ゲーミングモニター選びで重要な「入力遅延」を解説してみる

リフレッシュレートや応答速度はそれなりに知名度があるものの、「入力遅延」の方はかなり知られていない印象がある。ゲーミングモニターを選ぶ上で、意外と無視できないスペックなので本記事では「入力遅延」について。頑張って解説してみたい(難しめ)。

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モニターの「入力遅延」とは?

リフレッシュレート、応答速度と言った仕様はメーカー側がスペック表に掲載することが多いし、解説しているサイトも少なくないため知っている人も多いと思う(ぼくも以前から用語自体は知ってました)。

しかし「入力遅延」という用語はあまり知られていないように感じている。ゲーミングモニターを選ぶ上で、非常に重要な性能でありながら、メーカーがスペック表に掲載することも無いからだ。

ざっくりと解説すると、入力遅延とは…

  1. プレイヤーが敵を見つけてエイミングを行う(照準を合わせ → 射撃)
  2. グラフィックボードがその入力を受けて「処理する」
  3. グラフィックボードは完成した処理をモニター側に「伝える」
  4. モニター側に伝わると、処理された映像が「実際に表示される」

この「モニター側に映像が伝わるのに掛かる時間」こそ、入力遅延です。もう少し分かりやすくGIF図解を行いますね。

 補足

【入力遅延の解説】

応答速度と似ているので混乱するが、入力遅延は「モニターに映像が伝わるのに掛かる時間」です。応答速度は「伝わってから実際に表示されるのに掛かる時間」です。

【モニターの仕様】入力遅延の解説

入力遅延が速いモニターほど、自分の操作と映像との「ラグ」が少ないため、ストレスの少ないゲーミングが可能。逆に入力遅延が遅いモニターだと「ラグ」が目立つのでストレスが溜まりやすい。

このGIF図解はかなり極端な解説になっていますが、だいたいこういう理解で良いと思います。

入力遅延の目安

自分の腕や足を想像してもらえれば良い。例えば、腕を動かそうと思った時に、0.1秒ほど遅れてから動くとほとんどの人は不快感を覚えるはず。というか、病院に行きますよね…。

つまり、人間の感覚は思っている以上に敏感で、0.1秒(100ms)の遅延が起これば絶対に「遅っ!! なんだこのポンコツモニターは!?」と感じるんですよ。

【モニターの仕様】入力遅延の目安
  • 1ms~16ms:ほとんどの人が「ラグはほぼ無い」と感じられる水準(1フレーム以下の入力遅延)
  • 16ms~32ms:だいぶ遅いものの、一般的なゲーマーなら問題無い水準(1~2フレームの入力遅延)
  • 32ms以上:人によってはラグを感じられるし、競技性の高いゲームならストレス要因に(2フレーム以上の入力遅延)

※1フレーム = 一般的な60Hzモニター基準だと「0.016秒」です。144Hzモニターなら「0.007秒」で、240Hzモニターで「0.004秒」になる。

16ms / 32ms / 48ms を体感してみる

【モニターの仕様】入力遅延の違い

32ms(32ミリ秒 = 0.032秒)を超えるとかなり遅い…ということが分かります。競技性の高い「PUBG」「CS:GO」などのFPS / TPSや、格ゲーなどになってくると20ms以下の入力遅延じゃないと気になりやすい。

逆にMMORPGがメインだったり、映画鑑賞などが目的の場合は16ms~32msの範囲であっても十分に許容できる入力遅延です。しかし、32msを超えて、48msや60msになってくると「ポンコツ」だろう。

入力遅延はどのように計測されるか?

ここからは想像以上に専門的な世界でして、理解がかなり難しい。参考にしたのは以下のページです。Google翻訳で読める人はついでに読んでおくと良いかも。

1. ストップウォッチで「ラグ」を観測する

【モニターの仕様】入力遅延の計測方法

Flatpanelshd.comが無料提供している「Input lag test」を使って、モニターの入力遅延を計測可能とのこと。

2つのディスプレイを並べて、一方をクローンモードに切り替え、ストップウォッチを開始する。シャッター速度の速いデジカメなどで写真を撮ると、表示されている「時間」にズレが生じる。

この方法はかなり伝統的な手法ですが、近年のモニターはかなり入力遅延が小さくなっているため正確な計測はあまり期待できない。よって改良されたストップウォッチ手法が開発されることになりました。

2. 「SMTT 2.0」で入力遅延を計測する

【モニターの仕様】入力遅延の計測方法

Thomas Thiemann氏が開発した、DirectX11ベースの入力遅延を計測するソフト。「高精度カウンタ」を用いることで評価に掛かる時間を大幅に短縮したのが特徴。

今までのストップウォッチ形式では評価に時間がかかりすぎるため、入力遅延が極めて少ないモニターの場合正しい計測ができなかったがSMTT 2ではその問題が解決されている。

3. オシロスコープで入力遅延を計測する

【モニターの仕様】入力遅延の計測方法

オシロスコープを使うことでモニターが出力している信号を記録し、その応答時間や入力遅延を極めて正確に計測できる。かなり高い精度を誇る方法だが、問題点はオシロスコープはものすごく高価で汎用的ではないということ。

そして、どれだけハイエンド仕様のオシロスコープを使ったところで、それは正確性を保証するわけではない(他よりは遥かにマシだが)。今のところモニターの入力遅延を計測する「基準」となる方法は存在しないためである。

それぞれの計測方法の「精度」

SMTTの開発者であるThomas Thiemann氏が、独自にそれぞれの計測方法を実行して、入力遅延の精度を確かめたのが以上の図です。計測されたモニターは「NEC LCF2690WUXi」という製品。

見ての通り、計測手法によって同じ製品にも関わらず入力遅延は大きく変わっている。しかし、SMTT 2はオシロスコープとくらべても遜色ない計測精度を実現できています。

コストパフォーマンスを考えれば「SMTT 2」を使って計測するのが今のところ最もベストな入力遅延の検証方法と言える。

しかし、このソフトウェアは利用するためにライセンスキーが必要なんだが、2017年現在は販売を停止しているようで入手が難しい状態です。問い合わせることで対応はしてくれるそうですが…。

個人レベルでも簡単に入力遅延を知る方法

もっとも簡単な方法は「TFT Central」で公開されているレビューを読んで、TFT Centralによって計測された入力遅延を見るというもの。専門家がSMTT 2を用いて計測したデータなので信用性は極めて高いです。

例えば、240Hz駆動のハイエンドゲーミングモニター「ASUS ROG SWIFT PG258Q」の場合。

SMTT 2で映像が表示されるまでにかかった時間を計測し(全体で4.60ms)、そこからピクセル応答時間(1.70ms)を差し引くことで、入力遅延(2.90ms)を推定できるとのこと。

2.90msは16.0msを大幅に下回る数値なので、入力遅延を体感することはほとんど出来ない。「PG258Q」は非常にハイエンドなゲーミングモニターであることが証明された。

コスパ良好なG-SYNC搭載モニター「Dell S2716DG」の場合だと。

表示に掛かる時間は4.25msで、ピクセル応答時間は1.55msと出た。差し引いて推定された入力遅延はわずか2.70msなので実用上は十分過ぎる性能。

結論:表に出ないスペック「入力遅延」はTFT Centralで

ここまで「入力遅延」という、モニター選びで重要な要素でありながらスペック表には一切記載されない「仕様」について解説してきた。

現状はSMTT 2とオシロスコープがもっとも正確な計測手法だが、前者は専用のライセンスキーを必要とし、後者は機材自体がとても高価で現実的ではない。

よって「TFT Central」に掲載されたデータに基づくのがもっともシンプルで簡単な、入力遅延を知る方法です。以上「ゲーミングモニター選びで重要な入力遅延の解説」でした。

この次は「応答速度」が重要

【モニターの仕様】入力遅延の解説

補足に書いたとおり、入力遅延と応答速度は別物。入力遅延が終わったら、次は応答速度というスペックが待っている。

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