データで分かる、グラボを複数使う「SLI」に最適なCPUを解説

シングルボードでは普通の「Core i7」が一番相性が良いことが分かっていますが、グラボを2枚以上使う「SLI」ではどうなのか。SLI環境ではメモリークロックの影響が極めて大きいので、CPUがボトルネックになる可能性も高いのではないか。

さっそく、データにもとづき「SLIに最適なCPU」を見ていこう。

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NVIDIA SLI技術の仕組み

念のため、ちょっと簡単に解説を入れておきます。NVIDIA SLI技術は、複数のグラフィックボードを使って全体的な処理性能を向上させ、シングルボードでは不可能だった性能を手に入れよう…という技術。

そして、グラボを2枚使っても処理性能が2倍にはならない理由が上の画像です。SLIの仕組みは、2枚使う「2-Way SLI」の場合、1枚めが奇数のフレームレートを担当し、2枚めが偶数のフレームレートを担当している。

作業を2人で分担しているようなイメージですね。そのため、シングルボードでは「1人で全力疾走」みたいなことが出来るが、SLIではチームワークも必要なため純粋に2倍~3倍と性能が跳ね上がることはない

メモリークロックが「ボトルネック」になりうる

こちらの記事で解説しているとおり、SLI時はメモリークロックがボトルネックになりやすい。Fallout 4の場合、2133Mhzと4000Mhzでは37%もフレームレートが違っています。

この原因が、作業を2人(または3~4人)で分担していることにある。「1枚終わりましたよ~、2枚目はそっちでお願いします~。」と、次のグラボに伝える時に、メモリークロックが関わってくるからだ。

果たして、CPUにボトルネックはないか?

この記事によれば、グラフィックボードが出せるフレームレートは「CPU性能の影響を濃厚に受ける」ことが分かっている

そしてそれは、グラフィックボードが処理するフレーム枚数が多ければ多いほど(例:秒間100~200枚という単位)、CPUの性能がボトルネックになる確率が上がることも…。

SLI化によって、映像処理の能力はシングルボードと比較して飛躍的に上昇するため、ゲーミングで最強のCPU「Core i7 7700K」ですら、ボトルネックになりうる可能性がある。

と…言っても。何事もデータを見てみないと判断できないため、本題に行きますね。

SLIに最適なCPUを「データ」で確かめる

検証に使われたグラフィックボードは「ASUS R.O.G. STRIX GeForce GTX 1080 Ti」という製品。3連ファン採用の「オーバークロックモデル」で、FE版と比べて5~8%程度高い性能を発揮します。

Paul’s Hardwareでは、このグラボを「2-Way SLI」化して各種データの収集が行われた。CPUはハイエンドなモノが4種使われており、その中で最も最適なCPUはどれなのか…ということを確かめる。

テスト環境 – i7 7700K
CPUCore i7 7700K @4.8Ghz
GPUASUS STRIX GTX 1080 Ti OC (2-Way SLI)
メモリDDR4-3200 8GB*2(16GB)
M/BGigabyte AORUS Z270X Gaming 7
ストレージIntel 600P 512GB (NVMe)
電源ユニット1000W 80+ PLATINUM
OSWindows 10 Pro 64bit
ドライバーNVIDIA GeForce 374.76 WHQL

4.80Ghzにオーバークロック済み。

テスト環境 – i7 7740X & 7820X
CPUCore i7 7740X @5.1 Ghz
Core i7 7820X @4.6 Ghz
GPUASUS STRIX GTX 1080 Ti OC (2-Way SLI)
メモリDDR4-3200 8GB*2(16GB)
M/BMSI X299 Gaming M7 ACK
ストレージOCZ RD400 512GB (NVMe)
電源ユニット1200W 80+ PLATINUM
OSWindows 10 Pro 64bit
ドライバーNVIDIA GeForce 374.76 WHQL

4コア8スレッドの「i7 7740X」は5.1Ghzに、8コア16スレッドの「i7 7820X」は4.6Ghzにオーバークロック済み。

テスト環境 – Ryzen 7 1800X
CPUAMD Ryzen 7 1800X @4.0 Ghz
GPUASUS STRIX GTX 1080 Ti OC (2-Way SLI)
メモリDDR4-3200 8GB*2(16GB)
M/BASUS Crosshair VI Hero X370
ストレージPatriot Hellfire 480GB (NVMe)
電源ユニット1000W 80+ PLATINUM
OSWindows 10 Pro 64bit
ドライバーNVIDIA GeForce 374.76 WHQL

8コア16スレッドの「Ryzen 7 1800X」は4.0Ghzにオーバークロック済み。同じ8コアの「i7 7820X」と600Mhzもクロック差があるので、なんかもう…死亡フラグ…立った感ある。

3DMark Fire Strike Ultra

3DMark FireStrike – Ultra

  • 1080 Ti + 7700K
    14674
  • 1080 Ti + 7700K
    7333
  • 1080 Ti + 7700K
    7219
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    14968
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    14371
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    13138
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    16214
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    14528
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    13391
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    20556
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    14462
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    13366
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    21509
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    14445
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    13745
CPU Physics Score
Graphics Score
OverAll

3DMark FireStrikeはグラフィックボードのベンチマークに多用されているが、実際のところグラボの評価方法としてはやや難点が多いので注意。

3DMark FireStrikeのスコアは、グラボの処理性能だけでなく、CPUの処理性能も含む「独自の重ね付け」が行われているので…参考にする程度で良い。

ここから分かることは、「i7 7820X」の処理性能は非常に高いということ。それらと比較して「i7 7700K」はやはり低性能だ。

3DMark VRMARK – Blue Room

VRMARK Blue Room – 平均fpsとスコア

  • 1080 Ti + 7700K
    67.4
  • 1080 Ti + 7700K
    3044
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    77.3
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    3544
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    77.1
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    3538
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    74.6
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    3421
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    76.2
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    3496
平均フレームレート(Avg Fps)
スコア

次はVRゲーミングの処理性能を実測できる「VRMark Blue Room」を検証。結果は少し興味深いものになっていますね。

SLIゲーミングでは、割りと「i9 7900X」などぶっ飛んだCPUを推奨するサイトなどが見当たりますが…このデータを見る限りでは正しいアドバイスでは無いことが分かります。

4コア8スレッドの「i7 7700K」「i7 7740X」がもっともボトルネックが少なく、逆にCPUの処理性能は優れているはずの「Ryzen 7 1800X」や「i7 7820X」は思ったよりも良い成績ではない。

Grand Theft Auto V

GTA V – 4K(3840×2160) / 最高設定(DX11) – 平均fpsとスコア

  • 1080 Ti + 7700K
    79.8
  • 1080 Ti + 7700K
    48.5
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    139.3
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    88.5
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    144.1
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    91.7
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    121.5
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    75.2
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    138.5
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    85.5
平均フレームレート(Avg Fps)
最低フレームレート(全体の1%)

GTA Vでも検証。4K画質、最高設定、DX11にてフレームレートを計測したのが以上。SLI化によってフレームレートは約70%ほど伸びています。

さて、肝心のボトルネックだが…やはり4コア勢が非常に強い。逆に8コア勢は苦戦しており、4.0Ghzで動いている「Ryzen 7 1800X」はなおさら苦戦を強いられていますね。

For Honor

For Honor – 4K(3840×2160) / 最高設定 – 平均fpsとスコア

  • 1080 Ti + 7700K
    68.5
  • 1080 Ti + 7700K
    44.6
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    125.9
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    85.5
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    128.2
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    84.7
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    125.2
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    91.7
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    124.9
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    85.8
平均フレームレート(Avg Fps)
最低フレームレート(全体の1%)

For Honor(4K画質 / 最高設定)ではこんな感じ。平均フレームレートではあまり差は出ていませんが、最低フレームレート(全体の1%)ではやや特徴的な傾向が出ています。

なぜか「Ryzen 7 1800X」がいい具合に安定している。他のインテル勢はどれも似た数値を出している。うーん…For Honorは最適化が割りと良い感じ、ということかもしれない。

Sniper Elite 4

Sniper Elite 4 – 4K(3840×2160) / ウルトラ(DX11) – 平均fpsとスコア

  • 1080 Ti + 7700K
    77.2
  • 1080 Ti + 7700K
    56.4
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    113.5
  • SLI + 7700K @4.8Ghz
    91.7
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    114.5
  • SLI + 7740X @5.1Ghz
    90.9
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    113.1
  • SLI + 1800X @4.0Ghz
    90.9
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    110.7
  • SLI + 7820X @4.6Ghz
    85.6

これも面白い結果。4コア勢は安定して強いですが、「i7 7820X」が「Ryzen 7 1800X」に一歩劣るパフォーマンスを示しているのがちょっと不思議。基本的には4コア勢が今のところ一番優秀。

結論:SLIゲーミングは意外と4コアCPUで行ける

ここまでのデータを見る限り、CPUの処理性能としては圧倒的なはずである「Ryzen 7 1800X」や「Core i7 7820X」は思っていたよりもボトルネックが発生してしまった。

それに対して4コア搭載の「Core i7 7700K」と「Core i7 7740X」は非常に良好なパフォーマンスを示し、特に5.1Ghzで動作している「i7 7740X」は抜群の安定性を記録。

  • 平均フレームレート重視:Core i7 7740X
  • 最低フレームレート重視:Core i7 7700K

ということに。コストパフォーマンスを考えれば、導入コストが遥かに安い「Core i7 7700K」で十分と言える。「7740X」は4コア勢では最強に近い存在だが、マザーボードが高価なんですよ…。

SLI搭載のBTOを選ぶ時のヒント

今回の記事。ドスパラのこれを見て、ふと思ったのがきっかけです。なんか、10コアCPUで圧倒的性能を発揮…と書いてあるけれど、ゲーミングにおいて本当に必要なんだろうか…と疑問に思ったわけ。

少なくとも今回分かった範囲では「i7 7820X」は「i7 7700K」にも劣るゲーミング性能でした。更に高価な「i7 7920X」なら、もっと良い性能を出せるかは分からないが。

間違いないのは、20万円以上の差額を払ってまで手に入れるほどの性能差では無いということです。結論、2017年時点ではSLIゲーミングには「i7 7700K」で十分な性能だ。

以上「データで分かる、グラボを複数使う「SLI」に最適なCPUを解説」でした。

SLIならメモリーにコストを掛けよう

「Core i7 7700K」以上のCPUは、今のところ必要無さそうなので、メモリークロックにお金を掛けたほうが得られる効果はずっと大きい。

おすすめのDDR4メモリーはこっちの記事。個人的にはコルセアの「DOMINATOR PLATINUM」が安定性抜群のOCメモリーなので好きですね。

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3 件のコメント

  • このベンチだけで言われても評価できないのでは?
    基準がなぜ7700K定格のSLIでないののか?
    ゲームがなぜGPU重視のゲームだけなのか?
    そのあたりが疑問です。

    • 参考にしたデータベースは確かに、オーバークロックされている点が疑問かもしれません。ただ、ぼくとしてはそこまで問題とは思っていません。このデータから分かることは、ゲーミング性能は依然として「コアの多さ」よりも「クロック周波数」の高さの方が重視されている。ということが分かったからです。

      現状のゲーミングは、4コアを満たせればそこから先は「1コアあたりの性能」が勝敗を分けます。もしコア数の影響が4コアを超えても大きいのであれば、OCされたi7 7700Kなんて簡単に倒せるはずです。現実にはRyzen 7もi7 7820Xも、i7 7700Kに対して圧倒的な性能を見せることは出来ていません。

      参考になれば幸いです。

  • 言いたいことは分かります。だからこCPU負荷が高いゲームで比較したデータでないと差が解りにくいと思います。
    Grand Theft Auto V以外は計測誤差範囲に見えるのですが。
    参考動画ではグラボの冷却(室内気温など)で簡単にこの位の差が出てしまうよな環境に見えます。

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