東京秋葉原のAKIBA SQUAREにて「第13世代インテルCoreプロセッサーTOUCH & TRY EVENT」が開催されています(11月19日~20日まで)。今回、インテルさんとASRock Japanさんに招待されて現地へ行ってきました。
この記事の目次

第13世代インテルCoreプロセッサーTOUCH & TRY EVENT

「第13世代インテルCoreプロセッサーTOUCH & TRY EVENT」は、第13世代Raptor Lakeシリーズの圧巻のパフォーマンスを体験できるイベントです。
Raptor Lakeシリーズを搭載した試遊用のゲーミングPCが展示され、誰でも最新世代のゲーミングPCを体験できる場が用意されています。「ゲーミングPCってこんなに快適なのか・・・」と無心で遊びふけっている学生さんが微笑ましいです。
なお、第13世代Raptor LakeがライバルのZen 4に対しても強力な性能とコストパフォーマンスを示しているのは、すでに各レビュー記事で解説した通りです。
アーキテクチャー(設計)の中身がどう変わったのかなど、基本的なスペック情報もすでに解説済みです。イベントでRaptor Lakeを触った感想を語っても今更ですので、具体的な性能はレビュー記事で確認してください。
各マザーボードメーカーの展示がたくさん
Raptor Lakeの試遊だけでなく、各マザーボードメーカーのIntel Z790搭載マザーボードの展示とメーカー担当者による熱い解説もありました。
ASRock

- CPU:Core i9 13900K
- マザボ:ASRock Z790 LiveMixer
- グラボ:ASRock RX6800 Phantom Gaming OC
- メモリ:Corsair Dominator Platinum RGB
- ケース:COUGAR CONQUER 2
- 水冷キット:Bitspower CPU Block Summit M Pro
海外Modder「Devin Waddell」氏が制作したMOD PCが展示されてました。USBが23個もあるASRock Z790 LiveMixerをベースに、コンクリート風の塗装にインキを使ったストリートアート風のデザインで独特の雰囲気に仕上がっています。

速さを追求するSONICとASRockがコラボして生まれた「Z790 PG SONIC」です。日本だとソニックの印象はやや薄いような気がしますが、海外では今も非常に知名度が高く人気もあるキャラクターらしく、海外で売れているそうです。

IOカバーのリングデザインが遊び心満載。見る角度によってリングが動くように見える加工が施されています。
ちなみにコラボのきっかけは、ASRockとセガがコラボした「時速100 km(物理)のパソコン」から。

わずか10フェーズで1050 Aもの高出力を誇るハイエンドMini-ITX「Z790 PG-ITX/TB4」です。Mini-ITXながら、最大3つのM.2 NVMe SSDを搭載できる拡張性と、Thunderbolt 4ヘッダを備えます。
少数精鋭の部品で高性能は割りとSteel Legendシリーズに近い設計思想だったりしますが、専用設計やタンタルコンデンサの採用でコストは非常に高くなっているとのこと。
Steel Legendシリーズが当初の立ち上げからけっこうズレた設計になっているのは、意外にもコストの問題が大きいようです。
第13世代Raptor Lakeの場合、消費電力の大きさよりも一瞬で5.0 GHz後半まで跳ね上がる変動の激しさが厄介らしく、そこそこの性能(60A SPSなど)でフェーズ数をある程度多めにして応答性と効率を高める狙いがあります。
もうひとつの問題が熱密度。少ない部品を一箇所に敷き詰めると、少ない面積で大量の熱が出るため放熱効率が悪化します。Zen 3やZen 4世代のCPUが、インテルCPUより消費電力が少ないにも関わらず冷えづらい問題とよく似た構造です。


USBポートを23個も搭載した配信者向けマザボ「Z790 LiveMixer」と、大理石風デザインの超ハイエンドマザボ「Z790 Taichi Carrara」です。
Z790 LiveMixerのヒートシンクは意外とメタリックな素材感が出ていて、製品のサンプル写真で見るより高級感があります。角度や当てるライティングの色によって、ヒートシンクの色の見え方が変化する細かいこだわりも見られ、細かい部分までしっかりと作られています。
大型グラフィックボードを搭載しても、下2つのx16スロットを使えるようにPCIeスロットのレイアウトを工夫している点も魅力的。ただし、RTX 4080 / 4090があまりにも巨大すぎて下1つしか使えない場合があるのが惜しい・・・と原口さん。
でも、現行のRTX 4000シリーズが巨大すぎるのは確かだと思います。

Carraraは見ての通り、大理石風のIOカバーとM.2ヒートシンクを備える、高級感抜群のZ790マザーボード。思っていた以上に「大理石」っぽく見えるのが驚きでした。
「大理石風」と・・・、言われなければ気づかない人もいるかもしれません。

ASUS

ASUSのコーナーでは、マザーボード4枚とASUS ROG GeForce RTX 4090 OC Editionを搭載した試遊マシンが展示されています。

何より目を引くのが、プロのオーバークロッカー向けマザーボード「ROG MAXIMUS Z790 APEX」です。
デザインのフォルム自体は従来のZ690 APEXを踏襲しているものの、基板が「白色」になったのが大きな変化。過酷なOC性能を必要としない普通のマザボならともかく、OC向けのマザボで白色基板を採用しているのが興味深いです。
Core i9 13900Kで8812.85 MHzの新記録を叩き出すなど、従来世代からつづくトップクラスのOC性能は基板が白くなっても健在のようですし、筆者の常識(白い基板のほうが性能を出しづらい)は古くなってきた気がします。


Z790 PG-ITX/TB4と同じく、こちらも10フェーズで1050Aの大出力に対応するハイエンドMini-ITXマザボ「ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI」です。
Z790-Iの面白い設計が、USBポートで接続されたデバイス「ROG Hiveユニット」です。ASUSの別売り品ではなく、マザーボードのれっきとした付属品です。
ROG Hiveユニットには、Realtek ALC 4050とESS Sabre 9260Q DACを搭載し、USB接続(デジタル接続)でノイズを抑えます。では、マザーボード側のオーディオチップは?・・・非搭載です。
高性能なオンボードオーディオを限られた面積に敷き詰めるのは難しい、なら基板に乗せるのはやめて別のデバイスに乗せてしまおうというアプローチ。だから、Z790-Iは世にも珍しいオンボードオーディオを搭載しないマザーボードです。

超ハイエンドモデル「ROG MAXIMUS Z790 HERO」と、比較的ミドルクラスに位置する「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」も展示されています。
HEROは言わずとしれた超ハイエンドモデル。合計1800A(90A SPSを20個)の強靭なVRMフェーズを搭載し、最大で5つのM.2 NVMe SSDを増設できる拡張性を備えます。
USBポートはなにげに合計21個で、Z790 LiveMixerの23個に迫る勢い。価格が高い分だけ、これでもかと盛れる要素を詰め込んだマザーボードです。

「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は、当ブログのレビュー機材でおなじみのシリーズ。Z790モデルもZ690と同じく、必要十分な性能と(比較的)手頃な価格が魅力的。加えて、一度慣れると元に戻れないほど便利な「M.2 Q-Latch」システムを備えます。
なぜレビュー機材でTUG GAMINGを選んでいるのか、M.2 Q-Latchが便利すぎるからです(※自分や他人の自作パソコン用だったら、SSDの取り付けは1回で終わりですから、M.2 Q-Latchに関係なくいろいろと選択肢に入れています)。
なお、今回のZ790 TUFのVRMは60A SPSを16個(合計960A)です。Z690 TUFが70A SPSを14個(合計980A)だったので、部材高騰の影響が見られます。

スタイリッシュなCyberpunk風のデザインが特徴の「ASUS ROG GeForce RTX 4090 OC Edition」を実物で見られました。すぐ横に配置されている360 mm簡易水冷ユニットと見比べると、RTX 4090の異様な巨大さが分かります。
MSI

MSIのコーナーでは廉価モデルのAシリーズから、ミドルクラスのEDGEやCARBON、ウルトラハイエンドのGODLIKEが網羅されています。

ウルトラハイエンドモデルに位置づけられる「MEG Z790 GODLIKE」は、サイズもとんでもないデカさです。寸法は304.8 mm x 310 mmで、規格としてはE-ATXに分類されるそうです。
GODLIKEは一応コンシューマ向けモデルですが、サーバー向けデュアルソケットマザーボードで見られるSSI-EEB規格と見間違うような大きさ。

筆者もパッと見てすぐ違和感を覚えてマザーボードをぐるりと見回すと、側面にコネクタがびっしり配置されていました。各種ケーブルを90°の角度で挿し込み、スッキリした印象の配線に仕上げられやすい設計です。

白色に近いシルバー基調のVRMヒートシンク、M.2ヒートシンク、IOカバーを備えたMini-ITXマザーボード「MPG Z790I EDGE WIFI」です。
10フェーズで合計1050Aの少数精鋭VRMと40 mmの小型VRMファンを搭載し、最大3つのM.2 NVMe SSDを搭載できる拡張性に対応。ただし、Thunderbolt 4端子はあえて対応せず、販売価格を抑えています。

ATX 3.0とPCIe 5.0に対応した最新規格の電源ユニット「MSI MEG Ai1300P PCIE5」も展示されています。
台湾CWT(Channel Well Technology)が設計を手掛ける容量1300 Wの電源ユニットです。160 mmのスタンダードな奥行きで、80 PLUS PlatinumとETA Platinumを取得した高効率と、Labmda Standard++を取得できる静音性を両立します。
ただ、他のATX 3.0電源ユニットと比較すると価格がかなり高いです。内蔵デジタルセンサーによるモニタリング機能(MSI Centor)にどこまで価値を感じるかで評価が変わりそうです。
GIGABYTE

GIGABYTEのコーナーでは、廉価モデルのUDから、ハイエンドのMASTERまで一通りのシリーズが網羅されています。
それぞれを並べてざっくり見た感じ、価格帯ごとに使っているコンポーネントにはっきりと違いがあります。UDだとAPAQ製5Kコンデンサに対して、MASTERやELITEではニチコン製12Kコンデンサが採用されています。
ASRock以外に12Kコンデンサを使っているメーカーがここにも。ちなみにASUSだと超ハイエンドのMAXIMUS HEROですら、10Kコンデンサを使っているため、メーカーの設計思想が出やすい部分です。

同価格帯で比較するとコストパフォーマンスが高い傾向にある「Z790 AORUS ELITE AX」です。
合計1120A(70A SPSを16個)のVRMフェーズ、4つのM.2スロット、M.2スロットをラクに取り付けできる「M.2 EZ-Latch Plus」システムなど。バランス良くハード性能や拡張性を盛り込んだ、万能型マザーボードに思えます。
M.2スロット3つ分の間隔を開けたPCIeレイアウトにより、RTX 4090クラスの大型グラフィックボードを搭載しても、下にあるスロットが潰れないのはナイスな設計。
GIGABYTEはマザーボードだけでなく、自社でGeForce RTX 4000搭載のオリファンモデルを設計しているだけあって、分厚いグラボをきちんと想定したレイアウトが出来ています。

シンプルな白色基調のデザインで統一された「Z790 AERO G」と、RTX 4080ではなく「RTX 3070 VISION OC 8G」の搭載イメージです。RTX 4000シリーズではVISIONから「AERO」に統一されています。
ここまで真っ白なデザインのグラフィックボードはとても珍しく貴重です。
定番BTOメーカーの展示も
GALLERIA

ドスパラの有名ゲーミングPCブランド「ガレリア」です。
ASRockと協業して、ドスパラ独自モデル(ASRock TW)の導入を進めるなど、故障率とコストの両方を抑える取り組みが特徴です。
G-Tune

マウスコンピューターの有名ゲーミングPCブランド「G-Tune」です。赤いラインとハニカム構造の排気口が特徴的なPCケースを採用します。ちなみにPCケースは自作PCユーザーなら知っているかもしれないIn Win製です。
arkhive

PCパーツショップのARKが展開するゲーミングBTO「arkhive」です。
Fractal DesingのPCケース、LEDライティング対応の240 mm簡易水冷ユニット、OC対応のDDR5メモリを搭載など。見るからに価格が高そうなパーツ選定が特徴的でした。
サイコム

自作代行BTOで有名な「サイコム」です。

サイコムが独自に水冷化したRTX 4090が搭載されています。
水平器のようなオブジェクトとメタリックなイエローカラーが目立つデザインです。製造元はManli(マンリ)です。国内で直販されていない※特殊なモデルを使用しています。
※Aliexpressや京東.comにて入手可能。32~35万円ほど。
STORM

パーツ代理店の株式会社アイティーシーが展開するゲーミングBTO「STORM」です。

同社が取り扱っているINNO3D製のグラボを搭載しています。INNO3DはELSA JapanなどにOEM供給している大手VGAベンダーです。
マザーボードはやはりMSIのAシリーズを使っているように見えます。MSIのAシリーズは廉価モデルですが、必要十分な性能と拡張性を両立する高コスパモデルで、ゲーミング用途なら長く使えます。
下手にコストカットしたBTO独自モデルより嬉しいです。

SEVEN

サイコムと同じく、自作代行系BTOの「SEVEN」の展示も。
グラフィックボードはMSI OEMで、LenovoやHPなど他の大手BTOメーカーでも使われているモデルが入っています。マザーボードは配信者に特化したASRock Z790 LiveMixerでした。
インテルSSDの後継ブランド「ソリダイム」

インテルがコンシューマ向けSSD部門をSK Hynixに売却し、SK Hynix資本で新たに再出発したSSDブランドが「ソリダイム(SOLIDIGM)」です。
最近はかなりプロモーションを見かけるようになり、少しずつ知名度も高まっている印象があります。今日の展示では、ソリダイムのハイエンドNVMe SSD「P44 Pro」を6枚使ったRAIDドライブの性能が展示されていました。
エグい pic.twitter.com/RSDBn5ZCTS
— 清水 貴裕 (@Shimizu_OC) November 19, 2022
6枚で最大21000 MB/sだと遅すぎるので、おそらく3枚のRAIDを2つ組んでいる感じでしょうか。最大7000 MB/sの3枚なら、辻褄があう性能です。
とはいえシーケンシャル性能では、各社ハイエンドモデル同士でほぼ頭打ちが現状ですので、PCMark 10 ProのStorage Full Testの結果でなければ性能の善し悪しはなんとも言い難いですが。
「Intel ARC」の試遊ゲーミングPC

Intelの最新グラフィックボード「Intel ARC A770」を搭載した試遊ゲーミングPCの展示もありました。
最新のDX12タイトルCOD:MW2がプレイ可能です。Intel ARCは口コミでボロカスに言われがちですが、対応しているゲームなら正常に動作します(※問題は対応しているゲームがまだまだ少ないこと)。
Intel ARCシリーズについてはインテルの担当者さんがいれば、今後の展開を聞いてみたかったのですが、タイミング悪くいませんでした。
あくあでも本日のイベントは第13世代Coreプロセッサーの体験会で、Intel ARCはややついでに置いている感がありました。インテル自身も現状のIntel ARCの売り方にけっこう迷いがあるのかも。
個人的にはIntel ARC A310をいち早く市場に投入し、OBSにいくらかお金を積んででもIntel AV1エンコーダーを録画配信に対応させ、AV1エンコード支援ハードとして売り込んだほうが・・・まだ売れそうな気がします。
現状、OBSでAV1を使いたければ最低でも20万円超えのRTX 4080が必要なので、1~2万円(A310)で使えるようになったらインパクトは大きいです。
第13世代CPUくじ引きの結果は・・・
招待された来場者は第13世代Coreプロセッサーの「くじ引き」ができます。一番大当たりがCore i9 13900K、中吉クラスがCore i7 13700K、末吉レベルがCore i5 13600Kです。

今回はCore i7 13700Kを引けました。
CPUを配布して、インフルエンサーたちに第13世代Coreプロセッサーでパソコンを自作してもらおうという狙いです。幸い運良く、筆者の手元には余っているメモリや、余っているZ690マザーボードがいくらかあります。
余りのパーツたちを寄せ集めれば、自作PCを新たに1~2台錬成するのは難しくないので、くじ引きでゲットしたCore i7 13700Kを使ってメイン機を更新する予定です。
以上「【AKIBA SQUARE】第13世代インテルCoreプロセッサーに行ってきた【TOUCH & TRY EVENT】」レポでした。
第13世代Raptor Lakeレビュー
ASRock Z690マザーボードレビュー

ASUSの外付けオーディオ尖ってるなぁ
でも発想はすき
TUG Gamingになってるよ
ギガバイトのマザーは外観こそ黒いけど12Kコンデンサではなさそう(FP12Kの表記がない)
ソニックはマイナーじゃないと思うけど。