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ASRock PG-1000PSFレビュー:1000W超の高出力SFX電源【温度検知12V-2×6も搭載】

SFFPC(小型自作PC)界隈に嬉しいSFX電源ユニット「ASRock PG-1000PSFをレビューします。

電源ユニット全体でまだまだ珍しい、容量1000 WのSFX規格モデルです。ライバル製品と差別化するため、12V-2×6コネクタに温度検知センサーを組み込んだり、USB電圧を安定させる「5V BOOST」モードを搭載するなど。

PG-1000PSFを選ぶうえで「決め手」となる材料を盛り込んでいます。

やかもち
ASRock Japan(@AsrockJ)さんより、国内で発売予定の在庫を1台送ってもらいました。いつもサンプル提供ありがとうございます。詳しく検証します。

(公開:2026/7/3 | 更新:2026/7/3

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ASRock PG-1000PSFの仕様

ASRock / 容量:1000 W / 効率:80 PLUS Platinum / 静音:Cybenetics A(20~25 dB) / 製造元:FSP / 保証:10年
ASRock
PG-1000PSF
型番:PG-1000PSF
製造元
(OEM)
FSP
台湾:FSP Group Inc. (全汉企业股份有限公司)
容量
  • 1000 W(レビュー)
  • 850 W
効率
  • 80 PLUS Platinum
  • ETA Platinum
静音
  • Lambda A
ケーブルフルプラグイン
保護
  • OVP(過電圧保護)
  • UVP(低電圧保護)
  • OPP(過電力保護)
  • OTP(過熱保護)
  • OCP(過電流保護)
  • SCP(短絡保護)
  • SIP(サージ・突入電流保護)
  • FFP(ファン故障保護)
差別化
  • 温度検知センサー内蔵
  • 5V BOOST(ビルトイン)
ファン
  • 92 mm径(25 mm厚)
  • FDB(流体動圧軸受)
セミファンレス対応
(切り替え不可)
サイズ100 x 125 x 63.5 mm
規格ATX 3.1
保証10年
参考価格
※2026/2時点
Amazon
 楽天市場
Yahooショッピング

「ASRock PG-1000PSF」の主要スペックをまとめました。

もともと「Taichi」ブランドとして企画が進められていたらしいですが、「Taichiはどちらかと言えば大きいイメージ」「PG-ITXマザーボードがすでに販売中」などの理由で、Phantom Gamingブランドに切り替わった経緯があります。

取得している認証とレポート一覧

電源ユニットで定番の認証規格「80 PLUS」で「Platinum」認証を取得します。負荷20%以上で平均91%超、ピーク時に93%に迫る優れた変換効率です。

80 PLUSに代わる新たな認証規格「Cybenetics ETA」でPlatinum」認証に合格済み。負荷率20~90%のかなり広い範囲で約90%を上回る高い変換効率です。

電源ユニットの静音性を評価する規格「Cybenetics LAMBDA Aを取得済みです。平均値で「20 ~ 25 dB」未満を意味する、平均グレードの静音規格に合格しています。

なお、割とギリギリ20 dBを割るか割らないか微妙なラインらしく、もしかすると「A+(15 ~ 20 dB)」に格上げする可能性があります。

ATX 3.0(ATX 3.1)規格で要求される厳しい応答テストに耐えられるかテストするATX 3.1 PASS」認証もきちんと取得済み

瞬間的(0.0001秒未満)なスパイク電力に対して、電源容量の最大200%まで安定動作できます。ASRockいわく最大235%(= ピーク容量2350 W)まで許容値です。

RX 9070 XTやRTX 5090など、スパイク電力が強烈なグラフィックボードも安心して運用できます。

ASRock PG-1000PSFを開封

パッケージと付属品

赤紫色とパープルブルーのツートンカラーを使ったパッケージデザインです。かつて赤と黒のイメージだったPhantom Gamingが、今やおしゃれ路線な雰囲気に。

右上に「STANDARD SFX PSU」と書いてありますが、ピーク時2350 W出力に耐えられ、RTX 5090(TGP:600 W)ですら動かしてしまう小型電源ユニットです。

やかもち
「STANDARD」じゃなく、むしろ「HIGH END」の方が相応しいかも。

パッケージ裏面に、取得済みの認証ロゴや各国の安全規制ロゴのほか、「温度検知センサー内蔵」「ピーク出力235%」など本製品のアピールポイントが列挙されています。

パッケージ正面左側に「Cybenetics Platinum」「LAMBDA A認証ロゴが印刷されています。

本製品は個体差を考慮してもPlatinum級の変換効率を出せるため、1ランク低いロゴを掲載する保険的な手法を取らず、そのままPlatinum認証ロゴを貼っています。

※静音グレードは公式サイトに小さく補足が書いてあるとおり、後から変更される場合もあります。

マザーボードの箱と同じく、底面からめくり上げるシンプルな開封方法です。

外箱をゆっさゆっさと縦に振り回して慣性で中身を押し出すタイプじゃなく、単に指でめくるだけで開封できます。

薄いポリ袋で梱包された電源ユニット本体、ケーブル類をまとめて入れてある黒い袋、結束バンドなど細かい付属品が白い袋に入っています。

付属ケーブルの種類と長さ

(容量1000 Wモデル)

ASRock PG-1000PSFは大量のケーブルが付属します。

たった1本で最大600 Wまで対応できる「12V-2×6」ケーブルが1本付属します。

RTX 40 / RTX 50シリーズと、ごく一部のRX 9000シリーズを中心に導入されている「12VHPWR」または「12V-2×6」コネクタで使える、グラフィックボード用の電源ケーブルです。

熱に強い太め(16 AWG)の銅製ケーブルに、最大105℃耐熱仕様のコネクタを組み合わせて、優れた耐久性と安全性を担保しています。

コネクタ先端に、12V-2×6規格を示す「H++」刻印を確認できます。

先端の少し手前に「温度センサー(NTCサーミスタセンサー)」が内蔵されています。95~100℃以上の温度を検知して電力供給を停止するフェイルセーフ(安全機構)です。

従来モデル(Taichi TC-1300Tなど)より温度センサーが薄くなり、グラフィックボードに挿し込みやすく改良されて感動です。

「H+」「H++」刻印を入れるかどうかはメーカーの裁量に委ねられています。

電源ユニット側のコネクタから伸びている、小さな2ピンコネクタは「温度センサー」用です。

電源ユニット側にある2ピンコネクタに接続して、ケーブル加熱保護を機能させます。

ケーブル先端が緑色に塗装されているから、色の見え具合で12V-2×6コネクタの挿し込み不良を判別できます。

CPU補助電源に挿し込む「EPS12V 4+4 pin」ケーブルが2本付属します。それぞれ長さ50 cmで、太さ16 AWG(銅製ケーブル)です。

贅沢に太さ16 AWGケーブルを使っているから、Core i9 14900Kを常時300 Wで動かす極端な高負荷ですら、ケーブル1本(4+4ピン)で間に合います。

EPSコネクタ先端に「CPU」刻印が入っていて見分けやすいデザインです。

4+4ピンは互いを合体させるラッチや凹凸がなく、それぞれ独立しています。同時に挿し込む手間が省かれ、1本ずつ挿し込める親切なデザインです。

SFX電源は狭い小型なPCケースで使われる想定ですから、挿しやすい形状のケーブルは意外と重要です。

グラフィックボードの補助電源に挿し込む「PCIe 6+2 pin」は2本付属します。

2本ともに根本から先端まで長さ50 cmです。

ケーブル表面に蛇皮のような模様が刻まれた「エンボス加工」が施工されていて、しなやかで柔軟に曲げられる取り回しのいいケーブルです。

先端の6ピンと2ピンがパラパラと散らかりますが、付属品の「ケーブルコーム」を使ってあげるとキレイにまとめられます。

太さ16 AWGの銅製ケーブルを採用します。2ピン側が18 AWGですが、6ピンと2ピンそれぞれ別々に根本から伸びている分岐のない設計です。

基本的に大電力のグラフィックボードは「12V-2×6」コネクタに移行しているものの、もっぱらGeForce製品が多いです。ASRockはGeForce製品を扱っていないので、PCIe 6+2ピンにもコストを割いた可能性があります。

自社のRadeon RXシリーズを安全に使ってもらうなら、極めて妥当なケーブル選定です。

やかもち
PCIeケーブルでも消費電力300 W超のグラボを使えます。

マザーボードの補助電源コネクタに挿し込む「ATX 24 pin」ケーブルです。長さ30 cmでした。

挿し込みが簡単な、初心者に嬉しい24ピン一体成コネクタです。

付属品の延長アダプターで20 cm伸ばせます。ケーブルが短すぎてマザーボードまで届かない場合、延長アダプターが役立つかも。

SATAデバイス(3.5″ HDDや光学ドライブ)に電力を供給する「SATA」ケーブルは1本付属します。

ケーブル1本につき、SATAコネクタが4個付いています。ケーブルの長さは約100 cmで、コネクタ間が約15 cmずつ離れています。

特殊仕様のサーバー向けHDDや、ケースファンコントローラに電力を供給する「Molex(ペリフェラル4ピン)」は1本付属します。

1本のケーブルに4個付いています。コネクタ間が約15 cmずつ離れています。

電源ユニットとコンセントをつなぐ「電源ケーブル(アース線つき)」です。

IEC320 C13規格コネクタに、断面積2.0 mm²の太いケーブルを採用して定格15 A(定格1875 W)を確保します。

ノイズを抑制する大型フェライトコアは付いていないです。

アクセサリー類もそこそこ充実の内容

配線を美しくまとめられる「マジックテープ」が5本付属します。「ASRock」のロゴ入りです。

自作パソコンの裏配線で活躍する「結束バンド」が10本付属します。

分岐コネクタのバラバラな先端をキレイにまとめる「ケーブルコーム(くし:櫛)」が14個付属します。

電源ユニットをPCケースに固定するミリネジが8本付属します。ネジ穴アダプター用に備えて、かなり多めに予備が入ってます。

謎のATX変換コネクタは「ATX 24 pin PSUテスター」です。

全部で24ピンあるうち、2ピンだけ入っている変換コネクタで、電源ユニットの動作チェックに使えます。

初回起動時に電源ユニットだけを通電させて、電源に初期不良が無いかどうかを検証するなど、何かと使えそうな変換コネクタです。

PCケースと電源ユニットのネジ穴が一致しなかったときに重宝する「ネジ穴アダプター」です。

簡易的な説明書(マニュアル)が付属します。

フルモジュラー仕様のすっきり小型デザイン

Phantom Gamingロゴの入ったファングリルが渋いです。側面もPGロゴとツートンカラーのカラーリングでなんとか個性を出しています。

すべてのケーブルを着脱できる「フルモジュラー(フルプラグイン)」方式です。使うケーブルだけ任意で取り付けられるから、配線を最小限に抑えたスッキリした自作パソコンを組み立てられます。

各コネクタ(モジュラー)に「MB」や「CPU / PCIe」など、対応するハードが分かりやすく記載されていて便利です。

92 mm口径の小型冷却ファンを搭載。メーカー仕様表によると、FDB(流体動圧軸受)方式のファンです。

安価な電源ユニットで使われるスリーブベアリング方式と比較して、耐久性と静音性にメリットがあるとされていますが、高コストなので製品価格も上昇します。

本体底面に出力表が貼ってあります。

ASRock PG-1000PSF(出力表)
型番:PG-1000PSF
AC入力100 ~ 240V(50 ~ 60Hz)
DC出力+3.3V+5V+12V-12V+5VsB
出力電流20A20A83.4A0.3A3A
合計出力120W1000W3.6W15W
総合出力1000W

現代のPC向け電源ユニットで定番のシングルレール方式です。CPUやグラフィックボードなど、主要なPCパーツが接続される+12Vレールにて、最大1000 Wの出力に対応します。

電源ユニット側の対応コネクタをチェック。

対応コネクタ
マザーボード用
(ATX 24 pin)
1個
グラフィックボード用
(12V-2×6)
1個
グラフィックボード用
(PCIe 6+2 pin)
2個
CPU用
(EPS12V 4+4)
2個
SATA / Molex
(SATA / Molex 4 pin)
2個

必要十分な拡張性が確保されています。

Core Ultra 7 270K PlusやCore i9 14900K、またはRyzen 9 9950X3D2などハイエンドCPUに、RTX 5090を1枚組み合わせても大丈夫。

コンセント側のインターフェイスです。

  • 電源コネクタ(IEC320 C13)
  • 電源のオンオフボタン

ごく普通の内容です。セミファンレスを切り替えるボタンや、5V BOOSTを切り替えるボタンもありません。

左右のサイドパネルは密閉され、「Phantom Gaming」の盾マークを模したシートが貼ってあります。

正直かなり安っぽい印象を受けますが、電源ユニットはPCケースに入れてしまうと隠れて見えないので、コストカット対象で構わないでしょう。

電源ユニットの本体重量は実測1032 g(約1.03 kg)でした。

小型規格「SFX」らしく重量もミニマムです。一般的なATX電源だと1.5 kg前後、ハイエンドモデルは2.0 kgを超えます。

参考程度に、ATXサイズ電源と比較します。フットプリント(占有面積)が小さいだけでなく、高さもコンパクトです。

SFX電源が容積794 mL(100 mm x 125 mm x 63.5 mm)、ATX電源は容積1935 mL(150 mm x 150 mm x 86 mm)で2倍以上も大きいです。

内部コンポーネント(腑分け写真)

フタを開けて内部コンポーネントを確認してみます。

六角形のトルクスドライバーを使って本体側面と天板にある合計8本のネジを取り外すだけで、かんたんにフタを開けられます。

開封(分解)すると10年間のメーカー保証が無効になります。真似しないでください。

円形状のファングリルです。そこそこ目が細かいおかげで、普通のインチネジやM.2スロット用のミリネジも通さず、異物混入に強い構造です。

電源ファンの2ピンコネクタはホットボンドでガチガチに固着してあります。勝手に外れないです。

冷却ファンは「PLA09215S12H」です。Power Logic(台湾:動力科技股份有限公司)製の92 mm径、FDB(流体軸受ベアリング)方式の静かな冷却ファンが搭載されています。

ちなみに型番で検索すると、なぜかEVGA製グラボの冷却ファンが出てきます。同じ型番で様々な形状のファンが見つかるので、おそらく無関係です。

電源ユニット内部を俯瞰します。中容量の電解コンデンサが3個並ぶ、やや特徴的なデザインです。

中国RSY(Shenzhen Ruishengyuan)が製造元に見えますが、よく調べると台湾FSP(全漢企業股份有限公司)が発売予定の「DAGGER PM 1000W」と酷似しています。

ASRockの中の人からも「FSP」と回答をもらっているので、ほぼ100%の確率でFSPがOEMです。

やかもち
大容量コンデンサを1個なら「Great Wall」「Helly」など、小容量コンデンサをたくさん搭載なら「RSY」、中容量コンデンサを3個くらいなら「FSP」の可能性が高めです。

1次側に、日本ルビコンのアルミニウム電解コンデンサ(定格電圧420 V / 容量270 uF / 定格105℃ / 2000時間モデル)が入っています。

3個で合計810 uFの静電容量を確保します。

容量1000 Wに対してコンデンサ容量(静電容量)が少ないように見えて、旧基準ATX 3.0に合格できる程度のホールドアップ時間(停電したあとも電力を供給しつづけるタイムリミット)を確保します。

Cybeneticsレポートによると、ホールドアップ時間は「18.1ミリ秒」です。ATX 3.1(> 12 ms)どころか、もっと厳しい旧基準ATX 3.0(> 17 ms)すらクリア済みです。

マイナーレールを生成するドーターボードに、日本ケミコンの導電性高分子アルミ個体コンデンサ(ポリマーコンデンサ)が配置されています。

「鍋マーク」が特徴的な、日本ケミコンの導電性高分子アルミ個体コンデンサ(ポリマーコンデンサ)です。

プラグインコネクタの隙間にも、導電性高分子アルミ個体コンデンサ(ポリマーコンデンサ)がびっしり敷き詰めてあります。

日本ケミコンのポリマーコンデンサです。ただし、「G」の上に鍋マークが見当たらないので違う可能性もあります。

素人目には、美しいはんだ付けに見えます。

マスキングテープで仕切ったかのように、ビシッと直線的なはんだ付けです。

基板底面に実装されているコンポーネントです。

Champion製「CM6901」が共振コントローラ、Novosense製「NSi6602」は絶縁ゲートドライバです。

ASRock PG-1000PSFを実際に使ってみる

テストPCスペックを紹介

テスト環境
「ちもろぐ専用 Intelベンチ機(2026)
スペック使用パーツ
CPUCore i9 13900KPL1 = PL2:253 W
CPUクーラー280 mm水冷式クーラーNZXT Kraken 280(2023)
メモリDDR5-8000 48GB(24GB x2)G.Skill Trident Z5 RGB
マザーボードIntel Z790チップセットTUF GAMING Z790-PLUS WIFI
グラボ #1RTX 5090 32GBZOTAC GAMING OC
(Power Limit:104%に変更)
グラボ #2
(Power Limit:-)
SSD1 TB(NVMe SSD)Samsung 970 EVO Plus
電源ユニットASRock PG-1000PSF(1000 W)
(レビュー対象)
OSWindows 11 Pro 24H2
(KB5041587適用済み)
Windows 11 Pro(パッケージ版)

今回は容量1000 Wの電源ユニットを検証するべく、ピーク負荷が軽く1000 Wを超えるハイエンドGPU環境を用意しました。

実測値で約300 Wを超える消費電力を叩き出す「Core i9 13900K」に、実測600 Wを超えられる弩級のハイエンドグラボ「RTX 5090」を組み合わせています。

現時点で、ほぼ最上位のゲーミングPCを想定したスペックです。

グラフィックボードの消費電力を測定(Cybenetics)

各電圧レールの測定には、Cybenetics Labs謹製のPMD(Power Measurement Device)を使い、0.001 V(1 mV)単位かつ毎秒最大1000サンプル(1ミリ秒)の刻み値で記録します。

安物の8ビットマルチメーターやオシロスコープの安物プローブを、マザーボードやコネクタの隙間にぶっ刺すよりも、いくぶん精度が高いです。

容量110%もの超高負荷ですら安定動作

負荷システム(DC側)
平均値1018 W
上位1%1056 W
上位0.01%1070 W
  • CPU負荷:Prime95 Small FFTs(TDP:253 W)
  • GPU負荷:FurMark 2 3840 x 2160(TGP:600 W)

以上のベンチマークで、システム側(DC側)で約1000~1020 Wの負荷を連続して掛けられます。

約60分間そのまま放置して、何事もなく安定してベンチマークが正常に稼働しつづけます

ASRock PG-1000PSF(容量1000 W)は、最大容量をわずかに超える強烈な消費電力(平均1020 W)を相手に、まったく微動だにせずド安定の挙動です。

ミドルクラスからハイエンドまで、おおよそ想定されるほとんどのPCスペックに難なく対応できる、非常にパワフルな出力性能です。

各電圧レール測定グラフ
※クリックで拡大
PCIe 12V
EPS 12V
ATX +12V
ATX +5V
ATX +3.3V

負荷が上昇すると、各電圧レールが分かりやすく低下します。

偏差(変動幅)も十分に抑えられ、Intel ATX規格で決められた範囲内に余裕で収まってます。

PCIe 12V [RTX 5090]変動幅基準値
最大値12.14 V1.18%< 5.00%
最低値11.93 V-0.59%> -8.00%
EPS 12V [Core i9 13900K]
最大値12.15 V1.21%< 5.00%
最低値11.95 V-0.42%> -7.00%
ATX +12V
最大値12.17 V1.42%< 5.00%
最低値12.03 V0.21%> -7.00%
ATX +5V
最大値5.16 V3.24%< 5.00%
最低値5.14 V2.72%> -5.00%
ATX +3.3V
最大値3.30 V0.06%< 5.00%
最低値3.28 V-0.70%> -5.00%

ASRock PG-1000PSFは「ATX 3.1」と「PCIe 5.1」規格に準拠した電源ユニットです。

各電圧レールの許容範囲はそれぞれ±5%で、+12Vレールは+5% / -7%、12VHPWR(12V-2×6)レールは+5% / -8%が許容範囲です。

すべての電圧レールが問題なくATX 3.1規格で定められた許容範囲に収まっています。

連続負荷「1時間」かけた後の電圧変動

各電圧レール測定グラフ
※クリックで拡大
PCIe 12V
ATX +12V
ATX +5V

容量100%超のフル負荷を1時間(60分)掛けた後も、各レールに電圧の変動はほとんど見られなかったです。

PCIe 12Vで0.16%、ATX +12Vで0.07%、ATX +3Vで0.10%下がったのみ。ほぼ「誤差」といえるレベルしか降圧せず、動作にまったく影響しません。

連続的で急激な負荷変動でも安定動作

負荷システム(DC側)
平均値778 W
上位1%1055 W
上位0.01%1105 W
  • CPU負荷:Prime95 Small FFTs(TDP:253 W)
  • GPU負荷:FurMark 2 3840 x 2160(TGP:600 W)

連続負荷ベンチマークを実行した状態で、FurMark 2でスペースバーを押しっぱなしにします。すると、グラフィック描画が500ミリ秒ごとにオンオフを繰り返し、連続的な負荷変動を再現可能です。

500ミリ秒ごとに負荷が止まって500 W前後まで下がり、また500ミリ秒たつと負荷が再開して1100 W前後まで上昇・・・を延々と繰り返す過渡応答に似た状況です。

最大容量(1000 W)を約5~11%も繰り返しオーバーランする過酷な連続負荷に対して、ASRock PG-1000PSFは非常に安定した動作でした。

ピーク時に約1100 Wに達し、電源の最大容量を10%も上回る電力を引き出しても、システムは安定して動き続けます。スパイク由来の強制シャットダウンも発生しなかったです。

ATX 3.0(ATX 3.1)規格に準拠した設計だから、0.1ミリ秒以内のスパイクなら容量の2倍にあたる2000 Wまで耐える仕様です。

スパイクに該当しない持続的な容量オーバーの場合は、過負荷保護(OPP)機能によって容量の130%前後(= 1300 W)で自動的に停止させられます。
やかもち
小さい見た目から想像もできないパワフルな性能・・・。負荷変動時のコイル鳴き(キュッ⬆キュッ⬇音)もかなり抑えられていてびっくりです。
各電圧レール測定グラフ
※クリックで拡大
PCIe 12V
EPS 12V
ATX +12V
ATX +5V
ATX +3.3V

負荷の変動に合わせて、各電圧レールが分かりやすく乱高下します。

PCIe 12V [RTX 5090]変動幅基準値
最大値12.11 V0.94%< 5.00%
最低値11.91 V-0.77%> -8.00%
EPS 12V [Core i9 13900K]
最大値12.06 V0.48%< 5.00%
最低値11.93 V-0.59%> -7.00%
ATX +12V
最大値12.12 V1.03%< 5.00%
最低値12.01 V0.06%> -7.00%
ATX +5V
最大値5.15 V3.08%< 5.00%
最低値5.14 V2.72%> -5.00%
ATX +3.3V
最大値3.29 V-0.21%< 5.00%
最低値3.28 V-0.76%> -5.00%

すべての電圧レールが問題なくATX 3.1(ATX 3.0)規格で定められた許容範囲に収まっています。急激な負荷変動に対しても問題なく正常動作です。

マイナーレール(+5V / +3.3V)電圧も信じられないほど安定しています。

各ケーブルや電源本体の表面温度

FLIR / センサー解像度:160 x 120(19200画素)/ 測定範囲:-20℃ ~ 400℃ / 分解能:0.07℃ / 誤差:±3℃

約1000 Wの連続負荷テストを1時間ほどつづけたあと、サーモグラフィカメラで電源ユニット本体の表面温度を撮影します(撮影時の周辺気温:25.8℃)

電源ユニットの表面温度
※クリックで画像拡大

MOSFETを冷却するヒートシンク周辺(写真2枚目 / センサーNo2)がもっとも熱くなります。1時間後で90℃台(Δ65℃前後)です。

プラグインコネクタ周辺の表面温度はまったく問題なし。指で触って人肌くらいぬるい程度の温度に抑えられています。

ケーブルの表面温度
※クリックで画像拡大
12V-2×6
(PSU)
EPS 8 pin
ATX 24 pin
12V-2×6
(VGA)

各プラグインケーブルの表面温度です。

約300 Wが流れるEPS 12Vで55℃前後(Δ29℃前後)、ATX 24 pinがわずか35℃前後(Δ9℃)でした。

撮影時点で平均600 Wもの大電力が流れている12V-2×6ですら、せいぜい70℃台(Δ45℃)にとどまります。

放射温度計で測定
※クリックで画像拡大
コネクタ全体をスキャン
左:PSU側
右:VGA側

放射温度計(シンワ測定)で12V-2×6コネクタを舐め回すようにスキャンします。

電源ユニット側で40℃前後、もっとも熱いエリアで42℃でした。グラフィックボード側は大幅に上昇して75℃前後、もっとも熱いエリアで約77℃(Δ52℃)に達します。

初心者もち
電源側はめっちゃ冷えてるのに、グラボ側はすごく熱くなるんだね・・・?

ケーブルの配線距離が長いほど、電気抵抗が増加して結果的に発熱しやすくなります。電源ユニット側より、グラフィックボード側が熱くなりやすい理由のひとつです。

もうひとつの理由がグラフィックボード本体の放熱です。ヒートシンク側面から垂れ流される凄まじい熱量(約600 W)が12V-2×6コネクタをゆっくりと加熱します。

今回の検証ではグラフィックボードを横倒しにしているから、暖かい空気がそのまま天井に向かう経路上で、12V-2×6コネクタが特に加熱されやすいです。

実際の運用ならPCケース内部にエアフローが存在するし、ケーブルの距離も半分程度にカットされる※ため、もっと低い温度になる場合が多いです。

※電力測定ボード(Cybenetics PMD)を経由するせいで、各プラグインケーブルの距離がほぼ倍増します。抵抗値が増えてしまい、普通に使うより高い温度が出ます。

12VHPWR(12V-2x6)ケーブルの耐熱温度

ASRock PG-1000PSFは競合する他社の電源ユニットと同様に、「105℃耐熱」仕様の12VHPWR(12V-2×6)ケーブルを採用。RTX 5090(TGP:600 W)を運用しても「コネクタの溶融」に到達する可能性が非常に低いです。

(トリガーは約95~100℃)

仮に溶融するほどの高温に達してしまったとしても、12V-2×6コネクタの先端に埋め込んである温度センサーが電源ユニットへフィードバックを送り、電力供給を停止します。

強制的なシャットダウンで作業途中のデータに良くない影響が出る可能性が高いものの、決して安くないグラフィックボードの溶融を防げるなら、許容できるコストと捉えられそうです。

負荷ごとの電源ユニットの騒音値

電源ユニットから約50 cmほど離れた位置に「デジタル騒音計」を設置して、負荷ごとに1秒ずつ騒音値(デシベル値)を測定します。

消費電力(DC側)騒音値
100 W32.3 dBA
200 W32.3 dBA
300 W32.5 dBA
400 W32.6 dBA
500 W32.7 dBA
600 W35.3 dBA
700 W36.9 dBA
750 W37.4 dBA
800 W41.0 dBA
900 W45.8 dBA
1000 W48.1 dBA

測定時にCPUクーラーとGPUファンを停止します。電源ユニット単体の騒音だけが測定されます。

デジタル騒音計による測定値は以上のとおりです。

なお、測定値(dBA)だけだとかなり誤解を生む可能性が高いから、負荷ごとに聴いてみた主観的なコメントを書いておきます。

消費電力
(DC側)
冷却ファンコメント
100 Wゆったり回転50 cmの距離でもファンの風切り音はごくわずか
200 W
300 Wゆったり回転50 cmの距離でもファンの風切り音が「カラカラ」と聞こえますが、十分に静かなレベル
400 W
500 W
600 Wしっかり回転50 cmの距離でファンの風切り音が「サーーッ」と聞こえる
700 W
800 Wしっかり回転50 cmの距離でファンの風切り音が「サーーッ」とハッキリ鳴っている
900 Wフル回転
(2400~ rpm)
100 cm離れていてもファンの送風音が勢いよく聞こえ、「ジリジリ」としたノイズも微弱に発生
1000 W扇風機のような送風音を「フーーーン」と鳴らし、「ジリジリ」したノイズは紛れて聞こえない

超小型な「SFX」電源としては、かなり静かです。負荷500 Wまで「静音動作」です。

【オタク向け】フル負荷時のノイズ特性を調査

距離15 cmに置いたステレオマイクで、フル負荷時の動作音(騒音)を録音しました。

左右チャンネルにファンの回転音がまんべんなく収録され、左側チャンネルだけに「チリチリ」とした電子ノイズが乗っています。定位と部品の位置関係から推測して、トランス周辺の回路(ASRockロゴマークの大きな部品)が鳴っている可能性が高いです。

(クリックするとグラフ拡大)

42 Hz前後に出現する大きなピークがおそらくファンの回転数です。rpm換算で約2400~2600 rpmと予想できます。

102 Hzと230 Hzがトランス周辺の可聴ノイズです。1280 Hz前後の甲高い音は正体不明ですが、トーンジェネレーターと聴き比べた限り、風が勢いよく抜けていく送風音かもしれません。

補足:人間の可聴域は20 ~ 20000 Hz(測定グラフも20 Hz以下と20000 Hz以上をカットして表示しています)

USBポートの5V電圧をチェック

USB 5Vの電圧変動グラフ

(7.5 W負荷で電圧変動をチェック)

USBポートに約7.5 W(5.0 V x 1.5 A)の負荷をブラ下げて、USBテスター経由でUSB 5V電圧の変動を比較したグラフです。

USB 5V最大変動偏差(変動幅)
ASRock PG-1000PSF236.3 mV4.6%
VETROO
GV1000 ATX 3.1
64.6 mV1.3%
be quiet!
DARK POWER 13 1000W
335.3 mV6.5%
Corsair RM1000x ATX 3.1273.0 mV5.4%
be quiet!
PURE POWER 13M 1000W
177.0 mV3.5%

ASRock PG-1000PSFは、USB +5V電圧を許容範囲内(-5~10%)に留めます。

ビルトインされた「5V BOOST」機能がUSB +5V電圧の安定化に貢献しています。

(Universal Serial Bus Specification, Revision 2.0 より)

電圧降下幅が大きすぎると、USB機器が必要とする電力を十分に満たせない※など、実用上のデメリットが生じる可能性を考えられます。

ASRock PG-1000PSFは負荷1500 mAに対して、平均7.352 W(4894 mV)の電力を返します。平均を上回るUSB 5V給電性能です。

※7.5 Wも消費するUSB機材には、おそらくACアダプターが付属するはずだから、実用上あり得るシチューエーションかどうか不明。

初心者もち
マザボについてるUSBポートの電圧って、電源ユニットに依存してるの?
やかもち
ASRockの「Ultra USB Power(専用VRMで電圧生成)」や、Realtek ICを使ったUSB PD実装を除き、基本的にUSBポートは電源ユニット側の+5V電圧を垂れ流してます。

まとめ:ハイエンドSFF自作ゲーミングPCにおすすめ

「ASRock PG-1000PSF」の微妙なとこ

  • 負荷650 W以上から動作音が目立つ

「ASRock PG-1000PSF」の良いところ

  • 100%日本メーカー105℃コンデンサ
  • 容量1000 Wを110%使えます
  • 許容範囲内に収まる安定した電圧
  • 負荷500 Wまで非常に静か(A認証)
  • 奥行き100 mmの小型設計(SFX規格)
  • セミファンレス仕様(ほぼ低速回転)
  • 変換効率が高い(92%近い)
  • まったく問題ない表面温度
  • 柔らかくて扱いやすい各種ケーブル
  • 充実したアクセサリー(付属品)
  • 12V-2×6ケーブル付属(最大600 W対応)
  • 温度検知センサーによるフェイルセーフ
  • メーカー10年保証

「ASRock PG-1000PSF」は、高性能かつ静音性に優れた小型電源(SFX電源)です。

それでもスペック的に競合しうるSFX電源が国内にいくつかありますが、ASRockは「5V BOOST」機能や「温度検知センサー」で差別化します。

容量1000 W級のSFX電源は価格が3~4万円台ラインでもとから高く、多少の差額で得られる付加価値(オプション)が決め手になりやすいです。

せっかく高級SFX電源を買うなら、十分に高性能で静音性も良好、かつ安全設計(温度検知)にもコストを割いたPG-1000PSFが大人気になるかもしれません。

以上「ASRock PG-1000PSFレビュー:1000W超の高出力SFX電源【温度検知12V-2×6も搭載】」でした。

やかもち
こんなに小さいのに、負荷1000 W超のシステム(i9 13900K + RTX 5090)がフル負荷で安定して動きます。エネルギー密度が凄い・・・。

「ASRock PG-1000PSF」を入手する

今回レビューした容量1000 W版が約4.1万円~容量850 Wは約3.7万円~から買えます。

ASRock / 容量:1000 W / 効率:80 PLUS Platinum / 静音:Cybenetics A(20~25 dB) / 製造元:FSP / 保証:10年
ASRock / 容量:850 W / 効率:80 PLUS Platinum / 静音:Cybenetics A++(~ 15 dB) / 製造元:FSP / 保証:10年

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6 件のコメント

  • 今製品とコルセアのsf850もしくはsf1000で迷ってる。
    特にケーブルの種類がコルセアの方が選択肢が多い

    • コネクタ保護に差額10000円の価値があるか?
      言い換えると、グラボがRTX 5090 or RTX 4090か?
      もし5090 / 4090未満のグラボなら、コネクタ保護に10000円の価値は無いと考えているので、Corsair SF1000 or SF850をおすすめします
      大量生産のノウハウがあるOEMで知られるGreat Wallと、製造元に対してQCをするCorsairによる優れた量産品です

      • ありがとうございます。
        今使ってる製品がbe quiet 13m でレビューを見て買いました。今製品の12v-2*6のケーブルは比較的に柔らかい物なのでしょうか?
        dlh21というitxケースでprimeの5070ti と組み合わせる予定です。
        コルセアのsfシリーズは二股系の12vケーブルかつ小型端子なので、将来90系もしくは80super系にグラボを乗り換えた時、同ブランドのセンサー付き12vケーブルが使えないのがネックなんですよね。

  • 自分はASRock Phantom Gaming 1300W (PG-1300G)を5090環境で使ってる
    ただ温度センサーに関しては半信半疑
    ぶっちゃけセンサーが働いた時点でかなりのダメージを受けてると思うんだけどな
    センサーがあるから安心安全であるとは言い切れない

    • ASRockの場合、センサーの位置で95~100℃トリガーだと、コネクタ側が無事かどうか不安な懸念は自分も感じます
      CORSAIRですと、コネクタから5cmの距離にセンサーがあり、トリガーは65℃前後です
      しかし、どちらの保護機能を選んでも、強制シャットダウンとコネクタ保護どちらをより重視するかのバランスに悩みます。
      結局のところ、コネクタに熱がたまりすぎないようにアクティブ冷却を入れてみたり、コネクタが勝手に緩んで接触抵抗が変化しないようにタコ糸や金具で固定するなど。物理的な対策を独自に取り入れたほうが安心感はあります。

      特にコネクタの固定はDELLが自社BTO製品で取り入れたアイデアなので、自分も採用しています。

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