Kirin 950の性能解説:MediaPad M3は標準版の方がお得、という話

Huaweiのタブレット「MediaPad M3」には、標準版と廉価版の「M3 Lite」という2種類のモデルがあります。価格は似ているが、よくみると搭載されているSoCが違うんですよね。標準版には「Kirin 950」というSoCが入っていて、廉価版は「MSM8940」が入っている。

どれくらい性能が違うのか、分かりやすくまとめてみます。

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Kirin 950の仕様

2015年11月頃に登場したハイエンド向けSoCのひとつ。製造したのはHuaweiの子会社であるHiSiliconで、主にHuawei製のスマートフォンやタブレットに搭載されている。

Kirin 950の中身は、ARM製の高性能CPU「Cortex A72」を4個と、省電力性に優れたバランス型CPU「Cortex A53」を4個。合計で8個のCPUを内蔵するオクタコアプロセッサである。

内蔵グラフィックスには同じくARM製の「Mail T880」が内蔵されており、ハイエンドにマインクラフトなどのゲーミングもある程度こなせる、ハイエンドらしい映像処理能力を発揮する。

Kirin 950のカタログスペック(仕様)
動作クロック2.30 Ghz(A72)
1.80 Ghz(A53)
搭載コア数x4 ARM Cortex-A72
x4 ARM Cortex-A53
プロセスルール16nm
内蔵GPUARM Mail-T880 MP4 GPU
メモリ帯域幅2666 Mhz
メモリ規格LPDDR4
メモリチャネルDual-Channel

登場してばかりの頃はHuaweiのフラグシップモデル「Meta 8」に搭載されていたため、かなり高価な部類でした。しかし2017年現在は3万円前後で入手可能な「MediaPad M3」に搭載されています。

もともとフラグシップ級に投入されていたSoCが、今は3万円程度のミドルクラスのタブレットに使われている…ということは、明らかにMediaPad M3は標準版の方が性能が良さげな予感がするが…。

元フラグシップ「Kirin 950」の性能

「予感」とか「昔はフラグシップモデルだった」とか、そういう印象論は置いておいて。やはり性能をしっかりと捉えるためにはベンチマークデータを見るのが最も確実で賢いやり方です。

というわけで、全6種類のベンチマークでKirin 950の性能を見ていく。性能はKirin 950だけを見ても分かりにくいため、似たような価格帯の他のSoCとも比較しながら確認します。そうしないと相対的にどれくらい高性能なSoCなのか把握しづらい。

比較対象は…

  • HiSilicon Kirin 659(Huawei Mate 10 Liteなど)
  • Snapdragon 435(Huawei MediaPad M3 Liteなど)
  • Snapdragon 652(ZenFone 3 Ultraなど)
  • Snapdragon 617(MADOSMA Q601など)

3~5万円のミドルクラスのスマートフォンによく搭載されているSoCを比較対象とした。これでKirin 950の性能がどのくらい位置にいるのか、分かりやすくなる。

Geekbench 4.0

Geekbenchは様々な分野のテストを大量に実行させて、終了までの時間でCPU性能を評価するベンチマーク。Linux、Windows、Android、iOSなど複数のOSで実行可能なクロスオーバーアプリなのが特徴。

Geekbench 4.0 / シングルスレッド性能

  • Kirin 950
    1726
  • Kirin 659
    888
  • Snapdragon 435
    577
  • Snapdragon 652
    1462
  • Snapdragon 617
    698

さすがにフラグシップ級のSoCというだけあって、非常に高いシングルスレッド性能を備えている。Snapdragon 435の軽く3倍もの処理性能だ。

Geekbench 4.0 / マルチスレッド性能

  • Kirin 950
    5379
  • Kirin 659
    3473
  • Snapdragon 435
    2308
  • Snapdragon 652
    3427
  • Snapdragon 617
    2092

次はすべてのコアを使用するマルチスレッド性能を見る。Kirin 950は8コアとはいえ、半分は省電力性に優れたCPUが使われているため伸び率は悪い。それでも他の競合SoCを圧倒しており、性能はかなり優秀。

Mozilla Kraken 1.1

ブラウザ上で実行するベンチマーク。Javascriptの実行処理速度を計測して、CPUの性能をスコア化できます(単位はミリ秒で短いほど優秀)。

Mozilla Kraken 1.1

  • Kirin 950
    2979
  • Kirin 659
    8778
  • Snapdragon 435
    12340
  • Snapdragon 652
    3464
  • Snapdragon 617
    11053

Kirin 950は2979ms(約3秒)と、圧倒的なスピードを見せた。Snapdragon 435は約12秒、4倍も遅い結果となった。

Octane V2

Krakenと同じく、これもブラウザ上で実行する。内容もほぼ同じでJavascriptベースのアプリケーションを実行して、その処理速度をスコア化するというもの。スコアは高いほど優秀です。

Octane V2

  • Kirin 950
    11329
  • Kirin 659
    4980
  • Snapdragon 435
    2962
  • Snapdragon 652
    9005
  • Snapdragon 617
    3527

Snapdragon 435と比較してほぼ4倍の処理性能。

AnTuTu Benchmark v6

スマートフォン向けのベンチマークで定番中の定番ソフト。日本でもとても有名だと思います。さて、Antutu Benchmarkはデバイス全体のスコアを表示するため、完全にSoC自体の評価にはならないが「傾向」を掴むのには使えます。

AnTuTu Benchmark v6

  • Kirin 950
    93767
  • Kirin 659
    63250
  • Snapdragon 435
    45720
  • Snapdragon 652
    83564
  • Snapdragon 617
    45237

Kirin 950は94000点ほどで、2015年のフラグシップSoCらしいスコアです。なお、フラグシップ向けのSoCのは毎年のようにAnTuTuの記録を塗り替えており、現在は20万点を超えるApple A11などが誕生しています。

だから10万点前後はミドルクラスにふさわしい水準だ。対するSnapdragon 435は45000点前後なので、やはりローエンド向けな性能。とはいえAnTuTuで4~5万点も出ていれば、普通に使う分にはまったく不満のない性能ではある。

3DMark – Ice Storm Unlimited

3DMarkのAndroid / iOS対応版が「Ice Storm Unlimited」。これを1280×720(Offscreen)で実行し、そのPhysics Score(GPU本体のスコア)で内蔵グラフィックスの評価を行う。

3DMark / Ice Storm Unlimited Physics

  • Kirin 950
    15538
  • Kirin 659
    13134
  • Snapdragon 435
    9123
  • Snapdragon 652
    11364
  • Snapdragon 617
    9597

グラフィックス性能に関しても、Kirin 950はかなり高い水準。15000点もあればマインクラフトも全く問題なく、軽快に動かせるレベルです。

平均パフォーマンス

ここまでのベンチマークを平均化し、全体的な傾向をまとめます。

平均パフォーマンス

  • Kirin 950
    21786
  • Kirin 659
    15751
  • Snapdragon 435
    12172
  • Snapdragon 652
    18714
  • Snapdragon 617
    12034

フラグシップ向けとして開発されているだけあって、処理性能は2017年の今でも十分に高い水準に位置しています。もちろんSnapdragon 835やApple A11 Bionicなど、今を代表するフラグシップSoCには当然負けてしまいます。

まとめ:Kirin 950は非常にコスパが良いSoC

コストパフォーマンスの比較(高いほど優秀)

  • Kirin 950
    3.126
  • Kirin 659
    1.543
  • Snapdragon 435
    2.689
  • Snapdragon 652
    1.705
  • Snapdragon 617
    1.160

3~5万円の価格帯において、Kirin 950の性能は飛び抜けて高いことがわかりました。と同時に、HuaweiのMediaPad M3は廉価版(M3 Lite)ではなくちゃんとした標準版を選んだ方が確実に「お得」ということも判明した。

MediaPad M3にはWiFiモデルやLTEモデル、ディスプレイのサイズ違いなど色々とある。確認できた限りでは5種類あったので、性能を価格で割ってコストパフォーマンスをまとめてみると…。

MediaPad M3 / 5種類のコスパ比較(高いほど優秀)

  • MediaPad M3
    3.200
  • MediaPad M3 Lite 8
    2.023
  • MediaPad M3 Lite 10
    1.758
  • MediaPad M3 LTE
    2.758
  • MediaPad M3 Lite 8 LTE
    1.758

Kirin 950Snapdragon 435

結果はこの通りで、どちらにせよKirin 950が搭載されているMediaPadの方が確実にコストパフォーマンスは優れている。どうせ買うならやはり標準版を選んだほうが良さそうですね。

これがKirin 950搭載の「MediaPad M3 標準版」。

こっちがSnapdragon 435(MSM8940)搭載の「MediaPad M3 Lite」(廉価版)だ。

やかもち
値段の違いは3割※なのに、性能が倍も違うなんて驚いたよ…
自作歴16台のやかもち
7000円くらいの差額で2倍の性能なら、絶対にLiteには手を出さないな。

以上「Kirin 950の性能解説:MediaPad M3は標準版の方がお得、という話」でした。標準版とLite版で約7000~10000円ほど値段が違うけれど、どちらにするべきなのか…と悩んでいた人の参考になれば幸いだ。

※標準版が29300円、Lite版は22600円で計算。(2017/12時点)

他のSoC(スマホCPU)の性能も知りたい

次元が違う世界です。正直に言うと、AnTuTuで5~6万点出れば十分なのに、20万点に迫るようなスマホって何に使うのだろう…という気がしてならない。

Snapdragon 435と、それに近い価格帯のSoCで性能比較をする記事。結論を言うと、やはりSnapdragon 435はコストパフォーマンスがあまり良くないSoCなんです…。

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