前回の「GKF1060GF」のレビューで、ノートPCでもフルHDゲーミングは出来ることが分かった。次はドスパラのゲーミングノートで最上位に位置する「ゲームマスターNX」ならどこまで動かせるのか試してみたい。
ゲームマスターNXの性能、温度、エアフローまで詳しくレビューする。
さっそく「GAMEMASTER NX」をレビュー

- ノートPC向けCPUではほぼ最上位の「Core i7 7700HQ」
- フルHD画質なんて余裕でこなす(はずの)「GTX 1070」搭載
- 標準カスタマイズで16GBメモリー搭載
- モニターは「G-SYNC」対応 & 最大120Hz駆動
ガレリア「GAMEMASTER NX」は、ドスパラが販売しているゲーミングノートPCでは2017年11月時点で最上位に位置する超ハイエンドなマシン。
グラフィックボードにはフルHDやWQHD画質を軽くこなせる「GTX 1070」が搭載されていて、CPUは一般的なノートPC向けCPUよりはるかに性能が良い「Core i7 7700HQ」が使われています。
スペックの割には少し価格が高いのですが、理由はモニターが「ゲーミングモニター」だからです。テアリングやスタッタリングを防げる「G-SYNC」に対応しているし、リフレッシュレートも最大120Hzで動作する。
GTX 1070の場合、平均60fpsはあまりに簡単に出せるため普通のモニターだと無駄が多い。だから最大120Hzのモニターを採用しているのだろう。
さてさてカタログスペックだけでも圧倒的だが、実際はどうなのか…。レビュー内容は以下の通りです。「長い」と思ったら、読みたい場所をクリックして飛んでください。
この記事の目次
基本的には「ゲーミング性能」「温度」「エアフロー」の3つを見ておけば大丈夫。エンコードなど、別の用途を考えている人は「CPU性能」もどうぞ。
開封 & 付属品のチェック

ゲームマスターNXの箱は薄くて広い。

開封するとガイドブックが。その下にガッツリと梱包されたゲームマスターNXの本体が収められています。

ディスプレイ部分は布でしっかりとカバー。

付属品は4点。
- 電源アダプタ
- 電源コード
- 説明書 & 各種ドライバーディスク
- ゲームマスター専用ガイドブック
普通のガレリアと違って、ゲームマスター専用のガイドブックが入っているのが大きな違い。

ガイドブックにはこんな感じで、40種のゲームで特典アイテムがもらえるシリアルコードが入っている。さすがに最上位、プレミアムな仕様だ。

電源アダプタはビビるくらい巨大。手前がGKF1060GF用のアダプタで、奥がゲームマスターNX用です。出力が230W(19.5V * 11.8A)もあるからね…デカイのは仕方ない。
外観プレビュー
ノートパソコンにおいて「外観」(見た目)は重要なポイント。デザインそれ自体が性能に関わってくるからです。あとは、所有欲にも関わってくるかな。

表面はマットな質感で統一されています。たとえが難しいけれど、炭素で出来た強化繊維製みたいな感じ。バットマン(ダークナイト)がつけてる鎧の表面のような。

ディスプレイは最大で185°まで開く。GKF1060GFは140°までだったのでそのくらいと思ってたが、185°まで開くとは意外でした。

左側のIOポートは全部で6個。
- USB 3.0
- USB 3.0
- USB 3.0
- USB 3.0
- ヘッドホン入出力
- SDカードリーダー
秒間5GBpsで転送できるUSB 3.0が4つ。3.5mmプラグは4種類備え付けられているから、ゲーミングヘッドセットなども問題なく使えますね。

右側のIOポートは全部で2個。
- DVDドライブ
- USB 3.0
- USB 3.0
右側にUSB 3.0がちゃんとあります。

背面にはGKF1060GFより更に80%は大きな巨大排熱ファンが2つ。背面からバシュッとケース内の熱を排気するのがよく分かります。実際にどのような冷え方 & エアフローなのかは後ほど。
そしてまたIOポートが5つも出現。内容は…
- Mini-DisplayPort
- USB3.1 Type-C
- HDMI
- LANポート(Killer製)
- 電源
USB端子はこれで7個。十分な量ですね。Mini-DPやHDMI端子もあるので、やろうと思えばデュアルディスプレイ環境なども構築可能だ。
ちなみにLANポートはよくあるRealtek製やIntel製ではなく、ゲーミング向けに製造されているKiller製。専用アプリからソフトごとにパケットの優先順位を設定できるのがメリット。

前面はこんな感じで、吸気ファンは無し。

ちなみにフタを閉じている状態だと、かなり分厚くてマウスと同じくらいの高さになる。

ひっくり返して底面を。うっすらとメモリモジュールなど内部のパーツが見える。各種パーツを冷却するのための大型ヒートパイプ(銅製)も確認できますね

キーボードはやっぱり詰め込み気味。ゲームマスターNXは17.3型なので横幅が広い。だからここは無理に詰め込まずに作ってほしかった。キーの配置が普通のキーボードとは違うので、慣れるまではかなりややこしい。
特にWindowsキーが右にしか無いのは不便ですし、矢印キーもテンキー側にズレ込んでいるためShiftキーを押し間違えが連発だった。
押し心地はパンタグラフ式らしい、ストロークが浅くて微妙に反発力がややある感じ。カチャカチャと激しくキー操作をする人にとっては疲れやすいかもしれない。

キーの大きさは約15mmで、キーピッチは18.5mmだった。なるほど、使われているキーボードはおそらくGKF1060などと全く同じモノということですね。

タッチパネルの幅は111.3mm、奥行きは88.8mmと更に広くなっている。ボタンはちゃんと分離式。段差が一切なくシームレスなデザインになったのが大きな違いです。
デジタルノギスで実測 | |
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タッチパネルの寸法、キーの大きさとキーピッチはデジタルノギスを使って実測しています。

キーボードの左側に電源ボタンが配置されていて、その下に4つもボタンが…実際に押してみると以下のような機能だった。
- 電源ボタン
- ディスプレイ消灯
- ファンモード切り替え
- P2(アプリ起動)
- キーボードLEDの切り替え
P2ボタンはソフトの起動をショートカットできるキー。よく使うソフトを登録しておけば、そのキーを押すだけで起動してくれます。
ファンモードはバランス重視と強制的に排熱する2種類。強制排熱モードだと若干フレームレートが上がるけれど、その一方でファンの音も「騒音級」に様変わりするので注意。

LEDの切り替えボタンは、この光るキーボードの光量を調整できる。3~4回押すと完全に消えるので、まぶしいキーボードが困る人は切り替えボタンを押そう。

ゲームマスターNXの内蔵スピーカーは非常に大きい。高品質なオンボードサウンドの効果もあり、4000円クラスのスピーカー並みの音質が出てくる。内蔵にしては中々のモノです。
しかし、ゲーミングにおいては当然ヘッドセットやイヤホンには敵わない。

右側のCtrlキーの直下に内蔵デバイスのシールが2つ。あれれ、NVIDIAのシールが無いと思ったら底面に貼ってありました。
重量は4.0kgオーバー…

ゲームマスターNXの本体重量はなんと3.8kgもある。とてもじゃないが持ち歩いて外で遊ぶようなノートパソコンではない。完全に省スペース型のゲーミングマシンです。

電源アダプタも821gと、1kg近い重量がある。本体と合わせて4.6kg(コカ・コーラ3本分)の重量がありますから、家で使うのが正しい使い方かも…。
ゲームマスターNXの性能を検証

性能検証は電源ケーブルに接続した状態で行う。バッテリモードでは出せる性能が40~50%程度に落ち込んでしまうので、ハイエンドマシンを手にした意味なくなってしまいます。
体感上の使い心地、レスポンスの良さ

4Kの映像を再生しながら、MMORPG「黒い砂漠」を最高仕様βモードで動かしてみたが、ほぼ問題なく動作し続けた。処理がガタガタと落ち込むこともなく、快適なマルチタスクが可能。
レスポンスも「i7 7700HQ」らしく非常にキビキビとしています。エクスプローラーはすぐに開くし、他のアプリケーションへの切り替えも素早い。使い心地に不満は全く無かったということ。
ゲームマスターNXはどれくらいゲームを動かせるか

ゲーミングノートPCはかなりお高いマシンですし、パーツの交換も出来ない(グラボを上位品に変えるなど)ため「一発勝負」な一面が強い。

と思うのが自然だから、ゲームマスターNXが人気ゲームや最新タイトルを実際にどれくらい動かせるのか。主要ベンチマークと12個のゲームタイトルで徹底検証しておいた。
3DMark
グラフィックボードの定番ベンチマークとなった「3DMark」を使って、グラボの基本性能をチェック。
FireStrike

DX11で動作する、割りと負荷が軽いFireStrikeでは12866点と出ました。ノートPCでありながら上位20%に食い込む性能を記録。
TimeSpy

DX12で動作する重たい方の「Time Spy」も実行してみた。スコアは5151点で上位51%…このスコアでも平均に位置するとは。上位が強すぎるんですよ…。
FINAL FANTASY XIV : 紅蓮のリベレーター

最高品質、フルHDで実行。12929点で圧倒的に快適です。
BIO HAZARD 6

2014年のベンチマーク。古いゲームですし、余裕。
PHANTASY STAR ONLINE 2

最高設定6のPSO2も余裕。
モンスターハンターフロンティア

MHFは30862点で余裕のスコア。似たような構成のガレリアXFと比較すると5000点ほど少ないが、主にCPU性能の違いが原因です。デスクトップ版Core i7には敵いません。
Unigine Heaven

日本ではあまり知られていない、グラボ向けのベンチマークソフト。非常に細かく、作り込まれた世界観が特徴です。そのため、FF14やPSO2の公式ベンチマークなどと比較すると「やや重め」なのもメリット。
- プリセット:カスタム
- API:DirectX11
- 品質:ウルトラ
- テセレーション:エクストリーム
- アンチエイリアス:8倍
- 解像度:フルスクリーン & フルHD
要するに「最高設定」で実行しました。

それなりに重たいベンチマークですが、平均77.5fpsで完走。ノートPCとしては非常に高性能な水準だ。
SteamVR

Steamで無料配布されている「VRゲーミングが出来るか」を検証するベンチマーク。結果は最高まで「レディ」で、大抵のVRゲーミングは問題なくこなせると思います。
さて主要ベンチマークはこれで終わり、次は実際にゲームが動くかを12個のタイトルで確認していく。
CS:GO

Steamにおけるアクティブユーザー数が依然として50万人を超えることもある、人気MOTPS「CS:GO」にて検証。画質は可能な限り「最高設定」にしています。

結果は平均175fpsでした。60fpsどころか、100fpsすら全く割り込まない超快適な環境。ゲームマスターNXのG-SYNC & 120Hz動作のゲーミングモニターも無駄なく活用できています。
Rainbow Six Siege

MOTPSではSteamにて3番目くらいに人気のある「R6S」も当然検証した。グラフィック設定は総合品質から「最高」にし、テロハント(ソロ)を1ゲーム実行してフレームレートを計測。

結果はこの通り、平均93fpsで動作しているので問題ない。120Hzには遠いですが、実プレイでは十分にその効果を体感できています。やっぱり60fps超えのヌルヌル映像はすごい…。
PUBG(PlayerUnknown’s BattleGrounds)

アクティブユーザー数が200万人を超えた、Steamで最強の人気を誇る「PUBG」。絶対に検証しておかないとダメなゲームですね、これは…。
設定は3通りのプリセットで実行。
- 「ウルトラ」
- 「中間」
- 「非常に低い」
PUBGは人によって、画質を追求するか、画質を落としてでもフレームレートを追求するのか。2派に分かれるので画質を分けてフレームレートを測っておく必要がある。

結果はこんな感じで、グラフィック設定によって大きくフレームレートが変動します。今回の計測では平均フレームレートは以下の通りに。
- ウルトラ設定:平均57.6fps
- 中間設定:平均86.2fps
- 最低設定:平均88.7fps
GTX 1060搭載のGKF1060GFでは、最低設定に落としても平均60fpsに達しなかったが。ゲームマスターNXは中間設定まで問題なく60fpsをクリアし、ウルトラ設定にしても60fpsに迫っている。
ベンチマークデータ(= PUBGにオススメのノートPCまとめ)と、だいたい同じパフォーマンスを出せているので非常に優秀と言えます。
序盤で言ったように、たとえスペックが揃っていてもノートPC本体の設計や構造によって本来出るべき性能が出なかったりする。ゲームマスターNXは理論値どおりの性能を9割ほど出せたので、さすが値段が高いだけのことはある。
PUBGをゲーミングノートPCでプレイするつもりなら、ゲームマスターNXがもっともベストな選択肢と言って良いかも。
黒い砂漠

2017年、MMORPGというジャンルでもっとも国際的な高い評価と成功を遂げた「黒い砂漠」。日本でもかなり人気のあるタイトルなので検証してきた。
中間設定 | 最高設定 | 最高仕様β |
---|---|---|
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3種類の画質設定で検証した。もちろんゲーム側の省電力モードはOFFにしています。

- 最高仕様β:平均68.0fps
- 最高設定:平均92.6fps
- 中間設定:平均106.2fps
カルフェオン(都市)とハイデル(都市)を巡回させて計測。結果…驚くほど安定した動作を提供できており、全ての画質で平均60fpsオーバーを実現できました。
なお、フレームレートが20~30fpsまで落ち込んでいる部分がありますが、これはゲームの仕様と思っていい。人がたくさんいる場所では、この急落現象が発生してしまう。
画質設定を落としてもその傾向が全く変わっていないことから分かるかと。
BLESS Online

2017年11月にオープンサービスが始まった新作MMORPG「BLESS」も一応計測してみました。

「永遠の安息所」という読み込むオブジェクトが少ないマップでは、安定したフレームレートが出る。設定1(最低設定)でも、設定5(最高設定)でも、ほとんど大差ない。

しかし、読み込みオブジェクトが多いマップに出ると一気にフレームレートが低下してしまう。BLESSは2017年のゲームでありながら、今時めずらしいDX9ベースで動くゲーム。
BLESSのグラフィックは圧倒的に美しいわけではないので、GTX 1070を持ってしてもこの程度しか出ないのは納得が行かないな…明らかにゲーム側の最適化不足です。
Witcher 3 : Wild Hunt

それなりに重たいが、気づけばもう2015年のゲームだから2年前のタイトルになる。NVIDIA HairWorksを有効にして「最高設定」でフレームレートを計測してみた。

HairWorksを入れても平均60fps超えとは、予想以上の優秀さだ。落ちても60fpsを守っているので十分な性能ですね。
Fallout 4

未だに根強い人気があるベストセラータイトル。2015年発売のタイトルです。設定を一括で「ウルトラ」にしてフレームレートを計測してきました。

放置するとスクリーンセーバーが始まるので、その状態で計測したらこんな感じ。落ちても60fpsで、平均フレームレートは95fpsと余裕すぎる結果だ。
Nier : Automata

グラフィック品質の割には非常に重たいと有名な、PC版「Nier : Automata」も試しておいた。グラフィック設定は当然、可能な範囲で「最高」にしている。

Nier : Automataは60fpsが上限なので、だいたい60fps振り切りの状態ですね。たまに40程度まで落ちるけれど、全体の1%にも満たないわずかな頻度です。
Rise of Tomb Raider

2016年に発売された、リブート版トゥームレイダーの最新作。DirectX12を有効化し、グラフィック設定は「規定:最高」にして計測しました。

極めて快適に動作し続けました。60fpsすら割れず、平均フレームレートは96fpsを記録。ゲーミングモニターも良い感じに機能します。
Grand Theft Auto V

広大なオープンワールドが舞台になっているクライムアクションゲームの超人気作「GTA V」。グラフィック設定のほぼ全ての項目を「超高」(ウルトラ)にしてフレームレートを計測した。

平均フレームレートは92fpsで動作。60fps以下は全く無く、非常に快適。
DOOM 2016

ホラーFPS「DOOM」シリーズの最新作。最高設定にすると驚くほど美麗なグラフィックですが、その割には非常に軽く動いてしまうのが特徴。

設定はほぼすべて「ウルトラ」で、平均フレームレートは140fps前後に落ち着いた。ゲームマスターNXのモニターは120Hzなの無駄なく活用できていることに。
マインクラフト

マインクラフトも検証する。バニラ状態(Optifineは導入済み)で、チャンク読み込み距離を32に設定してフレームレートを計測した。

シェーダーを入れていない状態なら描画距離32でも余裕の動作。KUDAを入れると全体的に重たくなるが、80~100fpsの範囲で動いているので十分に快適です。
CPU性能とベンチマーク
ゲーミングPCは「大は小を兼ねる」の代表例。だから、「ゲーミングマシンを使うけれどゲーム以外の用途を想定しているよ」という人向けに、CPU性能もまとめておきました。
Cinebench R15

CPUのレンダリング性能を測るCinebench R15のスコアはこの通り。
- シングルスレッド性能:153 cb
- マルチスレッド性能:735 cb
4コア / 8スレッドで動作する「i7 7700HQ」の性能は圧倒的だ。ノートPCでシングルが150点、マルチが700点オーバーならほぼ最強クラスの性能です(2017/11時点)。
CPU-Z

CPU-Zに付属するベンチマークも測ってみた。
- シングルスレッド性能:385.8
- マルチスレッド性能:2051.4
デスクトップ向けのCore i5とだいたい同じくらいのスコアを叩き出せた。
Geekbench

有名なマルチプラットフォーム対応のベンチマーク「Geekbench v4.1」ではこんな感じ。
- シングルスレッド性能:4585
- マルチスレッド性能:14809
これは以前レビューした「ガレリアDT」のCore i5 7500よりも7~8%ほど高いスコアが出ています。
PCMark 8
「PCMark 8」はパソコンとしての総合的な性能をスコアに出来るベンチマーク。ゲームだけでなく、普通の作業もちゃんとこなせるかどうかを検証可能。
Home

「Home」モードでは、文章作成・軽いゲーム・ビデオチャット・写真編集などを行った場合のパフォーマンスをスコア化してくれる。結果は4924点で、上位9%に食い込む。
一般的なノートPCだけでなく、平均的なデスクトップPCすらも押しのけて上位9%。
Creative

「Creative」モードは、複数のWeb閲覧・4K画質の映像編集・グループ会話などを行った場合のパフォーマンスをスコア化する。結果は7751点。

上位5%の性能だった。ノートPCの平均点が3847点なので、その2倍にあたる圧倒的に高いスコアということ。
Work

「Work」モードは主に文書作成と表計算のパフォーマンスをスコア化する。結果は5295点で、上位7%の水準。
というわけで、Home / Creative / Workの3つのモード全てで上位10%入りに成功している。普通に使うには十分すぎてもったいないくらいだ。
x264 HandBrake

「HandBrake」という無料のエンコードソフトを使って検証。フルHD画質(1.03GB)の動画を「480p Low Quality」というモードを使ってエンコードを行わせました。
- 元ファイル:BD 1080p / HEVC / 1.03GB
- エンコード後:480p / x264 / 0.06GB
終了にかかった時間は201秒。処理スピードは48.28fps。この速度はガレリアDT(デスクトップ)だと41.06fpsより17%ほど速い。やはり8スレッドのi7は強いな…。
x265 HWBOT

「HWBOT x265 Benchmark」というソフトを使って、x265エンコードの速度も検証しておいた。結果は25.92fps。
なお、ガレリアDTだと22.85fpsだったから…13~15万くらいのデスクトップPCよりは高速なエンコードが出来ますね。
7-Zip Benchmark

無料解凍ソフト「7-Zip」に付属しているベンチマークで、圧縮と解凍のスピードを調べた。結果は21000MIPS前後になった。やはりデスクトップ向けのCore i5より速いです。

3GBのzipファイルの解凍は17秒ほどでクリアしたため、MIPS通りの速度です。20GBくらいのファイルまでなら、まったくストレスにならない速度だと思います。
Mozilla Kraken 1.1

Krakenはブラウザ上で動くベンチマークソフト。ウェブで多用されている「Javascript」の動作スピードを計測する。結果は1085.5msで思ったより遅い。i7 7700HQなら1000ms前後は出ると思ったが。
まぁ、実用上はこれでも全然足りているからそこまで問題じゃないけど。
ストレージ
ゲームマスターNXは標準カスタマイズで「SSD 250GB」と「HDD 1TB」の2種類ストレージが入っている。
- SSDは有名なCrucial製
- HDDはもっとも頑丈で知られるHGST製
両方とも安心できるメーカーのストレージです。ちなみに今回搭載されているCrucialのSSDは「M.2スロット接続」なので、チューインガムくらいの小ささしかありません。
一般的なSATA接続のSSDより割高になりますが、PC内部の空間を少しでも広く開けて冷却性能を高めるのが狙いなら、それなりに合理的な選択肢です。
SSD情報 | ![]() | ![]() |
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ベンチマーク | ![]() | ![]() |
SSDの読み書き速度はこの通り。シーケンシャルリード(読み込み)が527.6Mb/sで、シーケンシャルライト(書き込み)は489.9Mb/sなので、実用上は十分に快適なスピード。
HDDは読み書きともに95.85Mb/sと最近のHDDではかなり遅い。HDDにゲームを入れると体感でわかるほどロード時間が遅くなってしまうので、なるべくゲームはSSDに入れたいところです。

SSD(Windows C:)に入り切らず、HDD側(ローカルディスク D:)に入れている様子。
そうは言っても…。見ての通り、5本の主要ベンチマークに、12本のゲームを入れれば250GBくらいの空き容量は簡単に使い切ります。
- プレイする予定のゲームは2~3本で固定:250GBのままでOK
- 最新ゲームにも割りと手を出すし、5本以上はプレイする:500~1000GBへカスタマイズした方がいい
ということ。
エアフロー
サーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使って、ゲームマスターNX本体(高負荷時)の表面温度やエアフローを確認する。

ゲーム中によく使うキーまでは温度があまり伝わっていない。もっとも熱い部分はディスプレイ下部で41度くらい。表面温度はかなりおとなしいと言える。

エアフロー(排熱)はこんな感じで、裏側の巨大排熱ファンから吹き飛ばしています。なお、この熱風は最大で60度に達することもあったから、物の配置には注意ですね。

底面の表面温度はこんな感じで、熱は中央ではなく奥に偏っているのが特徴的。熱風が出ている周辺だけで熱く、それ以外はそれほど熱くなっていない。
つまりゲームマスターNXは、分厚くなった分だけ冷却性能が飛躍的に上がっているということです。これなら膝置きもできそうだが…3.8kgは重すぎるよね。
温度
エアフローからは確実に冷えていそうだと思いますが、実際はどうなのか。PUBGを実行中にCPUとGPUの温度と、それぞれの動作クロックを計測しておいた。

CPU温度は平均75度でかなり抑えています。最大でも79度なのでCPUの冷却性能はノートPCとしては十分安全な水準に達している。

GPU温度は平均82度。グラフィックボードの場合は常時85~90度以上で動いていると怖いので、その一歩手前で抑えられているのは中々の性能だね。
というわけでゲームマスターNXは非常によく出来ていると思う。ぼくが持っているAcerのゲーミングノート(Aspire)は負荷を掛けたまま放置すると、朝には落ちていたが…。

熱がほとんどこもらず、排熱ファンからガシガシ熱を効率よく吐き出せている。
このマシンは3日ほどつけっぱなし(ゲームで放置 + Youtube)にしても、熱暴走は一切なく微動だにしなかった。マシン全体を適切に冷やせているということだ。
騒音と静音性

静音性もGKF1060GFと比較すれば、大幅に改善している。ノートPC前で「49.2dBA」は、他のゲーミングデスクトップより若干大きいくらいの音で、騒音からはほど遠い。
かといって静音というわけもないですけど。排気ファン周辺だと「59.5dBA」で、これはGKF1060より10dBAも静か。まぁ…60近くになるとさすがに気になる音ですね。
というわけで、内蔵スピーカーの音を邪魔するほど大きい音ではないけれど、集中してゲーミング(特にFPS系)をするならヘッドセットを使ったほうが良い。
その他、細かい機能について
自由に調節可能なキーボードLED

付属アプリの「Keyboard LED Manager」を使って、キーボードのLEDを自由に設定できる。
キーボードのLEDは自由に設定可能 | ||
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単に光るだけでなく、波のように波打つ光り方や消灯と点灯をゆっくりと繰り返すパターンなど、機能は豊富。なお常にLEDを消したい時はFNと+を押せば明るさを変えられます。
4回ほど押せばLEDは完全に消える。もとに戻す時は–を押せば明るさを上げられる。

なお、ゲームマスターNXの場合はキーボード左側に配置されている5番目のボタンでも、キーボードLEDの明るさを調節可能。
ゲーミング仕様の「Killer」製LAN
Killer Control Center | ||
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ゲームマスターNXには「Killer E2500」というゲーミング仕様のLANポートが装備されている。付属アプリの「Killer Control Center」を使うことで、ソフト別にパケットの優先度を設定可能だ。
回線が混んでいてオンラインゲームの遅延が気になる場合は、ここからそのゲームの優先度を最高に設定して改善を狙えます。
Sound BLASTER CINEMA 3と「音質」
ゲームマスターNXのオンボードの音質が非常に良いと感じた。JBLの6000円ほどのイヤホンを3.5mmプラグに接続し、実際に黒い砂漠で試してみると…。
馬車の足音などでその差が顕著にわかります。足音の響き方が異様にリアルで、風の音など環境音も非常に現実的でいい感じ。同じイヤホンなのに1万円くらいの上位品に入れ替えたかのような錯覚を覚えるくらいだ。
iPodのサウンドチップはやっぱりしょぼいのかな、普段と全然音質が違うよ、このノートPCの出力だとね。
これは別途DACを経由するデバイスやUSB接続のヘッドセットではその音質を体感するのは難しいが、そうではないヘッドセットやイヤホンをつなぐ場合はかなり大きな優位性だと思う。
Sound BLASTER CINEMA 3 | ||
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付属ソフトのSound BLASTER CINEMA 3のサウンド設定から、音の調整がいろいろと出来るのでさらにいい感じに調整可能。
例えばサラウンドをいじれば音の響きが立体的かつ距離感のある音に変化するので、FPS / TPS系のゲームなら足音の距離感を聞き取るうえで有利だし、黒い砂漠のようなMMORPGではもっとリアリティな音を出力可能になるよ。
個人的な感想ですが、特にサラウンド設定はもっとも体感できる効果が大きいのでゲームの音にリアリティを求めたいならオススメ。
「GAMEMASTER NX」評価まとめ

RANK:A
- AAAタイトル含め、ほとんどのゲームで平均60fpsを出せる
- 重量級ゲーム + ある程度のWeb閲覧と動画視聴をこなせるマルチタスク性能
- ノートPCは「一発勝負」これは最も失敗しない選択肢になる
- 最大120Hz & G-SYNC搭載のモニターは明らかに快適
- 下位モデルよりずっと優れた冷却性能
- ゲーム中の動作音は「静音」とは言えない
- 本体 + 電源で合計4.6kg
- キー配置は明らかに「慣れ」が必要(Winキーは左にも欲しい)
ドスパラのゲーミングノートマシンでは今のところ(2017/11)「最上位」のマシンです。i7 7700HQとGTX 1070の組み合わせにより、その辺のデスクトップPCを遥かに凌駕する性能を発揮できる。
ケース(筐体)が普通のモデルより分厚くなり、発熱がそれなりにあるGTX 1070を平均82度・i7 7700HQは平均75度まで抑えているのは強み。最近のパーツは熱で壊れづらくなったとはいえ、冷えてる方が安心はできます。
そして熱が高すぎると理論値と実際のパフォーマンスに乖離が出てしまう原因にもなる。実際、GKF1060GFは妙に性能が出づらい部分があったが、ゲームマスターNXはデスクトップ版の90%に迫る性能を発揮可能。
更にゲームマスターNXがゲーマーにとって嬉しいのは、モニターの質がかなり高いということ。安価なモニターは微妙な色差を表現できなかったりするが、NXのモニターは全体が白いこともなく再現度が高め。
それに加えてGTX 1070という高性能GPUに見合った「最大120Hz駆動」と、早すぎるフレームレートで頻発するテアリングをかなりの精度で防げる「G-SYNC」を搭載している点も見逃せない大きなメリット。
60Hz駆動かつG-SYNCもないGKF1060GFと比較すると、体感で分かるほどの違いがあった。テアリングの有無は比べて初めて、実感しやすくなる。G-SYNCはたしかに優れた没入感とリアリティを提供してくれる。
- 確実にフルHDゲーミングで平均60fps以上を出したい
- せっかく60fps以上出るんだから、ゲーミングモニターを使いたい
というわけで、ゲーミングノートに確実な性能を求めたいならゲームマスターNXはオススメ。
GALLERIA GAMEMASTER NXの詳細を見てみる
以上「ガレリアゲームマスターNXを徹底レビュー / 最上位モデルの実力」についてでした。
そこまで重くて家でしか使わないなら、もう普通のデスクトップでいいじゃんw
外に持ち出しできない段階で、ノートの選択肢はないかな
部屋が狭すぎるところに住んでる人が、そんな贅沢なノートPCを買うとは思えない。
意外なことに、ハイエンドなゲーミングノートは不思議と需要があるんですよね。
・出先で使いたいという人は確実にいる
・部屋にスペースがあっても省スペースにこだわりたい
・動かそうと思えば簡単に場所を変えられる
経済的合理性を考えれば、ゲーミング用途には明らかにデスクトップ版のほうがコスパは良い。しかし、それを理解した上でも上記のメリットに魅力を感じる人は一定数いる。というのが今のところ分かっている現実ですね。