毎年恒例、ちもろぐ的に「買ってよかった」PCパーツやハードウェアまとめ(2025年版)を書きます。
今年も前年以上にPCパーツやゲーミングモニターを自腹でレビューできて、充実した1年でした。いろいろ買って試して使ったものから、筆者やかもちが「買ってよかった」と感じる製品を10個に絞って紹介します。

(公開:2025/12/15 | 更新:2025/12/15)
2025年:買ってよかったPCパーツとハード【10選】
- 【1. 静穏音響】
Bose QuietComfort Ultra - 【2. 無線お掃除】
Shark Ninja コードレス掃除機 - 【3. 超大容量】
ST24000DM001(5台) - 【4. 革ジャンのサービス精神】
RTX 5090 32GB - 【5. 半分は国産】
WD Black SN7100 - 【6. HDRの到達点】
TCL 32R84 - 【7. 1枚で容量8TB】
WD Black SN850X - 【8. 2枚セットで128GB】
大容量DDR5メモリキット - 【9. 空間拡張】
ルミナスラック(カスタム) - 【10. 超高速測光】
Colorimetry Research CR-100 - 【+α. AMEX解約】
三井住友プラチナプリファード
1.【静穏音響】Bose QuietComfort Ultra
スピーカーを使う頻度が減って・・・それはそれでショック

人口密集地に生息していると、どうしても近所の新築工事や古屋の解体工事、特定のシーズンごとに訪れる催し物や選挙カーの爆音凱旋は避けられません。
そんなとき「Bose QuietComfort Ultra」に救われました。

(ところでBoseさん・・・イヤークッションの耐久性が酷すぎでは?)
驚異的なノイキャン性能で屋外のノイズを体感80%遮断し、そこそこの音量でAmazon Musicを掛ければ体感95~97%の遮音率に達します。
外部から切り離され、自分だけが宙に浮いている錯覚を覚えるほどノイキャン性能が高く、ノイキャンが生み出した静穏の中に音楽だけが流れてすごく高音質です。
予想外に音自体もけっこう良くて、いい裏切りでした。Boseは低音マシマシこってりな印象を持っていますが、そのような先入観と裏腹にQuietComfort Ultraは意外とフラットな音質です。
もちろん、スマートフォンアプリ「Bose Connect」経由で、イコライザー(EQ補正)も掛けられます。低音域マシマシや、高音域を上げて明るいサウンドに味付けも可能です。
買った頃の思惑だと、すぐに飽きて手放す予定でした。実際は買ってから1年ちょっとが経過した今も引き続き使っているし、むしろスピーカーを聴く頻度が減ってしまいました。
・・・Yamaha NS-1000Mに、導体抵抗値が極めて低い極太オーディオケーブル、超高特性な最新AB級モノラルアンプ、旭化成AK4499 DAC + 1200W電源を組み合わせた弩級の据え置きDAC・・・。
総額50万円は軽く超えているシステムよりも、たった3万円台で買ったノイキャンヘッドホンの方が使う頻度が増えています。


2.【無線お掃除】Shark Ninja コードレス掃除機
コードレス & 回収ステーションで快適すぎる掃除体験
実は去年(2024年)ルンバを買ったものの、自分には合わなかったです。道具に過ぎない機械に対して、使役する側の人間がたいへん歩み寄る必要がある奇妙な道具でした。
加えて、ルンバを運営するiRobot(アイロボット)社が経営危機に陥り、倒産の可能性が出ているのも使うのをやめた理由です。

というわけで、米国で飛ぶ鳥を落とす勢いでシェアを伸ばしている「Shark」社のコードレス掃除機を導入しました。もう以前のコードタイプの掃除機に戻れません。

掃除機にバッテリーが内蔵されていて、最大出力モードで約10分ほど吸引できます。先端のヘッド部分はくるくるとよく小回りが利いて使い勝手が良好で、しかもLEDライトも付いています。
光が入りづらい狭いエリアでも、先端のLEDライトがヘッド前方を照らしてくれるから助かりました。
心配だった吸引力については、正直なところ及第点です。フローリングに落ちている毛髪やホコリ、結束バンドの破片や床に捨てた爪の残骸はまったく問題なく吸い取れます。
一方で、カーペットに近い性質があるチェアマットに絡みついた毛髪が課題です。某国産の巨大なエンジンが付いたコードタイプの掃除機なら、ちゃんと吸い取れました。
Shark Ninja コードレスタイプはチェアマットに絡みついた毛髪にかなり苦戦し、4~5往復しても取れない毛髪は取れなかったです。
繊維質なカーペットを敷いていたり、同じ部屋でペット(動物)を飼っているような人は、Sharkの吸引力に不満を覚える可能性が高いです。
逆にいえば、一般的なフローリングが相手ならSharkの吸引力に問題ありません。たいていの小さなゴミをキレイに除去できます。

10分間の活動限界を迎えたら、ゴミ収集ステーション(吸引ステーション)に戻ります。ここがSharkコードレス掃除機の凄いメリット。
ステーションに掃除機本体をセットすると、掃除機に溜め込んだゴミをステーションに吸引します。強烈な吸引音が10秒ほど響いたあと、ほとんどのゴミがステーションに回収されます。
以前まで使っていた某国産の掃除機は、定期的に本体を分解して、中のゴミを取り出す必要があってそこそこ憂鬱でした。
ゴミ収集ステーションを備えるSharkコードレス掃除機なら、掃除機本体を、ただ元の位置に戻すだけです。憂鬱な作業はもう失われ、「QOLの向上」が差分として残ります。

3.【超大容量】ST24000DM001(5台)
日本企業 x Seagateのコラボで生まれた最強の記録密度

日本企業の昭和電工(レゾナック)やTDKと、米国企業シーゲイト・テクノロジー(Seagate)が生み出した、HDDを製造する最新技術「Mozaic HAMR」採用の大容量HDDです。
商用化に約20年もの歳月を費やしたHAMR(熱アシスト磁気記録)技術により、Seagateは競合他社をはるかに上回る記録密度を、安定した性能に定評ある「CMR」方式で実現しました。
たとえば、Western Digitalは小手先のノウハウである「OptiNAND」や「UltraSMR(ウルトラ瓦々方式)」でなんとか容量を増やして、1プラッタあたり2.3~2.4 TBがやっとです。
他社に先行してHAMRを導入できたSeagateなら、なんとCMR方式のまま1プラッタあたり3.0 TBを実現し、すでにコンシューマ向け市場で入手できます。

そのコンシューマ向け市場に降りてきたHAMR製HDDが、こちら「ST24000DM001」です。
歴戦の自作erたちに忌み嫌われる、あの「Barracuda」ブランドから最新技術てんこ盛りのHDDが発売されています。
約5万円と単品価格は決して安くはないものの、容量1 TBあたりのコストが約2000円台。容量8~16 TBモデルより逆にコスパが良いので、すごく大人気になってます。

Barracudaブランドなのに、なぜかRVS(共振制御センサー)も搭載済み。
だから、NASに組み込んで複数台で運用する予定です。RVSは単騎(1台)で使う分には無用の長物ですが、同じHDDを複数使う前提のNASなら、多少メリットがあります。

性能を軽くチェック。
メーカー公称値190 MB/sを大きく上回る、約250~260 MB/s前後もの転送速度です。1プラッタあたり3.0 TBもの高密度な記録密度ゆえ、速度を稼ぎやすいです。
ただし、熱アシスト磁気記録の都合でランダムアクセスはやや遅め。といってもHDD自体がランダムアクセスの遅いデバイスなので、多少の差を気にしても仕方ないでしょう。
NASに大量のDRAM(DDR4メモリ)を搭載したり、SSDキャッシュを入れてみるなど、他の方法で対処した方がずっと建設的です。

4.【革ジャンのサービス精神】RTX 5090 32GB
ほぼフルスペックのGB202をコンシューマ向けに解放

ゲーマー向け最強のグラフィックボード「RTX 5090 32GB」は、ある意味で革ジャンのサービス精神にあふれる製品です。
RTX 5090を作るために使用される「GB202」ダイは、AIサーバー向けにそのまま使える性能を備えています。わざわざ利益率の薄いゲーマー向けに卸すより、AIサーバー用に売ったほうが絶対に儲かります。

(現在のレートで実質29万円 !?)
にもかかわらずRTX 5090として一般向けに販売され、国内市場では一時期32万円で買える状態でした。1枚あたり100万円はくだらないGB202を、たった30万円台でばら撒いてくれました。
VRAMをたくさん載せてAI用に売ったほうが絶対に儲かるのに、わざわざ革ジャンはRTX 5090をラインナップに用意しています。

もちろん、ブランディングの一環です。
RTX 5090が存在するメリットは、何かしら話題になるから。「最強のグラボ」ただそれだけで話題性があり、最強の代名詞になり得ます。
某SNSでもバズったグラボ関連のツイートを見る限り、RTX 5090がもたらした宣伝効果は決して無視できず、「RadeonよりGeForceが高性能」だとマス層に思わせる十分なインパクトがあります。

レチクルサイズ限界ギリギリまで詰め込んだ超巨大ダイ「GB202」を使っているから、ゲーム性能や個人AI性能まで、あらゆるタスクでライバルを凌駕する圧巻の性能を見せつけます。
そのうえ性能をさらに飛躍的に向上させる飛び道具も備えます。
ゲーム向けなら「DLSS MFG(4xマルチフレーム生成)」、AI向けは「FP4演算モード」です。
| Qwen Image FP4モードで従来比3倍 | サイバーパンク2077 MFGモードで従来比2.7倍 |
|---|---|
![]() | ![]() |
どちらも通常時に対して2~3倍もの性能アップをもたらし、飛び道具を有効化したRTX 5090に勝てるコンシューマ向けグラボは今のところ存在しません。
まさに最強のグラボです。
価格も相応に高かったですが、他のグラフィックボードと比較して資産性に優れています。iPhoneと同じく、新モデルが出るたびに買い換えれば、少ない出費で次世代フラグシップを使えます。
PCパーツとして非常に珍しいリセールバリューの高さ(インフレ耐性財)も、RTX 5090(RTX 4090)に特有のメリットです。
しいて難癖をつけるなら、あまりにも性能が高すぎてCPUボトルネックが深刻なくらい。
最強クラスのゲーミングCPU「Ryzen 7 9800X3D」を持ってしても、まだ余力を残しているシーンが多々あり、RTX 5090から全力を引き出す難易度が高いです。
Zen6世代のX3D CPUや、Nova Lake世代で実装がウワサされるIntel版X3D(bLLC:big Last Level Cache)に期待してます。

5.【半分は国産】WD Black SN7100
キオクシア(東芝メモリ)が生み出す次世代の性能

2025年の迷ったらこれ級SSDが「WD Black SN7100」です。競合他社の主要なミドルクラスSSDと同じ価格帯ながら、ライバルを上回る性能と驚異の応答性を兼ね備えます。
実際に応答性を比較したデータを見てみましょう。

読み込みレイテンシはわずか30マイクロ秒です。
Samsung 9100 PRO、Crucial T700、WD Black SN850Xなど。名だたるハイエンド級SSDを軒並みゴボウ抜きにして首位に登りつめます。
なお、SN7100に匹敵する応答性を出せている「SN8100」も、いわゆる国産NANDで生み出された最新鋭の性能です。

圧倒的な性能の秘密がNANDメモリです。
日本企業「キオクシア(KIOXIA)」、かつて東芝メモリと呼ばれていたメーカーが2025年から出荷を始めた「BiCS 8」メモリが本当に優秀です。
CMOS基板にNANDメモリを直接張り合わせる「CBA(CMOS Directly Bonded to Array)」方式により、従来より高密度かつ高性能なNANDメモリの製造に成功。
コンシューマ向けで最高峰となる最大3600 MT/sに対応し、レイテンシは40マイクロ秒未満(< 40 us)をアピール。実際に30マイクロ秒を出せているから公約通りの性能です。
これほどの性能を実現しつつ、価格設定は意外と普通です。容量2 TB版が約2万円で、ライバル製品よりむしろ安かったりします。
安くて高性能(= 高コスパ)、しかも部品の50%は国産だから、他のSSDをわざわざ検討する手間を省けます。
ちなみに、BiCS 8メモリを使ったフラグシップモデルが「SN8100」です。実用上はほとんどOptane SSDに近い性能に到達し、NAND型SSDのマイルストーンを達成します。
お金に余裕があり、かつSSDオタクなら買ってみる価値があります。

6.【HDRの到達点】TCL 32R84
サムスンから継承した「Odyssey Neo」の遺伝子

韓国Samsung Displayが日本以外で販売しているゲーミングモニター「Odyssey Neo G8」は、VAパネルなのに応答速度が非常に速く、コントラスト比の高さから熱い支持を受けています。
実は、そのSamsung Displayの液晶パネル部門が中国TCL CSOTに売却されています。サムスンから受け継いだ高性能VAパネルの製造技術が中国に渡り、中国ブランド経由でOdyssey Neoを楽しめる状態です。

「TCL 32R84」は、CSOTが製造するFast HVAパネルに、量子ドットとMini LED(1400分割)を組み込んだハイエンドHDRゲーミングモニターです。
直下型Mini LEDバックライトを個別に制御し、暗い部分を消灯したり、明るい部分を強く点灯させる「部分駆動」で一般的な液晶パネルを凌駕するコントラスト比を実現します。

過去にレビューしたIPSパネル + Mini LED(1000~2000分割クラス)だと、ベストケースで約9000:1台が限度です。
平均的に5000~6000:1前後にとどまっていて、部分駆動を使っても効率的にコントラスト比を伸ばせない状況に陥っています。
しかし、Fast HVAは素のコントラストが非常に高いおかげで、1400分割でも軽々と約20000:1近い驚異的なコントラスト比に達します。

HDRモードの制御も優秀です。TITAN ARMY P275MS+やP32A6V-PROの次に優れています。
非常に高いコントラスト比を実現しつつ、ターゲットにかなり忠実に追従するPQ EOTFを備え、ピーク時に1700 cd/m²を超える強烈な明るさも放ちます。

「明」と「暗」がきっちり同じ画面内に存在する、まさに「HDR(High Dynamic Range)」を達成できる数少ないゲーミングモニターです。

※HKCがFast VAパネルに9000分割Mini LEDを組み込んだ、最新鋭の次世代VA Mini LEDモデルを発表しています。日本国内に実機が入ってくるか不透明ですが、10万円台で入手可能になれば、もうTCL製品に用はないでしょう。
7.【1枚で8TB】WD Black SN850X
大容量ゲームも生成AIモデルも1枚に全部入る

たった1枚で容量8000 GBもある、「WD Black SN850X」は本当に買ってよかったです。
キオクシア製162層 3D TLC NANDを使った両面実装のNVMe SSDです。

最大7200 MB/sを超える高速なシーケンシャル性能と、キャッシュ超過後でも平均1250 MB/sくらいを維持する優れた書き込み性能を備えます。
しかも、容量が8 TBもあるから一度に展開できるpSLCキャッシュが非常に広大で、普通に使っているとなかなかキャッシュを超過できません。
割と安定して2000~3000 MB/s台の凄まじい書き込み速度が出ていて、1本あたり数GBを超えるゲーム録画映像もシュバシュバと移動できます。
昨今のTLC NAND(QLCも)を使ったSSDにとって、容量の大きさは単に容量が大きいだけでなく、性能の安定性にも寄与します。

ベンチマーク用のゲームを大量にインストールしたり、検証用の生成AIモデル置き場に活躍中。これ1枚でほとんど何でも入り切るから利便性が半端ないです。
8.【2枚で128GB】大容量DDR5メモリ
巨大な動画生成モデル「Wan2.2」も怖くない

2025年8月、中国アリババがオープンソースの動画生成AIモデル「Wan2.2」を無料公開しました。
無料で使えて高性能、しかも検閲なし。当然ながら紳士AI愛好家(ローカル派)が黙っているわけもなく、すぐさまベンチマーク検証に。
ベンチマークの結果、Wan2.2はメインメモリの使用量が非常に多いと判明します。2つに分割したモデルを交互に利用する「MoE」方式ゆえ、メモリを大量に食う構造です。

メモリ容量が少ないと、共有メモリ(NVMe SSD)にデータが漏れてしまい、大幅な速度低下とSSDの無駄な寿命消費を招きます。
性能低下とSSDのムダ遣いを解消するべく、紳士AI愛好家(ローカル派)たちはこぞって容量96~128 GBのDDR5メモリを買い漁っています。
2025年8月当時、容量96 GBなら約3万円台、容量128 GBは4万円後半から買える状況です。筆者の体感だと、3割が96 GBを、7割が128 GBメモリを買っていました。

大容量DDR5メモリの導入で、高品質な大容量モデル(Q8_Kやfp8版など)を使っても動画生成AI速度が安定するように改善され、SSDの寿命浪費もほぼ解消です。
一般的に128 GBメモリは無用の長物ですが、動画生成AIを利用するローカルAI派にとって、間違いなく買ってよかったと言えるPCパーツでしょう。

9.【空間拡張】ルミナスラック(カスタム)
グラボやゲーミングモニターを縦方向に収納するシステム

年々、部屋に保管するグラフィックボードやゲーミングモニターの台数が増え続けていて、置き場所の確保が大きな課題に。
あまりに置き場所が無く、ふと天井を眺めていると・・・「天井付近の空いているスペースにグラボ置けないかな?」と思いついて、ルミナスラックにたどり着きました。
多層構造を活用して面積を倍々ゲームで増殖できる、便利なアイテムです。

床中に散乱して足場を困らせていたグラフィックボードの収納ボックスも、ルミナスラックにすっぽり収まります。

パッケージが小さいせいで、ごくまれに紛失していたCPU一式セットも、ようやくキレイに収納できました。ついでにCPUのパッケージを破棄してスッキリ。
検証用のCPUは保証を受ける気も、売却する予定もないから、ブリスターパックだけで十分です。

ルミナスラックの中に、A4コピー用紙に対応した本棚を置いて、その中にマザーボードを収納しました。
全4段の本棚に、Intel Z590~Z890マザーボード、AMD X570~B850マザーボードまで。直近のベンチマークに必要な世代シリーズを収納します。
おおむね、ルミナスラックシリーズは買ってよかったです。
延長ポール、追加用の棚、木製のテーブル風な棚など。自分の用途に合わせてカスタマイズできる、純正カスタムグッズも充実していて柔軟性もすごいです。
ただし、好みに合わせてカスタムグッズを追加しまくっていると5~6万円をすぐに超えてしまい、意外と高いのがデメリット。
でも価格が高いなりにビルドクオリティが非常に高い印象です。パーツの加工精度が良好で、組み立てと分解をスムーズに進められるし、防錆性能も高いらしいです。
純正の延長ポールを使って、ラックを天井にジョイントすれば地震対策もできます。

10.【超高速測光】Colorimetry Research CR-100
毎秒4サンプル(黒点1秒)を誇る超高速キャリブレーター

ディスプレイの校正(キャリブレーション)に使われる測定機材は、2~3万円台で買えるエントリーモデルから、約500万円近いラボグレードまで・・・ピンキリです。
そのピンキリの中でも、Colorimetry Research製「CR-100」は約100万円くらいで買える中間に位置する製品です。100万円でも中間クラス、恐るべきキャリブレーター業界。

測定精度を確認すると、意外にも約6万円で買えるエントリーモデル「X-Rite i1Display Pro Plus」とほとんど違いが見当たりません。
黒点付近(0.020 cd/m²未満)のみ、CR-100が正確な数値を返してきて、i1Display Pro Plusは0 cd/m²と返すだけです。
ただし、0.020 cd/m²未満の非常に暗い黒色を正確に取得できなくても、実用上はキャリブレーション作業に十分な精度です。
ラボグレードに該当するCR-100なら0.0007 cd/m²まで取れますが、黒点性能は必ずしもCR-100を導入する動機になりえないでしょう。

いわゆるi1Displayのような民生機と比較した最大の違いは、何と言っても「速度」です。

先ほどのPQ EOTF追跡グラフをもう一度。
何気ない1本のラインに見えますが、たった1本の測定に民生機(i1Display)だと約420秒(7分)を要します。特に暗部階調の測定に時間がかかり、なかなか作業が終わらないです。
一方、ラボグレードのCR-100なら、わずか55秒の短時間で測定を終えてしまいます。ほとんど0 cd/m²に近い暗部階調を毎秒1サンプル、明るい階調は毎秒3~4サンプルです。
当ブログの測定では、画面設定1つあたり8本のPQ EOTFを取得するため、今までの民生機なら約3360秒(ほぼ1時間)かかっていました。
CR-100は同じ測定を440秒(7分ちょっと)で完了でき、ざっくり7~8倍速で作業が進みます。
- (適切に運用した場合に限り)i1Displayとほぼ同じ精度
- 測定スピードは5~6倍速で、露出時間の調整で8倍速に
つまり、筆者のようにゲーミングモニターを100台単位で測定し、モニターごとにPQ EOTFグラフを最低でも8本(ときに40本以上)取得する使い方なら。
時間を大幅に節約できるCR-100がうってつけです。
もう1点付け加えると、高速測光はOLEDパネルの測定にも有用です。OLEDパネルは経過時間で輝度が変動しやすいですが、CR-100はモニター側が変動するよりも速く測定を終えられます。
テストパターンごとに黒フレーム挿入を行い、OLEDパネルの冷却を促してABLを回避する面倒なノウハウが不要です。ABLの発動よりもCR-100が先を行きます。

+α.【AMEX解約】三井住友プラチナプリファード
年会費 < ポイント還元を狙いやすい無難にいいクレカ

長年愛用していたアメックスゴールドが、特に目立った理由もなく年会費を3万円台 → 5万円台に値上げします。
さすがに意味が分からないので、更新の1週間前にアメックスゴールドを解約して、三井住友プラチナプリファードに買い替えてみた。
従来のアメックスと同じ3万円台の年会費ながら、ポイントが異様に溜めやすく、買ってよかったです。

ざっくり6ヶ月の利用で3万円台の年会費を超えるポイントを得られ、あっさりペイします。
アメックスゴールドもポイント自体は少しずつ溜められますが、プラチナプリファードと比較すると、はるかに霞んでしまいます。
加えてプラチナプリファードはSBI証券のクレカ積立に対応していて、毎月10万円ずつプラチナプリファード経由で積み立てるだけで、ポイントが最大2%ずつ付与される仕様も便利です。
毎月積み立てて年間120万円なら、2.4万ポイントが付与される計算です。
なお、積立先の資産によっては最大2%の付与率をはるかに上回るボラティリティがあり、運が悪いと額面が減ってしまう危険性があります。
積立を設定するときは、必ず「無くなっても一向に構わない」程度の金額を設定しておきましょう。

まとめ:今後の「モチベ維持」が課題な1年
2025年の買ってよかったモノを眺めて、多くのカテゴリーで頭打ちが見られます。

約7年ハマっていたSSD沼は「SN8100」でほぼ終焉を迎え、「SN7100」の登場も相まって、SSDのレビューを書くモチベがほとんど完全に失われました。
何を買ってもSN8100に勝てる見込みが薄く、マス層向けの価格帯はSN7100があまりに支配的すぎて、こちらも何を買っても消化試合。ただただ徒労です。
サムスンが開発を再開したらしい「Z-NAND」が再登場するか、中国Numemory社が開発しているらしい「Optaneのようなメモリ技術」でも登場しない限り、モチベは復活しないかも。


グラフィックボード沼もどうやら終焉が近いです。
「RTX 5090」が頭1~2つ飛び抜けて最強の性能過ぎます。ゲーム用途、個人AI用途、動画編集(トリプルエンコーダー)まで。どこをとっても強すぎます。
加えて、製造元の台湾TSMCが年々値上げを進めている影響もあり、プロセス微細化の性能向上とコスト増加分がかえって逆転する状況です。
GTX 1000(Pascal世代)やRTX 3000(Ampere世代)のような、旧世代を完全に過去のモノにする飛躍的な世代更新はもう望めないでしょう。


ゲーミングモニターは「P275MS+」の登場で、モチベをごっそり持って逝かれました。
5万円台でこれほどの機能性と画質を備えたゲーミングモニターを出されると、定番の大手メーカー製は非常に苦しい戦いです。
しかし、インフレ路線が確定的なグラフィックボードやPCパーツと比較して、まだ明るい展望があります。
中国TCL CSOTが日本から回収した、国産パネル製造技術「JOLED(印刷OLED)」です。JOLED社はマーケティングが下手すぎて自滅しましたが、TCLならもう少し上手くやってくれると信じてます。
中国政府から湯水のように公金を投入されていますし、コスト競争力においても韓国メーカーより有利です。

JOLEDパネルは、PC向けパネルとして世界初の「完全RGBストライプ配列」です。
一般的な液晶パネルとほとんど同じRGBストライプ配列を実現し、画面サイズや画素ピッチに関係なく、完全なテキスト表示が可能です。
現在主流の「Samsung QD-OLED」はトライアングル型RGB配列で、深刻なテキストフリンジに悩まされます。「LG W-OLED」パネルはQD-OLEDよりマシですが、やはりフリンジが生じます。
RGB配列のJOLEDパネルだけが、フリンジが一切発生しない唯一の方式です。

もちろん、発光効率の高さもメリット。RGBだけで色を生み出すから、明るさは230~450 cd/m²程度もあり、Rec2020色域が約80%に達します。
さすがに第4世代W-OLEDには抜かされていますが、現行世代のSamsung QD-OLEDと同等の性能です。

(製品化が近い印刷OLED 4Kモニター)
JOLEDの技術を回収したTCL CSOTが、今後のOLEDゲーミングモニター市場に価格破壊を起こしてくれるかどうか、すごく期待しています。

以上「【2025年】ちもろぐ的「買ってよかった」PCパーツやハードウェア【10選】」でした。
【振り返り】おすすめなゲーミングモニター

意外とインパクトが大きいモニターが「40C1U」です。
まだまだ珍しい5K2K(5120 x 2160)ゲーミングモニターで、4K解像度を横長に伸ばしたウルトラワイドモニターです。
ウルトラワイド愛好家のフォロワーがいるので存在自体は知っていますが、実際に見てみて衝撃を受けました。
ウルトラワイド好きが、なぜ沼ってしまうのか ────やっと理解できた気がします。
TCL CSOTが開発中のJOLED(印刷式有機EL)パネルもそこそこ楽しみな一方、今後おそらく発展が進むハイエンド5K2Kモニターも目が離せないです。
もし今後、Mini LED + 量子ドットな5K2Kや第4世代タンデムOLEDパネルの5K2Kモニターが出てくるなら、作業用モニター(EX381U)を置き換える可能性すらあります。
4K OLED部門は目立った進歩がなく、依然として「LG 32GS95UE-B」が印象的なままです。
4K Mini LEDはVAパネルなら「TCL 32R84」が特にお気に入り、コスパと汎用性なら「P32A6V-PRO」がやはり強いです。
WQHDゲーミングモニターはそこそこ激動の1年でした。
おもに「P275MS+」が4~5万円台の価格帯を焼き払ってしまい、筆者のレビュー意欲(モチベ)にけっこうなダメージを負わせます。
ライバルに相当する「MSI X30MV」「GDQ271JLAQ」「GA27T1M」など片っ端から検証したのに、結局P275MS+がもっとも高い成績を残してしまい、大変な1年です。
WQHD OLED部門は「LG 27GX700A-B」が最高峰です。テキストフリンジや反射を抑制しつつ、QD-OLEDを超える明るさと色彩を実現し、有機ELの完成形に近づきます。

【振り返り】おすすめなSSD:レビューまとめ
2025年も、2024年と同じくSSD相場の高騰が目立つ1年でした。
「SN8100」「SN7100」など、マイルストーンクラスの印象的なSSDが登場したけれど、TLC NANDメモリの減産で価格が恐ろしく上がっています。
つられてQLC NANDまで値上がりしてしまい、容量単価がふたたび後退する一方です。
個人的な意見を書くと、SSDメーカーは容量単価を抑える技術開発をして欲しいような・・・。性能面は「SN7100」でほとんど完成してます。
SN7100クラスの性能で容量4 TBが2万円台、容量2 TBが1万円台で買える技術革新が、コンシューマーから求められても違和感ないです。

【振り返り】おすすめなグラボ:レビューまとめ
RTX 5000シリーズの最悪のローンチと、RX 9000シリーズの最高のローンチで始まりました。
発売当時、RX 9070 XTが10万円台に対して、RTX 5070 Tiは約18~19万円と法外な釣り上げ価格。しかも、当時トレンドだった「モンハンワイルズ」はRadeon特攻ゲームでした。
Radeonが完全復活するかのような勢いを見せましたが、肝心のモンハンワイルズがコケてしまい、需要が急速に萎みます。
その後、少しずつRTX 5000シリーズの価格が正常化し、不安定だったGame Readyドライバも改善が続きます。
モンハンワイルズ以外の国内人気タイトルでRTX 5000シリーズが安定して強い事実も少しずつ明らかになり、RTX 5070 Tiに人気が一転します。
最終的に1年を振り返ると、RTX 5070 TiとRTX 5070が安定して売れている1年です。RX 9070 XT(RX 9070)はセール時に大きく売れています。
ハイエンド帯はGeForce優位な1年ですが、ミドルクラス(5万円くらい)ならRadeonが売れています。
シンプルに安くて高性能、かつVRAM容量16 GBのお得感が人気の理由。パーツ単品で買うなら、ちょうどこれでいい感があるグラボです。
















































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いつも参考にさせていただいています!
2025年もありがとうございました!