【ベンチマーク】Skylake-X「Core i9 7900X」「Core i7 7800X/7820X」

インテルがRyzenに対抗するべく投入するSkylake-X世代のCore i7 / i9たち。発売は2017年6月26日ですが、すでに実物を入手したサイトによってベンチマークスコアなどがリークされていたので簡単にまとめますね。

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Skylake-Xの仕様

CPUi7 7800Xi7 7820Xi9 7900X
コア数6810
スレッド数121620
ベースクロック3.5 Ghz3.6 Ghz3.3 Ghz
ターボクロック4.0 Ghz4.3 Ghz4.3 Ghz
最大ターボクロック未実装4.5 Ghz4.5 Ghz
L2 Cache6 MB8 MB10 MB
L3 Cache8.25 MB11 MB13.75 MB
PCIeレーン282844
メモリチャネル4
メモリクロックDDR4-2400DDR4-2666
TDP140W
価格$ 389$ 599$ 999

基本的な仕様はこのとおり。過去の10コアCPU「Core i7 6950X」と比較すると、価格は40%強も安くなったのが大きな進歩。他にはL2キャッシュも以前はコア1個あたり256KBだったが、今回から1MBへと4倍増された。

その代わりL3キャッシュは6950Xでは25MBあったのが、今回はほぼ半減の13.75MBになった。まぁその点以外は概ね進化ですけど。

PCIeレーン数も10%増えて44本に。ブースト時のクロックが4.0Ghz超えするのも、10コアCPUでは今回が初。しかもSkylake-Xの上位品には「Turbo Boost Technology 3.0」が実装され、3段階仕掛けになっている。

より速いメモリクロックに対応できるのも見逃せない。メモリクロックはパフォーマンスに微弱な影響を与えるが、特定の環境下においては大きな影響があるからね。速ければ速いほど良いといえる。

なお、Skylake-Xから拡張機能に「AVX-512」が搭載されます。KnightLanding(Xeon Phi 2世代)で先行して実装されていた機能がついに一般向けCPUにも搭載された、ということです。

ベンチマーク

ハードウェア関連の巨大リークメディアである「ANANDTECH」が先行してベンチマーク結果を発表していたので、そちらを参考にします。

消費電力

さっそく面白い傾向が。IntelCPUは基本的に、カタログスペックに記載されたTDPを、定格運用時にオーバーすることは少ないのです。にも関わらずSkylake-XのCPUは140WのTDPをオーバーしています。

LGA2066ソケットは最大で165Wまで対応しているため、この25Wの余裕を使ってTurbo 3.0時の4.5 Ghzという強烈なクロック周波数を実現している可能性が高い…。

PDF展開速度(Adobe Reader DC)

単位はms(1000ms = 1秒)です。高画質なレイヤー構造が仕込まれた、比較的重量級のPDFファイルを開くのに掛かった時間で勝負。L2キャッシュが4倍に増量されたことや、高いクロック周波数は効いて、7800Xや7900Xは上位に。

FCAT処理

録画された動画を解析するソフトウェアを使い、処理時間を計測したもの。やはり高いクロック周波数が効いている印象。同じ8コアCPUでも7820Xの方がRyzen 7 1700より13秒も速いという結果。

Blender 2.78

Blenderで、CPUによるレンダリング処理能力を検証した。コア数の多さが速度に順当な影響を与えている。Blenderはオープンソースなため、IntelとAMDどちらにも均等な結果を返しやすい。

Cinebench R15

CPUベンチマークの定番ソフト「Cinebench R15」のスコア。7740Xが意外と強い理由は、やはりこのシングルスレッド性能の高さが原因ですね。ということは、ゲーミング性能も当分の間はCore i7が首位を握ることになりそう。

ただ、マルチスレッド性能は「Ryzen 7」といい勝負をしている。同じ8コアCPUで比較すると「Ryzen 7 1800X」と「Core i7 7820X」の性能差は約10%にとどまっている。コスパはまだまだRyzenが強いということだ。

Mozilla Kraken 1.1

単純に言えばウェブブラウザの動作スピードを競うベンチマーク(Javascriptベースの)。基本的な傾向として、シングルスレッド性能の強さが顕著に出やすい。

結果もその通りになっていて、Cinebenchでシングル性能が190を超えているSkylake-X勢が猛威を奮っています。と言っても、Ryzen 7と比較したら最大200ms(0.2秒)差だから、体感しづらいかな。

Google Octane 2.0

Googleが開発したベンチマークソフトによる検証。Chromeの動作速度も基本的にはシングルスレッド性能が重要っぽいですね。4コアの7740Xが抜きん出たパフォーマンスを見せつけている。

8コアの7820Xも相当に強く、同じ8コアでハイクロックモデルの「Ryzen 7 1800X」はそれなりと言ったところ。シングル性能が20%違うというのは結構痛い。

HandBrake H264 and HEVC

HandBrakeを使い、動画のエンコードを行う。1秒間あたりの処理フレーム数が多ければ多いほど、エンコード完了までの時間が速くなるということです。純粋に、コア数とシングルスレッド性能がパフォーマンスに影響する傾向。

結果もその通りで、シングルスレッド性能がぶっ飛んでいるSkylake-X勢が秒間1468~1681枚と圧倒的なスピード。対するRyzen 7は秒間1204~1350枚と、一歩引けを取っている。4コアCPUの「i7 7740K」が「Ryzen 7 1800X」よりも速い結果なのは驚きです…。

HQモードに切り替えて実行。HQモードでは、更にコア数の多さがパフォーマンスに影響するようになる。結果、やっと「i7 7740K」がRyzen 7勢より下に来てくれたが、Skylake-Xの8コア / 10コアは恐ろしく強い。

同じくHQモードのまま、コーデックをH264からHEVCに変更してテスト。概ね似たような傾向です。

WinRAR 5.40

ファイルを圧縮し、完了するまでの時間を10回計測して平均を取ったもの。ファイルの中身は1.37GB(動画33個)と150MB(2834個のWebファイル)です。

結果は少し意外で、同じコア数の争いを見てみるとBroadwell-Eの方がなぜか速い。Skylake-Xではコア数の多さがあまりスコアに影響していない。おそらくL3キャッシュが半減しているのが原因だろう。

7-ZIp

オープンソースライセンスで動作する圧縮ソフト「7-ZIp」のベンチマークモードを使ってテスト。やはりオープンソースがベースになっていると、CPU本来の性能が反映されやすいようだ。

コア数の多さなどが順当にスコアに影響しており、シングルスレッド性能が高い10コア「Core i9 7900X」がきちんと首位を掴んでいる。8コアの「Ryzen 7 1800X」もそれなりの位置にいて良い感じ。

PCMark 8

PCMark 8では3つのプリセット(Creative / Home / Work)が用意されており、それぞれ複数のソフトウェアテストを組み合わせて独自のスコアを出す仕組みになっています。

スコアの傾向は基本的にはコア数の多さとシングルスレッド性能がパフォーマンスに影響を与えていますが、オフィス用途が想定されるWorkプリセットではRyzenが苦戦…。

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まとめ「確かに進化したが…」

Skylake-X世代のCPUは全体的には優秀です。AMD Ryzenが引き起こした価格競争のおかげで、価格もBroadwell-E世代と比べて50%ほど安価になり、IntelのCPUとしては大躍進といえるだろう。

進化したポイント

  • L2キャッシュが4倍増され、レイテンシーが向上
  • Skylakeならではの、優れたシングルスレッド性能
  • 同じコア数で比較すると「Ryzen」よりも全体的に高いパフォーマンス
  • 過去のIntel CPUではだいぶ安価になった
  • 一般向けCPUで初めてAVX-512をサポートしている

ベンチマークのパフォーマンスも、基本的にはSkylake-Xが優位でした。ターボブーストが3段階に強化され、最大で4.50 Ghz※で動作する点も大きなメリットだと思います。

もう一つ重要なのは、今までXeon Phiでしかサポートしてなかった拡張機能「AVX-512」が解禁されたこと。安価で必要としていた人には最高だろう。Phiは高すぎるので。

※実際には後述する発熱問題で、Prime95によるフルロード時もクロック周波数は4.50 Ghzに達せず、4.40 Ghzあたりに落ち着きます。

微妙なポイント

  • L3キャッシュはBroadwell-Eから半減
  • 発熱がひどく、TDPもフルロード時は公称値を上回る
  • 同じコア数で比較すると「Ryzen」の方がやはり安価でコスパに優れる
  • 後続のライバルに「Ryzen Threadripper」が用意されている

WinRARやPCMark 8 (Creative)などでは、L3キャッシュの半減が仇になってしまった。もう一つ不安な要因が発熱が今までのIntel CPUと比べてかなり悪く、TDPもコア全体をフルに活用させると簡単に公称値を上回ってしまうという点※。

※発熱がひどいということは、必然的にオーバークロックの難易度も高いことを意味する。空冷では4.5 Ghzあたりが良いところで、それ以上を目指すなら水冷 + 殻割りなど必要になるだろう。

ただ…個人的には、やはりライバルとの「価格差」が一番微妙なポイントに見える。

世代Skylake-XWhitehaven
CPUCore i9 7960XRyzen 9 1998X
コア数1616
スレッド数3232
ベースクロック3.50 Ghz
Turbo 2.03.80 Ghz
Turbo 3.0 / XFR4.50 Ghz4.00 Ghz
L2 Cache16 MB8 MB ?
L3 Cache22 MB ?32 MB
メモリチャネル44
メモリクロックDDR4-2666DDR4-3200
PCIe レーン数4464
対応ソケットLGA2066TR4 LGA
拡張機能AVX-512AVX 2.0
TDP165W155W
希望小売価格$ 1699$ 849 ?

同じ16コアモデルで比較すると、「Core i9 7960X」が16コアで1699ドル。「Ryzen 9 1998X」が16コアで849ドルと想定されています。Intelだと1コアあたり100ドル近くコストが掛かるが、AMDなら半額で済むのです。

Skylake-Xは確かに優れたシングルスレッド性能と、最適化されたソフトウェアの多さでRyzenに対して優位な立場だろう。しかし、半額という価格は絶対に無視できない要因なんですよ。

849ドルの「Ryzen 9 1998X」に対して、1699ドルの「Core i9 7960X」が80~90%程度高いパフォーマンスを出せるなら、Intelを買う価値はあるかもしれない。でも…当然ながらそれは不可能

最後に気になっている点が、「Core i9」はあくまでもSkylakeベースということ。所詮は6世代のIntel CPUだから、一旦出ているパフォーマンスを最適化などで更に向上させる余地があまり無い。

登場してばかりのRyzenは思ったようなパフォーマンスが出なかったが、その後のBIOSの更新やソフトウェア側の最適化によって、着実にパフォーマンスが向上した。これは新しいアーキテクチャに基づいて製造されたからです。

それに対してSkylakeは2015年に登場したアーキテクチャ。もう2年も経過する。最適化は十分にやり尽くされており、伸びしろはやはり限られているだろう…。

どうしても「安価」で「進化の余地」があるAMD Ryzenの方が優位に感じてしまいます。

結論

CPURyzen 7 1700Core i7 7820X
コア数88
スレッド数1616
Cinebench R15148193
14211734
価格$ 329$ 599
100%182%

現状、8コアCPUで比較してもこの状況。価格差が82%に対して、マルチスレッドの性能差は22%程度しか無い。Skylake-Xも同様に、今後出てくるRyzen Threadripperの価格と性能次第で、より明確な評価が明らかになってくる

とりあえず、Skylake-X世代のCPU達は、すぐに飛びつきたいと思えるCPUではありません(Ryzenほどテンションが上がらない)。以上、Skylake-X「Core i9 7900X」「Core i7 7800X/7820X」のベンチマークまとめでした。

Intelに対抗するマシンたち

Summit Ridgeダイを駆使し、簡単に安価なマルチコアCPUを作ってIntelを苦しめるAMD。今後はCore i7 / i9だけでなく、EPYCによってXeonも焼き払われる可能性がある。

もちろん、Intelの何もしていないわけではなく。Skylakeに基づいた最強のXeonを用意しているようだ。しかし、価格面でEPYCと戦えるかどうか、疑問が多い…。

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