コストパフォーマンスに優れたタブレット端末(とくにHuaweiやXiaomi製のモノ)によく採用されているSoC(CPU)が、MSM8940というチップ。正式名は「Snapdragon 435」。Snapdragonシリーズの中ではローエンド向けという位置づけだ。
この記事ではその性能についてまとめておきます。
この記事の目次
Snapdragon 435(MSM8940)の仕様

Snapdragon 435(MSM8940)はARM製「Cortex A53」というCPUを8個内蔵(オクタコアプロセッサ)し、グラフィックスチップにはQualcomm製「Adreno 505 GPU」が使われている。8コアと聞くと強そうに感じるが、残念ながら1コアあたりの性能がショボイ。
Snapdragon 435のカタログスペック(仕様) | |
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動作クロック | 1.40 Ghz(最大) |
搭載コア数 | x8 ARM Cortex A53 |
プロセスルール | 28nm |
内蔵GPU | Qualcomm Adreno 505 |
対応API | OpenGL ES 3.1+ |
メモリ帯域幅 | 1600 Mhz |
メモリ規格 | LPDDR3 |
メモリチャネル | Dual-Channel |
「Snapdragon 400」シリーズは、Qualcommが製造しているスマホ・タブレット向けCPU(SoC)の中でもローエンドに位置するモノだ。基本的に2~3万円くらいのデバイスに搭載されることを前提にしている。
だから基本スペックも上位の600シリーズや、ハイエンドの800シリーズと比較すれば大幅に貧弱になっています。プロセスルールも2倍ほど大きい28nmですし、動作クロックも最大で1.4Ghz程度と心もとない。
というわけで、各種ベンチマークを確認して全体から見てどれくらいの性能なのか、客観的に見ていこう。
Snapdragon 435の性能
全部で6つのベンチマークでSnapdragon 435の性能を捉えていく。なお、性能は1つだけ見ても分かりにくいため、似たような価格帯の他のSoCとも比較しながら確認します。やはり他と比べてどうなのかが分からないと、良いのか悪いのか分かりませんから。
比較対象は…
- Snapdragon 410(富士通arrows M03など)
- Snapdragon 400(ASUS ZenFone Goなど)
- HiSilicon Kirin 659(Huawei Mate 10 Liteなど)
- HiSilicon Kirin 658(Huawei P10 Liteなど)
2~4万円のエントリーモデル(4万円はミドルクラスの範疇か。)に搭載されているSoCをまとめておいた。これでSnapdragon 435の性能がだいぶ分かりやすくなるはずだ。
Geekbench 4.0

Geekbenchは様々な分野のテストを大量に実行させて、終了までの時間でCPU性能を評価するベンチマーク。Linux、Windows、Android、iOSなど複数のOSで実行可能なクロスオーバーアプリなのが特徴。
Geekbench 4.0 / シングルスレッド性能
まずはコア1個あたりの性能であるシングルスレッド性能から。2.5万円ほどで入手可能なKirin 658より30%は低いという結果になっています。
Geekbench 4.0 / マルチスレッド性能
搭載されているすべてのコアを活用するマルチスレッド性能はこの通り。8コアも入っているので、ここは伸びやすいが…それでもKirin 658には届きません。
Mozilla Kraken 1.1

ブラウザ上で実行するベンチマーク。Javascriptの実行処理速度を計測して、CPUの性能をスコア化できます(単位はミリ秒で短いほど優秀)。
Mozilla Kraken 1.1
どのSoCも非常にゆったりとしています。Snapdragon 435は12340ms(約12秒)かかり、Kirin 658は8591ms(約9秒)という結果だ。
Octane V2

Krakenと同じく、これもブラウザ上で実行する。内容もほぼ同じでJavascriptベースのアプリケーションを実行して、その処理速度をスコア化するというもの。スコアは高いほど優秀です。
Octane V2
Kirin系が435よりも50~60%も高速な結果。
AnTuTu Benchmark v6

スマートフォン向けのベンチマークで定番中の定番ソフト。日本でもとても有名だと思います。さて、Antutu Benchmarkはデバイス全体のスコアを表示するため、完全にSoC自体の評価にはならないが「傾向」を掴むのには使えます。
AnTuTu Benchmark v6
無難に価格相応な結果になりました。ローエンド向けSoCらしいスコアという感じだ。最近のハイエンドSoCは18~20万点くらいは出るので、そこから見ると4.5万点はかなり下の方。
3DMark – Ice Storm Unlimited

3DMarkのAndroid / iOS対応版が「Ice Storm Unlimited」。これを1280×720(Offscreen)で実行し、そのPhysics Score(GPU本体のスコア)で内蔵グラフィックスの評価を行う。
3DMark / Ice Storm Unlimited Physics
グラフィックス性能もやっぱりKirinの方が30~40%ほど高速な結果に。それでも1万点に近いスコアは出ているため、普通の使う分には十分に使える性能です。
平均パフォーマンス
ここまでのベンチマークを平均化し、全体的な傾向をまとめます。
平均パフォーマンス
Snapdragonのエントリーモデルの中ではもっとも優秀な性能ですが、似たような価格帯のKirin 658に30%も引き離されているのは気になるところ。
たとえばSnapdragon 435(MSM8940)を搭載しているデバイスは、Huawei MediaPad M3 Liteが有名。価格は2.2~2.8万円ほどです。
対してKirin 658は1.9~2.5万円で入手できるHuawei P10 Liteに搭載されている。コストパフォーマンスを重視しているなら、435はあまり賢い選択肢にならない…ということだ。
まとめ:Snapdragon 435はコスパが悪い
コストパフォーマンスの比較(高いほど優秀)
てっきりKirin 658も似たような価格帯だから、性能も似たような傾向を示すのだろうと勝手に思い込んでいたが。こうやってデータを見ると、明らかにKirin 658の方が優れていることが明らかになった。
Snapdragon 435はQualcommのローエンドSoCの中ではほぼ最上位に位置するモノだが、あまり良いものとは評価しづらい。ミドルクラスのSnapdragon 625の方がまだコスパは良いだろう。
というわけで、2万円台のスマートフォンやタブレット選びにおいて「性能」で悩んでいる場合はKirin 658が搭載されたモデルが、今のところはもっともコスパの良い選択肢になる。
2万円台で一番買って失敗し無さそうなSIMフリースマホはHuaweiの「P10 Lite」あたり。2.6万円でAnTuTu6万点のスマホが手に入るわけですが、これがどれほどスゴイことなのか?。
ぼくが現在メインに使っているスマホはGalaxy S5で、当時6万円ほど掛かったハイエンドモデル。AnTuTuを回してみると、だいたい5.2~5.3万点くらいのスコアを叩き出します。
要するに2~3年前のハイエンドクラスの性能を出せているってこと。


だからほとんどの人にとって、AnTuTuで5~6万スコアを出せるスマホやタブレットは実用上は全く問題のない性能ということになる(Galaxy S5で満足しているので買い換える気にならないわけですし…)。
以上「MSM8940(Snapdragon 435)の性能解説:コスパは意外と…」についてでした。ローエンドスマホ選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
他のSoC(スマホCPU)の性能も知りたい
次元が違う世界です。正直に言うと、AnTuTuで5~6万点出れば十分なのに、20万点に迫るようなスマホって何に使うのだろう…という気がしてならない。
Snapdragonハイエンド最上位の性能もすさまじい。ノートPC用に使っても遜色ない処理性能になっています(Snapdragon 835搭載のノートPCは登場する予定)。
MSM8940の正式名称はMSM8940です。なに言われてるのかわからなかったら勉強してくださいね。
それから記事の趣旨が謎です。世代の違うプロセッサを比較して、唐突にP10 Liteが最高とやるのは感心しません。
P9Lite 以降android はたいして進化してない^^;
>Snapdragon 435はQualcommのローエンドSoCの中ではほぼ最上位に位置するモノ
450が発表どころか既に搭載機が出始めてた2017年末に書かれた記事でこの物言いはお粗末過ぎると思いますよ。
そしてまとめとしてのこの部分がお粗末ということは、記事そのものがお粗末に過ぎるという事になります。削除か更新するのがご自身の名誉のためだと思います。