Core i9を脅かす、神コスパの「Ryzen Threadripper」をまとめ

「Ryzen」でCore i5 / i7を焼き払って(i7はしぶといが)、「EPYC」でHEDT向けXeonを滅却して、次は「Ryzen Threadripper」でCore i9を焼却予定。そんなRyzen Threadripperについて、ちょっとまとめておく。

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「Core i9」と「Ryzen Threadripper」のラインナップを確認

Ryzen Threadripperのスペックと特徴

世代Zen
CPU名Ryzen Threadripper
19001900X19201920X1930X19401940X19501950X
コア数101012121214141616
スレッド数202024242428283232
ベースクロック3.1 Ghz3.6 Ghz3.0 Ghz3.5 Ghz3.6 Ghz3.2 Ghz3.5 Ghz3.2 Ghz3.4 Ghz
ブーストクロック3.7 Ghz3.9 Ghz3.7 Ghz3.7 Ghz4.0 Ghz3.7 Ghz3.9 Ghz3.6 Ghz3.8Ghz
XFR未実装4.0 Ghz未実装3.8 Ghz4.1 Ghz未実装4.0 Ghz未実装3.9 Ghz
L2 Cache5 MB?6 MB?7 MB?8 MB?
L3 Cache20 MB24 MB28 MB32 MB
PCIeレーン数64
対応メモリx4 DDR4-3200
対応ソケットAMD TR4
TDP125 W150 W
希望小売価格$799$ 849?$999
 2017/08 追記:AMD公式より、詳細情報が判明したThreadripperのみを以下にまとめた。
世代Zen
CPU名Ryzen Threadripper
1900X1920X1950X
コア数81216
スレッド数162432
ベースクロック3.8 Ghz3.5 Ghz3.4 Ghz
ブーストクロック4.0 Ghz4.0 Ghz4.0 Ghz
XFR4.2 Ghz4.2 Ghz4.2 Ghz
L2 Cache4 MB6 MB8 MB
L3 Cache16 MB32 MB32 MB
PCIeレーン数64
対応メモリx4 DDR4-3200
対応ソケットSocket TR4
TDP180W180W
希望小売価格$549$799$999
国内価格115800円(税別)145800円(税別)
発売予定日2017年8月31日2017年8月10日

Ryzen Threadripperの中身は基本的には「Ryzenを2個詰め込んだ」もの、と思えば大丈夫。だからスペックはそのままRyzenの2倍になっている。インテルのCoreプロセッサと違って、同じダイを組み合わせているために非常に安価に仕上がってます。

特徴をまとめると…

  • Ryzenを2個詰め込んだCPU
  • 1コアあたりの価格が安い
  • 豊富なPCIeレーン数によって、高いI/O帯域幅を期待できる
  • CPUソケットはTR4へ以降、大型化

安価ながらもインテルの同価格帯よりも強力というコンセプトが伝わってくる。特に12コアCPUが799ドル、16コアは999ドルと全てのラインナップが1000ドルを切っているのもすごい。

 追記:国内価格はボッタクリでは?

ただし、新たに判明したスペック情報を見ると、米国での希望小売価格に対して国内価格が盛られすぎてコストパフォーマンスを享受できない状況に陥っている。確かに、Core i9 7900Xは12万円くらいが初売り価格でしたから、これはボッタクリ価格でしょう…。

AMDは日本市場をあまり重視していないのか、単に代理店がやりたい放題やっているだけなのか。どちらにせよ舐められたようでいい気分ではない。AMD派だけに…。

Skylake-X世代Core i9のスペックと特徴

世代Skylake-X
CPU名i7 7800Xi7 7820Xi9 7900Xi9 7920Xi9 7940Xi9 7960Xi9 7980XE
コア数681012141618
スレッド数12162024283236
ベースクロック3.5 Ghz3.6 Ghz3.3 Ghz
ブーストクロック24.0 Ghz4.3 Ghz4.3 Ghz
ブーストクロック3未実装4.5 Ghz4.5 Ghz
L2 Cache6 MB8 MB10 MB12 MB
L3 Cache8.25 MB11 MB13.75 MB16.5 MB
PCIeレーン数2844
対応メモリx4 DDR4-2400x4 DDR4-2666
対応ソケットLGA 2066
TDP140 W140 W140 W165 W
希望小売価格$ 389$ 599$ 999$ 1199$ 1399$ 1699$ 1999

対するライバルのSkylake-X世代のCPU。もともとはXeon用に使う予定だったダイを、AMDの猛攻撃を受けてやむを得ず「Core i9」として投入した。というのが背景ですね。更に強力なダイはSkylake-EPとして「Xeon Platinum」などに登用されています。

で、基本的にはXeon用にとっておいたハイエンドなダイを使っているため、Ryzen Threadripperと比べて1コア当たりの価格が高いです。Ryzenは安価に作れるように設計されているが、Core i9はある意味で付け焼き刃ですからね…。

  • Xeonを「Core i9」に降ろしたCPU
  • 1コアあたりの価格が高い
  • クロック周波数が高めなので、シングルスレッド性能が優秀
  • CPUソケットはLGA 2066へ以降、大型化
  • グリスバーガー状態なので発熱に問題あり

価格面では確実にRyzen Threadripperに負けている。999ドル出せば16コアが手に入るAMDに対して、インテルは999ドル出しても10コアまでしか手が届かない。単純計算するとインテルは1コアあたり60%も割高なんですよ…。

Ryzen Threadripperの性能

まだ詳細なベンチマークデータは無いが、AMDが公式にYoutubeで12コアの「1920X」と16コアの「1950X」をCinebench R15でテストしている。

799ドルの「Ryzen Threadripper 1920X」は2431 cbを記録。

次に比較相手として999ドルの「Core i9 7900X」がテストされた。スコアは2147 cbで200ドルも安価なCPUにパフォーマンスが劣っていることが判明。

同額の999ドル。「Ryzen Threadripper 1950X」のテスト結果は3062 cb1000ドル以下のCPUでは過去最強クラスの性能ということに。

価格で勝負すると確実にインテルは負ける

おそらく、同じコア数で勝負するとシングルスレッド性能が秀でている「Core i9」にマルチスレッド性能でも負けてしまいます。

こちらのベンチマークからも分かるように、同じ8コアCPUである「Ryzen 7 1700」と「Core i7 7820X」で勝負させてみるとインテルのほうが25%程度高いスコアを記録しているのが分かります。

しかし価格差を見ると329ドルと599ドルですから、AMDはほぼ半額ということ。2倍の値段を出せば、確かにCore i7 7820Xに手がとどくけど…。性能は25%しか変わりません。

これと同様にRyzen Threadripperも同じコア数で勝負すれば負けるが、同じ価格で勝負するとほぼ確実にAMDが勝ちます。なるべく安価に優れたマルチスレッド性能が欲しい人にとって、Ryzen Threadripperは最高のCPUかもしれない。

シングルスレッド性能はどうしても劣ってしまうため、ゲーマーにとっては必要性が少ないですけど。そもそも、ゲーマーはこんな10コア超えのCPUなんて必要としないですね。

結論、Threadripperは十分にCore i9を駆逐できそう

AMDが繰り出すRyzenシリーズって「同じ価格なのにそこまで性能が高いのか…」というインパクトがすごい。逆にインテルは高級路線チックで「お高いから性能も良いに決まってるよなぁ」という印象しか無い。

「Ryzen 5 / 7」は「Core i5 / i7」の優れたゲーミング性能のおかげでなんとかせき止められている。やはり、4コア周辺だとゲーミングメインという人が多いため、シングル性能が高いCore Iプロセッサはなかなかに人気。

ただ、それ以上の「Ryzen Threadripper」や「AMD EPYC」になってくるとワークステーションやサーバー。データーセンター、クラウドベンダー、HPCアプリケーションなど。純粋にCPUの処理能力が問われる用途が多くなってくる。

そのような分野では、同じ処理性能をより安価に入手できたほうが有利なのは間違いないわけでして。同価格で勝負すれば確実に勝てるRyzen Threadripperは、まさしくインテルから見て悪夢のような存在。

ちなみに、「Core i7でCADソフト用のPCを組んでほしいんだが。」という依頼を受けて、自作パソコンを2台委託したことがある。

依頼に合わせて用意したRyzen 7マシンのパーツ(2台分)

その時に「どうせ4万出すならRyzen 7の方が良いよ。このソフト、CPUの性能だけが重要なんですよね。じゃあ絶対にRyzen 7が良いです。」と説得してRyzen 7マシンにした。最初は大変だった。「Ryzenとか聞いたこと無いからなぁ。」って。

結果的には大満足で「4万でこの性能は出せないな。」という評価に至った。それくらいRyzenのコストあたりパフォーマンスの高さは優れている。インテルはゲーマー向けはともかく、それ以外の分野でじんわりとAMDに焦がされていきそうです…。

CPU価格性能性能差
Ryzen 7 1700329ドル1421 cbRyzenが44%優秀
Core i7 7740X329ドル986 cb
Ryzen 7 1700X399ドル1541 cbRyzenが16%優秀
Core i7 7800X389ドル1333 cb
Ryzen 9 1950X999ドル3062 cbRyzenが43%優秀
Core i9 7900X999ドル2147 cb

最後に、同じ価格でCinebench R15を比較した表を置いておきます。以上「Core i9を脅かす、神コスパのRyzen Threadripper」まとめでした。

追記:Ryzen Threadripperのパッケージと発売予定日

2017年7月24日に、AMDのLisa Su氏がRyzen Threadripperのパッケージを公開。見ての通り、丸いフォルムをしたものすごく特徴的なパッケージ…というか、でかい。

参照元の情報によれば。ハイエンドデスクトップ向けのRyzen Threadripperと、X399チップセット搭載のマザーボードは2017年8月10日に投入されるとのこと。

追記2:X399対応マザーボード

詳細をまとめてみました。IO帯域幅が大きいRyzen Threadripperに合わせて、しっかりとインターフェイス類がぎっしり。そんな仕様ですね。

頑張るAMDの関連記事

約300億ドル規模のサーバー市場。ここを制することが出来なければ、AMDの増益につながりづらい。そこでAMDは「EPYC」を投入してインテルの独占市場に殴り込みを掛けるというわけ。

「GTX 1060 8GB」みたいな性能を持つ、Radeon RX 580についてまとめた記事。仮想通貨のマイニング需要が落ち着いてくれないと、なかなか値段が下がらないのが課題。

ぼくは俄然AMD応援派なので、CPUとGPUともにAMD採用の自作マシンを作ってみたり。ちょっと苦労したところもあるが、自作だから多少は苦労しないとやりがいが無いよね。

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2 件のコメント

  • はじめまして
    大変参考になる記事でした。
    Ryzenは出た当初からとても気になっていましたが、今までIntelでしか組んだことがなく「結局Intelと比べてどうなの?」というのが気がかりでなかなか手が付けられませんでした^^;

    これを機にサブマシンとして組んでみようかと思います。
    とは言えM/Bから揃えるとなるとそれなりにお金がかかりそうですが。。(汗

    これからもちょくちょく寄らせて頂きますね
    それでは

    • そうですねー、相手のCore i9も、こちらのRyzen Threadripperも、CPUソケットが大型化しているため対応しているM/Bが高価になってしまう点がデメリットと言えます。
      それを考慮しても、処理性能は同じ価格で比較すればRyzenに軍配が上がるため、コスパ重視で性能が欲しい人にはやっぱりRyzenですね。

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