発売日こそ価格暴騰 & 入手難でひんしゅくを買った「RTX 5070 Ti」ですが、発売から時間がたち、約12~13万円前後で買えるように。
差額1.5万円くらいまで縮んでいるライバル機「RX 9070 XT」と比較して、RTX 5070 Tiを取るか、9070 XTで妥協するか。そこそこ悩ましいラインです。
どちらにするかヒントを作るため、実際に「RTX 5070 Ti」を「RX 9070 XT」や「RX 4070 Ti SUPER」などと詳しく比較ベンチマークします。

(公開:2025/9/14 | 更新:2025/9/14)
「GeForce RTX 5070 Ti」の仕様とスペック

GPU | RTX 5070 Ti | RX 9070 XT | RTX 4070 Ti SUPER |
---|---|---|---|
プロセス | 5 nm製造 : TSMC 4N | 5 nm製造 : TSMC N4P | 5 nm製造 : TSMC 4N |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 8960 | 4096 (8192) | 8448 |
RTコア数レイトレ特化コア | 70 | 64 | 66 |
Tensorコア数AI特化コア | 280 | 128 | 264 |
ブーストクロック | 2475 MHz | 2970 MHz | 2610 MHz |
VRAM | GDDR7 16 GB | GDDR6 16 GB | GDDR6X 16 GB |
理論性能(FP32) | 44.35 TFLOPS | 48.66 TFLOPS | 44.10 TFLOPS |
TDP | 300 W | 304 W | 285 W |
補助電源 | 16-pin | 8 + 8 pin | 16-pin |
MSRP | $ 749 | $ 599 | $ 799 |
参考価格2025/09時点 | 126262 円 | 109800 円 | 128480 円 |
発売価格 | 162980 円 | 112980 円 | 123780 円 |
発売 | 2025/2/20 | 2025/3/7 | 2024/1/24 |
GPU | RTX 5070 Ti | RX 9070 XT | RTX 4070 Ti SUPER |
---|---|---|---|
世代 | Blackwell | RDNA 4.0 | Ada Lovelace |
プロセス | 5 nm製造 : TSMC 4N | 5 nm製造 : TSMC N4P | 5 nm製造 : TSMC 4N |
トランジスタ数 | 456.0 億 | 539.0 億 | 459.0 億 |
ダイサイズ | 378 mm2 | 357 mm2 | 379 mm2 |
シェーダー数CPUのコア数に相当 | 8960 | 4096 (8192) | 8448 |
TMU数Texture Mapping Unit | 280 | 256 | 264 |
ROP数Render Output Unit | 128 | 128 | 96 |
演算ユニット数 | 70 | 64 | 66 |
Tensorコア数機械学習向けの特化コア | 280 | 128 | 264 |
RTコア数レイトレ用の特化コア | 70 | 64 | 66 |
L1キャッシュ演算ユニットあたり | 128 KB | – | 128 KB |
L2キャッシュコア全体で共有 | 64.0 MB | 8.0 MB | 48.0 MB |
L3キャッシュコア全体で共有 | – | 64.0 MB | – |
クロック周波数 | 2300 MHz | 2400 MHz | 2340 MHz |
ブーストクロック | 2475 MHz | 2970 MHz | 2610 MHz |
VRAM | GDDR7 16 GB | GDDR6 16 GB | GDDR6X 16 GB |
VRAMバス | 256 bit | 256 bit | 256 bit |
VRAM帯域幅 | 896.3 GB/s | 644.6 GB/s | 672.3 GB/s |
理論性能(FP32) | 44.35 TFLOPS | 48.66 TFLOPS | 44.10 TFLOPS |
SLI対応 | – | – | – |
PCIe | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
TDP | 300 W | 304 W | 285 W |
補助電源 | 16-pin | 8 + 8 pin | 16-pin |
MSRP | $ 749 | $ 599 | $ 799 |
参考価格 | 126262 円 | 109800 円 | 128480 円 |
発売価格 | 162980 円 | 112980 円 | 123780 円 |
発売 | 2025/2/20 | 2025/3/7 | 2024/1/24 |
「RTX 5070 Ti」は、予算10万前半(~15万円)セグメントを担うハイエンドクラスのグラボです。
従来世代「RTX 4070 Ti SUPER」から50ドル値下げしつつ、コア数を約5%増量、VRAM性能を約1.3倍に改良しました。
- コア数がちょっとだけ増えた(+5%)
- VRAM性能が約33%アップ(896 GB/s)
- メーカー公式価格を50ドルも値下げ
- 新機能「DLSS MFG」で最大4倍の性能
- 動画エンコードの品質アップ
ゲーム性能に影響が大きいコア数こそ地味な増え方ですが、VRAM性能がRTX 4080 SUPER以上に強化されているから、4KゲーミングやVRゲームで意外と効果が大きいです。
加えて、RTX 5070 Tiは「マルチフレーム生成(DLSS MFG)」対応。フレーム生成を二重三重にかけられる機能により、対応するゲームで最大3~4倍の性能向上を狙えます。
動画エンコード(エンコーダー)機能も少しだけ改良され、従来比でエンコードの品質がわずかに高いです。
「値下げしつつ、しっかり強い」スペックに仕上がっています。

発売時に16万円を超えた驚異的な高値もすっかり鳴りを潜め、約12~13万円前後で落ち着いています。ポイント還元が大きいショップなら実質11万円台も見られます。
では、実機レビューでRTX 5070 Tiがどれくらい進化して、RX 9070 XTと約1.5万円の差額に見合う価値があるか。詳しく検証してみます。

RTX 5070 Tiの性能をベンチマーク比較

テスト環境 「ちもろぐ専用ベンチ機(2025)」 | ||
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![]() | Ryzen 7 9800X3D8コア16スレッド (3D V-Cache:64 MB) | |
![]() | NZXT Kraken X63280 mm簡易水冷クーラー | |
![]() | ASUS TUF GAMINGX670E-PLUS | |
![]() | DDR5-5600 16GB x2使用メモリ「Crucial Native DDR5」 | |
![]() | GIGABYTE RTX 5070 Ti GAMING OC(※筆者が買いました) | |
![]() | NVMe 8TB使用SSD「WD Black SN850X」 | |
![]() | 1000 W(80+ GOLD)使用モデル「Corsair RM1000x」 | |
![]() | Windows 11 Pro 24H2(最新版:26100.6584) | |
ドライバ | NVIDIA 581.15 Radeon 25.6.2 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160(240 Hz)使用モデル「LG 32GS95UE-B」 |
「RTX 5070 Ti」のベンチマーク検証では、ちもろぐ専用ベンチ機を使います。基本スペックは以上の通り。
CPUは最強のゲーミング性能を誇る「Ryzen 7 9800X3D(8コア)」を使い、メモリはBTOパソコンで標準的な「DDR5-5600」を32 GB(16 GBを2枚)です。
ベンチマーク用の莫大な数のゲームソフトやAIモデルを置いておくストレージは、容量8 TBのNVMe SSD(WD Black SN850X)を使います。

(4K 240 Hz対応ゲーミングモニター)
最大4K 240 Hz / フルHD 480 Hzに対応する、神速のゲーミングモニター「LG UltraGear 32GS95UE-B」が検証用モニターです。
一部のゲームで垂直同期(V-Sync)をうまく回避できないリスクが少なからず存在するから、物理的にリフレッシュレートが高いゲーミングモニターを使って事前にリスクを抑えます。
- NVIDIA GeForce Graphics Drivers 581.15 WHQL
- AMD Radeon Graphics Drivers 25.6.2 WHQL
テスト時のドライバはGeForce側が「581.15」、Radeon側は「25.6.2」を使います。どちらもテスト時点で一般公開されている安定版ドライバです。

(GIGABYTE RTX 5070 Ti GAMING OC)
ベンチマーク用に筆者が自腹で買った「GIGABYTE RTX 5070 Ti GAMING OC」です。発売されてすぐに約19.5万円で買いました。

102 mm大口径の冷却ファンを3個、厚み70 mmのヒートシンク、6 mm径ヒートパイプを8本装備する豪華な冷却設計です。ちなみに本体重量が約1.8 kgもあります。

補助電源コネクタは「12V-2×6」です。念のため、各コネクタの供給電力(給電能力)を実測します。
供給電力 (測定 : Cybenetics) | ピーク値 (0.001秒) |
---|---|
PCIeスロット (PCIe x16) | 8.8 W |
PCIe補助電源 (12V-2×6) | 363.7 W |
PCIeスロットから最大75 W(実測値:約9 W)まで、12V-2×6から最大600 W(実測値:約364 W)まで、合計675 W(実測値:約375 W)を取り出せます。
12V-2×6コネクタは溶融リスクを恐れられがちですが、RTX 5070 Tiならピーク値ですら約370~380 W程度。
定格最大値の660 Wまで約1.7~1.8倍以上のマージン(余裕)が確保され、十分に安全です。コネクタをきちんと奥まで挿し込めば、溶融する危険性はほとんどありません。

(グラボに変換ケーブルが付属します)
なお、電源ユニットに12V-2×6ケーブルがない場合は、付属品の「12V-2×6 → PCIe 8 pin(x3)」で問題なく使えます。

- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- Display Port 2.1a(UHBR20 = 80 Gbps)
- HDMI 2.1b(FRL12x4 = 48 Gbps)
映像出力端子は全部で4本です。
Display Port 2.1がちゃんとUHBR20規格に対応します。最大80 Gbpsもの圧倒的な転送レートにより、4K(240 Hz)を無圧縮(非DSC)で表示できてしまうほどです。
なお、ライバルのRX 9000シリーズはUHBR13.5規格にとどまり、最大54 Gbpsに制限されます。真のDP 2.1が必要ならRTX 50シリーズしか選択肢がないです。
RTX 5070 Tiのゲーム性能をベンチマーク

全部で20本のゲームを使って、RTX 5070 Tiの性能を実際にベンチマークします。


- ベンチマークに使ったゲームタイトル
- ベンチマーク時の画面サイズ(解像度)
- 左から順番に「グラフィック設定」「ロケ地」「採用ゲームエンジン」
- 最低フレームレート(下位1%)
- 平均フレームレート
- フレームレート(横軸)
当ブログ「ちもろぐ」のゲーム性能グラフは以上6つの項目で構成され、そのうち太字で強調した2~5番がとても重要です。
- 画面サイズ(解像度)
画面サイズはそのままゲームプレイ時の解像度です。フルHD(1920 x 1080)→ WQHD(2560 x 1440)→ 4K(3840 x 2160)の3つを検証します。
4Kになるほど情報量が増えてディテールの細かい映像が表示されますが、それだけグラフィックボードにかかる負荷も増大して、平均フレームレートが大きく下がる要因です。
- グラフィック設定
ゲーム側の設定です。基本的に最高画質になるよう調整し、あまりにも重たすぎて検証にならない場合のみゲーム設定を妥協します。
なお、参考程度に検証したゲームで使われている「ゲームエンジン」も掲載しています。エンジンによって性能の傾向がそこそこ変わるので、相関性に着目すると何か発見があるかもしれません。
- 平均フレームレート
Intel社が開発したフレームレート測定ツール「PresentMon V2」を用いて、ゲームプレイ中の描写フレーム数を記録します(※記録方式:MsBetweenDisplayChange)。
1秒あたり60枚なら60 fpsで、240枚なら240 fpsです。記録したfpsをテスト時間で割って平均フレームレートを求められます。
平均フレームレートが高いほどヌルヌルとした快適な映像を表示できている証拠として扱えますが、平均値だけを見ていると誤った解釈をするリスクが出てきます。
- 最低フレームレート(下位1%)
平均値に加えて、記録したfpsのうち下から数えて1%の範囲に入っているワースト値もセットで掲載します。
ゲームプレイ中にfpsが不安定な挙動だと下位1%が著しく低い数値になり、平均値が高くても実際にプレイするとカクカクとストレスのたまる挙動をしている可能性に気づけます。
Apex Legends

平均fps最低fps(下位1%)
定番eSportsタイトル「Apex Legends」を最高グラフィック設定でベンチマーク。
RTX 5070 Tiは平均290 fps前後に達してしまい、グラボの性能を出し切るより先にゲーム側の上限(300 fps制限)に引っかかります。

平均fps最低fps(下位1%)
最近トレンドになりつつあるWQHD(フルHDの1.8倍)でも、RTX 5070 Tiがパワフルな性能を発揮し、RX 9070 XTに対して約6%高性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
競技FPSゲーマーからまったく支持がない4K解像度(フルHDの4倍)を参考程度にベンチ。RX 9070 XTと比較して、RTX 5070 Tiは約11%高いフレームレートです。
Apex Legendsは意外とVRAM帯域幅に敏感なゲームだと分かります。
Escape from Tarkov(タルコフ)

平均fps最低fps(下位1%)
カルト的な人気を誇るサバイバル型FPSタイトル「タルコフ」を、カスタム高設定でベンチマーク。ドライバ側で1000 fps上限に上書きして144 fps上限を解除しています。
フルHDの結果は見ての通り、CPUボトルネックに壁になってグラフィックボードの性能差がまったく出なかったです。
タルコフをプレイするならグラフィックボードをほどほどにして、CPUにお金を掛けるべきです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDに引き上げると、グラフィックボードの性能差が出現しますが、依然としてCPUボトルネックに阻まれています。
タルコフは本当に恐ろしいゲーム、WQHDですらCPUボトルネックが先に来ます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でようやくCPUボトルネックが緩和され、グラフィックボードの性能差を抽出可能です。
タルコフはUnityで制作されているゲームなので、VRAM帯域幅にとても敏感なタイトルで知られます。RTX 5070 Tiに搭載された毎秒896 GB/sもの超高速なVRAMが猛威をふるい、RX 9070 XTに対して約26%もの大差です。

Fortnite(フォートナイト)

平均fps最低fps(下位1%)
最新のUnreal Engine 5で制作されている大人気eSportsタイトル「フォートナイト」をベンチマーク。
グラフィック設定を最高プリセットにしてから、Nanite仮想化設定(Lumen)を「高」に抑えました。
ゲームエンジンに詳しいフォロワーに教わった話によると、「Lumen」を使う場合はRadeonが有利らしいです。今回の比較データを見る限り、たしかにRadeonが全体的に強かったです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも若干差は縮みますが、フルHDと似た傾向がつづきます。RTX 5070 TiがRX 9070 XTに5%くらい劣ります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でようやく性能差が埋まり、RTX 5070 TiとRX 9070 XTがほぼ同等性能に。解像度が大きくなると、やはりVRAM帯域幅が効いてきます。
Call of Duty : Black Ops 6

平均fps最低fps(下位1%)
グラフィック品質が高い有料FPSタイトル「Call of Duty : Black Ops 6」を、ゲーム内ベンチマークで検証します。
前作MWIIと同じように、Call of DutyシリーズだとRadeonシリーズが高い性能を出す傾向です。RTX 5070 TiはRX 9070 XTと同じ性能にとどまります。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDから性能差がさらに開いて、RTX 5070 TiがRX 9070 XTに1割も抜かされます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でもRadeon優位に変わりなく、VRAM帯域幅も虚しくRTX 5070 TiがRX 9070 XTに約1割ちょっと負けています。
VALORANT

平均fps最低fps(下位1%)
競技シーンで著名なeSportsタイトル「VALORANT」を、最高グラフィック設定でベンチマーク。
最高画質でもテストしたグラフィックボードほぼすべてがCPUボトルネックに衝突して、目立った性能差がまったく出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでもCPUボトルネックが依然として健在、グラフィックボードの性能差がイマイチ出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度からようやくグラフィックボードの性能差をハッキリ確認でき、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを約26%も上回ります。
RTX 5070 Tiは見事にRX 9070 XTを抑え、RTX 4070 Ti SUPERに匹敵する凄まじい性能を発揮します。RTX 5060 Tiに対して、なんと1.5倍もの性能です。
Overwatch 2(オーバーウォッチ)

平均fps最低fps(下位1%)
日本でも人気が高いヒーロー型シューターFPS「オーバーウォッチ2」を、最高グラフィック設定でベンチマーク。
RTX 5070 Tiは文句なしにパワフルな性能を見せ、RTX 4080 SUPERにすら匹敵し、RX 9070 XTを超えています。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも同じ傾向です。

平均fps最低fps(下位1%)
VRAM帯域幅が影響しやすい4K解像度にて、RTX 5070 TiがRX 9070 XTより約1割も高い性能です。
VRAMの物理帯域幅(キャッシュヒットを含まない物理値)で勝負が決まってしまう、最適化不足なゲームが世の中には意外と存在します。
Assetto Corsa EVO

平均fps最低fps(下位1%)
現実のようなリアルな挙動をウリにしている、マニア向けなレーシングシミュレーション「Assetto Corsa EVO」をベンチマーク。
パッチアップデートで全体的にパフォーマンスが改善されたものの、依然としてRadeonが振るわないうえ、最適化もイマイチなゲームです。
RTX 5070 Tiはやはり調子が良いです。RTX 4080 SUPERに迫り、RX 9070 XTを軽々と超える性能に。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも同じ傾向がつづきます。RTX 5070 TiがRX 9070 XTより約14%も高い性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度もRTX 5070 Tiが安定して強く、RX 9070 XTを約18%も上回ります。
首都高バトル

平均fps最低fps(下位1%)
日本国内で人気が高いレーシングシミュレーション「首都高バトル」をベンチマーク。なお、最高グラフィック設定が非常に重たかったため、1段階下げた高設定を使います。
首都高バトルはややRadeon寄りな傾向が・・・、フォロワーのアドバイスを思い出し、設定画面をあらためて確認しました。
「グローバルイルミネーション」と「反射」設定があり、それぞれ「High」以上にすると内部で「Lumen」が動きます。Lumenを使うとRadeonが有利とする説を補強する結果になりました。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDからRTX 5070 TiとRX 9070 XTの性能差が縮小し、だんだんVRAM帯域幅が重視される傾向に切り替わります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でVRAM帯域幅の影響が色濃く出て、RTX 5070 TiがRX 9070 XTに並びます。
モンハンワイルズ(MH Wilds)

平均fps最低fps(下位1%)
ゲーミングPC特需を引き起こすほど熱狂的な人気を誇っていた(過去形)、国産サバイバルアクション「モンスターハンターワイルズ」をベンチマーク。
全マップをくまなく探索して、特に負荷が高かった「緋の森(豊穣期)」をロケ地に選びました。プリセット「ウルトラ(レイトレ:高)」を適用してから、超解像とフレーム生成を無効化します。
もともとモンハンワイルズはRadeonが有利なゲームとして有名でしたが、ゲーム側の度重なるアップデートでGeForceも高い性能を出せるように改善されています。
フルHDの場合、RTX 5070 TiとRX 9070 XTがほぼ同じ性能です。しかも下位1%フレームレートに注目すると、RTX 5070 Tiの圧勝です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDもフルHDと同じ傾向が続きます。平均値でほぼ同じ、下位1%でRTX 5070 Tiが有利です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でも引き続き、RTX 5070 TiとRX 9070 XTが互角レベルの性能です。
「Radeonがモンハンに強い」はすでに古い情報になりました。同グレード、同じVRAM容量なら、そこそこ同じ性能で拮抗します。

サイバーパンク2077

平均fps最低fps(下位1%)
オープンワールドアクションの傑作「サイバーパンク2077」をベンチマーク。プリセット「レイトレーシング:ウルトラ」を適用してから、超解像とフレーム生成を無効化します。
RTX 5070 TiがRTX 4080 SUPERに並び、RX 9070 XTを15%も超える性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでもRTX 5070 TiがRX 9070 XTより約15%高い性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度も同様にRTX 5070 TiがRX 9070 XTを抑え、約16%も高性能でした。
Ghost of Tsushima

平均fps最低fps(下位1%)
PlayStation専売ソフトからPCに移植された、日本風アクションの傑作「Ghost of Tsushima」を最高画質でベンチマーク。
もともとプレステ向けに最適化されただけあって、Radeonが優位なゲームです(※PS5の中身がRadeonだから最適化されている説あり)。
フルHDの場合、RTX 5070 TiがRX 9070 XTに約1割ほど抜かされます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでも傾向が変わらず、引き続きRTX 5070 TiがRX 9070 XTに1割くらい届かないです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度も同じ傾向です。Ghost of Tsushimaは明確にRadeonが得意とするゲームです。
黒い砂漠(Black Desert)

平均fps最低fps(下位1%)
アクティブ数だけならモンハンワイルズにも負けていない、隠れ人気MMORPG「黒い砂漠(Black Desert Online)」をウルトラ品質でベンチマーク。
2025年8月に実装された新マップ「魔界エダニア」をロケ地に選びました。10年前(2015年)リリースの古いゲームですが、ベンチマークを見てのとおり驚異的な負荷です。
RTX 5070 Tiは、RX 9070 XTに対して約16%も高い性能を発揮します。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでも性能差はまったく閉じる気配なく、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを約17%も上回ります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度のベンチマーク結果です。
黒い砂漠の4Kウルトラ品質は2025年現在も超重量級。シェーダー規模だけでなく、VRAM物理帯域幅も厳しく要求される意外とハードなベンチマークです。
物理帯域幅といえばRTX 50シリーズの大きなメリット。RTX 5070 TiはRX 9070 XTに対して、なんと約53%(1.5倍)もの大差をつけて圧勝します。
MMORPGだから日による変動があるのでは、と疑って翌日も同じテストを行い、誤差1%程度の高い再現性を確認済みです。一貫してRTX 5070 TiがRX 9070 XTより強かったです。

鳴潮(Wuthering Waves)

平均fps最低fps(下位1%)
ライブサービス型の大人気オープンワールドRPG「鳴潮(Wuthering Waves)」をベンチマーク。プリセット「グラフィック優先」を適用して、レイトレーシング:高(オプションすべて)を有効化します。
なお、Ver 2.3でレイトレーシング品質の向上パッチが入り、以前にも増してレイトレ時の負荷が跳ね上がっています。
鏡面反射と水面反射を多用するエリアで凄まじい負荷が発生し、ほとんどのグラフィックボードが120 fps上限すら維持できないです。
RTX 5070 TiはRX 9070 XTと同程度にとどまり、目立った性能が出ません。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでは平均60 fpsすら出せないグラフィックボードが続出します。
RTX 5070 TiはフルHDに引き続き、RX 9070 XTと同じくらいの性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度なら勝てると思いきや、やっぱりRX 9070 XTと同じくらいの性能に。
少なくともネイティブ解像度で動かす分には、双方に目立った性能差が無かったです。
技術的な観点で、「鳴潮」とRadeonの相性は意外と良好です。
しかし、鳴潮のレイトレモードはRX 9000シリーズ非対応です。ベンチマークでは「OptiScaler」を用いて強制的に有効化していますが、オンラインゲームである以上、アカウントBANのリスクが付きまといます。
加えて、GeForceシリーズなら「DLSS 4 SR(超解像)」と「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」に対応しており、高画質かつ高品質なフレームレート倍増が可能です。
Radeonシリーズはドライバver 25.9.1以降から「FSR 4 Override(上書き)」に対応します。DLSS 3.1相当の品質で超解像が可能になり、Radeonも選択肢に挙げ・・・そういえばレイトレ非対応でした。
ゼンレスゾーンゼロ(ZZZ)

平均fps最低fps(下位1%)
ライブサービス型の大人気アクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」をベンチマーク。
フルHDの場合、CPUボトルネックに制限されてグラフィックボードの性能差がうまく出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでもRTX 5070 TiクラスだとCPUボトルネックが先に来てしまい、グラフィックボードの性能差が出ないです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でやっとCPUボトルネックから開放され、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを約16%も超えます。傾向を見る限り、ゼンレスゾーンゼロはVRAM帯域幅が効果的なゲームです。
崩壊スターレイル(Starrail)

平均fps最低fps(下位1%)
今どきめずらしいターン制RPGの超人気作「崩壊スターレイル」をベンチマーク。ランダムなスタッターが発生するゲームだから、最低フレームレート(1%)は参考程度に。
全体的にGeForceに優位、かつVRAM帯域幅も効果的な傾向です。RTX 5070 TiはRTX 4080 SUPERすら超えてしまい、、RX 9070 XTより約28%も高い性能。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDもフルHDに引き続き、RTX 5070 Tiが安定して強いままRX 9070 XTより約34%も高いフレームレートです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でも性能差の拡大を止められず、RTX 5070 TiとRX 9070 XTで約1.4倍もの性能差に。
崩壊スターレイルはVRAM帯域幅に依存する傾向が極めて強いゲームです。
ステラーブレイド(Stellar Blade)

平均fps最低fps(下位1%)
メガニケ(勝利の女神:NIKKE)の開発元で知られるSHIFT UP社が開発した、買い切りアクションタイトル「ステラーブレイド」をベンチマーク。
プリセット「とても高い」を適用後、超解像とフレーム生成を無効化します。
PS5向けに開発されたタイトルだからRadeonが有利と思いきや、実際のパフォーマンスはGeForce有利です。
VRAM物理帯域幅の影響もかなり見られ、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを1割超える性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで性能差がさらに開いて、RTX 5070 TiとRX 9070 XTの性能差は約23%に。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度もRTX 5070 TiがRX 9070 XTより約20%程度も高いフレームレートです。
パルワールド(Palworld)

平均fps最低fps(下位1%)
継続的な無料アップデートの繰り返しで根強い人気を保っている、国産サバイバルゲームの傑作「パルワールド」をベンチマーク。
Unreal Engine 5で制作されているため、てっきりRadeonが有利なゲームタイトルに見えて、実際はまったく真逆の傾向です。RTX 50シリーズが猛威をふるい、RX 9000シリーズがまったく振るわないです。
もちろん、GPU使用率や消費電力に異常なし。RX 9070 XTは使用率100%(304 W)で全力を出しているのに、RTX 5070 Tiに約80%(1.8倍)もの途方もない大差を付けられます。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDならRTX 5070 Tiがもう少し下がるかと思いきや、相変わらずRTX 4080 SUPERを超える驚異の性能です。RX 9070 XTとの性能差は約94%(1.9倍)に開きます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度で少しシェーダー数の差が効き始め、RTX 4080 SUPERに並びます。RX 9070 XTは引き続きまったく振るわず、RTX 5070 Tiに約97%(ほぼ2倍)の歴史的大敗を喫します。
シティスカ2(Cities : Skylines II)

平均fps最低fps(下位1%)
都市シミュレーションゲーム「Cities : Skylines II」をベンチマーク。そこそこスタッターが発生しやすいため、最低フレームレート(1%)は参考程度に。
フルHDはRTX 5070 TiとRX 9070 XTにほとんど差がないです。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも同じ傾向がつづき、RTX 5070 TiとRX 9070 XTが並びます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でなぜかRTX 4080 SUPERの性能が下がり、RTX 5070 Tiが逆転します。
RX 9070 XTとの性能差は特に変わりなく、両者ほぼ同じ性能です。
マインクラフト(Bedrock Edition)

平均fps最低fps(下位1%)
誰もが知ってるサンドボックスゲーム「マインクラフト(Bedrock版)」に、レイトレーシングを実装する「Vanilla RTX」シェーダーを導入してベンチマーク。
RTX 5070 Tiは前世代のRTX 4070 Ti SUPERに少し及ばない、微妙な性能にとどまります。それでもRX 9070 XTに対して、約10%の勝利を収めます。
大手企業マイクロソフトが開発運営するゲームにもかかわらず、意外と最新ハードウェアへの最適化が放置されています。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで少し性能差が縮小し、RTX 4070 Ti SUPERをわずかに超えます。RX 9070 XTとの性能差も少し縮みます。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でVRAMの物理帯域幅がようやく効き始めたのか、RTX 5070 TiがRTX 4070 Ti SUPERを上回ります。
RX 9070 XTとの性能差も一気に開き、RTX 5070 Tiが約20%(1.2倍)の勝利です。
VRChat

平均fps最低fps(下位1%)
ベンチマークの難しさで知られる、VRゲームの代表例「VRChat」をベンチマーク。グラフィック設定をすべて最大値にして、オブジェクト数が多くGPUに負荷が集中しやすいワールドを使います。
フルHDの場合、RTX 5070 TiはRTX 4080 SUPERに匹敵し、毎秒896 GBものVRAM帯域幅が見事に功を奏します。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDでもRTX 5070 TiがRTX 4080 SUPERと横並びに。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でさらに性能差が開きます。
グラボのスペックから予想を付けづらい不可解なベンチマーク結果ですが、おそらく、VRChatベンチマークに使ったワールドが大量のGPUコアを効率よく使いづらい可能性がありえます。
GPU | コア数 | VRAM帯域幅 | コアあたり |
---|---|---|---|
RTX 5070 Ti | 8960 | 896 GB/s | 100.0 MB/s |
RTX 4080 SUPER | 10240 | 736 GB/s | 71.9 MB/s |
RX 9070 XT | 8192 | 644 GB/s | 78.6 MB/s |
RX 7900 XTX | 12288 | 960 GB/s | 78.1 MB/s |
同じVRAM帯域幅なら、むしろGPUコア数が少ないほうが効率よく性能を引き出せるのかもしれません。
参考までに、RTX 5070 Tiの消費電力が約256 W(TGP比:85%)に対して、RTX 4080 SUPERは約240 W(TGP比:75%)でした。GPU使用率が99%に振り切っていても、消費電力の実測値に大差ありません。
消費電力はGPUが実際に仕事をしているかを確かめる手段のひとつです。
搭載されているすべてのGPUコアから100%の性能を引き出せず、結果的にRTX 5070 Tiに逆転を許してしまう可能性が考えられます。
・・・一方のRX 9070 XTは約303 W(TGP比:100%)を出せていて、きっちり全力を出せている様子です。それでも余力を残すRTX 5070 Tiに約30%(1.3倍)ものリードを許しているあたり、なかなか厳しいです。
【おまけ】定番ベンチ「3DMark」の比較スコア

4K解像度(3840 x 2160)で動作する重量級ベンチマーク「Steel Nomad」のGPUスコアを比較しました。
RTX 5070 Tiが約6650点で、RX 9070 XTは約6740点です。理論値スコアを見る限り、両者の性能はほぼ拮抗しますが、あくまでも理論値に過ぎません。
Call of DutyのようにRadeonが大きく勝つゲームもあれば、パルワールドや黒い砂漠などRadeonが大敗するゲームもあり、個人的に3DMarkスコアをアテにしてないです。
ゲームタイトル次第で実際の性能は大きく変わってしまう可能性が高く、Steel Nomadなど理論値スコアはざっくりとしたイメージ図と捉えた方が、精神衛生的に安全です。
RTX 5070 Tiの平均ゲーミング性能
平均フレームレートを比較(20ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
ベンチマークした全20個のゲームから、RTX 5070 Tiの平均パフォーマンスを計算したグラフです。
RTX 5070 TiのフルHD性能は、RX 9070 XT以上、RTX 4080 SUPER相当です。想定より高い性能差が見られて満足してます。

平均fps最低fps(下位1%)
RTX 5070 TiのWQHD性能もフルHDとおおむね同じで、RX 9070 XTをきっちり超え、RTX 4080 SUPERに肉薄します。

平均fps最低fps(下位1%)
RTX 5070 Tiの4K性能も同じ傾向です。RTX 4080 SUPERと同等の性能を維持し、RX 9070 XTを約16%も上回ります。
定価ベースでRX 9070 XT以上のコスパを叩き出し、安値ベースでも互角の水準です。

【ラスター】平均fpsを比較(16ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
Radeon陣営が不利になる傾向がある「レイトレーシング」のデータを差し引いた、ラスタライズ性能(非レイトレ性能)の平均パフォーマンスです。
レイトレを差し引いても、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを打ち負かす結果に。やはり「パルワールド」や「黒い砂漠」など、Radeonがダメな例が原因でしょう。
仮にAMDが重たい腰を上げて、パルワールドを最適化してしまえば、RX 9070 XTがRTX 5070 Tiに匹敵したはず。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDのラスタライズ性能も同じ傾向が続きます。RTX 5070 TiがRX 9070 XTより高性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でもっと性能差が拡大し、RTX 5070 TiがRX 9070 XTを約17%も上回ります。
【レイトレ】平均fpsを比較(4ゲーム)

平均fps最低fps(下位1%)
レイトレーシングだけに絞った平均パフォーマンスも見てみましょう。
「モンハンワイルズ」や「マインクラフト」など、比較的Radeonが得意なタイトルが含まれるため、ラスタライズ平均よりRadeon陣営に有利な指標です。
しかし、RTX 5070 Tiが意外にしぶとく性能を維持していて、RX 9070 XTを上回る性能です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDのレイトレ性能です。RTX 5070 TiがRX 9070 XTより1割ほど高いフレームレートで、RTX 4080 SUPERに迫ります。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度のレイトレ性能です。引き続きRTX 4080 SUPERに迫る性能を維持し、RX 9070 XT以上の性能です。
RTX 5070 TiのAIアップスケーリング性能
最新のAI超解像モデル「DLSS 4」に対応
超解像 | NVIDIA DLSS (Deep Learning Super Resolution) | AMD FSR (FidelityFX Super Resolution) | Intel XeSS (Xe Super Sampling) |
---|---|---|---|
最新世代 | Transformerモデル | CNN + Transformerモデル | 機械学習 + フレーム生成対応 |
1世代前 | CNNモデル + フレーム生成対応 | フレーム生成対応 | 機械学習で超解像 |
2世代前 | 機械学習(CNN)で超解像 | 機械学習なし (前後参照の動き検出) | – |
3世代前 | 機械学習なし (Lanczosフィルタ) |
フレームレートを底上げする超解像(アップスケーリング)機能として、RTX 50シリーズは最新モデル「DLSS 4(Deep Learning Super Resolution 4)」に対応します。
NVIDIAが大金をかけて用意した莫大な量のデータセット(学習用データ)を、Transformerモデルを用いて学習させて作り出した、最新のAI超解像モデルです。
従来のCNNモデルを使ったDLSS 3世代と比較して、Transformerモデルを使ったDLSS 4世代ではネイティブ画質に近い品質でアップスケーリングが可能とされています。
しかも、ゲーム次第でネイティブ画質以上の品質に超解像できるらしく、「画質を妥協して性能を稼ぐ」から「画質のためにあえて有効化する」機能に進化しました。
DLSS 4によるAI超解像を適用すると、HD(1280 x 720)~ フルHD(1920 x 1080)相当の軽い負荷だけで、実質4K(3840 x 2160)ゲーミングを動かせます。
ネイティブ画質で平均60 fpsギリギリだった超重量級ゲームも、DLSS 4超解像なら平均120 fpsや平均240 fpsも視野に入る圧倒的な性能です。

誤解が多いので念のため解説します。
世代 | DLSS 4 SR (AI超解像) | DLSS MFG (マルチフレーム生成) | DLSS FG (フレーム生成) |
---|---|---|---|
RTX 50 | 対応 | 対応 | 対応 |
RTX 40 | – | ||
RTX 30 | – | ||
RTX 20 |
最新のAI超解像モデル「DLSS 4」を使った超解像(SR)は、すべてのGeForce RTXシリーズで対応済み。AI特化型コア(Tensor Core)が入ってるGeForceなら、基本的にDLSS 4を使えます。
一方で、「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」は現時点でRTX 50限定機能です。
従来世代からある「DLSS FG(フレーム生成)」は、RTX 40とRTX 50が対応します。
「DLSS 4」と他社の超解像モデルで画質を比較
「DLSS 4」「DLSS 3」「FSR 4」「FSR 3.1」に対応している「サイバーパンク2077」で、パフォーマンス品質の超解像とフレーム生成(2X)を入れて、分かりやすい比較画像を用意しました。
ネオンの細いラインに画質の違いがハッキリと出ます。従来世代「DLSS 3」だと、階段状のジャギーが大量に目立っていて画質が悪いです。
最新モデル「DLSS 4」なら、ジャギーがまったく発生せずヌルヌルと直線を再現できます。
ライバルの最新モデル「FSR 4」と比較してみても、やはりジャギーの少なさはDLSS 4が圧倒的です。
アスファルトのディティール表現に注目します。
テクスチャの明瞭感に若干の差が生じていて、DLSS 4ならピントが一致したような、くっきり明瞭パキッとした画質に見えます。
FSR 4と比較しても、DLSS 4の方がさらにシャープな描写に仕上がっている印象です。
奥の方に見えるガードレールのりんかく線や、反射光に頻出する階段状ジャギーも大幅に軽減されています。
AI超解像が再現に失敗しやすい規則正しいテクスチャの表現をチェック。
左側にあるオレンジ色のテキストに注目すると、各モデルの性能差が丸わかりです。DLSS 4がもっともピントが一致した、解像感の高いテキストをきちんと表示できます。
右側の下から上へ一定速度で流れているコードログも興味深いです。規則正しく動いているテクスチャの再現性能において、DLSS 4が明確に別次元の領域だと見て取れます。
FSR 4はテキストをぐちゃぐちゃと謎言語に変換しているし、DLSS 3はコードの流れに違和感が残ります。
若干分かりづらいシーンです。DLSS 4とFSR 3.1の比較なら、ピンボケ感が緩和されて解像度の高い映像に見えます。
しかし、DLSS 3との比較は少し微妙な印象で、言われてみれば若干シャープネスが増した感がある程度。
「24時間営業」の背後にあるタイル張りの壁面が分かりやすいです。
タイルのつなぎ目とネオンの反射光の再現性に若干の差が生じます。奥の方に見えるネオンチューブのぼんやり感は、DLSS 4が明らかに優秀です。
「モンスターハンターワイルズ」も一応チェックします。
ハンターの髪、背中に背負っている武器のりんかくやテクスチャなど、DLSS 4のほうがクッキリとシャープネスな仕上がりです。
FSR 4と比較しても、DLSS 4が明確に高画質です。
細かい背景描写をチェック。
正直なところ、かなり微妙な差です。FSR 3.1が目立って酷い画質だと分かりますが、FSR 4やDLSS 4の性能差は正直なんとも言えません。
FSR 3.1だけが顕著にひどい画質です。DLSS 4やFSR 4の差は言われてみれば程度にしか変わらない印象。

超解像 + フレーム生成時の平均fpsを比較
今回ベンチマークに使った20本のゲームから、「FSR 4」と「DLSS 4」どちらも使える2本のゲームを使って、超解像 + フレーム生成時の性能を検証します。
- モンハンワイルズ
(DLSS 4対応 / FSR 4オーバーライドで対応) - サイバーパンク2077
(DLSS 4対応 / FSR 4オーバーライドで対応)
モンハンワイルズとサイバーパンク2077は、DLSS 4に正式対応済みです。ゲーム画面設定から「DLSS 4」を選択するだけで有効化できます。

平均fps最低fps(下位1%)
超解像 + フレーム生成を加えると、あっさり平均150 fps超えですが、フレーム生成を使ってもRTX 5070 TiはRX 9070 XTに一歩及ばない結果に。
モンハンワイルズがそもそもRadeon有利なうえ、「DLSS 4」モデルの負荷が「FSR 4」より重たいため、フレームレートの伸びで少し不利です。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDも差は縮まらず、平均フレームレートでRX 9070 XTに一歩届かないです。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度でようやく性能差が縮小し、RTX 5070 TiとRX 9070 XTがほぼ同じフレームレートに。
超解像の品質はRTX 5070 Tiが有利、フレームレート自体はFSR 4が軽い分だけあってRX 9070 XTに軍配が上がります。

平均fps最低fps(下位1%)
ネイティブ解像度で平均100 fpsすら出せなかったサイバーパンク2077も、AI超解像とフレーム生成の力を借りれば、見ての通り2倍以上に跳ね上がり平均200 fps台の世界へ。
RTX 5070 Tiは、平均フレームレートでRX 9070 XTに一歩及ばずですが、超解像の品質でライバルを上回ります。しかも、まだ「マルチフレーム生成(MFG)」を使っていません。

平均fps最低fps(下位1%)
WQHDで性能差が縮小しますが、まだまだRTX 5070 TiとRX 9070 XTのフレームレート差は開いています。

平均fps最低fps(下位1%)
4K解像度で性能差が無くなり、RTX 5070 TiとRX 9070 XTが同等性能に並びます。
計算負荷が重たい代わりに超解像の品質でRTX 5070 Tiが有利なため、品質も込みで評価すればRTX 5070 Tiが有利でしょう。

「マルチフレーム生成(DLSS MFG)」適用時の性能

RTX 50シリーズ限定機能「DLSS MFG(マルチフレーム生成)」を軽くチェックします。
今回テストした20本のゲームで、正常動作が可能なDLSS MFG対応タイトルは「サイバーパンク2077」だけです。
まだまだ普及率と実装に課題があり、RTX 50シリーズの主要な強みとして推すにはイマイチ訴求力に欠けます。

平均fps最低fps(下位1%)
RTX 5070 Tiにフレーム生成(DLSS FG)を適用して、平均71 fpsです。
マルチフレーム生成(DLSS 3x MFG)モードで平均127 fpsに増え、RTX 5080を超えてRTX 4090にすら迫る圧巻の性能です。
さらに中間フレームを3枚生成する(DLSS 4x MFG)モードを入れて、平均160 fpsまで押上げます。RTX 4090を余裕で上回り、RX 9070 XTに対して約78%(1.8倍)のフレームレートです。
中間フレーム生成数を増やすほど、フレームレート増加率がやや減少します。マルチフレーム生成そのものに結構な負荷がかかるため、元のフレームレートが下がってしまうからです。

RTX 5070 Tiのクリエイティブ性能を比較
ここからは、グラフィックボードのベンチマークで見過ごされる傾向が強い「クリエイティブ性能」を詳しくテストします。
クリエイティブ性能に影響するスペックを確認します。
GPU | RTX 5070 Ti | RX 9070 XT |
---|---|---|
VRAM帯域幅 | 896 GB/s | 644 GB/s |
FP16 / 演算回数 | 87.9 TFLOPS | 97.3 TFLOPS |
FP8 / 演算回数 | 175.8 TFLOPS | 194.6 TFLOPS |
INT8 / 演算回数 | 703.2 TOPS | 778.4 TOPS |
INT4 / 演算回数 | – | 1556.8 TOPS |
FP4 / 演算回数 | 1406.4 TOPS | – |
意外とRX 9070 XTの基本スペックは強力で、RTX 5070 Tiより約11%も高いFP16演算スループットです。
スペックシートから計算できる理論値だけなら、額面で2万円の差額があるRTX 5070 Ti以上だったりします。実際にクリエイティブタスクを動かしてみて、スペックどおりの性能差が出るか検証です。
GPUレンダリング

定番のGPUレンダリングソフト「Blender」を使って、RTX 5070 Tiのレンダリング性能をベンチマーク。
RTX 5070 Tiが約7670点を叩き出し、RX 9070 XTは約3130点にとどまります。
RX 9070 XTに約2.5倍もの大差で圧勝します。
GeForce陣営は「Optix(CUDA)」ライブラリで処理して、Radeon陣営は「AMD HIP」ライブラリで処理するため、ハードウェアの性能をフルに発揮できないグロテスクな構図です。
ちなみに、Blender 4.5から「Vulkan」に対応しましたが、ベンチマークにVulkanモードが入ってないです。誤差程度のスコアしか出ないので、引き続き4.4版を使っています。
Blenderスコアの内訳です。
monster / junkshop / classroomどれをとっても一貫してRTX 5070 Tiが圧倒的にパワフル。RX 9070 XTがRTX 5070 Tiに勝てる見込みはありません。

AIイラスト生成(Stable Diffusion)

AIイラスト生成ソフト「ComfyUI」を使って、Stable Diffusion XLやQwen Imageの生成スピードを検証します。
一般的に「iterations / seconds(1秒あたりのステップ数)」が指標として扱われますが、意外と長いVAEデコード時間が含まれないため、しばしば誤解を招く要因です。
よって本記事では、生成にかかった総時間(Prompt executed)を性能指標に使います。
- GeForceシリーズ:NVIDIA CUDA
- Radeonシリーズ:AMD ROCm
- Intel Arcシリーズ:Intel XPU
GeForceシリーズは「CUDA」版、Radeonシリーズは「ROCm(The Rock Wheel)」版を使います。
詳しいテストスペックは「AIイラストベンチマークの環境設定」を参照してください。

Novel AIが配布している初代Novel AI(nai-anime-v1-full)モデルを使って、定番のアスカベンチマーク(512 x 512)をテスト。
RTX 5070 Tiは約8.0秒で生成を終え、RTX 4070 Ti SUPERを超えます。RX 9070 XTもそこそこ動きますが、約27.2秒(3倍超)もかかってしまいます。

今もなお主流の「SDXL 1.0」モデルを使って、定番の解像度「832 x 1216」を一度に10枚生成します。
RTX 5070 Tiは約44.1秒で生成を完了、RTX 4070 Ti SUPERより速く、RX 9070 XTの2倍以上も高速です。
テストパターン別に結果まとめ ※クリックでグラフ拡大 | |
---|---|
ControlNetを適用 一度に5枚生成 | Hires.Fix(超解像) 1664 x 2432にアプスケ |
![]() | ![]() |
Hires.Fix(4K超解像) 3840 x 2160にアプスケ | 最新モデル生成 Qwen Image Q3で生成 |
![]() | ![]() |
パターンごとのテスト結果をまとめて掲載します。
構図を指定する「ControlNet(AnyTest v4)」適用時、RTX 5070 TiはRX 9070 XTより約4.6倍(+360%)高速です。
ディティールを加えながらイラストを高精細化する「Hires.Fix(ControlNet Tile併用)」適用時、RTX 5070 TiはRX 9070 XTより約4.8倍(+384%)も高速です。
さらに4K解像度へHires.Fixすると、RTX 5070 Tiは難なく1分で処理を終えますが、RX 9070 XTはmiOpenエラーの頻発でそもそもテストを完走できないです。
最新の画像生成モデル「Qwen Image」は、RTX 5070 TiがRX 9070 XTより約1.7倍(+70%)も高速でした。
あらゆる処理内容において、RTX 5070 Tiが一貫してRX 9070 XTより高速かつ安定して動きます。AI生成をするなら依然としてGeForceが強力な地位を築いています。
AI動画生成(Wan2.2)
AI生成ソフト「ComfyUI」を使って、定番の動画生成モデル「Wan2.2」の生成スピードを検証します。
画像と同じく動画も、性能指標は生成にかかった総時間(Prompt executed)です。
- GeForceシリーズ:NVIDIA CUDA
- Radeonシリーズ:AMD ROCm
- Intel Arcシリーズ:Intel XPU
GeForceシリーズは「CUDA」版、Radeonシリーズは「ROCm(The Rock Wheel)」版、Intel ARCシリーズは「Intel XPU」版を使います。
モデルサイズはすべて「Q6_K.gguf」固定です。
比較的大きなサイズのモデルですが、軽量動作なKijai版ワークフローを採用し、幅広いグラフィックボードでWan2.2をなんとか動かす努力をします。
VRAM容量の過不足に合わせて「Blocks To Swap」オプション値を調整したり、テストの開始と終点で詰まるようならVAEエンコード & デコード分割タイルモードも入れています。
詳しいテストスペックは「【Wan2.2】AI動画ベンチマークの環境設定」を参照してください。

360p相当の粗い解像度(416 x 416)、長さ5秒(81フレーム)の動画をWan2.2で生成しました。
RTX 5070 Tiは約77秒(1分ちょっと)、RX 9070 XTも難なく動作して約200秒(3分半ば)です。約2.5倍(+155%)の性能差でRTX 5070 Tiが圧勝します。
パターンごとのテスト結果をまとめて掲載します。
480p相当(800 x 448)なら、RTX 5070 Tiが約130秒ほど、RX 9070 XTはなんと500秒もかかります。約4倍(+290%)の性能差でRTX 5070 Tiが圧勝です。
720p相当(1280 x 704)はVRAM容量16 GBが足切りラインです。RTX 5070 Tiがなんとか約380秒で終え、RX 9070 XTはステップ進行中にOOMエラーで失敗します。
AIテキスト生成(ollama)
ローカル環境で動くChatGPTをベンチマークします。生成ソフトに「ollama」、生成モデルは「DeepSeek-R1-Distill-Qwen(GGUF版)」です。
「モンハンワイルズにおすすめなゲーミングPCについて約6000文字で解説してください」と英語で質問して、1秒あたりの回答スピード(token/s)で比較します。
なお、RX 9000シリーズは「LM Studio」を使って生成します。Radeonの場合、ollamaで動かすよりLM Studioの方が処理速度が速いです。

軽量な8Bモデルの場合、RTX 5070 TiはRX 9070 XTに対して約1.3倍も速い回答スピードです。
VRAM容量による性能差も出ません。LLM(AIテキスト生成)において、生成モデルがVRAMに収まっている限り、演算ユニット(CUDAコア数)の性能とVRAM帯域幅がでほぼ勝負が決まります。
VRAM帯域幅が本当に効いているかどうかは、RTX 4080 SUPERを見れば十分です。
RTX 5070 Tiを上回るシェーダー規模でも、VRAM帯域幅が負けているだけで処理速度が下がっています。もっぱらVRAM帯域幅ベンチマークに近いです。

標準的な14Bモデルですが、量子化されているから容量12 GBのVRAMにギリギリ入り切ります。
VRAMに収納できたら、あとはVRAM帯域幅で勝負が決まります。8Bモデルと同様にRTX 5070 TiがRX 9070 XTに対して約1.3倍の性能差です。

重量級の32BモデルはVRAM容量に入り切らずメインメモリにデータが溢れてしまい、大幅な性能ダウンに見舞われます。
4K素材で動画編集

Premiere Pro CCに4K動画素材を入れて、Puget Benchスクリプトでベンチマークした結果です。
RTX 5070 Tiの総合スコア(Overall Score)は約14200点で、RX 9070 XTに約5%の差をつけます。
LongGOP形式の動画編集のみ、RX 9070 XTが異様に速かったです。
一方でRAW編集やエフェクト処理(GPUエフェクト)は明確にRTX 5070 Tiが速いです。

ハードウェアの性能をゴリゴリと使ってくれる無料の動画編集ソフト「Davinci Resolve Studio」を、Puget Benchスクリプトでベンチマーク。
RTX 5070 Tiの総合スコア(Overall Score)は約10900点で、RX 9070 XTに対して約25%の性能差です。
LongGOP処理でRTX 5070 Tiが僅差でRX 9070 XTを上回り、エフェクト処理とFusion処理はRTX 5070 Tiが圧勝です。
RAW写真のAIノイズ除去

(歪曲収差で歪んでしまった直線も復元)
「DxO PureRAW」を使って、RAW写真のノイズ除去をベンチマークします。
PureRAWに搭載されている生成モデル「DeepPRIME XD2s」は、インターネット不要のローカル環境で使えて、そのうえ凄まじいノイズ除去と歪み補正を高速でバッチ処理できる優れたモデルです。

Sony a7CIIで撮影した3300万画素のRAW写真(5枚)から、ノイズと歪みをAI除去するのにかかった時間です。
一定ラインのグラボ以上でタイムが飽和します。DxO PureRAWが複数バッチ処理に対応していれば、また違った結果が得られそうですが、今のところシングルキュー処理のみ対応。
1枚ずつ順次実行するので、大規模なシェーダー数やVRAM帯域幅をイマイチ活かしづらい環境です。
動画エンコードの速度
動画エンコードの処理速度(1秒あたりの変換フレーム数 = fps)をベンチマークします。
- GeForce:NVEnc
github.com/rigaya/NVEnc/releases - Radeon:VCEEnc
github.com/rigaya/VCEnc/releases - Intel Arc:QSVEnc
github.com/rigaya/QSVEnc/releases
rigayaさんが公開している各エンコーダに対応する動画変換ソフトを使って、動きが激しいゲームプレイ中の録画動画をエンコードします。
なお、エンコード設定は「品質(VMAFスコア)」で正規化して、圧縮率(実効ビットレート)も可能な限りそれぞれ近づけています。
同じ変換品質かつ近い圧縮率でエンコードした場合の処理速度を比較します。

大手配信サービス「NETFLIX」が開発した、エンコード前後の劣化具合を数値化するスコアが「VMAF(Video Multimethod Assessment Fusion)」です。


動きが激しいシーンで頻発しやすいブロックノイズやディティール潰れを検出すると、VMAFスコアが大幅に下がります。
エンコード速度が速くてもVMAFが低ければ意味がないし、逆にVMAFが高くてもエンコード速度が遅くても困ります。だからエンコード速度を正確に比較するために、VMAFスコアを揃えた設定でテストしました。

昔ながらの「H.264」形式エンコードです。
GeForceシリーズは過去世代からずっとH.264エンコードを最適化する気ゼロ。RX 9070 XTに約2倍近い性能差を付けられます。

ゲームの録画で重宝されている「HEVC」形式エンコードです。
RTX 5070 TiはHEVCエンコーダーを2基搭載(デュアルエンコーダー)、シングルエンコーダーのRTX 5070に対して2倍近い性能ですが、RX 9070 XTもデュアルエンコーダーだから差が埋まらないままです。

H.264形式より格段に圧縮率が高い最新規格「AV1」エンコードです。
RTX 5070 TiのAV1エンコード速度は、従来比(RTX 4070)で約20%ほど高速化しています。RX 9070 XTもAV1エンコードが高速化しましたが、RTX 5070 Tiに1.5倍もリードされます。
デコーダー側の負荷次第で性能差が広がったり縮んだりしますが、H.264とHEVCエンコードはRadeon有利、AV1エンコードでGeForce有利な傾向です。
動画エンコードの変換品質(VMAF)
動画エンコードの変換品質(VMAFスコア)を、ビットレートごとに調べます。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
エンコード速度が80 fps前後になるよう設定を正規化してから、実効ビットレートごとのVMAFスコアを散布図(scatter plot)にプロットしました。
RTX 5070 Ti(Blackwell世代)のH.264エンコードは画質がほとんど向上しません。むしろ、低ビットレート領域の画質が伸びづらいです。
NVIDIA自身もH.264エンコードの画質改善にまったく力を入れていないですし、大差なくて当然な気がします。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
RTX 5070 Ti(Blackwell世代)のHEVCエンコードは、ビットレート16000 kbps以下で若干の改善です。
NVIDIAいわく+5%の改善です。今回のテストでは+1~8%の画質アップで、ゲーム配信でよく使うビットレートに絞ると平均+6%に達します。
RDNA 4世代のHEVCエンコードに危うく追いつかれそうでしたが、Blackwell世代の新型NVEnc(第9世代)で見事に引き離し、トップを独走中です。

(縦軸 x:VMAF / 横軸 log:実効ビットレート)
AV1エンコードはRTX 50シリーズから「Ultra Quality」プリセットを使えるようになり、16000 kbps以下の低ビットレート領域で若干の画質向上が見られます。
4000 ~ 16000 kbpsの範囲で、+0.6~8.1%の画質アップです。平均5%の改善を実現し、NVIDIA公式発表の「同じ品質で5%以上の圧縮率」をざっくり確認できたかたちに。
RTX 50以外のグラフィックボードは、どんぐりの背比べです。
フルHDと4K解像度のテスト結果です。
H.264エンコードのみ目立ってRTX 5070 Tiが劣勢で、HEVCとAV1エンコードでトップ争いを展開します。
OBSでゲーム配信録画
定番のゲーム配信ソフト「OBS Studio(v31)」で、モンハンワイルズをYouTubeに配信しながら同時に録画もします。

OBSなし録画配信中
VRAM容量がきびしい状態で同時に録画と配信(OBS)を実行すると、フレームレートが乱高下したり、まったく安定しない場合が多々あります。
RTX 5070 Tiはフレームレートを少し落とすだけにとどまり、安定性が高いです。RX 9070 XTも性能低下がわずか、安定性も互角レベル。

配信中のドロップフレーム数です。

(OBSの統計ログでドロップフレーム数を確認)
RTX 5070 Tiはドロップフレーム率0%で見事な配信です。当然ながらRX 9070 XTもドロップ率0%で問題なし。

グラフィックスAPIの呼び出し回数
(単位:1秒あたり1万回)
RTX 5070 Tiは、DirectX11とDirectX12の呼び出し回数が非常に多く、逆にVulkanの呼び出し回数でRX 9070 XTに大きく差をつけられます。
・・・ベンチマークを開発したUL Benchmarkいわく、API Overheadはどのグラフィックボードを選んでも十分すぎるほど数値が高く意味をなさない、として隠された項目に入っています。
しかし、一部のゲームでRadeonがまったく性能を出せない原因を推測するうえで役に立ちそうな予感もします。

RTX 5070 Tiの消費電力を比較

(約20万円もする高価なワットモニター)
「Cybenetics PMD(Power Measurement Device)」を使って、グラフィックボードの消費電力をダイレクトに測定します。
グラフィックボードの付属ソフトや、フリーソフト「HWiNFO」を使えば、誰でもかんたんにグラフィックボードの消費電力をチェックできる時代です。
しかし、2024年頃から「PCIe 5.1」規格に対応するマザーボードが増えていて、マザーボード経由で最大165 W(12 V x 13.75 A)もの電力を供給できます。
仮にグラフィックボード本体が約300 Wを使っていたとして、マザーボード経由で165 Wも引っ張り出されると、ソフト読みに表示される消費電力は135 Wです。
PCIe 5.1規格の登場で、フリーソフトを使ったいわゆる「ソフト読み」の信頼性がPCIe 5.1以前よりも下がりました。

(PCIe x16スロットも見逃さない)
当ブログ「ちもろぐ」で使っているCybenetics Labs謹製PMDなら、PCIe 8 pin(12VHPWR / 12V-2×6)とPCIe x16スロットの消費電力を直接モニターできます。

(12VHPWR or 12V-2×6コネクタも対応)
電源ユニットの認証機関であるCybenetics Labsが制作しただけあって、肝心の性能と精度が抜群に優秀です。
- 測定周期:1秒あたり1000回(1ミリ秒)
- 電圧精度:1 mV(0.001 V)
- 電流精度:1 mA(0.001 A)
- 電力精度:1 mW(0.001 W)
1秒あたり1000回の測定回数で、瞬間的な消費電力の跳ね上がり(スパイク電力)を正確に捉えられます。
わずか0.001 Wの高い分解能により微弱な消費電力もきちんと測定して、PCIeスロット経由の消費電力やアイドル時の消費電力も追跡できます。
ゲーム時の消費電力とワットパフォーマンス

テストした20本のゲームプレイ中の消費電力(平均値)を比較したグラフです。
負荷が軽いフルHDの場合、RTX 5070 Tiは平均234 W消費します。RX 9070 XTより約30 Wも少ないです。

WQHDゲーミング時の消費電力は若干増えて、平均263 Wです。
従来世代のRTX 4070 Ti SUPERより約15 Wくらい増えています。RX 9070 XTと比較すると、約40 Wも少ない消費電力に抑えられています。

4Kゲーミング時の消費電力はさらに増えて平均288 Wです。RX 9070 XTとほぼ同じ消費電力に収まります。
平均消費電力を平均パフォーマンスで割って、消費電力10ワットあたりのフレームレートを求めると、いわゆる「ワットパフォーマンス(電力効率)」を計算できます。
従来世代(RTX 40)より消費電力が増えても、ワットパフォーマンスはむしろ向上します。RX 9070 XTと比較して約22~26%も効率が高いです。
VRAM物理帯域幅が大幅に伸び、従来より効率よく実効性能を出せる設計になっているし、大量のCUDAコアをうまく使えないゲームで想定外の性能アップも電力効率にプラスの影響です。
フレームレート制限時のワットパフォーマンス

自由自在にfps制限ができる「RTSS」
Riva Tuner Statics Server(RTSS)を使って、ゲーム側の上限フレームレートをスライドしながら、グラフィックボードの消費電力をCybenetics PMDで記録します。

縦軸(x)が消費電力の実測値で、横軸(log)が実効フレームレートです。
フレームレート制限時の消費電力は、RX 9070 XTが非常に優秀です。

フレームレートを消費電力で割って、1ワットあたりのフレームレート(ワットパフォーマンス)をプロットしたグラフです。
世代が新しいほど効率が上がりますが、RTX 5070 Tiは伸びが止まっています。性能を絞っても、GDDR7メモリが占める割合が多いせいで、制限時の電力効率が伸びづらい説が挙げられています。
アイドル時とエンコーダーの消費電力
ほとんどのPCゲーマーがあまり気にかけない、アイドル状態(何もしていない状態)の消費電力や、エンコーダー使用時(= 動画再生など)の消費電力をチェックします。
微弱な消費電力を検出できるCybenetics PMDを使って少し深堀りしてみます。

ゲーミングモニター(4K 120 Hz)を1台つないで、バックグランドアプリをタスクキルして、LANケーブルを引き抜いてシステムをインターネットから隔離します。
デスクトップ画面の何もないところをダブルクリックしてシステムをアイドル状態に落とし込んだら、別のパソコンからCybenetics PMDを使って消費電力を測定します。
RTX 5070 Tiは平均26.0 Wです。不審なほどアイドル電力が大きいですが、今回テストに使ったGIGABYTE版グラボがすごく豪華な設計だから、待機電力を減らしづらいです。
もっと価格の安い定格ベースのグラボ(例:PalitやMSI Ventusなど)なら、あと10 Wくらい減る可能性あり。

マルチディスプレイ時のアイドル電力もやや多いです。
ゲーミングモニターを2台(4K 120 Hz + QHD 120 Hz)つないで、平均36.8Wです。ライバルのRX 9070 XTは、わずか平均8.5 Wまで抑え込みます。
AMD FreeSync Premium(G-Sync互換)の有無や、リフレッシュレートや解像度の組み合わせ次第で、いくらでも消費電力が変動する可能性が高いです。
掲載したデータはあくまでも筆者の環境だけで得られたデータに過ぎず、他人の環境で再現する保証は一切ありません。
なお、自分で測定するときは必ずシステムの外部から測定しましょう。システムの内部だと、測定ソフト自体がアイドル状態への移行を妨げてしまい、一向にアイドル時の消費電力を測定できないです。
VLC Media Playerで、高画質なゲームプレイ録画映像を再生します。動画を再生中の消費電力を、別のパソコンからCybenetics PMDで測定しました。
RTX 5070 TiはH.264 / HEVC / AV1形式のどれを再生しても平均40 W程度です。従来世代から特に改善なし。
それでもRX 9070 XTより約5~10 Wほど少なく、動画再生の効率は悪くないです。
少し変わったパターンの動画もテストします。上から順番に8K 60 fps / 8K 90 fps / フルHD 480 fpsの動画です。
平均45~60 Wで8K動画をスムーズに、コマ落ちなく再生できます。RX 9070 XTと比較して、やや少なめの消費電力で済みます。
動画エンコード時の消費電力もテストします。
デコード時より、エンコード時の消費電力が増えています。H.264とHEVCで平均70 W台に、AV1エンコードで平均80 W台に達します。
RX 9070 XTはそれぞれ10 Wずつ低く、AV1エンコードは約20 Wも少ないです。
やはりRX 9000世代はH.264とHEVCエンコードで処理速度と効率ともに王様で、RTX 5070 TiはAV1エンコードのみ最強格です。
スパイク電力をテスト(おすすめ電源ユニット)

(縦軸:消費電力 / 横軸:0.001秒ずつ測定)
グラフィックボードに変則的な負荷がかかると、瞬発的に消費電力が跳ね上がる「スパイク電力」が発生します。
近年の電源ユニットはスパイク電力を考慮して設計されているから、ほとんどの人はスパイクを気にする必要はありません。
しかし、スパイク電力が気になって仕方がないマニアなユーザーも少なからず存在するため、Cybenetics PMDで測定したミリ秒単位のスパイク電力を掲載します。

RTX 5070 Tiのスパイク電力はピーク時369 Wです。従来世代のRTX 4070 Ti SUPERより約25 W増えています。
一方で、ライバルのRX 9070 XTが深刻なスパイクを記録します。なんと554 Wに達し、RTX 4090に匹敵するスパイク電力です。
電源ユニットのピーク容量 | ||
---|---|---|
容量 / 世代 | ATX 2.x | ATX 3.x |
650 W | 880 W | 1300 W |
750 W | 1015 W | 1500 W |
850 W | 1150 W | 1700 W |
1000 W | 1350 W | 2000 W |
CPUにCore i9 14900K(253 W)やRyzen 9 9950X(230 W)を使う前提でも、容量650 ~ 750 Wの電源ユニットで問題なく運用可能です。

高負荷時のGPU温度とVRAM温度
グラフィックボードの温度やクロック測定は、基本的に使ったグラボの設計とチップの選別具合に左右されます。
まったく同じボード設計でも、GPU自体の個体差でクロックの伸びやすさや発熱度合いに差がどうしても出てくる可能性があります。
今回のRTX 5070 Tiレビューで使ったグラフィックボードは「GIGABYTE GAMING OC(4年保証)」モデルです。
全長340 mmもの巨大なボード設計に、102 mm大口径トリプルファンをぜいたくに搭載した、ハイエンド仕様モデルです。チップ接触面にベイパーチャンバー機構も投入し、高効率で優れた冷却性能を発揮します。
定格ベースの廉価モデルよりも冷えやすく、温度が低めに出やすいです。
掲載するデータは筆者の環境とグラフィックボードで得られたもので、あくまでも参考程度に見てください。

崩壊スターレイルを4K解像度(最高グラフィック設定)で起動したあと、約60分そのまま放置しながらGPUコア温度を測定したグラフです。
GPU温度 | 平均値 | ピーク値(1%) |
---|---|---|
コア温度 | 62.1℃ | 62.9℃ |
VRAM温度 | 62.6℃ | 64.0℃ |
ホットスポット | 取得不可 | 取得不可 |
GPUコア温度とVRAM温度、どちらも60℃台前半に落ち着く凄まじい冷え具合です。
冷却ファンもとても静かで・・・さすが102 mm大口径ファン3個と、厚み3.5スロット(70 mm厚)巨大設計によるゴリ押しパワーを体感します。
もちろん、RTX 5070 Tiに対して過剰装備です。定価モデル(MSRP版)のPalit GamingProや、MSI Ventus OCで十分でしょう。


約60分間のGPUコアクロック周波数を追跡したグラフです。
ゲーム起動時に2887 MHzに達したあと、その後テストが終わるまでずっと平均2685 MHz前後を推移します。
メーカー公称値(2588 MHz)を約100 MHzも超えている、非常に高いブーストクロックを一貫して維持できる安定したクロック動作です。サーマルスロットリングも一切なし。

テスト中のフレームレート(fps)とフレームタイム(ms)です。
GPUコアクロックが安定しているから、実際のフレームレートも当然ながら安定した推移を維持します。

ブーストクロックの動作チェック | |
---|---|
最大値 | 2700 MHz |
ピーク値(1%) | 2685 MHz |
平均値 | 2211 MHz |
公称値(NVIDIA) | 2452 MHz |
公称値(GIGABYTE) | 2588 MHz |
GPUに極端な負荷をドカンとぶつけて、メーカーがスペック表に掲載している「ブーストクロック(Boost Clock)」を満たせるかチェックします。
結果は最大値で2700 MHz(ピーク値1%で2685 MHz)を叩き出し、リファレンス公称値(NVIDIA)とオリジナル公称値(GIGABYTE)どちらもあっさり超えています。
まとめ:汎用性のRTX 5070 Tiとコスパの9070 XT

使い方 | 評価※ |
---|---|
FPSやeSports(競技ゲーミング) 主流のeSports系タイトルで300~600 fps台を狙える、非常に優れたフルHDゲーミング性能です。 | ![]() |
ソロプレイゲーム(RPGなど) 最高峰の画質を誇るAI超解像「DLSS 4」とフレーム生成「DLSS FG」の組み合わせで、100 fps超の4Kゲーミングを楽しめます。マルチフレーム生成(DLSS MFG)対応ゲームなら150~200 fpsも視野に。 | ![]() |
ゲーム実況配信の安定性 H.264エンコードは貧弱です。HEVCエンコードはそこそこ品質がよく、AV1エンコードは速度と品質ともに最高クラスの一角です。Youtube配信と特に相性良く、Twitch配信も余裕でこなせます。なお、Radeonより配信時のフレームレート下落率がわずかに多いです。 | ![]() |
プロの写真編集・動画編集 写真編集は目立った問題がありません。AIノイズ除去(DxO PureRAW)も速いです。Premiere ProやDavinci Resolveにおける、エフェクト処理とCG処理も文句なしに速い傾向あり。4K動画編集もこなせます。 | ![]() |
AIタスクの性能とサポート ハードウェア側のAI処理性能は依然として優秀です。ソフトウェアの対応も着実に進み、対応ソフトをインストールするだけで、すぐに生成を始められます。VRAMの利用効率も格段に優秀で、高解像度の生成から動画ですら対応可能です。 | ![]() |
ドライバの安定性と機能性 ドライバの安定性が「581.15」に来て、ようやく煮詰まってきました。予期しないクラッシュ、ブラックアウト(ドライバアウト)に一切遭遇しなかったです。機能性も充実していて、「DLSS 4オーバーライド」「Smooth Motion」「RTX HDR」「RTX Voice」「RTX VSR」など、ゲーム向け機能とコンテンツ向け機能が盛りだくさん。 | ![]() |
※用途別評価は「価格」を考慮しません。用途に対する性能や適性だけを評価します。
「RTX 5070 Ti」のコストパフォーマンス

RTX 5070 Tiのコストパフォーマンスを、レビュー時点で買える価格で計算します。
発売時こそ法外に高かったRTX 5070 Tiですが、4~5ヶ月かけて着実に値下がりをつづけ、13万円を切る実売価格に。
フルHDでRX 9070 XTに約7%劣るコストパフォーマンス。相手も約11万円まで値下がりしたから、コスパの溝が埋まらないです。

同じ手順で、WQHD(2560 x 1440)ゲーミング時のコスパも計算します。
わずかにコスパの差が縮小しますが、RX 9070 XTにまだ約5%ほど届かないです。

4K(3840 x 2160)ゲーミング時のコストパフォーマンスです。
両者のコスパが僅差まで閉じました。4Kゲーミングなら汎用性も考慮して、RTX 5070 Tiがやや有利な印象です。
「RTX 5070 Ti」のデメリットと弱点
- 「DLSS MFG」対応ゲームが少ない
(DLSSオーバーライド機能でやや緩和できます) - アイドル時の消費電力はライバルに劣る
- マルチディスプレイ時の消費電力も劣る
- H.264エンコードが依然として弱い
- 単純なフレームレートコスパはやや劣る
「RTX 5070 Ti」のメリットと強み
- パワフルなゲーミング性能
- フルHD~4Kゲーミングまで対応
- 実用的なレイトレーシング性能
(パストレーシング性能はライバル不在) - 最高峰の画質を誇る超解像「DLSS 4」
- フレームレート倍増「DLSS FG」
- フレームレート3~4倍「DLSS MFG」
- ドライバ型フレーム生成「Smooth Motion」
- 全体的に優れたクリエイティブ性能
- 導入がかんたんで速度も高速なAI性能
- 爆速で画質もいい
「HEVC / AV1エンコード」 - 安定した配信性能
- ケーブル1本でOK「12V-2×6」対応
- 最高峰のワットパフォーマンス
- 機能性と安定感あるドライバ(581.xx以降)
- 汎用性も込みで「コスパ」が高い
「RTX 5070 Ti」は、フルHDから4Kまで対応するパワフルなゲーム性能に、ライバルを簡単に上回る広範な汎用性を兼ね備えた万人向けハイエンドグラボです。
実際にRTX 5070 TiとRX 9070 XTをじっくり使い倒して、他人におすすめしやすいグラボはやはりRTX 5070 Tiだと確信しています。
リリース時に不安定さが取り沙汰されたドライバ問題も、ver 581.xx以降あたりから解消に向かい、今回ベンチマークした581.15でほとんど解消されています。
機能性も相変わらず盛りだくさん。
ゲームをAI処理でHDR化する「RTX HDR」や、AI処理で動画を超解像する「RTX VSR」、ドライバベースのフレーム生成「Smooth Motion」など。
充実したソフトウェア機能を備えます。HDR対応ゲーミングモニターを使っている筆者にとって、RTX HDRだけで多少の差額を許せます。
ゲームとコンテンツ再生以外の機能性も、RTX 5070 Tiが明らかに有利です。
写真編集と動画編集でライバルより全体的に処理が高速で、AI関係の処理が絡むと一気に差が開きます。AI生成タスクも全般的にRadeonを凌駕し、画像から動画、果ては音楽まで何でも生成可能です。
CUDA資産による巨大なコミュニティ群に支えられ、ソフトウェア整備も速いです。素人でもかんたんに導入でき、すぐに高速生成できる環境が揃っています。

予算10万円前半(~15万円)で特におすすめできるグラボです。
強いて言えば、未だに発売時の19.5万円を根に持っています。今なら約12~13万円台で買えるなんて、これからグラボやゲーミングPCを買う新規ユーザーが羨ましいばかりです。
以上「RTX 5070 Tiベンチマーク:RX 9070 XTとどっちがいいか性能比較【約1500ベンチ】」について、大量のベンチマークと解説でした。
本記事がRTX 5070 TiとRX 9070 XTのどちらを選ぶか、またはRX 9070やRTX 5070など下位モデルを選ぶか、結論を出すヒントになれば幸いです。

「RTX 5070 Ti」を入手する
NVIDIA Tier 1ベンダーとして知られ、コンシューマ向けだけなく、企業向けRTX PROシリーズも製造供給する「PNY」が生産するオリジナルファンモデルです。
日本国内での知名度が非常に低いですが、RTX 40世代から価格に対する優れた性能が少しずつ広がり始め、マニアから支持を集め始めているモデルです。
RTX 5070 Tiとして比較的コンパクトな全長300 mmにトリプルファンを搭載し、厚み約60 mm(3スロット)占有の分厚いヒートシンクで高い冷却性能を確保します。

しかもメーカー保証3年付き。コストパフォーマンスで選ぶならPNYが最有力候補です。

Palitが販売している最安値モデル「Palit GamingPro」もおすすめ候補です。
レビュー時点でもっとも定価に近いモデルで、コストパフォーマンスを最大化できます。ただし、メーカー保証1年が目立ったデメリット。
今回のレビューで使用した「GIGABYTE GAMING OC(4年保証)」モデルは、値段がイカツイので少し勧めづらい印象を拭えません。
RTX 5070 Tiなのに約15~16万円もします。下手したらRTX 5080に手が届きかねない驚きの高価格。「4年保証」が金額に含まれる、と捉えれば許容できる可能性あり。
以下のショップリンクから、いろいろなRTX 5070 Ti搭載モデルを検索できます。
RTX 5070 Tiにおすすめなゲーミングモニター
4Kで最大240 Hz、フルHDで最大480 Hz対応、マルチロール型OLEDゲーミングモニター「LG 32GS95UV」はかなりおすすめ。
ソロゲーで映像美を堪能するなら4Kモード、FPSゲームで競技性を追求するならフルHDモードと、用途に合わせて1台で切り替えるデュアルモード対応モデルです。
OLEDパネルで珍しい3~4年保証も付いてきます。RTX 5070 Tiにふさわしい1台です。

4K HDRゲーミングに没頭するなら「TCL 32R84」が目立った候補です。
本当に明るいHDR映像を楽しめる体験型ゲーミングモニターで、筆者は「RTX HDR」を併用して、鳴潮をHDR化して楽しんでいます。
OLEDパネルとまた違った世界観を体験できます。逆に言えば、HDRにさほど関心ないなら、OLEDを選んだ方がたぶんハズレないです。
WQHDモニターは「P275MS+」が最有力候補です。
WQHDで最大320 Hzに対応しながら、残像感を大幅に減らす「DyDs」モードを備え、さらに「量子ドット」「Mini LED(1152分割)」まで全部盛り。
価格はわずか5万円台から。有名ブランドなら約8~9万円を要求するスペックですが、最近の中国メーカーは価格の概念が壊れています。
グラフィックボードのレビュー記事
ゲーム別に測定した消費電力はこちら。
Cybenetics PMDを使って、PCIeスロットと補助電源コネクタを経由した電力をダイレクトに取得しました。
ちもろぐ調べ / 機材:Cybenetics PMD
ちもろぐ調べ / 機材:Cybenetics PMD
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