サーバー市場を制するのは「Xeon Platinum」と「AMD EPYC」のどちらなのか?

2017年8~10月にかけて、Xeon独占状態のサーバー市場に大きな変化が訪れそうです。AMDが開発した「EPYC」と、インテルのSkylake-XP世代の最新「Xeon」が正面衝突するためだ。この記事ではどちらがサーバー市場で優位に立てるのかをまとめてみる。

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まずは新型XeonとEPYCのラインナップを

AMD EPYCのスペックと特徴

 EPYCコア / スレッドCPUクロックL3 Cache対応メモリPCIeTDP想定価格
ベースブーストXFR
EPYC 760132 / 642.202.703.264 MB8x DDR4-26668 x16 128PCIe180W$4200
EPYC 755132 / 642.002.553.0180W$3400
EPYC 750132 / 642.002.603.0155W/170W$3400
EPYC 745124 / 482.302.903.2180W$2400
EPYC 740124 / 482.002.803.0155W/170W$1850
EPYC 735116 / 322.402.9155W/170W$1100
EPYC 730116 / 322.202.7155W/170W$800
EPYC 728116 / 322.102.732 MB155W/170W$650
EPYC 72518 / 162.102.9120W$475

以前にもまとめた通りです。「EPYC」はZeppelinダイを4個搭載することで最大32コアものCPUを、インテルに対して極めて競争力のある安価な価格設定を提示できるようにしている。ダイサイズが大きいほど歩留まりは悪化するからね。

EPYCの特徴は…

  • 1コアあたりの価格が安い
  • ブースト時のクロックでさえ中々3.0Ghzを超えない
  • L3 Cacheが64MBと多い
  • オクタチャネルのメモリーに対応
  • 128本のPCIeレーン数
  • 対応ソケット数は「2」

ということだ。

 シングルソケットモデル

表には載せていませんが、更に安価なシングルソケットモデルも用意されている。32コアCPUが2100ドル(想定価格)だから、これもインテルにとって驚異的な存在になるかもしれない。

Xeon Platinumのスペックと特徴

Xeon Platinumコア数ベースクロックターボクロックL3 CacheL3 / コアTDP想定価格
8180282.53.838.501.375205$10009
8180M282.53.838.501.375205$13011
8176282.13.838.501.375165$8719
8176M282.13.838.501.375165$11722
8176F282.13.838.501.375173$8874
8170262.13.735.751.375165$7405
8170M262.13.735.751.375165$10409
8168242.73.733.001.375205$5890
8164262.03.735.751.375150$6114
8160242.13.733.001.375150$4702
8160M242.13.733.001.375150$7704
8160T242.13.733.001.375150$4936
8160F242.13.733.001.375160$4856
8158123.03.724.752.063150$7007
815643.63.716.504.125105$7007
8153162.02.822.001.375125$3115

中国で流出したサンプル品は「8176」が中古価格3000ドル程度だったが、まさか新品価格が8000ドルを超えているとは想像もできなかった。Xeon Platinumって、こんなに高いんですか。いくら歩留まりが悪いといえ、既に分が悪い印象です。

特徴をまとめていくと…

  • 1コアあたりの価格がずいぶんと高価
  • 特殊仕様が存在する
  • クロック周波数が全体的に高い
  • よってTDPも全体的に高い
  • 対応ソケット数は最大で「8」

なお、クロック周波数はコア数を考えると異常な水準ですが、実際に全てのコアがこのクロック周波数で動くわけではありません。コアによって最大クロック周波数は制限されている、ちょっと変わった仕様になってます。

EPYCと比較すると「特殊仕様」の存在も気になるところ。同じスペックでも語尾に「M」がつくと価格が20~30%も上昇する。これは拡張DRAMモデルで、対応できるメモリ容量がさらに増えるバージョン。

「F」は詳細は分かりませんが「OmniPath」と呼ばれています。「T」は10年程度の耐用年数を想定した、高耐久モデル(英語表記は10yr Life)。

語尾に何もついていないが「8156」も異質な仕様ですね。4コアでありながら価格は7007ドル。理由はスペックを見ての通りで、1コアあたりのL3キャッシュが4.125MBもあります。レイテンシーを重視する顧客に需要があるんだろうか…(HFT…とか?)。

現時点のまとめ

とりあえずXeon高すぎるのでEPYCで良いでしょう(投げやり感)。

「Xeon Platinum」VS「EPYC」ベンチマーク

米国の著名リークサイト「ANANDTECH」がSizing Up Servers: Intel’s Skylake-SP Xeon versus AMD’s EPYC 7000 – The Server CPU Battle of the Decade?にて、ベンチマークをいち早く公表しているのでそちらを参考に見ていきます。

LZMAによる圧縮と解凍

圧縮はやはり、キャッシュの効率に優れているXeonがEPYCよりも早い結果に。EPYCに対して20%ほど高速だが、値段が倍くらい違うのでまったく許せる性能差だ。

解凍速度はEPYCが見事に、価格が2倍のXeonに勝利。性能差は10%だが、半額でXeon並に性能が出せるなら見事なものだと思います。なお、ANANDTECHによれば解凍速度が速いのはEPYCが4つのダイから構成されているのも要因らしいです。

Sysbench 1.0.7によるデータベースベンチマーク

L3キャッシュのレイテンシに違いがあるせいか、あまり性能を発揮できないEPYC。とはいっても、ここの性能に関しては本当に価格通りといったところだろう。半額で性能も半分くらいなんだから、ある意味で妥当な結果と言える。

応答時間も同様の結果で、EPYCは6.3ミリ秒に対して、Xeonは2倍ほど高速な3.5ミリ秒でした。

SPECJBBでJavaのパフォーマンス検証

EPYCとXeon Platinumがほぼ同格の結果。純粋にコストパフォーマンスはEPYCの方が2倍も高いということを意味している…。

Apache Sparkによるビッグデータの処理性能

膨大な時間が必要になるビックデータの処理性能を競ったベンチマーク。Xeon PlatinumとEPYCは概ね互角の性能を記録しており、ここでもやはりEPYCのコストパフォーマンスの高さが垣間見れる。

浮遊小数点(FP)性能

C-rayはL1キャッシュの容量がモノを言うベンチマークだが…。なぜか、EPYCが猛威を奮っている。理由は単純で、EPYCが4つのZeppelinダイから構成されているからです。なるほど、物理的にCPUが4つあるような形式を取ると、こういうところで強くなるんだな…。

次はL2キャッシュが重視されるPOV-RayでFP性能を測る。予想に反してやっぱりEPYCが強い。

NAMDテストで計測しても、やはりEPYCが強い。Xeon Platinumは設計上の限界に到達している可能性が高いといえる。所詮は第6世代の「Skylake」ですから…。

最新のデータセットを用いても結果は変わらず、EPYCが強いままでした。

ベンチマークまとめ

L3キャッシュのレイテンシーが問われるテストでは負けてしまいましたが、それも価格を考慮すれば全く問題にならない性能差でした。それ以外のテストでは互角、または格上と良好な結果に。

  • EPYC 7601:4200ドル
  • Xeon Platinum 8176:8719ドル

今回相手にしたのは、価格が108%も高価な「8176」です。約2.1倍も値段が高いCPUに対して、これだけの性能をEPYCは叩き出せたんだからコストパフォーマンスが神水準なのは言うまでもない。

電力消費

CPUTDP(公称値)アイドル時MySQLテスト時(ピーク)POV-Rayテスト時(CPU使用率100%)
Dual Xeon E5-2699 v42×145 W106412425
Dual Xeon 81762x165W190300453
Dual EPYC 76012x180W151321327

性能やコストパフォーマンスだけでなく、消費電力という面でもXeonは大きな問題を抱えているようだ。

AMDのEPYCは、公称値が180W(デュアルソケットで360W)です。実際にCPU使用率が100%に達した時、消費電力は327Wと公称値に収まっていることが分かる。

それに対してXeonはどうだろう。公称値はデュアルソケットで330Wほどだが、実際に消費した電力消費はCPU使用率100%時で453Wと、公称値を50%もオーバーランしてしまっている。

 公称値の定義

AMDは「最大値」で、Intelは「平均値」を公称値に採用しているという。どちらにせよ…Intelの分が悪いのは間違いないですね。

結論、EPYCはかなり競争力のあるCPU

1コアあたりの価格と、実際のパフォーマンスを見た限りでは、AMDのEPYCは間違いなくインテルのXeon勢に対してかなりの競争力を持っていることが伺える。もちろん懸念される点もあります。

  • EPYCはデュアルソケットまで
  • Xeonは最大8ソケットまで対応

ただし、このソケット対応数は思っている以上に大きな課題ではないようです。デュアルソケットで十分だとするバイヤーも増えており、別に8ソケットが無くてもコスパが良ければ…という感じ。

  • XeonはAVX-512をサポート
  • 高いクロック周波数による、優れたシングルスレッド性能

Xeonはこのような強みも持っているため、極めて高度なHPCアプリケーション(高性能計算)を行う場合はXeonに軍配が上がる部分はあるかもしれない。

低価格帯のサーバー市場は圧倒

以上のように、依然として極めてハイエンドな用途を想定した場合はXeon側が有利なわけだが、それよりも下の分野ではEPYCはものすごく競争力がある。

小規模(中規模)データセンターや、クラウドベンダーにとって、低価格で高い性能を得られるEPYCは非常に魅力的な存在です。実際にマイクロソフトはAzure Cloud データセンター向けにAMDのEPYCを導入し始めている。中国の百度(Baidu)もだ※。

※ソースはGeekWireの「Microsoft Azure, Baidu embrace AMD’s new Epyc data center processor」より。

以前はOpteronでサーバー市場で猛烈な存在感を見せつけたAMDだったが、その後はXeonに抑されて一気に市場シェアを失ってしまった。しかし、このEPYCでかなり押し返せると思ってます。

現在は5%未満のシェアだが、AMDはこれを約20%までEPYCで押し返すことを目標にしている。30%まで行けるという話を聞いたこともあるが、AMDの生産可能なロット数から20%程度が妥当なんだろう。

本当に取り返せたら非常に楽しみ。EPYCの次は7nmプロセスで製造される「Rome」世代が待っているわけですし。以上「サーバー市場を制するのはXeon PlatinumとAMD EPYCのどちらなのか?」でした。

 制するのはどちらか

サーバー市場のシェア全体を見れば、そりゃまだまだXeonには余裕があります。ここ数年、AMDはずっとインテルに侵略されてしまったわけですから。

だからこのEPYCだけでは制しきれない。取れても20%くらいというのがAMDの予想です。逆に言えばたったこの1世代で20%も取れるというんだから、設計者ジムケラーさんは天才ですね。

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