約10年続いたルールを打ち破った「Coffee Lake」は期待できそう

AMDが2017年にもたらした「Ryzen旋風」は、確実にCPU業界に健全な競争を取り戻すことに成功したようだ。今回のインテル最新作「Coffee Lake」は、そういう感想を抱かざるを得ないラインナップになっているんですよ。

約10年近く続いてきた、とある法則が。ようやく大きく変化することになったんだから。

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第8世代「Coffee Lake」は、かなり歓迎できる内容

今回のインテル最新作が今までのIntel CPUと比べて最も革新的なのは、10年近く続いてきた「Core プロセッサの定番ルール」がやっと上方修正される点です。

CPUで圧倒的な知名度を誇る「Core i3」「Core i5」「Core i7」が登場したのは、少なくとも2008年頃…もう来年になれば10年が経とうとしていたんですよね。

ほぼ10年経っているにも関わらず、図の通り「Core i3は2コア / 4スレッド」「Core i5は4コア / 4スレッド」「Core i7は4コア / 8スレッド」という法則が変更されたことは一度も無かった。

6コア搭載や10コア搭載も、例外的に存在していたがどれも「Extreme Edition」(X版)や「Core i9」などエンスージアスト向けのCPUであり、一般向けのラインナップでこのルールが破られたことは無い…という意味。

そうして頑なに10年守ってきた法則を、やっと今回のCoffee Lakeで破ることになった。今までのインテル製品の中でも、圧倒的に魅力的な存在だと思いますね。

  • 4コア(倍増)に増えた、Core i3
  • 6コア(1.5倍)に増えた、Core i5
  • 6コア / 12スレッド(1.5倍)に増えた、Core i7

今までインテルの4コアCPUを入手しようと思ったら、少なくとも「Core i5」が必要でした。2万円超が当然だった4コアCPUが、今回の最新世代から1万円台で入手可能になりました。

しかもインテル製CPUはシングルスレッド性能(1コアあたりの性能)が高い傾向にあるため、4コア化されたCore i3は「コスパ良好なゲーミング向けCPU」としても、かなり脅威的な存在だ。

6コア化されたCore i5 / i7

AMDのRyzenシリーズで特に人気を集めているが、8コア搭載の「Ryzen 7」と6コア搭載の「Ryzen 5」です。Coffee Lakeは、Core i5とCore i7を6コア化することでこれらに対抗する。

AMD Ryzenが初登場した時のインパクトと比べれば、確かに印象は薄く感じられるがゲーミング向けCPUとしては依然、最強の地位を持つ「Core i7 7700K」が6コア化したと言えば、対抗勢力としては十分な存在感がある。

その上、エンコード(特にHandBrake)の実際の処理速度においても、1コア性能が高いインテル製CPUは有利な結果を出せており、それが6コア化したとなれば…実行スピードは恐らくRyzenを超えると思われます。

そして同じコア数で勝負すればインテルが性能面で勝利してしまう事実は、既に「Core i9」対「Ryzen Threadripper」で明らかになっている。

KabyLakeとRyzenを比較すれば、明らかにKabyLakeは魅力・コスパ・性能ともに欠けている製品(7700Kを除き)だったが、今回のCoffee Lakeはなかなか良い感じだと断言できます。

 ルールを変更して高評価を得た「Pentium」

今までのルールを変更することの衝撃って結構大きい。最近の事例だと、2コア2スレッドが基本だった「Pentium」が、2コア4スレッドになったんですね。

これによってPentiumはいきなりCore i3と張り合う存在になってしまった。もちろん絶対的な処理性能では負けるものの、圧倒的なコストパフォーマンスには逆らえない。

結果Core i3は下火になり、Pentium G4560は価格コムにて連日TOP3の人気CPUになったのです。

Coffee Lake 対 KabyLake

コア数が増えた。以外の点についても、細かい仕様(カタログスペック)を先代KabyLakeと比較しながら確認してみます。

Core i7 8700K / 8700

世代Coffee LakeKabyLake
CPUCore i7 8700Ki7 8700i7 7700Ki7 7700
プロセス14nm++14nm++14nm+14nm+
コア数6644
スレッド数121288
ベースクロック3.7 Ghz3.2 Ghz4.2 Ghz3.6 Ghz
ブーストクロック4.7 Ghz4.6 Ghz4.5 Ghz4.2 Ghz
L2 Cache1.5 MB1.5 MB1.0 MB1.0 MB
L3 Cache12 MB12 MB8 MB8 MB
対応メモリーx2 DDR4-2666x2 DDR4-2666x2 DDR4-2400x2 DDR4-2400
PCIeレーン数16161616
内蔵GPUIntel UHD Graphics 630Intel HD Graphics 630
GPUクロック1200 Mhz1150 Mhz
TDP95W65W91W65W
MSRP$359$303$339$303

コア数が1.5倍になったこと以外は、大きく変化しておらずKabyLakeを踏襲した感じです。L2 / L3 Cacheは増量されているが、これはコア数が増えた影響。1個あたりに搭載されているキャッシュ容量は変化していない。

ベースクロック周波数はKabyLakeと比較すると400~500Mhzほど低下した。Intel Turbo Boost技術による、高負荷時の自動オーバークロック機能は全てのコアに一律に適用されるわけではないので、このあたりは気になるところですね…。

それでもブースト時の最大クロック周波数は、無印版では400Mhz、K付版では100Mhzほど伸びているし、プロセスルールが「14nm+」より更に微細化が進んだ「14nm++」になったことで、微細化による性能向上も期待できる(はず)。

特に8700Kはかなり強力な予感。リークされた情報では完全に「i7 7700Kの6コア版」という状態だったため、ゲーミング向けCPUとして最強の地位に立つ可能性は極めて高い。

他に注目するところは…、内蔵GPUが「HD Graphics」から「UHD Graphics」に更新された点かな。動作クロックも50Mhzほど伸びているので、多少は進化したと言えるが…このCPUだと何かしらグラボは搭載するからそこまで気にする部分でもないか。

  • ベースクロック周波数は低下
  • ブースト時の最大クロック周波数は上昇
  • コア数 / スレッド数はともに50%増加
  • 1コアあたりの単価はKabyLakeより32%も低下

Cinebench対決では十分に「Ryzen 5 1600X」などと戦えるだろう。実行性能は概ね「Ryzen 5」を抑えて、シングルスレッド性能が効く分野※においては「Ryzen 7」とも十分に戦える性能を持っていてもおかしくない。

※X264 / X265 エンコード、3Dゲーミング(特にハイエンドGPU使用時)、Photoshopに代表されるAdobe系ソフトなど。意外と1コア性能が効く分野は多いのだ。

そんな仕様です。

追記:「Core i5 8700K」のレビュー

個人的な評価は文句なしの「Sランク」CPUです。先代の7700Kからどれくらい進化し、ライバルのRyzen 7とどれくらい戦えるのか。上記の記事に詳しく書きました。

Core i7 8650U / 8550U

CPUCore i7 8650UCore i7 8550Ui7 7600Ui7 7500U
世代8th Coffee Lake7th Kaby Lake
プロセスルール14nm++14nm+
コア数42
スレッド数84
クロック周波数1900 Mhz1800 Mhz2800 Mhz2700 Mhz
ブーストクロック4200 Mhz4000 Mhz3900 Mhz3500 Mhz
L1 Cache256 KB128 KB
L2 Cache1 MB512 KB
L3 Cache8 MB4 MB
PCIe12レーン
対応メモリX2 DDR4-2400X2 DDR4-2133
内蔵GPUIntel UHD 620Intel UHD 620Intel HD 620Intel HD 620
GPUクロック300 ~ 1150 Mhz300 ~ 1150 Mhz300 ~ 1050 Mhz
TDP15W15W
MSRP$409$393

Coffee Lake世代はモバイル向けプロセッサにもメスが入った。着実に進化するApple製SoC(例:A11 Bionicなど)、AMDが準備を進めているモバイル向けAPU(例:Ryzen 5 2500Uなど)。

インテル製SoCを脅かす存在が出てきているので、さすがに2コアのまま押し切るのは無理…と判断したのだろう。よってコア数は倍の「4コア」になった。

  • プロセスサイズは更に微細化
  • コア数が4個に(倍増)
  • キャッシュも2倍に
  • クロック周波数は最大で4.2Ghz
  • 対応メモリが2133Mhzから2400Mhzへ
  • 内蔵GPUは「HD 620」から「UHD 620」に

スペックだけで断言できる。これは過去最高クラスの性能を持つ「Uシリーズ」だと。2コアしか入っていない「名ばかりのi7」は終わり、やっとi7って感じのi7になった。素直に歓迎できますね。

で…肝心の性能については以下の記事に詳しく書いたので、そちらでどうぞ。

Core i5 8600K / 8400

世代Coffee LakeKabyLake
CPUCore i5 8600Ki5 8400i5 7600Ki5 7600
プロセス14nm++14nm++14nm+14nm+
コア数6644
スレッド数6644
ベースクロック3.6 Ghz2.8 Ghz3.8 Ghz3.0 Ghz
ブーストクロック4.3 Ghz4.0 Ghz4.2 Ghz3.5 Ghz
L2 Cache1.5 MB1.5 MB1.0 MB1.0 MB
L3 Cache9 MB9 MB6 MB6 MB
対応メモリーx2 DDR4-2666x2 DDR4-2666x2 DDR4-2400x2 DDR4-2400
PCIeレーン数16161616
内蔵GPUIntel UHD Graphics 630Intel HD Graphics 630
GPUクロック1150 Mhz1100 Mhz
TDP95W65W91W65W
MSRP$257$182$242$182
  • ベースクロック周波数は低下
  • ブースト時の最大クロック周波数は上昇
  • コア数 / スレッド数はともに50%増加
  • 1コアあたりの単価はKabyLakeより33%も低下

明らかに「Ryzen 5」を意識している構成ですね。驚いたのはCore i7 8700K / 8700が値上がり傾向なのに対して、こちらはMSRP(希望小売価格)がほぼ据え置きという点です。

1コアあたりのコストは軽く30%も安価になっており、過去のインテル製CPUのCore i5としては最もコストパフォーマンスに優れている。ただ、コスパ良好とは言っても「買い」とは言いづらい。

なぜならCore i3が4コア化されているので、ゲーミング目的だとしても6コアも搭載されているCore i5はあまり必要性が無いからです。逆にハイエンドゲーミングをするなら、やっぱりCore i7の方が良いわけで…。

仮に今回のCore i5にハイパースレッディング(HTT)が搭載されていれば、Cinebenchはもちろん実行性能においても既存のRyzen 5を圧倒できるため魅力的な存在になり得ただろうが。

残念ながらHTT未搭載なんですよね。惜しい。良くも悪くも、いつもながらの「重めのゲームもするし、少しだけエンコードもやりたい。そしてコスパ重視。」という人向けな出来栄えってこと。

詳細に書いてみた。性能自体はもちろん良いですが、評価は「Aランク」です。理由はこの下にある「i5 8400」が、あまりにもコスパが優秀だから…。

追記:「Core i5 8400」のレビュー

詳しく書きました(10000文字くらい)。i5 8400について知りたい方は是非読んでみてください。個人的な評価は「Sランク」のCPUです。

Core i3 8350K / 8100

世代Coffee LakeKabyLake
CPUCore i3 8350Ki3 8100i5 7350Ki3 7100
プロセス14nm++14nm++14nm+14nm+
コア数4422
スレッド数4444
ベースクロック4.0 Ghz3.6 Ghz4.2 Ghz3.9 Ghz
ブーストクロック
L2 Cache1.0 MB1.0 MB0.5 MB0.5 MB
L3 Cache8 MB6 MB4 MB4 MB
対応メモリーx2 DDR4-2666x2 DDR4-2666x2 DDR4-2400x2 DDR4-2400
PCIeレーン数16161616
内蔵GPUIntel UHD Graphics 630Intel HD Graphics 630
GPUクロック1150 Mhz1150 Mhz1100 Mhz
TDP91W65W60W51W
MSRP$168$117$168$117

個人的に、Core i7 8700Kと並んでCoffee Lakeシリーズの一角を担う可能性が高いCPUだと思ってます。特に「Core i3 8350K」は、4コア搭載でオーバークロックも可能なCPU。

Civilization VI (最高設定) – GTX 1080 8GBとの相性

  • i5 7600K @4.9Ghz
    81.1
  • i7 7700K
    76.7
  • i7 6700K
    75.5
  • i5 7600K
    72.8
  • i3 7350K
    61.4

KabyLakeの「Core i5 7600K」は、オーバークロックを施すことでGTX 1080以上のハイエンドGPUを使ったゲーミングにも、Core i7 7700K並に耐えられることで知られています。

そのことを考慮すれば、今回の「Core i3 8350K」には似たような処理性能が期待できる。2万後半を払わないと入手できなかった処理性能が、今回から1万後半出せば入手可能になったことはかなりデカイ。

Ryzen 3」より30%ほど高いシングルスレッド性能を持ち、4コア搭載、内蔵GPU搭載…。Ryzen 3は一気に不利になりましたね。

  • ベースクロック周波数は概ね低下
  • コア数 / スレッド数はともに100%増加(倍増)
  • 1コアあたりの単価はKabyLakeより50%も低下

これ。10万円くらいの予算でそこそこ動くゲーミングPCを作ろうと思った時に、メチャクチャ重宝しそうな内容です。Core i5を採用するとどうしても12~13万円掛かっていたのが、10万円前後あれば足りるようになるかも。

追記:「Core i3 8350K」のレビュー

長々と10000文字くらいも書いてしまった。i3 8350Kについて詳しく知りたい方は是非読んでみてください。個人的には「Sランク」のCPUです。

まとめ:Coffee Lakeは「i7」と「i3」が熱くなりそう

ただでさえイマイチ冴えないインテル製CPUが2~3年ほど続いていたが、AMDが引き起こした「Ryzen旋風」のおかげで競争が促され、「インテルやれば出来るじゃん。」と言える第8世代が生まれた

6コア化した「Core i7 8700K」は恐らく、史上最強のゲーミング性能を保有するCPUになります。しかし、個人的にそれ以上に魅力的なのが「Core i3 8350K」だ。

  • i5 7600K
    72.8
  • i3 8350K
    「i5」に追いつけるか?
  • i3 7350K
    61.4

コア数が倍増した(2コア → 4コア)ことで、どうしても低い水準になりがちだった「Core i3 7350K」ですが…。今回からは一気に強くなった感がある。

あえて不満を言えば…なぜHTTを解除してしまったのか、ということ。i3にはHTTが搭載されるのが普通だが、4コアにHTTを搭載すると8スレッドになってしまう。つまり、これは従来のCore i7に相当する仕様だ。

インテルは恐らく「1万円台で買えるCore i7」と思われることを避けたくて、あえてHTTを搭載しなかったんでしょうね。仮にHTTを搭載したとすると、以下のような仕様表になります。

世代Coffee LakeKabyLake
CPUCore i3 8350Ki7 7700K
プロセス14nm++14nm+
コア数44
スレッド数88
ベースクロック4.0 Ghz4.2 Ghz
ブーストクロック4.5 Ghz
L2 Cache1.0 MB1.0 MB
L3 Cache8 MB8 MB
対応メモリーx2 DDR4-2666x2 DDR4-2400
PCIeレーン数1616
内蔵GPUIntel UHD Graphics 630Intel HD Graphics 630
GPUクロック1150 Mhz1150 Mhz
TDP91W91W
MSRP$168$339

こういうふうに書くと一気に「お買い得」感がにじみ出てくるよね。これを恐れてHTTを外した可能性は非常に高いな…(半額のCore i7って感じ)。まぁ4コアというだけでも十分に強力ですけど。

以上「約10年続いたルールを打ち破った、インテル最新世代Coffee Lakeは期待できそう」という話でした。

Coffee Lake世代のレビュー記事 / 一覧

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4 件のコメント

  • ryzen3は20レーンとなってたしディープラーニングにはryzenのほうがいいのかな
    Vega64はgen3じゃないと動かないって話だし8レーンでちゃんと動かないじゃ話にならないだろうし

  • vega64だと3.0×16じゃないとドライバー自体が動かないって話だしハイスペックを積むなら問題をおこしそう。
    特に最新の技術はグラボのメモリをキャッシュ代わりに使う機能が標準装備になってるらしいし、IO帯域不足はかなり大きく響きそうな予感。

  • yacamochi にコメントする コメントをキャンセル

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