DeepCoolの240 mmサイズ簡易水冷ユニット「CASTLE 240EX」をレビューします。ラジエーターのフィンに銅ではなく放熱性に優れたアルミニウムを採用し、静圧の強い付属ファンを搭載するなど、かなり冷却重視な簡易水冷ユニットです。
冷却性能や静音性を詳しく検証レビューです。
この記事の目次
Castle 240EXの仕様とスペック
CASTLE 240EXの仕様 | |
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対応ソケット |
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ラジエーター | 282 x 120 x 27 mm240 mmサイズ / フィンはアルミニウム製 |
チューブ全長 | 310 mm |
水冷ポンプ | 2500 rpm(±10%) |
付属ファンDeepCool TF120S(x2) |
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LEDライティング |
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保証 | 3年 |
参考価格 | 13980 円 |
「CASTLE 240EX」はDeepCoolの簡易水冷ブランドの中では、LEDライティングといったデザイン性だけでなく、冷却性能にも力を入れたCPUクーラーです。
CASTLE 240EXの特徴※クリックで画像拡大 |
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スペック上はNoctua製の高級ケースファンと互角レベルの「静圧」を持った、高性能な付属ファン。放熱性を重視して、あえてアルミニウム製のフィンを使ったラジエーター。自社設計の独自水冷ポンプを採用。
銅製の受熱ベースプレートなどなど、限られたコストの中で可能な限り高い冷却性能を発揮できるよう、工夫がこらされた簡易水冷ユニットです。
個人的に、簡易水冷ユニットは280 mmサイズ以上じゃないと価格ほどの冷却性能は得られない。と思っていますが、CASTLE 240EXは小柄な240 mmサイズでどこまでの冷却性能を発揮できるのか検証です。
Castle 240EXを開封レビュー
パッケージングと付属品

ミントグリーンな背景に、真っ黒なCASTLE 240EXが目立つデザインのパッケージングです。

反対側にCASTLE 240EXのスペックや特徴、各パーツの寸法について記載されています。

底面からめくり上げて開封するタイプの梱包です。部品や付属品が、型抜きされたパルプモールドの梱包材で保護されています。

水冷ユニット本体と、付属品と冷却ファンなどが入った3つの箱に、それぞれ別々に分割してまとめられています。
ほとんどすべてのプラットフォームに対応するため、付属品が大量です。取り付けるCPUソケットによって、必要な付属品が違うので詳しくは説明書を読みながら確認してください。
- CASTLE 240EXの製品マニュアル(PDF形式)
公式サイトにあるPDF形式のマニュアルも用意されています。図解で分かりやすく解説されていて、非常に分かりやすい説明書です。
なお、説明書だけだと少し分かりにくい付属品があったので、補足しておきます。

SATAコネクタが伸びているコントローラは、マザーボード側にARGBピンヘッダがない場合に、LEDライティングを使いたい人向けのコントローラです。コントローラのボタン操作で、LEDを制御します。

マザーボード側にARGBピンヘッダがあるなら、こちらのARGBコネクタを使います。2種類のコネクタがあり、シールで分かりやすく対応しているマザーボードについて記載されています。
Gigabyteだけ特殊な端子を使っていて、ASRockなどほとんどのメーカーは3ピンタイプのARGBコネクタです。

ファン分岐コネクタは、2つあるラジエーターファンをまとめて接続するのに役立ちます。マザーボード上のファンヘッダを節約できるので、特に理由がないなら必ず使います。

謎の円盤は「水冷ヘッドの交換用アクセサリ」です。CASTLE 240EXは、水冷ヘッドのデザインをカスタマイズできる構造があり、付属のアクセサリに交換して水冷ヘッドの見た目を変更できる、というギミックです。
本体デザインと付属ファン

ラジエーターは240 mmサイズです。寸法は全長282 mm、横幅120 mm、厚み27 mmで簡易水冷ユニットの240 mmラジエーターとしてごく標準的な大きさです。
水冷チューブのすぐそばにあるキャップは、クーラント(冷却液)を補充するための穴になってます。

放熱性に大きく影響するラジエーターの「フィン」は、アルミニウム製です。

フィンの密度はかなり詰まっているように見え、冷却性能を効率よく稼げるデザインに見えます。ただし、密度が高いほど冷却ファンの静圧が必要になるので、交換する際は相応のファンが必要です。

CASTLE 240EXに付属する冷却ファンは「TF 120S」です。静圧は2.33 mmH2Oあり、1個3000円の高級ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」の2.34 mmH2Oに匹敵するスペックを誇ります。
静音性はともかく、冷却そのものに必要な性能は付属ファンで問題なく確保できています。

水冷ヘッドの表面は、周囲が映り込むほどグレア加工された、ガラスデザインのヘッドがはめ込まれています。

受熱ベースプレートは「銅製」です。鏡面仕上げが施され、熱の回収効率は良好そう。グリスは塗布済みですので、塗替えが面倒ならそのままでもOK。
水冷ヘッドのロゴ変更

CASTLE 240EXの水冷ヘッドは、左右に回すだけで簡単に取り外し可能な設計です。

取り外して、内部に入ってる「ロゴアクセサリ」を90°単位で角度変更すれば、ラジエーターの位置を問わずロゴの向きを正面に合わせられます。

付属品の交換用アクセサリに取り替えれば、ロゴなしに変更もできます。ロゴなしのアクセサリに、自分でデザインを描き込んでオリジナルデザインにすることだって可能です。
取り付け方法を解説

LGA 1151ソケットのマザーボードに「CASTLE 240EX」を取り付ける手順を、写真で詳しく解説します。

ラジエーターに、付属ファン2つを固定します。

ファンの軸部分にロゴがある方が吸気側になるので、向きに気をつけてラジエーターに固定すること。

付属の「長ネジ」を使ってラジエーターに取り付けました。

インテル用バックプレートに、バックプレート用の長ネジを取り付けていく。バックプレートはインテル・AMD兼用になっているので、挿し込む穴を間違えないように注意してください。

長ネジを挿し込み、付属のスペーサーで挟み込んで固定です。

インテル用のバックプレートが完成しました。

次は水冷ヘッドに、インテル用リテンションブラケットを取り付けます。

水冷チューブの位置、リテンションブラケットの向きに気をつけて、付属の小ネジで4箇所を固定します。

マザーボード裏面から、組み立てたインテル用バックプレートを4箇所の穴に合わせて、挿し込む。

長ネジが飛び出すので、ネジに合わせて水冷ヘッドを合わせます。

リテンションブラケットと飛び出ている長ネジを、付属の固定用ネジで締めます。回らなくなるまで締まったら、水冷ヘッドの固定が完了です。

2つあるラジエーターファンのコネクタを、分岐ケーブルに接続します。

ARGBピンヘッダは、マザーボード上のARGBピンヘッダに挿し込み、水冷ヘッド側の3ピンコネクタを接続です。

ファン分岐ケーブルと、水冷ヘッドから伸びているファンコネクタ(3ピン)を、それぞれCPUファンヘッダに挿し込みます。

以上でCASTLE 240EXの取り付けは完了。特に難しい部分はなく、シンプルな取り付け方法です。
LEDライティングを試す
ASRock PolyChrome Syncにて、ARGBピンヘッダからCASTLE 240EXのLEDライティング(水冷ヘッド)を設定できました。固定カラーはもちろん、ブレッシングなど点灯パターンも問題なく動作します。

CASTLE 240EXの水冷ヘッドは、3層のインフィニティミラー感あるデザインになっていて非常に美しいです。
CASTLE 240EXの性能を検証レビュー

テスト環境「ちもろぐ専用ベンチ機」 | ||
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![]() | Core i9 9900K | |
![]() | DeepCool Castle 240EX | |
![]() | ASRock Z390 Phantom Gaming 6 | |
![]() | DDR4-2666 8GB x2 | |
![]() | RTX 2060 | |
![]() | SATA 500GB使用SSD「Samsung 860 EVO」 | |
![]() | 1200 W(80+ Platnium)使用モデル「Toughpower iRGB PLUS」 | |
![]() | Windows 10 Pro 64bit検証時のバージョンは「1903」 |
240 mmサイズの簡易水冷ユニットですから、相手にする熱源は200 Wを超える消費電力を叩き出せる「Core i9 9900K」です。第3世代Ryzenは、実は消費電力が驚くほど大人しいので、冷却の検証にはイマイチ。
やはり現世代のメインストリームCPUで一番ホットなのは「Core i9 9900K」。4.7 ~ 5.0 GHzまで4段階の手動オーバークロックを設定し、CASTLE 240EXがどこまで熱を抑えられるかを検証します。
負荷テストはBlenderやCinebenchではなく、実際の動画エンコードで行います。Handbrakeを使って、容量2.4 GBの動画ファイルを「Fast 720p30」でエンコードして、CPU温度や動作音を計測です。
標準ファンの静音性と回転数

PWM | ファン回転数 | 騒音値 |
---|---|---|
5 % | 533 | 35.7 dBA |
10 % | 533 | 34.7 dBA |
15 % | 533 | 36.7 dBA |
20 % | 533 | 36.2 dBA |
25 % | 543 | 35.7 dBA |
30 % | 680 | 35.7 dBA |
35 % | 752 | 35.9 dBA |
40 % | 844 | 36.1 dBA |
45 % | 948 | 36.6 dBA |
50 % | 1033 | 37.3 dBA |
55 % | 1126 | 38.9 dBA |
60 % | 1221 | 40.0 dBA |
65 % | 1285 | 40.9 dBA |
70 % | 1379 | 42.4 dBA |
75 % | 1443 | 43.8 dBA |
80 % | 1511 | 45.1 dBA |
85 % | 1591 | 46.6 dBA |
90 % | 1655 | 47.8 dBA |
95 % | 1728 | 49.2 dBA |
100 % | 1783 | 50.2 dBA |
ラジエーターファンから50 cmの距離に設置した校正済みの騒音ロガーで計測。検証PCは遠隔操作で動かし、本人のマウスやキーボードの音を排除しています。
静音性はそこそこです。ファン回転数が1200 rpmまでは、動作音が40 dBAを下回っているので「静か」と評価でき、1300 rpm以上は40 dBAを超えて50 dBAに達するため「うるさい」と評価します。
実際に使った場合のファン回転数は、マザーボード側のファン設定によって若干違いますが、今回の検証ではすぐに1700 rpmを超えていました。「ブーーンッ」とよく聞こえる風切り音が鳴りつづけ、静音とは言えない動作音です。
冷却性能:Core i9 9900Kは十分冷える

クロック | コア電圧 | 最大温度 | 平均温度 | 消費電力使用率100%の平均値 |
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4.7 GHz | 1.220 V | 76.0 ℃ | 67.1 ℃ | 161.8 W |
4.8 GHz | 1.240 V | 79.0 ℃ | 69.9 ℃ | 170.3 W |
4.9 GHz | 1.265 V | 82.0 ℃ | 73.3 ℃ | 181.5 W |
5.0 GHz | 1.300 V | 87.0 ℃ | 77.9 ℃ | 198.8 W |
冷却性能はものすごく優秀です。定格クロック(4.7 GHz)では、平均67℃、最大でも76℃にまでCPU温度を抑えていて、余裕の冷却性能を見せつけます。
4.7 GHz時はファン回転数が1580 rpm前後に落ち着いていて、動作音は46.0 dBA前後でした。これでも静かとは言えないですが、クロックをもう少し妥協すれば静音のまま冷やせる可能性は十分にあります。
4.8 GHz以上でもCASTLE 240EXは高い冷却性能を発揮し、5.0 GHzですらCPU温度は90℃に達しませんでした。CASTLE 240EXは価格に見合った、高いレベルの冷却性能です。
ただし、4.8 GHz超えではファン回転数が1750 rpm以上を推移し、動作音はかなり大きい状態です。静音性を重視するなら、付属ファンを交換するか、上位モデルの「CASTLE 360EX」を検討する必要があります。
冷却性能を比較※(Core i9 9900K @5.0 GHz)
過去にレビューしたCPUクーラーと、Core i9 9900K(5.0 GHz時)の冷却性能を比較してみた。さすが240 mmサイズの簡易水冷ユニットがフル回転してるだけあって、冷却性能はトップです。

※それぞれのCPUクーラーを検証した当時の「気温差(TΔ)」は調整済みです。
まとめ:LED対応で冷却性能もOKな水冷ユニット
「CASTLE 240EX」の微妙なとこ
- 60%以上の回転数では動作音が大きい
- 付属ファンはLED非対応
- 水冷チューブの長さは310 mm
- ポンプは2500 rpm固定
CASTLE 240EXの主な注意点は2つあります。
1つは水冷ヘッドから伸びているチューブの長さは、メジャーが計測すると31 cmでした。PCケース内部の取り回しによっては、たとえばトップではなくフロントに取り付ける場合などは、若干短い可能性あります。
次に気になったのがポンプ側の回転数。ラジエーターファンは500 ~ 1800 rpmの範囲でコントロール可能ですが、ポンプ側は2500 rpm固定です。
ぼくはポンプの動作音はまったく気にならないので良かったですが、他のファンにまぎれていてもポンプの音が気になる敏感な人は、別途ファンハブを使うなどして強引にポンプの回転数を変更する必要がありそうです。
「CASTLE 240EX」の良いところ
- 240 mmサイズで優秀な冷却性能
- 付属ファンはなかなか高性能
- カスタマイズ可能なロゴデザイン
- クーラント補充口を装備
- 55%以下の回転数なら静音動作
- ほとんどのソケットに対応する高い互換性
- 各社LEDライティング制御に対応
- 妥当なコストパフォーマンス
CASTLE 240EXの良いところは、なんと言っても240 mmサイズの割には「ちゃんと冷える」ことでしょう。消費電力が200 W近い爆熱なCore i9 9900Kを相手に、最大87℃(平均78℃)に抑えられるのは優秀です。
優秀な冷却性能と同時に、デザイン性も工夫されています。やや大きめの水冷ヘッドのデザインは好みが分かれそうですが、インフィニティミラー風のLEDデザインや、自分で調整できるロゴチップは良いデザインです。
ASRock PolyChrome Syncをはじめとした、マザーボード各社のRGB制御にも対応していて、自由度の高いデザイン性を楽しめます。おおむね価格に対するパフォーマンスは十分な水準で、妥当なコスパと言えます。
なお、動作音のうるささはファンの回転数を制御すれば抑えられます。試しにファンを55%上限に設定して、5 GHzのi9 9900Kを相手にしたところ、100%時と比較して温度差は1~2℃でした。
どうやら冷却性能のボトルネックはファンの回転数ではなく、ポンプ側の流量の可能性が高いです。自己責任ではありますが、静音性を重視するならファンを55%上限にするのも手段です。

以上「DeepCool Castle 240EXをレビュー:240 mmサイズだけどよく冷える」でした。
カタログスペックでの話だけど、過去の技術をベースに再出発したreduxシリーズ、 NF-P12 redux-1700 PWM にすら及ばないファンを持ち上げるのはどうかと思うが・・・
付属ファン DeepCool TF120S
回転数 : 500 ~ 1800 rpm(±10%)
動作音 : 32.1 dBA
風量 : 64.4 CFM
静圧 : 2.33 mmH2O
NF-P12 redux-1700 PWM
Rotational speed (+/- 10%) 1700 RPM
Min. rotational speed (PWM, +/-20%) 450 RPM
Airflow 120,2 m³/h -> 70.7cfm
Acoustical noise 25,1 dB(A)
Static pressure 2,83 mm H₂O
付属品をネジのみにして、あのボリ○スペックですら2000円切ってるし
比較グラフにて、ツインファンの風魔弐が虎徹に負けているのですが、本当に正しい結果になっていますか……?合っていたらすいません
それぞれのCPUクーラーを計測した時の気温が違うので、その差分を引き算した結果を掲載しています。ただ、風魔IIはなぜか見た目ほどには冷えないクーラーなんですよね。
ヒートシンク重量は755 gで、虎徹Mark IIより50%は重量があるにも関わらず、思ったほど効率よく冷やせません。
Nhd15 アサシン3とどっちがひえますか?
同じ動作音(騒音)でよく冷えるのは、NH-D15の方です。冷却性能自体はASSASSIN IIIの方が優秀です。