【ベンチマーク】わずか79ドルという安価なグラボ「Radeon RX 550」の性能

NVIDIAがほぼ4年ぶりに1万円以下のローエンドGPU「GeForce GT 1030」を投入。それに合わせてAMDからも対抗マシンとして「Radeon RX 550」が投入された。希望小売価格はたったの79ドル、その性能はAMDが得意な「コスパ良好」に仕上がっているのか。

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Radeon RX 550仕様 / スペック

ブランド名Radeon RX 550RX 460RX 260X
プロセスルール14nm14nm28nm
アーキテクチャPolaris 12Polaris 11Bonaire
トランジスタ数22億30億20.8億
ダイサイズ101 mm2123 mm2160 mm2
シェーダーユニット数512896896
TMU数324856
ROP数161616
ベースクロック1100 Mhz1090 Mhz1100 Mhz
ブーストクロック1183 Mhz1200 Mhz
メモリクロック7000 Mhz7000 Mhz6500 Mhz
理論性能(FP32)1.126 GFLOPS1.953 GFLOPS1.971 GFLOPS
メモリ容量GDDR5 2GBGDDR5 2GBGDDR5 2GB
メモリバス128-bit128-bit128-bit
メモリ帯域幅112GB /s112GB /s104GB /s
インターフェイスPCI Express 3.0 x8PCI Express 3.0 x16PCI Express 3.0 x16
TDP50W75W115W
希望小売価格$79$119$139
発売日2017年5月20日2016年6月28日2013年8月8日

比較しやすいように歴代のRadeonローエンドモデルを並べてみた。RX 550はPolaris 12世代で最下位モデルです。性能は11世代のRX 460に当然届かないことが、このスペック表から見て取れる。

トランジスタ数や、シェーダーユニット数が明らかに少ないし、ダイサイズ(GPUの面積)も小さいですよね。理論性能(FP32=単精度性能)も、1.126 GFLOPSが公称値で、RX 460やRX 260Xのそれより低い。

しかし、RX 550は1万円以下のローエンドをターゲットにしており、希望小売価格はわずか79ドル(日本円で8600~9800円くらいかな?)で、消費電力(TDP)もたったの50WとRadeon系の中ではおとなしい水準。

【ベンチマーク】MSI RX550 Aero ITX 2GB

1万円以下のGPUは、なおさらコストパフォーマンスが重視される。「映ればいいや」と思いつつも「やっぱりある程度の性能は欲しい」と思うのが人間というもの。実際のところ、どれくらいのパフォーマンスを出せるのか。

Tom’s Hardwareが「MSI RX550 Aero ITX 2GB」を使って、徹底検証しています。

MSI RX 550 Aero ITX 2GB
RF
ベースクロック1203 Mhz
ブーストクロック1203 Mhz
メモリ容量GDDR5 2GB
メモリクロック7000 Mhz
メモリ帯域幅112GB /s
ファン85mm Axial
外部I/ODVI-D
HDMI 2.0
Display Port
補助電源
横幅15.5 cm
縦幅10.5 cm
高さ3.5 cm
重量282 g
保障3年

MSIが発売しているITXサイズを想定した、コンパクトモデル「RX550 Aero ITX 2GB」のスペックをまとめた。クロック周波数は9.3%程度オーバークロックが施され、1203Mhzで動作する。

メモリ容量やタイプは変わらずGDDR5の2GB。ボード長(横幅)がわずか15.5cmと非常に小さいながらも、OCモデルなので割とパワフルなパフォーマンスを期待できそう。外部IOも、DVI-DにHDMI、DPと、このグラボ1枚で3枚までのマルチディスプレイ環境を構築可能。

テスト環境

テスト環境
CPUCore i3 6320
GPUMSI RX550 Aero ITX 2GB
M/BMSI Z270 Gaming Pro Carbon
メモリG.Skill F4-3200C14Q-32GTZ
DDR4-3200 16GB
SSDCrucial MX200 500GB
電源ユニットBe Quiet Dark Power Pro11 850W
OSWindows 10 Pro

ローエンドGPUらしく、CPUは「Core i3 6320」を採用。Core i3ながらベースクロックは3.90 Ghzと中々に強力。メモリは極めて高速なDDR4-3200。SSDはCrucial製の500GB。NANDタイプはMLC※です。電源は静音性に優れる850W。全体的に十分なスペックを持つテスト環境だ。

※一般的に、安価なSSDによく使われる「TLC」よりも、「MLC」の方が堅牢性に優れると言われています。その代わり、やや割高だ。

Battlefield 1

DirectX12環境の「Battlefield 1」で検証。グラフィック設定は「Low」。基本的に、最初にまとめたスペック表にあった論理性能(FP32)に沿った結果になっています。RX 550は平均64.2FPSと、割と良い感じ。単価あたりコストを考えれば相当に優秀。

Civilization VI

DirectX12環境です。「Civilization VI」はグラフィックエンジンの関係上、可能な限りスピード重視で実行されてしまう。HD Graphics 530が平均24.6FPSに対して、RX550がほぼ60FPSに。つまり、RX550以上ならLow設定のCivilization VIは問題なく動かせるということに。

Doom

Vulkan APIを使用しての検証。Low設定でありながらも、RX550は平均30FPSを超え、それなりに快適な動作を実現している。しかし、それに対してRX460は平均76.2FPSというパフォーマンスだ。

79ドルのRX550に対して、119ドルのRX460は約60%も高い性能です。価格差は約50%程度ですから、単価あたりコストは残念ながらRX460の方がいくぶん優秀という結果になってしまった。もちろん、RX550は安価ながらに頑張っているのは間違いないが。

Dota 2

同様にVulkan APIを適用してテスト。グラフィック設定は「Medium」です。基本的な傾向はCivilization VIと似ている。RX550は、Dota 2を標準画質で平均60FPS超えを実現できるGPUの、最低価格の引き下げに成功したと言える。

StarCraft 2

DirectX9環境。古いソフトウェアでの検証。HD Graphics 530に対してRX550は約3.3倍も優れたパフォーマンスを叩き出した。あらゆるグラフィックオプションをONにしても余裕がある。

World of Warcraft

DirectX11環境。グラフィック設定は品質LV10で検証。全体的に厳しい結果で、RX550は平均31.7FPSで、RX460は平均37.5FPSです。単価あたりコストは明らかにRX550の方が有利な結果ですね。

ベンチマークの傾向

価格を考えれば、なかなか優秀です。そもそもローエンドGPUは、ここ最近ミドルエンドやハイエンドと比較して進展の状況だった。主流は「GT 710」「GT 730」や「Radeon R7 240」「Radeon HD 6450」など。

そこに登場した79ドルの「RX550」は、間違いなく既存の主流ローエンドGPUと比較して圧倒的に性能がアップしている。価格あたりのパフォーマンスは大幅に向上していて、100ドル以下のローエンドGPUならベストな選択肢になりうる。

消費電力

RX550のTDPは50Wが公称値。アイドル時は7Wとかなり低く動作し、マルチディスプレイ環境になると11Wと少し増加。ベンチマークに使われたような3Dゲーミングを行うと45~46Wと、概ね公称値に収まる結果になった。

グラフを見ての通り、OCモデルの「RX550 Aero ITX 2GB」であっても消費電力はきちんと公称値に入っています。

ゲーミング時の消費電力

消費電力を時系列データ化すると、かなり上下幅のブレが激しい傾向が確認された。時には59Wと公称値を上回ることもあるが、そういったスパイク発生時には「PowerTune Technology」が発動してクロック周波数を押さえつけ、消費電力を定格内に制限している。

※スパイク = グラフの形状を見たままの意味です。突発的にグラフが吹っ飛んだ形が「トゲ」つまり「スパイク」のように見えるという意味。

GPU温度

室温22度、ケースを閉めた状態でGPUの温度を計測。起動後3分ほどで、GPU温度はおおむね50~60度の間で推移します。

さて、クロック周波数の動きを見ていくとある事実に気づく。今回使ったMSIの「RX550 Aero ITX 2GB」はクロック周波数が最大1203Mhzのはずだが。実際にデータを見ると1200Mhzに達することはない。

最高温度は57度に達するが、その状態であってもクロック周波数は平均的に1141~1164Mhzで推移しているのが分かる。これはMSIのオーバークロックがおかしいのではなく、GPU側の「PowerTune Technology」によるものだ。

消費電力のスパイクを抑えるという動作が、そのまま1203Mhzに到達するのを防いでしまっている。

ファン回転速度 & 騒音

ファン回転数

起動時、つまりグラフィックボードに負荷が掛かり始めるまでは1600rpmでファンが回転する。その後ファンは回転数を落とし、1500rpmより少し上の水準に落ち着きます。

騒音

MSIのRX550 Aero ITX 2GBは相当に静かです。しかし、先の起動時にファン回転数が1600rpmに達する時には36dBの騒音が観測されます。その点を除けば、十分な静かなグラフィックボードに仕上がっている。それに、MSI側も起動時のファン回転数の暴走は改善する予定とのこと。

Radeon RX 550まとめ

1万円以下のローエンド市場は興味無いのかな、と思っていた矢先。NVIDIAから「GT 1030」が投下され、そうはさせるかとAMDが対抗して「RX 550」を投入。これ自体は非常に嬉しいことですね。

RX550にはPolaris 12という世代のGPUが使われているが、基本的にはPolaris 11世代のRX460から大幅にストリームプロセッサ数を取り除いて無理やりコストダウンを図ったようなGPUです。実際、クロック周波数にほとんど差は無い。

RX550のストリームプロセッサ数が約500個で、RX460は約900個。つまり80%も搭載されているコア数に違いがあるため、RX460に勝てないのは当然なんですよ。実際のパフォーマンスはDoomに至っては60%ほど差をつけられるなど、概ねコア数に比例した性能になった。

価格にしてはなかなか頑張るGPUなのは間違いないが。あとはTDPが50Wになったことで、静かに動作しやすく熱も少ないという点もRX550の強み。

RX550の問題点

2017年5月時点の問題だが、どうもRX460と流通している価格が似ている。RX460が国内では10000円以下で流通するようになり、逆にRX550が10000円を割れてこない。これではRX460の方が単価あたりパフォーマンスが強い上に、絶対的な性能も上になるため、RX550を買うメリットが失われてしまっている。

どういう人にRX550は必要か

RX550は希望小売価格が79ドルのグラフィックボードの中では、おそらく最高の性能を持つGPUだ。NVIDIAのGT 1030よりも性能が高い。よって、あまり負荷の大きい3Dゲーミングはしないが、とりあえずグラボを搭載しておきたい。

というユーザーに最適な選択肢になると思う。あるいは、負荷の少ない3DゲームをFull-HD画質でプレイしたい、という人にもRX550はコスパの良いGPUだろう。しかし、前述したように今はRX460と価格差がなくなっているため、お買い得ではない。

これはRX 4XXからRX 5XXへとモデルチェンジが行われたことで、古い版の在庫処分が発生しているためと考えられる。時間が経って在庫が処理されれば、おのずとRX550は本来の価格へ落ち着いていくはず。そうなったら、ローエンドGPUで最高の製品になると思ってます。

RX550搭載グラフィックボード

とりあえず安価なモデルをまとめておきました。

SAPPHIRE PULSE RADEON RX 550 2G

AMD専業というイメージが強いSapphire製のRX550搭載ボード。ボード長は158mmと、非常にコンパクトです。接続端子はDisplay Port、HDMI、DVI-Dとこれ1枚で3枚までマルチディスプレイ環境を構築可能。ブーストクロックは1206Mhzとオーバークロック仕様かつ、ロープロファイル対応。

だいぶ優秀ですね…。

PowerColor AMD RADEON RX550

Saphhire同様にAMD専業のイメージが有るPowerColor製のRX550搭載ボード。ボード長は225mmで、2スロット占有するという大きめのグラボ。やすいと言えば安いですが、あまり選ぶメリットが…。ブーストクロックは1190Mhzと、Sapphireに劣りますし。

玄人志向 RD-RX550-E2GB

コスパがいい傾向にある玄人志向。2スロット占有で、ボード長はおそらく200mm程度。ブーストクロックは1190Mhzと普通。

MSI Radeon RX 550 AERO ITX 2G OC

今回の記事で紹介したMSI製の超コンパクトグラフィックボード。ボード全長はわずか155mmで、現在発売されているRX550搭載グラボの中ではもっとも省スペース。OCクロックは1203Mhzで、接続端子も必要十分。

ただ、見ての通り2スロット占有するため、本当に省スペースにこだわりたいならロープロファイル対応の「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 550 2G」が良いだろう。あちらはボード全長が3mm長いだけだし。

以上、【ベンチマーク】わずか79ドルという安価なグラボ「Radeon RX 550」の性能…という記事でした。

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3 件のコメント

  • いちいち反論するようで恐縮なんですが1スロットは音がうるさ過ぎてかなわんですよ。冷却面積が取れないので、その分をファン回転数を上げてカバーするので自ずと音がでかくなる。オーバークロックモデルも同様に冷却性能が問われる。1スロットボードを作れるのに作らない理由はそこにあるかと。
    小さなパソコンでゲームもバリバリやってみたいという考えを持っている人は素人でグラボをいくつか持っている人は1スロットボードの危うさを知っていますからね。
    まあyacamochi氏は知っていてこの記事を書いたのでしょうが。

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