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RTX 5090 / 5080 / 5070 Ti:RTX 50シリーズの性能と仕様を解説

GeForce RTX 50シリーズ(Blackwell世代)がついに登場。RTX 40シリーズ(Ada Lovelace世代)から約2年半ぶりの後継モデルです。

すでに正式リリースされた「RTX 5090」「RTX 5080」「RTX 5070 Ti」「RTX 5070」のスペック、性能、そして価格やコスパについて。本記事でわかりやすく解説します。

(公開:2025/1/15 | 更新:2025/1/15

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全部で4つある「RTX 50」シリーズ

これから約21000文字を使ってRTX 50シリーズを解説しますが・・・「長いよ!! 読んでられない。」という人向けに、「結論まとめ」から始めます。


RTX 50シリーズの発売日と価格は?

SKU
(型番)
発売日
(予想)
MSRP
(国内想定価格)
RTX 50902025年1月末1999ドル
(国内は約40万円~
RTX 50802025年1月末999ドル
(国内は約20万円~
RTX 5070 Ti2025年2月頃749ドル
(国内は約15万円~
RTX 50702025年2月頃549ドル
(国内は約11万円~

最上位モデル「RTX 5090」のMSRPが1999ドル、日本国内の想定価格は約40万円(税込)から。

2番目のグレード「RTX 5080」はMSRPが999ドル、日本国内で約20万円(税込)を想定しています。「RTX 5090」と「RTX 5080」の発売日はおそらく2025年1月末ごろです。

一般向けハイエンドモデルに位置づけられる「RTX 5070 Ti」「RTX 5070」はそれぞれ749ドルと549ドルで、日本国内の想定価格がそれぞれ約15万円と約11万円(税込)です。

具体的な発売日がまだ発表されておらず、過去のケースから2025年2月頃になると予想されます。

なお、従来世代(RTX 40)と違い今回(RTX 50)は過去モデルとの併売をしない方針です。すでに生産ラインをRTX 50向けに切り替えており、RTX 40は在庫がなくなり次第終息します。

NVIDIAが発表する希望小売価格「MSRP」には、各国の商習慣や税金を含まない理論値です。

日本国内の場合、MSRPに対して為替レート(ドル円)や為替手数料のほか、消費税(10%)も含まれます。さらに小売店や代理店の利益となるマージンも入るので、MSRPとの乖離が拡大する傾向です。

実際に計算してみましょう。

  • MSRP:1999ドル
  • ドル円:158円
  • 為替手数料:2%
  • 消費税:10%

1999ドルが約35.4万円に跳ね上がります。差額の4万円が小売店と代理店の取り分です。

なお、実際には楽天市場やYahooショッピングなど。ポイント還元の美味しい通販で販売される場合があり、ポイントでマージンを打ち消し、「逆ザヤ」レベルの価格で買えるチャンスが多かったです。

それでも北米ならMSRPそのままで販売される場合がけっこう多いですが、日本と市場規模が桁外れだから致し方ありません。

RTX 50シリーズのスペック(仕様)は?

スペックCUDAコア処理性能
(TFLOPS)
VRAM
RTX 509021760
(16384)
104.8
(82.6)
GDDR7:32 GB
(GDDR6X:24 GB)
RTX 508010752
(9728)
56.3
(48.7)
GDDR7:16 GB
(GDDR6X:16 GB)
RTX 5070 Ti8960
(7680)
44.4
(40.1)
GDDR7:16 GB
(GDDR6X:12 GB)
RTX 50706144
(5888)
30.8
(29.2)
GDDR7:12 GB
(GDDR6X:12 GB)

RTX 50シリーズとRTX 40シリーズの重要スペックをまとめました。( )内が従来モデルRTX 40シリーズの数値です。

最上位モデル「RTX 5090」を除いて、ほぼすべてのRTX 50シリーズでCUDAコア数が約4~17%の微増にとどまります。コア数から計算できる処理性能も伸びが悪く、せいぜい約6~15%程度です。

一方で、VRAMは全モデルでGDDR6X規格から最新のGDDR7規格に更新されます。VRAM速度が約3割も高速化され、性能が伸びづらかったWQHD~4Kゲーミング性能で性能アップを期待できます。

同じランク同士なら、おおむね性能アップです。RTX 5070がRTX 4070に負けたり、RTX 5080がRTX 4080に負ける可能性はほとんど無いでしょう。

各ランクごとに1段階ずつ性能が上がるイメージで、RTX 5090のみ過去最強の性能に達する見込みです。


RTX 50シリーズの性能とコスパは?

スペック処理性能性能アップコスパ
RTX 5090
($ 1999)
104.8 TFLOPS+27 %+2 %
RTX 4090
($ 1599)
82.6 TFLOPS
RTX 5080
($ 999)
56.3 TFLOPS+15 %+39 %
RTX 4080
($ 1199)
48.7 TFLOPS
RTX 5070 Ti
($ 749)
44.4 TFLOPS+11 %+18 %
RTX 4070 Ti
($799)
40.1 TFLOPS
RTX 5070
($ 549)
30.8 TFLOPS+11 %+15 %
RTX 4070
($ 599)
29.2 TFLOPS

搭載CUDAコア数とクロック周波数から処理性能(FP32)を計算して、価格に対するコストパフォーマンスをまとめました。

RTX 50シリーズは全体的に性能の伸びが地味ですが、(RTX 5090を除き)価格設定が50~200ドルも値下げされ、特にRTX 5080のコスパが大きく改善する予定です。

・・・ただし、日本国内はRTX 40発売当時よりドル円が大幅に円安に振れてしまっている影響で、せっかくの値下げを為替レートで打ち消してしまいます。

北米市場ならコスパが改善、日本市場はコスパが大差ない可能性がやや高いです。

なお、上記の性能はあくまでも処理性能(FP32)に基づいた理論値であり、実際のゲーミング性能はさらに上がる可能性もあります。

全モデルでVRAM帯域幅(速度)がおよそ3割も改善した影響があり、WQHD~4Kゲーミングで予想以上に高い性能アップをもたらすかもしれません。

NVIDIAの製品発表によると、RTX 5070はRTX 4090に相当する性能を持ちながら、わずか549ドル(RTX 4090より7割も安い)と発表しました。

非常にキャッチーで一般ウケのいい発表でしたが、残念ながら誤解を招く可能性が高い表記です。

さきほどのスペック比較を見てのとおり、RTX 5070の処理性能はせいぜい「30.8 TFLOPS」で、RTX 4090の「82.6 TFLOPS」に遠く及ばないです。

しかもVRAM容量が2倍も違ううえ、VRAMの速度も3割足りてません。どう見てもRTX 4090に相当する性能を出せるはずがないわけですが、実は注釈で小さく条件が記載されています。

  • DLSS 4(MFG)モード使用時にRTX 4090と並ぶ

要するに、RTX 50シリーズ限定で使える最新のフレーム生成機能「MFG(マルチフレーム生成)」を使えば、フレームレートが4倍以上に跳ね上がってRTX 4090に相当する・・・。

と言っているだけで、MFGを使わず普通にゲームを動かすだけならRTX 5070がRTX 4090に並ぶ可能性は皆無といっていいです。


RTX 50シリーズの技術的な進化は?

RTX 30 → RTX 40と同じく、RTX 50シリーズもカタログスペック面の進化がやや弱いです。一方で、ソフトウェア面での技術的な進化がいろいろと盛り込まれます。

興味があるところは、↑それぞれの解説を読んでみてください。

RTX 50シリーズのスペックまとめ

GPURTX 5090RTX 4090RTX 5080RTX 4080RTX 5070 TiRTX 4070 TiRTX 5070RTX 4070
CUDAコア数21760163841075297288960768061445888
RTコア数レイトレ用の特化コア170128847670604846
ブーストクロック2407 MHz2520 MHz2617 MHz2505 MHz2475 MHz2610 MHz2510 MHz2475 MHz
VRAMGDDR7 32 GBGDDR6X 24 GBGDDR7 16 GBGDDR6X 16 GBGDDR7 16 GBGDDR6X 12 GBGDDR7 12 GBGDDR6X 12 GB
理論性能(FP32)104.8 TFLOPS82.58 TFLOPS56.28 TFLOPS48.74 TFLOPS44.35 TFLOPS40.09 TFLOPS30.84 TFLOPS29.15 TFLOPS
エンコードx 3第9世代x 2第8世代x 2第9世代x 2第8世代x 2第9世代x 2第8世代x 1第9世代x 1第8世代
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP575 W450 W360 W320 W300 W285 W250 W200 W
MSRP$ 1999$ 1599$ 999$ 1199$ 749$ 799$ 549$ 549
発売価格389800 円289300 円199800 円219800 円148800 円149000 円108800 円99800 円
GPURTX 5090RTX 4090RTX 5080RTX 4080RTX 5070 TiRTX 4070 TiRTX 5070RTX 4070
世代BlackwellAda LovelaceBlackwellAda LovelaceBlackwellAda LovelaceBlackwellAda Lovelace
プロセス5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC
トランジスタ数920.0 億763.0 億460.0 億459.0 億460.0 億358.0 億460.0 億358.0 億
ダイサイズ744 mm2608 mm2377 mm2379 mm2377 mm2294 mm2377 mm2294 mm2
シェーダー数CPUのコア数に相当21760163841075297288960768061445888
TMU数Texture Mapping Unitのこと680512336304280240192184
ROP数Render Output Unitのこと192176128112128806464
演算ユニット数170128847670604846
Tensorコア数機械学習向けの特化コア680512337304280240192184
RTコア数レイトレ用の特化コア170128847670604846
L1キャッシュ演算ユニットあたり128 KB128 KB128 KB128 KB128 KB128 KB128 KB128 KB
L2キャッシュコア全体で共有88.0 MB72.0 MB64.0 MB64.0 MB64.0 MB48.0 MB40.0 MB36.0 MB
L3キャッシュコア全体で共有
クロック周波数2017 MHz2235 MHz2295 MHz2205 MHz2300 MHz2310 MHz2165 MHz1920 MHz
ブーストクロック2407 MHz2520 MHz2617 MHz2505 MHz2475 MHz2610 MHz2510 MHz2475 MHz
VRAMGDDR7 32 GBGDDR6X 24 GBGDDR7 16 GBGDDR6X 16 GBGDDR7 16 GBGDDR6X 12 GBGDDR7 12 GBGDDR6X 12 GB
VRAMバス512 bit384 bit256 bit256 bit256 bit192 bit192 bit192 bit
VRAM帯域幅1787.1 GB/s1008 GB/s960.0 GB/s716.8 GB/s896.3 GB/s504.2 GB/s672.2 GB/s504.2 GB/s
理論性能(FP32)104.8 TFLOPS82.58 TFLOPS56.28 TFLOPS48.74 TFLOPS44.35 TFLOPS40.09 TFLOPS30.84 TFLOPS29.15 TFLOPS
SLI対応
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16PCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP575 W450 W360 W320 W300 W285 W250 W200 W
補助電源16-pin16-pin16-pin16-pin16-pin16-pin16-pin16-pin
MSRP$ 1999$ 1599$ 999$ 1199$ 749$ 799$ 549$ 549
参考価格389800 円298000 円198800 円179800 円148800 円113800 円108800 円86800 円
発売価格389800 円289300 円199800 円219800 円148800 円149000 円108800 円99800 円
発売2025/1/302022/10/122025/1/302022/11/162023/1/52023/4/13

2025年1月時点、NVIDIAから正式アナウンスされているRTX 50シリーズは以上4つです。

RTX 50シリーズはTSMC 4NP(5 nm)プロセスを使って製造されるため、チップ面積あたりに実装できるトランジスタ数がほとんど変わってません。

よって、RTX 5090以外の下位モデルではスペックの伸びが地味です。チップを大きくしてスペックを向上しようとしたら価格を維持できず、結果的にスペックを抑えざるを得ないわけです。

幸い、VRAMの規格がGDDR6XからGDDR7へ更新され、VRAM帯域幅が約3割も向上します。チップ自体の改善よりVRAMの規格更新の方が性能アップに貢献する予感がしています。

たとえば「VRChat」や「タルコフ」など、VRAMを異様に酷使するタイプのゲームなら、スペック以上の性能アップが見られるはずです。

やかもち
CUDAコア数はあまり増えなかったけど、VRAMの性能が大きく伸びてます。VRAMの性能アップは重たいゲームや高解像度(WQHD以上)で効果を見込めます。
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RTX 5090(RTX 4090の約1.3倍)

【唯一無二】性能1.3倍、価格も1.3倍

RTX 5090
GPURTX 5090RTX 4090
CUDAコア数2176016384
RTコア数レイトレ演算用170128
ブーストクロック2407 MHz2520 MHz
VRAMGDDR7 32 GBGDDR6X 24 GB
理論性能(FP32)104.8 TFLOPS82.58 TFLOPS
エンコードx 3第9世代x 2第8世代
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP575 W450 W
MSRP$ 1999$ 1599
発売価格389800 円289300 円
発売2025/1/302022/10/12
GPURTX 5090RTX 4090
世代BlackwellAda Lovelace
プロセス5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC
トランジスタ数920.0 億763.0 億
ダイサイズ744 mm2608 mm2
シェーダー数CPUのコア数に相当2176016384
TMU数Texture Mapping Unitのこと680512
ROP数Render Output Unitのこと192176
演算ユニット数170128
Tensorコア数機械学習向けの特化コア680512
RTコア数レイトレ用の特化コア170128
L1キャッシュ演算ユニットあたり128 KB128 KB
L2キャッシュコア全体で共有88.0 MB72.0 MB
L3キャッシュコア全体で共有
クロック周波数2017 MHz2235 MHz
ブーストクロック2407 MHz2520 MHz
VRAMGDDR7 32 GBGDDR6X 24 GB
VRAMバス512 bit384 bit
VRAM帯域幅1787.1 GB/s1008 GB/s
理論性能(FP32)104.8 TFLOPS82.58 TFLOPS
SLI対応
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP575 W450 W
補助電源16-pin16-pin
MSRP$ 1999$ 1599
参考価格389800 円298000 円
発売価格389800 円289300 円
発売2025/1/302022/10/12

「RTX 5090」はRTX 50シリーズのエンスージアスト向けを謳う、いわゆるフラグシップモデルです。

かつて「TITAN」と呼ばれていた、業務向けとコンシューマ向けの中間モデルの後継に位置づけられます。一般向けじゃない圧倒的なスペックを誇り、価格設定も1999ドルと過去最高。

従来世代(RTX 4090)から500ドルも価格が上がったためコスパが悪化したように見えて、実は意外とコスパが変わっていないのが特徴です。

  • CUDAコア数:1.33倍(16384 → 21760)
  • VRAM容量:1.33倍(24 → 32 GB)
  • VRAM帯域幅:1.77倍(1.01 → 1.79 TB/s)
  • 処理性能(FP32):1.27倍(82.6 → 104.8 TFLOPS)

値上がり幅25%以上のスペックアップです。

特にVRAM容量と帯域幅が大きく伸びていて、高解像度ゲーミング(WQHD~4K)やAI生成性能で、価格差以上の性能アップを見込めます。

加えて、RTX 5090に競合するグラフィックボードが他にない状況です。他社で代替できない唯一無二の性能と考えれば、高い価格もある程度は正当化されてしまいます。

4K 240 Hzゲーミングモニターを使うようなハイエンドゲーマーだけでなく、個人でAI生成を使った開発や業務を行っているコアなユーザーからも人気が殺到する可能性が高いです。

やかもち
かくいう筆者やかもちも、RTX 4090の生成性能に不満を溜め込んでいるため、VRAMが大幅強化されたRTX 5090を買うつもりです。

RTX 5080(RTX 4080の約1.2倍)

【汚名返上なるか】性能1.2倍、価格は2割引

RTX 5080
GPURTX 5080RTX 4080
CUDAコア数107529728
RTコア数レイトレ演算用8476
ブーストクロック2617 MHz2505 MHz
VRAMGDDR7 16 GBGDDR6X 16 GB
理論性能(FP32)56.28 TFLOPS48.74 TFLOPS
エンコードx 2第9世代x 2第8世代
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP360 W320 W
MSRP$ 999$ 1199
発売価格199800 円219800 円
発売2025/1/302022/11/16
GPURTX 5080RTX 4080
世代BlackwellAda Lovelace
プロセス5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC
トランジスタ数460.0 億459.0 億
ダイサイズ377 mm2379 mm2
シェーダー数CPUのコア数に相当107529728
TMU数Texture Mapping Unitのこと336304
ROP数Render Output Unitのこと128112
演算ユニット数8476
Tensorコア数機械学習向けの特化コア337304
RTコア数レイトレ用の特化コア8476
L1キャッシュ演算ユニットあたり128 KB128 KB
L2キャッシュコア全体で共有64.0 MB64.0 MB
L3キャッシュコア全体で共有
クロック周波数2295 MHz2205 MHz
ブーストクロック2617 MHz2505 MHz
VRAMGDDR7 16 GBGDDR6X 16 GB
VRAMバス256 bit256 bit
VRAM帯域幅960.0 GB/s716.8 GB/s
理論性能(FP32)56.28 TFLOPS48.74 TFLOPS
SLI対応
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP360 W320 W
補助電源16-pin16-pin
MSRP$ 999$ 1199
参考価格198800 円179800 円
発売価格199800 円219800 円
発売2025/1/302022/11/16

「RTX 5080」はゲーマー向けの最上位モデルに位置づけられます。

RTX 5090がゲーマー以外からの需要も見込む旗艦モデルなら、RTX 5080は明確にゲーマー向けです。スペックや価格差からもRTX 5090と明確に差別化されているのが明らかです。

従来世代(RTX 4080)の反省を活かし、今作RTX 5080のMSRPを1199ドルから200ドル値引きして、999ドルに設定しています。

  • CUDAコア数:1.11倍(9728 → 10752)
  • VRAM容量:1.00倍(16 → 16 GB)
  • VRAM帯域幅:1.34倍(717 → 960 GB/s)
  • 処理性能(FP32):1.15倍(48.7 → 56.3 TFLOPS)

200ドルの値下げに対して、スペックの伸び幅が最高です(※RTX 5090を除く)

ほぼ2割引しながら処理性能は2割アップと計算され、コストパフォーマンスの改善が大きいです。最初からお買い得感のあるグラフィックボードに仕上げてきた様子。

・・・よっぽどRTX 4080の評判が悪かったと読めます。

ただし、せっかく200ドル値引きしてもらっても生憎の円安で、国内販売価格はおそらくRTX 4080発売時と大差ない可能性あり。

やかもち
RTX 5090との価格差が2倍もあるから、RTX 5080が実質的にRTX 50シリーズの最上位に位置づけられます。
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RTX 5070 Ti(RTX 4070 Tiの約1.1倍)

【売れ筋の予感】性能1.1倍、価格は6%引き

RTX 5070 Ti
GPURTX 5070 TiRTX 4070 Ti
CUDAコア数89607680
RTコア数レイトレ演算用7060
ブーストクロック2475 MHz2610 MHz
VRAMGDDR7 16 GBGDDR6X 12 GB
理論性能(FP32)44.35 TFLOPS40.09 TFLOPS
エンコードx 2第9世代x 2第8世代
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP300 W285 W
MSRP$ 749$ 799
発売価格148800 円149000 円
発売2025/2ごろ2023/1/5
GPURTX 5070 TiRTX 4070 Ti
世代BlackwellAda Lovelace
プロセス5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC
トランジスタ数460.0 億358.0 億
ダイサイズ377 mm2294 mm2
シェーダー数CPUのコア数に相当89607680
TMU数Texture Mapping Unitのこと280240
ROP数Render Output Unitのこと12880
演算ユニット数7060
Tensorコア数機械学習向けの特化コア280240
RTコア数レイトレ用の特化コア7060
L1キャッシュ演算ユニットあたり128 KB128 KB
L2キャッシュコア全体で共有64.0 MB48.0 MB
L3キャッシュコア全体で共有
クロック周波数2300 MHz2310 MHz
ブーストクロック2475 MHz2610 MHz
VRAMGDDR7 16 GBGDDR6X 12 GB
VRAMバス256 bit192 bit
VRAM帯域幅896.3 GB/s504.2 GB/s
理論性能(FP32)44.35 TFLOPS40.09 TFLOPS
SLI対応
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP300 W285 W
補助電源16-pin16-pin
MSRP$ 749$ 799
参考価格148800 円113800 円
発売価格148800 円149000 円
発売2025/2ごろ2023/1/5

「RTX 5070 Ti」は型番的にミドルクラスに位置づけられますが、約15万円近い価格を考えればミドルクラスと呼ぶのは無理があります。どう見てもハイエンドモデルです。

決して安くない価格ですが、それでも従来世代(RTX 4070 Ti)から50ドル値引きされ、VRAM性能が大幅に向上します。

  • CUDAコア数:1.17倍(7680 → 8960)
  • VRAM容量:1.33倍(12 → 16 GB)
  • VRAM帯域幅:1.78倍(504 → 896 GB/s)
  • 処理性能(FP32):1.11倍(40.1 → 44.4 TFLOPS)

スペックから計算される処理性能の伸び自体は約1.1倍程度で正直かなりしょっぱい印象を受けますが、よく見るとVRAM性能の伸びが凄まじいです。

VRAM容量は16 GBに増量(+33%)され、帯域幅はなんと約900 GB/s(+78%)と完全に別物に進化しています。

約900 GB/sの帯域幅といえば、RTX 5080(960 GB/s)やRTX 4090(1008 GB/s)に迫るレベルの帯域幅にあたり、コスパ的に美味しい雰囲気が漂っています。

実際のゲームプレイでスペック以上にフレームレートが伸びる可能性が、おそらくRTX 50シリーズでもっとも高いグラボです。

たとえば「VRChat」「タルコフ」「Call of Duty」など、VRAM依存度が高いゲームタイトルで従来比で1.1倍を超える性能アップに期待できます。

やかもち
一見つまらない性能に見えて、よく見たらVRAMの伸び幅が凄まじかった。性能次第で売れ筋No.1グラボになりそうです。

RTX 5070(RTX 4070の約1.1倍)

【予算10万で存在感】性能1.1倍、価格は1割引

RTX 5070
GPURTX 5070RTX 4070
CUDAコア数61445888
RTコア数レイトレ演算用4846
ブーストクロック2510 MHz2475 MHz
VRAMGDDR7 12 GBGDDR6X 12 GB
理論性能(FP32)30.84 TFLOPS29.15 TFLOPS
エンコードx1第9世代x1第8世代
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP250 W200 W
MSRP$ 549$ 599
発売価格108800 円99800 円
発売2025/2ごろ2023/4/13
GPURTX 5070RTX 4070
世代BlackwellAda Lovelace
プロセス5 nm製造 : TSMC5 nm製造 : TSMC
トランジスタ数460.0 億358.0 億
ダイサイズ377 mm2294 mm2
シェーダー数CPUのコア数に相当61445888
TMU数Texture Mapping Unitのこと192184
ROP数Render Output Unitのこと6464
演算ユニット数4846
Tensorコア数機械学習向けの特化コア192184
RTコア数レイトレ用の特化コア4846
L1キャッシュ演算ユニットあたり128 KB128 KB
L2キャッシュコア全体で共有40.0 MB36.0 MB
L3キャッシュコア全体で共有
クロック周波数2165 MHz1920 MHz
ブーストクロック2510 MHz2475 MHz
VRAMGDDR7 12 GBGDDR6X 12 GB
VRAMバス192 bit192 bit
VRAM帯域幅672.2 GB/s504.2 GB/s
理論性能(FP32)30.84 TFLOPS29.15 TFLOPS
SLI対応
PCIePCIe 5.0 x16PCIe 4.0 x16
TDP250 W200 W
補助電源16-pin16-pin
MSRP$ 549$ 599
参考価格108800 円86800 円
発売価格108800 円99800 円
発売2025/2ごろ2023/4/13

「RTX 5070」も、RTX 5070 Tiと同様にミドルクラス型番ですが、想定で11万円近い価格をミドルクラスと捉えるのがやはり無理があるでしょう。価格的にほぼハイエンドモデルです。

NVIDIAが発表会で大々的に「RTX 5070はRTX 4090相当の性能」などと盛大にフカシていますが、大げさなアピールをする製品に限って・・・もっとも地味なアップグレードでした。

  • CUDAコア数:1.04倍(5888 → 6144)
  • VRAM容量:1.00倍(12 → 12 GB)
  • VRAM帯域幅:1.33倍(504 → 672 GB/s)
  • 処理性能(FP32):1.06倍(29.2 → 30.8 TFLOPS)

スペックから計算できる処理性能はたった6%しか伸びず、VRAMの容量は12 GBのまま据え置き。VRAMの帯域幅は約1.3倍に伸びますが、約1.8倍も伸びたRTX 5070 Tiと比較すると大きく見劣りします。

従来世代(RTX 4070)からの伸びが乏しいため、価格を50ドル値引き(約1割引)してコストパフォーマンス路線を強く主張する狙いです。

もちろん、RTX 4090に相当する性能を出せるスペックに到底届いていないから、基本的に「DLSS 4 MFG(マルチフレーム生成)」機能が前提のグラボです。

フレーム生成を使わず、そのままゲームを動かせば良いところRTX 4070 Tiを超える程度の性能しか期待できません。

それでもRTX 2000~3000番台から乗り換えるのにちょうどいいポジションになる可能性を否定できず、乗り換え需要で人気になってしまうグラボでしょう。

「予算10万円で買える中で最高のグラボ」と呼ばれる、従来世代と同じ立ち位置をRTX 5070が確保するはずです。

「RTX 5070」には強力なライバルが登場する予定

RTX 5070 Ti以上にライバルがほとんど存在しない悲惨な状況ですが、RTX 5070に限っては「Radeon RX 9070 XT」が強力なライバルになる予定です。

なお、肝心の具体的なスペックをAMDが何も開示していません。型番から推測するにRTX 5070を意識しているのが確かなものの、スペックも価格も未だ不明。

すでに、AMDのマーケティングは失敗していると言っても過言じゃないです。

やかもち
大げさな性能アピールの裏に、地味なスペック更新あり。
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RTX 50シリーズの技術的な進化ポイント

  • 「DLSS 4 MFG」でフレームレートが4倍?
  • AIで性能アップ「ニューラルレンダリング」
  • 「FP4」対応でAI性能は最大3400 TOPSに
  • コンシューマ向けで初のトリプルエンコーダー
  • 帯域幅80 Gbps「Display Port 2.1」ポート
  • 高速化 & 大容量化する「GDDR7」メモリ
  • 製造プロセスはおそらく微細化していない

RTX 50シリーズの技術的な進化ポイントざっくり6点あります。順番に解説します。

「DLSS 4」による「マルチフレーム生成」機能

対応状況RTX 50RTX 40RTX 30RTX 20
【DLSS 4】
マルチフレーム生成
対応なし
【DLSS 4】
フレーム生成
対応なし
【DLSS 4】
レイ再構築
対応
【DLSS 4】
超解像
対応
【DLSS 4】
DLAA
対応

GeForce RTXシリーズが対応する、AIによるアップスケーリング機能「DLSS」が最新バージョン「DLSS 4」に更新されます。

「DLSS 2」以来、過去最大級の機能更新アップグレードになり、その中にRTX 50シリーズ限定で使える「MFG(マルチフレーム生成)」機能が含まれます

DLSS 4 Multi Frame Generation

マルチフレーム生成は、AIによる超解像(アップスケーリング)と、AIによるフレーム生成のさらなる進化モデルです。

従来のフレーム生成機能だと中間フレームを1枚しか生成できなかったのが、最新のマルチフレーム生成機能では中間フレームを3枚に増やします。

たとえば、レイトレーシング最高画質の4Kゲーミングを考えてみます。

  • 忠実に4Kレンダリング:平均10 fps(等倍)
  • フルHDからDLSS超解像:平均40 fps(4倍)
  • フレーム生成で1枚追加:平均80 fps(8倍)
  • マルチフレーム生成で3枚追加:平均160 fps(16倍)

NVIDIAが派手にアピールする4倍以上の性能が何を意味するか、そのカラクリが理解できたはずです。

最新モデルのマルチフレーム生成を使えば、忠実にレンダリングする場合と比較して、理論値で16倍のフレームレートまで底上げできます。

なお、16倍の性能はあくまでも理論値で、NVIDIAによる実測値だと約5倍~8倍の性能アップでした。

中間フレームを3枚も生成して映像が破綻しないのか、入力遅延が増大してゲーム体験を逆に損なってしまう危険性は無いのか?

  • 映像の破綻:最新モデル「DLSS 4」では生成品質が向上し、破綻の発生率を抑制
  • 入力遅延:最新モデル「DLSS 4」自体の処理速度が速いうえに、遅延カット機能「Reflex 2」でさらに短縮

要するに、今回のアップデートで実装される「DLSS 4」モデル自体がなかなかに高性能だから、実用上の問題はないはず・・・とNVIDIAは主張します。

【DLSS 4】
対応ゲームタイトル(75個)
A Quiet Place: The Road AheadGod of War RagnarökReady or Not
AkimbotGray Zone WarfareRemnant II
Alan Wake 2GROUND BRANCHSatisfactory
Aunt FatimaHITMAN World of AssassinationSCUM
Backrooms: Escape TogetherHogwarts LegacySenua’s Saga: Hellblade II
Bears in SpaceICARUSSILENT HILL 2
BellwrightImmortals of AveumSkye: The Misty Isle
Crown SimulatorIndiana Jones and the Great CircleSlender: The Arrival
Cyberpunk 2077JusantSquad
D5 RenderJX Online 3S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
Deceit 2KristalaStar Wars Outlaws
Deep Rock GalacticLayers of FearStar Wars Jedi: Survivor
Deliver Us MarsLiminalcoreStarship Troopers: Extermination
DESORDRE: A Puzzle AdventureLords of the FallenStill Wakes The Deep
Desynced: Autonomous Colony SimulatorMarvel RivalsSupermoves
Diablo IVMicrosoft Flight SimulatorTest Drive Unlimited Solar Crown
Direct ContactMicrosoft Flight Simulator 2024The Axis Unseen
Dragon Age: The VeilguardMortal Online 2The Black Pool
DugeonborneNARAKA: BLADEPOINTTHE FINALS
DYNASTY WARRIORS: ORIGINSNeed for Speed UnboundThe First Descendant
EnlistedOnce HumanThe Thaumaturge
Flintlock: The Siege of DawnOutpost: Infinity SiegeTorque Drift 2
Fort SolisPax DeiTribes 3: Rivals
Frostpunk 2PAYDAY 3Witchfire
Ghostrunner 2QANGAWorld of Jade Dynasty
やかもち
「DLSS 4」による「マルチフレーム生成」がどれくらい凄い機能なのか? 実際に使ってみないとなんとも言えないです。

AI処理でfps向上を狙う「ニューラルレンダリング」技術

RTX 50 Neural Rendering

RTX 50から対応する「ニューラルレンダリング」は、ものすごく大雑把に例えると、計算をAIで省略して処理性能を高速化する技術です。

身近な例としてAI生成された画像が分かりやすいでしょう。適切な訓練を受けていない人間にとって、AI生成された画像と、人間が描いた画像を見分けるのは意外と難しいです。

人間の視覚は思っている以上に大雑把に映像を捉えていて、画像や映像に多少の誤差やエラーが含まれていても気づかない傾向があります。

つまり、ニューラルレンダリングはいわば「等倍レンダリングのAI生成です。

RTX 50シリーズが対応するニューラルレンダリングにより、人間の目で見て分からない程度までAI処理でゲーム画面をレンダリングして、計算負荷を大きく下げられる技術です。

超解像(DLSS)や中間フレーム挿入(MFG)だけでなく、元となる最初の等倍フレームそのものからAI生成モデルを用いて高速化を狙います。

やかもち
半導体の製造コストが年々恐ろしいペースで増えているため、計算リソースの強化よりも、処理そのものの負荷を減らす技術革新が今後ますます進みそうです。

「FP4」演算に対応してAI処理性能を大幅アップ

ニューラルレンダリングで説明した「いかに処理を端折るか?」と似た概念が、RTX 50シリーズから対応が始まった「FP4」演算です。

演算タイプ解像度スループット
FP44ビット16段階4倍
FP88ビット256段階2倍
FP1616ビット65536段階1倍

RTX 50シリーズのAI処理性能が信じられないほど大幅にアップした理由が「FP4」演算対応です。

RTX 5090を例に計算してみましょう。

  • CUDAコア数:1.33倍
  • クロック周波数:0.96倍
  • FP8 → FP4演算:2.00倍
  • 合計:2.54倍

理論上のAI処理性能は約2.54倍と計算でき、RTX 4090の公称値1321 AI TOPSに掛け算すると、RTX 5090の公称値に近い3360 AI TOPS(公称値:3352 AI TOPS)が得られます。

しかし、FP8からFP4へ移行すると演算の解像度が大幅に悪化します。256段階から16段階まで粗くなってしまい、AI生成モデル側がFP4を前提にトレーニングされなければ無意味です。

画像生成モデル「FLUX」など、一部のAIモデルがNVIDIAと提携してFP4対応をアピールしていますが、他の大人気モデルにまでFP4対応が波及するかどうかは不透明。

言語生成モデル(LLM)もFP4に対応(4ビット量子化)させると、入力に対する応答がかなり怪しくなる傾向があるし、今後の技術革新に期待・・・です。

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コンシューマ向けGPUで初の「エンコーダー3基」搭載

GPUエンコーダーデコーダー
RTX 5090x 3
第9世代NVENC
x 2
第6世代NVDEC
RTX 4090x 2
第8世代NVENC
x 1
第5世代NVDEC
RTX 5080x 2
第9世代NVENC
x 2
第6世代NVDEC
RTX 4080x 2
第8世代NVENC
x 1
第5世代NVDEC
RTX 5070 Tix 2
第9世代NVENC
x 1
第6世代NVDEC
RTX 4070 Tix 2
第8世代NVENC
x 1
第5世代NVDEC
RTX 5070x 1
第9世代NVENC
x 1
第6世代NVDEC
RTX 4070x 1
第8世代NVENC
x 1
第5世代NVDEC

動画エンコード勢に朗報です。

RTX 50シリーズには最新の「第9世代NVENC」エンコーダーと、「第6世代NVDEC」デコーダーが導入されます。

第9世代NVENCエンコーダーにより、HEVC形式とAV1形式の変換品質が約5%向上します。第6世代NVDECデコーダーには4:2:2サポートが導入され、高品質でスムーズな動画編集が可能に。

さらに、RTX 5090のみNVENCエンコーダーを「3基」搭載し、スプリット方式エンコードによる変換速度が最大で3倍(RTX 4090比で1.6倍)まで高速化する見込みです。

しかし、4K解像度の重たい素材を読み込ませるとデコードの負荷が大きすぎて速度が等倍化する現象があったため、対策としてNVDECデコーダーが「2基」に増設されました。

より高品質で高速なハードウェアエンコードが可能です。

やかもち
「RTX 5090」はエンコーダー3基 + デコーダー2基で、「RTX 5080」はエンコーダー2基 + デコーダー2基に強化され、クリエイター向けにも嬉しい仕様に仕上がった感がすごい。
そのほかの追加機能について
  • MV-HEVC(Multiview HEVC)形式をサポート
  • AV1形式に「Ultra High Quality」モードを実装
    (現行のP7 = quality以上の品質プリセット?)

帯域幅80 Gbpsに達する「Display Port 2.1」

GPUDP規格帯域幅実効レート
GeForce
RTX 50
Display Port 2.1a
(UHBR20)
80 Gbps77.37 Gbps
GeForce
RTX 40
Display Port 1.4a32.4 Gbps25.92 Gbps
Radeon
RX 7000
Display Port 2.1a
(UHBR13.5)
54 Gbps52.22 Gbps

RTX 50シリーズに「Display Port 2.1(UHBR20)」端子が実装されます。

Radeon RX 7000シリーズの「Display Port 2.1(UHBR13.5)」より帯域幅が約50%も多い、最高グレード「UHBR20」に対応します。

Display Port 2.1規格とHDMI 2.2規格の帯域幅を比較

(※クリックでグラフ拡大)

帯域幅が約50 → 80 Gbpsへ大幅に増え、無圧縮で4K 240 HzやWQHD 480 Hzを表示可能です。DSC 3.0(圧縮)モード時なら、4K 480 Hzや8K 240 Hzですら表示できます。

おそらく今後発売されるハイエンドなゲーミングモニターで、「UHBR20」や「80 Gbps」などを宣伝文句に使う製品が増えるはずです。

RTX 50シリーズのDisplay Port 2.1を目当てにしている方は、ゲーミングモニター側もきちんとDisplay Port 2.1(UHBR20)を実装しているか要チェック。

「GDDR7」メモリで速度1.3倍 & 容量1.5倍へ

VRAM転送レート記憶密度
GDDR732 Gb/s24 Gb
1個あたり3 GB
GDDR6X24 Gb/s16 Gb
1個あたり2 GB
GDDR620 Gb/s16 Gb
1個あたり2 GB

RTX 50シリーズは、Micron 1β世代プロセスで製造される「GDDR7」メモリをVRAMとして搭載します。

転送レートが従来世代のGDDR6Xメモリと比較して約33%向上、2世代前のGDDR6メモリと比較して約60%も向上し、VRAM依存度の高いタスクに対して処理速度が高速化する見込みです。

特にVRChatやタルコフなど、L2~L3キャッシュヒット率が悪く、VRAMの物理帯域幅を異常に浪費するゲームにおいて。

約1.3倍の帯域幅を持つGDDR7が高い効果を発揮するかもしれません。

メモリの記憶密度は1.5倍の最大24 Gbまで拡張され、24 Gb = メモリ1個あたり容量3 GBが可能に。2世代ぶりにようやくメモリ1個あたりの容量が増えます。

しかし、捉え方をクルッと変えるとイヤな予感が・・・ たとえばRTX 5080を例に挙げてみます。

現時点のRTX 5080はVRAM容量が16 GB(8個)です。もし、容量3 GB版を使えば24 GBまで容量を増設できます。同じ理屈で、理論上はRTX 5070の18 GB版だって製造できます。

GDDR7メモリに容量3 GBがある以上、来年(2026年)以降に追加が予想されるRTX 50 SUPERシリーズで、VRAM容量のアップグレードがかなりの確率で想定できます。

やかもち
RTX 50シリーズはチップ本体の改良よりも、GDDR7メモリが性能に与える影響が大きいように映ります。帯域幅1.3倍はやっぱり大きい。

「TSMC 4NP」プロセスはおそらく微細化してない

最後は技術的な進化ポイントではなく、それほど進化していない部分を紹介して終わります。

GPURTX 5090RTX 4090
世代BlackwellAda Lovelace
プロセスTSMC 4NP製造 : TSMC 5 nmTSMC 4N製造 : TSMC 5 nm
トランジスタ数920.0 億763.0 億
ダイサイズ744 mm2608 mm2
密度123.7 MTr/mm2125.5 MTr/mm2

台湾TSMC社がNVIDIA向けに、5 nmノードシリーズをベースにカスタムした製造プロセスが「TSMC 4NP」です。

従来世代(RTX 40)で使われた「TSMC 4N」と同様に、4NPも5 nm EUVマシン(ASML製)で製造される5 nmプロセスに属する製造プロセスです。

ややこしいのでざっくりと、TSMC 4NP = TSMC 5 nm」と捉えておおむね間違いありません。

製造プロセスの技術的進化を端的に示す「トランジスタ密度」に注目しましょう。

  • RTX 5090:1億2370万個/mm2
  • RTX 4090:1億2550万個/mm2

搭載されているトランジスタ数を、ダイサイズ(チップ面積)で割り算すると、チップ面積1 mm2あたりのトランジスタ数(= トランジスタ密度)を計算できます。

見ての通り、RTX 5090とRTX 4090のトランジスタ密度はほとんど同じで、プロセス自体は技術的にあまり変わっていないと分かります。

実質5 nm級のまま進歩していない「TSMC 4NP」プロセスが、RTX 50シリーズのスペックが全体的に伸びていない主な要因です。

仮にTSMC 3 nmプロセス(約2億個/mm2)へ移行した場合、同じチップ面積のまま、トランジスタ数を約1.6倍の規模にまで拡張可能です。

半導体の理論性能は搭載したトランジスタ数の平方根に比例するから、ハードウェアだけで約1.27倍(1.60^0.5)の性能アップを狙えます。

しかし、RTX 50シリーズは5 nmプロセスを続投しました。

理由はシンプルに製造コストです。TSMC 5 nmがウェハ1枚あたり15000ドル(約225万円)に対して、TSMC 3 nmだとウェハ1枚あたり30000ドル(約450万円)と推定されています。

チップ1枚あたりの製造コストが2倍に跳ね上がってしまい、従来世代と同じMSRP(価格)を維持できないです。

ウェハ1枚から取れるチップの数

微細化でトランジスタ数が増えた分だけチップ面積を節約したシミュレーション(744 mm2 → 588 mm2)でも、チップ1枚あたり21%のコスト削減に過ぎず・・・到底同じ価格を維持するのは不可能です。

要するに、製造プロセスの微細化に頼った性能アップはすでに物理的な限界に到達しています。

だからNVIDIAはAI処理性能を活用した「DLSS超解像」「DLSSフレーム生成」「RTXニューラルレンダリング」など、処理する内容そのものの効率化に全力を挙げています。

  • 実効フレームレート:ハードウェア性能 x 処理負荷(ソフト側)

ハードウェア側の進歩が限界なら、ソフトウェア側を進歩させれば良い、とするのがNVIDIAの現行スタンスです。

まとめ:ハードの進化はもっぱら「GDDR7」頼み

「RTX 50シリーズ」の微妙なとこ

  • 実質5 nmな「TSMC 4NP」製
  • チップの設計規模はあまり変わらない
    (RTX 5090のみ大幅増築)
  • 引き続き「NVLink SLI」は非対応
  • 消費電力がやや増加傾向
  • 生憎の円安で国内価格は値上げの可能性

「RTX 50シリーズ」の良いところ

  • 「ニューラルレンダリング」に対応
  • DLSS 4「マルチフレーム生成」対応
  • 帯域幅1.3倍「GDDR7」メモリ搭載
  • VRAM帯域幅は1.3倍以上に進化
  • 第9世代NVENC + 第6世代NVDEC
  • エンコーダー(3基)+ デコーダー(2基)
    (※RTX 5090のみ)
  • AI処理性能が2倍「FP4」演算対応
  • 「Display Port 2.1(UHBR20)」実装
  • 全体的にMSRP(価格)を引き下げ
    (※RTX 5090は値上げ)

現時点の情報をざっくりまとめました。

RTX 50シリーズはハードウェア面で「GDDR7」の躍進が大きく、逆にチップ自体の設計があまり変わっていません。

その代わりと言うべきか、ソフトウェア面の進歩は相変わらず凄まじいです。AI技術を活用した処理負荷の軽減にコストを割いています。

PCゲーマーにとっては、RTX 5080以下の価格値下げが嬉しいです。ドルベースで全体的に安くなり、コストパフォーマンスの改善がほとんど確定します。

しかし、日本国内の価格は生憎の円安により期待できないです。

RTX 4000ユーザーがわざわざ乗り換えるコスト的なメリットを見込みづらく、明確な性能アップを体感できるRTX 2000~3000ユーザーからの乗り換え需要が熱くなるシリーズです。

以上「RTX 5090 / 5080 / 5070 Ti:RTX 50シリーズの性能と仕様を解説」でした。

やかもち
革ジャンがせっかく値下げしてくれたのに、空気を読めない弱い日本円のせいで台無しになりそう・・・。

RTX 50シリーズにおすすめなCPU

最有力候補は「Ryzen 7 9800X3D」です。筆者やかもちも、RTX 5090や5080のレビューでRyzen 7 9800X3Dを投入します。

(2025年1月時点)地球上でもっともCPU側フレームレートが高い、ダイヤモンド級ゲーミングCPUです。

AMD / コア : 8 / スレッド : 16 / ソケット : Socket AM5 / チップセット : AMD 800 / 付属クーラー : なし

【セール気味】RTX 40シリーズ搭載のゲーミングPC

最新の価格とスペックは公式サイトで確認してください

【レビュー】グラフィックボードのベンチ記事

MSI / ブーストクロック : 2685 MHz / ファン : トリプル内排気 / 厚み : 2スロット(51 mm) / TDP : 285 W(16 pin)/ 保証:1年
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17 件のコメント

  • BTOで5080と5070Tiに全然価格差が無いみたいな奇跡が起き無い限り、Ryzen 7 9800X3Dと5070Tiの組み合わせが最強コスパみたいな紹介をみんな挙って動画で上げる流れになるのかな。でも4070Tisuperをあれだけ推してたから買ってる奴はもうそっちを買ってそうだし価格が40万越えするなら暫くは様子見が続きそう。なんにせよ性能発表からの発売前期間から実機での性能検証のこの時期が一番ワクワクしますね。

  • こう並べるとやっぱり70Tiと80の差が他の差に比べて物足りなくて70Tiで妥協するか90行ってらっしゃい見たいに感じてしまう
    それが狙いみたいなことも言ってたし

  • >空気を読めない弱い日本円のせい
    円安のおかげで輸出企業は売上が増加して業績が向上傾向にありますが
    空気を読めないのはどちらでしょうか?
    大局を見据えていない短絡的な発言は自重なさったほうがよろしいかと

    • ここのブログ主は左寄りだからしゃーない
      いちいち思想の相違を気にしてたらネットなんて見れないよ

    • 本記事は世界情勢など「大局を見据えて」書いたモノではなく、一般消費者から見たグラフィックボード(輸入品)に限った話です。
      政治経済の話はしてません。単なる趣味(ホビー)の話です。

    • デジタル機器はハードウェアからOSまで全部輸入なんで当然円高の方が良い
      デジタル機器のブログで輸出企業云々はそれこそそっちの方が空気読めてない

      • 輸出的云々はわざわざそこまで書かなくてもわかってるでしょ、グラボを購入するに当たって円安が憎いってだけだと思うで。

        ただ受け手側によってはムカつく書き方だな〜とは思ったから変えたほうがいいよね。

    • 言う必要のない不快なフレーズだったからこういう反応が出るのも理解はできる

    • このブロクのどこに輸出企業の話が出た…?グラボの話じゃないのか?空気読めないのはどっちだ?

  • RTX4000シリーズがTSMC N4カスタムで既にびっしりだったので、N4Pカスタムを使っている5000シリーズでトランジスタ密度が一緒なのは仕方ないですよね。

    それとクロックも殆ど変わってない(むしろ下がっている機種もある)のと、CUDAコアに手が入ってラスタライズの実行性能が良くなっているという事もNvidiaが全く発言していないのでAI性能以外は殆ど据え置きなのかなという印象です。

  • グラボ1660tiだけどワイルズの為に5070tiへ買い替えかなー
    4000シリーズの人は別にスルーでも良さそう

  • 今のゲームはVRAM16GBは必須だから5070は論値だなぁ
    そこらへんロクに説明しないPCショップの「○○の何倍の性能!」とかいう文句の被害者が出ないことを願うよ

    • NVIDIAもVRAM容量の問題は把握してるようで、DLSS 4モデルを使ってVRAMの消費量を節約する方針みたいです。
      DLSS 3モデルはフレーム生成を使うとVRAM使用量が逆に増えていたので、DLSS 4はけっこう期待してます。

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