サムスンの「970 EVO Plus」はNVMe SSDの超定番モデルのひとつです。2021年9月ごろに大幅な値下げが入ったと同時に、若干の仕様変更が行われたので、単なる改悪か逆にコスパが改善したのか?
詳しくベンチマークします。
Samsung 970 EVO Plus【仕様】
Samsung 970 EVO Plus スペックをざっくりと解説 | ||||
---|---|---|---|---|
容量 | 250 GB | 500 GB | 1000 GB | 2000 GB |
インターフェイス | PCIe 3.0 x4(NVMe 1.3) | |||
フォームファクタ | M.2 2280(片面実装) | |||
コントローラ | Samsung in-house Controller | |||
NAND | Samsung 96層 3D TLC | |||
DRAM | Samsung LPDDR4 | |||
512 MB | 1024 MB | 2048 MB | 2048 MB | |
SLCキャッシュ | 非公開 | |||
読込速度 シーケンシャル | 3500 MB/s | 3500 MB/s | 3500 MB/s | 3500 MB/s |
書込速度(SLC) シーケンシャル | 2300 MB/s | 3200 MB/s | 3300 MB/s | 3300 MB/s |
書込速度(TLC) シーケンシャル | 非公開 | |||
読込速度 4KBランダムアクセス | 17000 IOPS | 19000 IOPS | ||
書込速度 4KBランダムアクセス | 60000 IOPS | 62000 IOPS | ||
消費電力(最大) | 5.0 W | 5.8 W | 6.0 W | 6.0 W |
消費電力(アイドル) | 30 mW | |||
TBW 書き込み耐性 | 150 TB | 300 TB | 600 TB | 1200 TB |
MTBF 平均故障間隔 | 150万時間 | |||
保証 | 5年 | |||
MSRP | $ 65 | $ 80 | $ 145 | $ 238 |
参考価格 | 6780 円 | 11380 円 | 14580 円 | 26980 円 |
GB単価 | 27.1 円 | 22.8 円 | 14.6 円 | 13.5 円 |
Samsung 970 EVO Plusは2019年に発売されたPCIe 3.0対応のNVMe SSDです。当時としては最先端の96層まで積み上げた3D TLC NANDを搭載し、読み書きともに3000 MB/s台を叩き出す高性能なNVMe SSDでした。
2021年現在は競合他社の魅力的なNVMe SSD(例:WD Blue SN550やPG4VNZなど)に押されて影の薄い存在になっていますが、9月頃にいきなり4000~5000円もの値下げが入って再び注目されています。
特に1 TBモデルは値下げ幅が大きく、1.4万円から入手可能です。かつてPCIe 3.0世代で最高峰に近い性能を持っていた970 EVO Plusが1.4万円台です。DRAMキャッシュレスの「WD Black SN750 SE」と大差ない価格だと考えると非常に魅力的に見えます。
ただし「見えます」のレベルです。実際に性能を見て、価格の近いライバル製品と比較してみないと本当に魅力的かどうかは分からないです。
ライバル製品と価格設定の比較
シーケンシャル性能が1500 MB/sを超えている普通のNVMe SSDと価格を比較します。970 EVO Plusは1 TB版が約1.4~1.5万円で、一時的に1.3万円台に値下がりしている時期がありました。
価格が近いライバル製品の多くは、DRAMキャッシュを搭載しないDRAMレスSSDです。970 EVO PlusはDRAMを搭載するので、性能面のアドバンテージが高いです。
WD Black SN750 SEにあと1000円を足せば、DRAMをきちんと搭載する970 EVO Plusが手に届くわけです。圧倒的に安いWD Blue SN550はともかく、Samsung 980やSN750 SEにとっては非常に厄介な相手になるのは間違いなし。
Samsung 970 EVO Plusを開封レビュー
パッケージデザイン & 開封
今回レビューで使用する970 EVO Plus 1TBは、筆者やかもちが自腹で購入したモノです(※13800円くらい)。従来の1.8~1.9万円だとなかなか買う気が起こらなかったですが、さすがに1.4万円割れは安いです。
パッケージデザインは直近のサムスン製品と同じ縦型レイアウトに変更されています。旧型と新型を並べると、やはり旧型のパッケージデザインは古さを感じます。
パッケージの表と裏です。いつもどおり、裏面にサムスン正規代理店ITGマーケティング社のシールがベタッと貼られています。
中身を引っ張り出すとプラスチック製のケースにSamsung 970 EVO Plusと付属品が収納されてます。
付属品は説明書と本体のみ。シンプルな内容です。
基板コンポーネント
マットブラック塗装の基板上に、SSDを構成する3つのコンポーネントが配置され、コンポーネントを覆い隠すように製品シールが張ってあります。
製品シールは剥がすと製品保証が無効となるので、剥がさないように。シール越しにヒートシンクを取り付けても余裕で冷えるので、あえて剥がす理由はないです。
基板の裏面はコンポーネントなし。効果があるのか非常に疑わしい、ニッケルコーティング済みヒートラベル(Heat spreader label)が貼ってあります。
では、製品シールを剥がしてSamsung 970 EVO Plusのコンポーネントを目視で確認します。
NANDメモリ、SSDコントローラ、DRAMそれぞれの拡大図をまとめて掲載します。
部品 | 内容 | 型番(刻印) |
---|---|---|
コントローラ | Samsung Elpis | S4LV003 |
DRAMメモリ | LPDDR4 1024 MB x1 | K4F8E3D4HF-BGCH |
NANDメモリ | K90UGY8 J58CCK0 |
SSDコントローラはSamsung自社製の「Elpis」を搭載。Samsung 8 nmプロセスで製造される、PCIe 4.0対応の超高性能コントローラです。参考までに、Elpisは上位モデルのSamsung 980 PROでも使われています。
DRAMキャッシュはサムスン製のLPDDR4メモリを1 GB搭載します。
NANDメモリはサムスン製の96層 3D TLC NANDですが、写真から確認できる型番は「K90UGY8 J58CCK0」です。同じ型番はSamsung 980(無印)でも見られるため、型番を信用するなら96層ではなく128層です。
つまり、同じ970 EVO Plusにも関わらず、搭載されているコンポーネントの内容が若干変わっています。
ただしADATAやKingstonにありがちなサイレントナーフとは、言い難いです。Samsung Elpisコントローラは明らかにPhoenixコントローラより高性能ですし、NANDメモリも96層 → 128層で(理屈では)高性能になります。
一方、サムスンの96層NANDは256Gbit Dieだったのに、128層NANDは512Gbit Dieです。Die容量の変化はほぼ確実に書き込み性能に影響を与えます。WD Blue SN500とSN550で見られた書き込み速度の低下も、Die容量の変化が原因でした。
おそらく2021年9月版のSamsung 970 EVO Plusは、サムスンが従来のデータシートでアピールしていた「キャッシュが切れても1700 MB/sを維持」を実現できないでしょう。実際、データシートからキャッシュの具体的な挙動に関する記述はきれいサッパリ削除されています。
Samsung 970 EVO Plusの性能をベンチマーク
テスト環境を紹介
テスト環境 「ちもろぐ専用:SSDベンチ機」 | ||
---|---|---|
CPU | Ryzen 9 5950X16コア32スレッド | |
CPUクーラー | Corsair H100i Pro RGB240 mm簡易水冷クーラー | |
マザーボード | ASUS ROG STRIXX570-E GAMING | |
メモリ | DDR4-3200 16GB x2使用メモリ「G.Skill Trident Z C16」 | |
グラフィックボード | RTX 3070 8GB | |
SSD | Samsung 970 EVO Plus 1TB | |
電源ユニット | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1909」 | |
ドライバ | NVIDIA 471.41 | |
ディスプレイ | 3840 x 2160@60 Hz使用モデル「BenQ EL2870U」 |
980 PROのレビュー以降、SSDをテストするベンチマーク機を更新しました。PCIe 4.0に対応するプラットフォーム「Ryzen 5000」と「AMD X570」をベースに、適当なパーツを組み合わせます。
CPUは16コア32スレッドの「Ryzen 9 5950X」です。16コア32スレッドの圧倒的なCPU性能があれば、最大7000 MB/sのSSDが相手でもボトルネックになる可能性はほぼ皆無です。
マザーボードはASUS製「ROG STRIX X570-E GAMING」を採用。テスト対象のNVMe SSDをCPU直結レーンのM.2スロット、またはPCIeスロットに挿し込んで各ベンチマークを行います。
SSDを熱から保護するサーマルスロットリングによって性能に悪影響が出ないように、以下のような手段でテスト対象のSSDを冷却しながらベンチマークを行います。
- マザーボード付属のヒートシンクを装着
- ケースファンを使ってヒートシンクを冷やす
SSDを徹底的に冷やして、サーマルスロットリングがテスト結果に影響を与えないように対策しています。5分間の発熱テストのみ、ヒートシンクを外してケースファンも使いません。
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 3.0 x4
- 対応規格:NVM Express 1.3
- 対応機能:S.M.A.R.T.
「Samsung 970 EVO Plus 1TB」の初期ステータスをCrystal Disk Infoでチェック。特に問題なし。
Crystal Disk Mark 8
「Crystak Disk Mark 8」は、日本どころか世界で一番有名と言っても過言ではない、定番のSSDベンチマークソフトです。性能の変化をチェックするため、初期設定の「1 GiB」に加え、最大設定の「64 GiB」もテストします。
Crystal Disk Mark 8の結果※クリックで画像拡大します | |
---|---|
テストサイズ:1 GiB(MB/s) | テストサイズ:64 GiB(MB/s) |
テストサイズ:1 GiB(レイテンシ) | テストサイズ:64 GiB(レイテンシ) |
読み込み速度が3500 MB/s超え、書き込み速度は3300 MB/s超えでシーケンシャル性能は公称スペックどおりです。テストサイズを64 GiBまで引き上げても、性能に大きな下落は見られません。
体感性能や実用性能に影響が大きい、4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)の比較グラフです。970 EVO Plusは、価格が近いDRAMレスNVMe SSD軍団を余裕で追い抜きます。
一方で、書き込みレイテンシは27 μs台にとどまり普通の水準です。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズでスループットを測定し、SSDの性能が安定しているかどうかを視覚的に示してくれるベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果からSSDの評価が非常に分かりにくいので、表計算ソフトを使ってグラフ化して他のSSDと比較します。
読み込み速度は3300 MB/s前後でピークに達したあと、安定した性能を維持します。シーケンシャル読み込み速度は他のNVMe SSDとほぼ横並びです。
書き込み速度はピーク時に3250 MB/s前後に達します。Samsung 970 PROやSamsung 980(無印)より速いです。
ただし、ATTO Disk Benchmarkのテストは基本的にキャッシュ範囲内に収まる内容ゆえに、上記のテスト結果だけでは本当の性能をまったく判断できません。
HD Tune Pro
HD Tune Proは有料のSSDベンチマークソフトです。SSDの容量全域に渡ってテストを実行して、SSDの性能変化(SLCキャッシュの有無や、キャッシュが剥がれた後の性能など)を手軽に調べられます。
HD Tune Proの結果※クリックで画像拡大します | |
---|---|
| |
| |
|
HD Tune Proで注目するのは「書き込み速度の変化」です。3枚目のファイルベンチマーク(200 GB分)を見ると、たった10 GB書き込んだあたりで書き込み速度が1000 MB/sにまで落ち込みます。
やはり128層NAND(512 Gb Die)の採用で、かつてアピールしていたキャッシュ超過後に1700 MB/sの書き込み性能は維持できなくなったようです。
SLCキャッシュサイズは3枚目のテストだとたったの10 GBですが、2枚目の全領域書き込みテストだと400 GBまでキャッシュが展開されているため、3枚目で10 GBしか無いのは不自然です。
キャッシュの挙動について、後ほど詳しくテストします。
Samsung 970 EVO Plusを実運用で試す
ゲームのロード時間を比較
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)で、ゲームロード時間を測定します。ベンチマーク終了後に、ログファイルからロード時間を読み取ります。
ギリギリ7秒台です。思ったより振るわないゲームロード時間ですが、価格の近いライバル製品との差はわずかです。
ファイルコピーの完了時間
Windows標準のコピペ機能と目視によるストップウォッチでは正確性に欠けるので、ファイルコピーに便利なフリーソフト「DiskBench」を使って、ファイルコピーに掛かった時間を計測します。
- ゲームフォルダ(容量62 GB / 76892個)
- 写真ファイル(容量113 GB / 6000枚)
- 圧縮データ(容量128 GB / zip形式)
ファイルコピーに使う素材は以上の3つ。ファイルコピーの基準となるストレージは、PCIe 4.0対応かつ書き込み性能が高速なSamsung 980 PRO(1 TB)です。
書き込み(980 PRO → Samsung 970 EVO Plus)は意外に健闘します。SLCキャッシュサイズが大きいおかげで、写真フォルダ(113 GB)とZIPファイル(128 GB)のコピペ時間は上位のハイエンドNVMe SSDに引けを取らないです。
細々としたファイルが大量に含まれるゲームフォルダ(62 GB)は若干苦戦が見られますが、価格が近いライバル製品にはまったく負けていません。さすがかつてPCIe 3.0世代の最高峰だったNVMe SSDの実力です。
次は読み込み(Samsung 970 EVO Plus → 980 PRO)のコピペ時間です。
書き込みと同じく、970 EVO Plusは価格の近いライバル製品をきちんと抑えています。Samsung 980やWD Black SN750 SEのシーケンシャル性能だと横並びになる可能性もあったものの、970 EVO Plusはランダムリード速度で差を付けているようです。
Premiere Pro:4K素材プレビュー
動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」で、1秒あたり448 MBの4K動画素材をプレビューします。Premiere Proのプレビューは、素材を配置しているストレージの性能に影響を受けやすく、SSDの性能が不足すると「コマ落ち」が発生しやすいです。
コマ落ちしたフレーム数はPremiere Proの標準機能「コマ落ちインジケータ」で3回測定して平均値を出し、動画素材の総フレーム数で割り算してドロップフレーム率を計算します。
4Kプレビューは約20%のドロップフレーム率です。高いランダムリード性能のおかげで、Premiere Proの素材プレビューも安定しやすいです。
PCMark 10:SSDの実用性能
PCMark 10 Professional Editionの「Storage Test」を使って、SSDの実際の使用シーンにおける性能を測定します。
- PCMark 10(UL Benchmarks)
Storage Testには23種類のテストパターン(Trace)が収録されており、パターンごとの転送速度や応答時間を測定し、SSDの実用性能をスコア化します。
なお、SSDは空き容量によって性能が大きく変化する可能性があるため、空き容量100%だけでなく容量を80%埋めた場合(= 空き容量20%)のテストも行いました(※2回:約2時間)。
970 EVO Plus 1TBのストレージスコアは「1725点(空き容量20%時)」です。上位モデルの970 PROにあと一歩迫る性能ですが、Samsung 980(無印)には抜かされています。
ライバル製品のSN750 SE、Crucial P5、SanDisk Ultra M.2(= WD Blue SN550)に対してはきちんと打ち勝っているので、2019年発売のNVMe SSDとしては非常に良いスコアでしょう。
特にWD Black SN750 SEとの性能差は約1.6倍です。SN750 SEにあと1000円追加で払って970 EVO Plusを選ぶ合理的なメリットが存在します。
Adobe系ソフト、ゲームロード時間の評価スコア、ファイルコピー性能のスコア、Microsoft Office系ソフトの評価スコア。それぞれの実用性能スコアは以上の通りです。
基本的にDRAMレスSSDに遅れは取らないし、ちゃんとした性能です。ただ、同社のSamsung 980(無印)が意外と健闘しているのが興味深いです。
特にファイルコピー以外のスコアで差が大きくなっているため、キャッシュ範囲内の処理に得意・不得意が出ていると考えられます。
実用スコアの内訳 Full System Drive Benchmark | |
---|---|
Adobe Score | Adobe Acorbatの起動 Adobe After Effectsの起動 Adobe Illustratorの起動 Adobe Premiere Proの起動 Adobe Lightroomの起動 Adobe Photoshopの起動 Adobe After Effets Adobe Illustrator Adobe InDesign Adobe Photoshop(重たい設定) Adobe Photoshop(軽量設定) |
Game Score | Battlefield Vの起動(メインメニューまで) Call of Duty Black Ops 4の起動(メインメニューまで) Overwatchの起動(メインメニューまで) |
Copy Score | 合計20 GBのISOファイルをコピー(書き込み) ISOファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) ISOファイルをコピー(読み込み) 合計2.37 GBのJPEGファイルをコピー(書き込み) JPEGファイルを作成してコピー(読み込みと書き込み) JPEGファイルをコピー(読み込み) |
Office Score | Windows 10の起動 Microsoft Excel Microsoft PowerPoint |
15分間の連続書き込みテスト
約1 MBのテストファイルを15分間に渡って、ただひたすら書き込み続ける過酷な検証方法です。
一般向けに販売されているほとんどのSSDは、数分ほど連続して書き込むだけで「素の性能」を明らかにできます。SLCキャッシュの有無やサイズ、キャッシュが切れた後の性能低下などなど。
15分の連続書き込みテストによって、SSDのいろいろな挙動が判明します。
970 EVO Plusとライバル製品(3つ)を比較したグラフです。およそ118 GB書き込んだあたりで書き込み速度が一気に落ち込み、その後15分に渡って平均990 MB/sを維持します。
過去のデータシートにおいて、1 TBモデルのSLCキャッシュサイズは最大42 GBでした。本日テストに掛けている970 EVO Plusは従来比で3倍近い118 GBまでキャッシュを展開できており、SSDコントローラの変更による挙動の変化が明らかです。
一方で、過去にアピールしていた1700 MB/sの書き込み性能は予想通り確認できませんでした。とはいえ競合する3製品より速いです。
時間あたりの書き込み量を比較したグラフです。5分~15分すべての範囲で970 EVO Plusがトップスピードを記録します。
SSDの動作温度をテスト
高負荷時のセンサー温度
モニターソフト「HWiNFO」で表示できる温度センサーは2つです。
- Drive Temperature:NANDの温度
- Drive Temperature 2:SSDコントローラの温度
サムスンならではのユーザーフレンドリー仕様です。一般的にSSDコントローラの方が高温になりやすい傾向が強いので、口コミで不評を書き込まれないよう、普通はNANDの温度しか表示しません。
にも関わらず、わざわざSSDコントローラの温度を表示させているサムスンは・・・ユーザーフレンドリーです(※SSDコントローラの温度を表示するせいで、サムスンのSSDは爆熱と言われがち)。
ヒートシンクを取り外し、ケースファンによるエアフローを一切与えない環境で、SSDが激しく発熱しやすい「連続書き込みテスト」を5分間実行しました。
テスト開始5分でSSDコントローラの温度は80℃を超えますが、性能の乱高下は確認できません。80℃を超えた程度ではサーマルスロットリングは発生しないようです。
次はサーモグラフィーカメラを使って、実際の温度を確認します。
サーモグラフィーで表面温度を確認
テスト開始から5分経過したあたりで、サーモグラフィーカメラを使って撮影。
- SSDコントローラ:80 ~ 81℃
- NANDメモリ:79 ~ 81℃
HWiNFOに表示される数値とおおむね一致しています。温度センサーの精度に問題はないでしょう。
今回の970 EVO Plusでは、著しいサーマルスロットリングを確認できなかったため、M.2ヒートシンクの必要性は人それぞれです。
最近はマザーボードにヒートシンクが付属しているので、付属ヒートシンクで十分に冷やせますし、ケースファンでエアフローを当てるだけで問題ありません。
ただし、M.2スロットの位置によって注意が必要です。特にグラフィックボードの排熱をもろに受ける位置だと、まったく冷えない場合があるので「アドインカード」タイプのヒートシンクも選択肢のひとつです。
まとめ:部品が変わったけどコスパはむしろ改善
「Samsung 970 EVO Plus」のデメリットと弱点
- 旧型より素の書き込み性能が低下(1700 → 990 MB/s)
- 空き容量による性能変化あり
- 高負荷時のSSD温度は高い
- サムスンはちょっと説明すべきだったかも
「Samsung 970 EVO Plus」のメリットと強み
- 最大3500 MB/sのシーケンシャル性能
- 広大なSLCキャッシュ(約120 GB)
- 高速なランダムアクセス速度
- 970 PROに迫る実用性能
- 必要十分な耐久性(150 ~ 1200 TBW)
- 1 TBモデルは4000 ~ 5000円の値下げ
- コストパフォーマンス良好
- 5年保証
サイレントナーフのように思えて、基本的な性能は従来モデルをほぼ維持しており、明確に下がったのはキャッシュ超過後の書き込み性能だけです。加えて大幅な値下げをしているのでコストパフォーマンスはむしろ上がっています。
部品の変更内容も決してサイレントナーフに当たるかどうかは、判断が難しいです。SSDコントローラは上位モデルの980 PROでも採用されている「Elpis」ですし、NANDは第6世代V-NAND(128層)に更新。おかげでランダムリード速度はハッキリ改善しました。
部品の内容だけなら「980 EVO Plus」としてリリースされても違和感がないです。ただサムスンのことですから、この程度の性能では980 EVO Plusを名乗らせるわけには行かないでしょうね・・・性能面のインパクトに欠けます。
ちもろぐの個人的な評価は「Aランク」で決まりです。
「普段使いで高性能、でも大容量ファイルのコピペ速度も欲しいからDRAMレスは不安・・・」そんな人に新型970 EVO Plusはおすすめ。コスパよく、高い実用性能と書き込み性能を両立できます。
以上「Samsung 970 EVO Plusレビュー:新リビジョンは実質980 EVO Plusか?」でした。
はえー、改悪と思ってたけど意外と悪くないのか
SSDの購入を検討しているため、とても参考になりました。
QLCにはなるのですが同価格帯でintelの670Pのレビューが見てみたいです。
やはりQLCのSSDにしては高すぎるのでしょうか?
積層化によってダイ面積当たりの容量が大きくなる。
積層化によってダイ面積当たりの性能が向上する。
また、ダイ面積もといチップの枚数が増えることで性能向上する。
統括すると、総容量据え置き(積層化によってダイ面積が縮小)の場合は
トータルの性能がむしろ低下する理屈は良く分かりました。
ですがそこまで丁寧に説明して頂いたのですから、ベンチ比較表には
参考値でもいいから970evo+(500GB)も併記してほしかった。
970evo+(500GB)はお手持ちの旧型のです。
SN550はサイレントナーフされて酷いって聞いたけどどうだろう
これと違って値下げもないし今でもA+の価値があるのかな?
新型は素の書き込み速度が半減してSATA以下(400MB/s : 1TBモデル)だしそれにもかかわらずSLCキャッシュ量が一切変わってないので評価下げてもいいと思う
旧型はマイニングで1200TBを書き込んでも46%残る(2TBモデル)という頑丈さがあるけれど、新型はどうになるだろう。
いまんとこ2TBモデルが新型に切り替わったという話も聞かないしその割に値段下がってるので狙い目かも
コスパからすると妙味ある。製品は悪くないが値下げありきの評価で、サムスンが踏み切ったのも分かるな。でも単なるナーフではないだけで十分。
この価格なら普通に選択肢としてありだな〜
記事とは関係ないですがスマホSoCの解説記事、何気に好きだったのでまた書いてくれると嬉しい
2TBは新しい方が完全上位互換らしいので入手されたらレビューが見たいですね
一番の問題は、型番すら変えてないことだと思う。工業製品としてよろしくない。
ブートドライブとして考えているユーザにはほとんど影響がないと思うが、劣化劣化書いてるやつは、そんなに頻繁に百GB以上の書き込みをしているのか
新型は型番がMZVL2になって外付けThunderbolt SSDとして速度が出やすくなっているそうです
【仕様】のところで1TBモデルの搭載DRAMが2048 MBになっているけど、これ1024 MBの間違いじゃないか?