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Photoshopにはどれくらいのグラボ(GPU)が必要なのか?

Adobe Photoshopはクリエイティブ系のソフトに分類されるため、しばしばクリエイター向けパソコンには割りとハイエンドなグラフィックボード(GPU)が搭載されがちです。しかし、実際のところPhotoshopにはどれくらいのグラフィックボードがあれば十分なんだろうか。

データに基づいて解説してみます。

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Photoshopはグラボにあまり影響を受けない

これから各種データで詳しく見ていくが、結論を先に言っておくとPhotoshopは想像で思っている以上にグラフィックボードの影響を受けない。

CPUの内蔵グラフィックスより別途グラボがあった方が遥かに効率が良いのは間違いないが、グラボの性能が上がれば上がるほど受けられる効果は少なくなっていく…そんな感じです。

テスト環境

テスト環境備考
CPUIntel Core i7 7700Kシングルスレッド性能が極めて高い一般向けCPU
メモリDDR4-2400 16GB*4 (64GB)
GPU各種
M/BASUS PRIME Z270-A
ストレージSamsung 850 Pro 1TBSATA規格のSSD(読み書きともに500MB/s超)
電源ユニットAntec 1000W 80+ PLATINUMハイスペックな電源
検証ソフトAdobe Photoshop CC 2017.0.1
OSWindows 10 Pro 64bit

CPUには前回「データでよく分かる、Photoshopに最適なCPUをまとめ」で結論が出たとおり、もっとも高い対費用効果(コスパ)を得られる4コア搭載の「i7 7700K」が採用されている。

あとは過不足なく必要なハードウェアで整えられた。メモリはDDR4規格の64GBと十分な容量(ちなみにPhotoshop単体では16GB使い切るのも意外と難しい)だし、ストレージも高速な読み書きが可能なSSD。

概ね、純粋にグラフィックボードがPhotoshopの動作に与える影響だけを観測できる。

検証に使われた画像は3億5900万画素(21500×16718)。これは処理に時間を掛けさせ、性能差をより分かりやすくするための施策です。

チルトシフト

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – チルトシフト

  • Quadro P6000 24GB
    27.3
  • Quadro P5000 16GB
    27.9
  • Quadro M6000 24GB
    27.8
  • Quadro M4000 8GB
    28.3
  • Quadro M2000 4GB
    29.7
  • Quadro K620 2GB
    33.8
  • Titan Xp 12GB
    28.0
  • GTX 1080 8GB
    26.1
  • GTX 1070 8GB
    27.4
  • GTX 1060 6GB
    27.7
  • GTX 1050 Ti 4GB
    28.8
  • GTX 1050 2GB
    28.5
  • Intel HD 630 1GB
    36.7

非常に驚く結果が出ている。グラフィックボードの性能が伸びれば伸びるほど、それに相関して処理時間も短縮されると思うのが当然だが実際にはこの通り。対して変わらない…。

虹彩絞りぼかし

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – 虹彩絞りぼかし

  • Quadro P6000 24GB
    28.0
  • Quadro P5000 16GB
    28.4
  • Quadro M6000 24GB
    28.5
  • Quadro M4000 8GB
    29.2
  • Quadro M2000 4GB
    30.5
  • Quadro K620 2GB
    34.9
  • Titan Xp 12GB
    28.5
  • GTX 1080 8GB
    26.9
  • GTX 1070 8GB
    28.1
  • GTX 1060 6GB
    28.4
  • GTX 1050 Ti 4GB
    29.6
  • GTX 1050 2GB
    29.3
  • Intel HD 630 1GB
    37.8

虹彩絞りぼかしでも同様の結果が得られた。ローエンドのGTX 1050とハイエンドのQuadro P6000で性能差はわずか3%しかない。コスト差に見合った性能差は得られないのである。

フィールドぼかし

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – フィールドぼかし

  • Quadro P6000 24GB
    25.2
  • Quadro P5000 16GB
    25.4
  • Quadro M6000 24GB
    25.6
  • Quadro M4000 8GB
    26.3
  • Quadro M2000 4GB
    27.7
  • Quadro K620 2GB
    31.8
  • Titan Xp 12GB
    25.6
  • GTX 1080 8GB
    24.0
  • GTX 1070 8GB
    25.3
  • GTX 1060 6GB
    25.5
  • GTX 1050 Ti 4GB
    26.4
  • GTX 1050 2GB
    26.5
  • Intel HD 630 1GB
    34.9

フィールドぼかしも同様だ。まったくと言っていいほどグラボの効果を得られていない。Quadro K620がGTX 1050程度に負けるのも驚きですね。

スマートシャープ

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – スマートシャープ

  • Quadro P6000 24GB
    4.1
  • Quadro P5000 16GB
    4.8
  • Quadro M6000 24GB
    5.3
  • Quadro M4000 8GB
    9.3
  • Quadro M2000 4GB
    17.5
  • Quadro K620 2GB
    22.3
  • Titan Xp 12GB
    3.8
  • GTX 1080 8GB
    4.1
  • GTX 1070 8GB
    4.3
  • GTX 1060 6GB
    5.5
  • GTX 1050 Ti 4GB
    7.7
  • GTX 1050 2GB
    8.3
  • Intel HD 630 1GB
    45.5

画像をよりシャープ(ノイズがぼけを除去する)にフィルタできるPhotoshop CCならではのスマートシャープではこのような結果に。これはグラボがちゃんと効いている感じがある。

塗りつぶし(樹木)

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – 塗りつぶし(樹木)

  • Quadro P6000 24GB
    9.9
  • Quadro P5000 16GB
    10.0
  • Quadro M6000 24GB
    10.0
  • Quadro M4000 8GB
    10.1
  • Quadro M2000 4GB
    10.1
  • Quadro K620 2GB
    10.2
  • Titan Xp 12GB
    10.8
  • GTX 1080 8GB
    10.2
  • GTX 1070 8GB
    10.6
  • GTX 1060 6GB
    10.6
  • GTX 1050 Ti 4GB
    10.6
  • GTX 1050 2GB
    10.6
  • Intel HD 630 1GB
    15.0

塗りつぶしで樹木をレンダリングできる機能ではまったくグラボの効果を得られず。このレンダリングはグラボが効くかと思ったが…まったく効果がないんだな。

雷エフェクトの描写

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – 雷エフェクトの描写

  • Quadro P6000 24GB
    7.3
  • Quadro P5000 16GB
    7.4
  • Quadro M6000 24GB
    7.5
  • Quadro M4000 8GB
    7.6
  • Quadro M2000 4GB
    7.7
  • Quadro K620 2GB
    8.3
  • Titan Xp 12GB
    8.3
  • GTX 1080 8GB
    8.1
  • GTX 1070 8GB
    8.4
  • GTX 1060 6GB
    8.5
  • GTX 1050 Ti 4GB
    8.5
  • GTX 1050 2GB
    8.6
  • Intel HD 630 1GB
    10.0

雷エフェクトの生成も、ほとんどグラボの性能から恩恵を受けられていない。

Camera Raw(フィルター)

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – Adobe Camera Rawでフィルター

  • Quadro P6000 24GB
    10.1
  • Quadro P5000 16GB
    10.0
  • Quadro M6000 24GB
    10.1
  • Quadro M4000 8GB
    10.0
  • Quadro M2000 4GB
    10.0
  • Quadro K620 2GB
    10.1
  • Titan Xp 12GB
    10.1
  • GTX 1080 8GB
    10.2
  • GTX 1070 8GB
    10.1
  • GTX 1060 6GB
    10.0
  • GTX 1050 Ti 4GB
    10.1
  • GTX 1050 2GB
    10.1
  • Intel HD 630 1GB
    10.5

Adobe Camera Rawを用いてフィルターを掛ける処理は全くGPUの効果が無い。「ハイエンドマシンなのに思ったより大したこと無かった。」という残念パターンに出会いやすいソフトと言える。

リサイズ(ディテール保持)

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – リサイズ(ディテール保持)

  • Quadro P6000 24GB
    3.2
  • Quadro P5000 16GB
    3.2
  • Quadro M6000 24GB
    3.2
  • Quadro M4000 8GB
    3.2
  • Quadro M2000 4GB
    3.2
  • Quadro K620 2GB
    3.2
  • Titan Xp 12GB
    3.2
  • GTX 1080 8GB
    3.2
  • GTX 1070 8GB
    3.2
  • GTX 1060 6GB
    3.2
  • GTX 1050 Ti 4GB
    3.2
  • GTX 1050 2GB
    3.2
  • Intel HD 630 1GB
    3.2

ディテールを保持したまま画像をリサイズさせる処理も、まったくグラボの効果がありません。見た目的にはがっつりGPUの仕事に感じられるのに、実際には別に大したことがなかったなんて…。

平均パフォーマンス

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – 平均パフォーマンス

  • Quadro P6000 24GB
    98.00
  • Quadro P5000 16GB
    96.33
  • Quadro M6000 24GB
    95.59
  • Quadro M4000 8GB
    90.97
  • Quadro M2000 4GB
    82.70
  • Quadro K620 2GB
    72.96
  • Titan Xp 12GB
    95.35
  • GTX 1080 8GB
    100.00
  • GTX 1070 8GB
    96.08
  • GTX 1060 6GB
    94.47
  • GTX 1050 Ti 4GB
    90.31
  • GTX 1050 2GB
    90.17
  • Intel HD 630 1GB
    58.26

最後に、それぞれの処理を平均化したパフォーマンスを確認します。Photoshopを使って一部の処理しか使わない人より、いろいろな機能を使う人のほうが多いはずだからね。

平均パフォーマンスに意味はあると考えた。こうして見るとハイエンドGPUはローエンドGPUよりも最大25%は高速で、内蔵グラフィックスよりグラフィックボードの方が効率が良いのは間違いないと分かる。

  • Photoshopのためにグラフィックボードを載せるメリットは大きい
  • しかしPhotoshopのためにハイエンドGPUを載せるメリットはほぼ無い

ということだ。ゲーミングのように価格差にそって性能差が出ているわけではないので、Photoshopにはコストに対して最も高い性能を得られるGPUを使うのが「合理的」な判断でしょう。

コストパフォーマンス

PhotoshopにおけるGPU別の処理効率 – コストパフォーマンス

  • Quadro P6000 24GB
    0.02
  • Quadro P5000 16GB
    0.04
  • Quadro M6000 24GB
    0.02
  • Quadro M4000 8GB
    0.122
  • Quadro M2000 4GB
    0.205
  • Quadro K620 2GB
    0.474
  • Titan Xp 12GB
    0.079
  • GTX 1080 8GB
    0.167
  • GTX 1070 8GB
    0.254
  • GTX 1060 6GB
    0.365
  • GTX 1050 Ti 4GB
    0.650
  • GTX 1050 2GB
    0.758
  • Intel HD 630 1GB
    0

平均パフォーマンスをMSRP(希望小売価格)で割った「コストパフォーマンス」を算出しました。Photoshop用に最適なGPUは「GTX 1050」または他の用途に余裕を持って「GTX 1050 Ti」あたり。

もちろん、ゲームはせずPhotoshopに用途が限定されるのならGTX 1050で問題ないだろうし、実はゲームも少しはするという人はゲーミング性能でコスパを見た時に変化がないGTX 1050 Tiが良い。

Photoshopにおすすめなグラボをまとめ

ここまでのデータに基づいて、最後にPhotoshopにおすすめなグラフィックボードをまとめて終わります。

コスパ重視で行くなら「GTX 1050」

もっともコスト的に最適な選択肢は「GTX 1050 2GB」だ。内蔵グラフィックスと比較して50%ほど処理を高速化できるし、その分CPUに余裕が生まれる。

自作歴16台のやかもち
Photoshop用にグラボを…ならGTX 1050で確定だね。

どうせ買うなら「GTX 1050 Ti」

2000円しか価格が変わらないが、ゲーミング性能は15~20%も違ってくるのが「GTX 1050 Ti 4GB」です。VRAM容量がしれっと2倍になっているのも見逃せないメリット。

自作歴16台のやかもち
まぁ…どうせ買うならGTX 1050 Tiで問題ないよね。

Photoshop用にそれ以上のグラボは無意味

GTX 1060やQuadro P6000など。この上には更に性能が優れたハイエンドGPUが立ちはだかるが、データで見てきたとおりコスト差に見合った性能差は全く得られない。

よって「想定している用途のほとんどがPhotoshopだ。」という人はGTX 1050 Ti以上のグラフィックボードは必要ありません。

やかもち
PhotoshopするならGTX 1080、とか言ってるサイトはやばいんだね?
自作歴16台のやかもち
間違ってはないけど、コスト的にありえない選択肢だもん…。

グラボにコストを掛けるならCPUに掛けるべきだ。

以上「Photoshopにはどれくらいのグラボ(GPU)が必要なのか?」について解説しました。

Photoshop向けのクリエイターPC

最近のBTOは価格帯が数万~20万くらいの範囲なら、自作した場合と比べてそこまでコストに差が出なくなってきた。

たとえば10万円くらいのBTOを自作した場合、7000円安く済んだ…とか。これが2万円くらい変わってくるなら悩みますが、その程度のコスト差ならBTOもオススメです。

自作が出来て自作が好きだ、という人は自作をやってしまえば良いんですけど「注文してサッサと届いて欲しい。」「プロに組み立てて欲しい。」と考えている人にはBTOだ。

raytrek debut! MX
CPUCore i7 7700(4コア / 3.60~4.2Ghz)
GPUGTX 1050 2GB
メモリDDR4-2400 8GB*2(16GB)
マザーボードIntel B250搭載(MicroATX)
SSDキャンペーンで変動(普段は無いのでカスタマイズから追加を)
HDD1TB
電源450W 静音電源(80+BRONZE)
保証1年間 持込修理保証

Photoshopに最適化されたマシンはこれ。「Raytrek Debut! MX」で、自分で組み立てた場合と比較して0.9~1.1万円くらいの差額しか無い。コスパはなかなか良いと思う。

というか、差額を10%以下にするのはどのBTOメーカーにとっても至難の業なので、BTOでこれ以上のコスパを求めるのはほぼ無理なんですよね…。おすすめです。

raytrek-V MH
CPUCore i7 7700(4コア / 3.60~4.2Ghz)
GPUGTX 1050 Ti 4GB
メモリDDR4-2400 8GB*2(16GB)
マザーボードIntel B250搭載(MicroATX)
SSDキャンペーンで変動(普段は無いのでカスタマイズから追加を)
HDD2TB
電源450W 静音電源(80+BRONZE)
保証1年間 持込修理保証

GTX 1050 Tiが良い、という人には「Raytrek-V MH」を。HDDが1TB→2TBへ増量されているのも違いです。

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15 件のコメント

  • あの、今回の記事と全く関係無いんですけど、
    corei5 8400とGTX1060(6GB)とメモリー8GBでPUBGってうごきますか?
    あと、マザーボードはなにを使うのよさそうですかね?

    • 十分に動きますよ~。Core i5 8400なら尚更大丈夫です。
      マザーボードは安価に行くなら今は「Z370 GAMING PLUS」がおすすめ。Z370搭載のマザーボードでは今のところ一番安価に手に入ります。

  • ありがとう御座います!
    また1月くらいに組もうと思うのですが何かアドバイス有りますか?

    • 2018年1月頃は、マザーボードの状況にだけ気をつければいいかと。正確な時期はまだ不明ですが、2018年Q1(1~3月頃)にはH370(=OCが出来ない廉価版)やZ390(=Z370よりハイエンドな仕様)など、Coffee Lakeに対応したチップセットが多数出てくる予定なので。

  • ありがとう御座います!
    この構成で12月くらいに組みたいと思いますが何かアドバイスとか有りますか?

    • 特に無いですが、すこし細かいアドバイスをするとメモリーの規格について。PUBGを想定しているなら、安価なDDR4-2133より、DDR4-2666など。少し欲張ってオーバークロックメモリーに手を出すのも悪くありません。
      PUBGはメモリーの速さによって、フレームレートが出やすくなる性質(特にPochinkiやYasnaya、Rozhokなど、都市部で恩恵がある)があるのでちょっと割高でも速いメモリーを使ったほうが良いと思います。
      個人的なおすすめは「CORSAIR VENGEANCE DDR4-2666 8GB*2」です。実際に使っていて安定動作中。

  • 昔はプラグインを使って、特定のビデオカードだと処理を加速する機能があったんですけどね…
    まぁ、しょぼいMacbookでもそれなりに動かないといけないんで仕方がないのでしょう

  • ありがとう御座います!
    参考にします。
    投稿ミスで2回同じの送っちゃいました。
    すいません!

  • 1050Tiなら、なくても同じ
    そもそも、検証方法がおかしい

    レイヤーやパスを大量に使っていて、
    複数見比べたり、同時に開いて作業を進めるときにこそ、グラボに価値が出る。

    単一のエフェクトなんか、cpuしか使わない処理をして、評価を下すのは知見の程度が知れるのでやめたほうがいいでしょう。

  • 最近のPhotoshopはAI処理が多いので、ノイズ除去等の速さにラデとゲフォで違いがあるか?とかグラボ別にベンチ等を知りたいです。
    お願いします。

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