スマホ向けCPUの「Snapdragon 835」の性能がすごい

インテルと比べるとかなり日本での知名度は低い「クアルコム」というメーカー。主にスマホやモバイル向けのCPUを製造していて、人気シリーズに「Snapdragon」というCPUがあるんだよ。その最上位にあたるのが「835」で、その性能がノートPC向けCPUにも迫っているから驚き…という話。

Sponsored Link

Snapdragon 835

Snapdragonは基本的にスマートフォン向けCPUでは常にハイエンドに位置するモデルです。最新の「835」も、現状出回っているスマホ向けCPUの中では、おそらく最強クラスの性能を持っている。

スペック
クロック2.45Ghz(最大)
コア数x8 Qualcomm Kryo 280 CPU
プロセスルール10nm
GPUQualcomm Adreno 540 GPU
対応APIOpen GL ES 3.2
Open CL full
Vulkan
DirectX12
メモリ帯域幅1866 Mhz
メモリタイプLPDDR4x
メモリチャネルDual-Channel

クアルコムの公式サイトから分かる範囲で、Snapdragon 835のスペックをまとめてみた。IntelのCPUと違って、かなり分かりづらい…。コア数に「Kryo 280というCPUが8個」入ってますと書かれているが、じゃあその「Kryo 280」って何コアなの…という話になってしまう。

調べてみたところ、Snapdragon 835には性能が微妙に違う2つのKryo 280が搭載されている。いわゆるデュアルCPUみたいな感じで、4コアのCPUが2つ搭載されて合計で8コアという仕様。

Snapdragon 835の中身を図解
Snapdragon 835
CPU1Kryo 280/12.45Ghz
Kryo 280/12.45Ghz
Kryo 280/12.45Ghz
Kryo 280/12.45Ghz
CPU2Kryo 280/21.90Ghz
Kryo 280/21.90Ghz
Kryo 280/21.90Ghz
Kryo 280/21.90Ghz

イメージとしてはこんな感じ。最大クロック周波数が違う2つのKryo 280が入っているということです。なお、この性能は機種によって微妙に差があるので注意したい。

例えばGalaxy S8+だと「2.35Ghz *4 + 1.90Ghz *4」という仕様だが、Xperia XZ Premiumだと「2.45Ghz *4 + 1.90Ghz *4」という具合に。

さて…DDR4に対応していたり、DX12にも対応済みだったりと、基本的に最新のハードウェアとソフトウェアにほぼ対応していることなど。色々とSnapdragon 835について書ける事は多いが、細かい仕様よりも注目度が高いのが「絶対的な性能」だと思う。

Snapdragon 835の性能

パソコン向けCPUでは「3DMark Fire Strike」や「Cinebench R15」がベンチマークの主流だが、モバイル向けCPUでは「Antutu」や「GeekBench」「3DMark Ice Storm Unlimited」などがよく使われている傾向。

なお、デスクトップ向けCPUの性能を調べたい場合は以下の記事も読んでおくとGood…。

ということで、主要なベンチマークスコアをまとめていって、その性能を確かめていく。比較対象には過去のSnapdragonの方が良いかなと思ったんですが、せっかくなのでIntel製のモバイル向けCPU「Core m プロセッサ」を選びました。

分かりづらい、インテルのノートパソコン用CPUの種類と性能まとめ

GeekBench v4

Snapdragon 835 – GeekBench v4

  • Snapdragon 835
    2059
  • 6461
  • Snapdragon 625
    820
  • 2984
  • Core m3 6Y30
    2762
  • 5140
  • Core m5 6Y54
    3352
  • 6160

シングルスレッドスコアマルチスレッドスコア

GeekBench v4のスコア。シングルコア性能はやはりIntelのCore プロセッサに押されてしまう。しかし、マルチコア性能では8コアもあるSnapdragonに軍配が上がる結果に。

3DMark – Ice Storm Unlimited

Snapdragon 835 – 3DMark – Ice Storm Unlimited

  • Snapdragon 835
    38518
  • Snapdragon 625
    15923
  • Core m3 6Y30
    26904
  • Core m5 6Y54
    29241

Ice Storm UnlimitesはいわゆるAndroid版の3DMarkですね。内蔵GPUの性能を計測可能。Intel Core mプロセッサには「Intel HD Graphics 515」が搭載されていて、スコアは26000~29000点ほど。

それに対してSnapdragon 835には「Adreno 540」という内蔵GPUが入っていて、スコアは38518点と圧倒的。

Mozilla Kraken 1.1

Snapdragon 835 – Mozilla Kraken 1.1

  • Snapdragon 835
    2308
  • Snapdragon 625
    8108
  • Core m3 6Y30
    1646
  • Core m5 6Y54
    1308

次はMozilla Krakenというブラウザの動作スピードを計測するベンチマーク。スコアが小さいほどスピードが速いことを意味する。

スコアの傾向を見るとSnapdragon 835はIntel Core mに大きく押されている。このブラウザの処理速度というのは、CPU全体の処理性能より1コアあたりの性能(シングルスコア)に影響を受けやすいため、妥当な結果ではありますね。

AnTuTu Benchmark v6

Snapdragon 835 – AnTuTu Benchmark v6

  • Snapdragon 835
    182447
  • Snapdragon 820
    129317
  • Snapdragon 810
    78913
  • Snapdragon 625
    63276
  • Kirin 960
    140084
  • Apple A9
    128706

スマートフォン向けベンチマークでは最も有名な「AnTuTu Benchmark」のスコア。Snapdragonはシリーズを重ねる毎に着実に性能が向上している。18万点というのは、現状世界最高のスマホ向けCPUである。

なお、14万点を記録している「Kirin 960」はHuaweiのハイエンドモデル「Huawei P10 Plus」に搭載されている。

ベンチマークまとめ

ScoreSnapdragon 835 icon
Snapdragon 835
Core m3 6Y30 icon
Core m3 6Y30
Core m5 6Y54 icon
Core m5 6Y54
Geekbench v4 Single

2059

2762

3352

61.4%82.4%100.0%
Geekbench v4 Multi

6461

5140

6160

100.0%79.6%95.3%
3DMark – Ice Storm Unlimited

38518

26904

29241

100.0%69.8%75.9%
Mozilla Kraken 1.1

2308

1646

1308

56.7%79.5%100.0%

シングルコア性能はIntel CPUに劣っているものの、マルチコア性能では「Core m3」に対して25%ほど、「Core m5」に対してはほぼ互角の性能を出している。

もともとIntelのCore mシリーズはスマホ向けではなくノートパソコン向けなので比較の相手としては分が悪い。にも関わらずこれだけ高い性能を叩き出せるとは驚き…。

ここまで性能が高いとWindowsに対応したモバイルブック向けのSnapdragonが出てきてもおかしくないよね。

 Win 10対応は割りと前向きらしい

→ Qualcomm details plans for Windows 10 PCs with Snapdragon 835 chips

海外の記事によれば、Snapdragon 835は既にWindows 10を動かすことが出来るとのこと。2017年後半には、このCPUを搭載したノートパソコンが市場に投入される予定。日本での発売はまだ先だろうけどね。

【追記】Kabylake世代と比較

Snapdragon 835 – GeekBench v4

  • Snapdragon 835
    2059
  • 6461
  • Snapdragon 625
    820
  • 2984
  • Core i5 7Y54
    3845
  • 7350
  • Core i7 7Y75
    4375
  • 8392

シングルスレッドスコアマルチスレッドスコア

最新世代との比較が気になる、ということで。Macbook 2017年版に搭載されているKabylake世代の超低電圧モデルと比較してみました。

相手は2コア4スレッドだが、シングルスレッド性能が非常に高いためにSnapdragond 835を圧倒している。ただ、ノートパソコン対スマホの性能比較ということを考慮すれば、「835」の強さは相当なモノです。

まとめ

snapdragon 835 性能まとめ

スマートフォン向けだったCPUの性能が順調に進化して、ついにIntelの低電圧モバイルプロセッサ「Core m」にも迫る性能になってしまった。それがSnapdragon 835です。

デスクトップCPUではAMD RyzenがIntelに対して猛威を奮ったし、モバイルCPUではQualcommのSnapdragonがIntelに猛威を振るいつつある形に…。

あと、地味に驚いたのがSnapdragon 835のプロセスルールが「10nm」に達しているということ。Intelですら、最新のKabylakeでは「14nm」なんだが、先に「10nm」が現れるとは、という感じ。

それにしてもこれだけのハイスペックCPUが搭載されたスマートフォンってどういう用途を想定しているんだろう。PS2のエミュレートができそうな性能なわけだが、そういう用途はマニアックだよね。

というわけで、使い道がイマイチ思い浮かばないが、Snapdragon 835の性能はすごいよ。という話でした。

Snapdragon 835搭載のデバイスまとめ

このように、Snapdragon 835はいわゆる「フラグシップモデル」にしか搭載されていません。ノートPC並の性能だが、価格もノートPCに負けず劣らず…といった感じです。

【追記】CPUではなく「SoC」

コメントでも指摘があった。この記事ではSnapdragonのことをスマートフォン向けCPUと紹介したが、これはCPUというよりは「SoC」に分類されるとのこと。

こちらの記事にあらためて「SoC」とは何なのかをまとめたので、「ぼくもスマートフォンに入っているのはCPUだと思ってました…」という人は読むのを推奨します。

【追記2】Exynos 8895について

どうやらヨーロッパ向けのGalaxy S8 / S8+には、Snapdragon 835ではなくサムスン製の「Exynos 8895 Octa」というSOCが搭載されているようだ。

【追記3】Apple「A11 Bionic」が一気に性能を更新

スマートフォン向けのCPUとして最強の座についていた「Snapdragon 835」ですが、ついにAppleの「A11 Bionic」にその座を明け渡すことになった…。Apple強い。

他のスマホ向けCPUの性能

Sponsored Link

13 件のコメント

  • この場合CPUではなくSoCと呼ぶのが正しいです
    車載やモバイル向けハイエンドSoCの開発が世界的に急がれているので、前回の基調講演でも言及している通り10nmの先行は当然の結果と言えます。

  • スマホの場合発熱をやたら気にする人がいるから、その事も書くといいかもしれません??
    私は全然気にしないですけどね〜。

  • 比較対象としてKabylake世代のm3-7Y30,i5-7Y54を出さずに
    一昨年秋発表のSkylake世代のcore Mを持ってきたのは、ちょっと古いような気がしますね。
    シングルコアはもちろんマルチコア性能の伸びが大きかったですし、最新CPU同士比較してほしかったと思います。

    また最上位モデルとの比較というならm7-6Y75 (i7-7Y75)を出してもいいのでは?

      • 何で全部把握?
        記事のテーマにかかわる重要な事ぐらは把握すべきだろう。

        4ヶ月前の投稿でもずっと残るからね。
        鵜呑みにする人がいるから、理にかなっている否定的な意見は重要だよ。

  • 気にしないのは使い方が違うからでしょう
    高負荷な機能になると強制冷却に入ったり処理落ちしたりはありますよ
    Xperiaがモデルチェンジのたびヒートシンクを大幅に改良しているのがその証拠です

  • Snapdragon 835載せたスマホも最近は2~3万程度で買えますな
    いい時代になったもんです
    自分はゲームしないので625位でちょうどいいですが(電池持つし熱くならない)

  • >ここまで性能が高いとWindowsに対応したモバイルブック向けのSnapdragonが出てきてもおかしくないよね。
    対応するのはWindows側なんだから逆だろ。

    • Windows側がSnapdragonに対応する場合ARMアーキテクチャに対応しなきゃいけない
      Snapdragon側がWindowsに対応するにはx86、x64命令セットに対応しなきゃいけない
      対応する側が決まってるわけではないよメリットデメリットも違うしね
      ちなみにMSはARMに対応したWindowsRTで1度失敗してる

  • socとはsystem on a chipの略
    スマホのような小さな端末ではCPUというソケットではなく基盤に処理系や通信系、メモリ等全部搭載されて一体化されている
    これにより端末メーカーの独自開発が不要になり、メーカーは他の事に専念できる

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。