Mate 10 Proに入ってる「Kirin 970」の性能はコスパが凄い

「Kirin 970」は、Huaweiの半導体部門「HiSilicon」がライバルのSnapdragon 835Exynos 8895、そしてApple A11 Bionicを迎え撃つために開発した旗艦SoCだ。主にHuaweiのフラグシップモデル「Mate 10 Pro」に搭載されている。

この記事ではKirin 970の性能(ベンチマーク)についてまとめ、そのコスパの良さを解説してみたい。

Sponsored Link

Kirin 970の仕様

2015年11月頃に登場したハイエンド向けSoCのひとつ。製造したのはHuaweiの子会社であるHiSiliconで、主にHuawei製のスマートフォンやタブレットに搭載されている。

2017年12月に登場し、主にHuaweiのフラグシップモデル「Mate 10」「Mate 10 Pro」などに搭載されているハイエンドSoCである。Huaweiの子会社のひとつ「HiSilicon」が製造を行った。

Kirin 970の中身をイラスト化すると上記の通り。意外なことに、先代のKirin 960で使われているのと全く同じCPUが搭載されている。高クロック(高性能)な「Cortex A73」を4個、省電力に優れる「Cortex A53」を4個。

合計8個で8コア8スレッドという構成はKirin 960と全く同じ。ただし、プロセスルールは16nmから10nmへと大幅にシュリンクされていて、内蔵GPUも「MP8」だったのが「MP12」へとアップグレードされた。

図解には載せていないが、もう一つの大きな変化がKirin 970にはある。それが独自のAIプロセッサ(=NPU)を搭載したこと。Huawei Mate 10には機械学習を活用した画像処理フィルターが入っていて、その処理を高速化するためにNPUが大活躍するんだとか。

Kirin 970のカタログスペック(仕様)
クロック周波数2.36 Ghz (A73)
1.80 Ghz (A53)
搭載コア数x4 ARM Cortex-A73
x4 ARM Cortex-A53
プロセスルールTSMC 10nm
内蔵GPUAMR Mail-G71 MP12
850 Mhz
メモリ規格LPDDR4-1866
Dual-Channel
最大6GB

プロセスルールの縮小、内蔵GPUのアップグレード、NPUの搭載、最大6GBまでサポートできる強力なメモリコントローラー。CPU自体に大きな変化は無いが、それ以外の部分を強化したことで性能アップを狙っている。

HiSiliconの旗艦SoC「Kirin 970」の性能

HiSilicon製ハイエンドSoC「Kirin 900」シリーズ最強の「970」が、ライバルである「Snapdragon 835」や「Apple A11 Bionic」とどこまでやりあえるのか。ベンチマークデータで確認してみます。

  • Kirin 970:主にMate 10に搭載される旗艦SoC
  • Kirin 960:970の先代、主にMate 9に搭載される
  • Snapdragon 835:Qualcommの旗艦SoC(Galaxy S8など)
  • Apple A11 Bionic:Appleの旗艦SoC(iPhone Xなど)
  • Apple A10X Fusion:Appleの旗艦SoC(iPad Proなど)

以上5つのSoCで性能比較をする。

Geekbench 4.1

Geekbench 4はマルチプラットフォーム対応のベンチマークアプリ。スマホ向けのベンチマークとしてAnTuTu Benchmarkと並んで、よく使用されている。多種多様な処理を行わせ、SoCの総合的な性能をスコア化出来る。

Geekbench 4.1 – シングルスレッド性能

  • Kirin 970
    1898
  • Kirin 960
    1859
  • Snapdragon 835
    1915
  • A11 Bionic
    4263
  • A10X Fusion
    3928

1コアあたりの性能を示す「シングルスレッドスコア」はこの通りで、中に使われているCPUがKirin 960から変わっていないため大きく伸びてはいない。

Geekbench 4.1 – マルチスレッド性能

  • Kirin 970
    6785
  • Kirin 960
    6356
  • Snapdragon 835
    6492
  • A11 Bionic
    10380
  • A10X Fusion
    9325

全てのコアを使用した場合の「マルチスレッドスコア」は5%ほど伸びています。ライバルのSnapdragon 835を抜かすことは出来たが、大きく更新できたわけではない。Apple Aシリーズの圧倒的な強さを再確認してしまう形に…。

3DMark – Ice Storm Unlimited

国際的に有名なグラフィックボードのベンチマークを行う「3DMark」のスマホ版アプリ。その中でも「Ice Storm Unlimited 1280×720 offscreen」はスコアの単位が大きいため性能差が分かりやすい。

3DMark – Ice Storm Unlimited (1280×720 – offscreen)

  • Kirin 970
    21611
  • Kirin 960
    15129
  • Snapdragon 835
    20281
  • A11 Bionic
    25633
  • A10X Fusion
    19550

「MP8」から「MP12」にアップグレードされたおかげか、グラフィック性能は大幅に伸びた。ライバルのSnapdragon 835(Adreno 540)やA10Xを超えているので、フラグシップとして恥ずかしくない圧倒的なスコア。

Mozilla Kraken 1.1

ブラウザ上でJavaScriptの処理を行わせ、そのスピードでSoCの性能を測ることが可能。

Mozilla Kraken 1.1

  • Kirin 970
    3704
  • Kirin 960
    3128
  • Snapdragon 835
    3175
  • A11 Bionic
    719
  • A10X Fusion
    970

結果はこんな感じで、CPUは全く同じモノが使われているにも関わらず600ミリ秒も遅くなってしまった。このKrakenというベンチマークはブラウザやOSの最適化具合にも影響を受けるので、ソフト側の問題があるのかもしれない。

Octane V2

Mozilla Krakenと同じく、ブラウザ上でJavaScriptの処理速を測るベンチマーク。Krakenとの違いは処理が終わるまでの時間ではなく、スコア化して評価してくれるところ。

Octane V2

  • Kirin 970
    10406
  • Kirin 960
    10213
  • Snapdragon 835
    11402
  • A11 Bionic
    35209
  • A10X Fusion
    30760

結果はKirin 960よりほんの僅かだけ速いにとどまった。Snapdragon 835には追いつけておらず、Apple Aシリーズが圧倒的なスコアを見せつけた。

AnTuTu Benchmark v6

スマートフォン向けの定番ベンチマーク。SoCの総合的な処理性能を分かりやすく示してくれる。

AnTuTu Benchmark v6

  • Kirin 970
    177341
  • Kirin 960
    140084
  • Snapdragon 835
    173576
  • A11 Bionic
    204270
  • A10X Fusion
    222713

グラフィック性能の伸びやNPUによる画像処理の効率化のおかげでCPU性能は上昇せずとも、総合性能ではKirin 960から約25%の大幅な性能アップを果たした。Snapdragon 835と肩を並べるレベルに。

平均パフォーマンス

平均パフォーマンス

  • Kirin 970
    36958
  • Kirin 960
    29462
  • Snapdragon 835
    36140
  • A11 Bionic
    46746
  • A10X Fusion
    47874

平均パフォーマンスでもKirin 960から正統進化を遂げ、Snapdragon 835並の性能に達した。ただし、2018年に登場予定のSnapdragon 845にすぐ追い抜かされる可能性は濃厚。

まぁ…絶対的な性能ではQualcommやAppleに追いつけなくても、Kirin 900シリーズはコストパフォーマンスに優れたHuaweiのタブレットやスマホに搭載されるため、コスパという観点から見れば依然として「強力」と言えます。

13万円出してAntutuで20万オーバーを手にするか、妥協して8万円くらいで約18万点を手にするか。普通に考えれば2万点の差を取るために5万円の追加コストは高すぎる印象がある。コスパは、やはり良い。

Sponsored Link

Kirin 970は最強ではないがコスパは最高

コストパフォーマンスの比較

  • Mate 10 Pro
    2.034
  • Mate 9 Pro
    2.060
  • Galaxy S8+
    1.827
  • iPhone X
    1.513

というわけで、Kirin 970を搭載する「Huawei Mate 10 Pro」は約87000円ほどで入手可能なため、コストパフォーマンスにおいてはフラグシップモデルの中で「最高」の位置に君臨することに。

だいたい83000~88000円で、Apple A11、Snapdragon 835に次ぐ世界3位の性能を手にすることが可能だ。4~5万円(37%)も安い価格設定で、性能は27000点(13%)しか下がらない。

フラグシップモデルを「コスパ重視」で選ぶなら、Kirin 970(を搭載するHuawei Mate 10 Pro)が今のところは最も最適な選択肢と言えます。なお、廉価版の「Mate 10」はSoCがKirin 960なので注意ね。

以上「Mate 10 Proに入ってる「Kirin 970」の性能はコスパが凄い」という話でした。

他のSoC(スマホCPU)の性能も知りたい

次元が違う世界です。正直に言うと、AnTuTuで5~6万点出れば十分なのに、20万点に迫るようなスマホって何に使うのだろう…という気がしてならない。

登場当時、スマホ向けのSoCとしては世界最高の18万点を記録したフラグシップモデル向けのSoC。今後はSnapdragon 835を搭載するノートパソコンも登場する予定だったりと、その性能は高い評価を受けている。

Sponsored Link

3 件のコメント

  • 全然関係ないけど…
    C国勢の勢いが増しすぎて、国内すまほたんメーカーはもはやソニーと京セラしか息してませんなぁorz
    (えっ、SH社はって?個人的にはC国に乗っ取られていまはC国企業だと思ってますよ?)
    (あ、F士通もありましたね…あっちは国内の別企業への身売りになったみたいですが。)

  • kirinもsnapdragon835にシングルマルチ性能で追いついたんですねえ。しかもプロセスルール10nm。kirinはsnapdragonの世代ひとつ前くらいの技術で製造する印象があったんですがついに追いつきましたね。省電力性も申し分ないのかな。
    しかしまだこうしてみるとappleのSoC能力の高さが際立ちますね…。

    東芝やSONYがCellを開発してた頃90nmとか45nmで製造してたのにいまは10nmか。製造技術の進歩ってすごい。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。