを感じる、今さらRTX 4090(2022年発売)に約30万円を払うのは微妙な気がする、趣味でローカル生成AIを始めたい。
などなど、少し感覚が上振れしてしまっているコアな方にRTX 5090が(たぶん)合っています。
以上「RTX 5090ベンチマーク:最強性能のグラボですが注意点3つ【RTX 4090と性能比較】」について、大量のベンチマークと解説でした。
本記事がRTX 5090とRTX 4090のどちらを選ぶか、結論を出すヒントになれば幸いです。


「RTX 5090」を入手する
筆者がメイン機で実際に使っているモデルが「Gainward RTX 5090」です。
定価モデルなので価格が安いときや、セール時におすすめ。約36~38万円くらいが目安です。
「MSI RTX 5090 Ventus OC」は、大人気の定価モデルです。最安値に近い価格設定ながら、メーカー保証2年が付属します。
今回のレビューで使用した「ZOTAC RTX 5090 SOLID OC」も、価格が安ければおすすめです。

定価モデルとしてはビルドクオリティが高いです。
クールな肉抜きデザイン、シャンパンゴールド色の金属フレーム、オールメタル製で放熱性に優れる強化バックプレート、控えめなLEDライティング。
ZOTAC製グラボで過去No.1デザイン(筆者の主観)です。
以下のショップリンクから、いろいろなRTX 5090搭載モデルを検索できます。
RTX 5090搭載のBTOパソコン
ゲーミング性能重視なら「パソコン工房 LEVEL R7」がおすすめです。
Ryzen 9 9950X3D(16コア32スレッド + 3D V-Cache)、メモリ容量64 GB(DDR5-5600)、容量1200 W電源を搭載します。
もう少し価格を抑えつつ、ランクの高い標準パーツにこだわるなら「ツクモ G-GEAR」がおすすめ。
CPUがRyzen 7 9800X3D(8コア16スレッド + 3D V-Cache)にランクダウンしますが、水冷式CPUクーラーやATX 3.1準拠の容量1200 W電源など。
全体的にパーツのグレードがやや高いです。追加料金で上位モデルの高速NVMe SSDに変更したり、カスタマイズの自由度も多め。
RTX 5090におすすめなゲーミングモニター
4Kで最大240 Hz、フルHDで最大480 Hz対応、マルチロール型OLEDゲーミングモニター「LG 32GS95UV」はかなりおすすめ。
ソロゲーで映像美を堪能するなら4Kモード、FPSゲームで競技性を追求するならフルHDモードと、用途に合わせて1台で切り替えるデュアルモード対応モデルです。
OLEDパネルで珍しい3~4年保証も付いてきます。RTX 5090にふさわしい1台です。

4K HDRゲーミングに没頭するなら「TCL 32R84」が目立った候補です。
本当に明るいHDR映像を楽しめる体験型ゲーミングモニターで、筆者は「RTX HDR」を併用して、鳴潮をHDR化して楽しんでいます。
OLEDパネルとまた違った世界観を体験できます。逆に言えば、HDRにさほど関心ないなら、OLEDを選んだ方がたぶんハズレないです。
カーブ型QD-OLED(量子ドット + 有機EL)パネル搭載、ゲーム没頭型OLEDゲーミングモニターが「DELL AW3225QF」です。
4K 240 Hz対応でRTX 5090に適任な1台です。LG 32GS95UVシリーズと悩ましいモニターですが、デュアルモード(フルHD)が不要であれば、AW3225QFで良さそう。
グラフィックボードのレビュー記事
記事中に掲載する場所がないので、ゲーム別消費電力はこちらに貼っておきます。
ちもろぐ調べ / 機材:Cybenetics PMD
ちもろぐ調べ / 機材:Cybenetics PMD
ちもろぐ調べ / 機材:Cybenetics PMD
TGP比100%に達するゲームが4Kでも少ないです。
Ryzen 7 9800X3Dを使っているのに、7~8割くらいしか能力を引き出せていない雰囲気があります。
あと、マルチディスプレイ時の消費電力はリフレッシュレートを一致させなければ、大幅に改善する可能性が高いです。120+120 Hzを160+120Hzなどにすると、シングル並の消費電力に減ります。それでもRX 9000と比較すると目立って多いので、今後のドライバアプデで改善して行って欲しいところ。
マルチフレーム生成時のフレームレートが化け物すぎる
今世代でAMDが大敗を喫した理由はこの辺の技術の遅れによるのが大きそう
RTX 50が在庫ない上に買ってもクソドライバだった数ヶ月は天下取ってたんだけどね…
総重量2.3kg
どうせPCI-eからの電力供給もほとんど考慮してないんだから、
そろそろ別規格をですね…補助ステー前提ってなんかおかしくね
いつになっても「4Kでボトルネックが出る」と言う文章を受け付けない
Inno3Dから出てる3スロ物が欲しいが安くても37.8万~だからなぁ・・・それに消費電力と重さがねぇ・・・妥協で5080Super(5070TiSuper)にするかな、値段次第だけど
リセットバグなんとかしてほしい
新品30万のRTX4090なんてあるの?
一時期価格コムに掲載されてたような。
あれは一体なんだったんだろう。
やっぱりコネクタあっちっちじゃないか。
RTX6000番台までにはグラボのコネクタとケーブル改良してもらいたいな。
それか先祖返りして8ピンでもいいけどな。
どのみち500W以下に抑えて使うから。
> ひとつ下の兄弟「RTX 5080(約18~19万円)」に物足りなさを感じる、今さらRTX 4090(2022年発売)に約30万円を払うのは微妙な気がする
まさにそんな感じで5090買いました。
スペックでは5080の2倍なんですが、実際に2倍出ることはないですね。
ゲーム等で使用しても、描画オプションてんこ盛りにすると思ったよりも性能が出ず、並列処理の効率限界のような印象を受けます。
とはいえ、5080は軽く越えてくるので、ながら作業には重宝してます。VRAM不足も日常でまず遭遇することがありません。
PCケース内に納めると、ケース内に300W~600W位の熱源ができるので、エアフロー盛らないとCPUが冷やしきれなくなります。空気が流れる程度の空間があるケースをおすすめします。
core i9 14900kfとかでもcpuのボトルネックが起こるのでしょうか?