データで分かる、ゲームをするのに最適なCPUを徹底解説

ゲーム用のパソコンについて考える時、ちょっと悩むのが「ゲームをするのに向いているCPUってなんだろう?」ということだろう。グラボさえ良ければいいのか、あるいはCPUも重要なのか。データ(根拠)をしっかり使って、PC初心者にも分かりやすいようにゲームに最適なCPUについて徹底解説してみる。

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根拠無き「ゲームに最適なCPU」論

少しパソコンに詳しい人なら「ゲームってグラフィックボードが大事なんでしょ、別にCPUはある程度のモノがあれば十分では?」と思うだろう。確かにゲームにおいては「グラボ」が一番大事です。しかしCPUの性能も意外と重要だ。

よく聞く説明が「4コアCPUなら行ける。Core i5かi7を使えば問題ない」という趣旨の解説だが、正直なところ根拠に欠ける。じゃあ、AMDの格安4コアCPUでも大丈夫なんだろうか。AMDなら1万円で4コアCPUが買えるぞ。

そして「4コア以下のCore i3やPentiumはダメダメ」という趣旨の解説も多い。なぜダメなのか、3Dゲームの負荷は重たいから性能の低いCPUを使うとフレームレートが出ないそうです。本当にそう言い切れるだろうか?

データで分かる、ゲーム向けのCPU

ぼくは何事も「根拠」がなければ物事の正確な判断はできないと考えている。「根拠」つまり「データ」に基いて、ゲーム向けのCPUとはどのようなモノなのか検証していこう。

同じグラフィックボードでもCPUによって性能が変化する!

CPU別フレームレート / PUBG / フルHD(1920×1080) / 中間設定
Core i7 7700K : 113.2
Core i7 7700K : 75.3
Core i7 5930K : 109.9
Core i7 5930K : 70
Ryzen 7 1700 : 102.2
Ryzen 7 1700 : 68.4
Ryzen 5 1600 : 100.7
Ryzen 5 1600 : 63.5
Core i5 7500 : 101.3
Core i5 7500 : 61.1
Ryzen 5 1500X : 99
Ryzen 5 1500X : 61.1
Ryzen 4C/4T : 93
Ryzen 4C/4T : 59.8
Core i3 7100 : 74.4
Core i3 7100 : 45.2
平均フレームレート
最低フレームレート(全体の1%)

さっそく見てほしいのがこれだ。使用されたグラフィックボードは「GTX 1080 8GB」で、フルHD画質を完全に制覇しているハイスペックGPU。これをCPU別にフレームレートを計測していくと、なぜか同じフレームレートが出ないということが明らかになる。

グラボの性能は足りているはずなのに、CPUが違うだけで実際のフレームレートはこんなにも変わってしまう。「Core i7 7700K」だと平均113.2fps出せるのに、「Core i5 7500」では平均101.3fpsに下がってしまった。

これが「ボトルネック」と呼ばれている現象で、グラフィックボードが1秒間に処理する情報量が多くなればなるほど、それを画面やメモリに運んだりする処理※1にCPUが追いつけなくなってしまうのだ。

図にするとこんな感じ。グラボは5枚の映像を描写したつもりですが、CPU側の性能が追いつけずに実際には2枚の映像しか処理できなかった…。結果として、同じ性能のグラボでもCPU性能によってフレームレートは変化してしまうのです。

※1:厳密にはもっと複雑なプロセスですが、説明を簡単にするためにかなり大雑把な説明にしています。

2コアCPUの「Core i3」や「Pentium」も普通に使えます

勘の良い人は気づいたと思う。「グラボの性能が良いほどボトルネックは起きやすい?…つまり、グラボが雑魚ならCPUが雑魚でもOK?」という具合に。これはその通りで、低性能のグラボならCPUも低性能で構わない。

GTX 1050 Ti 2GB / Overwatch / フルHD(1920×1080) / ウルトラ設定
Core i7 6700K : 111
Core i5 7600K : 111
Core i3 7350K : 111
Pentium G4560 : 110

15000円くらいの「GTX 1050 Ti」だと、どのCPUを使ってもフレームレートにほとんど差は出ていないのが分かる。2コアのPentiumだろうが、4コアのCore i5だろうが、出せるパフォーマンスは同じだ。

GTX 1060 6GB / Overwatch / フルHD(1920×1080) / ウルトラ設定
Core i7 6700K : 181
Core i5 7600K : 180
Core i3 7350K : 177
Pentium G4560 : 155

25000円ほどの「GTX 1060 6GB」にグラボをアップグレードすると、Pentiumでは力不足ということが分かりますね。それでもCore i3は十分に仕事を果たしており、「2コア以下はダメ」という決めつけがいかに乱暴か、わかったと思う。

GTX 1080 8GB / Overwatch / フルHD(1920×1080) / ウルトラ設定
Core i7 6700K : 281
Core i5 7600K : 244
Core i3 7350K : 203
Pentium G4560 : 171

5万円台のハイエンドGPU「GTX 1080 8GB」を使うと、2コアのPentium / Core i3は完全に脱落。4コアのCore i5ですらGTX 1080の処理能力に追いつけていない。「4コアなら大丈夫」という解説も、一概に正しいとはいえませんね。

ゲーム向けに「4コアCPU」は正しいのか?

GTX 1080 Ti 11GB / Rise of Tomb Raider / フルHD(1920×1080) / 最高設定
Core i7 7700K : 126.8
Core i5 7600K : 124.1
Ryzen 5 1400 : 97.4
Ryzen 3 1300X : 95.2
Ryzen 3 1200 : 97.4

2017年7月に登場したAMDのエントリー向け最新CPU「Ryzen 3」は、どれも4コア4スレッドのCPUです。「Ryzen 5 1400」も4コアCPU。しかし、このフレームレート結果を見る限りでは「4コアCPUなら大丈夫」という解説は、あまり正しくないのがよく分かる。

CPUに4コア入っているのは必要条件だが、実はもうひとつ条件があるんですよ。

「Cinebench R15」によるシングルスレッド性能のベンチマークスコア
Core i7 7700K : 196cb
Core i5 7600K : 184cb
Ryzen 3 1300X : 147cb
Ryzen 5 1400 : 135cb
Ryzen 3 1200 : 131cb

Cinebench R15という、CPUの性能をものすごく客観的に計測できるベンチマークソフトで「1コアあたりの性能」を計測してみると、同じ4コアCPUでも1コアあたりの性能(シングルスレッド性能)が全然違うということが分かりますね。

つまり、ゲームに向いているCPUの条件とは…

  1. コア数ができれば4個以上のマルチコアCPU
  2. 1コアあたりの性能が高いCPU

この2つを満たすのが「ゲーム向けのCPU」として扱ってもいいCPUということだ。

補足:オーバークロックはゲームに関係ありますか?

Overwatch – フルHD(1920×1080) / 最高設定 / Core i7 7700K VS Ryzen 7 1700
Core i7 7700K @4.9Ghz :246
Core i7 7700K @4.9Ghz :186
Core i7 7700K :246
Core i7 7700K :185
Ryzen 7 1700 @3.9Ghz :209
Ryzen 7 1700 @3.9Ghz :154
Ryzen 7 1700 :202
Ryzen 7 1700 :148
平均フレームレート(Avg Fps)
最低フレームレート(全体の1%)

はい。オーバークロックとゲームのパフォーマンスに関係はあります。

ゲームによって効果に差はあるけれど、基本的にオーバークロックすると「1コアあたりの性能」が上がるので結果的にゲーミング性能もアップします。上記のグラフでも、オーバークロックを行うことでフレームレートが少しだけ上昇していますね。

ゲーム向けのおすすめCPU

ここまで説明したことをまとめます。

  • グラボが高性能だと、ボトルネックは起こりやすい
  • グラボが低性能だと、ボトルネックはほぼ起こらない

4~5万円するような「GTX 1070」や「Radeon Vega 56」といったハイエンドGPUを使うなら、CPUもそれにふさわしい「Core i5 7600K」や「Core i7 7700K」が必要になってくる。

逆に1~2万円くらいの「GTX 1050 Ti」や「Radeon RX 570」といったミドルクラスGPUなら、CPUは「Core i3 7350K」や「AMD Ryzen 5 1400」でも大丈夫です。

  • ほとんどのゲームソフトは、4コアまでしか対応していない(稀に6コア対応があるくらい)
  • ゲームには「コア数」だけでなく「1コアあたりの性能」がとても重要

この2つも忘れずに。世の中に出回っているほとんどのゲームが、多くても4コア対応です。たまに6コア対応しているゲーム(例:黒い砂漠)がありますが、ほとんどは4コアまでだ。

だからゲーム向けのCPUは、4コア入っていて、1コアあたりの性能(シングルスレッド性能)に優れたモノを選べば大丈夫ということ。

ゲーム向けCPU使うグラボ備考
Core i7 7700KGTX 1070 以上4万円以上オーバークロックするなら「K」付きモデル
Core i7 7700オーバークロックしないなら無印で大丈夫
Core i5 7500GTX 1060 以上2万円以上2万円超えのグラボを使うならCore i5以上がおすすめ
Core i3 7350KGTX 1050 Ti 以上1.5万円以上この価格帯のグラボなら、2コアCPUでも大丈夫です
Pentium G4560GTX 1050 / RX 460 以上1万円以上1万円台の安価なグラボなら、Pentiumでもボトルネックはほぼ発生しない

分かりやすいよう表にまとめてみた。ゲームメインの使い方なら、この表のとおりで間違いないです。

ゲーム以外にも作業をさせるなら、ワンランク上のCPUを

まとめた表を鵜呑みにすると、少し不都合があるので補足します。

えっとですね、たしかにゲームプレイを前提とした使い方であれば、表のとおりで間違いないし参考にしてもらって全然かまわない。しかし、他にも色々と作業をさせる「マルチタスク」を想定しているなら注意してください

  • ゲームをしながら「録画」したり「動画エンコード」をしたい(=ゲーム実況者)
  • ゲームをしながら、iTunesやYoutubeで音楽をかけたりしたい(=ゲームのBGMに飽きた人)
  • ワンパターンな作業中に、高画質なアニメや映画を見て暇をつぶしたい
  • (ぼくの場合)Chromeで50~100タブくらいつけてしまうので2コアではカクカクしやすい

このように、複数のソフトウェアを同時に使うという「マルチタスク」においては、CPUのコア数が本当に重要になってくる。だからもうひとつ表を用意しました。

おすすめCPU想定しているマルチタスク
Pentiumでも大丈夫ゲーム + ウェブ閲覧(Chromeで多くても10~20タブくらい)
Core i3でも大丈夫ゲーム + ウェブ閲覧(ニコ動やYoutubeなど、負荷の大きいページも見る)
Core i5は欲しいゲーム + Office系 + Adobe系 + イラスト系
ゲーム + 録画
Core i7が欲しいゲーム + 動画エンコード(x264 / x265の2Passエンコードなど)
Ryzen 7で解決ゲーム + 動画エンコード(Core i7よりも更に速く終わらせたい)

こんな感じですね。「ちょっと分かりづらいので、もう少し考え方を…」という人向けに、ぼくが選んだCPUについて根拠を紹介しておきます。

Chromeで50タブくらいは平気でやるし、Adobe PhotoshopやIllustratorも使うし、Youtubeもガンガン再生するし(あと、Aviutlで短い動画のエンコードもする)。そしてグラボはミドルクラス(Radeon RX 470)だから…、CPUは「Ryzen 5 1400 @3.6Ghz」を選んだ。ちなみに前は「Core i5 2500K @4.0Ghz」を使ってました。

という具合に考えればいいかと。もし、このマルチタスク具合でグラボに「GTX 1060 6GB」を使うなら「Core i5 7500」にした方がいいし、「GTX 1080 Ti」を考えているなら「Core i7 7700K」ですね。

以上「データで分かる、ゲームをするのに最適なCPUを徹底解説」でした。ゲーム用にパソコンを調べている人の参考になれば幸いです。

CPU関係で参考になる記事たち

最後に登場した「Ryzen 7」はゲーム向けなのか、気になった人向けの記事です。エンコードは圧倒的だが、ゲームに関してはやはり「i7」が強いので、ゲーム用にRyzenを考えているならぜひ読んでおきたい。

CPUの性能をデータでもっと知りたい。という人におすすめな記事。

追記:「メモリクロックは関係ありますか?」

コメント欄より「あとはメモリも大事になってくるのではないでしょうか?」という質問があったので、参考になる記事へリンクを張っておきます。結論を言うと、コストの割には効果が少ない…といったところです。

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5 件のコメント

  • なにごともバランスですよね。高性能なGPU積むのであればやはりCPUもそれなりにないといけません。あとはメモリも大事になってくるのではないでしょうか?

    • ゲーミング性能は本当にバランスですね~。メモリー(メモリクロック)は体感するほどの差は得づらいですが、効果が出やすい例外もあります。
      ・FF14、Metro Last Lightなど、一部のゲーム(メモリクロックが速いほど、フレームレートが出やすい)
      ・CPUに「AMD Ryzen」を使っている場合(これもメモリクロックが速いほど、フレームレートが改善します)
      これらに該当しない場合、メモリクロックは普通の「DDR4-2133」で大丈夫。該当するなら「DDR4-2666」や、欲を言えば「DDR4-3200」あたりが欲しいところ。
      参考:PCの性能アップのためにメモリーの速度は速い方が良いのか?

  • 某所でH.265のエンコードでRyzen7 1700Xがi7-7700kをカス扱いするレベルで圧倒していてビックリしました。
    ホントcpuって用途次第。
    ゲームだけなら7700kで十分ですが、私はエンコの短縮目指したいので1700Xです。

    • 配信もするなら、Ryzen 5 1600X搭載のガレリアDATの方が良いです。Core i5 7500と比較して、Ryzen 5 1600Xはシングルスレッド性能も高く、マルチスレッド性能も圧倒的。あとはメモリーを8GBから16GBに増設すれば問題ないですね。

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