シャドウ・オブ・モルドールの3年ぶりの続編「シャドウ・オブ・ウォー」が2017年10月に発売された。
この記事ではどれくらいのグラボやCPUがあれば、シャドウ・オブ・ウォーを快適(60fps以上)で動かせるのか。各種ベンチマークに基いて、くわしく解説してみたい。
この記事の目次
シャドウ・オブ・ウォーの公式スペック
最低スペック | 推奨スペック | |
---|---|---|
CPU | Core i5 2300 @2.8Ghz | Core i7 3770 @3.4Ghz |
AMD FX-4350 @4.2Ghz | AMD FX-8350 @4.0Ghz | |
GPU | GTX 660 | GTX 970 / GTX 1060 6GB |
Radeon HD 7870 | Radeon RX 480 / 580 (4GB) | |
メモリ | 6GB | 12GB |
ストレージ | 70GB | |
OS | Windows 7 64bit / SP1 | |
Windows 10 64bit / Creators Update |
最初にチェックするのがやっぱり公式サイト(Steam)に掲載されている公式推奨スペックです。シャドウ・オブ・ウォーの公式スペックは表の通りで、よく見かけるテンプレとなっている。

そうなんですよね。前回のアサシンクリード・オリジンズの推奨スペックではGTX 760など、かなり古いグラボが乗っていたがシャドウ・オブ・ウォーには「GTX 1060」という新しいグラボが掲載されています。
公式スペックが「強気」な内容の場合、それだけ「重たいゲームだから買う前に要チェックな。」という開発側の意思表明でもあるため、これは事前に動作フレームレートをチェックしておかないと危ないだろう。

グラボ別フレームレートで「推奨GPU」を決める

これが「グラフィックボード」、フレームレートを上げるなら一番重要。
Middle Earth : Shadow of Warがどれほど重たいゲームなのか。公式スペックにGTX 1060なんて書いてあると、割りとビビる内容なのでGPU別の動作フレームレートを確認していきます。
ゲームの動作を軽くする上で、もっとも重要なのはやはりグラフィックボードだからね。
テスト環境 & グラフィック設定
Shadow of Warのテスト環境 | ||
---|---|---|
CPU | Core i7 7700K | |
GPU | GTX 1080 Ti | RX Vega 64 |
GTX 1080 | RX Vega 56 | |
GTX 1070 | RX 580 8GB | |
GTX 1060 6GB | R9 390 8GB | |
GTX 1060 3GB | RX 570 4GB | |
GTX 1050 Ti | R9 380 4GB | |
GTX 1050 | RX 560 4GB | |
GTX 970 | 合計15種類 | |
メモリ | DDR4-2400 64GB | |
SSD | Plextor M8Pe M.2 NVMe 512GB (RAID0) | |
HDD | 2TB | |
電源ユニット | 850W 80+ Platinum |
Middle-earth: Shadow of War performance analysis with Mozû the Blight
推奨グラフィックボードとは、そのゲームをプレイする上でもっとも最適なグラボのこと。それを確かめるにはグラボごとの動作フレームレートを見て、相対的に「これが一番良さそう。」と絞り込んでいくしか無い。
参照したデータベースは米PC GAMERより。CPUはi7 8700Kが登場するまでは最強のゲーミングCPUだった「Core i7 7700K」。グラボは15種類ほど使われたが、品薄で入手が難しいグラボはグラフから省略。
- グラフィック品質:ウルトラ
- 光源品質:ウルトラ
- メッシュ品質:ウルトラ
- モーションブラー:有効
- アンチエイリアシング:FXAA
- 影の品質:ウルトラ
- テクスチャ品質:ウルトラ
- アンビエントオクルージョン:高
- 草木の表示範囲:ウルトラ
- 被写界深度:有効
- テセレーション:有効
グラフィック設定はそれなりに細かい方ですが、グラフィック品質を使えばすべてのオプションを一括で変更可能。今回は中間とウルトラ、2種類の設定を使って検証している(フルHDのみ)。
では、フルHD / WQHD / 4Kと解像度別に動作フレームレートを確認していきます。
フルHDは画質の時点で、かなりヘビーな雰囲気

Middle Earth : Shadow of War – フルHD – 中間設定
平均フレームレート最低フレームレート(全体の1%)
グラフィック設定が中間だと、そこまで重たいゲームではない。公式が推奨している「GTX 1060 6GB」を使えば、平均100fps以上が出ているため、GTX 1060を使えば間違いないと言える。
もちろん、Shadow of Warが中間設定で快適に動けば良いのでコストパフォーマンス重視で行きたい。という人には「GTX 1050 Ti」で良いかと。平均60fps出ているし、最低値50fpsも特に問題ない。
- パフォーマンス重視:GTX 1060 6GB
- コストパフォーマンス重視:GTX 1050 Ti
なお、RX 570も価格が安いなら良いと思います。2.0万前後で入手できるなら、RX 570が一番ベスト…しかし、大抵は2.6~2.8万円くらいするので、消去法でGTX 1050 TiかGTX 1060になってしまう。
GTX 1060 3GBは悪くない選択肢だが、あとからVRAM使用量を確認すれば分かる通り、Shadow of Warは3GB程度なら完全に使い切るため3GB版はオススメしません。

Middle Earth : Shadow of War – フルHD – 最高設定
中間設定はとても軽いゲームでしたが、ウルトラ設定に変えた途端「豹変」する。GTX 1050 Tiは歯が立たなくなり、GTX 1060ですら平均60fpsを出せない状態に陥るのが分かります。
安定して平均60fpsを出すなら「GTX 1070」が一番確実な選択肢。もちろん「多少の妥協は問題ないよ。」という人は、GTX 1060でも大丈夫。
- パフォーマンス重視:GTX 1070
- コストパフォーマンス重視:GTX 10606GB
ノートパソコンでShadow of Warは出来るか

基本的にはデスクトップをおすすめする立場ですが、中にはノートパソコンでもShadow Of Warはプレイ可能なのか…という疑問を持っている人がいないわけではない…ので紹介。
Middle Earth : Shadow of War – フルHD – 中間設定(ノートパソコン)
「Laptop」がノートパソコン版です。見ての通り、スペック上はまったく同じでも、デスクトップかノートパソコンかの違いでこれだけフレームレートに差が出てしまいます。
だからコスト的な面から考えればゲーミングマシンはデスクトップ一択になるのですが…中間設定ならGTX 1060があれば問題なく動きそうですね。
- 中間設定:GTX 1060搭載のノートPCでOK
GTX 1060搭載のゲーミングノートはGKF1060GFが、コスパもよく悪くない選択肢。
Middle Earth : Shadow of War – フルHD – 最高設定(ノートパソコン)
ウルトラ設定にすると一気に重たく。GTX 1060では全然ダメで、GTX 1070じゃないと平均60fpsを出せなくなってしまう。正直、このゲームはノートPCでやるような代物じゃないと思いますね…。
デスクトップ版に80~90%ほど迫る性能を出せるのが「ゲームマスターNX」。このレベルの性能を求める場合、薄さや軽さはあまり重視しないほうが良いです(筐体が小さいほど性能がブレやすい)。
WQHD画質にはハイエンドGPUが必須

Middle Earth : Shadow of War – WQHD – 最高設定
WQHD(2560×1440)はフルHDより約80%ほど負荷が重たい解像度。大画面になればなるほど重たいのは当然です。
さっきまで余裕だったグラボもこの解像度になれば脱落し始め、平均60fpsを出すにはGTX 1080クラスじゃないと実現不能に。もちろん、設定を落とすのも手だが、この大画面で粗いグラ設定はもったいないよね…。
- パフォーマンス重視:GTX 1080
- コストパフォーマンス重視:GTX 1070
多少は妥協しても良いなら、GTX 1070も選択肢。平均55fpsは出ているため、モーションブラーと光源品質を妥協できる範囲内で調整すれば、平均60fps台に十分載せられます。
4Kはシングルボードでは無理、SLIが必要に

Middle Earth : Shadow of War – 4K – 最高設定
フルHDと比較して4倍も重たい4K(3840×2160)だと、ついにグラボ1枚では太刀打ち出来ない状況に。GTX 1080 Tiを使っても平均60fpsを実現できない。
幸い、Shadow of Warは「SLI」に対応しているため(とは言っても、イマイチ不安定で効率よくフレームレートが伸ばせない)、グラボを2枚使えば解決します。
Middle Earth : Shadow of War – 4K – 最高設定
GTX 1080 Tiを2枚使えばだいたい性能が40%ほど伸びて、平均60fpsへ。しかしCPUの影響を極めて受けやすいので、CPUはi7 7700K(可能ならi7 8700K)が確実だ。
Middle Earth : Shadow of War – WQHD – 最高設定
なお、このゲームはSLIの最適化が今ひとつなのか、4K以下の解像度ではSLIの恩恵をほとんど受けられないので注意。1枚 / 2枚、どちらでもフレームレートがほとんど変化していません。
VRAMの消費量は前作と同様
Middle Earth : Shadow of War – 解像度別のVRAM消費量
フルHDWQHD4K
前作のShadow of Mordorでは、AAを入れると最大5GBほどのVRAMを使っていた。今作Shadow of Warでも、ほとんど同じ水準のVRAM消費量に落ち着いている。
フルHD画質の場合、約5GBは使うのでVRAMが3~4GB程度しか無いグラフィックボードは要注意。よって、GTX 1060は6GB版一択ということ。3GB版だと若干ブレる可能性が高い。
シャドウ・オブ・ウォーの推奨CPUを調査
SLI編で見た通り、CPUによってフレームレートが大きく違っていた。というわけで、CPU別フレームレートも確認して、Shadow of Warの推奨CPUを確認しておこう。
フルHDでは高速なCPUが優秀
CPU別パフォーマンス – GTX 1080 Ti – フルHD – 中間設定
フレームレートが3桁以上の世界では、CPUの影響がかなり大きくなる傾向にある。わずかな処理性能の差が、大きく引き伸ばされて結果的に何十fpsもの差につながります。
データを見る限りでは、i7 7700Kまたはi7 8700Kが一番良さそうだが、使っているモニターが普通なら無理してCore i7を使う必要はないですよ。
大抵のモニターは60fps以上を描写できないので、i7 7700Kなどの高速CPUを使う意味が大きいのはゲーミングモニター(144Hzなど)を使っている人に限定されるからだ。
CPU別パフォーマンス – GTX 1080 Ti – フルHD – 最高設定
最高設定でも、だいたい同じ傾向。GTX 1070以上のグラボを使うなら、CPUもそれなりにハイエンドなモノが良いと思います。まぁ、大抵はi7 7700Kで事足りるだろう。
WQHDでも同様にボトルネックは見られる
CPU別パフォーマンス – GTX 1080 Ti – WQHD – 最高設定
WQHD画質になるとボトルネックが落ち着きますが、最低フレームレートにCPUの性能差が現れていますね。
4Kになるとボトルネックはほぼ消失
CPU別パフォーマンス – GTX 1080 Ti – 4K – 最高設定
4K画質はそもそもグラボ側が完全に性能不足なので、CPUの性能差はほとんど影響として現れない。
Middle Earth : Shadow of War – 4K – 最高設定
しかしグラボ側の性能が上昇すれば、この通りボトルネックがまた出て来る。よって「4KだからCPUは手抜きで良いかぁ…」とはならない。
SLI環境で4K画質をしっかりと動かすつもりなら、CPUは少なくとも4コアのi7 7700Kを。可能なら6コア搭載のi7 8700KがベストCPUだ。
シャドウ・オブ・ウォーのメモリー使用量
Middle Earth : Shadow of War – システム全体のメモリ使用量
フルHDWQHD4K
Windows 10 + Shadow of War(システム全体)のメモリー使用量です。思った以上にメモリーを使わないゲームですね。
ただし、VRAMが不足すると足りない分だけメモリー側に押し付けられるため、やはりVRAMが少ないグラボには要注意と言える。
- ゲーム本体しか起動しない:8GBで足りる
- ゲーム + Web閲覧や動画閲覧も考えてる:余裕を持って16GB
というわけで、おすすめのメモリー容量は以上の通りだ。
シャドウ・オブ・ウォーの推奨スペックをまとめる
解像度 | CPU | GPU | メモリ |
---|---|---|---|
フルHD(中間) | Core i3 7100 | GTX 1050 Ti | 8GB |
フルHD(最高) | Core i7 7700K | GTX 1070 | 16GB |
WQHD | Core i7 7700K | GTX 1080 | |
4K | Core i7 8700K / i7 7700K | GTX 1080 Ti SLI |
ここまでのデータに基づいて、解像度別に平均60fps以上を出せる「推奨グラボ」とそれに見合った「推奨CPU」をまとめました。
CPUにCore i3 7100を挙げているが、グラボがGTX 1050 Tiの場合は新しい世代のCore i3(i3 7100やi3 8350Kなど)なら、ほとんどボトルネックは生じません。
画質と用途別におすすめのゲーミングマシンをまとめ
自作派はさっきの推奨スペック表にもとづいて、Amazonでパーツを仕入れたりしてパーツ交換、もしくは一から作ってしまえばOK。


もちろん、時間も手間もかかる「自作」は面倒くさい。という人も決して少なくないので、BTO派向けにおすすめなゲーミングマシンをいくつかまとめておきます。
コスパ重視、とりあえずフルHD画質で遊びたい

Monarch IH | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i3 7100 (2コア / 4スレッド / 3.90Ghz) |
GPU | GTX 1050 Ti 4GB |
メモリー | DDR4-2400 8GB |
マザーボード | Intel H270搭載マザーボード(ATX) |
SSD | (カスタマイズから追加) |
HDD | 500GB |
電源 | 550W 静音電源 |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
- Shadow of Warがそこそこの画質で動けばOK
- とにかく「予算」を重視したい
予算重視で行くのであれば、中間設定にて平均60fpsを出せる「GTX 1050 Ti」を搭載した、モナークIHがおすすめ。いわゆる一般向けPCですが、実はゲームにも使えるという隠れた名品。
実際にこのマシンでいろいろと遊んでいるけれど、しっかりと動いています。低予算で行くならベストマシンなのは間違いない。
最高設定で平均60fps以上を目指すなら

GALLERIA XF | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700 (4コア / 8スレッド / 3.60~4.20Ghz) |
GPU | GTX 1070 8GB |
メモリー | DDR4-2400 4GB*2 |
マザーボード | Intel H270搭載マザーボード(ATX) |
SSD | 250GB |
HDD | 1TB |
電源 | 500W 静音電源(80+ BRONZE) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
- どうせ買うなら余裕のあるマシンが良い
- ウルトラ設定でも平均60fpsを軽~く叩き出したい
パフォーマンス重視で行くなら、ガレリアXFがおすすめ。ほとんどすべてのゲームを平均60fpsで動かせるし、i7 7700のおかげでマルチタスク性能も優秀。
WQHD以上の大画面でプレイする

GALLERIA XG | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 7700 (4コア / 8スレッド / 3.40~4.20Ghz) |
GPU | GTX 1080 8GB |
メモリー | DDR4-2400 8GB |
マザーボード | Intel H270搭載マザーボード(ATX) |
SSD | 250GB |
HDD | 2TB |
電源 | 650W 静音電源(80+ BRONZE) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
- WQHD画質で60fpsを出したい
Shadow of WarをWQHDでプレイするなら、平均68fpsで動作した「GTX 1080」搭載のマシンが必要。よって、おすすめなのは「ガレリアXG」になります。
4Kでシャドウ・オブ・ウォーの世界に浸りたい…

GALLERIA ZZ-SLI | |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Core i7 8700K (6コア / 12スレッド / 3.70~4.70Ghz) |
GPU | GTX 1080 Ti 11GB / 2-Way SLI |
メモリー | DDR4-2400 8GB*2 |
マザーボード | Intel Z370搭載マザーボード(ATX) |
SSD | 500GB |
HDD | 3TB |
電源 | 800W 静音電源(80+ GOLD) |
保証 | 1年間 持込修理保証 |
GALLERIA ZZ-SLI (ガレリアZZ-SLI)の詳細を見てみる
- フルHDの4倍にあたる「4K」で遊びたい
現状、シャドウ・オブ・ウォーを「4K」で動かせるのはGTX 1080 Tiが2枚搭載されている「ZZ-SLI」に限られてしまいます。
シングルボードなら平均50fps前後なので、設定を調整すればグラボ1枚でも60fpsは不可能ではない。しかし、これだけの高解像度でプレイする場合、画質の低下は目につきやすい(結果的に妥協しづらいかと)。
以上「シャドウ・オブ・ウォーの推奨スペック:60fps以上を出すには」についてでした。