マイクロソフトが2017年6月頃に発売予定のSurface最新作「New Surface Pro」という2 in 1タイプのタブレット。かなり洗練された印象を受けるものの、よく見てみると前作の「Surface Pro 4」とあまり変化がない気がするんですよ。この記事ではNew Surfaceがどう変化したのか、まとめてみます。
New Surface Proと「Pro 4」の違い

左側が新しくなったNew Surface Proで、右側が古い版のSurface Pro 4です。どちらもパッと見の外見はほとんど差が無い。ここから分かる唯一の違いは、キーボード部分に使われている表面素材がSurface Laptopと同様のアルカンターラに変わっている点くらいです。
ディスプレイ解像度や、ベゼル幅は?

キーボードがアルカンターラに更新されたことで印象が違って見える。しかし、Pro 4とくらべてみると…

ベゼル幅に目立った変化は見られない。美しいと言えばそうですが、狭いベゼル幅とはいえません。今はHuaweiのMatebook Xのように、ベゼル幅がわずか4.4mmという製品があるくらいですから、特段Surfaceのベゼルは狭いとは言えないわけです。
New Surface Pro | Surface Pro 4 | |
---|---|---|
サイズ | 12.3 インチ | |
タイプ | PixelSense Display | |
解像度 | 2736 x 1824 | |
267 ppi | ||
アスペクト比 | 3:2 | |
タッチ機能 | 最大10ポイント |
ディスプレイ自体の仕様も、マイクロソフト公式カタログを見る限りは全く変化がない。どちらも12.3インチのPixelSense Displayであり、解像度は2736 x 1824(267ppi)。アスペクト比は3:2で、タッチ機能は最大で10ポイント同時。
でもNew Surfaceは最軽量では?
マイクロソフトの公式トレーラーを見ると「Lightest」という表現が出てきて、あたかもSurface史上最も最軽量かつ、最薄の製品であると錯覚させますが…。これもマイクロソフト公式カタログによって否定される。

両製品ともに横幅は292.10mmで、高さは201.42mmです。そして、驚くことに厚みはPro 4が8.45mmなのに対して、Newでは8.50mmとわずかだが分厚くなっている。
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
m3 | 766g | |
i5 | 786g | |
i7 | 786g |
重量も「最軽量」では決して無い。両者ともにCore m3モデルでは766gで、それ以上のモデルなら786gであることに変わりない。とは言いつつも、たしかにSurface史上最軽量という言葉はウソではないな。
過去最もSurfaceで軽量だったのがPro 4で、今回のNewも同じ水準なのだから「最軽量」と謳っても問題は無さそう…。いや、でもやっぱり最新モデルだから多少は更新してほしいのが本音かなぁ。
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
m3 | 768g | 766g |
i5 | 770g | 786g |
i7 | 782g | 786g |
日本版サイトを確認してみると、仕様に書いてある重量が違った。「Core m3」モデルでは2g重くなっているが、それ以外のモデルでは軽量化が実現されており「最軽量」の謳い文句は間違いなく本当だということに。
ただ、微々たる差なのであまり変化していないということに変わりはないか…。
外部インターフェイスも変更なし

タブレット側の左右に備え付けられているのが「外部インターフェイス」です。ポートとも呼ばれる。この点も特に変更はない。
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
外部I/O | Full-size USB 3.0 | |
microSD card reader | ||
Headset jack | ||
Mini DisplayPort | ||
Cover port | ||
Surface Connect |
フルサイズのUSB3.0端子、マイクロSDカード、イヤホンジャック、Mini DP端子、カバーポート、そして充電用のサーフェスコネクト。全く同じです。マイクロソフトは現時点で、まだ普及していないUSB 3.1の導入には慎重ですから、変化のしようが無いか。
逆にAppleは平気でUSB 3.1を導入して、どうにかしたいかたは別途ハブポートを購入しましょう…というノリなので、マイクロソフトの方がユーザーフレンドリーではある。
内蔵カメラ、顔認証、スピーカーも変化なし
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
顔認証 | Windows Hello 顔認証カメラ | |
カメラ | 500万画素フロントカメラ(1080p HD Video) | |
800万画素リアカメラ(1080p HD Video) | ||
スピーカー | ステレオマイクロフォン | |
ステレオスピーカー(ドルビーオーディオプレミアム) |
前作同様、今回も顔認証でサインインが出来る「Windows Hello」対応。カメラはフロントが500万画素で、リアは800万画素と十分に高画質。スピーカー類も特に変化はなし。
Surface Dial対応

Surfaceをより直感的に扱うための新感覚デバイスとして、マイクロソフトが販売しているアクセサリーです。ディスプレイ上において使うことが出来、直感的な操作が可能に。かなりクリエイター向けのデバイスだ。
で、New Surface Proはこの「Surface Dial」に対応と言っていますが、製品仕様を見る限りはPro 4からの大きな変化ではない。
Surface Dial 対応デバイス | |
---|---|
デバイス | Surface Pro 4 |
New Surface Pro | |
New Surface Book | |
Surface Studio | |
Surface Laptop | |
システム | Windows 10 Anniversary Update以上 |
ではPro 4からNewは何が進化したのか?
あまりの変化の無さに驚くばかりだが、さすがに製品名称を変更したくらいだし、一応は進化した部分もあります。
CPUはSkylakeからKabylake世代へグレードアップ
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
CPU / Clock / iGPU | Intel Core m3 7Y30 | Intel Core m3 6Y30 |
1.0 Ghz – 2.6 Ghz | 0.9 Ghz – 2.2 Ghz | |
HD Graphics 615 | HD Graphics 515 | |
Intel Core i5 7300U | Intel Core i5 6300U | |
2.6 Ghz – 3.5 Ghz | 2.4 Ghz – 3.0 Ghz | |
HD Graphics 620 | HD Graphics 520 | |
Intel Core i7 7660U | Intel Core i7 6650U | |
2.5 Ghz – 4.0 Ghz | 2.2 Ghz – 3.4 Ghz | |
Iris Graphics 640 | Iris Graphics 540 |
搭載されているIntel CPUが「6th(Skylake)」から「7th(Kabylake)」という、最新世代に更新された。CPUの性能は軒並み上昇し、クロック周波数も大幅に改善されている。ただ、これだけでは分かりづらいので性能の差が分かりやすいように表も用意してみた。

※表はPassmark Scoreに基いて作りました。
どのモデルも確実に処理性能はアップしていて、特にCore i7モデルは26%もスコアが伸びている。New Surface ProのCore i5モデルは、Pro 4版のCore i7モデルと同じスコアを出しているため、コスパはやや向上した、と言える。

※表は3DMark Fire Strike Scoreに基いて作りました。
内蔵GPUもある程度だが進化している。各モデルでそれぞれ10%くらいスコアが伸びた。ゲーミング用途にはキツイが、Surface Proの用途として想定されているグラフィック系 / イラスト系ソフトなら十分にこなせる性能です。
バッテリー持続時間が大幅に改善
モデル | New Surface Pro | Surface Pro 4 |
---|---|---|
バッテリー持続時間 | 最大13.5時間 | 最大9.0時間 |
ビデオ再生時のバッテリー持続時間は、Pro 4が最大9時間だったのが、Newでは13.5時間にまで向上。
ヒンジの改良で165度まで倒れるように

従来のSurface Proでは150度までしか傾かない仕様だったが、New Surfaceはヒンジが大幅に改良された。傾斜が15度増えた「スタジオモード」というSurface Studioに近い状態でSurface Proを使えるようになった。
165度まで対応できる傾斜が増えたことで、より幅広いユーザーの書き癖に対応できるように。

マイクロソフトがクリエイター向けに販売しているプロフェッショナル仕様の「ディスプレイ一体型PC」です。Surface Proシリーズ同様にアルミから削り出したような、洗練された薄型ボディが特徴的。
プロ向けというだけあって、最安価モデルですら日本円で40万円を超える高価なマシンです。
ファンレスモデルが「Core m」以外にも
Pro 4では「Core m3」モデルのみがファンレス仕様だったものの、New版からは「Core i5」モデルもファンレス仕様になる。「Core i7」モデルは依然としてファンレスでは無いが、マイクロソフトいわく相当に静かなものだと。
1TBモデルはNVMe SSD
Core i7モデルの中でも最上位に位置する「1TB」モデルの場合、搭載されるSSDはSATA SSDからNVMe SSDへとアップグレードされる。実用上の性能は体感しづらいが、間違いなくスピードは速くなっている。
Surface Pen同封モデルが無くなる

Pro 4は基本的に「Surface Pen」が同封されてきたが(最下位モデルを除き)、今回のNew版からは一切同封されなくなった。必要な場合は99ドルを支払って別途購入しなければならない。ちょっと高くないですか。
LTE対応モデルが出るらしい

Surface Proシリーズでは初のLTE対応モデルが発売される予定。LTEモデルではマイクロSIMとeSIMを利用可能で、LTE非対応版よりも若干価格が高くなるそうだ。現時点では詳細なラインナップは判明しておらず、年内には発売するとだけマイクロソフトは伝えている。
Pro 4とNewの価格を比較
Surface | CPU | RAM | SSD | 価格 |
---|---|---|---|---|
Pro 4 | Intel Core m3 | 4GB | 128GB | $ 699 |
Intel Core i5 | 4GB | 128GB | $ 849 | |
8GB | 256GB | $ 999 | ||
16GB | 256GB | $ 1399 | ||
8GB | 512GB | $ 1399 | ||
16GB | 512GB | $ 1799 | ||
New | Intel Core m3 | 4GB | 128GB | $ 799 |
Intel Core i5 | 4GB | 128GB | $ 999 | |
8GB | 256GB | $ 1299 | ||
Intel Core i7 6650U | 8GB | 256GB | $ 1599 | |
16GB | 512GB | $ 2199 | ||
16GB | 1TB | $ 2699 |
※米国ではCore i7モデルの販売は終了しているので、表にまとめず。
同じ性能のSurface Pro 4とNew Surfaceを比較すれば、明らかにNewの方が高いと分かる。しかも、Pro 4はペン同封が当たり前だがNew版では例外なくペンが同封されていない。ペンを使う前提の場合、New版だと更に100ドル程度コストが高くなるためSurface Pro 4と比べるとコストパフォーマンスはだいぶ悪い。
日本価格も当然、確認しておく
Surface | CPU | RAM | SSD | 価格 |
---|---|---|---|---|
Pro 4 | Intel Core m3 | 4GB | 128GB | 103464円 |
Intel Core i5 | 120744円 | |||
8GB | 256GB | 142344円 | ||
Intel Core i7 | 174744円 | |||
16GB | 196344円 | |||
512GB | 239544円 | |||
1TB | 293544円 | |||
New | Intel Core m3 | 4GB | 128GB | 114264円 |
Intel Core i5 | 136944円 | |||
8GB | 256GB | 158544円 | ||
Intel Core i7 | 206064円 | |||
16GB | 512GB | 280584円 | ||
1TB | 341064円 |
※2017年5月現在、日本マイクロソフトの公式サイトより確認した価格表です。
円安などの影響で大幅に見た目の価格は上がってしまう。同じCore i7モデルでも、Pro 4とNewで約5万円もの価格差があり、ペンが同封されていないことを考えれば価格差は6万円にもなる。
すでにSurface Pro 4を持っている人
この場合はあえてNew版を購入する必要は無いと言える。
今回のNew版で目立って変化したポイントはCPU/iGPUの性能と、傾けられる角度が15度増えたくらい。処理性能の伸び幅は約20%程度であり、対する価格差がハイエンドモデルになるほど開いていく。
既に持っている場合は、処理性能の伸び以外に欲しいと思えるポイントを見いだせなければ、New版を購入する必要は無いだろう。15度増えた角度に、9時間から13.5時間へ増えたバッテリー時間。この点と価格差を許せるかどうか。
まだ持っていない、あるいはCore m3モデルを持っている人
既にSurface Pro 4のCore m3モデルなどを使っていて、処理性能に不満があるなら乗り換える価値は大きい。SkylakeとKabylakeでは確実に性能差があるし、上位CPUになればなるほど性能の差がある。まだ持っていない場合も同様で、中長期的に考えて最新世代のCPUが積まれているNew版が良い。
まとめ

見た目で分かる変化は非常に少なく、既にSurface Pro 4などを持っている人が「乗り換えたい」と思うほど強烈な変化は見られない。
- アルカンターラが使われた独特の質感を持ったキーボード
- CPU性能は約20%程度アップ
- 内蔵GPU性能は約10%程度アップ
- Surface Studioのように、最大165度まで傾斜をつけられる
大きな変化は主にこの4点です。新しく買うのであれば十分なメリットですが、Pro 4所持者から見れば…更に高い金額を払ってまで手に入れようと思うかどうかは難しいところ。アルカンターラデザインは確かに美しいですが…。
アルカンターラを採用しているもう一つのモバイルマシンには「Surface Laptop」という製品もあるため、アルカンターラ目的で買うならそちらの方が欲しい。クラムシェルなのでコストパフォーマンスも良いですし。
以上、「New Surface Pro」は「Surface Pro 4」と何が違うのか、徹底まとめ…でした。
ノートパソコン関連記事
本体重量が1000g以下の、超軽量なノートパソコンや2in1を10品まとめた記事。
途中でベゼル幅が狭いという話で引き合いに出した「Matebook」の最新モデルについて、簡単に紹介した記事。
参考ページ
- New Surface Pro – Microsoft
- Surface Pro 4 – Microsoft
- Surface Dial – Microsoft
- Surface Pro (5th generation) – Wikipedia
アーカンタイルではなくアルカンターラです
アルカンターラのSignature Type coverはSurface pro4でも用意されていました。変わった点は、カラーバリエーションが増えたことですね。
USB 3.1 と USB Type-C を混同されているようですが、違うものです。例えばコネクタが Type-C だからといって USB 3.1 に対応しているとは限りません。